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『化学語源辞典』
尾藤 忠旦 / 著
神田の古書店で偶然見つけたもので、化学用語の 語源が掲載されています。例えば、鉛は「やわらか い」が語源。化学用語の多くは、明治時代の人々が 日本語に訳したもので、漢字を見るだけで何かがわ かる。先人への感謝ができる一冊です。
わかった! できる! を積み重ねよう
Q 化学は覚える知識項目が多くて苦手です 受講の際のポイントはありますか
河原にある白くて丸い石……、今となれば、それはまず十中八九、石灰石だろうとわかります。何故なら、石灰石は柔らかいから「風化」する。だから丸くなって、河原にあるんです。硬い石英は風化できないから丸くならない。そのあたりに転がっている石にも、そこに存在する・存在できる理由がある。それを説明できるのが化学の言葉です。
私が化学の本質に気づいたのは、意外にも大学受験勉強のときでした。高校1年生から予備校に通っていましたが、化学は定期テストではそこそこの点数が取れても、よくわからない科目、という位置づけでした。
でもあるとき、「化学は自然界の規則性をまとめた学問だ」と気づいたときに、ぱーっと視界が開
〝化学 を 知 れ ば ︑ 石 こ ろ だ っ て 雄弁 に 語 り 始 め る 〟
けたんです。今考えると、教科書をひととおり勉強して、全体を把握したからだとわかります。化学は部分ばかりを理解しようとしてもだめなんです。“全景”を把握して部分を理解しないと、一向に意味がわからないし、難しい。そうして「大局観」を摑まないと上達しない学問です。化学は大局観さえ摑めば、部分の理解は早くなりますから、化学は一年間でも十分伸びる教科だと思います。 私の父は化学の大局観を持っていたので「それは石英ではない」と即答できたのです。「石英は白い石」という部分だけを見ていた私が、父の発言を理解できなかったのは、大局観がなかったからです。もっとも、小学生なので当然ですけどね(笑)。石が小さな声で伝える 大きなこと大学生になると、この大局観が、地球の「メカニズム」であるということがわかるようになります。つまり化学的な知識をもとに、この世界を自分の視点で把握していくようになる。それが「研究」です。
高校3年生で私は理工系に進むことを決めていました。慶應義塾大学に進み、2年生で応用化学科へ進みました。そして4年生になると研究室に配属されますが、ここで出会ったのが、再び石でした。
私の先生は地学科で、顕微鏡で石を覗くのが大好きな先生でした。「石を覗くと何がわかるのですか?」と聞くと「水
|岩
石反応しやすい石、そうだね、例えばCO2と反 応しやすい石がわかったりする」と言うのです。
温室効果ガスとして関心の高いCO2の処分法の一つに、地下に注入して貯留する方法があります。その際に、特定の石はCO2と反応して無害なものへ変化させ安定的に固定することができる。CO2との反応速度が大きく長期的に固定できる石を結晶面などから推測するのが先生の研究の一つでした。
顕微鏡を見つめている先生は、石の持つ小さな声を聞いているようでした。石から料理までを 物語る化学の言葉
鉱山によって採れる石は当然変わります。石の特徴から、鉱山も推定できます。そして石マニアの世界で皆がこぞって取りに行くのが「ずり」です。これは江戸時代に鉱山を掘った人々が「純度が低い」と言って捨てたごみですが、マニアにとっては宝物です。ずりは、石英がたくさん採れる「石英脈」の近くの、山が削れている場所に多い。昔の人は、石英脈の隣に金など価値のある鉱物を 産出する「金属脈」があると知っていて山を削っていたからです。まだ化学が十分に発達していない時代でも、人々は鉱物のメカニズムを経験的に把握して行動していたという歴史をそこに感じることができます。 一見すると、何の変哲もない石ころだけど、化学を知ればきちんとそこにある理由がわかります。石の世界というのはそんな知的快感に満ちているんですよ。 私は石だったけど、身の回りは化学の言葉だらけです。例えば料理も化学の塊です。分子量が大きな砂糖は具材に入りにくいから最初に砂糖を入れるという調理法になる。すりおろした生姜を酒で伸ばし、肉にふりかけておくと、生姜の中の酵素がタンパク質を分解して、肉を柔らかくしてくれる。ほら、豚の生姜焼きだって、化学の言葉で説明できるでしょう。
化学の言葉を使えば、石ころから料理までを説明して、いろんなことを予測できる。そんな快感を多くの人に味わってもらいたくて、私は今日も教壇に立っています。
お答えします!
A 常に「なぜ」 「どうして」を追求
「化学は覚えることが多い」、生徒からよ く言われます。確かに覚える知識は多いの で、常に「なぜ」「どうして」を丁寧に説明し て、ただ暗記するのではなく、理解して しっかり記憶に定着させるように工夫をし ています。「規則性のない学問はない」を信 念に、化学の世界における規則性や法則性 を見い出しながら学ぶ楽しさを教えます!
子どもの頃の夢は?
数学の先生
好きな鉱山は?
新潟の赤谷鉱山。ここに私のすべての興奮が詰まっ ています。
高校時代に「これをやっておけばよかった」
という後悔はある?
ない。やりきったと思う。後悔することはない。
講座の ココが ポイント!
▶︎理系志望の高2生・高1生はもちろん、化学に不安がある高3生も歓迎
▶︎計算問題は比較的易しめで、テーマが掴みやすくやる気が出る!
▶︎予習は不要、しっかり復習して着実に理解してから次の講に進むこと
▶︎「わかった」「できる」「楽しい」「次も頑張ろう」と思えるから化学が好きになる 大学時代の研究は?
多摩川の汚染がどのように生まれているのか、その 由来を分析すること。例えば、水質汚染を引き起こ す重金属として鉛がありますが、鉛には「同位体(同 じ原子番号だが、持つ中性子数が異なる)」が存在し ます。同位体分析することで、汚染を引き起こして いる鉛が人為的なものなのか、さらにはどこの国由 来のものなのかまでが推定できるのです。
好きなアートは?
印象派のモネ。色彩がキラキラしているから。私は 理屈よりも感情で動いているので、キラキラしてい るものが好きなんです。
一問一答 講座
紹介
立脇先生お気に入りの本立脇先生が拾った石たち
自ら鉱山を巡り発掘しに行くほど「石」を こよなく愛する講師が展開する講義は、
様々な切り口から化学の面白さと奥深さ を感じさせてくれる。覚えることも多い 化学だからこそ、常に「なぜ」「どうして」
を優しく丁寧に追求する。「規則性のな い学問はない」を信念に、化学の世界に おける規則性や法則性を見出しながら、
学ぶ楽しさを与えてくれる。
第 3 回 立
た て脇
わ き香
か奈
な先生
化学
授業のぞき見! 石ころにも理由がある化学の上達は大局観から
小学校の頃の話です。ある日、私は父と河原で石拾いをしていました。父は理科好きで、私も自ずと理科にまつわるものが好きになりました。その一つが石集めでした。
石 せきえい英という、二酸化ケイ素が結晶化した白く硬い石があります。これはガラスの原料にもなり、六角柱に結晶化した無色透明なものは、皆さんもよく知る水晶と呼ばれます。石英という名前を父から教えてもらった私は、「白い石がなんでも石英に見える病」にかかり、その日も河原で丸くて白い石を見つけて「石英だ!」と喜んでいました。すると父は、「残念、それは石英じゃないよ」と即答しました。私はなぜすぐにわかるのか、全然わからなかったんです。
化学は石から
料理までを語り尽くす 地球の共通言語だ
講師特別インタビュー 教壇にいたるマイヒストリー
ここでは、東進の実力講師陣の素顔に迫るエピソードを紹介。
10 代の頃はどんなふうに過ごしていた? 何で教える仕事を選んだの?
どんな授業をしているの? 知られざる講師の一面に迫ります!
ベーシック化学 PART1/PART2 ベーシック化学 PART1/PART2
好きな鉱物の一つが、写 真中央のばら輝石。表面 はマンガンの作用で真っ 黒ですが、割ると真っピ ンク。自分で割って見つ けた時は感激です。時間 とともに酸化してピンク が色あせて黒くなってし まうのが残念です。緑色 の石は銅の風化でできる 孔雀石で、主に銅の近く で発見できます。見つけ たら、歓声を鉱山中に響 かせます。