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スペインとFEALAC(東アジア・ラテンアメリカ協力フォーラム)

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Academic year: 2023

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スペインのバルセロナは、この国の経済の中心 地の一つで、とくに製造業が盛んであり、日本の 対スペイン向け投資の最大の投資先でもある。こ こにスペイン外務省、カタルーニャ州政府、バル セロナ市の協力により、カサ・ アジア(スペイン 語での発音では、カサ・アシア)が昨年11月に設 立された。マドリッドに設けられたカサ・ デ・ ア メリカの姉妹機関であるが、スペイン政府のアジ ア太平洋プランおよびEUのアジア新戦略の目的 を達成するために設立されたとされる。

このカサ・ アジアが、設立1周年にあたる本年 11月に、スペイン・ラテンアメリカ・ アジアの関 係推進に関するセミナーを開催した。米州開発銀 行(IDB)のイグレシアス総裁も出席し、アジ ア、ラテンアメリ カ 、 ヨ ー ロ ッ パ か ら の 外 交 官 、 学者が多数参加した。スペインを中心にヨーロッ パとラテンアメリ カ の 関 係 は 歴 史 的 に も 強 い が 、 さらに近年、イベ ロ ア メ リ カ サ ミ ッ ト の 開 催 や 、 EUメキシコFTA、EUチリFTAによる経済 関係強化、スペイン企業の投資の急拡大等で一層 強まっている。これに対し、ヨーロッパとアジア、

アジアとラテンアメリカの関係は相対的に弱い。

スペインを始めとするヨーロッパと、ラテンアメ リカとアジアの3者の関係を強めるにはどうすべ きかというのが、主要なテーマであった。

ヨーロッパとアジアの関係を強めるための組織 としてはASEMがあり、活動を行ってきている

が、アジアとラテンアメリカの協力の組織として は、FEALAC(東アジア・ラテンアメリカ協力 フォーラム)ができたばかりである。FEALAC の発足の経緯、その目的、意義、組織、第1回外 相会議で設けられた三つのワーキンググループな どについて、詳細な説明を筆者が行ったが、他に も、ホルへ・アルベルト・ロソヤ氏(イベロアメリ カ協力事務局長)、マンフレッド・ウィルヘルミー 氏(チリ太平洋財団事務局長)、ホアン・ホセ・ ラ ミレス・ボニージャ氏(コレヒオ・ デ・ メヒコ大 学院大学教授)、イグレシアスIDB総裁が言及し、

FEALACが次第に関係者に知られるようになっ てきていることがわかった。スペインからの参加 者が圧倒的に多かったが、FOCALAE(FE ALACのスペイン語での略称)が、スペインで 初めて紹介される会議となったと思われる。

FEALACは、日本でもあまり知られている とはいえない。以下、FEALACについて説明 し、日本の役割について言及することとしたい。

FEALACは1998年10月に、シンガポール 首相のゴーチョクトン氏が提唱したことに端を発 している。1999年9月には、シンガポールで第1 回会合が開かれ、さらに2001年3月には、第1回 の外相会議が、チリのサンチャゴで開催された。

この外相会議で、基本的なFEALACの枠組み が定められ、また、FEALACという名称も決 定し、加盟国も東アジアから、15カ国、ラテンア

No.124 / 2002/12 4

スペインとFEALAC(東アジア・ラテンアメリカ協力フォーラム)

Sp ain and FEALAC (Forum for East Asia-Latin America Coop eration)

細野 昭雄 神戸大学経済経営研究所教授

HOSONO Akio Professor,Research Institute for Economics & Business Administration , Kobe University

〈プロフィール〉

昭和37年3月 東京大学教養学部卒業

4月 アジア経済研究所調査研究部研究員

41年 国際連合ラテンアメリカ・カリブ経済委員会(ECLAC)に出向 経済研究官 平成元年 筑波大学社会工学系教授

6年〜 8年 副学長

9年〜12年 筑波大学国際政治経済学研究科長 12年〜 神戸大学経済経営研究所教授

13年〜 日本国際問題研究所アメリカ研究センター客員研究員を兼ねる

現在、『東アジア・ラテンアメリカ協力フォーラム(FEALAC)「経済・社会」ワーキング・グループ(WG) に関する提言案作成のための研究会』主査。論文・著書多数。

視点 Point of View

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メリカから15カ国と決まった。東アジアの15カ 国には、ASEANプラス3(日本、中国、韓国)

のすべての国が加わっており、その13カ国にオー ストラリアとニュージーランドが参加している。

ラテンアメリカ側は、主催国で、当初からラテン アメリカ側の取りまとめ役をつとめたチリを始め、

メルコスルの4 カ 国 (ア ル ゼ ン チ ン 、 ブ ラ ジ ル 、 パラグアイおよびウルグアイ)、アンデス共同体諸 国(ボリビア、コロンビア、エクアドル、ペルー およびヴェネズエラ)、メキシコ、中米のコスタリ カ、エルサルバドル、パナマ、それにキューバか らなる15カ国が参加している。

FEALACの設立によって、東アジアとラテ ンアメリカ諸国が直接対話を行うフォーラムが設 けられたわけであり、その意義は大きい。この点 について、サンチャゴの外相会合のコミュニケも

「FEALACは、両地域の政治、文化、社会、経 済および国際問題における共通の関心事について の対話と協力を開始するという画期的意義を有し ている」と述べている。そして、「相互関係の緊密 化した、グローバライゼーションが進む世界にお ける挑戦と機会に取り組んでいかなければならな い両地域の絆を強めるであろう」と述べている。

外相会合では、FEALACの将来の活動に関 する、原則、目的、方法を定めたフレームワーク 文書が採択された。また、三つのワーキンググルー プが発足することとなった。それらは、政治・ 文 化、経済・ 社会、教育・ 科学技術の三つである。

ワーキンググループは、FEALACがまだ生ま れたての組織であることから、今後、FEALA Cのなかでいかなる具体的プロジェクトを実施し ていくのかにつき、議論する必要から発足したも のである。2002年には、各ワーキンググループの 第1回会合が開催されており、2003年に開催予定 の第2回会合では、第1回会合で議論された現状 分析を踏まえて、具体的な提言を含む最終報告書 を作成・ 合意する予定となっており、この最終報 告書は2003年にフィリピンで開催される予定の第 2回外相会議に提出されることとなっている。

この第2回外相会議で具体的な活動に向けた提 言が議論され、そのいくつかが採択されることに より、FEALACの枠組みのもとで、東アジア、

ラテンアメリカ両地域の関係の緊密化や、さまざ

まな共通の課題に関する経験の交流などが行われ ていくことが期待される。以下、経済社会ワーキ ンググループのケースについて、やや詳しく紹介 しておこう。

日本は第1回外相会議で、ペルーとともに、経 済・社会ワーキンググループを主催することに合 意した。その目的は、両地域の諸国が抱える経済 社会分野における共通の課題を見極め、その実情 を調査し、相互の経験を共有し、将来に向けてい かに両地域が協力関係を強化していけるかについ て具体的な提言を策定することにある。

この趣旨に基づき、日本とペルーが共同議長国 となって、このワーキンググループの第1回会合 が2002年3月東京で開催された。日本を含む東ア ジアとラテンアメリカから29カ国が参加した。

この会議に先立ち、日本国際問題研究所(JI IA)に日本のラテンアメリカおよびアジア研究 者からなる研究会が設けられ、両地域における経 済社会の現状に関する分析が行われ、第1回会合 に向けての報告書が用意された。会合では、各国 代表の間で 、「制度とガバナンス 」「経済発展と貧 困」「企業家精神と中小企業」「IT革命と途上国」

の四つのテーマについて活発な議論が行われた。

続いてこの研究会では、ワーキンググループの 第1回会合での議論を踏まえ、具体的な提言につ いて検討を行い、現在その取りまとめが行われつ つあり、ワーキンググループの第2回会合ではそ の提言などを参考に議論が行われることとなって いる。

ところで、アジア諸国のなかで、ラテンアメリ カとの経済関係がもっとも強いのは日本である。

90年代、とくにその後半、スペインを始め欧米諸 国の直接投資が急増したことから、日本の投資の 相対的割合は低下したとはいえ、メキシコを始め 製造業を中心に、一部の国で投資の拡大もみられ ている。また、ラテンアメリカの多くの国で、O DA供与国としての日本の比重は高い。ラテンア メリカ諸国には、日系人も多い。

したがって、FEALACにおける東アジアと ラテンアメリカの協力に向けての対話、具体的な 協力のプロセスにおいて、わが国は積極的な役割 を果たすことができるはずであり、また、それが 期待されていると思われる。

JIIA Newsletter

No.124 / 2002/12 5

参照

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