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天然資源 とアジアの地域協力

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経営 と経済 第 8 7 巻 第 1号 2 0 0 7 年 6 月

天然資源 とアジアの地域協力

t川

成 田 康 郎

Abs t r act

To da ywes e eo nne ws pa pe r sa r t i c l e so nna t ur a lr e s o ur c e swi t hun‑

pr e c e de nt e df r e q ue nc y, whi c ho we sma i nl yt ogr o wi ngde ma nds , unc e r ‑ t a i nt yi ns uppl i e s ,a nde nvi r o nme n t a li s s ue s.

Thi spa pe rhi ghl i ght ss uppl i e si nAs i ao ff o urki ndso fr e s o ur c e s:

pe t r o l e um,i r o no r e,c hr o mi um,a ndt ungs t e n.Ana l ys i so npe t r o l e um , f o re xampl e,s ho wst ha tI ndi ai sune xpe c t e d l yr i c hi nr e s e r ve s.

Thepa pe rt he ndi s c us s e sc ur r e nta ndf ut ur ef r a me wo r kso fe c o nomi c c o o pe r a t i o nbo t hwi t hi na ndi nc l udi ngAs i a nc o unt r i e s , a ndf i na l l ydr a ws ac o nc l us i o nast owhi c hs pe c i f i cc o unt r i e so ut s i deEa s t ‑ As i as ho ul dbe dr a wna t t e nt i o nt oi nt hec o nt e xto fna t ur a lr e s o ur c e s.

Keywords:na t ur a lr e s o ur c e s ,pr o duc t i o na ndr e s e r ve,c oo pe r a t i o n f r a me wo r k

1.はじめに

今 日,天然資源 をめ ぐる新聞報道が毎 日の ように主要紙の国際面 をにぎわ している。統計の類ではな く印象論ではあるが, 5 年前は中国関連記事が, 2 年前はイン ド関連記事が最 も多かった と思われる。そ して現在は天然資源 である。

そ うした天然資源関連記事の切 り口は 4 つに大別 され よう。第 1 は需要面

(2)

の大幅な伸びであ り,中国の原油が典型的な例であ るが,その他にも,中国 の鉄鉱石や レアメタル,イン ドの原油 といった もの も目立つ。第 2は供給面 の不安であ り,さらにこれは物理的な不安 と政治面が絡んだ不安に分け られ る。前者 を象徴するのが 「ピーク ・オイル論 」 1 であ り,後者 も主に原油に関 連するものが多い。具体的には,中東問題,アフ リカの貧困関連問題な どで ある。第 3 は,一部の国の資源をめ ぐる姿勢である。資源供給 国の中には資 源管理 を強化 している国がある一方で,原油を始め とした資源輸入が大幅に 増加 している中国は,資源の豊富なアフ リカ諸国 との関係を強化するな どの 動 きを見せている。第 4は環境関連である。地球温暖化の関連で化石燃料の 消費抑制が叫ばれるなか,バ イオ燃料や風力発電な どの代替エネルギー源の 重要性が高まっているほか,天然資源問で も環境面での比較が重要視 されて きている。た とえば,天然ガスは原油 よりも環境負荷が低い とされるし,石 炭の環境負荷は相当に高い とされ る。

無論, これ ら 4つの切 り口は完全に独立 しているわけではな く,む しろ相 互関連性が非常 に高い。た とえば,中国の原油需要の飛躍的な高ま りは,塞 富な石炭資源が環境負荷の高 さか ら十分 に活 かしきれない ことにも大 きな一 因がある。

本稿では,こうした天然資源をめ ぐる諸問題を踏 まえて,まずアジア とい う一つの地域的な くくりで供給面の現状 と将来性を概観 し,次 にアジアの, あるいはアジアを含む地域協力枠組みの天然資源をめ ぐる取 り扱い状況につ いて述べる。最後 に結論 として,アジア各国及び周辺国の天然資源をめ ぐる 長期的な協力体制の方向性 について一 つの私見を述べる

1 採掘可能な原油埋蔵量が近い将来ピークに達するという説。

(3)

天然資源 とアジアの地域協 力 71

2 .アジアにおける天然資源の供給

ここでは天然資源 として 4 つを とりあげる。化石燃料の代表格 としての原 油,主要な金属資源である鉄鉱石,そして近年注 目を集めるレアメタルの う ちのクロム及びタングステンである

(1 )原油

原油の地域別消費量を見ると,アジア ( オース トラ リアを含む,以下特記 しない限 り同様)は 1 985 年か ら 2005 年 にかけて 1 29% の大幅増 とな り,対世 界比 3割 と,北米に迫る勢い となっている。 ( 第 1表)

第 1 表 :地域別原油消費量 ( 千バ レル/日)

1 9 8 5 1 押5 2 0 0 5 0 5 / 8 古 対世 界比率 ( 0 5 ) 1 8 53 5 21 1 51 2 48 7 5 1. 3 4 0. 3 0

欧州等 2 2 23 5 1 9 7 0 3 2 0 3 5 0 0. 9 2 0. 2 5 ヰ 東 二 9封ー 4 2 4 0 5 7 3 9 1. 9 5 0. 0 7

ア ジア 1 0 46 4 1 8 0 81 2 39 5 7 2. 2 9 0. 2 9

( 出典 : Br i t i s hPe t r o l e um 資料 よ り作成)

第 1 図 :地域別原油消費量 ( 千バ レル/日) 30000

25000 20000 15000 10000 5000 0

葉 + ' )

繋 賢 . ≡ 誇 十 .

㌔♂♂ ♂1 ㌦ 1 ・ : ‑ , 1

( 出典 :上に同じ)

監 ヨ 1 9 8 5

匿 翌 1 9 9 5

(4)

他方生産量では,アジアは 05 年 には対世界比 9. 9% と , 1 0% を割 る状態 と なっている ( 第 2表)。

第 2 表 :地域別原油生産量 ( 千バ レル/日) 1 9 9 5 2 0 0 5 比率 ( 05 ) 北米 1 3 7 8 9 1 3 6 36 0. 1 6 9 中南米 5 7 8 2 6 9 6 4 0. 0 5 9 欧州等 1 3 8 2 2 1 7 5 3 4 0. 21 6 中東 2 02 2 2 2 51 1 9 0. 31 0 アフ リカ 711 1 9 8 3 5 0. 1 21 アジア 7 3 7 5 8 0 00 0. 0 9 9 世界計 6 81 0 2 81 0 8 8 1 . 0 0 0

( 出典 :上に同じ)

確認埋蔵量では,アジアは 85 年か ら 05 年 にかけて 390 億バ レルから 402 億 ド ル と,はば横ばい となっている。これは,中南米が 23. 5% 増,欧州 ・ロシア ・ 中央アジアが 72. 4% 増,アフ リカが 58. 8% 増 と,それぞれ大幅に伸びている の とは対照的である ( 第 3表) 0

第 3 表 :地域別原油埋蔵量 ( 1 0 億バ レル)

1 9 S E l 1 9 9 5 2 0 0 5 05 / 8 5 比率 ( 0 5 ) 北米 1 01. 51 8 9. 0 4 5 9. 47 0. 6 7 0. 0 5

中南米 6 2. 91 8 3. 81 1 0 3. 5 1. 2 3 0. 09 欧州等 7 8. 6 2 81. 5 1 4 0. 5 3 1. 7 2 0. 1 2 中東 4 31. 2 8 6 61. 4 6 7 4 2. 71 1. 1 2 0. 62 アフ リカ 5 7. 0 4 71. 9 5 1 1 4. 2 7 1. 5 9 0. 1 0 アジア 3 9. 0 8 39. 2 4 0. 22 1. 0 3 0. 03

( 出典 :上に同じ)

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天然資源 とアジアの地域協 力

第 2 図 :地域別原油埋蔵量 ( 1 0 億バレル) 8 00

7 00 6 00 5 00 400 3 00 200 1 00 0

丁 : l i l

( 出典 :上 に同じ)

アジアの産油国 というと,イン ドネシア,マ レイシア,ブルネイ ・ダルサ ラームがす ぐに頭 に浮かぶ。 しかし現実には, これ らの うち生産が最大の イ ン ドネシアで も 0 5 年の世界計比で1. 4 %に過 ぎず, しか も 9 5 年の1 5 8 万バ レル /日か ら 1 1 4 万バ レル/日と,大幅 に減少 している。ブルネイは原油収入に よ る裕福 な国 とい う印象が強いが,生産量 自体は05 年で21 万バ レル/日と世界 計比で0. 2 5 % に過 ぎない。

消費の激増 によって純輸入国に転 じた とはいえ,アジア最大の原油生産国 は中国であ り ,05 年の世界計比は4. 4 7 % となっている。

多 くの天然資源で大国 と称 されるオース トラ リアも原油では位置づけが低 く,生産の世界計比は0. 68 %に とどまっている。

国別の埋蔵量 に 目を転 じる ( 第 4 表) と,アジアで最大は中国の1 6 0 億バ レルであるが,第 2位にはイン ド ( 5 9 億バ レル)が入 る。以下,イン ドネシ ア,マ レイシア,オース トラ リアが4 0 億バ レル台前半 に並ぶ。他方,統計で は欧州やロシア と同 じグループに組み込まれているが,中央アジアの埋蔵量 は極めて高 く, とくにカザフスタンは3 9 6 億バ レル 2 と,アジアの総計 と同水

2 これは,ロシアの7 4 4 億バ レルの半分強の水準であ り,またカスピ海沿岸の産油国 とし

て有名なアゼルバイジャン ( 7 0 億バ レル)の5. 7 倍である。

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第 4 表 :アジ了の国別原油生産 ・埋蔵量 ( 生産 :千バ レル/日,埋蔵量 :百万バ レル) 生産 ( 0 5 ) 同世界比 埋蔵 ( 05 ) 同世界比

豪州 5 5 4 0. 6 8 % 4 0 4 5 0. 3 4 %

ブル ネ イ 2 0 6 0. 2 5 % 1 1 2 0 0. 0 9 % 中国 3 6 2 7 4. 4 7 % 1 6 0 3 8 1. 3 3 %

イン ド 7 8 4 0. 9 7 % 5 "=ー 0. 4 9 %

イン/ドネシ ア 1 1 3 6 1. 4 0 % 4 301 0. 3 6 %

マ レイシア 8 2 7 1. 01 % 4 2 0 0 0. 3 5 %

( 出典 :上に同じ)

準の数字である。

なお,国別の統計で特異な存在 となっているのがカナダであ り,現時点の 生産は少ない ものの, 埋蔵量ではサウジアラビアに次いで世界第 2位である。

これは,いわゆるオイル ・サン ドを埋蔵量 に含めた場合であ り,含めない場 合は激減する。そのオイル ・サン ドか ら原油 を実際に採掘する技術は難 し く, 商業ベースで採算が とれる 目処 がたっている とは言いがたい。

世界の陸地 は,造 山運動 が中生代後期以降の新期造山帯,古生代の古期造 山帯,先 カンブ リア時代の安定陸塊の 3 種 に大別 される。原油は,摺 曲 ・断 層 な どの多い新期造 山帯またはその周辺での生産 が多い とされ る。確 かにベ ネズエラのマ ラカイボ湖や イランは新期造山帯に位置す るし,湾岸諸 国も新 期造山帯の周辺地域 と言える。他方で例外 も少な くない。例 えばナイジ ェリ

アは新期造山帯か らははるかに離れている。そ してアジアは,環太平洋造 山 帯 とアルプス ・ヒマラヤ造 山帯の 2つの新期造山帯を有 しているにもかかわ らず,スマ トラ島やカ リマンタン島な ど一部 を除いては,原油には恵 まれな い地域 となっている。

(2 )鉄鉱石

鉄鉱石の国別埋蔵量 を見 る と,アジア諸 国は第 3 位 ( 中国 ,1 3. 1 %) ,第

5 位 ( オース トラ リア ,9. 4%) ,第 8 位 (イン ド ,4. 1 %) を占めるが,や

(7)

天然資源とアジアの地域協力 7 5

は りそれ以降はなかなか現れない。なお,旧ソ連諸国は大 きなシ ェアを占め るてお り,具体的にはウクライナ ( 1 8. 8 %) ,ロシア ( 1 5. 6 %) ,カザフスタ ン ( 5. 2 %) が挙げ られる( 第 5 表) 0

第 5 表 :世界の鉄鉱石埋蔵量上位国

埋蔵量の対世界比率( %)

ブラジル 1 4. 4

豪州 9. 4

中国 1 3. 1

インド 4. 1

ロシア 1 5. 6

ウクライナ 1 8. 8

アメリカ 4. 3

カナダ 1. 1

南アフリカ 0. 6

スウェーデン 2. 2

ベネズエラ 2. 5

カザフスタン 5. 2

( 出典 :米国内務省 " Mi ne r a lCo mmo d i t ySumma r i e s2 0 0 5"より作成)

鉄鉱石は,安定陸塊, とくにその うちの楯状地 に多 く存在す るとされる。

実際,世界最大の産 出国であるブラジルには広大なブラジル楯状地が広がる し,カナダ楯状地 にはメサ ビ鉄 山が存在する。アジアでは,イン ドに広大な イン ド楯状地が広が り,オース トラ リア西部 も楯状地地域が多いが,いずれ も大規模な鉄 山を有 している。

(3 ) クロム

クロムは高級鋼材な どの用途 に使用 され,仮 にその 日本への供給 が 3 割減 少する と, GDP が 6% 減 るとの試算がある。

生産 は一部の国に偏在 してお り,南アフ リカが世界の半分弱を占める。ア ジアではイン ドが突 出している。なお,中央 アジアのカザフスタンは世界第

2 位である ( 第 6 表) 0

埋蔵量ではカザフスタンが圧倒的に第 1位であ る。

(8)

第 6 表 世界のクロム生産 ・埋蔵量上位国

生産の対世界比率 ( 0 4 年, %) 埋蔵量の対世界比率 ( 形)

南アフ リカ 47. 1 1 2. 3

カザフスタン 1 8. 8 35. 8

( 出典 :米国内務省 " Mi ne r a lCo mmodi t ySummar i e s2 00 5" よ り作成)

( 4 ) タングステン

タングステンは超硬工具や鉄鋼添加剤な どに使用 され る。

生産 は中国が 8 割強を占めているが,アジアでは他に 目立 った生産国はな い ( 第 7 表) 0

埋蔵量でも中国が圧倒的で 6 割強を占め,やは り他のアジア諸国は上位 に 名を連ねていない。その他の地域ではカナダ とロシアがそれぞれ 1 割弱を占 め る。

第 7 表 世界のタングステン生産 ・埋蔵量上位国 生産 ( 03 , %) 埋蔵量 ( 形)

中国 85. 2 62. 1

ボ リビア 7. 1 1. 8

ロシア 6. 3 8. 6

カナダ 4. 4 8. 9

( 出典 :米国内務省 " Mi ne r a lCo mmodi t ySumma r i e s2 0 05" より作成)

一般 にレアメタルは,安定陸塊 に多 く存在する とされ る。個別品 目によっ て例外 も多 々あるが,た とえば南アフ リカは国全体が安定陸塊である。

3. アジアをめ ぐる地域協力枠組みと天然資源

(1 )地域協力の枠組み

今 日,国際連合, WTO( 世界貿易機関) ,I MF( 国際通貨基金)とい った世

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天然資源 とアジアの地域協力 7 7

界規模の国際機関のほか,一部地域の国のみをメンバー とする地域協 力機構 が重要性 を増 しつつある。 その代表格 が欧州の EU であろ うが,アジアに

もい くつかの枠組みが存在する。

アジアの代表格は東南アジアの AS EAN と言 え よう。加盟 国は現在 1 0 を 数 え,具体的にはタイ,マ レイシア,シンガポール,フ ィリピン,イン ドネ シア,ブルネ イ,ベ トナム,カンボジア,ラオス,ミャンマーである。 さら に近年,日本,中国,韓国を加えて AS EAN+3 とい う枠組みがで きている 。 A

SEAN+3 は,財務大臣会合における通貨スワ ップ協定や債券市場構想 に代 表 され るように,短期間の うちに具体的な成果を挙げるほどの しっか りとし

た枠組み とな りつつある。

アジア主要 国を含む環太平洋地域の枠組 みが APEC であ り, メンバーは

2 1 を数 える。具体的にはオース トラ リア,ニ ュージーラン ド,パプア ・ニ ュー ギニア,タイ,マ レイシア,シンガポール, イン ドネシア,フ ィリピン,ブ ルネイ,ベ トナム,中国,香港,台湾,韓国, 日本,ロシア,カナダ,ア メ リカ, メキシ コ,ペルー,チ リであ る。 APEC は世界第 1位 ,第 2 位の経 済大国,BRI Cs の うちの 2 カ国を擁 するな ど総体 としては極 めて大 きな経 済力を有する一方で,政体の相違や経済力格差 も顕著であ り,相対的にゆる やかな枠組み と位置づけるのが適切であろう。

他方で内陸では上海協力枚構 が 2 0 0 1 年 に設立 された。 メンバーはカザフス タン,ウズベキスタン,キルギス,タジキスタン,ロシア,中国である。中 央 アジアが地理的な軸ではあるが, 主要 メンバーはロシア と中国 といえよう。

また,オブザーバー国 としてイラン,イン ド,パキスタン,モンゴルが名を 連ねている。

アジアで最 も新 しい協力の枠組みは東アジア首脳会議であ り, AS EAN+

3 にイン ド,オース トラリア,ニ ュージーラン ドを加えた1 6 カ国がメンバー である。

将来的には,東 アジア共 同体 を創設 す る方 向で検討 が始 まってお り,大

(10)

いに注 目され る ところであ る。 どの ような機能 を もたせ るかは今後徐 々に 話 し合 われてい くであろ うが,そ もそ もメンバーがまだ定 まっていない。

AS EAN+3 の 1 3 カ国は可能性が高いが, これ らに限定するか,あるいはイ ン ド,オース トラ リア,ニ ュージーラン ドを加えるか,で意見が分かれてい る。

(2)天然資源の取扱い

これ らの枠組みが天然資源 について どの ような取扱いを しているか,を概 観する。

AS EAN+3 と APEC ではエネルギー大臣会合が存在 し,持続可能性,省 エネルギー,流通な どについて協議を行 っている。

東アジア首脳会議では,第 1 回会合 ( 05 年 1 2 月)の際のクアラルンプール 宣言において,エネルギー安全保障を含む幅広い分野に焦点を当ててい くこ

とが盛 り込まれた。

他方,上海協力機構は,資源大国をメンバー,オブザーバーに含む ものの, 目立 った動 きは見えに くい状況 にある。

4. 長期的な協力体制の方向性

既述の とお り,アジアでは AS EAN+3 が最 も有力な地域協 力の枠組み と して機能 しつつある。その メンバーを再掲す ると,タイ,シンガポール,マ レイシア,フ ィリピン,イン ドネシア,ブルネイ,ベ トナム,カンボジア, ラオス, ミャンマー, 日本,中国,韓 国の 1 3 カ国である。では,仮にこの 1 3

カ国をコア とする資源面での協力が長期的に構築可能だ として,さらにどの ような国々を加 えることが有効であろうか。以下では,オース トラ リア,イ ン ド,カナダについて考えてみる。

オース トラ リア とイン ドは, ともに鉄鉱石の生産 ・埋蔵の大国である。 ま

たイン ドのクロム も特筆 に値する。既述の とお り鉄鉱石や レアメタルは安定

(11)

天然資源 とアジアの地域協 力 7 9

陸塊に多 く存在するが,安定陸塊は各大陸に幅広 く見 られる。すなわち,ア フ リカのほ とん ど,南北アメリカの東半分,ロシアの西部 とシベ リア中央部 は,いずれも安定陸塊である。 ところがアジアはご く一部の地域に安定陸塊 が偏在 している状況 にあ り,具体的には中国,朝鮮半島,イン ド,オース ト ラ リアであ り,その他ではわずかにベ トナムの一部な どが該当する くらいで ある。また,イン ドの原油は過小評価 されがちであるが,埋蔵量がイン ドネ シアやマ レイシアよ りも多いことも特筆で きる。 こうした ことか ら,オース トラ リア とイン ドを協力体制 に加えることは大 きな意義 を有す ると考 えられ る。

カナダは,タングステンや,説明は省略 したがインジウムな どのレアメタ ルに富むはか,オイル ・サン ドの潜在力 もある。 したがって,協力の枠組み に加 えることが有効である と考 えられる。

以上 か ら,オース トラ リア,イン ド,カナダが有力な候補国 となる。す る と,東アジア共同体のメンバー としてオース トラ リア,イン ド,ニ ュージー ラン ドを加えるか否 かが焦点の一つである と記 したが,少な くとも資源の面 ではかな り積極的に解すべ きと結論付け られ るのではなかろうか。他方でカ ナダを加える とした ら,既存の枠組みでは APEC が考 え られ るが,そのゆ るやかな枠組みが今後 も継続 される とした ら,む しろ二国間な どのア ドホ ッ クな関係を複合的に組み合わせ ることの方が現実的 とも考 えられる。具体的 には,アメリカに次いでカナダ第 2位の輸出先である日本や,先進国である こと,広大な国土,人 口密度の低 さな どの共通性か らお互いの理解度が指摘 されるオース トラ リアが期待 され よう。

5 .おわりに

資源の開発は,政治的な力学の影響を受けやす く,また,いわゆるメジャー

のプレゼンス も高い。 したがって,ひ とくちに協 力体制の構築 といって も,

(12)

す ぐに大 きな威力を発揮す るとは限 らない。 しか しなが ら,資源問題のイン パ ク トの強さか らして,ある程度の方 向性は明確 に持つべ きであると思われ る。本稿では,その一つの考 え方を示すことが最大の 目的であった。なお, 資源開発 には環境問題や労働問題な どの側面がか らんで くることも大切な点

として指摘 しておきたい。

( 参考記事 :本文 中に明記 した ものを除 く)

・日本経済新聞平成 1 8 年 9 月 8日

・日本経済新聞平成 1 9 年 3 月 21 日

参照

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