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風洞実験風ノイズレベル L wind 推計式の構築

第2章 風洞実験に基づく風ノイズレベル L wind 推計式の構築 2.1 はじめに

2.3 風洞実験風ノイズレベル L wind 推計式の構築

風洞実験により得られたデータを基に風ノイズレベル 推計式の構築を試みる.

風洞実験では,平均風速 をコントロールでき安定的な実験が可能である反面,実験時 の乱流強度 は気温,湿度,乱流格子の設置状況等により目標値と必ずしも一致するとは 限らない(表 2-3).これらを考慮すると同一条件下におけるデータを使用し,推計式を構築 することが望ましい.また,2010 年度の風洞実験では,屋外測定における実用性に配慮し,

乱流強度 を 9.28 %まで高めており,これらの状況を総合的に判断し,2010 年度の風洞 実験で得られたデータを基に風ノイズレベル 推計式を構築することとした.

推計式の構築にあたっては,物理的な意味は持たないが簡便性を優先し,風洞実験値に 対し誤差分散が最小となる近似式をカーブフィッティングにより作成した.風洞実験は,平均

風速 を 1 m/sから1 m/s間隔で大きくしながら5 m/sまで行った.また,それぞれの平均

風速 ごとに乱流強度 を 1.90 %,3.98 %,6.45 %,9.28 %と変化させ実施している.

そのため,平均風速 と乱流強度 の組合せは,20通りとなる.

推計式作成の手順として,第一に風洞実験により得られた 20 通りの風ノイズレベル の周波数分析結果を乱流強度 及び平均風速 ごとにプロットし図化する.

第二に,汎用数値・図形プロセッサー(本研究では㈱エバ・グリーン製の「活図」を使用)に より,誤差分散が最小となるよう風ノイズレベル 実験値にカーブフィッティングさせて近 似式を得る.

2.3 風洞実験風ノイズレベルLwind推計式の構築

40 本実験では,式(11)を近似式として仮定した.

ここで,風ノイズレベル は,周波数ごとの風ノイズレベル[dB], は周波数[Hz]で ある.

第三に,近似式を基に 20 とおりの風ノイズレベル 実験値の回帰分析を行い,曲線 回帰式を得る(図 2-8).この曲線回帰式から得られた係数 , , の値を表 2-4に示す.

第四に,曲線回帰式の係数 , , と乱流強度 の関係をみるため図 2-9を作成する.

本論文では,各係数と乱流強度 には相関性がみられることから,直線回帰で近似する こととした.

係数 , , の直線回帰式を式(12)~式(14)に示す.

ここで, 及び は,乱流強度 を変数とする を求めるための係数.同じく 及び は,乱流強度 を変数とする を求めるための係数.さらに 及び は,乱流強度 を変数とする を求めるための係数である.

第五に,式(12)~式(14)における係数 , , , , , と平均風速 の関係をみる ために図 2-10を作成する.係数 , , , , , は,係数 , , と同様に,直線 回帰で近似した.

以上の結果,風洞実験データより作成した風ノイズレベル 推定式を式(15)に,それ

ぞれの係数を式(16)~式(21)に示す.

, , b

ただし,

このように実験値からカーブフィッティングにより求めた近似式を基に,得られた曲線回帰 式から係数 , , ,を求め,さらに乱流強度 及び平均風速 を変数とし整理すると,風 ノイズレベル 推計式を作成することができる.

風洞実験により得られた風速を用い,風ノイズレベル を推計した結果を図 2-11に,

測定値と推計値の相関係数を表 2-5に示す.

平均風速 が1 m/sで乱流強度 が6.45 %のカテゴリーでは,相関係数が0.12となっ ており相関が弱いものの,その他のカテゴリーでは0.53以上の相関係数で,正の相関または 強い正の相関となっている.