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フィールド実験風ノイズレベル L wind 推計式の整合性検証

第3章 フィールド実験用風ノイズレベル計に基づく風ノイズレベル L wind 推 計式の構築

3.4 フィールド実験風ノイズレベル L wind 推計式の整合性検証

図 3-7に地表粗度区分別の推計式により求めた平均化時間 1 秒間隔の風ノイズレベル 推計値と測定値の時系列変動を示す.それぞれの推計式から得られた風ノイズレベ ル 推測値は,測定値と概ね対応している.また,図 3-8に測定値と風ノイズレベル

3.5 まとめ

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推計値の関係を散布図で示す.フィールド1及びフィールド2の相関係数は,それぞ れ0.90と0.79で強い正の相関を示している.さらに,差の平均値は,フィールド1で-1.7dB,

フィールド 2 では-1.8dB でどちらも整合性が得られている.地表粗度区分で比較すると,相 関係数及び差の平均ともに地表粗度区分Ⅱに相当するフィールド 1 の整合性が良い.これ は,地表面のラフネス及び自然風の乱れの大きさが風ノイズレベル 推測精度に寄与し ているものと考えられる.

3.5 まとめ

本章では,低周波数帯における風洞実験風ノイズレベル 推計式の改善を目的と し,地表粗度区分の異なる二種類のフィールドにおける測定データを基にフィールド実 験風ノイズレベル 推計式の構築を試み,その作成手順を示した.複数のフィール ドでの測定を行うにあたり,フィールド実験の測定データが測定機器の配置に依存する ことを避けるため,超音波風速計と低周波音計を一体化させた測定装置を新たに開発し た.

新しい推計式について得られた知見は以下のとおりである.

1) フィールド実験風ノイズレベル 推計式は,風洞実験により得られた負のべき関数 とは異なる,対数型の数式を設定した.

2) フィールド実験風ノイズレベル 推計式の係数A及びBは,乱流強度 を二乗根 とする数式で表すことができる.

3) 係数A 及びB の回帰式は,平均風速 をパラメータとする二次又は一次式で表すこ とができる.

4) フィールド実験に基づき作成した地表粗度区分の異なる二つのフィールド実験風ノイズ レベル 推計式は,係数が類似傾向を示すとともに,推計精度も測定値に対し,地 表粗度区分Ⅱで0.90,区分Ⅲで0.79の相関係数となり,いずれも強い正の相関が示さ れた.

5) フィールド実験風ノイズレベル 推計式は,平均風速 が約10m/s以下,乱流強 度 は地表粗度区分Ⅱで約 30%,区分Ⅲで 60%の測定データから構築しており,風 洞実験風ノイズレベル 推計式と比較し,より広い適用範囲となった.

6) 風ノイズレベル計は,測定と同時に自動分析が行われ,1秒間隔の平均風速,乱流強 度及び周波数ごとの低周波音のデータ保存が可能なシステムである.また,本装置には

風ノイズレベル推計式を自在に組み込むことが可能なプログラムを実装しており,測定 と同時に風ノイズレベルが計算され評価時間1秒間ごとにデータとして格納される.

7) 風ノイズレベル計は,平均風速,低周波音及び風ノイズ推計値をリアルタイム表示でき,

また,一般的な騒音測定同様,容易に設置・測定可能なシステムである.

以上の結果,構築したフィールド実験用風ノイズレベル計に基づく風ノイズレベル 推 計式は,地表粗度区分,平均風速 及び乱流強度 のいずれにおいても,風洞実験風ノ イズレベル 推計式から改善され,より広い条件に適用可能な推計式となった.

また,フィールド測定を効率よく行うために,新たに開発製作した超音波風速計と低周波音 計を一体化した風ノイズレベル計により,低周波音測定が大いに効率よく推進できることにな った.