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正規部分群と準同型定理

ドキュメント内 代数系への入門 (ページ 72-75)

第 2 章 マグマ、半群、モノイド、群 28

2.4 群

2.4.13 正規部分群と準同型定理

群が半群やモノイドに比べて重要な理由はいくつかある。そのうちの一つは、上で見たよう に群においては「元の位数」というそれぞれの元の性質が、「群全体の位数」という全体の性 質と密接に関連していることが上げられる。

他の理由の一つに、「二項演算とコンパチブルな同値関係」というものが「正規部分群」と いう扱いやすい概念と本質的に同じ(注1.3.3)であるということが挙げられる。

まず、群準同型

f : (G1,◦1, e1)(G2,◦2, e2) が与えられたとき、fがどのように表せるかを見よう。

定義2.4.67. (G1,◦1, e1),(G2,◦2, e2)を群とし、f :G1→G2を群準同型とする。fによるe2 の逆像をfの核(kernel)といいKerfと書く。すなわち、

Kerf :=f1(e2) ={x∈G1|f(x) =e2}. 命題2.4.68. 上の状況で、a∼f b⇔a∼LKerf b.

証明.

a∼f b⇔f(a) =f(b)⇔f(a)1f(b) =e2⇔f(a1b) =e2⇔a1b∈Kerf.

2.4.69. 上でf が単射である必要十分条件は、Kerf ={e}であることである。

さて、一般に群準同型の核は部分群となるが、実は正規部分群と呼ばれる特殊な部分群と なる。

定義2.4.70. 群(G,◦, e)の部分群Hが正規部分群(normal subgroup)であるとは、

∀a∈G aHa1=H であること。

注意2.4.71. 上の定義を

∀a∈G aHa1⊂H

としても同値である。なぜなら、aHa1⊂Hであるが、このときaは任意であるからaの代 わりにa1をとると

a1Ha⊂H

2.4. 群 73 となるが、左からaを掛けて右からa1を掛けると

H⊂aHa1 となり、最初の包含関係と合わせて

H=aHa1 が言えるからである。

命題2.4.72. f :G1→G2を群準同型とすると、KerfG1の正規部分群となる。

証明. [S1]:

a, b∈Kerf ⇒f(a◦1b) =f(a)2f(b) =e22e2=e2⇒a◦1b∈Kerf.

[S2]: e1Kerfは[HC]f(e1) =e2から従う。

[S3]:

a∈Kerf ⇒f(a1) =f(a)1=e2 従ってa1Kerf.

以上より部分群。また、任意にg∈Kerfを持ってきたとき、

f(a◦g◦a1) =f(a)◦f(g)◦f(a)1=f(a)◦e2◦f(a)1=e2. よってaga1Kerf, すなわち

a(Kerf)a1Kerf.

上の注よりKerfは正規部分群となる。

群(G,◦, e)に対し、がその台集合上の演算とコンパチブルな同値関係であるとする。す ると、定理2.4.24により商群への商準同型

q:G→G/∼

が定義され、=qである。Kerq= [e]であるから、命題2.4.68より次の定理の前半が言える。

定理2.4.73. (G,◦, e)を群、とコンパチブルな同値関係とすると、H := [e]はGの正 規部分群であり、LHは一致する。従って

G/∼=G/H となる。

逆に、HGの正規部分群であれば、LHとコンパチブルな同値関係であり、

G/∼LH=G/H は群となり、q:G→G/Hは群準同型写像となる。

証明. 後半の、Hが正規部分群のとき、LHがコンパチブルなことのみ示せばよい。

a∼LHaかつb∼LH bならば、

(ab)1(ab) =b1(a1a)b = (b1b)(b′−1a1ab)∈H◦bHb′−1⊂H よりab∼LHab、ゆえにLHはコンパチブルとなる。

以上により、商群の定理2.4.24、well-definednessの定理2.4.30および群の準同型定理2.4.32 は次のように言い換えられる。

定理2.4.74. (G,◦, eG)を群とし、NGの正規部分群とすると、商写像 q:G→G/N

が群準同型となるような二項演算¯と0項演算e¯Gと単項演算()1G/N に定義される。

このとき、(G/N,¯◦,e¯G)をGN による商群といい、qを商準同型と言う。

定理2.4.75. (X,◦X, eX)を群とし、NXの正規部分群とする。q:X →X/Nを商準同型 とし、任意の群(Y,◦Y, eY)と任意の群準同型f :X →Y を考える。

群準同型h:X/N →Y であって、

f =h◦q なる性質をもつものが存在する必要十分条件は、

N Kerf

となることである。このとき、hはただ一つに決まる(しばしばf¯で表される。)

この状況をf¯がwell-definedであるという。

証明. 定理2.4.30からのただちの帰結である。

a∼LN b⇒f(a) =f(b) なる条件が、

a1b∈N ⇒f(a1b) =e と言い換えられ、N⊂Kerf と言い換えられるからである。

定理 2.4.76. (群の準同型定理) (X,◦X, eX)、(Y,◦Y, eY)を群とし、f :X →Y なる群準同 型が与えられたとする。f(X)⊂Yf によるXの像を表す。このとき、

1. f(X)はY の部分群である。

2. N := KerfXの正規部分群で、LNとコンパチブルな同値関係である。

3. f

X→q X/N f¯ Y なる合成となるようなf¯、すなわち

f = ¯f◦q

2.5. 環、体 75

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