3.3 “ 多項式関数 ” 、有理関数の連続性
11.1 イントロ (2 変数関数版 )
9◦ fe−1 が C1級であること。fe−1 のヤコビ行列 (fe−1)′(y) は f′(x) の逆行列であり、成分は Cramerの公式から、分母が detf′(x),分子は ∂fi
∂xj(x) の多項式として表現できる。これは y の関数として見て連続である。ゆえに fe−1 は C1級である。
11 陰関数定理
æ æ
-2 -1 0 1 2
-2 -1 0 1 2
図 3: a=−1
æ æ
-2 -1 0 1 2
-2 -1 0 1 2
図 4: a= 0
æ æ
-2 -1 0 1 2
-2 -1 0 1 2
図 5: a= 1
(5) (ヤコブ・ベルヌーイのレムニスケート, 1694年) F(x, y) = (x2 +y2)2−2(x2 −y2) のと
き、F(x, y) = 0 は、いわゆるヤコブ・ベルヌーイのレムニスケート (連珠形, 図 6) と呼
ばれる。F(x, y) = 0 は y についての 4 次方程式であるが、2次方程式を解くことを2回 行って、y について解ける。
-2 -1 0 1 2
-1.0 -0.5 0.0 0.5 1.0
図 6: ヤコブ・ベルヌーイのレムニスケート(x2+y2)2−2(x2−y2) = 0
(6) (デカルトの葉線, folium cartesii, 1638年) F(x, y) = x3+y3−3xy のとき、F(x, y) = 0 の定める曲線は、いわゆるデカルトの葉線で、原点において自分自身と交差する曲線であ る(図 7)。F(x, y) = 0 は y についての3 次方程式である。これはy について簡単に解く ことは…?出来ないと思ったら、Mathematica は答を返して来た。あ、そうか。でも使い にくそう。例11.4 (p. 85) を参照せよ。
余談 11.1 (Decartesの葉線の伝統的な描き方) 極座標を使うと、
r= 3 cosθsinθ cos3θ+ sin3θ という極方程式がすぐに得られる。あるいは y=tx として、
x= 3t
1 +t3, y= 3t2 1 +t3
という有理パラメーター表示も得られる。x+y=−1が漸近線になっている。
次のことが分かる。
-3 -2 -1 1 2 3
-3 -2 -1 1 2 3
図 7: Decartesの葉線 x3+y3−3xy= 0
• F によっては、F(x, y) = 0 を具体的な式変形で y について解くことは不可能である。
→ 抽象的な「存在定理33」が望み得るゴールとなる。
• 1つのx に 2つ以上の y が対応したり、逆に 1つも y がなかったりする。
→ 最初に F(a, b) = 0 を満たす点 (a, b) があったとして、その点の「近傍」で考えるこ とにする。とっかかりは要求することにする。(a, b)によってうまく行ったり行かなかっ たりする。
• 1つの x に複数のyが対応する場合も、注目している点を中心とした十分小さい範囲に 限れば、1 つのx に 1 つのy が対応するようになることもある。
→ a を含む開集合U, b を含む開集合V をとり、U ×V (イメージとしては窓枠、ウィ ンドウ) に考察を限定する、という方針が良さそう。
もっとも、どんなに小さい範囲にしぼってもダメなこともある(その点で曲線が自己 交差していたり、x について片側にしか対応する y がない)。うまく行くための十分条 件はないか?
→ 実は det∂F
∂y(a, b)̸= 0 という条件が満たされればOK, と後で分かる。
• 陰関数の導関数は (そもそも存在するかはすぐには分からないことであるが、存在する ならば)、合成関数の微分法で計算するのは簡単である。
例: x2+y2 = 1 より、2x+ 2y· dy
dx = 0 だから、dy
dx =−x y. 一般には、F(x, φ(x)) = 0 より、
∂F
∂x(x, φ(x)) + ∂F
∂y(x, φ(x))φ′(x) = 0 より φ′(x) =−∂F
∂y(x, φ(x))−1∂F
∂x(x, φ(x)).
33アナロジーとして、中間値の定理を思い出させる。