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特集 NIS 諸国と対外経済関係 試練にさらされる NIS 諸国の乗用車市場 ロシア NIS 経済研究所次長坂口泉 はじめに /26 1. ウクライナ /26 2. ベラルーシ /33 3. カザフスタン /36 4. ウズベキスタン /38 おわりに /40 はじめに NIS 諸国の乗用車市場でも

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NIS諸国と対外経済関係

はじめに/26 1.ウクライナ/26 2.ベラルーシ/33 3.カザフスタン/36 4.ウズベキスタン/38 おわりに/40

はじめに

NIS諸国の乗用車市場でも、リーマン・ショ ック以降不振が続いている。たとえば、ここ 数年市場が急拡大していたウクライナでは、 2008年秋のリーマン・ショックの後、新車の 販売台数が激減している。また、ウクライナ ほど極端ではないが、ベラルーシやカザフス タンでも、新車の販売台数が大幅に減少して いる。 本稿では、NIS諸国のうち、ウクライナ、ベ ラルーシ、カザフスタン、ウズベキスタンと いう4ヵ国を取り上げ、それぞれの自動車産 業ならびに乗用車市場の経済危機後の状況を 紹介する。その他、ベラルーシとカザフスタ ンの2ヵ国に関しては、ロシアとの関税同盟 創設に伴う乗用車の輸入関税率の変化が両国 の乗用車市場に及ぼす影響についても言及し たい。

1.ウクライナ

(1)市場の状況 販売動向 ロシアで乗用車販売台数といっ た場合、「新車販売台数+輸入中古車販売台 数」を意味することが多いが、ウクライナの 場合は、「新車販売台数+輸入中古車販売台数 +国内で転売される中古車の販売台数」を意 味することが多くなっている。もっとも、2000 年に関税率が大幅に引き上げられた関係で、 現在ウクライナにはほとんど中古車が輸入さ れていないので、同国の乗用車市場は事実上、 「新車」と「国内で転売される中古車」の2 つの部門で構成されていると考えてよい。 ウクライナの乗用車市場、つい最近まで順 調に拡大していた。特に新車の販売増が著し く、2002年には10万台強であったものが2007 年には54万台を突破した。2008年も10月まで は販売が好調であったが、11月以降減少し始 め、それまで5万台前後で推移していた月間 販売台数が2009年2月にはついに1万902台 にまで落ち込んだ。そして、それ以降2009年 年末まで1万~1万5,000台/月の水準が続い た。その結果、2009年の通年の新車販売台数 は前年比74%減の16万2,291台にとどまった。

試練にさらされる

NIS諸国の乗用車市場

ロシアNIS経済研究所 次長 坂口 泉

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表1 ウクライナの乗用車市場のカテゴリー別内訳 (単位 台) カテゴリー 2005 2006 2007 2008 2009 新車 輸入中古車 国内転売中古車 265,475 7,074 372,020 371,019 9,042 402,730 542,332 6,189 450,693 623,252 4,954 455,446 162,291 2,790 337,886 合 計 644,569 782,791 999,214 1,083,652 502,967 (出所)ASMホールディング。 表2 ウクライナの乗用車(新車)市場におけるブランド別販売台数 (単位 台) ブランド名 2008 2009 増減率、% AvtoVAZ(LADA) 現代 AvtoZAZ シボレー トヨタ Chery 起亜 三菱自動車 シュコダ 日産 ホンダ 大宇 Geely VW ルノー フォード マツダ ダチア スズキ オペル スバル メルセデスベンツ レクサス 双竜 セアト 105,103 45,625 32,416 51,970 32,946 27,718 24,881 44,849 28,435 21,680 16,313 50,530 13,403 13,917 4,115 11,874 10,386 14,238 6,728 13,140 6,227 4,988 5,328 4,275 2,900 32,447 13,202 9,379 9,375 8,560 8,483 8,036 7,430 6,653 5,911 5,038 4,843 4,671 4,667 3,512 3,349 3,328 3,006 2,881 2,337 1,956 1,401 1,296 1,289 1,248 ▲69.1 ▲71.1 ▲71.1 ▲82.0 ▲74.0 ▲69.4 ▲67.7 ▲83.4 ▲76.6 ▲72.7 ▲69.1 ▲90.4 ▲65.2 ▲66.5 ▲14.7 ▲71.8 ▲68.0 ▲78.9 ▲57.2 ▲82.2 ▲68.6 ▲71.9 ▲75.7 ▲69.9 ▲57.0 ウクライナ全体 623,252 162,291 ▲74.0 (出所)Russian Automotive Market Research。

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表3 ウクライナの新車市場におけるモデル別販売台数 (単位 台) モデル名 2008年 2009年 増減率、% 1.現代アクセント 2.ZAZラノス 3.シボレー・アベオ 4.LADA-2110 5.LADA-2107 6.LADA-2115 7.LAD-21099 8.ZAZ-1103 9.シボレーNubria 10.現代タクソン 11.LADA-2111 12.LADA-2170Priora 13.ダチア・ロガン 14.Geely CK 15.起亜Cerato 16.GAZ 3302 17.トヨタ・カムリ 18.三菱ランサー Ⅹ 19.大宇ラノス 20.Chery Jaggi 21.シュコダ オクタヴィア 22.シュコダ オクタヴィアA5 23.トヨタ Corolla New 24.ホンダ CR-V 25.LADA-2172 Priora 14,593 20,202 33,252 4,228 14,669 11,234 15,334 11,294 11,567 12,473 8,243 12,506 14,019 8,142 6,054 6,944 7,774 11,316 35,581 2,563 10,552 6,875 7,565 5,176 2,505 5,631 5,265 5,159 4,565 4,315 3,256 3,192 3,103 2,923 2,821 2,682 2,671 2,632 2,627 2,579 2,327 2,323 2,320 2,296 2,260 2,233 2,124 1,938 1,852 1,788 ▲61.4 ▲73.9 ▲84.5 8.0 ▲70.6 ▲71.0 ▲79.2 ▲72.5 ▲73.7 ▲77.4 ▲67.5 ▲78.6 ▲81.2 ▲67.7 ▲57.4 ▲66.5 ▲70.1 ▲79.5 ▲93.6 ▲11.8 ▲78.8 ▲69.1 ▲74.4 ▲64.2 ▲28.6 (出所)Russian Automotive Market Research。

表4 2009年のウクライナ市場での価格帯別新車販売状況 価格帯 (ユーロ) 2008年 販売台数 シェア (%) 2009年 販売台数 シェア (%) 販売台数 増減率 (%) 4,000未満 4,000~6,500 6,500~10,000 10,000~15,000 15,000~22,000 22,000~35,000 35,000以上 11,294 111,369 165,929 124,720 116,239 57,148 36,553 1.8 17.9 26.6 20.0 18.7 9.2 5.9 3,105 28,672 40,018 33,421 31,759 15,614 9,702 1.9 17.7 24.7 20.6 19.6 9.6 6.0 ▲72.5 ▲74.3 ▲75.9 ▲73.2 ▲72.7 ▲72.7 ▲73.5 合 計 623,252 100.0 162,291 100.0 ▲74.0 (出所)Russian Automotive Market Research。

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2010年に入ってから状況はさらに悪化して おり、1月、2月と2ヵ月連続で月間の新車 販売台数が1万台を割り込んだ1)。このよう な新車市場の極端な不振の原因としては、① 世界的経済危機の影響を受けウクライナのマ クロ経済状況が悪化し、市民の可処分所得が 減少した、②リーマン・ショック以降、自動 車ローンの利用が困難となった、③グリブ ナ・レートの下落の影響を受け新車の価格が 全般的に上昇した(ウクライナで生産される 車の場合、外国製の部品の比率が高いので、 このことは輸入車のみならず国産車の価格の 上昇にもつながった)等を挙げることができ る。 一方、中古車市場に目を転じると、2009年 の販売台数は前年比26%減の約34万台となっ ており(表1)、新車市場と比較するとはるか に堅調であった。中古車市場が比較的好調で あった理由としては、①市民の購買力の低下 の影響を受け割安感の強い中古車の人気が高 まった、②自動車ローンを支払えず銀行に没 収された車が中古車市場に大量に流出した、 ③中古車の場合、現金で購入する人が多く、 自動車ローンの問題の影響が比較的軽微であ った、等が考えられる。 ブランド別の新車販売動向 ブランド別の販 売台数は表2のとおりだが、トップ3は低価 格モデルを主力とするLADA、現代、ZAZの3 ブランドにより占められている。LADA車の 中で最もよく売れたのは、ウクライナ国内で 生産されている2110であった。以下、21093、 2115(サマラ)、21099と続いているが(表3)、 これらのうち21093と21099もウクライナ国内 で生産されている。現代車の中で最も売れた のは、ウクライナ国内で生産されているアク セントで、2009年の現代車の総販売台数の約 43%を占めた。以下、タクソン(2,821台)、ソ ナタ(1,252台)、ゲッツ(863台)、サンタフェ (699台)、エラントラ(632台)と続いている が、このうちタクソンとエラントラは現地生 産モデルである。ZAZブランドの中で最も良 く売れたのはラノスで、以下ZAZ-1103「タヴ リア」(3,103台)、センス(1,011台)と続いて いる。 日本ブランドの中で最も上位に位置するの は、カムリ(2,323台)、新型カローラ(1,938 台)、ランドクルーザー・プラド(902台)、オ ーリス(818台)、RAV4(777台)、アベンシス (699台)等の売れ行きが好調であったトヨタ で、5位に入った。その他、ベスト15以内に 入っている日本メーカーの主力モデルの顔ぶ れは以下の通りとなっている。三菱自動車(第 8位);ランサーⅩ(2,320台)、アウトランダ ーXL(1,139台)、ランサー(897台)、パジェ ロ(878台)、L200(日本名はトライトン、607 台)。日産(第10位);ティーダ(1,462台)、ア ルメーラ・クラシック(962台)、キャシュカ イ(913台)、X-Trail(692台)、ノート(635台)。 ホンダ(第11位);CR-V(1,852台)、アコード (1,663台)、シビック(943台)。 価格帯・タイプ別 2009年は新車市場の規模 自体は大幅に縮小したが、価格帯別の販売動 向に関しては劇的な変化は見受けられず、 2008年同様に6,500~1万ユーロの価格帯の車 のシェアがトップを占め、その後に1万~1 万5,000ユーロの車が続いた(表4)。 車のタイプ別に見ると、Cセグメントカーの 人気が最も高く全体の52.44%を占めた(ロシ アの専門誌『アフトビジネス』の情報)。以下、 SUV:18.5%(中でもコンパクトSUVの人気が 最も高く新車市場全体の8.05%を占めた)、B セグメントカー:14.68%と続いた。ロシア同 様にAセグメントカーの人気は低く、そのシェ アは1.98%にすぎなかった。

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その他、2009年に販売された新車の国別の 状況を見ると、韓国ブランドのシェアが最も 大きく21.4%に達した。第2位は日本ブランド で20.8%のシェアを獲得した。以下、EU: 19.4%、ロシア:18.3%、ウクライナ:9.3%、 中国:9.1%と続いた。 自動車ローンをめぐる状況 ロシアの調査会 社「Russian Automotive Market Research」によ れば、2006~2007年には約60%、2008年には 33%であった自動車購入の際のローン利用率 が2009年には5%にまで低下したとされてい る。 その主因は、銀行側が融資の条件を厳格化 したことにある。たとえば、それまでは銀行 側が要求する頭金の平均は販売価格の3割で あったが、2009年に入りそれが価格の7割に まで上昇した。金利も、2009年の初めには平 均で27~30%にも達した。その他、自動車ロ ーンを取り扱う銀行の数自体が減少したこと や、不況の中で消費者のローン利用意欲が減 退したこともローン利用率の大幅低下を生ん だ要因だと考えられる。 ただ、2009年の後半になり徐々に状況は改 善されてきており、自動車ローンの取り扱い を復活させる銀行の数が増加している他、金 利も全般的に低下しはじめている。もっとも、 将来に対する不安感からか、今のところ消費 者のローン利用意欲に回復の兆しは見えてお らず、自動車ローン市場の停滞は続いている ようである。 自動車ディーラーをめぐる状況 主要ブラン ドの中で最もディーラー数(店舗数なのか企 業数なのかは不明)が多いのはZAZセンス(チ ャンス)で、2010年3月末時点の総数は156に 達 し て い た ( Russian Automotive Market Research社資料)。以下、LADA:122、Chery: 117、現代:91、シボレー:90、GAZ:60、起 亜:59等となっている。日本メーカーのディ ーラー数は、三菱自動車:47、トヨタ:34、 ホンダ:28、マツダ:28、スズキ:21、日産: 10等となっている。主要ブランドのディーラ ー数が最も多い地域はキエフ市で、その数は 169にも達する。以下、ドネツク州:105、ド ネプロペトロフスク州:86、ハリコフ州:60、 ザポロジエ州、ルガンスク州各53、クリミア 自治共和国、オデッサ州、ポルタヴァ州各51 等となっている。 なお、ウクライナでも、ロシア同様に銀行 から資金を借り入れ積極的に事業を拡大して いた自動車販売会社を中心に状況が悪化して おり、ある情報によれば、2008年時点で約1,300 であった自動車販売会社の数が2009年夏時点 で 約 1,000 に ま で 減 少 し た と さ れ て い る (Delfi.ua、2009.8.12)。 新車の輸入関税率 WTOへの加盟に伴い、 ウクライナでは2008年5月中旬より移行期間 が設けられることなく、新車の輸入関税率が 25%から10%に一挙に引き下げられた。しか し、乗用車市場の状況が悪化し始めた2008年 秋ごろから、ウクライナの国内メーカーが新 車の輸入関税率を引き上げることを求めるロ ビー活動を開始した。このロビー活動は功を 奏し、2009年3月6日から6ヵ月間、新車に 対し23%の暫定輸入関税率が適用されること となった。景気の悪さもあいまってこの間、 新車の輸入はほとんど行われなかったが、そ のことが乗用車の国内生産の活性化につなが ることはなかった。国内自動車メーカー側は、 2009年9月以降も23%の関税率を継続して適 用することを要請していたが、WTOによる是 正勧告もあり現在は10%の関税率が適用され ている。

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表5 ウクライナの乗用車生産台数の推移

(単位 1,000台) 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 生産台数 17 26 44 98 174 192 267 380 406 64 (出所)2000~2008年はウクライナ統計国家委員会。2008年と2009年はRussian Automotive Market Research。

表6 ウクライナの主要メーカー別乗用車生産台数 (単位 台) メーカー名 2008 2009 増減率、% AvtoZAZ ボグダン KrASZ エヴロカー VIPOS 258,145 87,328 25,036 35,892 67 42,623 14,386 3,738 3,564 - ▲83.5 ▲83.6 ▲85.1 ▲90.1 - 合 計 406,468 64,311 ▲84.2 (出所)Russian Automotive Market Research。

(2)ウクライナの主要乗用車メーカー ウクライナの乗用車生産部門は一時、輸入 中古車の攻勢に苦しみ瀕死の状態にあったが、 2002年ごろから急激に活性化し、2008年には 生産台数が40万台を突破した(表5、表6)。 ただ、2009年は経済危機の直撃を受け生産量 が激減し、2002~2003年の水準にまで落ち込 んだ。2010年に入り状況はさらに悪化してお り、1~2月期の生産台数は前年同期比57.9% 減の4,800台にとどまった。非常に厳しい状況 に直面しているウクライナの主要自動車メー カーの概要と現状を以下で紹介しておく。 ウクルアフト 1969年に設立された会社で、 AvtoZAZ(ザポロジエ自動車工場)、イリイチ ョフスクの自動車組立工場(年間生産能力4 万台。現在はAvtoZAZの支部という位置づけ になっている)、10の自動車部品工場、ポーラ ンドの自動車メーカー「FSO」、200以上のサ ービスセンターを傘下におさめている。さら に、同社はオペル、起亜、Cheryのウクライナ におけるオフィシャルディストリビューター であると同時に、ディーラーとしてLADA、 ルノー、日産、トヨタ、クライスラー、ジー プ、メルセデスベンツといったブランドの車 を取り扱っている(販売店の総数は約400)。 AvtoZAZでは、かつて複数のオリジナル・ モデルが生産されていたが、2007年にタヴリ アというモデルの生産が中止されたのを皮切 りに(ただし、ピックアップ・タイプのタヴ リアの生産は続けられている)、ほとんどのオ リジナル・モデルの生産が中止され、現在は 小売販売価格が4,000ドル前後のスラヴタとい うモデルだけが生産されている。このモデル も本来は2008年末で生産が打ち切られるはず であったが、経済危機の影響で低価格車に対 する需要が高まるとの経営陣の判断に基づき 生産継続が決定し、2009年には3,866台が生産 された。同工場(イリイチョフスク工場を含 む)では、その他、シボレー/大宇(12モデ ル)、オペル(5モデル)、LADA(3モデル)、 Chery(5モデル:2006年末から生産開始)、

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起亜(8モデル)といった多数の外国ブラン ド車も生産されているが、主力はシボレー/ 大宇のラノス(ZAZセンス、ZAZチャンスを 含む)で2009年には2万6,546台が生産された。 ちなみに、これは同年のAvtoZAZの生産台数 の約62%に相当する。また、シボレー車と LADA車も3,000台以上生産された。一方、オ ペル車とChery車の生産は不振で、前者の生産 台数は前年比99.1%減の122台、後者のそれは 99.1%減の230台にそれぞれとどまった。その 他、2009年に生産が開始された起亜車の生産 台数は4,337台に達した。 ウクルプロムインベスト ウクルプロムイン ベスト(ボグダン)はウクライナ有数の大富 豪で政治家でもあるポロシェンコが率いる企 業グループで、自動車生産部門、自動車部品 生産部門(ウクルアフトザプチャスチという 会社が統括)、農業部門(アグロプロドインベ スト社が統括)、造船・機械製造部門(レーニ ンスカヤ・クズニツァ社が統括)、製菓部門 ( ROSHEN 社 が 統 括 )、 ビ ー ル 生 産 部 門 (RIDNAマルカ社が統括)等で構成されてい る。自動車部門はボグダンという会社が統括 しており、第1自動車工場(旧ルツク自動車 工場)、第2自動車工場、第3自動車工場、チ ェルカスィ・バス工場、複数の自動車販売会社 等を傘下におさめている。 第1自動車工場(旧ルツク自動車工場)は ソ連時代から存在する工場で元々はオリジナ ルの小型SUVを生産していた。ウクルプロム インベストの傘下に入った2000年ごろから UAZとLADAのモデルのSKDを開始し、その 後現代車と起亜車のSKDも開始した。さらに、 2005年からはバスとトロリーバスの生産も開 始された。2007年時点の同工場での乗用車の 生産台数は5万3,919台で、ブランド別の内訳 は起亜車が1万7,990台、現代車が1万6,348台、 LADA車が1万9,581台となっていた。2008年 6月に下記の第2工場が稼動を開始した後、 第1工場では乗用車のSKDは中止され、現在 はバスとトロリーバスだけが生産されている (年間生産能力は8,000台)。 第2自動車工場は2008年6月より稼動を開 始した新しい工場で、チェルカスィに所在す る。同工場では、現在、LADA2110、現代のタ クソン、エラントラ、アクセントのCKD方式 での生産が行われている。2009年の生産台数 は1万4,386台であった(工場の年間生産能力 は12万~15万台)。なお、ボグダン傘下の工場 では2008年末まで起亜車の生産が行われてい たが、起亜との契約切れに伴い現在は生産が 中止されている(既述のとおり、2009年から はウクルアフト傘下のAvtoZAZで起亜車の生 産が開始されている)。 第3自動車工場も2008年9月から稼動を開 始した新しい工場で、やはりチェルカスィに 所在する。年間生産能力1万5,000台の同工場 では、いすゞの小型および中型トラックの SKDが実施されている。ロシアのASMホール ディング発表の数字によれば、2008年の同工 場でのトラックの生産台数は2,000台となって いる。 チェルカスィ・バス工場はソ連時代に稼動 を開始した工場で、かつてはロシアのPAZ(パ ヴロヴォ・バス工場)のバスの修理やGAZの カゼリの生産などを行っていた。1990年代末 にウクルプロムインベストの傘下に入ってか らオリジナル車の生産に取り組むようになっ た。現在は、いすゞのシャーシをベースとし たボグダンA092というモデルとA093という モデルを生産している。 その他、ボグダンは自動車販売部門も有し ており、オフィシャルディーラーとして現代、 LADA、スバル、いすゞ等の車を取り扱って いる。

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ユーロカー 非公開株式会社「ユーロカー」 は、オレグ・ボヤリンという人物が率いる持 ち株会社「アトル・ホールディング」の傘下 に入っている会社。同社が保有する工場は、 2001年にドイツのVWの技術支援を受けて完 成した近代的な工場で、スロバキアおよびハ ンガリーとの国境近くのザカルパチエ州ソロ モノヴォ村の自由経済ゾーン「ザカルパチエ」 に所在する。同工場では、2001年末にシュコ ダ車の試験生産が開始され、2002年春から量 産に移行した。その後、2003年秋からはVW車、 2006年秋からはセアト車の生産がそれぞれ開 始された。そして現在は、シュコダとVWブラ ンドの複数のモデルが生産されている。同工 場の生産台数は、2005年:1万1,193台、2006 年:2万1,391台、2007年:約3万台、2008年 3万5,892台と順調に増加していたが、経済危 機の影響もあり2009年の生産台数は前年比 90.1%減の3,564台にとどまった。なお、持ち 株会社「アトル・ホールディング」は、非公 開株式会社「ユーロカー」の他に、有限会社 「ユーロカー」(シュコダのオフィシャルディ ストリビューター)、「フォルムラ・モトル・ ウクライナ」(セアトのオフィシャルディスト リビューター)、「アフト・ツェントル・キエ フ」(シュコダのディーラー)等多数の自動車 販売関連企業を傘下におさめている。 AIS AIS(アフトインベストストロイ)は、 国会議員のドミトリー・スヴャタシとワシー リー・パリャコフが率いる企業グループで、 KrASZ(クレメンチュグ自動車組立工場)の 他、ロシアの複数のブランドの自動車の輸 入・販売会社、シトロエンおよびアウディ車 の販売会社、双竜およびGeely車の輸入会社等 を傘下におさめている。KrASZでは、2000年 ごろからLADA車、GAZ車、UAZ車が生産さ れていたが、2005年下半期からは後者の2つ のブランドの生産が中止され、その代わりに LADA車の生産が強化された。また、同じ頃 に韓国の双竜車および中国のFAW車の生産が 少量ではあるが開始された。さらに、2007年 からは中国のGeely車とGreat Wall車の生産も 開始されている。2004年から2008年までは生 産台数が2万台前後で推移していたが、2009 年の生産台数は前年比85.1%減の3,738台にと どまった(2009年にはGeely、双竜、Great Wall の車だけが生産された模様)。なお、経済危機 の影響を受けAISの財務状況は急激に悪化し ており、現在債権者との間で様々なトラブル が生じているようである(『Delo』紙、2010.4. 14)。 VIPOS ランボルギーニ車の販売会社、ア ウディ車の販売会社、ベントレー車の販売会 社、中国のBAW車の輸入会社等を傘下におさ める企業グループ。ヘルソンに所在する工場 で2007年よりアウディ車のSKDを開始してい る。2008年には67台のアウディ車(アウディ A6とQ7)が組み立てられたが、2009年以降生 産が停止されたままとなっている。

2.ベラルーシ

(1)市場の状況 輸入動向(市場規模) ベラルーシの場合、 国内の乗用車生産部門が脆弱なので乗用車の 輸入台数と市場規模がほぼ同一だと考えて差 し支えない。ベラルーシの貿易統計によれば、 同国の乗用車の輸入台数は2004年:8万8,700 台、2005年:13万1,300台、2006年:15万7,000 台、2007年:18万400台、2008年:19万9,900 台、2009年:16万3,500台となっている。ただ、 これは中古車も含めた数字で、新車の比率は 2008年時点で12%強にすぎなかった。ベラル ーシの乗用車市場のもうひとつの特徴は、個

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人による輸入が非常に多いという点である。 2005年時点では乗用車の輸入全体に占める個 人の割合が実に99%にまで達していた。しか し、2006年ごろに法人と個人に適用される輸 入関税率を同一にする措置が導入されて以降 (それまでは法人に適用される輸入関税率の 方が高かった)、徐々に法人による輸入の割合 が増加しており、2009年1~9月期時点では 51.3%に達していた。法人による輸入の主な相 手国はドイツで、2009年1~9月には同国か ら1万8,300台が輸入された。以下、フランス: 1万3,700台、日本:5,200台となっている。一 方、ロシアからの輸入台数は激減しており、 2009年1~9月期の同国からの輸入台数は前 年 同 期 の 約 3 分 の 1 の 983台にと どまった (『アフトビジネス』誌、2009.9-10)。 新車市場の状況 外国新車(ロシア・メー カーの車を除く)の販売台数は、2004年:4,190 台、2005年:4,919台、2006年:1万20台、2007 年:1万7,678台、2008年:2万5,296台と伸び ていたが、経済危機の影響を受けローンの金 利が大幅に上昇したことなどで、2009年は1 万7,336台にまで落ち込んだ(大手ディーラー のアトラントM社資料)。外国新車市場で最も 人気の高いブランドはVWで、2009年時点での シェアは21.5%に達していた。以下、トヨタ: 15.7%、ルノー(ダチア):5.9%、プジョー: 5.3%、マツダ:5.2%、三菱自動車:5%、フ ォード:4.1%、シュコダ:3.5%、現代:3.2%、 大宇:3.1%、起亜:2.9%、メルセデスベンツ: 2.6%、アウディ:2.1%、ボルボ:1.8%、シボ レー:1.7%となっている(アトラントM社資 料)。モデル別の販売台数については2008年の 数字しか入手できなかったが(表7)、VWが 圧倒的な強みを発揮しており、ベスト10に5 つも同社のモデルが入っている。その他、ト ヨタやマツダのモデルの健闘も目立つ。 表7 ベラルーシにおける 外国モデル別新車販売台数 (単位 台) モデル名 2007 2008 VW パサート ダチア・ロガン 大宇マチス VW トゥアレグ トヨタ・カローラ VW キャディー マツダ3 VW ジェッタ VW ポロ トヨタ・カムリ マツダ6 起亜シード VW トゥラン シュコダ・オクタビア Great Wall Hover VW Caravelle VW Crafter シュコダ・ファビア VW ゴルフ トヨタ・オーリス 643 864 844 259 477 364 449 278 334 528 216 137 465 346 127 292 131 287 233 168 1,543 1,014 1,004 838 716 671 648 568 560 548 535 443 441 408 395 369 367 361 355 345 (出所)アトラント M。 (2)生産の状況 ベラルーシではトラックやバス生産部門は 比較的発達しており、MAZ(ミンスク自動車 工場)の他、MAKT(ミンスク・トレーラー ヘッド工場)、BelAZ(ベラルーシ自動車工場)、 MOAZ(モギリョフ自動車工場)、NEMAN等 の複数のメーカーが大型トラックもしくはバ スの生産を行っている。2009年のベラルーシ のトラック生産台数は2,479台、バスのそれは 353台となっている。ただ、乗用車部門は未発 達だ。現在、ベラルーシで稼動している乗用 車工場はベラルーシ・英国合弁企業「ユニゾ ン」(旧フォード・ユニオン)2)だけとなって いる。同工場では2006年よりイランのホドロ

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社のSamandというプジョー405をベースとし たモデルのSKDが行われているが、同モデル の市場での人気は芳しくなく、生産台数も 2007年:239台、2008年:240台、2009年:127 台とごく微量にとどまっている。 (3)関税同盟が与える影響 2009年11月末にロシア、ベラルーシ、カザ フスタンの3ヵ国の大統領が署名した関税同 盟創設の合意文書に従い、2010年1月1日か ら対外関税率が統一され、乗用車を含む約9 割の品目にロシアの関税率が適用されること になった。また、2010年7月1日からはロシ アとベラルーシ国境での税関検査が廃止され、 1年後にはロシアとカザフスタン間でも廃止 されることになっている。その他、2010年1 月中旬に関税同盟委員会が、工業アセンブリ ー措置(一定の条件を満たして生産を行う自 動車工場に対し供与される優遇関税措置。具 体的には、乗用車生産のために輸入される部 品に対し0~5%の特恵関税率が適用され る)の適用対象となる工場のリストを発表し ているが3)、そこにはベラルーシのユニゾン とカザフスタンのアジア・アフトも含まれて いた。 関税同盟をめぐるこれらの動きの結果、ベ ラルーシの乗用車市場では様々な変化が生じ ようとしている。以下で、それらの今後予想 される変化のうちの主なものを紹介しておく。 第1に、輸入関税率がロシアの関税率に統 一された結果、ベラルーシの乗用車の法人向 けの輸入関税率は2010年1月1日より大幅に 引き上げられることになった(表8)。法人が 車齢5~7年、排気量2,000ccの乗用車を輸入 する場合、2009年末までは800ユーロだった輸 入関税が2010年1月1日以降は4,300ユーロに 達することになる。また、2万ユーロ、2,000cc の新車の輸入関税は、1,400ユーロから6,000ユ ーロに上昇することになる。恐らく、今後ベ ラルーシの関税同盟域外からの乗用車輸入台 数は新車・中古車とも大幅に減少することに なるであろう。そのかわりに、主としてロシ アからの新車および中古車の移入量が急増す るものと予測される。 表8 2009年末時点のロシアとベラルーシの乗用車輸入関税率比較 車齢 排気量(cc) ロシアの関税率(法人) ロシアの関税率(自然人) ベラルーシの関税率 3年未満 1,500未満 30%(ただし1.45ユーロ/cc 以上でなければならない) 54%(ただし3.5ユーロ/cc 以上でなければならない) 0.6ユーロ/cc 1,800~2,500 30%(ただし2.15ユーロ/cc 以上でなければならない) 54%(ただし5.5ユーロ/cc 以上でなければならない) 0.7ユーロ/cc 3~5年 1,500~1,800 35%(ただし1.5ユーロ/cc 以上でなければならない) 2.5ユーロ/cc 0.4ユーロ/cc 1,800~2,300 35%(ただし2.15ユーロ/cc 以上でなければならない) 2.7ユーロ/cc 0.4ユーロ/cc 5~7年 1,800~2,300 4ユーロ/cc 4.8ユーロ/cc 0.4ユーロ/cc 2,500~3,000 4ユーロ/cc 5.8ユーロ/cc 0.6ユーロ/cc (出所)『ヴェードモスチ』紙、2009.11.23。

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第2に、理由は定かではないが、関税同盟 委員会は、個人(自然人)に関しては、2010 年7月1日まで従来の低い関税率で乗用車を 輸入することを許可するとの決定を下した。 この奇妙な決定の結果、恐らく、今後7月1 日までに個人により大量の乗用車がベラルー シに持ち込まれることになるであろう。その 大半が中古車であろうが、新車も相当数輸入 されるのは確実で、外国新車のディストリビ ューターやディーラーは大きな打撃を受ける ことになるかもしれない。また、ロシアとの 国境での税関検査が廃止される7月1日以降、 低い関税率で輸入されたそれらの車が大量に ロシア市場に流入する可能性も考えられる。 すなわち、個人による乗用車の大量輸入はベ ラルーシ市場のみならずロシア市場にも大き な混乱をもたらす可能性が存在する4) 第3に、輸入関税率の大幅上昇と工業アセ ンブリー措置の(9ヵ月間の暫定的)適用の 結果、ベラルーシ唯一の乗用車工場「ユニゾ ン」での生産が活性化する理論上の可能性が 存在する。実際に、同工場では不人気のSamand 以外のモデル(起亜のモデルの名前が取りざ たされている)の生産が検討されているよう である。しかし、同工場が正式に工業アセン ブリー措置の対象工場になるには、塗装ライ ンと溶接ラインを装備し、かつ生産能力を2 万5,000台/年にまで増強する必要があるが、 現状ではそれらの条件をクリアするのは困難 だと判断される。

3.カザフスタン

(1)市場の状況 輸入動向(市場規模) カザフスタンにはア ジア・アフトという乗用車組立工場が1つ存 在するが、生産台数が非常に少ないので、同 国の乗用車市場もベラルーシ同様にもっぱら 輸入車により構成されている。したがって、 カザフスタンの場合も、輸入台数=市場規模 と考えてほぼ間違いない。カザフスタンの乗 用車の輸入台数(=市場規模)の推移を見る と2007年:約30万台、2008年:約15万5,000台、 2009年:約12万台となっている(Russian Auto- motive Market Research社資料)。2008年に数字 が急激に悪化しているのは、カザフスタンで は他のNIS諸国よりも早く世界的経済危機の 影響が出始めたためである。輸入される乗用 車の内訳を見ると、8割以上が中古車となっ ている。しかも、輸入される中古車の大半は 車齢7年以上の古い車により占められている。 ロシアの自動車専門誌『アフトビジネス』 によれば、2009年のオフィシャルディーラー 経由の新車販売台数(ロシア車含む)は、前 年比51.5%減の1万7,878台だったとされてい る。市場の約15%が、オフィシャルディーラ ー経由で販売される新車により占められてい ることになる。その他、カザフスタンでは今 も新車の並行輸入数がかなり多くなっており、 市場全体の5%程度を占めているものと推測 されている。 ブランド別の新車販売動向 カザフスタンの 新車市場で最も人気の高いブランドはロシア のLADAであるが、2009年は販売台数が大幅 に落ち込み前年の約3分の1の3,681台にとど まった。2位のトヨタの販売台数も前年の半 分以下の3,006台にとどまった。第3位はロシ アのUAZであるが、同ブランドの販売台数は 前年比約40%減の2,328台であった。第4位に 入った三菱自動車の場合は、ディストリビュ ーターのロルフ(正確には同社の関連会社の RIKOM-KAZ)が積極的な販売促進策を打ち出 したこともあり、ほぼ前年並みの2,073台の販 売台数を維持することに成功した。5位以下 のブランドを列挙すると、5位:大宇(1,403

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台)、6位:日産(675台)、7位:シボレー(668 台)、8位:VW(664台)、9位:現代(653 台)、10位:シュコダ(563台)となっている。 トヨタ、三菱自動車、日産以外の日本のブラ ンドでは、11位にスバル(473台)、12位にス ズキ(434台)が入っている。ロシアでは人気 の高いフォード、起亜、ルノー、オペル等の カザフスタン市場での売れ行きは芳しくなく、 いずれも100台未満の販売台数にとどまった。 モデル別の新車販売動向 売れ行き上位10 モデルの顔ぶれを見ると、ロシア製のモデル の存在感が圧倒的に強くなっており、5モデ ルがベスト10入りしている。ロシアでは人気 が高いとは言いがたいUAZのUAZ315という SUVが2,225台の売上げを記録して第1位に入 っている他、2位にLADA2107(1,257台)、3 位にLADA-NIVA(1,051台)、8位にLADA- Priora(532台)、9位にLADAサマラ(481台) が入っている。日本メーカーのプレゼンスも 非常に高く、5位にトヨタ・カローラ(664台)、 6位に三菱アウトランダーⅡ XL(635台)、 7位にトヨタ・ランドクルーザー・プラド(561 台)、10位にトヨタ・カムリ(458台)が入っ ている。また、売上げ11~20位のモデルの中 には、三菱パジェロ(454台:11位)、トヨタ・ ランドクルーザー200(440台:12位)、スズキ・ グランドビターラ(385台:13位)、三菱ラン サー(311台:16位)、三菱L200(日本名はト ライトン:263台:18位)、トヨタ・アベンシ ス(262台:19位)といった日本メーカーのモ デルが入っている。列挙したモデルの顔ぶれ からもわかるとおり、カザフスタンではロシ ア以上にSUVの人気が高いようである。 主要販売会社 カザフスタンの主要な販売 会社は、LADA、UAZ、シボレー、起亜等を 取り扱うBIPEK-Avto(後述のアジア・アフト の親会社)、VW、アウディ、ポルシェ、三菱 等を取り扱うメルクル・アフト、トヨタ、日 産、スバル、現代、BMW等を取り扱うアスタ ナ・モータース、トヨタを取り扱う豊田通商 カザフスタン・オートの4社で、新車市場に おけるシェアの合計は8割近くに達している。 4 社 以 外 の 大 手 販 売 会 社 と し て は 、 RIKOM-KAZ(三菱自動車のオフィシャルディ ストリビューター)、三菱、スズキ、大宇、フ ィアット、双竜等を取り扱っているAllur Auto、 UAZを取り扱っているヴィラジュ等の名前を 挙げることができる。 (2)生産の状況 現在カザフスタンで稼動している自動車工 場はBIPEK-Avto傘下の「アジア・アフト」だ けとなっている。同工場はウスチ・カメノゴ ル ス ク に 所 在 し 、 2002年末から AvtoVAZの SUV「NIVA」のSKDを開始している。その後、 アジア・アフトは、LADAサマラ、シュコダ・ オクタビア、シュコダSuperb、シボレーの3 モデル等のSKDも開始し、さらに2010年中に シュコダのYetiや起亜のモデルのSKDを開始 することを計画している(その他、UAZのSUV のSKDを開始することも検討されている模 様)。ただ、生産モデルの数は増えているもの の総生産台数は伸び悩んでおり、ピークだっ た2007年でも6,000台強にすぎなかった(アジ ア・アフトの設計生産能力は4万5,000台/年)。 経済危機の影響が出始めた2008年以降は状況 がさらに悪化しており、2009年1~11月期の 生産台数はわずか691台にとどまった(『エク スペルト・カザフスタン』誌、2010.2.11)。当 然ながら業績も悪化しており、2008年、2009 年と2年連続で大幅な赤字となった。また、 2010年1月には2007年に発行した社債の償還 に失敗し、倒産するのではないかとの憶測も 出た。ただ、同社の場合、カザフスタン唯一

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の自動車工場ということもあって政府からの 支援が期待できるので、最悪の事態は回避で きるだろうとの見方が優勢となっている。ま た、既述のとおり、2010年1月中旬に関税同 盟委員会がアジア・アフトにも工業アセンブ リー措置を暫定的に適用することを発表した が、このことを契機にアジア・アフトへの投 資が活性化する可能性が存在する。塗装ライ ンと溶接ラインを導入しないと、早晩工業ア センブリー措置の適用対象から除外されてし まうからだ。 (3)新工場建設の動き 2009年12月に、アグロマシホールディン グ・カザフスタン社、自動車販売会社「Allur Auto」、および、韓国の自動車メーカー「双竜」 の3社は、アグロマシホーロディングが保有 するコスタナイのディーゼル・エンジン工場 に1,600万ドル以上を投下して乗用車組立ライ ンを設置し、双竜車の生産を開始するという 計画を発表した。2010年下半期にも生産が開 始され、同年中に1,000台が生産される予定と なっている。さらに、5年後には年間7,500台 の車が生産される見込みとなっている。新工 場では当面、Kyron(中型のSUV、小売販売価 格は2万990ドル~)、Actyon(コンパクトSUV、 1万9,500ドル~)、Rexton(大型SUV、2万 7,500ドル~)の3モデルが生産される予定で ある(Allur Auto社HP)。 (4)関税同盟が与える影響 カザフスタンの乗用車の輸入関税率は、こ れまではロシアのみならずベラルーシと比較 しても低かった。具体的に言えば、車齢10年 未満の乗用車の関税率は10%に(ただし排気 量1cc当たり0.1ユーロ以上でなければならな い)、10年以上の乗用車の関税率は15%にそれ ぞれ設定されていた5)。それが、2010年1月 からは、表8に示したロシアの関税率が適用 されることとなった。排気量2,000cc、車齢5 ~7年の乗用車を法人が輸入した場合、2009 年末までは200~800ユーロ程度だった関税額 が、2010年1月以降は実に8,000ユーロに跳ね 上がることになる。これでは中古車ビジネス は成り立たなくなるであろう。恐らく、今後 は(在庫がなくなった後は)ロシアやベラル ーシから流入する中古車がカザフスタンの中 古車市場の核を形成することになるのではな かろうか。一方、新車市場の方は比較的裕福 な人々をターゲットにしていることもあり、 中古車市場ほど深刻な影響を受けないと思う が、それでもやはりロシア製の車のプレゼン スが今後高まる可能性が高いと判断される。

4.ウズベキスタン

(1)生産の状況 ウズベキスタン唯一の乗用車メーカーであ るGMウズベキスタンは、1996年にウズベキス タンの「ウズアフトサノアト(ウズベキスタ ン自動車協会)」と韓国の大宇自動車の対等出 資で設立された(当時の名称はUZ-Daewoo)。 大宇破綻後はウズアフトサノアトが大宇側の シェアを買い取り株式の100%を保有してい たが、2007年末にGMが資本参加し新会社「GM ウズベキスタン」が設立され現在に至ってい る。GMウズベキスタンの自動車組立工場(年 間生産能力25万台、従業員数約6,000人)はア クサイ市に所在するが、その周辺には合弁の 部品工場が10以上存在し、組立工場に部品を 供給している。その関係で、部品の現地調達 率は非常に高くなっており、2009年秋時点で 60%に達していたといわれている(『アフトビ ジネス』誌、2009.11-12)。その他、2008年末 にウズアフトサノアトとGMは小型エンジン を生産する合弁企業を設立し、2009年初めよ

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表9 GMウズベキスタンのモデル別生産量 (単位 台) モデル名 2006 2007 2008 2009 ネクシア マチス ダマス その他 74,089 49,375 15,731 885 84,179 63,576 20,843 3,211 95,027 70,144 24,510 5,357 90,650 69,130 23,633 21,598 合 計 140,080 171,809 195,038 205,011 (出所)ASM ホールディング。 り工場の建設を開始している。工場は2011年 春に完成し、年間36万個のエンジンを生産す る予定となっている(従業員数は1,200人に達 する見込み)。 GMウズベキスタンの生産台数は2003年ま では3万~5万台前後で推移していたが、そ れ以降は生産台数が継続的に増加しており、 2009年にはついに年産20万台を突破した(表 9)。 GMウズベキスタンの主力モデルは、Cセグ メントのセダン「ネクシア」、Aセグメントカ ーのマチス、小型ワンボックスカーのダマス の3つだが、2005年春からラセッティ(Cセグ メントのセダン)、タクマ(コンパクトカー)、 エピカ(Eセグメントのセダン)、キャプティ バ(SUV)のSKDも開始された。後者の4モ デルのうちラセッティに関しては、2009年よ りCKDへの移行が行われ、同年の生産台数は 前年の約14倍の1万9,400台に達した。その他、 2010年半ば以降に「M300」というコードネー ムで呼ばれている小型車のCKDが開始される 予定となっている。このモデルは最盛期には 年間5万台生産される予定となっている(う ち2万台が輸出される見込み)。 ウズベキスタンでは、GMウズベキスタンの 他、商用車を生産している工場が2社存在す る。1社はウズアフトサノアト傘下のサマル カンド自動車工場(年間生産能力4,000台)で、 2008年5月より日本のいすゞのシャーシをベ ースとしたバスとトラックのSKDを行ってい る(2008年の生産台数は、バスが1,556台、ト ラックが444台となっている:上掲『アフトビ ジネス』誌)。もうひとつは、2008年より稼動 を開始した「シュツルマン・セルビス」とい う ロ シ ア ・ ウ ズ ベ キ ス タ ン 合 弁 工 場 で 、 KAMAZやUralのシャーシをベースとした特 殊車両の生産が行われている。 (2)輸出の状況 2008年秋までは、GMウズベキスタンで生産 される乗用車の6割前後は、ロシア、ウクラ イナ、アゼルバイジャン等に輸出されてきた。 2008年4月を例にとれば、同月の同社の販売 台数1万8,383台のうち1万1,259台が外国市 場向けであった。ところが、リーマン・ショ ック以降、輸出が激減した。たとえば、2008 年11月の輸出台数はわずか1,065台にとどまっ た。その後も、月間輸出台数が2,000台前後の 状態が続き、ついに2009年半ばごろからGMウ ズベキスタンは輸出実績を発表しなくなった。 ウズベキスタンの経済状況を勘案すると国内 販売も不振である可能性が高いのだが、GMウ ズベキスタンが生産調整を行っている気配は ない。一部情報によれば、需要が低迷してい るにもかかわらず生産量を落とさなかったこ とが原因で、GMウズベキスタンでは保管場所

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に困るほど大量の在庫が生じているとされて いる(『エクスペルト・カザフスタン』誌、2009.9. 7)。 (3)国内市場の状況 ウズベキスタンではGMウズベキスタンを 保護するために従来から極端に高い輸入関税 率が導入されている。排気量2,000ccの新車を 例にとれば、関税額は通関価格の20%+1cc 当たり2ドルに設定されている。その他、1 cc当たり2.9ドルの物品税、20%の付加価値税、 通関価格の0.2%の通関手数料を支払う必要が あり、実質の関税率は100%を超えてしまう。 中古車にも同様の関税が課せられることにな っており(中古車の関税率は30%+1cc当た り3ドル)、いわゆる「遠い外国」からウズベキ スタンに乗用車を輸出することは極めて困難 となっている。このため、同国の新車市場に おける輸入車(その大半がロシア製の車)の シェアは10%未満で、残りはすべてGMウズベ キスタン社の車により占められている。2009 年の数字は入手できなかったが、2008年のGM ウズベキスタン社の国内販売台数は8万3,423 台となっている(ASMホールディング発表の 数字)。

おわりに

その規模から判断して、今回紹介した市場 の中で日本企業にとって最も重要な意味を持 つのは、やはりウクライナ市場であろう。同 市場では、まだ底が見えない状況が続いてい るが、自動車ローンをめぐる状況が改善され てきているので、2010年後半になれば販売に も明るい兆しが見え始めるのではなかろうか。 ただ、2009年に入ってからの新車の販売の落 ち込み幅があまりにも大きすぎるので、新車 市場の規模が経済危機以前の状況に戻るまで には少なくとも数年は必要になるであろう。 カザフスタンの場合は市場規模こそ小さい が、日本車の人気が高く、日本メーカーにと って無視できない存在だと思われる。輸入関 税率の上昇が気になるところだが、日本車を 購入するのは富裕層の人々に限定されている ので、その影響はそれほど大きなものにはな らないと予測される。ベラルーシは日本メー カーにとってあまり魅力的な市場ではないか もしれないが、輸入関税率が時間差をつけて 変更されるという事実が、個人による乗用車 の輸入動向にどのような影響を及ぼし、さら にそのことがロシアの乗用車市場にどのよう な影響を及ぼすのかという点には注意を向け る必要があるのではなかろうか。この点につ いては当方でもトレースを続け、適時に情報 をご提供できればと考えている。

【注】

1)ただし、最新の情報(autostat.ru、2010.4.22) によれば、3月の販売台数は前月比54.4%増の1 万2,643台と比較的好調であった。 2)フォード・ユニオンでは1997年春よりフォー ド・トランジットとエスコートの生産が行われて いた。ただ、販売が伸び悩んだことなどもあり 2001年にフォードはこのプロジェクトから撤退 した。 3)このリストはどうも大急ぎで作成されたものの ようで、その内容にはいくつかの不可解な点が見 受けられる。たとえば、このリストにはPSAと三 菱自動車の工場が含まれていない(『ヴェードモ スチ』紙、2010.2.9)。これは明らかなミスであろ う。その一方で、全く動きがなく一般には凍結さ れたとみなされているボグダンのニジェゴロド 州でのプロジェクト、GAZのMaxus生産プロジェ クト、サラトフ州でポーランドの会社のマイクロ バスを生産するというプロジェクトなどが含ま れている。

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4)市場での混乱を回避するため、ロシア政府が何 らかの形でベラルーシからロシアへの車の移入 を阻止するのではないかとの憶測も出ている。た だ、もしそのような措置が実施されれば、関税同 盟の存在意義が問われることにもなりかねない ように思われる。 5)カザフスタンでは2007年1月から右ハンドル車 の輸入が禁止されているが、筆者はそのころに車 齢10年以上の中古車の輸入も禁止されたと誤っ て認識し、そのことをレポートに書いたことがあ る。間違った情報をお伝えしたことをお詫びする。 なお、10年以上の車齢の乗用車には従量税に関す る規定(具体的には、「ただし1cc当たり~ユー ロ以上でなければならない」という規定)は適用 されておらず、通関価格を過少申告すれば非常に 安い関税額で車を持ち込むことが可能になって いたものと推測される。

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