カキ果実の発育期における果皮の微細構造の季節的変化-香川大学学術情報リポジトリ

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香川大学虔学部学術報告 第38巻 第2号 95∼101,1982

カキ果実の発育期における果皮の微細構造の季節的変化

中僕 利明,本馬 昭晴,葦浄 正義

ULTRASTRUCTURAL CHANGES OF FRUIT SURFACE

OFKAKI(か∫0鼠Py斤OS∬A麒rLINN.f.)

THROUGH DEVELOPMENTAL PHASE

ToshiakiCHUJO,AkiharuHoNMAandMasayoshiAsHIZAWA

Ultrastructuralchangesoffruitsurfaceofkakithruoghthedevelopmentalphase wereinvestigat−

edbyascanningelectron microscopeforbothearlyandlateripeningvarieties,Izu andFuyu,reSpeC− tively”In the middle ofJune,WaXy bloom appeared as tiny ball−1ike structurein both varieties

The bloom developedgraduallyinto tube−1ike structure andin the end ofJuneit covered the entire

Surfaceofthefruit$”The waxybloom maturedinmid−July tomid−August and developedinto thin

notched waxleaflets.Many unicellular and unbranched hairs were formed on the fruit surfaceofthe

early ripeningVarietyIzu,but notin thelate ripeningvariety Fuyu.The hairs were broken away fr’Om the surface as fruitsenlarge,and many scarswerelefton the fruitsurface.The formationof

polygonaicrac’ks wasinitiatedat the sites of scars。InIzuvariety,CraCksincuticularlayer were formedin mid一・September andfound to be net−1ike structure,butin Fuyu the cracks were observed

to be a brokenline toward the end ofSeptember..The sitesofcrackswere apparently risen and the CraCks were王bund to reachinto subepidermalcells.

カキの早生種の伊豆と晩生種の富商の果実の発育期に.おける果皮の微細構造の季節的変化を走査電子顕微鏡を用 いて調査した 果粉は両品種ともに6月中旬に康皮に小さい円形の塊状に.形成され,次第に発達して−6月下旬に.は表皮の全面に 密生し,先端がやや丸味をおび,7月中旬にはさらに薄片状となって−8月中旬にキクの発状を呈した 伊豆の果皮に.は多数の毛が生えており,濱有では認められなかった 毛は果実の肥大につれて表皮から脱落して 毛じ痕となり,周辺にき裂が拡大し■てこ多角形のき裂となった 果皮のき裂は伊豆でほ9月中旬に発生して網の目状に,富有では9月下旬に発生して−破線状に発達した,き裂部 は明らかに隆起しており,藩表皮細胞にまで達していた 緒 言 さきに,カキの富有種の成熟果の果皮の微細構造について走査電子顕微鏡を用いて観察したところ,朱橙色に着 色して果粉で覆われて外観的に無傷の果実であっても,クチクラ,表皮細胞または亜表皮細胞に達したき裂が無数 に認められ,これが果皮の部分的黒変の一・次的常田であろうと推論した(5〉. 本報はカキ果実の果皮に多数の毛が存在する早生種の伊豆とまったく毛が存在しない晩生種の富有について, 1976年度に幼果期から成熟期までの間における果皮の微細構造の季節的変化を走査型電子顕緻銃を用いて観察した 結果を述べる 実験材料および方法 供試材料としては本学部構内の実験圃場のコンクリt−・トポツト(内径55em,深さ50em)に植栽の伊豆および 富有の着果樹,各5樹に結実↓た果実を用いた

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香川大学農学部学術報告 第33巻 第2号(1982) 96 果実の肥大は両品種とも開花20日後の6月18日に正常な果形で発育中庸な果実を各30果を選びラベルを付仇キ ャリ′く−で10日ごとに果径を測定した.同時に別の果実を各10果採取して平均果重を求めたのち,果皮の微細構造 の観察に供した. 果実の赤道部の果皮をほぼ5×5mmの面積を薄く剥反し,アルミ試料台に木工用ボソドを用いて接着し,接着 剤の乾燥を確かめてAuイオンをスパッタリング被覆した.果皮の微細構造の走査電顕像は明石MSM−4S型 (加速電圧25kv,傾斜角0∼350)を用いて観察した. 実 験 結 果 1.果実の肥大 伊豆および富有の果実の肥大は第1図のとおりである.両品種ともに果実発育第Ⅰ期,Ⅰ期の肥大はほとんど差 がみられなかった.果実発育第Ⅲ期の肥大は早生種の伊豆で9月上旬から横径生長および果実重の増加が旺盛とな り10月上旬に成熟した.一方,晩生種の富有では9月中⊥下旬から旺盛な肥大を示し,伊豆より遅れて第Ⅲ期に達 し,11月中旬に成熟した. 6/18 7/8 28 8/17 9/6 26 10/2611/5 月 日 第1図 伊豆および官有の果実の肥大曲線 2.果粉の形成 伊豆における果皮の果粉の形成,発達の過程ほ第2図のとおりである. 果実の横径が約20mmに肥大した6月18日の果面は表皮細胞の形状が明らかに認められた(2−A).すなわち, 果面は表皮細胞の隆起部と接合部の溝がみられるうねり構造が認められた.その表面に小さな円形の塊状のワック スの形成が認められた.6月28日にはワックスが表皮から密生して果粉状を示し,その先端はやゝ丸味を帯びた形 状を呈した(2−B).そして,7月18日には果粉がさらに生長し薄片状となり,先端が尖り(2−C).8月17日には果 粉が一層薄片化して先縁に裂刻を生じ(2−D),成熟期の果粉とほぼ同じ形状を呈した. 富有の果粉の形成,発達の様相もほぼ伊豆と同じ傾向であった. 3.毛および毛じ痕 伊豆の果皮には第3図−A,Bに示すとおり,多数の毛が生じている.果実の部位別にみるとへタに近い基部に は幼果期から成熟期まで認められ,その密度は1,700本/cm2であった.果頂部および赤道部では7月8日にすで

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中條利明,木馬昭汁駁 撃滞正義:カキ果皮の微細構造 97 雛2図 伊豆の果皮の果粉の形成,発達の産衣電解像 A.6月18日 B.6月28日 C.7月18日 D.8月17日 に毛が脱落した毛じ痕が多数に認められ(3−C),毛の密度は300本/′cm2といちじるしく減少していた. 毛の脱落の過程をみると,7月上旬に多数の毛じ痛が認められたことから(3−C),毛の脱落は開花直後から果実 の肥大につれて起こるものと思われる. 毛の脱落は毛の基部と表皮組織との間に間隙を生じ,さらに,拡大して,毛の基部から折れたり(3−D,E),あ るいは,毛の基部から抜け落ちた(3−F)毛じ痕となって,表皮に深い陥没部を生ずる. 富有ではほとんど毛が認められないので,毛じ痕も認められなかった. 4.果皮のき裂 早生種の伊豆の果皮のき裂は第4図に示すとおりである.すなわち ,9月16日に認められ(4−A),50陪で表皮 細胞にまで達しているのが認められ,クチクラのひび割れの時期はもっと早いものと考えられる.その後,き裂は 周辺に拡大して網のl蓑】状を呈する(4−B).それを拡大すると,き裂の探さはクチタラ層,表皮兼備から亜表皮細胞 にまで達している(4−C). −一方,秋季まで鬼面に毛が存在しているものにはその基部からき裂が拡大して周辺に及んだもの(4−D),ある いは,先述の毛じ痕が拡大して多角形のき製(4−E,F)が認められた.この毛じ痕の拡大した多明灘き裂が伊豆 で認められている黒点状の汚染果の原因となることが考えられる. 晩生種の富有の果皮のき裂ほ第5僕】のとおりである.すなわち,き裂は9月26日に認められ,伊豆よりも10日遅 れて発生した(5−A).この初期のき裂はクチクラ層にとどまっていて表皮細胞に達してない(5−B).10月6日に は表皮細胞に達するき釦こ発達した(5−C). 果皮の断面をみると二1正常な表皮はクチクラ層,M一層の表皮細胞および2−3層のj拒表皮細胞,さらに石細胞から 成っている(5−D).き裂部位ではき製部が明らかに隆起しており(5一軋F),蓑皮細胞が二次分裂を生じ,皮目の 畷充細胞様細胞の発達が認められた(5−E). 果皮のクチクラの厚さを夏季と成熟時に調べた結果は第1表のとおりで工業皮の部位でみると,基部がやや厚く,

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また,富有が伊豆よりも厚い傾向がみられた 考 察 カキの幼果期の表皮のうねり構造は表皮細胞の表面の形状が表われたもので,傍島ら($〉の松本早生富者の成放と −・致した カキの果粉につい・ては幼来期にすでに白いワックスの形成を肉眼的に認めるところであるが,その微細構造を観 察した報告はないハ 果粉は果皮一席に腐生して,薄片状でその先縁が尖り,裂刻を生じてその形態をほぼ完成し,成熟期のキクの葉

状の薄片状果粉(5〉に近い形状となると考えられる.農薬,ことに乳剤の散布後に・は果粉の先緑が丸味を帯びた形に

なり,再び,発達するのが認められた. カキの平核無の果皮には毛および気孔が存在しないことをすでに報告されている(8).伊豆でほ果皮に多数の毛が 存在し,その密度は基部でかなり高いこと,富有ではほとんど認められないことから,カキの品種間で果皮の毛の 有無に.相違があると考えられるので,その類別を行い,果皮の黒変との関係を明らかにする必要があろう 果皮の毛は果実の肥大にともない,毛の基部に間隙を生じ毛の基部から折れたり,抜け落ちたりして,毛じ痕と なって果面に陥没部を生ずるそして,周辺に拡大して多角形の毛じ痕となって,伊豆の黒点状の汚染果の原田と なることが考えられるい 果皮のき裂は北川(1〉,樽谷ら(4〉,渡部(8〉,栗原ら(2),浜地ら(¢〉が果皮の染色またほ光学顕微鏡で観察L・ている. 走査型電子顕倣銃で観察した結果,伊豆ではき裂が網の目状に周辺に不規則に拡大しており,箇有ではき裂が果実 の縦径方向に.平行に発達しており,両品静でき裂の発達の様相に差異が認められた き裂の発生時期は9月中一下旬に認められたが,この時にはき裂が相当に進行した状態であったことから,その 初期は9月上旬頃と思われる.この時期は果実発育の第Ⅲ期の初期に相当し,第Ⅱ期の緩慢な肥大から成熟期の旺 盛な肥大期に転ずる時期であり,果実容積の肥大に伴う表皮のクチクラの伸展の均衡が崩れて,クチクラにひび割 れを生ずると推察する. そして,先述の軍じ痕と同じく表皮に裂開部を生じて,農薬,雨霹の浸透または果皮のフェノ−ル物質の酸化が 促進されて,果皮の部分的黒変を生ずると思われる. 成熟果の異変状況を調査したところ,例年よりも黒変果率が高く,伊豆では63い6%,富有21..4%であったいその 原因にほ9月8日−12日の間に香川県東部地域忙集中夜雨を降らせた7617号台風の影響が大きいものと考えられる 引 用 文 献 1.北川博敏:カキの栽培と利jB”pp14l−148,pp 219−222..養賢堂.東京..(1970). 2.栗原昭夫,山根引康,岸光夫,永田賢嗣:カキの 汚染に.関する研免昭47果試安芸津試研年報, 1ト14い(1973).. 3‥ 傍島孝次,石田雅士,弦間 洋,飯室 聡,福長 信吾:カキの線斑症に関する研究(1)松本早生宙 有の果両横造ならびに菓,果実の無機成分の消長 昭51秋園芸学発表要旨66−67、.(1976). 4小 樽谷隆之,北川博敏,福田和彦:カキ果実の利用 に関する研究Ⅶ.果面の傷が果実の貯蔵性に及ぼ す影響.香川大農学報,21,34−39.(1970)‖ 5.中條利明,葦浮正義:走査型電子顕微鏡によるカ キ富有の果面の微細構造香川大農学報,29, 219−228.(1978) 6.浜地文雄,塩遠正彦,森田 彰:カキの汚損果の 発生原因と対策〔1〕い盈及園.49,533−586い(1974) 7山下忠男:富有柿の果実汚染の原因と対策り果実 日本,柑(9),36−38い(1963). 8・渡部俊三:果樹,果菜類における果面障害発生機 構に関する研究 第1報 主賓果樹における果皮 の組織学的観察山形大学紀要,5(2),2ト48小 (1967) 9い 渡部俊三:果樹,果菜類における果面障害発生機 構に関する研究 第4報 カキ(平核無)の果面汚 損について山形農林学会報.恥62−69..(1973) (1981年11月30日受理)

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