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ユビキタスネットワークを活用した制御技術教材の開発(PDF)

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ユビキタスネットワークを活用した制御技術教材の開発

Development of Teaching Materials of Mechanical Control Engineering using the Ubiquitous Network

佐藤 崇志 SATO Takashi 1.はじめに ユビキタスネットワークとはコンピュータ同 士が自律して連携することで人の作業の支援を 行う制御技術を示す。

生産現場を支えるFA(Factory Automation)シス テムにおいても、ユビキタスネットワークが取 り入れられている。一例をあげると、オフィス などで利用されている PC(Personal Computer)で 構成される情報ネットワークと産業ロボットな どの機器制御に用いられる PLC(Programmable Logic Controller)で構成されるFA ネットワークと Ethernet 等で接続している(1)。これによりオフィ スと生産現場との情報を共有することで、現場 以外でも管理が可能になり作業効率や品質管理 の向上を図っている。このように更なるコンピ ュータとの連携により、ハードウェア(機構、 センサ技術、組み込み技術)だけではなく、ソ フトウェア(プログラミング技術、情報ネット ワーク)との活用が重視される。 さて、教育訓練の教材に目を向けると、組み 合わせによりこれらの技術を習得することが可 能であるが、多くの教材が必要となり効率的に 体験することが困難である。そこで、主にユビ キタスの技術を制御技術に応用することに着目 し、教育訓練教材の開発と製作した。ここでは、 その試作機の教材としての検証を行ったので報 告する。 2.実習教材の仕様 表1 のように対象者、目的、訓練時間を設定 して実習教材の仕様を決定した。グループ実習 の対象者数を2~4 名程度と想定し、時間数とコ ストに基づき基本的な仕様を検討し、 ①機器設計と回路設計、プログラム開発を短時 間で行うことを可能にする。 ②PC から遠隔における機器の監視と制御をす ることを可能にする。 という基本仕様をもとにして試作機の製作を行 い、教材としての検証を行った。 表1 教材の仕様 対象者 基礎的な機械設計や回路設計、プログ ラム開発ができる能力を有する者 目 的 簡単な制御機器の設計・製作すること ができ、その機器にユビキタスネット ワークを応用した高付加な制御シス テムを構築することができること 時 間 64 時間 3.試作機の仕様 表1 にまとめた教材の仕上がり像から、試作 機の仕様を下記のように決定した。 (1) 学生にとって身近で設計しやすいものであ ること。 (2) 回路が簡単であること。 (3) ユビキタスネットワークを取り込んだシス テムであること。 以上の骨子をもとに本体となるものを検討し た結果、イメージしやすく、模型を作る際に部 材の多い四輪駆動式の車体とする。また、回路 を簡素化するために PC からの制御信号により 駆 動 す る こ と と し 、 本 体 に は MPU ( Micro Processing Unit)を搭載しないシステムとする。 更に、制御の利便性と管理の容易さを取り入 れるために複数の PC から車体への通信を可能 とする無線LAN 通信を利用することとした。 PC と車体とのインターフェイスはネットワ ーク組み込み用IC を搭載することで、無線通信 LAN 通信経由による PC と車体の信号のやり取 りを可能にし、センサなどの入力とモータなど の出力管理を可能にする。また、PC における GUI 操作を可能とさせるプログラミングの作成 を行いハード・ソフトウェア両面から学習可能 な仕様を目指した。 −92−

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4.試作機の設計 4.1 制御システム 図1 は車体の制御システムをブロック線図化 したものである。遠隔地からの制御を可能とす るためにネットワークカメラやセンサなどの情 報をもとに、車体が機構や路面などの外乱によ るずれを防止するために閉ループ系のシステム を採用した。 このように構築することで操作量のフィード バックによりシステムを安定させる現代制御技 術を学ばせることを狙いとした。 4.2 機器の構成 図2 は、図 1 のシステムをもとにして選定を 行った機器相関図である。下記に図中①~⑤の 設計内容について説明する。 ①通信プロトコルはTCP/IP を用いた。ネットワ ーク組み込み用IC を用いることで PC との通信 を可能にした。 ②フォトカプラで構成することで制御部と入出 力部と絶縁を行った。 ③PC による制御命令によって、DC モータは正 転と反転、ステッピングモータは前進、右、左 の制御を各専用ドライバによって行う。 ④前輪タイヤの軸情報をセンサにて PC に送信 することで、車体の方向を調整する。 ⑤前方の状態を動画(Motion-JPEG)にて PC へ配信する。 4.3 通信システムの構成 図3 は、今回構成した PC と車体本体からの 通信システムの詳細を記述したものである。 PC と本体の通信用インターフェイスとして は、市販の無線 LAN イーサネットコンバータ ー(以下、EC とする)を用いた。その EC にネ ットワーク用組み込みIC を接続することで PC 側から、無線通信を可能にした。GUI 操作によ って出力信号を8bit の命令文として送信し、ネ ットワーク組み込み IC に割り込みを行うこと で、モータなどの出力管理を行った。また、入 力信号は100ms 間隔程度で PC 側に 8bit の入力 信号を送信し、センサ情報をプログラミングに より解析し画面(図5 内 A 枠)に状態を表示し た。 4.4 通信システム開発 図4 は通信システムの中枢となる LAN 通信 のインターフェイス部を示す。市販されている ネットワーク用組み込み IC を搭載しているボ 車体の位置 モータ GUI LAN I/F

目標位置 - + 図1 制御システムのブロック線図 ネットワークカメラ・センサ I/O インターフェイス DC モータ ドライバ ネットワーク用 組み込み IC センサ Ethernet 図2 教材の機器相関図

ステッピング モータドライバ モータ軸位置 PC ネットワークカメラ

制御命令 タイヤの位置

LAN ポート 制御用ソフトウェア EC ネットワーク用 組み込みIC 動作指令 センサ情報 入出力情報 TCP/IP 図3 通信システムの詳細 前輪用 後輪用 前方の状況 −93−

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ード(AVIOSYS 社製)を改造することで可能に した。回路図は公開されていないため、解析し たところ図中A部にあるフォトカプラにより制 御部と入出力部が分離されているため、この部 分より配線し各モータのドライバ部とセンサ部 に接続した。 図4 LAN インターフェイス部 4.5 プログラミング開発 図5 は今回開発したソフトウェアの GUI 画面 を示す。画面左側のWeb カメラの視覚情報と画 面右側の車体操作用の GUI を一体化して操作 性を高めた。開発にはMicrosoft VisualBasic6.0 を用いた。 簡単なプログラムの流れは、PC からの入出力 情報の管理を司るネットワーク用組み込み IC と接続可能状態であるかのチェック(ping コマ ンド)を行う。ボタンを押された場合は後輪モ ータを作動させ前進させ、車体の右折、左折な どの前輪の位置はセンサを用いて検出を行った。 5.教材の検証 前章までの設計指針に従い、訓練生に製作さ せることで教材のコンセプトを理解できるかど うかの検証を行った。 5.1 検証者と指導技法 機械制御技術科と制御技術科 2 年生の各々1 名に総合制作実習の時間を用いて検証した。回 路設計に関しては、ブレッドボードを用いて試 作回路から設計方法を教授した。また、プログ ラムミングはあらかじめ教員側で作成したもの を提示し、それを学生にカスタマイズさせた。 車体の設計・製作はイメージし易い題材である ことから自主性に任せた。 5.2 成果物 図6 は機械制御技術科が製作した四輪駆動型、 図7 は後輪駆動型で制御技術科 2 年生が製作し たものである。本機をIP コントローラーカーと 命名した。 図6 IP コントローラーカーの概観 四輪駆動型 A 図7 IP コントローラーカーの概観 後輪駆動型 図5 開発した制御用ソフトウェア画面 A −94−

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5.3 訓練態度と製作時間 二人の学生とも目標が分かり易い為か、動作 原理などを理解するとそれを応用してモータの 変速機構なども自ら進んで製作した。なお、図 6、7 の状態になるまでに製作時間は約 120 時間 強を費やしている。 6. IP コントロールカーの検証 後輪駆動型の IP コントロールカーの評価実 験を行い、ユビキタスネットワークを用いた機 器としての性能に関する検証を行った。 6.1 通信可能距離 表2 はバッテリ(Li イオン電池×8、2 並列) の充電を定電流で8 時間行ったもので室内温度 約26°、室外温度約 14°のときに PC と IP コ ントロールカーとの通信可能領域を示したもの である。無線LAN

BUFFLO 社製)の通信は 通信可能領域が広範囲なピア・ツー・ピアモー ド接続とした。なお、不安定領域とは、接続可 能であるが時より接続が不通になる距離を示す。 GHz 帯の電波を用いているため、壁などの干 渉物によって電波の伝搬性能が大きく変化する。 しかし、通信可能距離が80m 程度あるので人が 入ることが不可能な場所を探索するロボットと して活用することへの可能性を見出すことがで きた。 表2 通信可能距離 通信可能領域 約 0~80 [m] 室内 不安定領域 約 80~90 [m] 通信可能領域 約 0~180 [m] 屋外 不安定領域 約 180~200[m] 6.2 動作可能時間 図8 はバッテリの充電を定電流にて 8 時間行 い室内温度約 26°で IP コントロールカーの全 ての機器を駆動させている状態におけるバッテ リの端子間の電圧降下を測定したものである。 一定時間定電圧であるが 50 分を過ぎたところ から電圧降下が顕著にあらわれ、その後75 分間 を過ぎるとモータが停止することが分かった。 また、モータを起動したり停止させたりする通 常の使用では2 時間以上使用可能であることが わかった。 7. まとめ ユビキタスネットワークを制御技術に応用す ることが可能な教育訓練教材の開発を行い検証 したところ下記のような所見を得た。 i) 身近な機器で IP コントロールカーの設計と 製作が可能である ii) ハード・ソフトウェア両面からの教育訓練効 果の成果が得られた iii) 評価実験より、通常稼動時間が 2 時間程度 あり、室内における稼動範囲がPC より半径 80m 程度あることから、遠隔地における作業用の機 器としても実用化への期待がある 以上の所見から教材の更なる完成と実用化を 目指した課題は、下記の通りである。 a) 製作時間を短くするために集合教育に向け た指導方法の絞り込み b) 遠隔地における制御機器としての性能を高 めるための省電化とコンパクト化の実現 c) 本体に制御部がないため、電波障害時に備え た自律制御の検討 8. 謝辞 IP コントロールカーの製作と検証に協力し てくれた山口輝夫氏、金安洸佑君に感謝します。 9.参考文献 (1)三浦宏文監修:「ハンディブックメカトロニ クス」,オーム社,1996 年 4 5 6 7 8 9 10 0 20 40 60 80 時間 [min] 端 子 間 電 圧 [V] 図8 バッテリ端子間電圧の変化 −95−

参照

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