ファッション庖イメージの内容分析
一女子大学生の場合一*
堀
啓 造
I はじめに 庖舗イメージが購買行動に大きな影響を与えると考えられる。庖舗イメージ とは庖舗評価と等価である。庖舗イメージを一つでとらえると「よい一わるい」 (または「好き一嫌いJ)である。評価の軸には多様な側面があり,従来庖舗イ メージという枠組みで研究されてきた。 庖舗イメージの研究は Martineau(1958)から始まったとされている。その 後,百貨庖を中心に庖舗イメージの研究が行なわれていさ。理論的には Mar-tineau(1958)を 超 え る 斬 新 な 展 開 は な さ れ て い な い (Engel,B
l
ackwell,&
Miniard, 1986)0 Martineau(1958)によると,庖舗イメージとは「庖舗が消費者 の心の中に定義されるされ方であり,一部は機能的質により,一部は心理的属 性のオーラによって定義される」。機能的質(機能的特性)は品揃え,価格,底 内陳列などを指し,心理的属性(心理的特性)は親切,暖かさ,楽しさなどの 庖舗の雰囲気を指している(小島, 1977)。これら両者を含めて統合的な庖舗イ メージが作られる。 従来考慮されている庖舗イメージの主な内容の例は表lにある。 Martineau (1958)のものは庖舗イメージとして最初に考慮した内容である。 Lindquist*
本研究は伊勢丹奨学金の補助を受けて行なった研究の一部である。本稿の一部は日本広 告学会第20回全国大会において発表している。 (1) 百貨庖イメージ研究例. Myers(1960), Weale(1961), Berry(1969), Pathak, Cris-sy, & Sweitzer(1974
!
7
5), Jain& Etgar(1976/77), Mazursky & Jacoby(1986),流通政24 第62巻 第4号 -364
(1974/75)および小島 (1977),Engel, Blackwell, & Miniard (1986)は従来の研
究を展望して作成したりストであり,多くの研究の内容がこの中に含まれてい
る。佐々木(1988)は写真底についての調査結果であり, 49項目を因子分析した
因子である。 Zimmer
&
Golden(1988)は自由回答の整理である。野口(1986a,b)は調査に用いた項目である。日本商工会議所 (1987)は商業近代化のモデル調
査用紙の2つのタイプである。 Martineau(1958)が具体的な項目と抽象的な項
目を同時に考慮していたのに対し,従来の研究はほとんど具体的属性だけをイ
メージとして取り扱っている。唯一, Zimmer
&
Golden(1988)が抽象的なものを比較的多く扱っている。 表1 庖舗イメージの内容分類例 (1) Martineau(1958) ①レイアウトと装飾,②シンボルと色彩,③広告,④庖員 (2) Lindquist, J. D. (1974/75) ①商品構成品質,選択・品揃え,スタイル・ファッション,保証,価格 ②サービス川一般的サービス,販売員サービス,セルフサービス,返品の容易さ,クレジッ ト,配達,電話注文 ③顧客状況“社会階層的訴求,セルフ・イメージ適合性,販売員 ④物的設備物的設備(エレベータ,照明,:?i!調,洗面所など), J苫内レイアウト,建物 (通路の位置・幅,敷物など) ⑤ 便 宜 性 一 般 的 な 便 宜 性 , 立 地 の 便 利 払 駐 車 ⑥プロモーション販売促進,広告・陳列, トレーディング・スタンプ,シンボルや色彩 ⑦底の雰囲気1 雰囲気の良さ(暖かさ,気楽さ,気安さなど) ③企業的要因…保守性・近代性,評判,信頼性 ⑨購買後の満足…商品の使用・返品・調整などに関する満足 (3) 小島(1977) ①商品川川品揃えの広さ,品揃えの深さ,品質,流行品の取りそろえ,商品クラスの数 ②価格れ u価格幅,値引き幅,他底との競争的価格,価格と品質の適合度 ③立地一駐車能カ,近接道路の整備状況 ④庖舗雰閤気…庖内レイアウト ,J苫内装飾・陳列,底内の混雑度 ⑤顧客サービス引飲食庖,休憩所・公衆便所,営業時間,配達・配送センター ⑥販売促進““宣伝広告,バーゲン・セー/レ,催事,接客態度,庖員の商品説明能力 (4) Engel et al.(1986) ①立地,②品揃えのタイプと質,③価格,④広告と販売促進,⑤股員,⑥サービス,⑦顧
-365- ファッション庖イメージの内容分析 客のタイプ,⑧j苫の雰囲気,⑨購買後のサービスと満足 (5) 佐々木(1988) ①便宜性,②選択性,③信頼性,④娯楽性 (6) Zimmer
&
Golden(1988) ①属性特殊レイアウト・見かけ,庖舗の物理的条件の悪さ,高品質商品,中品質商品, 品質の変動,低品質商品,広告への肯定的コメント,広告への否定的コメント,セール への肯定的コメント,セール期間または関連で使われる否定的方法,よい選択,平均的 選択,悪い選択,よいサービス,がまんできる(受容可能な)サ}ビス,適切なサービ ス,貧弱なサービス,クレジットへの肯定的コメント,クレジットへの否定的コメント, カタログへの肯定的コメント,カタログサービスが悪い,よい保証・返品,保証・返品 への否定的コメント,庖員へのよい印象,よい立地,悪い立地,価格への肯定的コメン ト,価格への否定的コメント,低価格,中価格,高価格,よい評判c
g
全体h一般的・全般的な肯定的コメント,一般的・全般的な否定的コメント,格が上がつ た,俗な・低階層,問題の庖 ③ラベル…庖のタイプについてのコメント ④原型と典型 他の底への類似 ⑤製品川"特定の製品がよい,特定の製品についての否定的コメント,服に満足,服が悪い, 修理がよい ⑥行動凶購買パターン・購買頻度 ⑦雑意見なし・知らない,その他他のカテゴリーに入らないコメント (7)野口(1986a, b) 品揃えの豊富さ,価格の安さ,接客サービス,商品の品質,広告宣伝の内容,底の雰囲 気,立地の利便性,営業時間の長さ,駐車場の充実度,駐車場以外の設備の充実度 (8) 日本商工会議所(1987) モデlレI 商品の種類や塁が豊富,庄の雰囲気がよい,センスがよく流行品が多い,屈の人が親切, 値段が安い,近くて便利,サービスがよい,レジャーを楽しみながら買物ができる,后 が信用できる,掛買やクレジットで買物ができる,駐車場が利用しやすい,用事が一度 で済む モデルII 商品が豊富,値段が安い,品質がよい,近くだから,庄が好き,用事のついで,その他 25 庖舗イメージの内容および測定法についてさまざまな試みが行なわれてい る。測定法では,SD
法(
s
e
m
a
n
t
i
cd
i
f
f
e
r
e
n
t
i
a
l
法),リッカート法,ステープ ル法(単極法),自由回答法などが用いられている。内容の因子抽出は著者の論 理の枠組みによるもの,および,因子分析,多次元尺度法などの探索的データ26 第62巻 第4号 366
解析を用いたものがある。 SD法,リッカート法,ステープル法などはあらかじ
めイメージ評価の項目を割り出している必要がある。そのような先験的な考え
なしに自由に消費者のイメージを探ることができるのが自由回答法である0
Zimmer
&
Golden (19
8
8
)
は自由回答法を次のようにタイプ分けしている。① 特定のj苫の名前または特定の庖舗タイプを挙げて,最初に浮かんだ言葉 やことを報告する。 ② 特定の庖舗タイプを挙げて,心に浮かんだ属性,特徴,用語を羅列する。 ③庖舗タイプを選択するのに重要な要因を羅列する。 ④ ある庖でもっとも好きなこと,好きでないことを示す。 ⑤特定の屈を挙げてその屈のイメージを自由に記述させる。 ① ④の方法は反応として単語または名詞句を採用しているためイメージを 捉えているとはいえないので,彼らは⑤の方法を使っている。表
1
にあるよう に彼らの内容には全体,ラベル,原型と典型など従来にない分類項目があがっ ており,その方法の独自性を示している。ところで,① ⑤の研究法はすべて 被験者の頭にすぐ浮かぶ、ことしか回答しないという限界がある。被験者の回答 をもっと深化させていくように系統的質問をしていく自由回答法がある。それ が次に述べる梯子登り法である。 梯子登り法はGutmanとReynoldsが中心となって開発した手法である。彼 らは認知構造が手段一目標の連鎖になっていると仮定し,認知構造を引き出す ものとして梯子登り法を使用した。彼らの手段一目標連鎖分析では抽象度に3 (2 ) イメージ内容や方法論を中心とする展望はLindquist(1974/75),小島(1977),Peterson & Kerin (1983), Engel,Blackwe,lJ& Miniard (1986),野口(1986a),佐々木(1988)にある。 (3 ) 自由回答法を使った代表的な庖舗イメージ研究はKunkel& Burry(1968)である。 ( 4) meands-endは一般的に手段一目的と訳されている。しかし,文部省「学術用語集心理 学編J(丸善)1986では手段一目標という訳語を与えているのでこれに従う。目的と目標で は目標のほうが具体的なものを指している。GutmanとReynoldsの方法では機能的結果以 外では抽象度を高めていくので目的のほうが適切といえる。endを目標と訳すのは行動主義 的な偏りを感じる。 (5) GutmanとReynoldsの手段一目標連鎖分析を使って主として商品に対する認、知構造 を研究している。研究例.Gutman (1982, 1984), Gutman & Reynolds(1979, 1986), Olson & Reynolds(1983), Reynolds & Gutman(1984, 1988)
。
-367- ファッション底イメージの内容分析 27
つのレベノレを想定し,抽象度の低い段階から順に属性,結果,価値の3段階を
設けている。 Gutman(1984)およびPeter& Olson (1987)は,さらに,属性を具
体的属性と抽象的属性,結果を機能的結果と心理社会的結果,価値を道具的価 値と最終価値に分解している。いずれにしても,手段一目標連鎖分析では,抽 象度を考慮にいれた仮説をもち, (具体的)属性から価値にいたる一連の連鎖を もっ認知構造を考える。この認知構造を階層価値構造図と呼んでいる。 梯子登り法の具体例として Gutman& Alden (1985)の研究がある。彼らはあ るタイプの庖(もっともよく買う庖,着るのが好きな服を売っている脂,好き だけど買わない盾,前は買っていたがもう買わない庖,入るのさえ嫌な庖,買 うのが楽しいj吉,着たくない服を売っている庖)名を挙げさせ,その理由を記 述させている。例えば,買うのが楽しい庖に挙げた庖に対してその理由として 「小さい庖」を挙げたとする。さらになぜ「大きい庖」よりも「小さい庖」を 好むのかを聞く。そして「ユニークな商品」という理由を挙げるとさらにその 理由を聞く,-個性を表現できるJ,-他人に印象づけるJ,-自尊心」というように 順次その理由を挙げさせていく(図
1
参照)。理由があがらなくなったらそこで 梯子登りは終わる。このように順次理由を挙げさせていく手法を「梯子登り法 ( laddering)Jという。梯子登り法がユニークな点、は強制的に心のなかをたどらせ るところである。底舗イメージ研究の以前の手法は心に浮かぶことをそのまま 記述させるだけだが,梯子登り法は浮かんだことの意味づけを求め,表層だけ でなく深層まで内観させている。この方法を使うと,従来の研究では引き出し にくかった機能的特性および心理的特性を被験者から直接抽出できる。特に, 手段一目標連鎖分析での結果や価値に関連して象徴を抽出することができる。 この手法を使用して庖舗イメージを研究しているものにGutman& Alden(1985), Reynolds &
J
amieson (1985)がある。(6 ) 内観法の危険性については行動主義心理学から指摘されている。批判には妥当な点も あるが,内観を無視することによる問題のほうが多い。多くのアンケート調査法は内観にた よっている。また,認知研究に多くつかわれているプロトコール法も内観を重視した手法で ある。内観なしには研究できない分野があることを考慮しなければならない。なお,内観で きないことがある,反応に騒がまじるなどの内観法の限界にも配慮すべきである。
28 第62巻 第4号 -368-抽 象 度 水 準 自 尊 心 価 値 結 果 結 果 属 性 属 性 よ く 利 用 す る 庖 名 出 発 点 図1 梯子登りの例
-369- ファッション庖イメージの内容分析 29 表
2 G
u
t
m
a
n
&
A
l
d
e
n
(
1
9
8
5
)
の庖舗イメージの内容分析リスト ① 属 性 サービス/プランド選択/
1
吉の内装・ディスプレイ/購買者のタイプ/よい製品/い い服をきた底員/屈の評判/高品質/小さい庖/大きい庖 ② 結 果 長もちする・スタイルが続く・長く使える/使いみちが広い・柔軟・多くの機会に着る ことができる/買うのが楽しい・退屈でない/早く買うことができる・早い・時間を節約 できる/せわしく感じない・自分の時間をもてる/リラックスする・落ち着く/多くの中 から選べる・選択が制限されていない/買う服が少なくてすむ/お金を節約できる・お金 を使わない/ワードロープが幅広くなる/便利/買うのが少なくて済む/長もちする/ 比較するのが簡単/他のものにお金が使える/ほかのことに時間が使える/もっとたく さんのことができる・もっとうまくすることができる/無視されない・気にかけられてい ると感じる/退屈しない・ずっとおもしろい/流行っている・流行の/決定が簡単・決め ている/あまり迷わない・より安全・安心/偉くなった気がする/格好がよい/服装が立 派/他人に印象づける・他人によく見える・賞賛される・他人よりよくみせる/適応しや すい・ひととうまくいく/個性を表現できる・目立つ/気分がよい/コントロールしてい る ③ 価 値 自信/自尊心/安全/所属・親和・受容/達成・成功/生活を楽しむ表2にあるように
Gutman
&
Alden
(1985)の内容分析では,庖舗イメージの内容を属性,結果,価値に分け,さらに下位分類をしている。属性の下位カテ ゴリは従来のカテゴリに近い。結果の下位カテゴリは被験者の反応をほぼその まま採用している。結果の下位カテゴリはかなり小さく未整理のまま残ってい るので,カテゴリの見直しの必要がある。価値については
Rokeach
(1973)の価 値がほぼそのまま下位カテゴリに使われている。 本研究では,ファッション庖についての梯子登り法から得られた反応を内容 分析し,庖舗イメージの構成要素を明確にすることを主目的とする。あわせて 利用する庖舗のタイプによって居舗イメージの内容が異なることを示す。 調査地点として横浜市と高松市の大学を選んでいる。横浜と高松はそれぞれ (7) この調査を使用した認知構造図(階層価値構造図)については堀(投稿中)を参照のこ と。30 第62巻 第4号 -370ー 首都圏大都市と地方中都市の県庁所在都市であり,昭和
6
0
年国勢調査において 人口はそれぞれ301万人と 33万人である。横浜と高松では商業的に対照的なと ころがある。横浜は横浜駅およびその近辺に大型店が集中しているが,大型庖 以外のファッション関係の専門庖は少な(乙。高松は,博報堂生活総合研究所 (1989) が「ー貨庄が『百居~,百貨庖が『ー庖 ~J と言っているように百貨庖が1
軒しかなく,学生関係のファッションはほとんどおいていないので,女子学 生にとってはファッション品の購入は専門府中心である。このように対照的な 都市で生活する大学生が,どのようにファッション屈をイメージしているので あろうか。ファッション庖のイメージは全般的にあるというより,利用底舗の タイプによって異なると考えられる。一時に比べ下火になったが,DC
ブランド 屈の利用者と量販j古利用者によってイメージの違いがあるのか。また,1
9
8
8
年 において注目されかけていた,海外ブランド利用者とDC
ブランド庖の利用者 では庖舗イメ←ジが異なるであろうか。註自カテゴリは何か,属性,結果,価 値への反応またその下位カテゴリでの反応を都市間および利用庖舗タイプ聞で 比較する。 II 方 法 1. 調査期日1
9
8
8
年1
1
月,1
2
月 2 調査対象 謝金を払うことを条件に志願者を募った。高松地区2
7
名(香川大学教育学 部・経済学部女子学生),横浜地区1
7
名(横浜国立大学教育学部女子学生)の 合計44名。 (8 ) 横浜市には伊勢佐木町に有名な商底街がある。しかし,調査の結果横浜国大女子学生は ほとんど利用していないことがわかった。横浜駅近辺には横浜そごう,高島屋,1レミネ,ジョ イナス, CIAL,モアーズ, VIVRE21,三越および東西に地下街がある。このうち三越の利 用はほとんどなかった。横浜においては伊勢佐木町以外の一戸建の専門庖の利用はなかっ た。371- ファッションj苫イメージの内容分析 31 3, 調査手続き 個別面接による聞き取り調査を行なった。面接は調査者 1名と面接補助 1名 または
2
名で行なった。面接補助は被調査者が屈の名前などの詳細について想 起しにくいときなどに補助をする。調査時聞はおよそ100分である。 質問項目は,フェイスとして,クラス,サークJレ,出身地,現在の住居,そ の市の中心街にどの程度の頻度でいくかがある。1
ヵ月の洋服代,支払い方法 (現金,カードなど)に続いて,一番よく買う屈はどこか(複数回答) (それは なぜか)を聞く。この項目はあとであとの梯子登りで使用する。庖関係の他の 項目は,着たい服のある屈はどこか(何によってそう思ったのか),自分のファッ ションの参考にしているものは,好きだけども買わない屈はどこか(それはな ぜか),かつては買っていたけれどももう買わない屈はどこか(それはなぜ、か), 入りたくない庖はどこか(それはなぜか),着たくない服を置いている庖はどこ か,入りたいけど入りにくい庖はどこか,である。次に意志決定・購買時の情 報探索の方法について,買うときはだれかと一緒か,買いにいくときの巡回方 法は,全部回ってから買うか,気に入ったらすぐに買うか,J吉員の意見は参考 にするか,パーゲ、ンセーlレを利用するか,いくらくらいの服を買うか,買うと きに注意すること,服を買って失敗したことについて質問する。 これらの質問の聞に一番よく買う庖が最初に聞いた屈でよいかどうかを チェックし,かつ被調査者がファッション品の購入について十分考えることが できるようにしておいて,梯子登りを行なう。梯子登りは,まず質問の対象と する屈を決める。庖は本人がよく利用する庖としている庖のなかから選ぶ。そ の庖を利用する理由をもう一度聞き,挙げた理由の1
つからそれがなぜいいの か聞く。でてきた理由を順次それがなぜいいか聞いていき,理由が挙がらなく なったところで打ち切る。最初の理由が結果の場合,それがなぜいいのか聞く と属性レベルを答えた。そのあと結果について梯子登りをする。時間に余裕が ある場合には,ほかの理由,ほかの庖についても梯子登りをする。それがなぜ いいのかでは答えにくい場合は聞き方をかえて何度も答えを促した。 面接調査結果から利用庖舗によりポストDC
ブランド派,DC
ブランド派,量32 第62巻 第4号 -372-販庖派にわけた。わける目安は,利用庖舗の庖名とスカート等の単価である。 ポスト DC派はインボート中心もしくはDCブランドよりも高価なアイテムを 購入するもので,購入単価についてはTシャツの場合7千円から9千円程度, スカートの場合l万円から 2万円程度である。 DCブランド派はDCブランド の庄を利用する層である。量販店派は量販庖を利用する層が中心で,スカート が 5 千円 ~7 千円までを中心に購入している。ポスト DC ブランド派, DC ブラ ンド派,量販庖派を利用庖舗タイプ高,中,低と呼ぶ。高タイプは少なく,高 松4名,横浜2名である。中タイプは高松13名,横浜7名,低タイプは高松10 名,横浜8名であった。 III 結 果 1 全体反応数の分析 梯子登りができたものとできなかったものを含め,総反応、数は
7
1
3
である。 1人当たり平均反応数は16,2(S D = 70)であった。範囲は5から 38反応で ある。利用庖舗タイプおよび都市によって反応数に差がないかを調べるため, 反応数を対数変換しこれを従属変数として,庖舗タイプ×都市の3
x
2
の2
元 分散分析をした。結果は,交互作用および主効果の都市が5 %水準で有意な差 がなく(それぞれF(2,38) = 1.6,p= ,,216; F (1,38) = 1.49,pニ,229),主効 果の庖舗タイプのみ有意な差があった (F(2,38)=6“49,p=004)o SPSSPC のLSDを用い多重比較をしたところ高タイプ庖舗利用群が中低タイプ庖舗利 用群よりも反応数が有意に多かった。中タイプ庖舗を利用しているものと低タ イプの庖舗を利用しているものには5 %水準での有意な差がない。庖舗タイプ 別の平均反応数は高中低それぞれ23,,8(対数変換の平均値を逆対数変換した 値 =22,9), 16,,3 (同=155), 13,,6 (同=12“6)である。線形性は1%水準 で有意であり (F(1,41)= 12.
.
4
3,p=“001),反応数は高,中,低と少なくなっ ている。-373ー 属 性 [商品] (豊富) ファッションj苫イメージの内容分析 表3 J苫舗イメージの内容分析 色が豊富・服が豊富・種類が多い・底が集まっている (値段) 値段が手頃・値段が安い・品質と値段がつりあっている・割り引き .メンバーズカードで景品 安くても高そうに見える・同じ素材でも高く感じる (色・形・品質) シンプlレ・カジュアル・はですぎない・落ち着いた感じ・定番・流行ものではない 色が柔らかい・中間色・きれいな色・特定の色 女の子らしい・かわいらしい・お嬢さんぽい・大学生にみられる服装・年相応 ・大人っぽい・エレガント 特定のサイズがある 形がよい・体にピツタリしている・角張っている・かっちりしている 形が変わらない 仕立てがよい・仕立てががっちりしている 素材がいい・品質が安心 扱いが楽・洗濯をしやすい いいものが置いてある・置いであるものに信用ができる 安っぽくない・それなりの高級感がある 外国ものがある 自分の感性にあっている・自分の趣味にあっている・好きなものがそろっている .欲しいものがある (ブランド) ブランド・名前が知れている・雑誌に紹介されている ロゴがかわいい・ロゴが入っている [ 底 員 ] (親和) 庖員がいい・庖員のファッションセンスが優れている・底員の知識が豊富 33 底員のアドバイスをしてくれる,アドバイスが客観的・親身,庖員が親切・庖員と懇意 ・1吉員が気さく・庖員と話が楽しい・庖員が冷たくなく・相談しやすい ・客が何をもっているか知っている (排斥) 庖員がよってこない・つきまとわない・ひっこくない・売りつげる感じがしない .おしつけない・庖員に威圧されない [腐の雰囲気] 通路に商品を出している・試着室が数ヶ所ある・ディスプレイがある・ドアがない
34 第62巻 第4号 -374-明るくできれい・人が適度に入っている・活気がある・こじんまりしている・広い .オープン・落ち着いた感じ・雰囲気がいい・いきつけ [立地] 通り道にある・駅から近い・近い・行きやすい・ほかの用がたせる 結 果 [購買過程] (探索時間・手間) あちこち見て回らなくてよい・その底だけで選べる・捜す手聞が省ける サーとみることができる 時間が短くてすむ・時閣が節約できる (選択過程) 入りやすい・スーと入ってスーとでれる みやすい ゆっくりいろいろな服がみられる・落ち着いてみれる たくさんの中から選べる 自分の気に入ったものを捜しやすい 試着しやすい 選択に悩まなくていい 決断が速くなる・決断しやすい 買わなくてもよい・断りやすい (意志決定の評価) 好きな色・好きな服を選べる・自分の気に入ったものを買える 納得して買える・妥協しなくてよい 余計なものを買わなくてすむ (選択中の副次的効果) 疲れない 洋服の新しい組み合わせ方がわかる 選んでいて楽しい・入るのが楽しみ [選択商品の評価] (金銭的結果) 得した気分になる・損な買物でない お金が節約できる (着た感じ・スタイル) 着ていて楽・体を動かしやすい 見た目がよい・バランスがとれた感じになる・細く見える・スマートにみえる ・着た自にきれいなライン・すっきり見える・自分にあっている・おしゃれな感じ ・いい服を着ているという感じ・誰が着ても以下にならない・きちんとしたかっこう ・理想的なファッションに近づく・大学に着ていくのに適当 ぜいたくをしたような気分・中流階級的・ステータス・きちんと生活している感じ
-375- ファッション庖イメージの内容分析 35 (長期的評価) あきない・流行遅れにならない・型くずれしない・長もちする・長く着ることができる .お嫁入りのときにもっていける 後悔することが少ない・選んでくれて失敗がない 買った品物に満足できる [他の活動への影響] (服関係) 新しい服を買うとき便利・今もっている服を活用できる 服が少なくてすむ 服の数が増える 他の服を買うことができる・いろんな色のものが寅える (服以外) ファッション以外にお金をまわせる 別のことができる(1つ)・別のことがいろいろできる 他人との関係が広がる なにをやっても取り組みやすい [着用時選択行動] 学生だから安くていいからいっぱい着る どこにでも着ていける 明日着ていく服を考えなくてよい・悩まなくてよい 組み合わせやすい・他の服とあわせやすい 着方に輔ができる・変化をつけることができる・着こなしが広がる・おしゃれができる .その日の気分によって服を選べる イメージを自分で作れる・組合せを考えるのが楽しい [着用時心理的効果] (コンプレックス) コンプレックスをわすれることができる・悩みごとがなくなる・自己嫌悪に陥らない .人前でも恥ずかしくない (コントロール) 感情をコントロールする・気分転換できる 緊張感をもてる・シャキとする リラックスできる・落ち着く 集中できる・やる気がでる 気をつかわなくてよい ファッションで気持ちが左右される (感情) 楽しい・うれしい・気分がいい・気持ちがいい・満足・安心 (人に与えるイメージ) 頭がよく見られる・かわいいなと思われる・きれいに見える 他人からいいねといわれる・センスがいいと思われる・おしゃれだと思われる
36 第62巻 第4号 -376--趣味がいいと思われる・ひとからああ着てるなとみられる・年より若くみられる まわりからだらしなくみられない・きちんとした感じ 洋服で目立ちたくない [自己表現・発見] 価 自己表現をしている・自分には本当はこんなとこがあるよ・自分をいろいろ表現できる .自分の感情を表わす・自分をわかってもらえる 新しい自分を発見・違う自分がわかる・自分が変わったように感じる・人と同じではい や イ 直 [道具的価値] 知的(いろんな見方をする・考えるようになる・知的でありたい) 向上心(自分を高める・勤勉な) 有能な(自分の気分を生かせる・服を生かせる・お金を有意義に使う) 自信(自分に自信がもてる) [最終価値] 自尊Jし、(優越感を感じる・私らしい・自分のイメージにあっている) 社会的承認(一番いい状態をみせたい・友達によくおもわれたい・認めさせたい) 所属(みんなと一緒・人から変な自でみられるのはいや・目立たない) 楽しい生活(生活が充実する・生活に潤いがでる・楽しい) 快適な人生(かしこい消費者を笑践・平凡だけど結婚して普通に暮せる・学生らしい) 2凶 イメージの内容分析 梯子登り法で得られた反応を属性,結果, 結果が表
3
にある。 (1) 属 性 および価値に分けさらに分類した 属性は庖舗に直接関係する項目である。属性の中には,従来の庖舗イメージ で扱われている項目がそろっている。属性の項目は商品,庖員,庖の雰囲気, 立地に分かれる。商品については豊富,値段,色・形・品質, ブランドに分割 される。例えば r色・形・品質」は具体的な色名,中間色,特定のサイズなど の具体的属性レベルから,お嬢さんぽい,安っぽくない,年相応のように抽象 的属性レベルのものまで含んでいる。具体的属性とはっきりいえるものは少な く , ある程度抽象化しているものが多いので,具体的属性レベル,抽象的属性 の2段階には分けなかった。なお,小島(1977)の6つの小売りミックス(商品,-377ー ファッション庖イメージの内容分析 37 価格,立地,庖舗雰囲気,顧客サービス,販売促進)のうち顧客サービスを除 いてすべてが属性のなかに含まれる。小島の顧客サービス(飲食店,休憩所・ 公衆便所,営業時間,配達・配送センター)に関する反応はまったくなかった。
(
2
)
結 果 結果は庖舗の属性ではなく,属性から生じたものである。消費者の活動,お よび消費者のなかで生じた考えが中心となる。結果は購買過程に関するもの, 選択商品の評価,他の活動への影響,着用時選択行動,着用時の心理的効果, 自己表現・発見の6つに大きく分かれる。順序はその場のものから購入後のも のへ,また,抽象度の高いものへと並んでいる。 購買過程は探索時間・手間,選択過程,意志決定の評価,選択中の副次的効 果に分かれる。購買過程はいわゆる機能的結果である。選択過程の「入りやす いJ,,-試着しやすい」などは属性に含めてもよいように考えられる。しかし, これらは消費者の主観性が強く,また属性から生じる反応が多いため,結果に 含められた。 選択商品の評価は金銭的結果,着た感じ・スタイノレ,長期的評価の3つに分 かれる。「着た感じ・スタイル」には属性に含めてもよいような項目があるが, 属性の「色・形・品質」に比較して主観性の強いものがここに入っている。長 期的評価は長もち,後悔,満足の3つの側面がある。評定尺度を作成するとき は,それぞれ分離するべき項目である。 他の活動への影響はもっとも結果にふさわしいものであり,機能的結果その ものである。内容は衣服関係と衣服以外にわけた。衣服関係は衣服の活用や, さらに衣服を買うことにある。 着用時選択行動は服を着る時の着る服の選択に関することである。実際にそ の服を着用したときに生じる心理的効果が着用時心理的効果である。 着用時心理的効果はコンプレックス,コントロールすること,感情,人に与 えるイメージがある。「コンプレックス」は具体的にでてきた反応としては少な いが,個々人の反応には自分の顔とか体型とのからみでこのタイプの服,色で ないとだめであるという反応がしばしばあった。このような反応は選択商品の38 第62巻 第4号 -378ー 評価の「着た感じ・スタイル」の「自分にあっている」に発展し,心理的効果 の「人に与えるイメージ」になる。「コンプレックスを忘れることができるJr悩 みごとがなくなる」とはっきりと言及す町る者は少ないが潜在層は多い。感情は プラスの項目のみを扱っている。人に与えるイメージはプラス側からいってい るものとマイナス側から言っているものとある。 自己表現・発見は価値に含めてもおかしくないものである。例えば, Emmons (1989)は価値と類似概念の志向要求(personalstriving)を提案し,その中に自
己提示を含めている。しかしRokeach(1973), Gutman (1984), Gutman &
Alden (1985)の価値のなかに含まれていないこと,人に与えるイメージに近い ことから結果のなかに含める。
(3) 価 値
価値の項目は反応総数52反応,平均1..2反応と少ない。 Rokeach(1973),
Gutman (1984), Peter
〆
&
Olson (1987), Gutman & Alden (1985)を参考にし て価値を分類した。全体を大きく道具的価値と最終価値に分ける。道具的価値 はお好みの行為のモードまたはパタンを意味し,有能な,知的,向上心,自信 表4 庖舗イメージ項目の平均反応数 都 市 高 松 横 浜 !ジ吉舗項イ目 メー 利用庖舗プ 全 体 タイ 高 中 イ忌 高 中 低 属 性 8..5 8 2 6 1 8日 6 4 6..8 7 2 [ 商 品 ] 5 0 5 5 4 1 6 5 4 4 4..1 4 8 豊 富 3 8 5 1 0 1 0 8 .7 値 段 5 6 9 10 ..6 15 8 色・形・品質 4 3 3..8 2.7 3.5 2..7 l“9 3..1 ブランド 3 10 2 [底員] 親和 排斥 33 2.0 10 3.3 1.3 6 民 -wFhd 7 引6 凋 U T A り A 告 h 4 E 唱1 E i ム n 司 窃 " 今 ο ρ 0 " .7 ..4 1 [腐の雰囲気] 4 7 It
王
i
l
!
!
J
一
一
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
一
一
-
-
r
-
-
-
-
-
3
-
一一一一一
-
.
-
3
-
-
r
-
-
-
司
二
一
一
一
-
J
E
E
-
-
E
r
i
-
-
E
I
-
-379- ファッション庖イメージの内容分析 39 結 果 12 3 9.2 5.6I 14 0 5 0 7 1 7 8 8 0 ﹃ υAHvnJqJ-nuqJAHV7 ・ -qUFOqd-nw 一 , , 1 ム A 住 民 υnhu-a ・ 4 ・・唱 E ム -の , & 噌 a ' a -4 ・ ・ F 4 E・ 0 8 0 1 1 一 840A5 一 9 4 5 一 B 一 5 一 9 1 5 一 4 。 , ‘ 守 i 一 唱 E -一 7 3 1 一
ι
一 4 1 一 9 6 3 一 3 一 9 一 1 6 1 一 3 0 一 0 5 5 一 日 一 5 5 一 0 5 5 一 日 一 O 5 0 0 5 一 一 句 4 唱 i -a a y q J F 咽 E 司 咽 E e p U の L つ ゐ 唱 i l t i l -l i t h i -I l l 1 1 1 1 l l r l s t i l l i -I l l 1 1 1 1 1 L l J I l l 1 1 1 1 t 1 1 J L i l l i -﹁ i B I t -I I l l 1 1 1 1 1 ﹄ t a l l --ト I l l 1 凋 件 マ ム ウ a 令 u n d -守 'nLFhdnv 一 守 , A A n J -n o -a o 1 ム つ れ ︼ つ u q J -内 4 1 -1 1 一 今 , ‘ 。 L q L 。 , “ P O 一 司 4 F D Q U O D -哩 ' A Y つ & 一 司 , ‘ -03 っ “ つ uη'aOO-Rd 内 , ‘ 吋 t ム -m , ‘ -4Ba ・ 4EE----0 5 0 3 3 一 3 3 3 8 一 0 8 3 一 日 一 8 一 5 0 3 一 3 内 4 1 A -a a T n J -4 1 -4 1 ・ a d τ i 1 A -4 1 5 6 1 1 1 I l l i t -l l E h t f l i l l i t --ド1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 6 4 L i l l i -I l l i b -l i r 1 1 1 1 1 1 ぃ l l s ' i l l 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 2 1 1 1 1 1 1 1 1ト 1 1 1 1 果 一 ル 一 一 一 ジ 一 品川・ 9 -ィ -] -] 一 問 価 的 一 ] タ 一 響 一 ] 一 果 ス メ 一 ] 手 評 次 一 価 ス 一 影 一 動 一 効 ク ル イ 一 見 の 副 一 評 果 ・ 価 一 の 一 行 一 的 ツ 一 い る 一 発 ] 間 程 定 の 一 の 結 じ 評 一 へ 一 択 一 理 レ ロ し え 一 ・ 程 時 過 決 中 一 口 問 的 感 的 一 動 係 外 一 選 一 心 プ ト 楽 与 一 現 過 索 択 志 択 一 商 銭 た 期 一 活 関 以 一 時 一 時 ン ン 情 に 一 表 買 探 選 意 選 一 択 金 着 長 一 の 服 服 一 周 一 周 コ コ 感 人 一 己 購 一 選 一 他 一 着 一 着 一 自 ﹁ L 一 ﹁ L -F I L -﹁ L -﹁ L 目 ﹁ L 価 値 2.3 1 1 12 I 3 5 1 2 a u T 可 i 噌i 守i 唱 i -a o n L の L 旬 i n L a n τ ] 一 一 一 1 一 4 一 一 1 1 1 4 1 1 一 : 一 4 l i -一 日 一o
一 O 一 5 5 5 5 一 一 角 , ゐ マ l ム 噌 E よ F4 ・ ・ 3 一 1 2 一 一 9 2 1 1 3 2 2 一 一 2 1 一8 2 3 2 1 1 0 5 3 一 3 一 3 5 一 一 8 一 ] 一 認 活 生 値 一 ] 承 生 人 価 的 心 な 信 一 値 心 的 属 い な 的 上 能 一 価 尊 会 し 適 具 知 向 有 白 一 終 自 社 所 楽 快 進 一 最 ﹁ L -﹁ L 合 計 23..0 18 5 12 9 I 25..5 12..3 14 4 I 16 240 第62巻 第4号 -380
が含まれる。最終価値はお好みの最終状態であり,自尊心,社会的承認,所属,
楽しい生活,快適な人生が含まれる。 Gutman(1984),Gutman
&
Alden(1985)およびReynolds& Gutman (1988)の研究において価値に上がっている項目は
ほとんど最終価値である。道具的価値は結果に含まれるもの場合がある。 3.. 抽象度別反応数の分析 反応数が都市・利用庖舗タイプによって異なるかを対数線形モデルによって 分析した。すべてのモデ、ルを分析し, AIC(赤池情報量基準)によって最適モデ ノレを推定すると,モデル
1
[都市,庖舗タイプ] [利用庖舗タイプ,抽象度], モデル2 [都市,利用庖舗タイプ] [抽象度]の 2つのモデノレが, AIC=
-5.. 41 (df=
6), -5..02 (df=
10) とよく当てはまる。 AICが小さいほどモデルが いいが,その差が1から 2以上ある場合にはっきりした差がある場合である。 節約の原理を当てはめるとモデル2
がよい。モデル2
には,抽象度と他の変数 との交互作用がなく,抽象度は都市,利用庖舗タイプによって比率がかわらな い。ただ,モデルIを考慮すると利用庖舗タイプにより抽象度が異なり,高タ イプ庖舗利用群は属性の反応、率が低い傾向がある。 各抽象度別に反応数を対数変換したものを従属変数として庖舗タイプ×都市 の2元分散分析する。属性は交互作用,主効果とも 5 %水準で有意な差がない。 結果および価値は主効果の利用庖舗タイプのみに有意な差がある(各p = .024, .033)。多重比較したところ,結果,価値とも高タイプ庖舗利用群と中低 タイプ届舗利用群との聞に差があった。高タイプ庖舗利用群は反応、率のもっと も少ない属性でも他群と同じ程度であり,結果,価値は他群よりも有意に反応 数が多い。属性レベルはすべて同じ程度反応するが,結果,価値レベルは高タ イプ庖舗利用群が数多くの反応をしている。抽象度の反応数,反応ノTタンに関 (9) Peter& Olson(1987)は心理社会的結果は道具的価値と区別しにくいと述べている。そ れにもかかわらず同じパラグラフに,属性と結果,価値との区別はかなりはっきりしている とも述べている。この矛盾を解消するには道具的価値は結果に含めることが考えられる。し かし, Rokeachの価値の概念に従い道具的価値と最終価値を価値の中に含めた。 (10) 対数線形モデル, AICについては松田(1988),堀(1989)参照のこと。 (11) 以下の記述ではF値の記述を省略し,有意性の確率だけを記述する。381- ファッション庖イメージの内容分析 して,高松,横浜の都市聞に有意な差はない。
4
"
各項目の分析 41 各項目の平均反応数は表4
にある。各項目の頻度を対数変換したものを従属 変数として交互作用を除いて利用届舗タイプ×都市の2
元分散分析をする。 個々の項目では平均および分散がOとなるセルがあるため交互作用項を誤差に 含めたものである。交互作用項を誤差項に含めないで分析しでも Oのセノレが多 くないものについては同様の結果を得ている。以下は10%水準の有意な差が あった項目を記述している。有意性の確率は( )内に示している。多重検定 結果は5%
で有意な差のあった項目だけを記述している。 (1)利用庖舗タイプ聞の相違 利用庖舗タイプ聞に差がある項目が多くある。高中低各タイプ聞に5%
水準 の有意差があるのは「感情(楽しい )J(p=,002)である。高タイプのほうが買っ た服を着て楽しい,うれしい気持ちが生じてくる。中タイプ届舗利用群と低タ イプ庖舗利用群との聞に有意な差が生じたのはこの項目だけである。 高タイプ庖舗利用群と中・低タイプ居舗利用群に有意な差が生じたのは「庖 員への親和J (p=ゎ007),r選択商品の評価J (p二 十081)およびその下位項目の 「着た感じ・スタイルJ (pニ“003),r着用時心理的効果J (p=009)およびそ の下位項目「人に与えるイメージJ (pニρ73),r道具的価値J (p=OOl)およ びその下位項目の「知的J (p=018) r向上心J (pニ,,003)r自信J (pニ,011) である。すべての項目において高タイプ庖舗利用群の言及が多い。高タイプ庖 舗利用群は庖員と懇意にし相談をよくし,着た感じゃスタイノレに気を配り,着 用時の心理的効果とくに人に与えるイメージ考慮し,楽しく感じ,道具的価値 に自信をもっている。 高タイプ庖舗利用群と中タイプ庖舗利用群の聞でのみ有意差のある項目は 「コントロールJ (p=061)だけである。高タイプ庖舗利用群がより多く言及 する傾向がある。なお,最終価値の「楽しい生活」は高松のみにしぽるとp=022 の有意差があり,高タイプ庖利用群が多くの言及をしている。 全体的に高タイプ庖舗利用者は積極的言及を行なっている。高タイプ庖舗利42 第62巻 第4号 382ー 用者は,属性では「庖員への親和」のみが多いが,結果および道具的価値では 全般的に言及が多い。 DCブランド庖を中心とする中タイプ庖舗利用者と量販 屈を中心とする低タイプ庖舗利用者聞に大きな差があることが期待されたが, 有意な差があったのは「感情J,つまり,服を着て楽しいかどうかという点だけ であった。
(
2
)
都市聞の相違 高松と横浜では商業施設の違いなどを反映し,地域差のある項目がある。 高松と横浜では,高松に「庖員」への言及が多く (p= 009),そのなかでも 特に「届員への親和」的言及が多い (p二0
1
2
)
0 rJ苫員への親和」的言及は利用 屈舗タイプにも差があった (p=..007)。高群と中低群との聞に有意差を見いだ している。発言内容を検討すると高松では,特に,高松の高タイプ庖舗利用群 はストアロイヤルティが高く,庖員のアドバイスを真剣に受け止めており,庖 員からの情報収集を積極的に行なっている。高松の中タイプj吉舗利用群の一部 もストアロイヤlレティが極めて高く,庖員と懇意になってファッション以外の 話をすることもある。高松および横浜の低タイプ庖舗利用群は庖員と話をする ことをなるべく避けようとしている。横浜ではごく一部を除いて庖員と真剣な 相談は行なわれていない。庖員と話をする場合は庖員の一方的話しかけか,他 の色があるか,この服は入ってくるのかなどの在庫管理的な質問が中心である。 高松の一部の層(特にファッションに関与が高いもの)は屈員をファッション リーダーとして位置づけているが,横浜ではほとんどのものがファッション リーダーとして庖員をみておらず,まさに庖員さんと思っている。 結果の選択商品の評価のうち「長期的評価」は横浜の学生に比べ高松の学生 のほうが言及する傾向がある (p=..055)。高松では「お嫁入りのときに持って 行ける」に代表される「ものを大事にする」価値観が残っている。 価値については道具的価値の「有能な」が高松で言及されている (p=..095)。 高松群が有意義に才能や物を使用できることを望んでいる。383- プアツション庖イメージの内容分析 43
I
V
討 論 高松,横浜の女子大生のファッション庖に対するイメージを明らかにするた め , 梯 子 登 り 法 の 内 容 分 析 か ら 盾 舗 イ メ ー ジ を 特 徴 づ け た 。 Gutmanと Reynoldsの枠組みに従い,抽象度を属性,結果,価値の3段階にわけ,それぞ れをさらに細かく分類した(表3)。高松,横浜の大学所在都市と利用庖舗タイ プによってその反応が異なることを示した。単純に各庖舗の利用者に対応する イメージを類型化すると次のようになる。高タイプ庖舗利用群では,服を買っ てそれを着ること自体も楽しいが,さらに服を着て楽しい生活ができることが 望んでいる。中タイプ庖舗利用群では,服を買う喜び,服を組み合わせる喜び に焦点をあわせ,服の着こなしを教える展示や庖員の示唆の必要がある。低タ イプ庖舗利用群ではドアがないとか屈に活気がある,庖員がよっていかないな どの入りやすさと試着しやすさが重要でトある。 都市による差はとくに庖員に対する評価の違いが大きい。高松では庖員に親 和的イメージを持っているものが多い。横浜では庖員の在庫管理的能力,高松 では庖員の接待能力およびファッションセンスが問われている。 次に庖への入りやすさについて検討する。入りにくい理由として届員を挙げ ているのは高松・横浜とも共通でトある。有意な差はなかったが,高松,横浜と も低タイプ庖舗利用群は「庖員がよってこないJrついてこない」などが入りや すい理由となっており庖員に威圧感を感じている。低タイプ庖舗利用群が「庖 員がよってこない」のほかに r庖員がレジで話している」などを肯定的に語る のも庖員の威圧感を避けたいということを表わしている。威圧感を感じる前提 として庖に入ったら買わないといけない,悪いという意識がある。これは庖か ら出やすいことが関係していることを示す。つまり,出やすいということが実 は入りやすいの重要な要素となっている。「スーと入ってスーと出れる」という 反応がこの関係をもっともよく表わしている。「絶対に好きな商品がある」から 安心して入ることができるというコメントも「入ると買わないといけない」と44 第62巻 第4号 384 いう強迫観念を表わしている。このように消費者側のもっている考えが底のイ メージに大きな影響をもっ。同じ庖員がよってきても,庖員と懇意になること を望むタイプはよいイメージを持つが,それを拒否するタイプには嫌な庖にな る。従来一律に庖舗イメージを求める傾向があるが,消費者のタイプ分けが重 要である。一律の庖舗イメージでは,調査しないでもわかる問題点しか見えて こない可能性が高い。 庖舗イメージとして表
3
の内容をすべて取り入れるべきなのか,それとも もっと厳密に庖舗要因とそれ以外の要因を分離するべきなのかという問題があ る。ほとんどの属性要因と結果の購買過程要因については庖舗イメージを構成 していると異論なく認められるであろう。「着用時の心理的効果」になると微妙 になってくる。しかし i着用時の心理的効果」そのものが庖舗イメージとは考 えにくいが,庖舗イメージの鍵になっている。この服を着ると楽しくなります, この服を着ると人前でも恥ずかしくないですよ,頭がよくみられますよ,セン スのよさがあふれますよ,そんな服がおいてありますと宣伝することができる。 宣伝のキーワードとして使用できる「着用時の心理的効果」こそがその庖の象 徴性を表わしている。そして i着用時の心理的効果」は「品質がよい」では捕 まえきれない次元を明確にしている。庖舗イメージとして「着用時の心理的効 果」のことばのままを想定することは難しいが,この側面をうまく捉えてこそ 庖舗イメージの象徴性を捕まえることができる。その他の結果,価値に関しで も同様に,この庖のファッションはあなたに「社会的承認」を与えます i快適 な生活」を与えますというイメージをつくりだすことが大切である。ここで提 示した庖舗イメージは多様であまりにもいろいろな内容を含みすぎているかも しれないが,そのすべてが底舗イメージに対し重要な示唆を与える内容である。 さらに,この結果や価値にある内容こそが,広告およひも商品開発ではコンセプ トとして活用でき,小売庖としては商品説明に使用できるものである。P
e
t
e
r
s
o
n
&K
e
r
i
n
(l9
8
3
)
は庖舗イメージ研究を展望し,心理学的研究が愛顧 行動にほとんど関係のない無関連次元に焦点をあてている可能性を指摘してい る。本研究では,利用庖舗タイプや都市にによって言及頻度に違いがあること-385ー ファッション底イメージの内容分析 45 から内容の一部については愛顧行動と関係することを傍証している。しかし, 今後さらに,いろいろな問題を考慮しつつ,庖舗イメージのなかで本当に重要 な要因は何かということをあきらかにしていかなければならない。 本研究は女子大生に限られており,サンプルも少ない。多くのサンプルをとっ た研究,また様々な層の消費者においてのいろんな屈舗タイプ・業種に拡張し た研究がさらに望まれる。 引 用 文 献
Beny, L L 1969 The components of department store image: A theoretical and empiri -cal analysis ]ournal
0
/
Retailing, 45(1), 3-20Emmons, R A. 1989 The personal striving approach to personality in L A Previn (ed) Goal Concψts in PersonaliかandSoaal Ps.Ychology New Jersey: LEA, 87-126 Engel, l F, Blackwell, R D, & Miniard, P W.. 1986 Consumer Behavior: 5th ed
New York: CBS College Publishing
Gutman, , 1J 982 A means-end chain model based on consumer categorization processes fournal
0
/
Marketinι46(2), , 60-72Gutman, J 1984 Analyzing consumer orientations toward beverages through means-end chain analysis Ps.Ycho1ogy & Marketing, 1(3/4), 23 -43
Gutman, J & Alden, S D 1985 Adolescents' cognitive structures of retail store and fashion consumption: A means-end chain analysis of quality J J, acoby & J C Olson (eds) PerceivedQuality. Massachusetts: Lexington Books 99-114“
Gutman, J & Reynolds, T J 1, 979 An investigation of the levels of cognitive abstrac -tion uti1ized by consumers in product differentiation inl Eighmey (ed) Attituゐ Resωrch under the Sun I1linois: American Marketing Association. 128-150 Gutman, ,J & Reynolds, T.J 1986 Coordinating assessment to strategy development:
An advertising assessment paradigm bases on the MECCAS model in J.O1son & K Sentis (eds.) Advertising and Consumer Ps.Ychology. New York: Praeger 242-258
博報堂生活総合研究所編 1989 オイコット・ライフ につかん書房 堀啓造 1989 クロス表分析についての覚え書き 計算センター便り(香川大学計算セン ター),第20号,7-68. 堀啓造 (投稿中) 高イメージ底と低イメージ庖の消費者の認知構造 広告科学 Jain, A. K & Etgar, M.1976/77 Measuring store image through multidimensional sca -ling of free response data fournal of Retailing, 52(4), 61-70,92-93.
46 第62巻 第 4号 -386-小島健司 1977 ストア・イメージ研究の現状と課題 アカデミア(南山大学 経済経営学
編入57号,119-154
Kunkel, J H. & Berry, L L 1968A behavioral conception of retail image fournal oj
Marketing, 32(4, part1), 21-27
Lindquist, J D..1974/75Meaning of image: A survey of empirical and hypothetical evidence fournal
0
/
Retailing, 50(4), 29-38Martineau, P 1958The personality of the retail store Harvard Business Review, 36(1), 47-55
松田紀之 1988 質的情報の多変量解析朝倉書庖
Mazursky, D.
&
Jacoby, J 1986Exploring the development of store images fournal oj Retailinι62(2), 145-165 Myers, R H.1960Sharpening your store image: A walk-out research study fournal oj Re品目ilinι 36(3), 129-37 日本商工会議所 1987 商業近代化地域計画に関するマニュアル 日本商工会議所 野口智雄 1986a購買生活観と庖舗特性 中京商学論叢, 33 (2), 53-101 野口智雄 1986b 消費者の底舗評価基準と商品分類 中京商学論叢, 33(4),65-93 Olson, JC
&
Reynolds, T.l1983 Understanding consumers' cognitive structures: Implications for advertising strategy in L Percy & A G..Woodside (eds)Advertising and Consumer. Psyじhology Massachusetts: Lexington Books 77-90Pathak, D.. S, Crissy, W..J E, & Sweitzer, R W 1974/75Customer image versus the retailer's anticipated image fournal oj Retailing, 50(4), 21-28, 116
Peter,
J
P & Olson,J
C 1987Consumer Behavior Illinois: IrwinPeterson, R A. & Kerin, R A 1983Store image measurement in patronage research: Fact and artifact in W..R Darden & R F.. Lusch (eds)Patronage Behavior and Re削J
Management New York: North Holland 293-306
Reynolds, T J & Gutman,
J
1984Advertising is image management fournal ojAdvertisiηg Rιseanh, 24(1), 27-37
Reynolds, T.
J
& Gutman, J 1988Laddering theory, method, analysis, and interpreta-tion, Iournal
0
/
Advertising Reseanh, 28(1), 11-31Reynolds, T.J & J amieson, L F.1985Image representaions: An analytic framework
J Jacoby & J C Olson(eds.)Perceived Qualily Massachusetts: Lexington Books
115-138..
Rokeach, M.1973 The Nature
0
/
Human Values. New York: The Free Press流通政策研究所 1986 多目的買物行動に関する研究調査報告書 流通政策研究所
佐々木土師二 1988 購買態度の構造分析 関西大学出版部
-387- ファッション庖イメージの内容分析 47 Retai1ing, 37(2), 40-48 Zimmer, M. R & Golden, L.. L 1988 Impressions of retail stores: A content analysis of consumer images Journal