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能性を示した < 方法 > M-CSF RANKL VEGF-C Ds-Red それぞれの全長 cdnaを レトロウイルスを用いてHeLa 細胞に遺伝子導入した これによりM-CSFとDs-Redを発現するHeLa 細胞 (HeLa-M) RANKLと Ds-Redを発現するHeLa 細胞 (HeL

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Academic year: 2021

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学位論文の内容の要旨

論 文 提 出 者 氏 名 秦野 雄

論 文 審 査 担 当 者 主 査 竹田 秀

副 査 北川 昌伸、山口 朗

論 文 題 目

Tumor associated osteoclast-like giant cells promote tumor growth and lymphangiogenesis by secreting vascular endothelial growth factor-C

(論文内容の要旨) <要旨>

破骨細胞様巨細胞 (Osteoclast-like giant cell, OGC) を伴う腫瘍の症例報告はあるが、OGCの 腫瘍環境における機能的役割はあまり知られていない。本論文では腫瘍内にOGC分化を誘導する モデルを作成して、腫瘍の表現型に与える影響を検討した。まずmacrophage colony-stimulating factor (M-CSF)を発現するHeLa細胞とreceptor activator of nuclear factor-κB ligand (RANKL) を 発現するHeLa細胞を作成した。これら2種類の細胞と骨髄由来単核球を混合培養することで、破 骨細胞様細胞分化が誘導できることをin vitroで確認した。さらに免疫不全マウスの皮下に移植す る実験によって、in vivoでもOGC分化を腫瘍内に誘導できることが確認できた。OGCを有する腫 瘍は、遺伝子導入をしていないHeLa細胞やM-CSF、RANKLのみを発現しているHeLa細胞によっ て形成された腫瘍と比較して有意に大きく、組織学的にはマクロファージ浸潤やリンパ管新生が 亢進していた。OGC分化に伴いvascular endothelial growth factor (VEGF)-CのmRNA発現レベル が上昇していることがin vitroで確認され、VEGF-Cを高発現するHeLa細胞はOGCを有する腫瘍と 類似した表現型を呈した。追加実験と併せて、OGCが分泌するVEGF-Cがリンパ管新生促進とと もに、血管透過性亢進やマクロファージ遊走促進を介して腫瘍増大に寄与している可能性を示し た。 <緒言> 近年、腫瘍の増大・浸潤・転移といった腫瘍実質細胞の性質に、線維芽細胞や免疫細胞といっ た腫瘍間質細胞が影響を与えることが知られるようになった。免疫細胞の中では、M2タイプのマ クロファージが腫瘍の悪性化に関連していることが多くの論文で報告されている。OGCも腫瘍間 質の免疫細胞の一つと考えられ、OGCを有する腫瘍が甲状腺、肺、乳腺、胃、肝臓、膵臓、膀胱、 子宮、皮膚などで報告されている。OGCと破骨細胞の表面マーカーは共通しており、腫瘍細胞が 発現しているM-CSFやRANKLにより骨髄由来の単球系細胞がOGCに分化することが報告されて いる。OGCと腫瘍の悪性化との関連は不明の点が多く、腫瘍が発生する臓器によっても患者予後 に与える影響が異なることが報告されている。本論文では、子宮頸癌細胞株であるHeLa細胞を用 いて、OGCが腫瘍増大やリンパ管新生といった悪性を示唆する表現型に積極的に関与している可

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- 2 - 能性を示した。

<方法>

M-CSF、RANKL、VEGF-C、Ds-Red、それぞれの全長cDNAを、レトロウイルスを用いてHeLa 細胞に遺伝子導入した。これによりM-CSFとDs-Redを発現するHeLa細胞 (HeLa-M)、RANKLと Ds-Redを発現するHeLa細胞 (HeLa-R)、VEGF-CとDs-Redを発現するHeLa細胞 (HeLa-VC)を得 た。細胞株は10%ウシ胎児血清を含むDMEM培地で5%CO2/95%air、37℃で培養をおこなった。 それぞれの細胞増殖が異ならないことを確認するため、in vitroで培養し、経日的に細胞数をカウ ントした。

In vitroでの破骨細胞様細胞分化を評価するため、HeLa、HeLa-M、HeLa-R、HeLa-MとHeLa-R の混合 (HeLa-M + -R)、の4種類の細胞をそれぞれddYマウス由来の骨髄単核球と共培養し、7日 目に破骨細胞を特異的に染めるTRAP (tartrate-resistant acid phosphatase) 染色で評価した。In

vivoでのOGC分化とその役割を評価するため、免疫不全マウスであるTie2-GFP/Rag1-/- マウスの

皮下に、それぞれのHeLa細胞を接着させたコラーゲンスポンジを移植し、5週間観察後に組織切 片を作成した。単球・マクロファージの分布は抗CD11b抗体を、リンパ管分布は抗LYVE-1 (lymphatic vessel endothelial receptor 1) 抗体を用いた免疫染色によって評価した。また抗 LYVE-1抗体による免疫染色後にTRAP染色をおこなうことで、OGCとリンパ管の位置関係を評価 した。

OGC、VEGF-Cが血管透過性に与える影響を評価するため、HeLa、HeLa-M + -R、HeLa-VC、 をそれぞれコラーゲンスポンジに接着させて、Tie2-GFP/Rag1-/- マウスの皮下に移植後3週間目 にEvans blue尾静注30分後に摘出し、1N KOH、0.6N H3PO4 / acetoneを用いて色素溶出し610nm

吸光度を測定した。またVEGF-Cとマクロファージ遊走の関係を調べるため、M-CSF存在下で5 日培養後にLPSで24時間刺激したddYマウス由来の骨髄細胞をトランスウェルインサート (24well, 8μm pore size) 上層に、下層にVEGF-Cを含む培地をいれて3時間後に遊走した細胞数を 計数した。

<結果>

In vitroでの細胞増殖率はHeLa、HeLa-M、HeLa-R、HeLa-M + -R、HeLa-VC、いずれにおいて も有意差は認めなかった。また骨髄由来単核球との共培養において、HeLa-M + -Rのみが破骨細 胞様細胞分化を誘導できた。

同様にin vivoにおいてもHeLa-M + -Rより形成された腫瘍内にのみOGCを認め、HeLa-Mのみ、 HeLa-Rのみによって形成された腫瘍内にはOGCは認めなかった。組織切片においてOGCは腫瘍 の周辺に分布し、OGCを有する腫瘍はそうでない腫瘍と比較して移植5週間後の腫瘍径は有意に 大きかった。 破骨細胞分化の過程でVEGF-C発現が上昇することが報告されており、in vitroでVEGF-Cの mRNA発現を調べたところ、破骨細胞様分化に伴ってその発現が上昇していた。そこで、腫瘍組 織におけるリンパ管を抗LYVE-1抗体で免疫染色したところ、OGCを有する腫瘍においてリンパ 管新生が著明に亢進していることが明らかとなり、リンパ管が存在している領域はOGCが分布し

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ている領域と近接していた。 次に腫瘍増大においてVEGF-Cが関与している可能性をin vivoでのHeLa-VCの増殖を指標に評 価した。その結果、HeLa-M + -Rにより形成された腫瘍とほぼ同等の増大を示すことが明らかに なった。HeLa-VCによって形成された腫瘍においてリンパ管新生を認めたが、OGCは認めず、腫 瘍内の一部には間質液貯留を認めた。 VEGF-Cによる腫瘍増大メカニズムとして、血管透過性亢進とマクロファージ浸潤の増加が考 えられた。追加実験の結果、HeLaによって形成された腫瘍と比較して、HeLa-M + -Rにより形成 された腫瘍で有意に血管透過性の亢進がみられ、HeLa-VCで形成された腫瘍においても同様の傾 向が示された。HeLa-M + -Rによって形成された腫瘍は他の腫瘍と比較して、有意にマクロファ ージ浸潤が増加しており、HeLa-VCにおいてもやはり増加していた。In vitroでマクロファージの 遊走をみたところ、LPS刺激マクロファージがVEGF-Cに対する遊走を示すことが示された。 <考察> 本論文において、OGCを有する腫瘍のモデルを作成するとともに、腫瘍環境においてOGCが果 たす役割に関して検討を行った。破骨細胞分化にM-CSFとRANKLが必要十分であることが知られ ているが、HeLa-MとHeLa-Rを混合することで、OGCの分化誘導がin vitro、in vivoの両方におい て可能であることが明らかとなった。これは骨のない軟部組織においてもM-CSFとRANKLの発現 があればOGCを誘導できる可能性を示唆しており、様々な病態におけるOGCの役割を検討する方 法として有用なモデルである。 今回の研究において、HeLa-Mのみ、あるいはHeLa-Rのみによって形成された腫瘍は、親株の HeLa細胞とほぼ同等の大きさであり、M-CSFとRANKLが同時に存在する環境下においてのみ著 明な腫瘍増大効果を認めた。つまりOGCが腫瘍環境に形成されることが、腫瘍増大に重要である と考えた。 腫瘍におけるVEGF-C発現はリンパ管新生を介して、腫瘍のリンパ行性転移および血行性転移 を促進するため腫瘍の悪性化因子の一つとして知られている。破骨細胞はRANKLによる分化誘導 の過程でVEGF-Cの発現が上昇することが報告されており、今回の研究においても同様の結果が 確認された。またOGCを有する腫瘍において腫瘍周囲のリンパ管新生が促進しており、OGC由来 のVEGF-Cがリンパ管新生に働いている可能性が強く示唆された。 さらに今回の研究ではHeLa-VCによって形成された腫瘍が、OGCを有する腫瘍と同等の腫瘍増大 効果を有することが示され、VEGF-Cが腫瘍増大に積極的に関与している可能性を示唆した。 VEGF-Cはリンパ管内皮細胞に発現するVEGFR-3を介したリンパ管新生や、血管内皮細胞に発現 するVEGFR-2を介した血管透過性亢進に働くことが知られている。また最近ではマクロファージ 上に存在するVEGFR-3を介したマクロファージ遊走への関与も報告されている。実際にOGCを 有する腫瘍において有意に血管透過性は亢進しており、HeLa-VCによって形成された腫瘍におい ても同様の傾向がみられた。ただHeLa-VCによって形成された腫瘍における血管透過性亢進が OGCを有する腫瘍と同等にならなかった原因として、機能的なリンパ管新生が乏しいために、血 管透過性亢進に伴う間質液の貯留が間質圧増大につながり、血管透過性亢進に拮抗的に働いたこ とが考えられた。以上の結果から、VEGF-Cを介した血管透過性亢進によって血中の増殖因子が

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- 4 - 豊富に腫瘍環境に供給されることが、腫瘍増大の一つの原因として考えられた。 また今回の実験においてOGCを有する腫瘍、HeLa-VCによって形成された腫瘍においてマクロ ファージの浸潤が増加しており、in vitroでも活性化マクロファージがVEGF-Cに対する正の走化 性をもつことが示された。腫瘍浸潤マクロファージが腫瘍増大と関連しているとする報告があり、 OGCが発現するVEGF-Cがマクロファージの遊走を介して腫瘍増大に寄与した可能性が考えられ た。 <結論> 腫瘍内に分化したOGC は VEGF-C 分泌を介して腫瘍増大やリンパ管新生といったより悪性の 表現型形成に積極的に寄与している可能性が示された。

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論文審査の要旨および担当者

報 告 番 号 甲 第 4 6 6 0 号 秦野 雄 論文審査担当者 主 査 竹田 秀 副 査 北川 昌伸、山口 朗 (論文審査の要旨) これまでに病理学的な検討から、腫瘍局所において破骨細胞様巨細胞 (Osteoclast-like giant cell, OGC) が存在することが明らかとされている、その腫瘍環境における機能的役割は不明であ る。申請者らは、腫瘍内にOGC分化を誘導するモデルを作成して、腫瘍の表現型に与える影響を 検討した。まずmacrophage colony-stimulating factor (M-CSF)を発現するHeLa細胞とreceptor activator of nuclear factor-κB ligand (RANKL) を発現するHeLa細胞を確立し、これら2種類の細胞 と骨髄由来単核球を混合培養することで、破骨細胞様細胞分化が誘導できることをin vitroで確認 した。さらに免疫不全マウスの皮下に移植することで、in vivoでもOGC分化を腫瘍内に誘導でき ることを示した。OGCを有する腫瘍は、遺伝子導入をしていないHeLa細胞やM-CSF、RANKLの みを発現しているHeLa細胞によって形成された腫瘍と比較して有意に大きく、組織学的にはマク ロファージ浸潤やリンパ管新生が亢進していた。in vitro における検討から、OGC分化に伴い vascular endothelial growth factor (VEGF)-CのmRNA発現レベルが上昇していることが確認され、 また、VEGF-Cを高発現するHeLa細胞はOGCを有する腫瘍と類似した表現型を呈した。これらの 検討から、OGCが分泌するVEGF-Cがリンパ管新生促進とともに、血管透過性亢進やマクロファ ージ遊走促進を介して腫瘍増大に寄与している可能性を示した。 本研究は、腫瘍における OGC が腫瘍の増大に促進的に作用する可能性を明らかにした点にお いて、優れた研究であり、今後の腫瘍生物学、細胞生物学の進歩・発展に寄与するところが大き いと考えられた。

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