1 分子病態課題:電解質、酸塩基平衡、血液ガス異常 4/6 & 4/13
設問1
以下の症例1~4で(1)~(5)を考察せよ。 (1) アシドーシスか、アルカローシスか。 (酸血症 acidemia 或いはアルカリ血症 alkalemia?) (2) 代謝性か、呼吸性か? (3) 代償性の変化は適切におこっているか? (4) アニオンギャップは? (5) 原因は? 症例1~4は症例A~Dのどれに当たると考えられるか? 症例1 動脈血: pH 7.22 (正常値:7.35-7.45) pCO2 20 mmHg (正常値:35-45) HCO3¯ 8 mEq/l (正常値:22-26) 静脈血: Na 138 mEq/l (正常値:136-148) K 2.2 mEq/l (正常値:3.6-5.0) Cl 118 mEq/l (正常値:96-108) 症例2 動脈血: pH 7.32 pCO2 28 mmHg HCO3¯ 14 mEq/l 静脈血: Na 133 mEq/l K 5.8 mEq/l Cl 97 mEq/l 症例3 動脈血: pH 6.88 pCO2 40 mmHg HCO3¯ 7 mEq/l 静脈血: Na 135 mEq/l K 1.5 mEq/l Cl 118 mEq/l 症例4 動脈血: pH 7.44 (7.35-7.45) pCO2 42 mmHg (35-45) HCO3¯ 28 mEq/l (22-26) 静脈血: Na 150 mEq/l (136-148) K 1.9 mEq/l (3.6-5.0) Cl 108 mEq/l (96-108)2 症例A: 30歳、女性。半年くらい前から徐々に全身倦怠感が増強。診察時の検査で、BUN 130 mg/dl (正常値: 9~20)、クレアチニン 11.4 mg/dl (正常値: 0.5~1.0)である。 症例B: 38歳、男性。10年前から高血圧を指摘され、6年前から高血圧が悪化しているとい う。一過性の四肢麻痺の既往もある。身体所見としては血圧166/100 mmHg(降圧薬 服用中)、眼底Keith Wagener Ⅱ度の他には特記すべき所見はない。 症例C: 25歳、学生。既往歴なし。常用薬なし。1週間東南アジア方面を旅行して帰ってき たばかりである。脱力感、 立ちくらみなどの訴えとともに、3日間下痢をしている。 症例D: 35歳、女性。昏睡状態で救急室に担ぎ込まれてきた。1人住まいで、たまたま訪ね てきた妹が倒れているのを発見して救急車を呼んだ。この妹によると、患者は最近2 ヵ月四肢の脱力がだんだんひどくなっていることを訴えていたという。特に常用して いる薬はないという。
設問
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以下の症例について、考察せよ。 症例5 ときどきある四肢の脱力感を主訴に、26歳のやせた女性が来院した。症状は1年前 くらいからあり、頻度や程度は変わらない。神経学的に局在所見はなく、血圧122/78 mmHgと正常で、浮腫はみられなかった。検査では、BUN 14 mg/dl, Cr 1.3 mg/dl, Na 144 mEq/l, K 2.6 mEq/l, Cl 97 mEq/l、 動脈血血液ガスではroom airでpH 7.47, pCO2 46 mmHg, HCO3- 33 mEq/l、であった。
症例6 65歳男性、意識障害で救急車にて来院した。8年前から糖尿病の指摘を受け、3年前 よりインスリンの自己注射を行っている。5日前より、37℃台の発熱と下痢が持続、2 日前より食欲低下のためインスリン自己注射を中止していた。昨夜頻回に嘔吐してい たという。 来院時に、大きな声で呼びかけると開眼するが、すぐに目を閉じ痛み刺激に対して は払いのけ動作がある。体温37.9℃、胸部に湿性ラ音を聴取、浮腫はない。血圧112/68 mmHg, 脈拍114/min, 口腔, 皮膚乾燥著明,入院時血糖872 mg/dl, 尿糖3+,尿タン パク+,尿ケトン体3+,動脈血血液ガス (room air) pH 6.99, PaCO2 22 mmHg,
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HCO3¯ 8mEq/l, 血清Na 138mEq/l, 血清K 3.9 mEq/l, 血清Cl 104 mEq/l, であった。
症例7
46 歳、男性、10 年前より糖尿病を指摘され食事療法を行っていた。3 年前より視 力障害を訴え、光凝固を行ったが著明な改善は認められなかった。血圧160/96 mmHg、 血清生化学:Na 140 mEq/l, K 5.5 mEq/l, Cl 112 mEq/l, BUN 36 mg/dl, Cr 2.4 mg/dl、 動脈血血液ガス分析:pH 7.36, pCO2 32 mmHg, pO2 82 mmHg, HCO3¯ 18 mEq/l、 尿所見:タンパク(3+)、糖(2+)、潜血(-)、であった。 症例8 15 歳、男性。数年前より徐々に進行する易疲労感にて来院。身長 175 cm, 体重 80 kg。診察では血圧 103/61, 呼吸数 18/分, 酸素飽和度 SpO2 85 % (正常値: 95~100)。 両下肢に軽度の浮腫、口唇と指先にチアノーゼを認める以外著変なし。 検 査 で は ヘ モ グ ロ ビ ン 16.8 g/dl (♂ 正 常 値 :13~ 15), 白 血 球 4,700, 血 小 板 199,000, BNP 117 pg/ml (正常値: 0~100), 動脈血血液ガスでは room air で pH 7.49, PaO2 65 mmHg, PaCO2 35 mmHg, HCO3- 22 mEq/l, 100% 酸素投与下で pH 7.45, PaO2 69 mmHg, PaCO2 35 mmHg, HCO3- 23 mEq/l。胸部単純 X 線では軽度の心拡 大が認められた。病態を考察せよ。
症例9
58 歳、女性。喘息の診断にて長期服薬していたが、最近半年は調子がよく勝手に服 用をやめていた。朝より呼吸困難が増強し、夜間に救急外来受診した。血液ガスでは room air で pH 7.30, PaO2 68 mmHg, PaCO2 60 mmHg, HCO3- 28 mEq/l。酸素投与 するとどの様な変化が見られると考えるか?
症例10
62 歳、男性。筋萎縮性側索硬化症で長年通院中。血液ガスでは自発呼吸・room air でpH 7.34, PaO2 65 mmHg, PaCO2 60 mmHg, HCO3- 38 mEq/l。酸素投与するとど の様な変化が見られると考えるか?
症例11
?歳、男性/女性? SpO2 82 %, 動脈血血液ガスでは room air で pH 7.41, PaO2 97 mmHg, PaCO2 39 mmHg, HCO3- 25 mEq/l。病態は?
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設問
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以下にカルシウム代謝異常の4症例を示す。 症例12. 65歳、女性。軽度の高血圧で外来通院中に血清Ca値 11.2 mg/dl (正常値: 8.4~10.0) を指摘された。 (1) 鑑別診断のために測定すべき項目は? (2) 酸塩基平衡はどうなっているか? 症例13. 35歳、女性。数年前から時に足が「つれる」ことがある。そのつど近医を訪れるが、 異常はないといわれていた。身体所見などに異常はない。他医で血清Caを測定したと ころ 6.5 mg/dlであった。血清アルブミン4.1 g/dl (正常値: 4.0~5.5)。鑑別診断は? 症例14. 23歳、男性。職業はバーテンダー。最近疲れやく、全身の骨に痛みがあるという。 血清Ca値 7.4 mg/dl, 血清リン値 2.2 mg/dl (正常値: 2.5~4.5), アルブミン 3.8 g/dl。 鑑別診断は? 症例15. 25歳、男性。ネフローゼ症候群で通院中。6.8 mg/dlの低Ca血症を指摘された。診 断は?5 理解のポイント: ■腎による酸・塩基の調節は3つの方法で ■酸塩基平衡とHCO3¯-H2CO3系、Henderson-Hasselbalchの式を理解すること。 (講義中に、この式の意義を説明してもらいます。) ■アニオンギャップとは何か、どの様に計算するか? 意味するものは? (講義中に、anion gapの計算式及び意義について説明してもらいます。)
6 ■高血圧を伴う低K 性代謝性アルカローシスの鑑別 (講義中に、この表について説明してもらいます。) レニン活性 アルドステロン濃度 原発性アルドステロン症 腎血管性高血圧 甘草等の漢方薬服用 Liddle 症候群 ■低酸素血症の鑑別 (講義中に、この表について説明してもらいます。) 低酸素血症の原因 PaCO2 A-aDO2 酸素の投与 肺胞低換気 換気-血流不均衡 拡散障害 短路 参考資料 代謝性アシド-シスの原因 1. Anion gap 正常 A. 重炭酸イオンの喪失 下痢 尿管S 状結腸吻合 acetazolamide(炭酸脱水素酵素阻害剤) B. 腎尿細管での水素イオン分泌障害 近位尿細管性アシドーシス 遠位尿細管アシドーシス、その他 2. Anion gap 増加(不揮発酸の産生過剰と蓄積) A. 内因性物質の代謝によるもの 乳酸性アシドーシス ケトアシドーシス(糖尿病性、アルコール性、飢餓性) 尿毒症 B. 外因性 メチルアルコールなど
7 代謝性アルカローシスの原因 1. 消化管からの酸の喪失 嘔吐 吸引などによる胃液喪失 2. 尿中への酸の喪失 鉱質コルチコイドの過剰 利尿薬の使用(サイアザイド系、フロセミド、エタクリン酸) 高 Ca 血症 (HCO3-再吸収を亢進) 3. 外因性のアルカリ投与 重炭酸ナトリウム クエン酸塩(輸血製剤に含まれる) 低カリウム血症の鑑別 1. 代謝性アシドーシスを伴う場合 下痢 腎以外からのK 喪失 尿細管性アシドーシス 腎からのK 喪失 2. 代謝性アルカローシス 高血圧を伴う 原発性アルドステロン症 腎からのK 喪失 腎血管性高血圧 甘草などの漢方薬服用 血圧正常 Bartter 症候群 偽Bartter 症候群 利尿薬服用 高カリウム血症の鑑別 1. K 過剰摂取 2. 細胞内からの K 遊離 アシドーシス、インスリン不足、など 3. 排泄低下 腎不全 低アルドステロン症、など Ca代謝異常の鑑別 1. 高カルシウム血症を伴うもの 1) 原発性副甲状腺機能亢進症(正所性ホルモン産生腫瘍) 2) 異所性PTH産生腫瘍 3) PTH以外の物質による高カルシウム血症(PTHrP) 4) ビタミンD中毒症
8 2. 低カルシウム血症を伴うもの 1) 特発性(原因不明)、偽性(受容体異常)、術後 2) ビタミン活性低下:V-D欠乏症、慢性腎不全、 V-D抵抗性くる病・骨軟化症 PTHの腎での作用 1. 腎尿細管からのCa再吸収↑、尿中Ca↓ 2. 尿中Pi排泄↑、尿中HCO3-排泄↑ 3. 腎での活性化ビタミンD3形成↑ 血清Ca 濃度とその存在様式 蛋白(主にアルブミン)結合Ca 4 mg/dl リン等と結合しているCa 1 mg/dl Ca イオン 5 mg/dl 総Ca 濃度 10 mg/dl