経済教育34号 179 では一定の成果を残しているものの,専門教育(経済 教育)の面からは,成果や意味が不明瞭であるため引 き続き検討したい。 PBL の可能性が議論となった。 (文責:炭谷英一) 第 3 分科会 第 3 分科会「学習者とともに経済教育の改善をめざ す─学会理念の継承と発展」 第 3 分科会は「30 周年記念分科会」と銘打たれてお り,この間の学会の歩みを振り返るとともに,その原 点の一つであった,学習者主体の経済教育の実践例を 検討するものであった。 第 1 報告は古参の中心的会員である,角田収(日本 大学)会員,三宅忠和(同非常勤講師)会員の「30 年の歴史を振り返って,学会の発展方向を考える」で ある。創設期以来の学会の歩みをよく知る二人から, 詳しいデータに基づく変遷と現状の分析が報告された。 本学会 30 年の貴重な総括報告だったと言える。すな わち,会員数は一時の減少が止まったが増加していな い。分科会報告は変動しつつ増えているが,内容は, 批判的な問題提起的論調の報告が減り,事例報告的な 内容のものが増えている。中高の教員の会員や報告の 増加は,当初の目標の一つの達成と言える。分科会が 数合わせ的になっていることと,報告者の固定化の傾 向は懸念される。─等々。フロアでは,「分科会報 告内容の変遷」については,時代に合わせた自然な発 展との受け止めとともに,そこに古参の功労者の感じ る一抹の寂しさのようなものへの共感が見られたよう に思う。 第 2 報告は,立命館大学経済学部学生自治会オリ ター団の赤井幸輝さん,堀川大地さんの「新入生を支 援する 76 名の「オリター(オリエンテイター)団」活 動の魅力と中高大の教員の皆さんへの要望」である。 オリターは,学生自治会の下部組織として「基礎演 習」に入り,新入生を学習面,生活面,交友面から支 援している。基礎演習では正課時間での担当教員のサ ポートに続き,サブゼミで学習の仕方等を教えている。 オリエンテーションのための各種のイベントも行って いる。アンケート結果から 9 割の学生に見られた「と まどい」を分析するに,大学側には大学生活をイメー ジさせる時間の確立を,高校側には何を勉強したいか を考える,大学と連携した教育を望む。質疑応答を通 じて,ピア・サポートは今でこそ各大学が活発化させ ているが,立命は歴史が長くその先見性に拍手を送る と同時に,立命では類似活動の横のつながりが弱く, 活動団体同士のネットワーク化が急務であろうとの感 想が出された。 第 3 報告は,立命館大学経済学会学生委員会委員長 の岩田雄大さんの「240 チーム 700 名が参加する「学 内ゼミナール大会」運動の発展史と課題」である。毎 年末に行われるゼミナール大会は,学生団体である経 済学会学生委員会が企画運営しており,教員は審査で 協力している。目的は賞レースではなく学術振興であ ることを心がけている。チームの大半は基礎演習・ゼ ミの一環としての参加だが,94%から「意識向上につ ながった」との回答が得られている。会場には,大学 間交流の場としてのインターゼミナール大会に学生時 代に参加した経験や,学生の参加の指導経験のある会 員が多く(例えば,北信越地区では小規模ながら数大 学が交流するインターゼミ大会が今でも毎年開催され ており,富山大学内での発表交流はその中間報告的な ものとなっている),立命館のゼミ大はそこにリンク していないことについて,今後発展を期待する声が出 された。 (文責:松尾匡) 第 4 分科会 第 4 分科会「地域の経済教育」は,金井萬造会員 (立命館大学)と佐藤進会員(松本新興塾)の 2 件の 報告となった。観光と農業,外と中,学生と事業者な ど,異なる立場の報告で,興味深い内容であったが, バスの遅延などもあり参加者も多くはなかった。 1 件目は,金井会員の「観光の現地と密着した振り 返りの実践的観光経済論の教育の進め方」をテーマと した報告であった。ご自身が担当される「観光経済論 (主に 3 回生対象の多人数講義)」などにおける授業実 践報告である。当該講義では,毎回「コミュニケー ションペーパー」の提出を学生に義務付け,教員が チェックして次の授業の冒頭でコメントするとい形式 で,学習内容の振り返り対応を行っていた。また,授 業期間内に 3 回の小テストを行うことで,理解度を確 認して進めていた。その他,ゼミなどの少人数授業に おいては,積極的に現地調査を行っており,その参加 者には「豊かな発想」が身についていくことが判明し ている。このような振り返り手法や実地調査と理論学 習を融合させた教育の重要性が報告された。 2 件目は,佐藤進会員の「地域リーダー育成の目的 と方法:中信地域の農業農村振興と営農リーダー育成 の経験から」をテーマとした報告であった。自らが塾 The Japan Society for Economic Education
第3分科会(分科会報告,大会報告 会務報告)
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