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食事を簡単に済ませたい 安く済ませたいなど 普段着の食の魅力 食事の値段は概ね5ドル~ 10ドル程度 豊富な種類の料理を1ヵ所のカート ポッドで楽しむことができる 味にこだわりのある人気店には行列もよくできる フードを出せないビール醸造所やショップなどと提携する店も多い ダウンタウンと郊外では違った

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Academic year: 2021

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FOCUS

【 FOCUS地域&経済 】

はじめに

 ポートランドは人口60万人程度ながら、その規模からは想像もできないほどの多くの外食産 業が存在すると言われている。友人や知人、そして家族と一緒に外食を楽しみながら同じ時を 過ごすことが、ポートランドではひとつの文化で、多様な食文化を生み出している。実際、 ポートランドのダウンタウンを歩くとレストラン、カフェ、パブを始めフードカートなどの多 様な業態の飲食店が多いことに驚く。  観光客にはよくわからないが、ポートランドの市街地は、「1ブロックのサイズを他のアメリ カの都市と比較して小さく設計されている」そうだ。これにより角地が増えることで、不動産 価値を高める都市開発の狙いからだとも聞いた。街角には1階部分にショップやレストランな ど飲食店があり、その多くが店前の歩道をテラス席に使っているからか、何となくポートラン ドでは飲食店の印象をより強く感じる。  ポートランドの料理人には、一つのサクセスストーリーが存在する。若い料理人は、まず フードカートで飲食業を始める。次いで一つの建物の中でバラエティに富んだ飲食業が一緒に 味を競うマイクロレストランで勝負をする。そこで評判を集め、リピーター客の獲得に成功し て、ついにレストランのオーナーシェフとなるのである。  筆者は今年1月末にポートランドに赴き、多くの飲食業態を訪れる機会を持った。特にフー ドカートとマイクロレストランについては、ダウンタウンや郊外での店舗様式やビジネス戦略 の違いや特徴がみられ、その多層的な食文化の一端を体験した。  そこで訪れた店舗関係者、複数の飲食業コンサルタント等からのヒアリングをもとに、ポー トランドの飲食業態の中からフードカートとマイクロレストランについて一考察を試みた。

1. フードカートとは

 まず始めに、本稿のテーマであるフードカートとマイクロレストランについて説明をしてみ たい。フードカートとは、文字通りに表現をすると「料理を提供する、又は食事ができるクル マ」とでもなろうか。日本でも最近はビジネス街でのランチタイムに現れ料理を提供するクル マを多く見かけるようになった。だいたいそのようなものをイメージしていただければ良いと 思う。  フードカートが、ポートランド市内に初めて登場したのは、約30年前と言われている。もは やポートランド飲食業態の特色の一つであると言って良いだろう。「カート・ポッド」と呼ばれ るフードカートが集まっている場所は市内にいくつもある。正確な数はわからないが、市内に は500とも600とも言われるフードカートが存在しているとの話である。  一口にカートのクルマと言ってもワゴン、バン、トレーラーやキャンピングカーなど様々で、 趣向を凝らしたペイントやボード等を使い、客の目を引くように工夫している。  フードカートの魅力や特徴をあげると以下のようなものがある。

進化を続ける米国オレゴン州ポートランド その飲食業態トレンドの一考察

~フードカートとマイクロレストランを中心に~

ぶぎん地域経済研究所 取締役調査事業部長 

松本 博之

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2. マイクロレストランとは

 マイクロレストランとは、通常のレストランではなく、ある建物の中に固有のキッチンス ペースを持った小型のレストランが集積しているもの。各レストランは、ほとんど席を持たな いで、概ね共有で各レストランの客が混在してカジュアルな雰囲気で食事をする。本格的な料 理を提供するものや、独自のコンセプトでレストランを集積させ人気を呼んでいるところもあ る。このような業態をポートランドでは「マイクロレストラン」と呼んでいる。  このように書くと、日本のショッピングセンター等で見かけるフードコートと同じようなも のと考えられる方も多いかも知れない。ポートランドのマイクロレストランは、ディストネー ション化(そこで食事をする目的で出掛ける)しており、買い物ついでに食事をするような日 本のフードコートとは「似て非なる」ものであると言える。  マイクロレストランの魅力や特徴、フードカートや日本のフードコートとの相違点をあげる と以下のようなものになる。 ◦フードを出せないビール醸造所やショップなどと提携する店も多い ◦ダウンタウンと郊外では違った出店形式が見られる ◦概ね3万ドル(約340万円)程度の資金でも出店が可能 ◦屋外であるため天候や気候によって売り上げが大きく変わってくる ◦ポートランドの特徴としてフードカートは移動させない ◦食事を早く済ませたい、普段着の食の魅力(価格は安いとは限らない) ◦新しい料理のトレンドを知ることもできる ◦豊富な種類の料理や酒類を一カ所で楽しむことができる ◦日本のフードコートのようにナショナルブランドの飲食店は、まず出店しない ◦味にこだわりのある人気店には行列もよくできる ◦「そこで食事をするためにでかける」というデストネーション型である ◦屋内であるため天候や気候によって売り上げはあまり左右されない ◦新しい料理等のマーケットリサーチのため人気店舗が実験店として出すこともある ◦「本格レストランのオーナーシェフ」へ、また多店舗化へのステップアップともなる ◦ダウンタウンと郊外では違った出店形式が見られる ◦食材は無農薬、地元(オレゴン産)に限る店が多い  (ポートランド市内の多くのレストランは、基本的にこの姿勢であるが・・) ◦食器の回収や洗浄を共同で一カ所に集約し省力化を計る事例もある ◦概ね10万ドル(約1,130万円ドル)程度の資金でも出店が可能 ◦施設のオーナー側がアルコール販売などの免許を取得することもある

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FOCUS

【 FOCUS地域&経済 】

3. フードカートとマイクロレストランの類別

 今回訪れたフードカートやマイクロレストランの数は限られている。しかしながら、この業 界に精通した現地コンサルタントのおかげで違った様式の店舗や現在の人気店などを訪問する ことができた。その中でフードカートとマイクロレストランを以下のように3つのタイプに類 別を試みた。  この類別はフードカートとマイクロレストランの業態を見るうえで、基準となるものではな いが、両者とも立地によりダウンタウンと郊外で明らかに業態が違っていたし、また新たなト レンドとしてフードカートは他業種と連携した出店も広がっている。またマイクロレストラン では、スーパーマーケットのスペースを上手に、かつ大胆に利用した店を見ることができた。 立地と新旧といったメジャーで類別したフードカートとマイクロレストランについて、次に写 真を交えて紹介する。

4. フードカートの類別

⑴ダウンタウン型  まずダウンタウンの中心部にあるフードカートを紹介する。このフードカートが集積する カート・ポッドはポートランドのダウンタウンの中心地の一角にある。左上の写真でおわかり のように、フードカートが立錐の余地がないように軒を並べている。大通りに面した1ブロッ クがすべてカートで埋め尽くされている。店の料理のジャンルがバラエティに富んでいる。 ざっと見ただけでもハンバーガーやホットドッグのアメリカ料理、メキシカン料理は当たり前、 中華、韓国、インド、タイ、アラビア、ハワイアンや“日本料理っぽい”ものまで多くの国の 料理が楽しめる。人気店であろうカートでは行列が出来ているところもある。ランチタイムで あったため周囲のビルからのビジネスマン、ビジネスウーマンや観光客で賑わっていた。買っ た料理は、オフィスへ持ち帰る人、タイミング良く数少ないカートの客席を確保できた人、ま たベンチで食べる人など様々である。 フードカート ▪ダウンタウン型 ▪郊外パーク型 ▪複合業種型 マイクロレストラン ▪ダウンタウン型 ▪郊外型 ▪マーケットプレイス型 カート・ポッドの周りはオフィスビル ランチを求めるビジネスマンや観光客 ダウンタウン中心部 1ブロックすべてがフードカート

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⑵郊外パーク型  次はダウンタウン中心部から20分ほどクルマで走ったところにある郊外パーク型のフード カートである。クルマの往来が激しい大通りに面した一角にカートを集積させ、20店舗ほどで 営業している。周辺には住宅地が広がり、客の多くは自家用車でフードカートを訪れる。駐車 場を始め、ATM、トイレ等も完備。パークの中心に各店舗の客が自由に利用できるテント(暖 房器具あり)が設置されていた。その他、各カートの近くには、こちら共有のベンチも置かれ ている。さすがに「1月下旬、曇り空、寒い水曜日の午後」という悪い条件が重なったせいか、 来店客は我々を除いて1グループのみであった。  このような郊外パーク型の書き入れ時はウィークエンド、そして来店客の中心はファミリー 層となる。この点でもダウンタウン型とは大きく異なる点である。 ⑶複合業種型  異業種とコラボしたフードカートを「複合業種型」というネーミングにした。訪れたこの場 所は、ポートランドの郊外部に位置し、人気のクラフトビール(地ビール)醸造所「BASE CAMP Brewing Company」とコラボしたフードカートである。掲載できる写真がなかった ため、図で紹介するかたちとなってしまったが、どのようなフードカートであるか容易に想像 できると思われる。 郊外パーク型 ローズシティフード・パーク 1月の平日 曇り空 閑散としている パーク内のカート配置図 典型的なフードカートの一つ

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FOCUS

【 FOCUS地域&経済 】  地ビール会社がビールを提供し、来店客は、隣接するフード カートから、好きな料理を調達し、共有のスペースで食事をす るという戦法である。  地ビール会社としては、自社で料理を提供する施設への設備 投資をする必要もなく、又フードカートとしては、人気の地 ビール会社があり、ここのビールを目当てに来たお客も自分の フードカートの潜在的な顧客として商売ができるという、まさ にWIN=WINの関係となっている。  最近このような複合型業種のフードカートは増加しているという。

5. マイクロレストランの類別

⑴ダウンタウン型  ダウンタウンのマイクロレストランとして、一昨年に開業した人気の「パイン・ストリート・ マーケット」を紹介する。ここは写真でもわかるように一見すると美術館を思わせる外観の中 にラーメン、ソフトクリーム、ジュース、ピザ、ホットドッグ、コーヒーショップなどが入っ ているマイクロレストランである。出店している各店は、現地ポートランドでも一定のネーム バリューと実績を持ったレストランや食品会社である。同行したコンサルタントの説明による と、例えば、ソフトクリーム店はポートランドでも人気のアイスクリーム店で、ここでは敢え てアイスクリームを置かずにソフトクリームのみを販売している。またホットドッグ店はポー トランドで有名なソーセージ店で、ここでは同社のソーセージを使った高級なホットドッグを 販売するなど出店のコンセプトも様々であるそうだ。 ダウンタウンの人気 パイン・ストリート・マーケット 各店共有のレストランスペース ポートランドで人気の日本のラーメン 店も出店 最小限の調理スペース Base Camp 地ビール メーカー フードカート フードカート フードカート 共有スペース

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⑵郊外型  次に郊外型のマイクロレストランを2つ紹介したい。写真上のマイクロレストランが大通り の交差点に位置し、通りに沿ってレストランが4軒ほど並んで営業をしている。各レストトラ ンの内部を見ると、店内をキッチンスペースが占め、残りは料理の受け渡し、客2~4人程度 に対応する飲食スペースがあるのみだ。店の前にテント張りの食事スペースが設置されている。  写真⑵は一風変わった形の建物のマイクロレストランである。長細い建物の中に、カフェ、 ピザ店、バーなどが入っている。加えてネイルサロンも入っているのも興味深かった。ここで は店が内部の食事スペースとつながっており、購入した料理やドリンクをここで楽しむことが できる。屋外にも食事スペースもあり、夏場は屋内屋外の両方で料理を味わうことができる。 ⑶マーケットプレイス型  さて、この業態をマイクロレストランの一つとするには議論もあると思う。「これこそ単なる スーパーのフードコートと同じではないか」とおっしゃる御仁もあろうが、現地のコンサルタ ントが「マイクロレストランの新型」としてこのマーケットプレイス型を紹介してくれた。  日本のスーパーマーケットのフードコートのあの“安っぽさ”を感じさせないところは何な のだろうか。店内を一見すると、都内によくある“高級食品スーパー”といった趣である。し 郊外型マイクロレストラン⑴ 郊外型マイクロレストラン⑵ 屋外の共有食事スペース 郊外型マイクロレストラン⑵ レストラン内部の共有食事スペース

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FOCUS

【 FOCUS地域&経済 】 かしながら、個々に 独立した食品業者、 チーズ業者、鮮魚業 者、ワイン業者が一 カ 所 に 集 ま っ て ス ペースを共有し店舗 を構えているといっ た 図 式 で あ る。 ス ペースの一部に共有のイートインコートがあり、鮮 魚売り場の脇には、小ぶりながら洒落たオイスター バーがある。たまたま金曜日の午後5時過ぎに行っ たのだが、10席程度のバーは満席の盛況であった。  また写真の3倍はあろう巨大なワイン売り場に圧倒され、その脇にはひっそりとではあるが、 地元オレゴン産ワインをメインにサービスをするワインバーがあった。

6. 飲食業者向けのインキュベーション施設 人気のKitchen Crue

高級食品スーパー 右手にイートインコート ワイン売り場にはワインバーも併設 地元オレゴン産の食品を取り扱う食品 売り場 鮮魚売り場の脇にはオイスターバー  ポートランドのダウンタウンにある「Kitchen Crue」は、日本では余り例をみない「料理のイン キュベーション施設」である。広さは、446㎡でオーブンや調理施設を時間借りすることができる。 調理器具もすべてそろっている。プロ、アマチュアの隔てなく利用できる。  この施設で調理してケータリングサービス事業を始めたり、ここでパンやクッキー、お菓子など を作り市内の店舗へ卸したり、またアマチュアでもイベント配布用に大量のクッキーやチョコレー トなどを作る際にも利用は可能だ。  この施設の利用から飲食業の世界に入り、現在、ポートランドで注目を浴びる多くのシェフが育 ち、人気のレストランが生まれている。  写真にあるような調理スペースを5~6時間借り、お皿などの備品、また燃料代等も含めて費用 は350ドル程度といったところ。  プロ・アマを問わず料理好きな人、また人気シェフを目指す人が手軽に借りられるこのような施設が ダウンタウンにあるのも、ポートランドの食文化の豊かさの一面を映していると言えるかもしれない。 KitchenCru(キッチンクルー) 337 NW Broadway, Portland チーズ売場 鮮魚売場 食料品 食料品 イートインコート 野菜売場 ワインバー オイスターバー ワインショップ レジ 入口

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おわりに

 筆者は飲食業を中心に研究しているものでもない。また飲食業の動向は新聞レベルの知識で あり、流行の食品や有名レストランなどにも無頓着な人間である。本稿で書いたことは、革新 を続けるポートランドの食文化や飲食業についても、ほんの一欠片に触れたに過ぎない。また 既に専門家や業界の方々の中では至極常識なものとなっているかもしれない。ただ日本に紹介 されるアメリカの食文化の発信地は、ニューヨーク、ロサンゼルスやホノルル等に限られてお り、このポートランドの豊かな食文化は見聞きしないのが実態である。そのせいか、今回の テーマ(フードカートやマイクロレストラン)について、知っていたのは私の家族、知人や友人、 同僚の中でも皆無であった。(そもそも大半がポートランドへ行ったことがないのだが)。  “WEIRD”(変わりもの)という単語に象徴されるポートランドの人達、新しい人間(移住者) を排除することなく共生し、新しいものを生み出す人々やそれを受け入れる地域社会である ポートランドの豊かな食文化の一端を知る機会を得て、僭越ながら「日本の飲食業にとっても 何らかのヒントにならんかな?」と思い筆をとった次第である。  ポートランドは、食文化だけでなく、まちづくり、地域活性化や都市交通や人にやさしい環 境といった切り口で、大いに注目され日本からの視察が相次いでいる。そんな視察の中でも、 「おいしかった」で済んでしまう旅なかでの食事やレストランをポートランドの一つの地域資産 とし、それを素人なりに紹介をしてみたものである。  ポートランドには、訪れる者を圧倒するようなスカイクレーパーはないし、またナイヤガラの滝も、 グランドキャニオンもない。しかしながら愛すべき“WEIRDな人間”がたくさんいるし、“様々なタ イプや料理のレストラン”が革新を続けている。一週間、そう言った人たちとワインやビール、そし て今注目のアップルサイダーと共にフードカート、マイクロレストラン、そしてレストラン等を回る目 的の旅も一興に値するものである。そんな企画の旅行があれば、すぐに予約をするのであるが…。 キッチンクルー 内部 キッチンクルー 内部

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