舞鶴市住生活基本計画
平成 21 年 3 月
目 次 第1章:この計画について 1 (1)舞鶴市住生活基本計画とは (2)国・府の住宅政策の動向 (3)舞鶴市住生活基本計画策定の考え方 第2章:舞鶴市の住宅・住環境に係る課題 2 (1)地域生活の“安心基盤”としての住宅・住環境づくり (2)居住魅力の向上に資する、良質な住宅ストックの形成・活用 (3)過疎地における“生活の確保” (4)住宅・住環境の安全性の向上 (5)住宅セーフティネット機能の強化 第3章:住宅政策の理念と目標 5 第4章:施策の体系 6 (1)施策の体系 (2)目標ごとの施策 第5章:目標の達成に向けて 11 (1)市民との協働による取り組みの拡充 (2)適切な進捗管理と評価 (3)国・府等との連携強化 資料編
第1章:この計画について
(1)舞鶴市住生活基本計画とは 舞鶴市では、これまで「舞鶴市住宅マスタープラン(平成 11 年 3 月策定)」に基づいて、 住宅政策を進めてきています。住宅マスタープランは、地域における住宅・住環境の現状 や問題点を把握し、地域独自の行政課題に住宅政策として何ができるかを明らかにするな かで、具体的で効果のある施策を打ち出すことを目的としています。舞鶴市住生活基本計 画とは、この住宅マスタープランの後継の位置づけとなる計画であり、国の住生活基本法 の制定を受けて地方自治体に策定が求められているものです。 (2)国・府の住宅政策の動向 国土交通省は、平成 13 年度の「第 8 期住宅建設 5 箇年計画」において、「国民の多様な ニーズに対応した良質な住宅ストックの整備」「尐子・高齢化を支える居住環境の整備への 対応(高齢者にやさしいバリアフリー化住宅の供給促進等)」「都市居住・地域活性化に資 する住宅・住環境(良質な住宅の整備)」等の指針を示しました。この計画期間が終了した 平成 18 年 6 月に先の「住生活基本法」を施行し、同年 9 月に同法に基づく「住生活基本計 画(全国計画)」を策定して、「ストック重視」「市場重視」「福祉、まちづくり等関連する 施策分野との連携」「地域の実情を踏まえたきめ細かな対応」の 4 つの横断的視点から住生 活の安定向上施策を総合的かつ計画的に推進しているところです。「住宅建設」の計画から 「住生活の安定向上」の計画へと国が政策転換したことは、即ち、「住宅の量的充足」から 「住宅・住環境の質の向上」への転換を端的に示しているといえます。 京都府においても、同法に基づき平成 18 年度に「京都府住生活基本計画」を策定してい ます。府の住生活基本計画は、同時期に見直された「京都府営住宅ストック総合活用計画 (第二次)」と合わせて「京都府住宅基本計画(第二次)」を構成し、「住宅政策全体の理念・ 基本方針を示す」ものであり、社会背景の変化や新たな時代の価値観への対応にとどまら ず、「住生活」にかかる幅広い分野での総合的な計画としてつくられています。 (3)舞鶴市住生活基本計画策定の考え方 「舞鶴市住生活基本計画」は、国の政策転換を踏まえて「住宅・住環境の質の向上」の 基本に立ち、従来の「舞鶴市住宅マスタープラン」全体を見直すことにより策定しました。 計画期間は平成 21 年度から平成 30 年度までの 10 年間とします。また、社会・経済情勢の 変化を踏まえて、適宜の見直しを行うこととします。第2章:舞鶴市の住宅・住環境に係る課題
前章で示した本市の住宅・住環境を取り巻く概況を踏まえ、これからの住宅政策に係る 主な課題を次のように整理します。 住宅・住環境を取り巻く概況(要点) 住宅政策の主要課題 【人口の構造変化】 ・ 人口減尐・尐子・高齢化が続いている。 ・ 高齢化率は 23.8%に至っている。 ・ 第 1 次ベビーブーム世代が高齢期を迎えてい る。 ・ 住宅のバリアフリー化について、“未然の対 応”を図る意識が高まっていない。 ・ 世帯規模の縮小傾向が続いている。 ・ 第 1 次ベビーブーム世代のジュニア世代が子 育て期にある。 ・ 「安全な子どもの遊び場・公園」についての 不満が大きい。 ・ 世帯経済の縮小が進んでいる。 人 口 減 少 時 代 、 超 少 子 ・ 高 齢 社 会 を 前 提 と し た 住 宅 政 策 へ の 転 換 ● 地域生活の“安心基盤”としての住宅・住環境 づくりが求められる ・ 生活しやすい住宅・住環境づくりが必要であ る。 → 高齢期を迎えた人や障害のある人を含 め、誰もが生活しやすい。 → 子育ち・子育てをしやすい。 ・ 小地域でのまちづくりの取り組みを進め、住 民相互の支え合いを強める必要がある。 【人口の移動】 ・ 定住意向が 53.6%にとどまっている。 ・ 転出超過傾向が続いている。 ・ 空き家ストックが増加している。 ・ 持ち家指向が強く、民営借家には若年層によ る居住が多い。 ・ 旧来からの市街地の空洞化が進んでいる。 ・ 西舞鶴地域の市街地周縁部で特異的に新興住 宅の立地が進み、人口定着がある。 ● 居住魅力の向上に資する、良質な住宅ストック の形成・活用が求められる ・ 住宅ストックの質的水準の向上、長期活用と 円滑な流通を促すことが求められる。 ・ 住宅需要の多様化に対応する必要がある。 ・ UJI ターンを喚起し、その受皿住宅を整備す ることが望まれる。 ・ 住宅開発を適切に誘導する必要がある。 ・ 住まいと暮らしづくりに、自然・歴史・景観 等の様々な地域資源を活かすことが求められ る。 【過疎化】 ・ 加佐地区などで過疎化がさらに進んでいる。 ・ 加佐地区で、移動利便性や自然災害への対応 状況等に不満が大きい。 ● 過疎地における“生活の確保”が必要である ・ “限界集落”における生活サービスを維持す ることが必要であり、定住・交流人口の増加 を図ることなどが望まれる。 【安全性】 ・ 災害対策への関心が高まっているが、住宅耐 震改修の意向は小さい。 ・ 一定の更新が進んでいるものの、依然、新耐 震以前の老朽住宅ストックが約半数ある。 ・ 老朽長屋に高齢者等が居住していることが推 察できる。 ・ 老朽住宅ストックに一戸建・持ち家が多いこ とを踏まえ、優良住宅ストックの維持管理・ 補強等に配慮する必要がある。 ・ 「地震・水害・がけ崩れなどの状況」に不満 が大きい。 ● 住宅・住環境の安全性の向上を図る必要がある ・ 住宅の耐震化を促す必要がある。 ・ 生活実態を踏まえた、老朽住宅の適切な補強・建て 替え更新等を誘導することが必要である。 ・ 防犯・防災の取り組みを強めることが求められる。 【暮らしの安心】 ・ 高齢者や障害者が入居できる低家賃の借家、 安心して暮らせる居住地づくりが最も求めら れている。 ・ 民営借家と公営の借家を中心に一定の最低居 住水準未満世帯がある。 ● 住宅セーフティネット機能を強化する必要がある ・ 居住の安定に課題を抱える場合に、安心して地域で 暮らせるようにしていく必要がある。 ・ 老朽公営住宅ストックの計画的な活用を図る必要 がある。(1)地域生活の“安心基盤”としての住宅・住環境づくり 住生活は、暮らしの基本です。バリアフリーとユニバーサルデザインの考え方を最大限 に採用し、高齢期を迎えた人や障害のある人を含め、誰もが生活しやすい住宅・住環境づ くりを進めていくことが求められます。また、尐子化が進む今日、子どもが自ら育つに適 した、また、子どもを生み育てたいと思える住宅・住環境づくりを進めていくことについ ても、重要視していく必要があります。具体的な実践にあっては、小地域でのまちづくり の取り組み、住民相互の支え合いが重要であり、これを強めていく必要があります。 (2)居住魅力の向上に資する、良質な住宅ストックの形成・活用 住宅ストックの質的水準を向上させ、いい住宅を長期的に活用していくことが求められ ます。このことと、旧来からの市街地で空洞化が進んでいることや加佐地区などでの過疎 化に対策する視点等と併せ、空き家ストックが魅力ある住宅ストックとして円滑に流通す るよう市場環境の充実を図っていく必要があります。そのなかで、多様化する住宅需要に 対応し、また、UJI ターンを喚起してその住宅需要を受け止めていくことが望まれます。 住宅の新規供給については、重層的な世代構成があり将来に継続するコミュニティを形 成する視点を重視して、開発の適切な誘導を図っていく必要があります。即ち、世帯分離 に伴う新規世帯の住宅需要を、郊外部における新規住宅開発で安易に受け止めることにつ いては、一段の留意が必要です。 また、舞鶴市の居住魅力をいっそう高めていくためには、住まいと暮らしづくりに、自 然・歴史・景観等の様々な地域資源を活かしていくことが欠かせません。 (3)過疎地における“生活の確保” 人口の過半数が 65 歳以上を占める、いわゆる“限界集落”にあっては、地域居住と集落 機能の維持に困難をきたしており、必要不可欠な生活サービスを利用できるよう、地域と 関わり定着するマンパワーを確保していく必要があります。そのため、京都府のふるさと・ 棚田支援事業による「さとボラ in 舞鶴」の取り組みの展開をはじめ、多角的に定住・交流 人口の増加を図っていくなかで、農家の空き家活用による体験宿泊や定住斡旋など、住宅 政策の立場からの取り組み拡大を進めていくことが求められます。
(4)住宅・住環境の安全性の向上 近年の自然災害の頻発を受け、住宅やまちの防災性能に対しての関心が高まっています。 とりわけ地震への備えとしての建築物の耐震化は最も重要として、「建築物の耐震改修の促 進に関する法律(平成 18 年 6 月改正)」に基づいて、全国的に取り組みが強められている ところです。 舞鶴市においても、建築物の耐震化について広く知識普及と意識啓発を進めて、その促 進を図り、まち全体としての安全性を高めていくことが求められます。このとき、「老朽木 造長屋に収入を年金にのみ頼る高齢者のみ世帯が居住している」などの生活実態があるこ とを踏まえて、福祉施策との連携も図りつつ、適切な補強・建て替え更新等を誘導する必 要があります。また、伝統家屋など優良住宅ストックについては、維持管理・保全と補強 について特段の配慮が求められます。 加えて、地域福祉活動などと連携しつつ、小地域における防犯・防災の取り組みを強め ていくことが求められます。 (5)住宅セーフティネット機能の強化 何かの事情で居住の安定に課題を抱えた場合に、誰もが安心して地域で暮らせるよう、 公営住宅を中心に住宅セーフティネットを整備してきています。しかし、高齢化のますま すの進展と高齢者のみ世帯の増加、若年離婚とひとり親家庭の増加、障害のある人の地域 生活の拡大、経済格差のひろがりなど、社会福祉の増進や社会構造の変化に伴って、係る 住宅需要も多様化し、また、増大しています。 福祉施策との連携を強めながら、多様な住宅ストックの活用を図ることで、住宅セーフ ティネットの機能をいっそう強化していくことが求められます。 なお、市営住宅にあっては、整備に要する年度当たりの費用の平準化の視点と居住水準 の適正化の視点を踏まえつつ、計画的に維持管理、改善・改修、建て替えなどの活用を図 っていく必要があります。
第3章:住宅政策の理念と目標
「住み続けたい」と思える魅力がある住宅・住環境を創る、という目標は「舞鶴市住宅 マスタープラン」においても目標としてきたところであり、住宅・住環境の質の向上を図 ろうとするときの、住宅政策の究極の目標、理念であるといえます。そのため「舞鶴市住 生活基本計画」においても、これを基本的に踏襲していきます。【政策理念】
住み続けたい、魅力ある住宅・住環境を創る
その上で「人口減尐時代を迎えている」「超尐子・高齢社会が現実の社会像となろうとし ている」といった住宅政策の主要課題につながる基本的要因、また、「地球環境問題が日常 生活と分ち難い問題であることへの認識が高まってきている」という状況を鑑みて、舞鶴 市の住生活を取り巻く様々な資源を活かしつつ基本的な目標を次の 3 点とします。【目標】
1. 既存住宅ストックを有効に活用しつつ、様々なライフステ
ージの居住ニーズに応える、多様で良質な住宅ストックを
形成する。
2. 環境共生の考え方に立脚した、魅力ある居住地を形成する。
3. 誰もが安全で安心して暮らせる住宅・住環境をつくる。
第4章:施策の体系
(1)施策の体系 舞鶴市住生活基本計画の施策の体系は、下図の通りです。 政策理念を踏まえた目標と基本方針のもとで、住生活に係る施策を行っていきます。 - 体 系 図 - 【 政 策 理 念 】住み続けたい、魅力ある住宅・住環境を創る
【 目 標 】 【 基 本 方 針 】 1.既存住宅ストックを有 効に活用しつつ、様々な ライフステージの居住 ニーズに応える、多様で 良質な住宅ストックを 形成する。 1.いろいろな暮らし方を 応援する 2.住宅ストックを守り活 かす 2.環境共生の考え方に立 脚した、魅力ある居住地 を形成する。 3.舞鶴らしい暮らし方を 見つける 4.環境にやさしい住まい をつくる 5.ともに認めあい高めあ うまちをつくる 3.誰もが安全で安心して 暮らせる住宅・住環境を つくる。 6.誰もが暮らしやすい家 づくり・まちづくりを 進める 7.居住の場に困る人がな いようにする 8.住宅・住環境の安全性 を高める(2)目標ごとの施策 目標1
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市民の住まい方・暮らし方の多様化、また、ライフステージの変化に伴って、居住ニー ズが大きく変化しています。本市では、古くからの市街地や過疎化が進む集落などで増加 する空家ストックの活用などを重視しながら、こうした居住ニーズに対応できる、多様で 良質な住宅ストックの形成を目指します。基本方針1:いろいろな暮らし方を応援する
市民の暮らし方の多様化に応えられるよう、住宅ストックの供給・流通を促進するほか、 ライフステージによる生活様式の変化に対して、住み替えによる対応を図ることを提案し ていきます。特に、子育て期や高齢期を迎えた世帯への適切な居住支援に努めます。 また、舞鶴らしい暮らし方を市民とともに提案し発信していくことを通じて、舞鶴市へ の UJI ターンの動きを喚起しつつ、その受皿となる住宅の適切な供給を図っていきます。 【具体的な施策】 ○ 「舞鶴市農村集落空き家情報バンク」「移住・住みかえ支援機構(JTI)」 の紹介などを始めとした相談・情報の提供 ○ 子育て支援や高齢者福祉の施策と連携した居住支援 ○ 舞鶴らしい暮らし方を市民との協働により提案・発信 ○ UJI ターンの喚起と、その受皿となる住宅の適切な供給 等基本方針2:住宅ストックを守り活かす
住宅品質確保促進法に基づく住宅性能表示制度の活用促進など、所有者や関連事業者等 との協働のもとで、中古住宅の有効な利活用と円滑な市場流通を促していきます。また、 住宅リフォーム等や住宅の適正な維持管理・更新について、係る情報や活用できる施策・ 制度の周知に努めます。また、「舞鶴市中心市街地活性化基本計画」の推進において、住宅 ストックを守り活かす視点を重視した取り組みを推進していきます。 【具体的な施策】 ○ 住宅性能表示制度の活用促進 ○ 住宅のリフォームや適正管理等に関する情報提供 ○ 「舞鶴市中心市街地活性化基本計画」に基づく取り組みの推進 等目標2