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頚動脈プラークにおけるvasohibin-1の発現について

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Academic year: 2021

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Title Expression of Vasohibin-1 in Human Carotid AtheroscleroticPlaque( Abstract_要旨 )

Author(s) Fukumitsu, Ryu

Citation Kyoto University (京都大学)

Issue Date 2017-07-24

URL https://doi.org/10.14989/doctor.k20621

Right

Expression of Vasohibin-1 in Human Carotid Atherosclerotic Plaque. Fukumitsu R et al. (Journal of Atherosclerosis and Thrombosis Vol. 22 (2015) No. 9 p. 942-948). DOI: 10.5551/jat.29074

Type Thesis or Dissertation

Textversion ETD

(2)

京都大学 博士( 医 学 ) 氏 名 福 光 龍

論文題目

Expression of Vasohibin-1 in Human Carotid Atherosclerotic Plaque (頚動脈プラークにおけるvasohibin-1 の発現について) (論文内容の要旨) 【背景】脳梗塞の原因として、頚動脈狭窄症は重要な原因の一つである。頚動 脈狭窄症における脳梗塞のリスク評価において、従来は狭窄率で評価を行って きたが、近年では頚動脈プラークの性状評価が重要であるとされている。頚動 脈プラークの不安定化の原因として、プラーク内出血が挙げられるが、これは 頚動脈血管壁のvasa vasorum から発生するプラーク内新生血管の破綻が原因 とされている。このプラーク内新生血管の発生の機序を解明し、その阻害に関 わる因子を探索することは、頚動脈狭窄症の治療に寄与するものと思われる。 Vasohibin-1 (VASH1)は、Vascular Endothelial Growth Factor (VEGF)により 発現する蛋白で、血管新生を抑制する働きをもつ。これまでの報告では、様々 な悪性腫瘍における VASH1 の発現と予後との関連が指摘されているが、頚動 脈プラークでの発現の報告は見られなかった。そこで、頚動脈プラークにおけ るVasohibin-1 の発現について検討を行った。 【方法】2012 年 6 月から 2013 年 8 月まで、京都大学医学部附属病院にて頚動 脈内膜剥離術を行った 12 名(男性 11 名、女性 1 名、平均 75.3±5.0 歳)を対 象とした。そのうち脳梗塞及び一過性脳虚血発作の症状があったものは 10 例 (83.3%)であった。その他、高血圧 9 名(75.0%)、脂質異常症 8 名(83.3%)、 糖尿病6 例(50.0%)、虚血性心疾患 6 例(50.0%)であった。 頚動脈内膜剥離術にて摘出した頚動脈プラークの標本のうち、最も内膜が肥厚 し た 部 位 の mRNA を 抽 出 し 、 VASH1 、 VEGF 、 intracellular adhesion molecule-1 (ICAM-1)、vascular cell adhesion molecule-1 (VCAM-1)の発現を β-actin を対照として quantitative real-time PCR (RT-PCR)にて評価を行っ た。比較対象として、摘出標本の内頚動脈遠位部側の、動脈硬化が見られない 部位の内膜を用いた。 また免疫組織染色を行い、頚動脈プラークにおける VASH1 と CD31、ICAM-1 の発現について検討した。 【結果】RT-PCR の検討では、正常内膜と比較し、頚動脈プラーク内では VASH1 の発現が 1.77 倍と、有意に亢進していた(p=0.018)。また VASH1 の発現は VEGF の発現と相関し(r=0.788, p=0.004)、CD31 の発現とも相関しており (r=0.99, p<0.001)、VASH1 の発現がプラーク内の新生血管の増生を反映してい るものと思われた。

また VASH1 は ICAM-1 と正の相関(r=0.55, p=0.077)があり、 VCAM-1 も同 様に優位に相関が見られ(r=0.927, p<0.001)、プラーク内の炎症を反映している ものと思われた。 免疫組織染色では、VASH1 はプラーク内の新生血管の内皮細胞に局在してお り、CD31, ICAM-1 とほぼ同部位に局在していた。 【考察】今回の検討で、VASH1 が頚動脈プラーク内の新生血管に多く発現し ており、VEGF、CD31、VCAM1 と関連していることが示された。過去の報告 では、VASH1 が大動脈の外膜に発現していることを報告したものや、ウィルス を用いて VASH1 遺伝子を導入したマウスの大腿動脈の動脈硬化を抑制する、 といった報告は見られていたが、ヒトにおける VASH1 と動脈硬化との関連は 不明であった。今回の検討により、VASH1 が正常内膜よりも有意に多く発現し ており、新生血管の増生と関連している可能性があるものと思われた。 また、今回の検討で VASH1 の発現が ICAM-1、VCAM-1 など、内皮細胞接着 因子の発現と相関していることが示された。VASH1 は、新生血管の増生のみと 関連するだけではなく、頚動脈プラークにおける炎症を反映していることが示 唆された。 すなわち、VASH1 は頚動脈プラークの不安定性を示す有用な指標であることが 示唆された。 (論文審査の結果の要旨) 頚動脈狭窄症は、脳梗塞の重要な要因の一つであり、わが国では生活習慣の 変化や高齢化に伴い、近年増加傾向にある。従来、頚動脈狭窄症による脳梗塞 発症リスクは、狭窄率によって評価されてきたが、動脈硬化の病態理解の進歩 に伴い、プラーク性状も虚血イベント発症に極めて重要な役割を果たすことが 明らかとなってきた。プラーク内出血はプラークの不安定化における重要な指 標であり、その原因は、血管外膜の vasa vasorum からの新生血管の増生およ びその破綻と考えられている。 本研究ではプラーク内新生血管の増生に関わる因子として、血管新生抑制因 子である Vasohibin-1 に着目した。標本として、頚動脈内膜剥離術で得られた プラークを使用している。その標本を使用して免疫染色および mRNA の定量を 行い、不安定プラークと Vasohibin-1 の関係について検討した。 その結果、Vasohibin-1 は頚動脈プラーク内の新生血管内皮細胞に発現して いることが示された。また、正常血管内皮よりもプラーク内で有意に発現量が 増加しており、その発現量は VEGF と相関していた。また、ICAM-1 や VCAM-1 といった細胞接着因子の発現量とも相関していた。 本研究より、Vasohibin-1 の頚動脈の動脈硬化巣における発現の詳細を初め て明らかにするとともに、その発現がプラークの不安定化を反映している可能 性を示した。 以上の研究は、頚動脈動脈硬化巣の不安定化に関する機序の解明に貢献し、脳 梗塞を初めとする動脈硬化性疾患研究の発展に寄与するところが多い。 したがって、本論文は博士( 医学 )の学位論文として価値あるものと認める。 なお、本学位授与申請者は、平成29年6月30日実施の論文内容とそれに関連し た試問を受け、合格と認められたものである。 要旨公開可能日: 年 月 日 以降

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