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学生論文賞受賞論文 要約 最終ダブルオファー仲裁の均衡戦略について

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●学生論文賞受賞論文

最終ダブルオファー仲裁の均衡戦略について

中村 伸也

(京都大学工学部数理工学科 現所属:同大学院工学研究科数理工学専攻修士課程) 指導教官茨木俊秀教授 とき(∬β十∬b)/2,(師十yb)/2をそれぞれ仲裁案とす る.もし,オファーが収束しないならば,仲裁規準関数 Cぶ(∬ざ,〝βlz。)=αlys−J5l+(1−α)(〟ぶ一之。) Cゎ(み,yblz。)=αlダム一都け(1−α)(z。一如), を計算し,Cf(Jf,〝∫lz。)<C(∬ノ,〝JIz。)を満たす紛争者ブ の要求オファーJ∼を仲裁案とする.このとき“紛争者才が 勝った”ということにする.もし仲裁規準関数の値が等し いならば,(Jざ+Jム)/2を仲裁案とする.ただしαは0< α<1なる定数であり,前もって仲裁者が宣言する.α→1 のとき,どれだけ欲張ってオファーを出しているかに重点 をおくことになり,またα→0のとき,公平点に関する見積 り机の正確さに重点が置かれる.

3.仲裁問題のゼロ和ゲームヘのモデル化

文献[1]のように仲裁問題を,プレイヤーSと∂の非協

力ゲームとみなす.FOAにおいては,S(占)の戦略はオ

ファーとしての実数Jβ(J♭),FDOAにおいては,ざ(占)の 戦略はオファーとしての2次の実ベクトル(ござ,机)((れ, 〟b))である. 仲裁のゲームにおいては,2人の紛争者が,Z。を正確に 知ることができないため,仲裁にいたるものとする.しか し,2人のプレイヤーは,Z。の確率分布関数F(′)(ダ(J) の確率密度関数を′(J)=F’(′)とする)については既知で あり,プレイヤーはこれにもとづいてz。の値を見積る.な お,/(∼)>0で,かつダ(J)は連続で少なくともダ(J)の片 側微分が各々のオについて存在するものとする.また, F(m)=1/2,すなわちmをmedianとする. また,両プレイヤーは危険中立(risk−neutral)であるも のとし,最終的な仲裁結果がナならば,S,∂の利得はそれ ぞれ仁1彿.研一Jとする. FOAの均衡戦略は,以下の補題で与えられる.

Lemma3.1(Brams and Merrill[1])FOAにNash均衡戦

略が存在するならば,それは唯一であり

研一志)

(山王)=(∽+志・ となる.存在の必要十分条件は,任意の∬<椚に対し 1.はじめに 2者間の紛争の解決策としては,伝統的な仲裁(Conven− tionalArbitration,CA)や最終オファー仲裁(Final−Offer Arbitration,FOA)が広く用いられている.FOAは,紛争 者だけの交渉で両者間の合意がどうしても得られなかった 場合,仲裁者が,各々の紛争者に最終オファー(finaloffer) を提出させ,この2つの最終オファーの内,仲裁者が考え る公平点に近いオファーを選ぶというものである.良い仲 裁のルールとは,仲裁が実際に行なわれる前に,紛争者間 の交渉によって紛争が解決されるような効果があるルール であろう.つまり2人のオファーが収束すれば良いルール であると言える.しかしCAとFOAに関しては,オファーは 収束するというよりはむしろ離れたものになることが指摘 されている. そこで,それらの欠点を克服する新しい仲裁方法として, 最終ダブルオファー仲裁[2](FinaトDouble−Offer Arbitration,FDOA)を考える.本論文では,[2]の規則 によるFDOAにおいてはNash均衡戦略を見つけることが できないことを考慮し,仲裁規準関数を導入した新しい FDOAの規則を提案する.さらに,この新しい規則の下で は,Nash均衡戦略が存在し,しかも,この均衡戦略におい て,両者の仲裁者が提出するオファーが収束することを示 す.

2.最終ダブルオファー仲裁(FDOA)

以下,便宜上,紛争を売り手sと買い手占の取り引きに おける値段∬に関する紛争として書き表わす.紛争者5は 高い値段を,紛争者∂は低い値段を欲しがるものとする. またブを5,もしくは∂を表わすのに用い,ノはその相手 とする. 最終ダブルオファー仲裁(FDOA)では,紛争者自身の 要求と公平点に対する見積りを別個のものと考え,両紛争 老に2つのオファーを提出させる.すなわち,プレイヤー fは,2つの要素を持つオファー(Jざ,〝f)を仲裁者に提出 する.ただしごfを要求オファー,〟lを見積りオファーーと呼 ぶ.仲裁者は,これらと自分の考える公平点z。にもとづ き,次のように仲裁案を決定する. 両紛争者のオファーにおいて,もしJぶ≦∬bまたは恥≦ yゎが成立するならば,オファーは収束した,といい,この

50

1 ユ/−(/吊 ∫−J〃十

/ご,(エ,相)d′≧

2(エ−椚一志) オペレーションズ・リサーチ © 日本オペレーションズ・リサーチ学会. 無断複写・複製・転載を禁ず.

(2)

上記の定理の均衡戦略では,要求オファーの距離はFOA と比較して離れているが,見積りオファーは完全に一致し ている.したがって,この場合,オファーは収束したとい える. また,要求の欲張り度に重点を置く場合(α>1/2)の均 衡戟略は,要求オファー,見積りオファーがともにFOAの 均衡戟略と同じになり,α=1/2の場合の均衡戦略は,無数 にあることが証明された.

5.FDOAとFOAの比較

以上の結果から,FDOAを用い,公平点の見積りに重点 をおくよう(つまりα<1/2)に仲裁規準関数を設定すれ ば,実際に仲裁者が権限を行使する前に,プレイヤーのオ ファーだけで直ちに仲裁が終了してしまうような優れた仲 裁ルールとなっている.しかもαを1/2に近い値にとってお けば,両紛争者の要求オファーの距離はFOAを用いたとき

と変わらなくなり,仮に収束しない場合でもFOAと同様の

振舞いをする.

謝辞 日頃から御教授頂き,本研究に対して熱心な御指導

を賜った博士課程の曽道管氏に,厚く御礼申し上げます. 参考文献 [1]S.J.BramsandS.MerrillIII,EquilibYlum stYa− /(甘心.ホけノア机J/−(モ叶r‘け占〟J7J/わJJ.・//Jり■t▼/∫Jれ‥粧(晶JJ conueYgenCe,Management Science,29(1983), 927−941. [2]D.−Z.Zeng,M.OhnishiandT.Ibaraki,Intrinsic gt4)and jinal−double−q飾r a7i,itYtltion,the6th IFAC/IFORS/IIASA Symposium on LSSTA,pre−

Printl,47L52,Beijing,1992. かつ,任意のェ>椚に対し 1 JJ/仁 :/りノ.・l ノ∽ハり“レL 2(∬一椚+志) が成立することである.ただし 1 ニ/−り小 1 ニ/り〃l エ+〝7+ ∬十〝7− U†(∬)= ⊥†(エ)=

4.FDOAの均衡戦略

公平点の見積もりに重点を置く場合(α<1/2)の均衡戦 略が,次の定理で与えられる. Theorem4.1α<1/2のとき,密度関数f(t)が,任意の ∬<∽に対し

1−α 2抽) .Ⅰ、−−J〃十 /ご(ノ(才)d′≧ 2(J一明一品) 任意のJ>椚に対し 1一α J−椚 ̄ 編 /:‘J’′(ル蔀≧ 2(J一肌+詰㌫) を満たすならば

(Jき,〟き,舶)=(∽+怒,

∽,研一

姦㌫,∽)

は,FDOAにおける唯一のNash均衡戟略となる. ただし ⊥(ェ)=∽+

U(ご)=∽+ 2(1−α) 51 1996年1月号 © 日本オペレーションズ・リサーチ学会. 無断複写・複製・転載を禁ず.

参照

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