8 9
滋 賀 大 学
滋 賀 大 学
の
の
い ま
い ま
教育学部
自分だけの教育参加カリキュラムをつくる
―主体的、自律的な教師を育てる個別プランニングの試み:教育実習支援室―
教育実習支援プログラム運営委員会 紅林 伸幸
教育実習支援室のチャレンジ
カリキュラム開発研究部門がめざす
ソフト面の充実
教育実習支援室は、本学の教育実習プログラムである「教育
参加カリキュラム」をより充実したものとするための、最終の
ツールとして設けられました。
本学の教育実習プログラム「教育参加カリキュラム」は、全国
的にもトップレベルの完成された教育実習モデルです。その第
1の特徴は、1回生から4回生までの4年間を通じての積み上げ
型の教育実習だということです。学生たちは、1回生で観察実
習、2回生で交流実習と介護等体験を行い、3回生で4ヶ月から
12ヶ月の長期の基本実習(自主参加体験と発展実習を含む)を
経験します。そして、基本実習終了後は発展実習で、基本実習で
経験したことを更に発展させることが期待されています。
第2の特徴は、広がりを持った多様な教育体験が期待されて
いることです。学校での授業づくりや教科指導の経験を中心に
おいた基本実習と並行して、社会教育への参画や学校へのサ
ポーター活動などの自主参加体験を30時間または60時間以上
行うことが必修となっています。
第3は、きめ細やかな手厚いサポート体制です。実習毎に所
属コースの教育実習委員が学生の実習の記録(ポートフォリオ)
に目を通し、指導しています。また、省察会、相談日、報告会など、
多くの振り返り学習の機会を設け、さらに発展実習では10名前
後の現職教員がメンターとして学生の相談にのり、学生の率直
な疑問に現場の経験に基づいた回答を与えています。
そして、実習毎の報告会やWeb掲示板「まなびや」など、学生
相互の交流を重視していることが第4の特徴です。これは学生た
ちの中に教育実習の文化を築き、継承させていくことをねらい
としたものです。
本学がこの独自の教育実習プログラムに取り組んで、すでに
10年がたちました。ねらい通り、大学には教育実習の文化がで
き、その中で、意欲的で、実践的感覚に優れた多くの教師が育っ
ています。しかし、多様な実習機会を学生が生かし切れていない
こと、学生が充実したサービスの受け手になってしまっているこ
と、教育参加・教育体験と教職や専門に関する学習との連動性が
弱いことなど、課題
や強化すべき点も
見えてきました。
そこで、平成24
年度入学生から教
育参加カリキュラ
ムを学生一人ひと
りが自分自身でプランニングする
教育参加プランニングという
取り組みを始めました。これは、多様な実習機会をより有効に活
用し、目的意識を持って計画的に実習に取り組むことによって、
主体的・自律的に成長する教師としての資質を身につけさせる
ことがねらいです。大学から与えられて行う実習ではなく、一人
ひとりが
自分だけの教育参加カリキュラムをつくるのです。この
学生のプランニングを指導し、それぞれがプランニングした
実習をより効果的なものとして実現できるように適切なアドバ
イスを行うために新たに設けられたのが教育実習支援室です。
では、教育実習支援室が具体的にどのようなことを行っている
のかを紹介しましょう。
教育学部では、1回生の10月に、所属する専修・専攻が決まり
ます。それと同時に3回生で行う基本実習の実習校も決定しま
す。そこで、教育実習支援室では、教育参加プランニングの全体
ガイダンスを実施し、学生一人ひとりに4年間の教育参加カリ
キュラムを組ませます
(教育参加プランニングシート)。11月、12月
には各専修・専攻別の実習報告会が行われ、1回生は上回生の
実習報告を通じて自分たちが2回生、3回生、4回生になったとき
にどのような教育参加をするのかを具体的に知ることになりま
す。そうした情報を手がかりにして、それぞれの教育参加のため
に、どのような準備をしておかなければならないか、大学の授
業ではどのようなことを専門的に学んでおきたいか、生活面で
どのような体験をしておくことが教育実習の役に立つかなどを
考えさせるのです。そして、1月、2月に、専修・専攻別の教育参加
プランニングの交流会を実施し、学生同士で互いのプランニン
グから学び合わせます。1回生の段階でこうして作成される自分
だけの教育参加カリキュラムは、随時発展的に修正されていく
性格のものです。教育実習支援室は、常時学生の実習に関する
相談を受けられる体制で、学生の訪問を待っています。
教育実習支援室には、学校現場での豊かな経験を持つスタッ
フが2人います。支援室のスタッフは、プランニングの支援だけ
でなく、実習の省察にも加わり、学生それぞれの課題の発見や
その対応・対策を学生と一緒に考えてくれます。
また、教育参加カリキュラムでは3回生の基本実習は分割方式
で実施している関係で、長いものでは12ヶ月、短いものでも4ヶ
月の長期にわたる実習となるため、10∼20人の小グループで中
間指導を実施し、その長い実習期間を有効に使うように指導す
ることにしました。中間指導も基本は学生たちが自分たちで学び
合うことです。もちろん、実習体験の交流だけでなく、授業づくり
や教材研究の
相談にものり、
アドバイスも
行っています。
以上のように、教育実習支援室は、学生一人ひとりが様々な
教育参加を通して教師へと着実に成長していってくれることを
願い、日常的に学生たちの主体的な教育参加を促し、支援して
います。そして、その活動をより効果的なものにするために、カ
リキュラム開発研究部門を設け、支援に資する情報の収集にあ
たっています。
すでに教育参加カリキュラムのハード面は十分に充実したも
のになっていると理解しています。次の課題は指導及び支援の
内容に関わるソフト面の充実です。平成24年度は、学生を対象
にした教育実習調査の他、学校情報を収集するための学校情
報調査、現場での教師の取り組みの課題や実態を確認するため
の教員調査の3つの質問紙調査を実施しました。学校現場の先
生方の多大な協力によって得られたそれらの情報を手がかりに
して、教育参加カリキュラムのいっそうの充実を目指します。
◀▲実習の様子
省察会
中間指導
教育参加プランニング
プランニングを支援する
ふりかえりを支援する
教育実習支援室スタッフ(特任教員)
小田柿 幸男 井上 剛男 丈達 明男 末次 有加
プランニングシート