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報告(5) 経済のサービス化と地域経済 (三大学院共同シンポジウム)

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報告⑤

経済のサービス化と地域経済

札幌大学女子短期大学部 教 授

 松本 源太郎

司会者:それでは,第五報告者の松本源太郎先生より,「経済のサービス化と地域経済」 と題しましてご報告いただきます。よろしくお願いいたします。 松本:松本です。最後のスピーカーというのは時間調整も担っていると思っていますので, できるだけ,1 分でも定時に近づけるように努力します。これまでの 4 人の方々の発表は, 非常に具体的だったわけですね。私の知らないことも多くて,大変勉強になりました。こ れから私がお話ししたいと思うのは,そういう具体的なことと非常に抽象的なことのだい たい中間です。そういう意識で聞いていただけたらありがたく思います。 まずは,私の問題意識です。最近,所得格差が大きく取り上げられてきました。しかし, 所得格差というのは地域格差と密接に関係しておりまして,個人間の所得格差とともに地 域間の所得格差も知っておく必要があるということです。所得格差は縮小していない,あ るいは拡大しているというのがここ 30 年間くらいの論争です。その背景には高齢化,引 退してしまうと収入が少なくなるし,一人暮らしになるとなおさら収入は少なくなって世 帯の収入は少なくなる。高齢者が増えれば全体の収入は減るように見えて,しかも現役世

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代に比べて高齢の世代の所得格差というのは大きいわけですから,個人間の所得格差ある いは世帯間の所得格差も大きめに出るという議論がある。 地域間の場合は高齢化というのも関係していますが,それよりは産業構造ということと 連関しているのが私どもの仮説,考えです。少し調べてみますと,47 都道府県の一人あ たりの GDP は産業構造,特に製造業と相関してきました。しかし,近年その相関は弱含 みであります。日本全体で見れば,製造業のシェアは急速に低下しています。これはみな さん実感していることだろうと思います。学生に北海道の製造業のシェアはどのくらいだ と聞くと,30 ∼ 40%,農業のシェアはどのくらいだと聞くと,北海道は食料大国ですか らどんなに少なくても 20 ∼ 30%はあるだろうと答えます。 ぜんぜん間違いですね。北海道でも一次産業で働いている人の割合は 10%を切ってい ますし,日本全体でいえば 5%を切っています。そして製造業のシェアは 20%を切ってい ます。非常に小さい。後は何かというとやはり第三次産業。とりわけサービス産業が多い わけです。そこで,製造業で日本全体の経済成果を高めていくことにはかなり無理がきて いる。 世界中を見渡してみると,日本よりも所得が高い国では,むしろ製造業のシェアが低く, サービス産業の生産性が高い。日本はサービス産業の生産性が低くてサービス産業のウエ イトが高まっているので,ウエイトが大きくなっているサービス産業の生産性を高めない 限りは日本全体の所得は増えない,ということです。 これは国全体の認識で,なんとかしようと最近,言われているわけです。特に北海道は 100 年も前から第三次産業のシェアが高いわけですから,こういった問題意識でものを考 える,地域経済を考えることが大事でしょう。そのときに,産業の連関性,産業の相互依 存という観点が必要ですよ,というのが私の言いたいことなのです。 これは私の作った図式ですけれども,地域の経済力をつくる 3 つの要素です。まず,規 模の大きな産業が必要です。これはなんと言っても地域の雇用をがっちりと支えます。そ れから成長性のある産業が必要です。これで地域全体の技術革新を進捗させて,その技術 進歩でもって他の地域に優位に立ちたいということです。ですから成長性のある企業や産 業を誘致したい。大きな規模の一定割合のある部分の工場を立地させたい,だいたいこう いうところに力点を置いて,北海道に限らず,地方のまちは企業を誘致してきました。 もう一つ,私が,これが大事だというのは,企業や産業の相互依存関係です。立ち戻っ て,これが 47 都道府県の一人あたりのGDPの指標,実質成長率,47 都道府県で一人あ たりの県内総生産がどういうふうに変化しているかということを表したものです。ご覧の ように,高度成長の時代は地域間の経済格差が縮まってきました。オイルショックのあた

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りから,また高まってきました。バブル経済の頃,非常に地域間の経済格差が大きくなっ て,また少し低下しましたけれども,あとはやや横ばいです。 もう一つ,歪度を取ってみますと,これは大きくなっています。歪みというのは,地域 間の経済格差が高い方に,あるいは低い方に歪んでいますよという尺度です。上位地域, 下位地域というのは平均値で区別していったわけですが,この変動係数でもって地域間の 経済格差を,一人あたりのGDPと関連させて表してみると,上位地域ではこのように変 化し,下位地域では安定してこの範囲にあります。歪度,つまり歪みはこういうふうに高 まっています。これを具体的にグラフで見てきたわけです。先ほどいいましたように,私 の仮説では,地域間の経済格差の非常に大きな要因としては産業構造があるでしょう。産 業構造のどこに注目するのかというと,やはり日本の経済発展を支えてきた製造業に力点 を置いて考えるべきでしょうから,製造業のシェアと一人あたりの県民総生産の関係をみ ると,こうなります。実は東京もオリンピックの頃までは製造業の比率が非常に高かっ た。こちらは北海道,鹿児島です。この時代はまだ沖縄のデータがない。最近になります が,東京の製造業のシェアはオリンピック以降急速に低下して全国平均よりも低い。東京 都を除くと,先ほど 2 つ前にあったグラフと同じようにかなり製造業のシェアと一人あた りの県民総生産との相関も高くなる。東京都があるが故に歪度も高まっているし,今,相 関が低く見えますが,東京都を除いた 46 道府県で見るとこうなります。北海道,鹿児島, 沖縄はこの位置にあります。これではっきりするわけです。東京都を除く 46 道府県では, 上位地域の格差はこのように変化しています。下位地域ではこのように変化しています。 製造業比率と一人あたり GDP との相関ですね。上位地域ではこのように強い相関があり ます。下位地域では非常に弱い相関。ですから,下位の GDP の地域では,製造業とはほ とんど関係無しに所得が低いという結果になっています。 では,世界を見るとどうなっているでしょうか。こちらが製造業の比率で,これが一人 あたりの GNI です。ノルウェー,スイス,デンマーク,いずれも日本よりかなり製造業 の低い国です。アメリカはこのくらいです。ドイツはだいたい日本よりちょっと高いくら いの製造業比率です。日本と同じくらいの豊かさです。韓国はこのくらいですね。日本よ りわずかに低い。こう見ますと,日本より製造業比率の低い国で,日本より豊かな国がた くさんあるということです。高度経済成長期のようなイメージで,製造業に依存して日本 全体の豊かさをつくっていこうという考えでは,どうもうまくいかないだろうという予測 になるわけです。そこで,次の話に移る前に,ここで生産性を調べてみましょう。 全国と北海道の製造業比率を比べてみるとこうなります。日本の中で北海道の製造業の 比率は下から 2 番目。でも,一人あたりの豊かさ,GDPでは平均よりちょっと低いくら

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いのところに位置しています。これはどういう要因によるものか,というのがこれから明 らかになると思います。一人あたりGDPを生産性,15 歳以上人口比率,就業率に分解 することができます。それについて,全国と北海道を差し引いてやると,これはマイナス です。マイナスということは,全国より北海道のほうが,生産性が低いということ。全国 平均に比べて北海道の一人あたりGDPが低いという理由は,北海道の全産業の生産性が 低いことによるもので,これは事実です。ここで少し分析をしてみます。このように産業 分類してみると,こういう結果になります。これも全国平均が 100。どの期間でもトータ ルな産業,製造業,サービス産業,全ての分野で北海道の生産性は低いということです。 ところで,数学的なことは別として,産業連関分析というシステムがあるのですが,「わ たし」というある産業が「菊地」という産業と連携している。もう一つ,「菊地」という 産業は「村上」という産業と連携している。そこが依存関係にある。「わたし」のアクティ ビティが高まれば,当然,「菊地」のアクティビティも高まるし,それを通じて「村上」 という産業のアクティビティも高まる。「わたし」という産業のアクティビティが高まっ たとき,さまざまなルートを通じて「村上」という産業のアクティビティが高まる。こう いう関係がある。これを産業連関といいます。これをシステマティックにやって,モノ部 門とモノ以外の部門とに産業を分類して,北海道の特徴を日本全体の平均的な動きと連動 させてみよう。そうすると北海道はいろいろな分野でトータルでも生産性が低いというこ とを回復するために,キャッチアップするために,何かヒントが得られないかと考えたわ けです。 27 部門あります。これは,もっと細かければ細かいほどいいのですが,細かいと計算 が大変ですので,一応こういうふうな 27 部門でやってみました。これを投入部門として 4 つに分けた。モノ部門とサービス部門に分けましたから,モノ部門とモノ部門とのやり とり,モノ部門とサービス部門のやりとり,出し入れがありますから,4 分類に分けた。 これを見ればわかるように,モノ部門だけで相互依存関係が強くて,モノ部門の 1 工場, あるいは 1 企業がアクティビティを高めれば,他のモノ部門の他の工場や企業のアクティ ビティも高めることができる。トヨタが自動車を 1 台作れば,ブリジストンのタイヤ 4 本 が必要になるということです。それだけではなく,モノ部門がアクティビティを高めれば, 電話とか輸送とかサービス部門のアクティビティも高めることができる。そういうのをB という記号で,同じような関係をTという記号で表しています。 モノ部門とサービス部門の内部波及効果と相互依存の関係,これを 1970 年から 2005 年 のある程度長期のスパンを取って計算してみました。括弧内は北海道の数値です。北海道 経済は日本全体の一部分ですから,数値自体は日本が大きくて北海道が小さくなるのは当

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然です。問題は,どのように変化しているかということです。日本全体で相互依存関係が 10%高まった。そういうふうに変化して豊かさをある程度享受している。しかし,先ほど 見ていただいたように,北海道の平均的な経済的な地位は徐々に低下していますから,日 本全体で 10%アクティビティの相互依存関係が高まっているときに,北海道は実は 7%, あるいは 5%しか高まらないということが示されている。日本全体でモノ部門の中での相 互依存関係はこのくらい小さくなっており,北海道はもっと小さくなっている。その分だ け,北海道の製造業の企業同士や工場間の連携,相互依存関係が弱くなっていることを意 味しているわけですね。北海道で,日本全体に比べて非常に肥大化しているサービス部門 はどうでしょうか。日本全体としてはこのように増えている。北海道はもっと増えている。 北海道はサービス部門で,もしかすると優位に立っているのではないかと考えられそうな んですね。それをこれからお話します。 これについてグラフ化したものです。その部門の中での相互依存関係は,強くなったり 弱くなったりしたことや,その部門と他の部門との連関関係における相互依存関係が強く なった,弱くなったというのを分解したものです。これは産業の番号です。ここからがサー ビス部門,ここまでがモノ部門。日本全体で見るとだいたいこのような関係に,特徴がで ている。北海道はちょっと違う。先ほど言ったように,モノ部門では日本全体がこう,北 海道はこう。北海道では,この辺,かなり色着いた部分がプラスになっていますから,モ ノとサービス部門が強化されたのではないかというような感じもしないわけではありませ んが,実際に計ってみるとこうです。これがモノ部門内での変化。これは北海道です。赤 いのは全国の変化よりも劣っている。ある部門のアクティビティが他の部門に及ぼす影響 が強ければ強いほど,同じ規模でも経済効果が大きくなる。これが小さくなったというこ とは,同じように,ある部門からのアクティビティが増えたとしても他の部門を通じた全 体に及ぼす経済効果が小さくなったということです。できれば北海道から全国に先駆けて 大きな効果,変化をもたらして欲しいと希望して計算してみたのですが,実際はほとんど の部門で赤字が多い。北海道はサービス部門に特化して,サービス部門は生産性が上がっ ているかもしれない。それに依存して北海道の豊かさはある程度維持できているのかな, という期待はあったのですが,どうもそうでもない。確かにそういう効果は,全国平均に 比べるとあるのですが,それほどでもないということがよくわかる。それぞれ詳しいお話 はしませんが,勘案してこういうふうにまとめられるわけです。 北海道における産業の相互依存関係は全国よりも早く低下している。モノ部門において の相互依存関係の低下は顕著。北海道はこれからますます製造業において,突出した企業 があるかもしれないが,それでも全体としては相互依存関係が弱くなっている。北海道で

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そういったことに着目して,企業誘致や産業発展政策を掲げなくてはいけませんね。また, サービス部門ですが,その内部乗数と総合的波及効果は全国よりも若干早く拡大している。 しかし,サービス部門の生産がモノ部門の生産に波及する力,効果は全国よりも小さいと いうわけです。 あとは,細かな,それに付随したことですが,実はサービス部門の総需要に誘発される モノ部門の内部波及が大きい。あるいは,これが大事なんですね。全国はこのように大き くなっている。北海道はこれだけ増加した。いずれも全国平均よりも北海道の増加の程度 が小さいわけですから,北海道が全国平均に比べて経済が地盤沈下している大きな理由に は,こういった産業間の相互依存関係が弱くなっている。それは製造業だけでなく,サー ビス分野においても同様であることが言える。ただ,このままであってはいけない。世界 の他の国と比較したグラフを見ていただきましたけれども,あのように北海道も新しい戦 略を立てて,サービス部門を含めた産業政策を考えて,豊かさを追求していかなければな らない,ということが私の提案です。 先ほどの 4 人の先生方の報告のように,具体的ではありませんが,地域の経済政策,と くに産業政策を考える上ではこのような観点が必要ではないか,ということをお話ししま した。なぜこんな話しをするようになったかというと,先ほど,村上先生のお話しにあっ たイギリスですが,私もイギリスには大変興味があって,イギリスの地方にまで足を伸ば して,いろいろなものを見てきたのですが,ちょっとはっきりしないことがあります。こ こがロンドン,ここがバーミンガムという人口 100 万人くらいの都市があり,産業革命発 祥の地と言われている。このすぐ近くにコベントリーという人口 30 万人くらいの工業都 市がある。この辺はローバーとかジャガーとか,自動車の一大工場地帯です。もともとコ ベントリーはミシン,自転車,時計,軽工業からだんだん発展して,自動車を作るような 主産地になった。これを調べたら,軽工業から高度な産業になってきたときに,産業の連 関というのが非常にうまくいって,他の地域では見られなかったような企業の集積と技術 の進歩が実現したという経緯があるのです。 先ほど,3 つの図を見ていただきましたけれども,あの 3 つの図の生産性と規模と産業 の相互依存関係は,どれが欠けても,地域全体として一定程度の豊かさを実現していく力 が弱いと思う。何回か行ってみて実感していたので,最後に地図をご覧いただいて報告を 終わりにしたいと思います。ありがとうございました。

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札幌大学女子短期大学部 松本源太郎 2017年12月2日 2017年度 三大学院共同シンポジウム 経済のサービス化と地域経済 -北海道の産業連関分析アプローチ- 1 問題認識 ・所得格差の問題は、個人間と同様に地域間に ついても考察する必要がある。 ・所得格差と同様、地域間の経済格差は縮小し ていない。 ・47都道府県の一人当たりGDPは、産業構造と くに製造業シェアに相関していたが、近年、その 相関は弱含みである。 ・上記の相関は、相対的に豊かな地域で強く、 下位の地域では相関がない。 2 ・日本の製造業のシェアは低下し続けている。グ ローバル経済の環境で、サービス産業の生産性 上昇を図り、経済全体の底上げが必要。 ・「通商白書」や「経済財政白書」も、サービス産 業の生産性を改善させる重要性を指摘してい る。 ・北海道のように、製造業シェアが低く、サービ ス産業が拡大している地域ではどのような産業 政策が求められるか。 ・地域経済をつくる(強化する)産業政策には、 規模、生産性の他に「産業連関」の観点が重 要。 3 4 地域の経済力をつくる三つの要素 産業連関 相互依存関係 産業の規模 地域の雇用 成長性 技術進歩 注) 地域の雇用を重視した産業政策(企業誘致など)は、保護主義的に陥りが ち。成長性に特化すれば産業(企業)の活躍が地域と連動しないおそれも。 47都道府県一人当たりGDPの変動係数 -6 -4 -2 0 2 4 6 8 10 12 14 10 15 20 25 30 35 1人当たり県内総生産変動係数 歪度×10 実質GDP成長率(%、右軸) 出所)「県民経済計算」および「国勢調査」より産出. 5 変 動 係 数 平均値比 率 歪度×10 全地域 上位地域 下位地域 1960年度 29.236 20.197 11.147 1.578 15.590 1965年度 25.367 19.437 12.801 1.478 15.890 1970年度 24.467 17.564 14.225 1.463 12.622 1975年度 18.796 15.210 8.224 1.305 19.039 1980年度 19.128 15.246 8.983 1.310 18.632 1985年度 21.066 18.116 8.594 1.328 25.626 1990年度 24.215 21.970 8.905 1.356 30.692 1995年度 20.616 18.635 8.595 1.298 28.442 2000年度 19.346 18.179 8.682 1.265 30.191 2005年度 19.798 18.383 8.255 1.290 27.982 2010年度 18.504 17.505 8.019 1.263 30.402 一人当たり県内総生産の主要な指標について、5年ごとのデータは表のごとくで、 上位と下位地域それぞれの平均値の比率を「平均値比率」で表す。 6 〔報告⑤ 参考資料〕

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y = 0.0016x ‐ 0.1669 R² = 0.6815 0% 10% 20% 30% 40% 50% 100 150 200 250 300 350 400 450 一人当たり県民総生産(千円)と製造業就業者シェア(%) :1965年 7 東京都 大阪府 愛知県 鹿児島県 岩手県 北海道 大分県 0% 10% 20% 30% 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 7,000 8,000 一人当たり県民総生産(千円)と製造業就業者シェア(%): 2010年 8 東京都 y = 8E‐05x ‐ 0.1238 R² = 0.4976 0% 10% 20% 30% 2,000 3,000 4,000 5,000 一人当たり県民総生産(千円)と製造業シェア(%): 東京都を除く2010年 北海道 9 沖縄県 滋賀県 愛知県 奈良県 鹿児島県 大分県 岩手県 47都道府県 東京都を除く46道府県 上位地域 下位地域 上位地域 下位地域 1965年度 0.826 0.677 0.702 0.858 0.780 0.662 1975年度 0.563 0.277 0.372 0.677 0.611 0.461 1990年度 0.419 -0.098 0.449 0.677 0.617 0.460 2005年度 0.369 -0.265 0.461 0.742 0.631 0.473 2010年度 0.281 -0.383 0.286 0.705 0.691 0.354 出所)「県民経済計算」および「国勢調査」より作成. 注)「県民経済計算」は年度ベースである.「上位地域」と「下位地域」は一 人当たり県内総生産の平均で区分している.1965年度は沖縄県を含まない. 表1 一人当たり県内総生産(千円)と製造業比率(%)との相 関:東京都を除けば、上位地域での相関が高い。 10 11 表2 全国と北海道の一人当たりGDP(千円)および製造業比率順 位(北海道の都道府県順位について、一人当たりGDPをA、製造業 比率をBであらわす.) その要因分析。 年度 1960 65 70 75 80 85 90 95 2000 05 10 全国平 均 142 280 606 1,206 1,879 2,399 3,177 3,509 3,729 3,644 3,547 北海道 161 297 580 1,193 1,903 2,321 3,001 3,461 3,615 3,428 3,303 同順位 A 14 17 23 24 22 26 27 24 26 27 31 同順位 B - 35 38 44 45 46 46 46 46 46 46 12 ln名目人口GDP � ln就業者数 � ln名目GDP 15歳以上人口人口 +ln15歳以上人口就業者数

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-0.25 -0.2 -0.15 -0.1 -0.05 0 0.05 生産性 15歳以上人口比率 就業率 一人当たり総生産 図3 全国と北海道の乖離(対数値) 13 県 内 総 生 産 産 業 政 府 サ ー ビ ス 生 産 者 対 家 計 民 間 非 営 利 サ ー ビ ス 生 産 者 農 林 水 産業 鉱業、製造業、建設業、 電気・ガス・水道業、卸 売・小売業、金融・保険 業、不動産業、運輸・通 信業、サービス業 分類注1)「通商白書」におけるサービス産業とは、一般的な[第三次産 業]分類から電気・ガス・水道、公務が除かれている. 「経済財政白書」 においても、この分類が用いられている。 分類注2)「県民経済計算」における産業分類は以下のごとくである.本 節における「サービス産業」生産額は、産業のうち下線部分の産業の合計 である。 14 北海道のサービス産業のシェアは全国を上回るので、サービス産 業の産業全体の成長に対する寄与度が全国を越える場合が珍しく ない。 ただし、サービス産業の「生産性」は劣る。 図5 全国を 100 とした北海道の生産性 50 60 70 80 90 100 1970年度 1980年度 1990年度 2000年度 2010年度 総生産 製造業 サービス産業 15 K. Miyazawa(1975) により一般化され、「日本経済の現況」 (1990)に用いられた、産業を「もの部門」と「サービス部 門」の2部門に分割した産業連関分析。 16 番号 部 門 名 番号 部 門 名 番号 部 門 名 1 農林水産 10 窯業・土石製品 19 他の製造業 2 鉱業 11 鉄鋼 20 建築土木 3 食料品 12 非鉄金属 21 電気・ガス・水道 4 繊維製品 13 金属製品 22 出版・印刷 5 木材・家具 14 一般機械 23 商業 6 パルプ・紙 15 電気機械 24 金融・保険・不動産 7 化学製品 16 自動車 25 運輸・通信 8 石油・石炭 17 他の輸送用機械 26 サービス 9 プラスチック・ゴム 18 精密機械 27 公務 17 産業分類:黒字が「もの部門」、赤字が「サービス部門」 ここで、 X A X F * 

A

*

S

A A

S

1 1 A:もの部門のもの投入係数 S1:もの部門のサービス投入係数 A1:サービス部門のもの投入係数 S :サービス部門のサービス投入係数 18

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もの部門内部の波及効果(もの部門内部乗 数) もの部門の内部波及により直接必要とされる サービス投入 サービス部門のもの投入が誘発するもの部門 の内部波及 サービス部門内部の波及効果(サービス部門 内部乗数) サービス部門の内部波及により直接必要とさ れるもの投入 もの部門のサービス投入が誘発するサービス 部門の内部波及 サービス部門の総波及効果 19 図7 もの部門とサービス部門の内部波及効果と相互依存: 1970年-2005年 20 21 逆行列係数縦計変化の要因分解(全国:1990~ 2005年) -0.30 -0.25 -0.20 -0.15 -0.10 -0.05 0.00 0.05 0.10 0.15 0.20 123456789 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 両部門の相互依 存による部分 自部門の内部乗数 変化による部分 22 逆行列係数縦計変化の要因分解(北海道:1990 ~2005年) -0.25 -0.20 -0.15 -0.10 -0.05 0.00 0.05 0.10 0.15 0.20 123456789 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 両部門の相互依 存による部分 自部門の内部乗数 変化による部分 1970年 ~1990年 1985年 ~2005年 1970年 ~2005年 1970年 1985年 1990年 2005年 B* -8.82% -4.12% -8.03% 41.8106 40.1065 38.1223 38.4524 B -12.05% -8.37% -14.10% 29.3647 27.5291 25.8255 25.2238 B1 0.43% 20.38% 16.91% 3.3834 3.2860 3.3981 3.9557 B2 -37.59% -39.88% -43.68% 0.7571 0.7093 0.4725 0.4264 T 5.15% 2.09% 7.51% 6.8476 7.2112 7.2002 7.3621 T1 -24.07% -31.37% -27.24% 0.5834 0.6185 0.4429 0.4244 T2 7.56% 36.54% 35.35% 3.1302 3.1028 3.3669 4.2367 M 4.66% 1.72% 7.00% 6.9681 7.3294 7.2926 7.4557 北海道 注)北海道におけるそれぞれの波及効果の変化が全国よりも劣っ たケースを「赤字」で示す。 23 24 ・北海道のサービス部門の内部乗数と総合的波及効果は、全国 よりも若干速く拡大している。 ・サービス部門の生産がもの部門の生産に直接的に波及する効 果T1、もの部門のサービス投入が誘発するサービス部門内部の、 間接波及効果がTである. ・Tについては、全国も北海道もその効果が減退しているが、北 海道はその減退の程度がより大きい。全国、北海道ともにTは 増加傾向にあるが、北海道の増加は小さい。 ・北海道の産業の相互依存関係は全国よりも速く低下している。 ・それは、もの部門内部において顕著である。 ・もの部門のサービス部門に対する直接的波及効果B1はマイナ ス方向に変化してきたが、北海道では全国よりも大きく減退して いる. ・サービス部門のもの投入が起点となり、もの部門内部において 生じる間接的波及効果(B2)でも同様である。

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25 両部門の相互連関性 B2M:サービス部門の総需要に誘発されるもの部門 の内部波及 MB1:もの部門が誘発するサービス投入に誘発され るサービス総投入 全 国 北 海 道 年 1970 1980 1990 2005 1970 1980 1990 2005 B2M 2.0900 2.2262 1.3861 1.2881 0.62 0.8942 1.0606 0.5748 0.51920.58 MB1 6.3118 6.6142 7.4660 8.3811 1.37 4.0713 4.4986 4.1279 4.94371.21 もの部門発のサービス総投入効果が拡大し、逆にサービス部門 発のもの部門内部波及効果は低下。→もの部門の相対的自立性 (優位性) 26 部門内部乗数および相互連関性変化が総産出量に及ぼす影響 逆行列係数の変化を技術的変化による部分と部門間の相互連関性の変化による 部分とに分けてそれぞれの大きさを検証する � � �� � �∗�� �� � � � � ��+ � � ��� � ��∗� � ���         M MB M B MB B B B 1 2 1 2 *                                     T M MB M B MB B T B M MB M B MB B B B 1 2 1 2 1 2 1 2 * 0 0 ここで、 ・シェアが縮小し、波及効果も低下したもの部門では、自部門内 部からの投入係数が大きく低下し、逆に、シェアが拡大し波及効 果も高まったサービス部門では投入係数が大きく上昇している。 ・留意すべきは、道内産品の調達比率である.もの部門内部に ついては、1970年の51.75%から2005年の36.62%へと大きく低下 し、もの部門のサービス部門からの投入については1970年の 93.37%から2005年の78.32%へと、やはり大きく低下している。 サービス部門内部においても、1970年の90.38%から2005年の 80.82%へと低下幅が大きい。 ・全国よりもかなりシェアが大きいサービス部門においても、もの 部門と同様に、中間投入財の道内産品調達比率が大きく低下し ている。全国に較べて、サービス部門の生産性が低いだけでな く、産業の相互依存関係が急速に薄れていることが明確であ る。 27 ・一人当たりGDPでみた都道府県の経済格差は 縮小の後、バブル期から拡大し、長期不況期には 横ばいである。 ・地域の経済格差は、地域の生産性に依るが、産 業構造とくに製造業比率と相関していた。相関の 度合いは、相対的に豊かな府県において強く、貧 しい地域では相関がない。 ・北海道は、全国に先駆けてサービス産業・部門 が拡大しており、全産業の生産性は相対的に低く、 サービス産業も同様。 28 ・産業の役割は、生産性により経済成果を支える だけではなく、産業の連関を通じて地域経済を活 性化させることも課題。 ・産業連関の度合いについて、北海道のもの部門 は大きく低下している。 ・北海道においては、サービス部門内部の波及効 果(内部乗数)が全国よりも速く増加。 ・しかし、それはサービス部門のシェア拡大による ものであると推測できる。 ・もの部門がサービス部門よりも「自立性」が強い。 ・とくに北海道において、サービス部門の生産性と ともに、内部波及効果の改善が課題。 29

参照

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