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Academic year: 2021

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D31

大規模カルデラ噴火の先駆現象に関する地質科学的総合研究

Integrated Geological Studies on Precursors of Large-scale Caldera Eruption

〇小林哲夫・奥野 充・長岡信治・宮縁育夫・井口正人・味喜大介 〇Tetsuo KOBAYASHI, Mitsuru OKUNO, Shinji NAGAOKA,

Yasuo MIYABUCHI, Masato IGUCHI, Daisuke MIKI

We investigated the precursory events of caldera forming eruptions at five localities in Japan, namely: Toya, Aso, Kakuto, Aira, and Kikai. The best example of a precursory eruption occurred at Aso caldera, which produced voluminous high-temperature andesitic lava flows shortly before the Aso-2 pyroclastic flow eruption. The lava flows effused from fissure vents both on the east and the west flanks of the volcano. This suggests that magma reservoirs are not so simple as has been generally accepted, and that the trigger of an eruption is closely related to the decompression of magma and the crustal stress field around a volcano.

1.はじめに マグマの蓄積から噴火に至るプロセスの解明は, マグマの存在形態とともに噴火の要因を探るうえ で非常に重要な課題である.本研究では,大規模 カルデラ噴火の先駆現象を地質学的に検出し,噴 火直前のマグマの存在形態(マグマ溜りの実態) を推定するとともに,噴火とテクトニクスの関係 についても考察した. 2.研究対象 洞爺カルデラ(有珠火山),阿蘇カルデラ,加久 藤カルデラ,姶良カルデラ,鬼界カルデラを対象 に,まずカルデラ噴火の推移を明らかにし,噴火 直前のマグマの存在形態について考察した.特に 鬼界カルデラと阿蘇カルデラにおいて,研究目的 に合致する事例が見いだされた. 3.研究結果 ○鬼界カルデラのアカホヤ噴火(7.3 cal ka BP) の前には,火山体の地滑り崩壊の発生(数 100 年 前?)と脱ガスした流紋岩質マグマの噴出(~100 年?)が確認された.これら事変の前は数千年に わたり,苦鉄質マグマのブルカノ式噴火が継続し ていた.また噴火の継続中に,少なくとも2度の 大地震が発生した. ○阿蘇カルデラでは,Aso-2 火砕流噴火の直前に 特異な安山岩質マグマが溶岩として噴出した.こ の溶岩流はカルデラの東西の斜面に分布しており, 割れ目噴火であった可能性が高いる.これらの溶 岩のうち,特に秋田溶岩は Aso-2 噴火の直前(数 ヶ月以内?)に噴出した.岩相は互いに酷似し, 緻密で斑晶に乏しく,大小の球状気泡に富んでい る.基底部の形状もパホイホイ溶岩と酷似してい るが,溶岩の表層部はアアクリンカー状をなして いる.SiO2=61~59 wt%の安山岩であるが,玄武岩 に匹敵するほど高温(1123~1045℃)で低粘性(無 水で log η=4)である. 4.まとめ カルデラ噴火に先行する噴火として,鬼界カル デラでは脱ガスした溶岩が噴出し,阿蘇カルデラ では非常に高温の安山岩質マグマが東西山麓で噴 出するという現象が見いだされた. 阿蘇の例は,珪長質マグマとは別に,非常に高 温の安山岩質マグマが同時に存在していたことに なり,マグマ溜りの形態が単純なモデルでは説明 できないことを意味している. カルデラ噴火に先行するマグマの噴出は,珪長 質マグマ溜り内での減圧(=マグマの発泡)を引 き起こし,カルデラ噴火の引き金となったことを 示唆している.またカルデラ噴火の前後にかけて 発生した地震(鬼界)や,先行して発生した割れ 目噴火(阿蘇)等の事例は,火山を取り巻く応力 場の役割も無視できないことを示唆している. 今後は姶良カルデラにおいても,地球物理学的 なデータ等を加味した多面的なアプローチにより, 活動的なカルデラにおけるマグマ供給系のモデル を構築するつもりである.

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