[報文]環境中のベリリウムについて
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(2) 2 2 6. 報. それらの各地質構造帯より特徴的な岩石および 土壌を表 1 のとおり採取した。 !. 試料の調製. ア. 岩. 文. 室内で風乾後,岩石同様に1 00mesh 篩を通過し たものを試料としてポリエチレン製容器に保存し た。 ". 石. 山間部の切取り現場などの未風化岩石を採取 し,表面を水洗,風乾後クラッシャーを用いて粉. 試. 薬. ベリリウム標準液 (100ppm,原子吸光分析用, 和光純薬)は,0. 5N 硝酸で希釈した。. 砕,ロールミルにより細粉して,100mesh 篩を通. 塩酸,硝酸,過塩素酸は,有害金属測定用 (和. 過したものを試料としてポリエチレン製容器に保. 光純薬)を,フッ化水素酸は,特級 (和光純薬) を. 存した。. 用いた。. イ. 土. #. 壌. 人為的汚染を受けていない表層土壌を採取し,. 装置および測定条件. 装置は,光温度制御装置付き日立製1 80−70型 原子吸光分光光度計を用い,ベリリウム測定条件 は表 2 のとおりである。 なお,測定は簡易標準添加法を用い,ゼーマン 補正したピーク高より濃度を算出した。 $. 試験溶液の調製. 試料約1g を,精秤後 図 2 のとおり王水10ml を加え加熱後,フッ化水素酸1 5ml,過塩素酸1 0 ml,硝酸15ml で加熱処理し0. 5N 硝酸溶液で5 0ml に定容して試験溶液とした。 %. 分析精度の検討. 分析精度を検討するため地質調査所から分与さ 図1. 愛媛県の表層地質図 表1. 区分. 採取試料. 地帯名 領家帯. 三波川帯 岩石. 秩父帯. 四万十帯. 三波川帯 土壌 秩父帯. 3 8─. 試料名称 和泉砂岩 花崗閃緑岩 緑色片岩 黒色片岩 粗面岩質安山岩 輝石安山岩 黒雲母安山岩 蛇紋岩 橄欖岩 紅簾片岩 砂 岩 蛇紋岩 チャート 砂 岩 黒雲母花崗岩 斑状花崗岩 安山岩質土壌 砂岩質土壌 緑色片岩質土壌 安山岩質土壌 砂岩質土壌 緑色片岩質土壌. れた標準試料を,図 2 の操作により処理した結 果を参考値13)とともに表 3 に記している。 分析値/参考値の比が,0. 89∼1. 18の範囲にあ りその精度が確認できた。 &. 岩石粉砕方法の検討. 分析試料を粉砕細粉均一化するために用いるク ラッシャー,ロールミルからの金属汚染の有無を 確認するため,輝石安山岩 (A5,A6)黒雲母安山 岩(A8)を用いて分析した鉄,マンガン,銅,亜 鉛の分析値は表 4 のとおりであり,使用機器から の汚染は考えられないので,今回試料の前処理に 両粉砕装置を使用することとした。. 表2. ベリリウム測定条件. 測定波長 スリット ランプ 電流 キュベット 注入量 乾燥温度 灰化温度 原子化温度. 2 3 4. 9nm 1. 3nm 7. 5nm チューブ型 1 0µl 8 0∼1 2 0℃ 3 0s 6 0 0℃ 3 0s 2 8 0 0℃ 7s 全国環境研会誌.
(3) 環境中のベリリウムについて. 結果および考察. 3. ①. 2 2 7. 岩石中のベリリウム濃度は,表 5 のとおり 平均値0. 78ppm (0. 04∼4. 43ppm)であった。 その濃度分布は,図 3 のとおり花崗岩は0. 40 ∼4. 43ppm の 範 囲 で 分 布 し 平 均 値1. 79ppm, 安 山 岩 は0. 13∼1. 45ppm で 平 均 値0. 70ppm, 砂 岩 は0. 33∼1. 48ppm で 平 均 値0. 92ppm, チャートは0. 29∼0. 55ppm で平均値0. 45ppm, 黒色片岩は0. 40∼0. 62ppm で平均値0. 45ppm, 紅簾片岩は0. 13∼0. 50ppm で平均値0. 29ppm, 緑色片岩は0. 06∼0. 53ppm で平均値0. 28ppm の順であった。. ②. 火成岩は,図 4 のとおり平均値で黒雲母花 崗岩3. 03ppm,粗 面 岩 質 安 山 岩1. 41ppm,花 崗閃緑岩1. 40ppm,黒雲母安山岩1. 55ppm,斑 状花崗岩0. 90ppm と高濃度のものと,輝石安 山岩0. 18ppm のように低濃度のものがあり, 濃度差が大きかった。. 図2. ③. 全分解法. 変成岩では黒色片岩,紅簾片岩,緑色片岩と もに低濃度であった。. 表3 試料名 JG1. JR1. JR2. JB2. 区. 分. 参考値 分析値 比 参考値 分析値 比 参考値 分析値 比 参考値 分析値 比. Fe %. Mn %. Al %. Be µg! g. Cu µg! g. Zn µg! g. 1. 5 1. 4 8 0. 9 9 0. 6 7 0. 6 4 0. 9 6 0. 6 0. 5 8 0. 9 7 1 0. 0 3 9. 7 8 0. 9 8. 0. 0 4 9 0. 0 3 9 0. 8 0 0. 0 7 7 0. 0 6 7 0. 8 7 0. 0 8 5 0. 0 7 8 0. 9 2 0. 1 5 5 0. 1 5 2 0. 9 8. 7. 5 1 6. 6 8 0. 8 9 6. 8 2 5. 8 7 0. 8 6 6. 7 8 6. 6 8 0. 9 9 7. 7 6 7. 4 0. 9 5. 3. 1 2. 8 0. 9 0 3. 1 2. 9 0. 9 4 3. 4 3. 3 0. 9 7 0. 2 7 0. 2 4 0. 8 9. 1. 5 1. 8 1. 2 0 1. 4 1. 3 0. 9 3 1. 4 1. 4 1. 0 0 2 2 7 2 6 7 1. 1 8. 3. 1 2. 8 0. 9 0 3 0 2 8. 9 0. 9 6 2 7. 2 2 6. 4 0. 9 7 1 1 0 1 0 4 0. 9 5. 表4 試料名 A5. A6. A8. Vol. 29. No. 4(2004). 標準試料の分析値. 粉砕方法別の分析値. 分. Fe %. Mn %. Cu µg! g. Zn µg! g. 使 用 未使用 比 使 用 未使用 比 使 用 未使用 比. 4. 0 5 4. 2 8 0. 9 5 4. 1 8 4. 3 5 0. 9 6 0. 2 6 0. 2 5 1. 0 4. 0. 0 9 0. 0 8 1. 1 3 1. 0 0 1. 0 0 1. 0 0 0. 0 1 0. 0 1 1. 0 0. 3 2. 0 3 1. 3 1. 0 2 3 9. 9 3 4. 4 1. 1 6 5. 0 5. 3 0. 9 4. 8 8 9 2 0. 9 6 9 7 9 2 1. 0 5 3 0 3 4 0. 8 8. 区. ─3 9.
(4) 2 2 8. 報 表5 元素名 単位 平均値. 岩 石 n=6 2 標準偏差 安山岩 平均値 n=1 1 標準偏差. 4. 8. 0. 7 8. ±2. 6 1 ±0. 1 1 2 2. 2 1 0. 0 6 3. ±2. 6 8. 1. ±0. 8 0 0. 7 0. ±4 2. 0 1 8. 1. ±1 6 3 6 7. ±1 0. 1 2 3. 5. 花崗岩 平均値 n=1 2 標準偏差 緑色片岩 平均値 n=1 0 標準偏差. ±1. 6 4 ±0. 0 3 8 2. 4 6 0. 0 7 0. ±2. 5 3. 8. ±0. 4 8 1. 7 9. ±1 3. 8 1 6. 6. ±2 1 6 4. ±7. 8 2 6. 2. ±1. 2 0 ±0. 0 4 1 8. 1 3 0. 1 3 7. ±2. 2 5. 4. ±1. 2 9 0. 2 8. ±1 2. 2 8 3. 2. ±2 9 1 8 8. ±6. 4 1 2. 2. 3. 5 1. Mn % 0. 1 2 2. Al. Be. Cu. Pb 2 0. 3. ±0. 9 8 ±0. 0 4 2. ±2. 4. ±0. 1 5. ±2 0. 2. ±2 0. 3. ±5. 1. 黒色片岩 平均値 n=5 標準偏差. 3. 0 6 0. 3 5 1 ±0. 1 7 ±0. 1 6 4. 5. 3 ±0. 6. 0. 4 5 ±0. 0 8. 7 2. 2 ±2 6. 5. 9 2 ±1 8. 2 2. 0 ±3. 8. 紅簾片岩 平均値 n=4 標準偏差 砂 岩 平均値 n=1 7 標準偏差. 2. 8 3 0. 3 2 1 ±1. 3 6 ±0. 1 7 1 2. 4 7 0. 0 8 0 ±1. 8 4 ±0. 0 4 3. 3. 7 ±0. 2 3. 6 ±1. 9. 0. 2 9 1 0 0. 1 ±0. 1 3 ±1 0 1. 4 0. 9 2 4 8. 0 ±0. 3 8 ±1 0. 2. 5 2 ±1 9 5 7 ±4 0. 2 4. 3 ±6. 1 1 9. 3 ±4. 3. チャート 平均値 n=4 標準偏差. 0. 6 1 0. 1 2 6 ±0. 3 8 ±0. 0 6 0. 4. 9 ±0. 5. 0. 4 5 ±0. 1 0. 1 3 ±1 2. 1 6. 7 ±7. 8. 図3. 図4 4 0─. 岩石中の元素濃度 Zn µg! g 4 0. 5 9 1. 試料名. Fe. 文. 7 6. 5 ±1 0. 6. 岩石中のベリリウム濃度分布. 火成岩中のベリリウム濃度分布 全国環境研会誌.
(5) 環境中のベリリウムについて 表6 試料名. 元素名 単位 平均値. 土 壌 n=1 7 標準偏差 安山岩質 平均値 n=6 標準偏差 砂岩質 n=6. 平均値. 標準偏差 緑色片岩 平均値 n=5 標準偏差. ④. Fe. 2 2 9. 土壌中のベリリウム濃度分布. 8. 8. 0. 6 5. Zn µg! g 3 7. 7 8 2. ±1. 8 4 ±0. 0 6 9 2. 0 2 0. 0 9 7. ±3. 2 7. 6. ±0. 3 6 0. 8 4. ±2 5. 8 2 3. 5. ±3 2 6 7. ±6. 6 2 3. 3. ±1. 6 5 ±0. 0 8 4 3. 1 7 0. 1 1 1. ±3. 4 7. 1. ±0. 4 0 0. 7 2. ±1 4. 1 3 2. 9. ±2 0 8 5. ±5. 7 3 0. 9. ±1. 5 0 ±0. 0 5 6 4. 1 0 0. 1 4 6. ±1. 6 1 2. 1. ±0. 2 5 0. 3 3. ±2 2. 4 5 9. 1. ±2 4 9 7. ±6. 5 3 3. 3. ±1. 7 8 ±0. 0 6 0. ±1. 2. ±0. 1 7. ±2 3. 2. ±4 3. ±7. 3. 3. 0 4. Mn % 0. 1 0 7. Al. 堆積岩は,領家帯の和泉砂岩1. 06ppm であ. Be. ①. Cu. Pb 3 6. 2. 岩石,土壌の溶融法は,アルカリ溶融等種々. り秩父帯の砂岩0. 98ppm,四万十帯の砂岩0. 36. の方法があるが,今回使用した王水・フッ化水. ppm と生成年代により濃度差がみられた。秩. 素酸・過塩素酸分解でも比較的容易にできるこ. 父帯特有のチャートは,0. 45ppm であった。. とがわかった。. ⑤. 土壌中のベリリウム濃度 は0. 14∼1. 39ppm の範囲で分布しており,全体の平均は表 6 の とおり0. 65ppm であった。地質別に見ると粗 面岩質安山岩質土壌1. 39ppm,黒雲母安山岩 質 土 壌1. 01ppm,砂 岩 質 土 壌0. 72ppm,緑 色. ②. 県下の岩石のベリリウム濃度は0. 04∼4. 43 ppm (平均値;0. 78ppm)であった。. ③. 土 壌 中 の 濃 度 は0. 14∼1. 39ppm (平 均 値;. 0. 65ppm)であった。 ④. 以上のベリリウム濃度は,愛媛県のバックグ. 片岩質土壌0. 33ppm,輝石安山岩質土壌0. 31 ppm の順であった。 ⑥. 岩石と土壌のベリリウム濃度の関係は土壌の. ラウンドレベルである。 ⑤. 地域的には領家帯が高く,続いて秩父帯,三 波川帯,四万十帯の順であった。. 方がやや低い傾向にあるが,明確な関係は見い 出すことができなかったが,鉄,アルミニウム 等では,Bowen. の報告14)に見られるように土. 壌が高濃度であり,原因として岩石が風化する 過程でカルシム,カリウム等可溶性カチオンは 水により流失するが,ある種の金属は残存する ことを示していた。 ⑦. 県内のベリリウムの濃度分布は領家帯が高 く,秩父帯が続き,三波川帯,四万十帯の順で あり,特徴的なことは三波川帯久万層群の黒雲 母安山岩地帯と四万十帯の黒雲母花崗岩地帯 が,高濃度であった。このことは,岩石中に黒 雲母を含有することによりベリリウム濃度が上 昇することを示唆していた。 4. ま. と. め. 愛媛県下のベリリウム濃度を把握するため,岩 石,土壌を分析した結果,次のような結果を得ら れた。. Vol. 29. No. 4(2004). ―参 考 文 献― 1) 原子力金属懇話会;ベリリウム,1, (1 9 6 2) 2) 多田治;環境保健レポート,3 9,3 1, (1 9 7 6) 3) 日本産業衛生学会;産業医学,1 6 (1) ,5 7, (1 9 7 4) 4) 環境庁;ベリリウム発生源等対策調査報告書, (1 9 8 0) 5) 葛原由章等;日本薬学 会1 0 1年 会 講 演 要 旨 集,1 0 5, (1 9 8 1) 6) 葛原由章等;日本食品衛生学会第4 2回学術講演会講 演要旨集,2 7, (1 9 8 1) 7) 葛 原 由 章 等;日 本 薬 学 会9 9年 会 講 演 要 旨 集,3 2 7, (1 9 7 9) 8) 葛原由章等;日本食品衛生学会第4 2回学術講演会講 演要旨集,2 1, (1 9 8 0) 9) TERASHIMA.S; Japan Analyst,2 2,1 3 1 7, (1 9 7 8) 1 0) 伊 藤 岩 夫 等;福 島 県 公 害 衛 生 研 究 所 年 報,2,8 8, (1 9 8 9) 1 1) 菊地憲夫等;第4 8回日本公衆衛生学会総会抄録集, 9 7 3, (1 9 8 9) 1 2) 経 済 企 画 庁;2 0万 分 の 一 表 層 地 質 図 土 地 分 類 図, (1 9 7 1) 1 3) ANDO. A; Geostandards Newsletter, 1 1 (2),1 5 9, (1 9 8 7) 1 4) BOWEN; Environmental Chemistry of the Elements, 5 1, (1 9 7 9). ─4 1.
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