Title
膜脂質情報変換酵素ホスホリパーゼDの細胞増殖・生存シ
グナルの制御機構解明( はしがき )
Author(s)
坂野, 喜子
Report No.
平成14年度-平成15年度年度科学研究費補助金 (基盤研究
(C)(2) 課題番号14580646) 研究成果報告書
Issue Date
2003
Type
研究報告書
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/710
※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。ホスホリパーゼD(PLD)は、産生するホスファチジン酸(臥)を介してさま ざまな情報伝達系と活発にクロストークし、重要な情報変換酵素であること が近年明らかにされてきた。高等動物mには2種類のアイソザイム (ml,2)があり、各種アゴニスト刺激により異なる機構で活性化され、低分
子Gタンパク質、PE.Cやチロシンキナーゼが関与することを明らかにした。
また、PLDの細胞機能(分泌などの迅速応答ならびに長期応答の増殖、分 化・アポトーシスなど)における関与について検討を行い、肝再生のS期 や肝がん細胞および腎がん組織の核にml,2の高活性が認められた。また、 m2遺伝子SNP解析によりTbだ汀γIle多型が大腸がんで高いことが見いだ され、PLDが増殖やがん化に関与することを示唆した。一方、神経細胞(PC12 細胞)の酸化ストレス(H202)の初期応答として著しいPLDの活性化が起こり、 EGRのチロシンリン酸化やERKが関与することを示唆した。また、m の活性上昇がアポトーシス誘導を抑制することが示されており、SuⅣivalシグナリングにおける血刀の役割を明らかにするために、PLDl,2の過剰発現
細胞を用いて検討した。スフィンゴシン1-リン酸(SIP)の受容体SIP‡過剰 発現CHO細胞にPLDlおよびPLD2を過剰発現し、増殖(SIRIGF)刺激 によるPLD、AktおよびERKの活性化を検討したところ、PLD過剰発現に よりAktとERKの活性化が増強され、これらの活性化はl-butanolにより阻 害された。両ERKの活性化はRasDNにより阻害されるが、Aktの活性化は 影響されなかった。また、IGF刺激によるAktの活性化はPLDl,2過剰発現 によって影響されないことから、PLDの関与はRasに関係しており、受容 体により異なることが示された。一方、CHO細胞をアクチノマイシンD (AchD)処理するとアポトーシスが誘導されるが、PLDl,2過剰発現により抑制されることを見いだした。AcbPによるアポトーシスシグナルには、カス
バーゼ依存的なPKC6の分解が関与し、m-Dl,2め過剰発現によりPKC6の分解が抑制された。また、PLDi,2導入によりAchDによるAkt,ERKやp70S6K
の活性化が増強された。以上の結果から、ml,2は増殖・生存シグナルのおいて酸化ストレスにおけるm2の活性化が、PYE2・Srcの活性化に関
与し、これらの活性化を介して生存シグナルのAktの活性化に関与すること を初めて示唆した。以上の結果からPLDは細胞増殖・生存シグナルの活性 化に重要な役割を演ずることを明らかにすることができた。