97 (20) 氏名(生年月日) 本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
アキ モト ノリ コ秋元典子(昭和31
医学博士 乙第1019号平成元年6月16日
学位規則第5条第2項該当(博士の学位論文提出者)IgA腎炎の臨床病理学的検討
(主査)教授 杉野 信博 (副査)教授 滝沢 敬夫,澤口 彰子論 文 内 容 の 要 旨
目的 IgA腎炎は日本での発生頻度が欧米諸国に比べて高 率であり,最近増悪例が次々と報告され,腎不全に陥 る例も少なくないことがわかってきた.しかしその発 生機序や根本的治療手段はいまだ発見されておらず, 進行速度にも症例によりかなりの差が認められる.本 研究では,進行性因子を明らかにすることを目的とし て,臨床病理学的観点から検討を加えた. 対象 過去9年間に腎生検によりIgA腎炎と診断され,生 検後2年以上経過観察が可能であった当科患者118例 を対象とした.なお肝疾患,膠原病,紫斑病などによ る二次性腎疾患は除外した.男54例,女64例で,年齢 は29.5±3.6歳,同一症例で2回以上腎生検を行なった 例が8症例含まれる. 方法 1)全例を対象に,発見動機,腎生検時のタンパク尿 と血尿の程度,高血圧の有無,腎機能,血清lgA値な どの臨床像と,光学顕微鏡,蛍光抗体染色法,電子顕 微鏡による組織所見との関連性について検討した. 2)経過観察中に増悪した例を選び,生検時点で増悪 を示唆すると思われる所見について検討した. 3)生検時にネフローゼ症候群(以下ネ症)を呈する 例が認められたが,これが増悪と関連するかどうかを 経時的生検所見も含めて検討した, 4)IgAの沈着パターンの差が予後に大ぎな関わり をもっことに注目し,その点についても検討を加えた. 結果および考察 1.組織変化の進行には発症からの経過期間が大き く影響していた.また組織変化が高度なほど血尿,タ ンパク尿も高度となる傾向が認められ,特にタンパク 尿の程度は予後を左右する因子として重要と思われ た. 2.腎機能低下例では,血圧管理の不良,上気道感染 症の繰り返しの既往が認められる例が高率であった. 3.ネ症例ではHLADR4を有する例が多く,遺伝的 因子の関与も考えられた.4.IgA沈着がmesangium領域のみでなく糸球体
基底膜にもおよぶ例では,血尿,タンパク尿が高度で, 組織所見も進行する傾向が認められた. 結論 IgA腎炎の進行には発症からの経過期間の影響が大 ぎいと判断され,生検時に血尿,タンパク尿が高度の 例は予後不良であり,不良な血圧管理や頻回の上気道 感染は本症の増悪を促進させる.IgA沈着の糸球体基 底膜への波及も,予後不良を示唆する一所見と考えら れた. 一699一98