208 (88) 氏名(生年月日) 本 .籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
タ ジカ ヤス ピコ田鹿安彦(昭和2
博士(医学) 乙鳥1434号平成6年2月18日
学位規則第4条第2項該当(博士の学位論文提出者)
抗PCNA抗体を用いた免疫組織化学的検索による脳腫瘍の増殖能についての
研究 (主査)教授 高倉 公朋 (副査)教授 丸山 勝一,内山 竹彦論 文 内 容 の 要 旨
目的 脳腫瘍の治療,予後を考える上でその増殖能を知る ことは重要であるが,手術材料でそれを簡便に知る良 い方法は十分に開発されていない.DNA合成に関与 するDNA polymerase deltaの補助因子である36KD 非ピストン核蛋白の増殖細胞核抗原proliferating cell nuclear antigen(PCNA)は,増殖細胞の核に認められ,抗PCNA抗体を用いることでホルマリン固定パ
ラフィン包埋切片でも免疫染色が可能であると報告さ れている.本研究は脳腫瘍の手術標本を対象とし,抗 PCNA抗体(PC10)を用いた免疫染色で脳腫瘍の増殖 能,各腫瘍組織での差異,組織学的悪性度等について 検討し,臨床的に脳腫瘍の増殖能や悪性度を簡便に測 定する方法を開発することを目的とした. 対象および方法 脳腫瘍の手術による摘出標本80例を対象とした.腫 瘍の内訳は神経上皮由来腫瘍43例,非神経上皮由来腫 瘍33例,転移性脳腫瘍4例であった.摘出標本は20% ホルマリンに固定しパラフィン包埋切片を作製した.固定期間は大部分は2日間以内であった.抗PCNA
抗体(PC10).を1:100に希釈し,室温にて1時間反応 させavidin biotin peroxidase complex法で免疫染色 を行った.腫瘍細胞を1,000~2,000個数え陽性率 PCNA indexを算出した.47例は凍結切片でKi-67染 色を行い比較した. 結果および考察PCNAは腫瘍細胞の核に染まっていた.各腫瘍の
PCNA indexは悪性の腫瘍ほど高値で, glioblastoma 33.6%,anaplastic astrocytoma 16.1%,medulloblas- toma 38.3%, hemangiopericytoma 42%, germinoma 54.5%,malignant lymphoma 46%, metastatic brain tumor 68.8%であり,10w grade astrocytoma, epen- dymoma, schwannoma, meningiomaなどでは低値で あった.gliomaにおいてはPCNA indexはgradeに 相関し,PCNA index 12%以上の群は12%未満の群よ り有意に生命予後は不良であった.このことから PCNA indexは臨床病理学的悪性度を考える上で非 常に有用であると思われた.Ki-67染色との比較では相 関がみられたが,PCNA indexの方が高値となる傾向 がみられた.PCNAの性状や代謝の変化も考えられる が,G1期からS期, G2期, M期にもPCNAの発現の 可能性が考えられた. 結論 抗PCNA抗体(PC10)は,ホルマリン固定パラフィ ン包埋切片でも染色性にすぐれ通常の手術材料を広く 利用でき,またHE染色と連続切片上で各種の部位を 検索でき,組織多様性をみるうえで非常に有用である. PCNAの染色性は腫瘍の悪性度に比例して強まり,特にgliomaではPCNA indexが12%以上のものは
予後不良であった. Ki-67染色と比較するとPCNA染色の方が陽性率が高い傾向であった.PCNAはG1期からS期以外にも
発現している可能性が考えられた. これらより本検査法が脳腫瘍の増殖能や悪性度を調 一814一209 べるうえで,一臨床応用できる簡便な信頼度の高い検査 法であることを明らかにした.