112 氏名(生年月日) 本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
(40) クワ ザワ タカ ホ桑沢隆補(昭和28
博士(医学) 乙第1386号平成5年7月16日
学位規則第4条第2項該当(博士の学位論文提出者)
同時記録による左右両側および耳下腺一顎下腺の味覚反射性唾液分泌の電気
生理学的研究 (主査)教授 橋本 葉子 (副査)教授 石井 哲夫,溝口 秀昭論 文 内 容 の 要 旨
目的 ヒト唾液の味覚刺激に対する反射性分泌量は様々で あるが,中にはSjδgren症候群の様に分泌量が極端に 少ない疾患,又はParkinson病の様に多い疾患があ り,摂食や口腔内治療の際に障害になることがある. ヒト唾液腺の分泌様式については,個々の唾液腺につ いての生理学的研究は散在するが味覚刺激に対し,左 右あるいは異なる唾液腺を同時に誘導し,その分泌様 式を詳細に検討した報告はない.本研究は,耳下腺と 顎下腺,両側耳下腺および顎下腺の味覚刺激による反 射性唾液分泌の同時記録,分泌のリアルタイムでの定 量解析,そのための解析装置の開発,およびこの定量 解析法の臨床応用について検討することを目的とし た. 対象および方法 健康な男女13名を対象とした. 目的とする唾液腺の開口部に挿入したカニューレか ら唾液を容器に導き,その重量をストレインゲージ, トランスデューサーアンプで電気信号に変換,増幅し, データ・レコーダーに記録した.また,その出力をペ ンレコーダーに並記させた.同時にトランスデュー サーアンプの出力をサンプル&ホールド回路より構成 された分泌速度測定装置に誘導し,単位時間量(分泌 速度)として記録した.同一の装置をもう1台用意し, 別の唾液腺開口部からの唾液分泌を同時記録した. 味覚刺激として5%クエン酸0.5mlを染み込ませた 一辺10mmのガーゼを実験終了まで舌背上の舌咽神経 支配領域に置き,反射性唾液分泌を促した. 結果および考察 両側耳下腺,顎下腺の味覚反射性唾液分泌の同時記 録では分泌量に左右差はなく,分泌曲線上では左右と も段階状の同期した分泌パターンを示し,分泌速度の 変化も同期していた.耳下腺と顎下腺の同時記録でも 階段状の唾液分泌のパターン,分泌速度の変化はとも に同期していた 味覚反射性唾液の分泌様式は,唾液腺の種類・左右 を問わず同一のパターンを示し,少量の持続性分泌と 一過性分泌からなり,分泌曲線上では階段上の変化と して認められる.一過性放出の最大放出速度と放出唾 液量の関係は顎下腺,耳下腺とも比例し,放出のパター ンは同一であった.その放出の時間経過をみると,分 泌速度の急激な上昇に始まりピークに達した後,緩や かな減少過程がみられ,その減少過程を対数プロット すると一つの直線となり,時定数は耳下腺ではτ=2.7 合ec∫顎下腺ではτ=2.9secであった. 結論 味覚反射1生唾液分泌は,持続的成分と一過性放出が 加算されたもので,両側あるいは異なった唾液腺の間 でも同期したパターンを示すことが判明した.この成 因として,筋上皮細胞の関与が示唆された.本研究は 各唾液腺の味覚反射性唾液分泌の正常パターンを明ら かにすると同時に,本定量解析装置は,唾液分泌異常 者にも適用可能であることを明らかにした. 一718一113