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産業用高温太陽熱集熱器の開発

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Academic year: 2021

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特集

エネルギー新技術

U皿C・る58・2る4‥〔るる2・997:523・9-7る]:[535・313:53る.33り

産業用高温太陽熱集熱器の開発

Dovelopment

oflndustrialHigh-temPerature

Solar

Collector

産業用などのソーラーシステムに1000c以上の熱水を供給するために,真空管形太 陽熱集熱器を開発した。本集熱器は,真空ガラス_管の内部に固定した反射鏡を使っ て太陽光を集光し,水を封入したヒートパイプで集熱する構造である。集熱器の設 置面積(外形寸法で定義)当たりの集熱効率を測定した結果,定格運転時(集積子息度 130℃,気温20℃,日射量907W/m2)に45%の目標を達成できた。更に,各種の耐久 試験のなかで特にヒートパイプのi東結試験では,±200cの熱サイクル後も正常に作 動した。この研究は,通商産業省工業技術院の「サンシャイン計画+のなかでNEDO から日立製作所が′受託して実施したもので,昭和58年10月に280台の集熱器を日本 毛織珠式会社一宮工場に設置した。 口

言 1億5千万kmのかなたから地球に降り注ぐ太陽エネルギー は,クリーンで無尽蔵なエネルギー源であるだけでなく,そ の0.01%が利用できれば世界の全エネルギー需要がまかなえ る点で注目されている。しかし,このエネルギーは地表では

密度が約1kW/m2と低く,エネルギー供給が安定しないなど

の問題があり,これらの問題を解決するための技術開発が急 がれている。特に,昭和48年のオイルショック以降,この太 陽エネルギー利用のための技術開発が世界的に活発化し,我 が国でも通商産業省工業技術院の「サンシャイン計画+のな かで,各種の太陽熱利用技術開発が推進されてきた。現二状で は1000c以下の低温を用いる太陽熱冷暖房,2500c以上の高音且 を使う太陽熱発電などについては,ほぼ技術開発を終了した 段階にきている。今後は,100℃から250℃までの中・高i且を 利用する産業用ソーラーシステムの研究開発が中心課題とな りつつある。このi温度範囲のプロセスヒートの適用分野は,

食品産業(殺菌),機械工業(自動車),繊維(染色),金属工業

ヘッダカバー 美空ガラス管(¢100)

一っ の N

ヘッダ

隅田

勲*

岩本満治**

奈良安晃***

今仁和武*

J5α0 5伽mJdα 〟古土g〟んαγ以上ぴαmOJo yαg址α鬼i一Ⅳαrα gα之伽ね丘eJ耶d乃f (アルミニウム)などと広い。 本報は,この産業用ソーラーシステムを対象として開発し た高i且太陽熱集熱器について述べたものである。特に,染色 工程用に130℃の熱水を供給するために,集熱効率の高い集 熱器として,真空ガラス管内の反射鏡(非追尾)でヒートパイ

プに集光する集熱器を対象とした。この集熱効率及び耐久性

=束結対策)に関する実測データについて紹介する。

産業用ソーラーシステム開発の動向

我が国の一次エネルギーの年間消費量は,石油換算で3億

7,200万t(昭和55年統計)であり,そのうち約57%を工業部門

で消費している。更に,このうち9千万tがプロセスヒートと して使用されている。この二状況は諸外国でもほぼ同様である ために,各国とも太陽熱を産業用プロセスヒートに利用する ための研究開発が盛んである。特に,アメリカを中心にデモ ンストレーションプラントを建設する段階にきており,サウ モ㍍ 2,880 フレーム 集熟管 真空管(ガラス管)

L且_

乙560 反射鏡 図l集熱器の構成 太陽光 線は,美空ガラス管内部に設置した 反射鏡によって.集熟管表面に集光 される。集熱器外形寸法により定義 する設tl両横は,l.92m2(有効集魚 面稚はl.43m2)である。 * 日立製作所エネルギー研究所工学博士 ** 日立製作所機電事業本部 *** 日立製作所土浦工場 13

(2)

100 日立評論 VOL.66 No.2(1984-2) スカロライナ州のレーガル・テキスタイル社が1978年に織布

工場へ適用した。このプラントでは,GE(ゼネラルエレクト

リック)社が真空管形集熱器を製作し,120℃の熱水を供給し ている1)。 由

集熱器の構造と特長

図l及び表1に,開発した集熱器の構造とガラス管内の構 成及び仕様を示す。図2に示すように,集熱器は,集光のため の反射鏡と集熟管を内蔵した6本の真空ガラス管(外径100mm) と,集熱管を束ねるヘッダから構成されている。集熱管はそ れ自体がヒートパイプ(外径約22mⅡl)となっており,熱膨脹を 容易に吸収できるほか,U字管方式の場合の冬季水抜き及び 高圧力損失などの問題を回避している。図3は集熱器の長手 方向断面を示し,ヒートパイプ封入水は太陽熱で蒸発し,ヘ ッダで凝縮して重力で自然に循環する。集熟管の太陽光の吸 収率は95%以上に,赤外光の放射率を14%以下に設計した。 反射鏡は整形加工したステンレス基板上に銀をイオンプレ 表l 高温集熱器の仕様 美空ガラス管内の反射鏡で,ヒートパイプに 集光するのが特長である。 仕 様 備 考 方 式 ヒートパイプ付内部反射鏡集光式美空管形 設置面稚l.92mZ 外 形 寸 法 幅670mmX長さ2.860mm ガ ラ ス 管 材 質 ソーダライムガラス 透過率89% 外 径 100mm(肉厚2mm) 美 空 度 川▼3Torr以下 反 射 鏡 材 質 ステンレス板に銀イオンプレーティング 集光比l,3 形 状 インポリュートリニアエンベロープ曲線 反 射 率 太陽光反射率93% ヒ l ト ノヽ イ プ 材 質 リン脱酸銅 集 熱 管 外 径 22.22mm(肉厚l.川mm) 水封入先端折曲り管 吸収率 0.95以上 クロムブラック 選択吸収面 放射率 0.川以下 へ ツ ダ 形 式 冷却フィン内蔵二重管式 グラスウール断熱 外 管 ¢34.92mm 内 管 郎9mm 将弓

区12 特性試験中の集熱器の外観 器の集熱効率を測定中である。 14 130℃の熱水を流Lて,2台の集熱

/

ヘッダカバー グラスウール 外 管 /内管(フィン付) 真空ガラス管 反射鏡

/ヒ→′ヾイブ

封入水 排気部 フレーム 図3 集熱器の断面 凝縮する。 エン/ヾ インポl 先端折曲り管 太陽熱でヒートパイプ封入水は蒸発し,ヘッダで ▲ C ロープ曲線B リニア・A ノユート曲線 真空ガラス管 反射鏡開口幅93.2 太 陽 光 _l ヒートパイプ C B A 図4 真空管の断面 集光比をl.3(通常0.5)と大きくするため,反射鏡 とヒートパイプの形状を改良した。 ーティングする方法で形成し,太陽光に対する反射率で93% を得ている。図4に示すように,断面形状は直径21.7mmの円 を基準としたインポリュート曲線に外縁曲線(リニア エンベ ロープ)を加えたもので,集光比(開口径/集熟管周囲長)1.3 を達成した。この値は,集熟板を挿入した真空管形集熱器の

集光比(0.5以下)を大幅に改善している2)。

【l

集熱性能

真空管形集熱器の集熱性能を表わす集熱効率について,統 一された定義はないが,ここでは設置面積基準の集熱効率(集 熱器の全面積への日射量に対する集熱量の割合)とする。図5 に,測定結果を他の集熱器の設置面積当たりの集熱効率と比 較して示す。定格運転(集熟温度130℃,気温20℃,日射量

907W/m2)のときに,45%以上の集熱効率とする目標を達成

できた。 本集熱器は,27度傾斜した屋上に設置するため,年間集熱 量を最大にする目的で反射鏡を集熱器面から,更に8度(図4 参照)傾けて固定している。このため,集熱器面への太陽入射 量と反射鏡への入射量が,季節によって変化する。図6に,

(3)

定格時の集熱効率の季節変動の実測値と予測値を示す。夏季 の効率が低いが,実際には集熱温度が一定であり,気温上昇 による効率向上が期待でき,定格時の集熱効率の年間平均値 は46%となる。

臣l信頼性試験

本集熱器については,一般の信頼性試験,すなわち)束結・ 空だき試験,振動試験などを実施し,満足すべき結果を得て いる。特に,開発した集熱器固有の問題は,更に半年間のフ ィールド試験を追加して信栢性を確認した。その選択吸収面 の耐熱性,ガラス管内真空度,反射鏡の反射率などの試験結 果を表2に示す。 60 0 4 0 つ+ (㌔)掛裔鹿蛾 0、

ヾ漣b、。、。

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真空管外反射鏡式 注:○ 測定値 一計算値 本集熱器 ヽ、 ヽ、

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非集光武美空管形

\ h \ 1.2 2.4

竿㌫竿×10(常)

図5 設置面積当たりの集熱効率 定格時(集熱温度130℃,気温20℃, 日射量907W/m2)の付近で.他方式よりも高い集熱効率であった。 50

樹・ 40 裔 載 琳 30

㌔\㌦′1√一㌔げ

集熟温度一気温

-一画---=0・121晋

12 図6 定格時効率の季節変動 季節的平均は46%である。 月 別(月) 定格時の目標45%に対し,定格時効率の 産業用高温太陽熱集熱器の開発101 表2 信頼性試験の結果 ヒートパイプ封入水が凍結しても異常がなく, 5年以上の耐久性がある。 目 凍 結 ±20℃ 40サイクル/年×5年 ±20℃ 200サイクル以上 而オ 震 j菓度7(451Gaり 異常なし 選択 吸収面 吸収率95%以上 放射率14%以下 l年空だき後* 吸収率97→97% 放射率13-10% 反射鏡反射率 93%以上 半年空だき後* 93% カうス管真空度 10 ̄3Torr以下 l年空だき後一 2×10 ̄4Torr 注:*印は.継続実施中を示す。 また,本集熱器の特長であるヒートパイプについては,伝 熱性能,化学的安定性の点から熱媒体として水を使用してい る。フレオンなどの有機媒体をヒートパイプに使用した集熱 器もあるが,本例のような高塩集熱器では,化学的安定性に 問題がある。その封入水の凍結対策としては,ヒートパイプ 先端を曲げる方法(図3参照)を適用した。図7に,集熟管の 設置角(0.7度±0.7度)とヒートパイプ作動水量に対し,水が 凍結時に体積が膨脹しヒートパイプ容器(銅管)が破損する条 件を示す。ヒートパイプ水量100em3を選定し,±20℃のヒー トサイクル下での凍結試験を実施した結果,設置角1.6度以 下の場合には図8に示すように200サイクル後でも異常を生じ なかった。▲これは設置角1.6度以下では先端にたまる水の量 A 凍結破損領域(体積膨脹) (世)軸耳他紙 B ヒートパイプ不作動領域 一 一

「設置許容角

仰-喜#

使用可能領域 C 定点

9

音叉ノ D 直管使用領域 75 100 125 封入水量(om3) 図7 ヒートパイプの作動点 設定点は封入水I100。m3.設置角0.7度 である。 15

(4)

102 日立評論 VO+.66 No.2(lg84-2) 24 注:○設置角度0.7 △設置角度1.6 ●設置角度1.8 (∈∈)州付表ト†て+-山

2』二二二二二

2‡

100 熟サイクル(回) 200 図8 ヒートパイプの凍結試験 尾張一宮地域ではl年に約40固氷点 下となるので,設置角を水平からl.6度の間にすると,5年以上の寿命がある。 も少なく析曲り部によって?束結時の体積膨脹を吸収する空間 が確保できたからである。 l司

産業用ソーラーシステムへの適用

カスケーデイングヒートプロセス形ソーラーシステムとは, 生産プロセスで段階的i息度レベルの熟管理を必要とするプロ セスに,図9のようにソーラーシステムを適用することである。 このシステムは,補給水システム,低・中・高i且集熱シス テム,低・中・高温蓄熱システム及び各種熱交換システムか ら構成されている。集熟方法としては,低温(40∼600c)用は 平板形集熱器を120台,中音且(60∼908c)用は中間フイルム付 平板形集熱器を100台使用し,高温(100∼1300c)用は今回開 発した集熱器を280台使用している。 我が国では,民生用ソーラーシステムに比べて産業用ソー ラーシステムの実用化が遅れており,この染色工程に使用す るシステムの開発は,その突破口になるものとして各方面か ら注目されている。 Ii

今後の課題と展望

開発した太陽熱集熱器は,従来の非追尾式集熱器では実現 困難であった100℃以上の熱水供給を可能にし,かつ追尾式 集熱暑引こ比べ構造,コスト面で優れた特長をもっているため, 広範な産業用途に適用可能と考えられる。太陽熱冷暖房用の 集熱器は100℃以下で使用していたが,130℃が得られれば冷 ?束器の効率も向上する。なお,水を封入したヒートパイプの i東結対策として先端を折り曲げる方法は,他の分野のヒート パイプにも応用できる。今後の課題としては,産業用ソーラ ーシステムの経済性を成立させるために,各種構造材の見直 しを行なって,いっそうのコスト低i成が必要である。 Ia

言 産業用ソーラーシステムで,100℃以上の熱水を供給する高 i且太陽熱集熱器を開発した。集熱器の特長は,真空ガラス管 内に反射鏡と集熟管(ヒートパイプ)を内蔵した非追尾集光式 の集熱器構成をもっていることである。この集熱器の集熟効 16 低温集熱器 中温集熱器 高温集熱器 給水 サービス タンク 染色槽

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蓄熱槽

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蓄熱槽 蒸発槽 熱交換器

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蒸気 図9 カスケーデイングヒートプロセス形プラント (130℃)を昭和58年柑月に280台設置した。 高温集熱器 率は日射量907W/m2,気温20℃,集熟温度130℃の定格時に は45%以上であり,他の代表的な集熱器よr)も優れた高子且特 性を実現した。また,集熱器の信頼性についてはi東結,耐久 性試験などを進め実用性を確認した。この集熱器は,NEDO

(新エネルギー総合開発機構)で推進中のカスケーデイングヒ

ートプロセス形プラントに280台据え付られ,昭和59年度から 運転を開始する予定になっている。 本研究は通商産業省工業技術院「サンシャイン計画+のな かでNEDOからの委託研究として実施したものであり,NEDO の産業用ソーラーシステム技術委貞全開係各位の御指導に対 し深く感謝する次第である。また,デモンストレーションプ ラントへの適用に御協力いただいた日本毛織株式会社殿,集 熱器の信頼性試験に参加いただいた日立化成工業株式会社殿 に対し併せて感謝するものである。 参考文献

1)J.B.Trice:Commercialization Aspects of Solar Process Hot Water Systems for tbe TextileIndustry,IEEE

CH145ト4/79(1978)

2)K.Imani,et al.:Evacuated Tubular Solar Co11ector witb InternalReflector and Heatpipe,MiamiConference on

参照

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