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宇宙観5000年史 人類は宇宙をどうみてきたか

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450 天文月報 2012年7月 書評      

解説書

薦め度

「我々はどこから来たのか 我々は何者か  我々はどこへ行くのか」.ゴーギャンの作品名と しても有名なこの句は,人間にとってもっとも根 源的な問いの一つであろう.人類が築き上げてき た文化は,突き詰めれば,すべてこの問いに還元 されると言っても,言いすぎではない.ゴーギャ ン自身は主に芸術を通じてこの問いと対峙した が,天文学もこの問いに直接的に迫る方法の一つ であろう.宇宙における私たちの位置づけとはど のようなものであるのか.いつの時代にも共通す る,宇宙観の中心的テーマである. 本書では,宇宙や天体についての科学的知識の 集大成としての天文学に対し,私たち人間が宇宙 をどのように認識しているかという宇宙観の変遷 についてまとめられている.時代や地域ごとの天 文学の発達史を背景にしながら,それに応じて宇 宙観がどのように変化してきたのか,天文学者の 視点から丁寧な解説が行われている.その範囲 は,タイトルにもあるように

5000

年前の天文学 発祥の時代から,ダークマターやダークエネル ギーなど最先端の話題まで,幅広い.全部で

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の章から構成されており,章ごとに読み進めるこ とで段階を追って宇宙観が進歩してきたことが理 解できるようになっている.研究の現場に通じて いる天文学者ならではの視点も随所にちりばめら れており,研究に携わる者であれば納得感をもっ て読めるだろう.具体的な人名や資料も豊富に挙 げられており,イメージを作りながら読み進める ことができる.これまでこのような分野に触れた ことがなかった読者にも,お勧めだ. いくつかの章では,大胆な試論も述べられてい る.第

2

章では「天文学の発祥と地球環境」とし て,地球環境の変化によって,必要に迫られて初 期の天文学が誕生したという論が披露されてい る.また,附録

B

では,

ETI

に関する議論も行わ れている.いずれも物理学としての天文学の範疇 ではないが,天文学という枠組みの懐の広さを感 じられるもので,読んでいて面白い議論である. 本書には附録や参考図書と文献,図表出典一覧 に索引もついており,この

1

冊があれば,天文学 史に関する基本的な事柄はすべて押さえられるよ うになっている.一般向けに講演する機会がある 研究者や教育者は,手元に置いておくことをお勧 めしたい. (高梨直紘,東京大学

EMP

宇宙観

5000

年史

̶人類は宇宙をどうみてきたか

中村 士・岡村定矩著 東京大学出版会 308頁 3,200円+税 ☆☆☆☆☆

5

参照

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