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はじめに(pdf)

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Academic year: 2021

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はじめに

偶然性のもとで時間とともに変化する現象の解析は,数理科学の 研究課題としてのみならず,広く応用の見地からも大切な問題で ある.このような現象は,一般に確率過程として数理モデル化され る.その確率過程の中でも,伊藤清教授により導入された確率微分 方程式によって記述される対象は,極めて重要で大きな領域をなし ている.たとえば,金融工学や数理ファイナンスは,数理科学の立 場から,この領域に含まれると述べて大過ないだろう. 本書は確率微分方程式を,特にある程度使うことができるように なることを目標にして,初学者向けに解説した入門書である.数学 としての厳密な体系化よりも,主に数理ファイナンスへの応用を 念頭にして,実例や問題を通して確率微分方程式に慣れ親しんでも らおうとするものである.内容の取捨や取り扱いに関しては,著者 が一橋大学大学院経済学研究科で行った金融工学の数理,あるいは 数理ファイナンスの入門講義にほぼ準拠している.もちろんその際 には,ブラウン運動の説明に株価変動の例を加えている.ともあれ 本書全体としては,ゆっくり進めて半年の講義内容にちょうど良い くらいではないかと思う.社会科学系では大学院生向けの講義であ るが,学部時代に数学をそれほど勉強してこなかった院生も多いた め,多くの題材を自前で用意することになる.そのため,確率微分

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vi はじめに 方程式としては敷居の低い入門書となっており,自然科学系ならば 学部からでも利用可能ではないかと,ひそかに期待している.読者 の判断を待ちたい. 確率微分方程式が応用されている分野は,本来ならば大変に広大 なものであるが,著者の非力や上記の理由により,本書では数理フ ァイナンスへの応用のみを解説している.本書により確率微分方程 式に少しでも興味をもたれた方は,より高度な文献に是非とも取り 組んでみて欲しい.この分野は,伊藤清教授はもとよりのこと,日 本人による貢献が顕著である.さらに新たな一歩を踏み出すつもり で次の段階に進んでいただければ,著者にとっては望外の喜びであ る. 本書が世に出るにあたっては多くの方々からのご好意があった. 編集委員の桑田孝泰先生と中村滋先生からは貴重なご意見をいただ いた.一橋大学大学院経済学研究科修士課程の村中茂仁さんと一橋 大学経済学部学生の村松謙さんには,初期の原稿を見て様々な的確 な指摘をしていただいた.ともに大いに感謝している.また,共立 出版の野口訓子さん,赤城圭さん,三浦拓馬さんには,著者の遅筆 により出版計画が大いに遅れたにも関わらず,最後まで粘り強く対 応していただいた.そのご尽力がなければ本書の出版はあり得なか ったであろう.著者としてご要望にどこまで応えられたかはわから ないが,頭の下がる思いで感謝している. 国立にて 2014 年 2 月 石村 直之

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