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智山學報 第54 - 025遠藤 純一郎「澄観と密教 : 『大方廣佛華嚴經随疏演義鈔』に見られる密教的要素」

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全文

(1)

  『

』 に

ら れ る

1

 

澄観と密教 (遠藤 )   澄

著 の 『 大 方

疏 』 ( 以 下 『 經 疏 』 ) に 対 し て

ら 『 大

疏 演 義

』 ( 以 下 『 演 義 鈔 』 ) な る 註 を

し て い る 。 こ れ は 澄

門 下 の 門 人 ら の 要

に 応 じ て 著 述 さ れ た と い

こ と で あ る か ら 、 澄 観 の 華 厳 思 想 と

教 と の 交 渉 の 様 子 を 把 握 し よ

と す る な ら 、 『 經

』 に 於 け る 密

的 要 素 を

摘 す る に 留 ま る べ き で は な く 、

せ て 『 演 義 鈔 』 に つ い て も 同 様 に 考 察 し て お く 必 要 が あ ろ

。   こ の よ

に 見 る な ら ば 、 『 經 疏 」 を 理

る 上 で 、 『 演 義

』 の

用 は 不 可 欠 で あ る と も 言 え よ う が 、 『 演

鈔 』 は 必

し も 『 經 疏 』 述

の 澄 観 の 理 解 を 正

に 反 映 し て い る わ け で は な い よ

に も 思 わ れ る 。   ま

『 演 義 鈔 』 の 成 立 は 『 經 疏 』 が 成 っ て 四

後 の こ と で あ り

的 に 幅 が

る こ と を

ね ば な ら な い 。 ま た 『

』 の 中 に は 七 九 五

以 後 の 翻 訳 と な る 『 華

經 』

訳 を 参 照 し た 痕 跡 が 認 め ら れ 例 え ば 、 「

新 經 乃 有 三

如 空 自 日 。 亦 如

則 空 可 喩 二 。

依 及

。 如 白 日

喩 白 法 爲

。 如 夢 一

二 相 。

(2)

智山学報第五十四輯                                    

 

 

 

( 1 ) 覺 竟

言 其 無

境 歴 然 。 故 非

二 相 。 」 と 述 べ て い る 箇 所 の 、 「

」 は 四 十 巻

の 『 大 方 廣 佛 華

經 』 の 「 如 來

妙 法

 

一 切 三 界 無 倫 匹

 

出 世 間

語 道

 

非 有 亦 非 無

 

無 所

無 不

 

如 是 無 來 亦 無

                            ( 2 )   如 空 如 日 亦 如

 

於 佛 體

是 觀 」 と す る

所 を 指 示 す る も の と 言 え 、 『 演

』 は 一 応 の 脱 稿 の 後 も 継 続 的 に 手 が 加 え ら れ て い た も の と 考

ら れ る の で 、 澄

の 思

上 の 経 年

化 を

視 す る こ と は で き な い 。   他 に も 、 『 經 疏 』 の 不 備 を 補 っ た

、 誤 謬 を 反

る 態 度 が

折 見

け ら れ 、 「

義 鈔 』 は 『

疏 』 に 固 有 の 注

と い

だ け で は な く 、 澄 観 の 思 想 的 展 開 を 反 映 し た 別 個 の

と し て の 側 面 が 有 る 。 そ の た め 、 「 經 疏 』 理 解 の た め に は 「 演 義

』 の

照 が 必

で あ り な が ら 、 一 方 で 『 演

鈔 』 の 持 つ 「 經 疏 』 以 後 の 思 想 的 展 開 と い

点 に つ い て も 十 分 に 勘

し て お か ね ば な ら ず 、 両 書 を 一 応 に 峻

し て お か ね ば な ら な い だ ろ

か に 『 演 義 鈔 』 の

教 的 要 素 が 必 ず し も 『 經 疏 』 述 作

の 澄

の 思 想 に 直 結 す る も の で あ る か は 明 瞭 で な い ま で も 、 少 な く と も 『 經 疏 』 成 立 以

継 続 し て 密 教 的 解 釈 に 肯 定 的 で あ り つ づ け た

観 の 態 度 を 窺

意 味 で も 、 こ の 問 題 を 問

こ と は ど

し て

 

も 必 要 な の で あ る 。  

 

   

 

   

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   

 

   

 

   

 

   

 

 

 

 

 

 

 

 

  本

で は 、 密 教

籍 の 名 が

示 さ れ て い る

合 、 ま た 経 典 名 が 示 さ れ な い ま で も 、 引 用 箇

が 明 ら か に 特

可 能 な 場

に つ い て の み 一 先

実 な

と し て 認 め 、 そ れ ら に つ い て 検 討 し て み る こ と に し よ

。 『 演 義

』 に は 「 法

法 」 「 三 密 」

教 に 深 く 関 わ り の あ る

念 が

ち 込 ま れ て い る が 、

教 典

の 引 用 状 況 を 検

る こ と で 、

観 が 密 教 の 影

下 に

る こ と を 十 分 に 闡 明 に し て か ら 、 『 經 疏 』 に 於 け る 同 様 の 用 例 と

に 、 改 め て

じ る こ と に し た い 。

(3)

澄観と密教 (遠藤 )

 

『 演 義

』 は 『 經

』 の 註 釈 書 で あ る た め 、 『 經 疏 』 に 引 用 さ れ た 密 教

籍 を 重

し て 引 用 し て い る 場 合 が

り 、

が 全 く 同 一 で 、 且 つ そ の

釈 も 『 經

』 の 範

を 越 え な い よ

な 場 合 に つ い て は

愛 す る 。 そ れ ら に つ い

 

 

 

( 3 > て は

稿

に て 扱 っ て い る の で 、 そ ち ら を

照 さ れ た い 。

 

『 演 義

』 に

た に 見 出 さ れ た 密 教 典 籍 に は 、

見 の 及 ぶ 範 囲 で 言

と 、 以 下 の 九

け ら れ る 。

 

『 金 剛

母 』

 

『 金 剛 頂 經 』

 

『 八 字 陀 羅 尼

 

勝 陀

尼 經 』

 

毘 盧 遮 那

佛 神

持 經 』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  一 「 別

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

殊 問 般 若 字 母 』

 

『 金 剛 頂 瑜 伽

習 毘 盧 遮

三 摩 地 法 』

 

『 大 方 広

華 厳

入 法

四 十 二 字 觀 門 』

 

『 大 方 広

入 法 界

證 毘 盧 遮 那

身 字 輸 瑜

儀 軌 』

 

以 上 で

げ た 内 、 「 別

」 は そ の 書 名 が

定 で き

、 ま た そ の 作

も 不 明 で あ

、 果 た し て 密 教 者 の 手 に よ る も の で

る か も 判

し 難 い 典 籍 で は

る が 、 四 十 二

門 の

に 関 わ る 内 容 で あ る た め 、 こ れ に つ い て

と 同 様 に

討 を 加 え る こ と に し よ

 

『 演 義 鈔 』 に 於 て は 、 以 下 の よ う な 場 面 に 於 て

教 典 籍 が 引 用 さ れ て い る 。

場 面 で の

教 典 籍 援 用 の 状 況 を そ れ ぞ れ

っ て み る こ と に し よ う 。

(4)

智 山学 報第五十四輯 一

 

つ い

  『

疏 』 で は 、 八 十 巻 『

厳 經 』 「 世 主 妙 厳

第 一 」 の

に 集 し た 聴 聞 衆 に 四 十 衆 が あ る と し て い る が 、 そ の 内 の 菩

に つ い て 解 釈 す る に 際 し て 、

の 由 来 を 「

聖 人

立 稱 。 雖 得

千 差

依 行 徳 、

皆 具         ( 4 ) 而 随 宜 別

。 」 と 述 べ て い る 。 つ ま り 、

は そ も そ も

で あ っ て 、 衆 生 の た め に そ の

を 仮 に 示 し て い る に

ぎ ず 、 そ の

様 な

々 に 顕 著 な 行 徳 に ち な ん で 付 け ら れ る 場 合 が

い の だ と 言

の で あ る 。   『 演 義 鈔 』 で は こ の

釈 を 受 け 更 に

を 加 え て い る の で あ る が 、 そ の よ

薩 の

名 の 仕 方 の 一 例 と し て 次 の よ

な 『 金 剛

瑜 伽 修 習 毘 盧 遮 那 二 摩 地 法 』 の 一

介 さ れ て い る 。    

初 夫 聖 人 無

者 、 此 先 總

大 意 。 於 中

三 。 初 總 標 。

立 名 故 。 『 莊 子 』 云 、 「 至 人 無 己 。 神 人 無    

。 聖 人 無

」 。 今 約

生 而 於 無 名 強 立 名 耳 。 次 「

差 」 下 、 總 辯 立 名 所 以 。 此 下 辯 立 名 別 因 。 言 「

   

」 者 、 亦

因 姓 。 因 父 母

故 。 後 「

」 下

。 謂 有 難 云 、 「 既

、 而 諸

薩 徳 行 皆 具 。    

以 成 別 」 。

云 「 随 宜 別 標 」 。 随 便 宜 故 。

如 有 偈 云 、 「 弟 子 堅 固 菩

 

 

妙 修

觀 察       深 入

巧 門 」 即 普 賢

。 又 云 「

情 勝

 

以 四 攝

而 攝

」 即 金 剛 王 菩

。 「 無 厭 大 悲 未 曾     捨 」 即 金 剛 愛 菩

。 「 見

小 善

便

美 」 即 金 剛 善 哉 菩

。 「 無 住

虚 空 」 即 金 剛

薩 、

虚 空 藏

薩 別 名 。     「 能 以 慧

愚 其 」 即

剛 日 菩 薩 、

云 金 剛 光 。 「 有 所

恒 不 逆 」 即 金 剛 幢 菩 薩 。 「

言 先 笑

心 喜 」 即 金 剛     笑 菩 薩 。 「

妙 法 無

中 」 即 金

薩 。 「 善 用 般 若

使

」 即 金 剛 利 菩 薩 。 亦 即 文

利 是 。 「

上 法 輪 恒     不 退 」 即 金 剛 因

薩 、 亦 云 金 剛 轉

輪 菩 薩 。 「 四 辯 演 説 無

」 即 金 剛 語 言 菩 薩 。 「 諸 佛 衆 生

業 中 」 即 金 剛 業     菩 薩 。 「

堅 誓 慈 悲 甲 」 即 金 剛 護 菩 薩 、 亦 云 金 剛 甲 冑 菩

。 「

破 魔 羅 勝 軍

」 即 金 剛

薩 、

云 金 剛 牙 一 一

(5)

澄観と密教 (遠 藤)    

 

 

 

 

                                         

 

 

 

 

                                    〔 5 )    

。 「 堅 持 諸 佛 所 祕 門 」

金 剛

菩 薩 。 又

、 即 日 觀

中 雨 華 便 名 華

、 皆 随 徳 随 宜 也 。   『

義 鈔 』 で は 「

偈 」 と さ れ て い る が 、 『 金 剛 頂

伽 修 習 毘 盧 遮 那 三

地 法 』 の 冒

の 偈 、 帰

序 「 歸

毘 盧 遮 那 佛

 

口 意

遍 虚

 

演 説 如

三 密 門   金 剛 一

深 教

 

我 依 瑜 伽 最 勝 法   開

 

令 衆 生 顯

頓 證

上 正 等 覺

 

弟 子 堅 固 菩 提 心

 

從 師 已

灌 頂

 

妙 修 定 慧 恒 觀

 

深 入 業 用

 

勝 菩 提

 

以 四 攝

 

無 厭 大 悲

 

小 善 便 稱

 

等 虚 空

 

能 以 慧

破 愚 瞑

 

恒 不 逆

 

發 言

笑 令 心 喜

 

法 無

 

用 般 若

諸 使

 

無 上 法

不 退

 

四 辯 演 説 無 所 畏

 

諸 佛

業 中

 

大 誓 慈 甲

 

摧 敗 魔 羅

 

堅 持 諸

祕 門

 

具 如 斯

徳 者

 

印 可

傳 授

 

聖 仙 所

 

勝 地 或 山 間

 

立 精 室

 

泥 塗

 

燈 明

伽 皆 布 列

 

地 以

 

令 衆 生 器 世 間

 

佛 土

 

以 此 自 他 清 淨

   

 

 

 

 

  ( 6 )   應 理 思

密 稱 誦 」 と

全 に 合 致 し て お り 、 そ こ か ら の 引 用 で あ る こ と が

認 さ れ る 。 澄 観 の 理

に よ れ ば 、 『 金 剛 頂

習 毘 盧 遮 那 三 摩 地 法 』 の 帰 敬 序

は 十 六 大 菩 薩 の 行 徳 を 示 す も の で 、 菩

々 の

は そ の 功 徳 に

る も の だ と い

こ と に な る 。 金 剛 笑 菩

な ど は そ の 行 徳 と し て 「 發 言

令 心 喜 」 と あ り 名 号 の 由 来 と し て そ れ を 解

る に し て も 、 そ れ は 直 示 的 で あ る が 中 に は そ の 対 応 関 係 の 理

が 容 易 で な い も の も 含 ま れ る 。 し か し

尾 に も

め て

音 菩 薩 と 華 手 菩 薩 の

を 挙 げ て 、 「 又 如 乘 聲 濟

、 即 日

中 雨

便

、 皆 随 徳 随 宜 也 。 」 と 述 べ 、

の 名 号 が

徳 に 由 来 す る こ と を 言 っ て い る の で あ る か ら 、

の 十 六 大

薩 の

は 例 外 な

敬 序 に 示 さ れ る 行 徳 に 由 来 す る と い

こ と な の で あ ろ

。   し か し 、 こ こ で 問 題 と な る の は 、 帰 敬 序 の

に 十 六 大 菩 薩 の 行 徳 を

る も の と 理 解 し

た の か と い

こ と で あ る 。 『 金 剛 頂

毘 盧 遮 那 三 摩 地

』 の 本

を 参 照 し て み て も 、 帰

序 に

六 大

薩 の 行 徳 を

み 込 む べ き こ と は

示 さ れ て い な い し 、 先 に も 述 べ た よ

に 、

句 に 直 ち に 当 た っ て み て も 、 そ れ ら が 十 六 大

示 す る も の と 予 見 す る こ と は

当 に 困 難 で あ る 。 こ の 『 金

頂 瑜 伽

習 毘 盧 遮

三 摩 地 法 』 に は 直 接 の 註 が

(6)

智 山学 報第五 せ ず 、 帰 敬 序 と 十 六 大 菩 薩 の 対 応 関

の 根 拠 は 極 め て 不 明 瞭 で あ る 。 ま た 大 正

経 を 跋 渉 し て み て も 、 類 似 す る 記 述 は

く 見 出 さ れ

、 そ の 文 献 的

け を 期

す る こ と は で き な い 。   そ れ で は 澄 観 は 如 何 に し て 以 上 の よ

な 対 応 関 係 を 披 歴 す る に

っ た の で あ ろ

か 。 こ れ に は い く つ か の 可 能 性 が 考 え ら れ よ う が 、 凡 そ 二 つ の 可

に 約 め ら れ よ

。 一 つ に は 、 澄 観 の 全 く

自 な

釈 と い

可 能 性 、 二 つ に は

来 説 の 継 承 と い

可 能 性 で あ る 。 『 演 義

』 の

該 箇 所 で は 、 『 金 剛 頂 瑜 伽

習 毘 盧 遮 那 三

地 法 』 に

け る 菩 薩 の 名 号 と 功 徳 の 対 応 関 係 は 例

と し て 用 い ら れ て い る の で あ る か ら 、 例 証 と し て の 説

力 を

る な ら 、

に そ の 対 応 関 係 が 必 ず し も 明 瞭 で な い も の ま で 含 ま れ て い る こ と を 考 え 合 わ せ る な ら 、 従 来

と い う 可 能 性 を 考 え る べ き で あ ろ

。   こ の よ

に 従 来 説 の 継 承 と

え る に し て も 、 果 た し て 所

「 註 」 の よ う な ま と ま っ た 形 で の

の 存

を 積 極 的 に 仮

べ き で あ る か は 、 あ ま り は っ き

し て こ な い 。 ま た 『 金

頂 瑜

盧 遮 那 三 摩 地 法 』 を

し て 「 有 偈 」 と 言 っ て い る

も 訝 し

思 わ れ る 。   『 演 義 鈔 』 に 「 有 偈 」 と し て 引 用 し て い る 箇 所 に は 七 例 が 有 り 、 こ の 内 の 二 例 は 『

剛 頂 瑜 伽 修 習 毘

遮 那 三 摩 地 法 』 の 文 章 と 確 認 で き 、

の 五 例 に つ い て は 次 の 通 り で あ る 。                                    

 

 

 

 

            ( 7 )  

 

謂 有 偈 云 。 諸 論

異 宗 。

行 理 無 二 。 競 執 有 是 非 。 達

無 違 諍 。                                    

 

 

 

 

                                    ( 8 )  

 

如 有 偈 云 。 眼 識 九 縁 生 。

識 唯 從 八 。

三 七 。 後 三 五 三 四 。

加 等 無 間 。

加 一                                    

 

 

 

 

          ( 9 )  

 

有 偈 云 。 以 有 空 義 故 。 一

得 成 。

無 空 義 者 。 一 切 則 不 成 。                                    

 

 

 

 

                            ( 10 )  

 

如 有 偈 云 。 我

了 如 来

。 如 来

我 身 中 。 我 與 如 来 無 差 別 。

来 即 是 我 眞

。                                    

 

 

 

 

      ( 11 )  

 

謂 有 偈 云 。 多 聞 及 見 諦 巧

亦 憐 愍 不 退 此 丈

菩 薩

依 止 。                         ( 12 )                       ( 13 )   先 ず

 

の 「 有 偈 」 は 『 高

』 及 び 『 歴

紀 』 の 「 求 那 跋 摩 傳 」 に 見 ら れ る 「 説 論

。 修 行 理 無 二 。 偏 一 一

(7)

澄観 と密教 遠 藤)

有 是 非 。 達 者 無 違 諍 。 」 に

す る 。 こ の

は 、 先 に 「 此 即

那 跋 摩 遺

也 」 と 有 り 、 そ れ を 受 け て の 「

」 と の

と 理

で き る 。  

 

の 「

偈 」 は 、 澄

時 代 の 先

す る

籍 に そ の 記 述 が

受 け ら れ

、 僅 か に 後

の 宝 臣

大 乘 入

伽                                                                                 ( 14 )

』 の 「

有 頌 云 眼 識 九

生 。 耳 識 唯

舌 身 三 七 。

三 五 三 四 。

無 間 。

一 。 」 及 び 普 泰

『 八 識 規 矩 補

』 の 「 故 頌 云 。 眼 識 九 縁 生 。 耳 識 唯

八 ( 除 明 縁 也 ) 鼻 舌

三 七 ( 除 空 明 二 縁 也 )

三 ( 指 六 七 八 三 識 ) 五                                   ( 15 ) 三 四 ( 指 縁 而 言 ) 。

加 等

間 。

増 一 。 」 に 同

の 引 用 が な さ れ る の み で 、 そ の

々 で も 典 拠 に つ い て は 明 瞭 に し て い な い 。 こ の

に 「 唯 識

四 云 。

此 五

倶 有 所

。 定 有 四 種 。 謂 五 色 根 六 七 八 識 。 随 闕 一 種 必 不

。 同 境 分 別 染 淨 根 本 所

別 故 。 」 と し て 『 成

』 か ら の

を 正

っ て は い る が 、 先 の

 

と は 異 な り 、 こ こ で は 『 成 唯 識 論 』 を

け て 「

」 と は し て い な い 。                                     〔 16 )  

 

の 「 有 偈 」 は 『

論 』 觀 四

二 十 四 か ら の 引 用 で あ る 。 こ こ は

 

と 同 様 に 、 先 行 し て 「

以 有 空

一 切

四 諦 品 文 。 」 と 述 べ て お れ ば 、 そ の 言 を 受 け て 「

偈 」 と し て い る

の と

さ れ る 。  

 

の 「 有 偈 」 に 相 当 す る

述 は 、 こ の 直

に 引 用 さ れ て い る 『

論 』 、 及 び そ の 註 で あ る 「 無

釋 」 「

」 を 始 め と し て 、 大 正 蔵

に そ れ を 求 め て み て も 、 一 切 見 当 た ら な い 。                                                     ( 17 )  

 

の 「 有

」 は 、 こ の

に 引 用 さ れ て い る 『 大

經 論 』 に 同 じ く

出 さ れ る 。   以 上 の よ

に 見 て み る と 、 同 じ く 「

偈 」 と 言 っ て は い て も 、 大 別

る と 二 種 に 分 け る こ と が で き よ

。 一 つ に は 先 行 し て 引 用 さ れ た

示 す る 場 合 、 二 つ に は 先 行 し て 引 用 さ れ た 典 籍 と 無 関

で あ る 。 前 者 に は

 

 

 

が 該

し 、 後 者 は

 

 

と い

に 区

で き よ

。 し か も 、 こ の 後 者 の 場

に は 、 先

し て 引 用 さ れ た

籍 と 無 関 係 だ と い

だ け で は な く 、

の 諸 典 籍 に 如 何 な る 痕 跡 も 見 出 さ れ な い と い

こ と で あ れ ば 、 こ れ は 書 物 と し て の 体 裁 を 取 ら な い

か の

述 を

唆 し て い る も の と も 考 え ら れ る 。

(8)

智 山学 報第五十四輯   こ の よ

に 見 て く る と 、 『 金 剛 頂 瑜

毘 盧 遮 那 三 摩 地

』 は 極 め て

な 位

付 け と な る 。 こ れ は 、 先 行 す る 引 用 と

係 で あ

な が ら

に そ の

が 判 明 す る も の で あ り 、

の 二 種 の 分 類 の 何 れ に も 属 す こ と が な い 。 し か し 、 こ の 『 金 剛

瑜 伽 修 習 毘 盧 遮 那 三

』 は 三 崎

周 博 士 ・ 苫

地 誠 一 氏 に よ り 金

智 訳 の 信

わ れ て お

観 が そ れ を 指 し て 「 有 偈 」 と

記 し た こ と は 、 そ の 成 立 に 関 わ る

情 を 示 唆 し て い る も の と

え ら れ る 。 澄

め て 正

に 『 金 剛 頂 瑜 伽 修 習 毘

遮 那 三 摩 地 法 』 か ら の 引 用 を 行 っ て い る の で あ る か ら

と 「 有 偈 」 と 言 っ た わ け で は な い は ず で あ り 、 そ の よ

に 言 わ ね ば な ら な い 特 別 な 理 由 を

め る 必 要 が あ ろ う 。 題 目 だ け を

せ て 、

容 を 露 に し て い る と い

こ と で あ れ ば 、 密 教 の 秘 密 主

因 す る

上 の 問 題 と は 考 え に く

、 寧 ろ

時 に は 『 金 剛 頂 瑜 伽 修 習 毘 盧 遮 那 三

地 法 』 を 「 有 偈 」 と し て の み

し 得 た 、 つ ま り 題 目 を

っ た                                                                             ( 18 ) 一

の 書

裁 を 未 だ 取 っ て い な い 状 態 に 在 っ た の で は な い か と の 予 想 が つ く の で あ る 。   『 金 剛 頂 瑜 伽 修 習 毘 盧 遮 那 三

地 法 』 が 十 分 に 整 備 さ れ て い な い 状 態 に 在 っ た と す る な ら 、 そ の 注 釈

を 敢 え て 想

す る 必 要 も 無 い の で あ ろ

が 、

の 帰

序 と 十 六 大

薩 の

応 関 係 も 、

教 教 団 内 の

的 記 述 、 或 い は 口 説 の 類 が 予 想 さ れ る の で あ り 、 こ の こ と は 澄

の 密 教 に 対 す る 関 わ り の 深 さ

証 左 と な ろ

。 一

 

つ い

  十 地 品 の 冒 頭 で 「

脱 月 菩

、 重

言 。

子 、 願 承

力 、 分 別 説 此 不 思 議

。 此 人 當 得

來 護 念 、 而 生 信

。 何 以

十 地 時 、 一 切 菩 薩 、

是 得

念 。 得 護 念 故 、 於 此 智 地

生 勇 猛 。 何 以 故 。 此 是

最 初

、 成 就 一 切 諸

字 數 説 一 切

以 字 母

本 、 字 母

、 無 有 少 分

字 母 者 。 佛 子 、 一

                                                                                    ( 19 )

以 十 地

本 、 十 地 究 竟 、 修 行 成 就 得 一

。 是 故 佛 子 、 願 爲 演 説 。 此 人 必 爲 如 來 所

、 令 其 信 受 。 」 と あ る

(9)

澄 観 と 密 教 遠 藤

釈 す る 場 面 で 『 金 剛 頂 瑜 伽 字 母 』 が

用 さ れ て い る 。 こ こ で は 、 字 母 が

語 の 基

で あ る よ

に 、 十 地 の 智 は

の 本 で あ る

し て い る が 、 『

』 で は こ の 「 字 母 」 を 巡 っ て 『 經 疏 』 の 註

な 注

を 施 し て い る の で あ る 。 そ の 内 、 『 金 剛 頂

母 』 が 引 用 さ れ て い る 箇 所 を

げ れ ば 、 次 の 通 り で あ る 。

 

 

疏 十 四 音 者 、 此 下 疏 釋

。 此 譯 帶

。 然 聴

合 是 第 十 四

。 若

三 藏 譯 金

頂 瑜 伽 字 母 云 、

阿 ( 上 ) 、

 

 

二 阿 ( 長 ) 、 三 伊 ( 上 ) 、 四 伊 ( 長 ) 、 五 塢 、 六 汚 、 七 唱 唱 ( 引

、 八 力 噫 ( 引 ) 、 九 噎 、 十

、 十 一 汚 、 十 二 奥

 

 

引 ) 、 十 三 暗 、 十 四 惡 」 。

里 梨

即 金 剛

中 唱 唱 字 。 嘘

是 二 合 故 成 十 四 。 其 奧 字 云 引

、 更 有 三 藏 説 、 「 十

 

 

 

 

                                         

 

 

 

 

        ( 20 )

 

 

二 字

上 六

後 長 下 六

長 後

」 則

不 合 引 。 西

異 同

。 今 具

。 こ こ で 「 疏 十 四

、 此 下 疏 釋 論 」 と

う の は 、 『 經 疏 』 で 「 字 者 、

云 「 驢 阿 等 」 者 、 即 十 四 音 正 是

體 。 字 即

 

 

 

 

                                          ( 21 ) 文 也 。

、 餘 十 二 。 然 有 十 四

。 二 音 不 入

母 。 謂 里 梨 二 字 。 」 と す る 箇

を 指 す 。 こ れ に よ れ ば 『 十 地

』 で 「 字 者 隠 阿

」 と

る の は 十 四 音 を 意 味 す る も 、 そ こ に 「 里 」 「 梨 」 の 二 字 は

母 と し て 扱 わ れ て い な い と 言

 

 

 

 

                                         

 

 

 

 

                ( 22 ) で あ り 、 こ の よ

な 解 釈 を 指 し て 『 演

』 で 「 此 譯 帶 古 」 と し て 退 け て い る の で あ る 。 そ こ で 、 不

訳 の 『 金 剛

 

 

 

  ( 23 )

瑜 伽 字 母 』 に

し て 十 四 の

母 が 有 る と 主 張 す る 。 こ の 『 金 剛 頂

母 』 と は 『

頂 經

字 母 』 の こ と を 指 し て い る の で あ ろ

が 、 そ こ で は 当

に 次 の よ

に 有 る 。

 

 

阿 ( 上 ) 字

一 切 法 本

生 故   阿 ( 引 去 ) 字 門 一 切 法

靜 故

 

 

伊 ( 上 ) 字

一 切 法 根

可 得

( 引 去 ) 字 門 一 切

災 禍 不 可 得 故

 

 

字 門 一 切

喩 不 可

 

汚 (

) 字 門 一 切 法

減 不 可 得

 

 

哩 字 門 一 切

通 不 可

 

哩 ( 引 ) 字 門 一 切 法

例 不 可 得

一 一

(10)

智山学報 第五十四輯

 

 

唱 字 門 一 切

不 可 得 故

 

嘘 字 門 一 切 法 沈 沒 不 可 得

 

 

噎 字 門 一 切

不 可 得 故

 

愛 字 門 一 切 法 自 在 不 可 得

 

 

汚 字 門 . 切

流 不 可 得

 

字 門 一 切 法 化 生 不 可 得

 

 

暗 字 門 一 切

際 不 可 得 故

 

惡 字 門 一 切 法 遠 離 不 可 得

 

こ こ で 注 意 せ ね ば な ら な い の が 、 「

里 梨 字 即 金 剛 頂 中 唱 唱 力 嘘 。 」 と い

こ と に つ い て は 、 恐 ら く は 「 唱 唱 」 が 「 哩 」 「 哩 ( 引 ) 」 、 「 力 嘘 」 が 「 唱 」 「 嘘 」 に そ れ ぞ れ 対 応

る と い

こ と な の で あ ろ

が 、 そ れ に 続 け て 「 各 是 二 合

十 四 」 と 述 べ 、 「 唱 」 と 「 唱 」 、 及 び 「 力 」 と 「 噫 」 は 合 し て 一 字 と す る た め 、 十 四 の 字

と な る と し て お り 、 こ れ に つ い て は 現

の 『 瑜 伽 金 剛 頂 經 釋 字 母 』 に 見 当 た ら な い

だ と い う 点 で あ る 。 ま た

に 「 其 奥

云 引

説 、 「 十 二 字 中 上 六 前

後 長 、 下 六

。 則

不 合 引 。 」 と も 述 べ 、 こ れ に つ い て も 文

受 け ら れ

、 或 い は 口 説 の 類 を 想

せ ね ば な る ま い 。 ま た 、

の よ

に 「 唱 唱 」 「 力 嘘 」 が

の 『 瑜 伽 金 剛 頂 經 釋

母 』 の 「 哩 」 「 哩 ( 引 ) 」 「 唱 」 「 嘘 」 と 一 致 し て い な い こ と か ら す る と

し た 異 本 の 可 能

に つ い て も 考 え て お く 必

が 有 る か も し れ な い 。

 

は こ の よ

に 『 金 剛

伽 字 母 』 を

用 し な が ら

母 に 関 し て 詳 細 な

し て い る の で あ る が 、 他 に も 古 三

の 説 、 ま た 般

三 蔵 の

と し て

字 の 註 釈 に 紙

を 大 幅 に 割 い て い る 。 『 演

鈔 』 で は 下 の 四 十 二 字 門 解 釈 の

に て 「 然

諸 徳 於 此 經

解 釋 。 靜 法 有 章 名 爲

 

液 六 門 分

。 一 釋

。 二 體 性 。 三 建 立 。 四 釋

。 五 利 益 。 六 問

。 而 其 釋

引 諸 經

全 具 。 又 諸 經 字 音

雜 、 以 梵 音

重 三 藏 解 釋 不

字 同 故 多

舛 。

 

 

 

 

                                    ( 以 ) 槃 以 阿 字 爲 聴 不

以 囃 字 爲

。 此 等 不 以

故 多 訛 謬 。 」 と 述 べ て お り 、 そ の 解 釈 に 際 し て 、 澄 観 は 梵

の 必 要

を 痛 感 し た こ と で あ ろ

。 既 に 『 經 疏 』 か ら も 、 実 践 の 上 で

に 四 十 二

門 を 重 視 し た 態 度 が 窺 え る の で あ り 、 恐 ら く は 、

の よ

な 字

字 に 関 わ る 詳 細 な 解 説 は 、 そ の 目 的 の 元 で

の 習 得 に

注 し た 痕 跡 と し て 捉 一 一

(11)

澄観と密 教 (遠藤) え る こ と が で き る で あ ろ

 

つ い

 

1

 

薩 の

姿

・ 徳

  文 殊

の 容

姿

性 に つ い て 『 經 疏 』 で は 「

涼 山 、 即 代 州 雁 門 郡 五 臺 山 也 。 於 中 現 有

。 以 歳

堅 冰 夏 仍 飛 雪 、

炎 暑

日 清 涼 。 五 峰

出 頂 無 林 木 、

如 壘 土 之 臺 、 故 日 五 臺 。

我 大 聖 五

已 圓 、 五 眼 已 淨 、

五 部        

 

 

 

 

                                         

 

 

 

 

      ( 25 ) 之

祕 、

五 陰 之

。 故

五 佛 之 冠 、 頂 分 五

、 運 五

之 要 、 清 五

。 」 と 述 べ て い る 。 そ こ で は 、 文

の 容

姿

・ 徳 性 は

の 五 に 深 く 関 わ り 、 文

の 住 処 と さ れ る 五 台 山 は 正 し く そ の 「 五 」 を 表 示 し て い る の だ と し て い る 。 こ の 『 經

』 の

現 か ら し て 極 め て 密 教 的 色 彩 が 濃

な の で あ る が 、 『 演 義 鈔 』 で は 、 そ れ ら は 『

剛 頂

伽 』 に

来 す る

の と 言

し て い る 。   以 上 の 『

疏 』 の 一

に 対 し て 『 演 義

』 で は

の よ う な

を 付 し て い る 。     疏 。 「 表 我

聖 」 下 第 二 彰 其 所 表 多 出 金 剛 頂 瑜 伽 。

以 理 推 析 。 言 「 大 聖 」 者 即 文

也 。 不 指 其

直 言 大     聖 。

山 中 稱 念

云 大 聖

。 即 舉

祥 耳 。

「 五 智 」

地 經 論 、 五

攝 大

性 。 謂 四

菩    

、 ]

法 界 。

金 剛 頂 即 = 呉

、 故 成 五 智 。 二 「 五 眼 」 可 知 。 三

「 五 部 」

、 一 佛

、 二     金 剛 部 、 三 寶 部 、 四 蓮 華 部 、 五

磨 部 。 一 切

天 眞 言

鬼 神

羯 磨

。 四 「 五 陰 」 者 即

五 陰 、    

是 五

中 有 大

、 即 不

、 即 是

殊 。 五

「 首 戴 五 佛 之 冠 」 者 、 諸

菩 薩

有 此 冠 、 而 大 聖

   

戴 冠 。 六 復 常

「 五 髻 」 。 然 諸 五

類 例 大 同 。 謂 當 中 髻 即 中 臺

盧 遮 那

居 。 是

部 主 法 界 清 淨 智 亦 佛     眼 也 。

東 一 髻 即

 

居 爲 金 剛 部 主 。 是 大

鏡 智 即 是

眼 。 其

一 髻 即

南 臺

來 所 居 。 是 寶

(12)

智山学報 第五 十 四輯     部 主

等 性 智 。 即 是 天 眼 。 其 西 一

即 是 西 臺 阿 彌 陀

來 所 居 。 是 蓮 華 部 主 。 即 妙 觀 察

是 法 眼 。 其 北 一 髻     即

北 臺 不 空 成 就 如 來 所 居 。

磨 部 主 是 成 所

智 。 即 是 肉 眼 。 七 若 配 「 五

」 、 中 即

、 東 菩

、 南 縁     覺

、 西 聲 聞

、 北 是 人 天 乘 。

人 天 乘 別 、 北 即 人

、 合 佛

、 餘 如 次 第 。 八 若 「 清 五

」 但 取 五 不 同 、 不     必

。 若 配 「 五 陰 」 、 中 即 識 陰 、

陰 、 南

想 陰 、 西 爲 受 陰 、 北

色 陰 。 例 爲 其 次 識 爲 主 故 。 然 五 如 來    

 

 

 

 

                                         

 

 

〔 26 )    

。 一 一 觀 行

不 同 。

教 者

知 其 要 。

略 屬

已 。   こ こ の

釈 の

、 「 五

」 「 五 眼 」 「 五 部 」 「

戴 五 佛 之 冠 」 「 五

」 は

教 的 な 内 容 を 有 し て い る 。   「 五 智 」 に つ い て は 澄 観 の 言 を 借 り る な ら 、 顕 教 の 『

地 經 論 』 で は 四 智 と 一 法 界 と

さ れ る も

教 の 『 金 剛 頂 』 で は そ の 一 法 界 が 「

淨 法 界

」 と さ れ 、 理 で は な く 智 と し て 扱 わ れ る の で 、 顕 教 で 言

四 智 に 対 し て 五 智 が 言 わ れ る と い

こ と で あ る 。 澄

は 『 金 剛 頂 瑜 伽 』 、 あ る い は 『 金 剛 頂 』 に

る と し て い る が 、 「 五 智 」 と い

用 語 及 び そ の

々 の 智 の 名

は 『 金 剛 頂

』 に は 直 接 出 て お ら ず 、 ま た 「 五 部 」 等 に つ い て も 同

に 見 当 た ら な い の で 、

ち に 『 金 剛 頂 經 』 だ け を 取 り 上 げ て そ の よ う に 言 っ て い る と い

わ け で も な さ そ う で あ る 。

ろ 、 例 え ば 『 金 剛 頂 瑜 伽

述 三 十 七

心 要 』 に 「

初 發 信 心 、 以 表 菩 提 心 。 即 大 圓

 

野 心 、 是 衆 生

。 安 吽 字 爲

子 。 所 變

子 爲 月 輪 。 於

明 中 、 想 五 智 金 剛

明 照

。 即 易

爲 金 剛 薩

 

、 即 普

薩 之 異 名 。 此

東 方 阿

 

如 來 金 剛

也 。 即 大 圓 鏡

是 也 。 次

福 徳 聚

生 如 來 、

摩 尼

瓶 、 與 一 切 如 來 灌

。 即 虚 空 藏 菩

。 執 摩 尼

珠 、 成 滿 一 切 衆 生

求 之 願 。 由 此 福

聚 功 徳 、

量 無

願 滿 。 此 乃

生 如

寶 部 所 攝 也 。 即

等 性 智 也 。 次 西

阿 彌 陀 如

一 切 如 來 三

地 智 。 即

。 由 初 發 心 便 能

法 輪 、 辯

言 説 、 理 無 涯

、 語 部 所 收 、 能 令

生 聰 明 利

。 此 乃 西 方 阿 彌 陀 如 來 法 部 所

也 。 即

也 。 次 禮 北

不 空

就 如 來 也 。 以

慈 方 便 、 能 成 一 切

、 及 以

業 。 由

首 羯 磨 菩

便

不 退 、 坐 菩 提 道 場 、 降 伏 衆 魔 、

便 無

沮 壞 。 亦 能 變 虚 空 爲 庫 藏 、

珍 寶 滿 虚 空 中 、 供

十 方

塵 一 切

。 此 虚 空

薩 、

羯 磨 菩 薩 之

名 。 一 一

(13)

澄観 と密教 (遠藤 ) 行 願

成 印 、 縛 堅 固

脱 之 門 。

護 持 三

門 也 。 大

印 方

便

。 此 乃

空 成 就 如

攝 。 即 成 所 作

也 。 其 中 方 毘

遮 那

。 即

也 。

圓 滿

厳 。 於

彌 盧

寶 峰

大 摩 尼 寶 殿 、 坐 金 剛 臺 、 成 等 正

魔 、

諸 毛 孔 放 大

。 十

及 諸 聖 衆 、

来 同 證 。 十 地

滿

、 皆 歸 此

處 本 方 座

、 住 三

地 心 。 皆 從 毘

遮 那

來 心

中 、 流

量 無 邊 祕

門 。

相 應 三

、 瑜 伽 理

滿

法 界 心 、 此 大 菩 提 五

圓 滿 、 即                  

 

 

 

 

  〔 27 ) 毘

遮 那 如

智 、

也 。 」 と あ る よ

な 解

を 参 照 し た も の と 言 え る 。   『 演 義

』 に よ れ ば 、

の 「 五

」 は 「 五

」 「 五 眼 」 「 五 部 」 「 五 佛 」 と 次 の よ

な 対 応 関

が 有 る と い

。 五 五 五 五 五

智 髻

中 法 界 清 淨

佛 眼 佛

毘 盧 遮 那

東 大

慧 眼 金

 

南 平

智 天 眼 寶

生 如 來   こ れ ら の

応 関

の 根 拠 に つ い て 、 澄

も 指 示 し て お ら

、 先 の 『 金 剛

述 三 十 七

心 要 』 で も 明 か で あ る が 、 そ れ ら と 剛

室 利

五 字 心 陀 羅 尼 品 』 に は 「 五

來 皆 在 於 頂 五

之 上 」 示

さ れ て お れ ば 、 恐 ら く は こ の 記 述 が

介 と な っ て 「 五 髻 」 る 。   「 五 佛 」 と 「 五 髻 」 の 関 係

は 『 金 剛 頂

殊 室 利

薩 五 字 心 陀 羅 尼 品 』 を

る こ と で 、 一

が つ く が 、

殊 が 「 五

之 冠 」 を 被 っ て い る と い

こ と に つ い て は 、 『 大 乘 瑜 伽 金 剛 性

室 利 千 臂 千 鉢 大 教 王 經 』 の                  

 

 

 

 

                                         

 

 

 

 

    ( 29V 「 其 曼 殊

上 著 於 百

。 種 種 瓔

天 衣 。 頂

光 頂 有 五

。 頭 上

佛 冠 。

五 佛

來 。 」 と

る 記 述 に 基 西           北 妙 觀

 

  成 所

智 法 眼

 

 

 

  肉 眼 蓮 華

 

 

 

阿 彌

如 來

 

空 成 就 如

                こ の 内 「 五 智 」 「 五 部 」 「 五 佛 」 の 対 応

係 は               「 五 髻 」 の 関 係 性 に つ い て は 明 瞭 で な い 。 『 金                 ( 箆 )                

 

 

と あ り 、 「 五

」 と 「 五

」 の 関 係 性 が           と そ れ ら を 対 応 さ せ る に

っ た と

え ら れ る の で あ 一 一

(14)

智山学報 第五十四輯 つ く も の と 考 え ら れ る 。   こ の よ

に 見 て く る と 、 『 演

』 の 言 に よ れ ば 、 「 文

の 容

姿

・ 徳 性 は 『 金 剛 頂 瑜 伽 』 に 由 来 す る 」 と い

こ と で あ る が 、 実 に

観 の 解 説 は 金 剛 頂

の 典 籍 を 縦

に 駆 使 し た

容 を 有 し て お

、 『 金 剛 頂 瑜 伽 』 と は せ

に 、 「 金 剛 頂 瑜

」 と し て 金 剛 頂

典 籍 を 指 示 す る も の と 考 え た 方 が 宜 し い よ う に 思 わ れ る 。 澄

に と っ て

は 、 徹 底 し て 密 教 の

で あ っ た の で あ る 。   更 に 、 こ の 法

の 「 五 」 に 関 わ る 対 応 関 係 で は 五 台 山 を 構 成 す る 五

と の 対 応 も 考 え ら れ て お り 、 『 經 疏 』 で 言

に 、 そ の

殊 の 徳 性 を 表 す 五

山 と い う こ と で あ れ ば 、 こ の 五 台 山 自

も 密 教 的 に 把 握 さ れ た と い

こ と に な る 。 こ の よ

な 考 え 方 は 文 献 的 に

拠 を 求 め る こ と が で き ず 澄 観 の 独 創 か 、 或 い は 密 教 教 団 の 側 が

唱 し た 説 で あ る か 甚 だ 不 明 瞭 で は あ る が 、 『 演

』 で そ の 説 を 積 極 的 に 披 歴 し て い る と い う こ と で あ れ ば 、 少 な く と も 澄 観 に は

山 は 密 教 道 場 が 如 き

在 と し て 了

さ れ て い た と 言 え る の で あ る 。 し か し 、 そ の 当 時 に は 仏 頂 尊 信 仰 が 隆 盛 し て い た こ と ま た 壮 麗 な 金

寺 が 建 立 さ れ て い た こ と な ど を

せ て

え る な ら 、 単 に 澄

個 人 の

に 還 元 さ れ る と い

だ け で は な い だ ろ

。   ま た 、 上

の 文 の 末 尾 で 「 然 五 如 來 皆 有

子 。 一 一

不 同 。

要 。 」 と あ り 、 読 者 に

教 の

を 奨

し て い る 。 『 演

』 の 序 で は 「

首 頗

門 。 唐 翻 靈 編 、

哲 未 窺 其

。 澄 觀 不

玄 微 。 偶 溢 九 州 、 遐 飛 四 海 。

者 盈 百 、

日 。 「 大 教 趣 深 、 疏 文 致 遠 。

旨 訓 、 彷 彿 近

。 垂

、 慮 惑 高 悟 。

垂 再 剖 、 得 睹

輝 」 。

、 再 此 條 理 、

爲 随 疏 演

。 昔 人 云 。 「 人 在 則

、 人 亡 則 難 。 」

 

 

   

 

   

 

    ( 30

、 冀 遐

古 、

若 面

。 」 と 言 っ て い る こ と か ら す る と 、 そ の

者 と は 直 接 的 に は 澄 観 の 門 人 ら と い

こ と に な る が 、 広

は 『

厳 經 』 を 学 ぶ

全 般 を

と す る こ と が 企 図 さ れ て お

、 先 の 密 教 の 奨 励 は 、 『

』 を 理

る 上 で の 密 教 の 必 要 性 が 主 張 さ れ て い る も の と 言 え 、 澄 観 の 密

重 視 の

姿

が こ こ に も

え る の で あ る 。 一

332

(15)

澄観と密教 (遠藤)  

2

 

文 殊

の 住 処   既 に 文 殊 菩

は 密 教 的

る も の と し て 扱 わ れ 、 そ の 住 処 と さ れ る 五

山 も 同 様 に

教 的 に 把 握 さ れ て い る こ と が 明 か に な っ た が 、

故 に 五 台 山 が 文 殊 の

処 で あ る か に つ い て も

典 籍 に そ の 根

め て い る 。 そ こ で は 次 の よ

べ ら れ て い る 。     第 三

。 以 經 不

、 引

定 所 。 以 此 經 不 指 者 、 以

八 方 之 例 餘 之 七

在 下     文

。 今 恐

識 者 惑

、 引 經 證 。 此

亦 名 八 字 陀 羅 尼 經 、 廣 説 文

之 徳 。

引 猶 略

引 之 。 謂 彼

、 金 剛     密 跡 主

薩 問 如 来 云 、 「 文 殊

利 於 何 處

住 。

能 行 利 益 」 、 如

云 、 「 我 滅 度

」 、 已 下 疏

全 引 。     下 有 偈 云 、 「 文 殊 大

 

不 捨 大 悲

 

變 身

童 眞

 

或 冠 或

 

或 處 小 兒

 

遊 戲 邑 聚 落

 

 

衰     形 爲 老 状

 

亦 現 饑 寒 苦

 

巡 行 坊 市

 

乞 衣 財

 

人 發 一 施 與

 

滿

一 切 願

 

使 令 發 信 心

 

信 心 既 發 巳

 

説     六 度 法

 

領 萬 諸

 

五 頂 山

 

衆 光 明

 

人 天 咸 悉

 

 

得 聞 持 法

 

一 切 陀

 

深    

 

  究 竟

果 願

 

具 空 三

 

習 盡 泥

 

 

大 願

 

與 佛 同 境 界 」 。 下 更

讃 其 徳 不 能 繁               ( 31 )    

、 要

經 。   こ こ で は 、

提 流 支 訳 の 『

師 利

羅 尼 經 』 が 引 用 さ れ て い る 。 『 經

』 で 既 に 見 ら れ る よ

に 、 「 我 滅 度 後 於 此

部 洲

北 方 有 國

大 振

。 其 國 中 間 有 山 號

五 頂 。 文

利 童 子 遊 行 居

。 爲 諸 衆 生

中 説

。 及 有 無 量                

 

 

 

 

                                ( 23 ) 無 數 諸 天 龍 神

叉 羅 刹 緊 那 羅

羅 伽 人 非 人

。 圍 繞 供

是 。 」 と あ り 、 文

の 住 処 が

の 大 振 那 国 五 頂 山 で あ る こ と を 言 明 し て い る 。 そ し て 、 こ れ が 中 国 の 五 台 山 を

す と

の で あ る 。 『 文 殊 師 利

尼 經 』 訳 出 以

に 既 に 五

山 の 文

は 定

し て お り そ れ が 文

盛 の

と な っ た わ け で は な い が 、 五 台 山 が

の 霊

で あ る こ と を 決

づ け る 根

と し て 、 以 後

さ れ る よ

に な っ た と 評 さ れ て い る 。 こ の 「 五

山 」 は

(16)

智山学 報第五十四輯 不 空 訳 の 『 大 乗

伽 金 剛 性 海

室 利 千 臂 千 鉢 大 教 王 經 』 に も 「 復

百 億 五 頂 山 金 色 淨 土 。 其 中

見 百 億

殊 室

                  ( 33 )

百 萬 億

薩 衆

自 圍 繞 。 」 と あ り 、 そ こ で は 「 五

山 」 の 所

ま で は 示 さ れ て い な い も の の 、 そ れ が 同 じ く 文

処 と し て 示 さ れ て い る 。 ま た 、 そ こ に は 「 金 剛 五 頂 五 如 來 」 「 金 剛 五 頂 五 智

五 如 來 」 な ど の 用 例 が 見 受 け ら                                  

 

 

 

 

  ( 34 ) れ 、 「 五 頂 」 は 「 五 智 」 「 五

」 な ど の 用 語 と 親 し く 、 先 に 見 た 五

山 と 「 五

の 対 応 関 係 を 構

す る に 際 し て 、 『 文 殊

寶 藏 陀 羅

經 』 と

せ て

照 さ れ た 可 能 性 も

え ら れ る 。

 

つ い

 

『 經 疏 』 は 、 「 華 嚴 經 』 の 「 如 來 十

相 海 品 」 で 仏 の 九 十 七 相 を 明 か し て い る と す る が 、 『 演 義 鈔 』 で は そ の 内 の 第 三 十 二 の

相 を 『 佛

勝 陀 羅 尼 經 』 を 援 用 し な が ら 解 釈 し て い る 。

 

 

觀 佛 三

經 云 如 合

、 即

四 經 。 引 此 成 上 如

。 拳 言

隱 、 合

於 頂 上 、 隆

之 相 也 。 然 此 相 能

 

 

一 切 罪 。 長 一 切 福 故 。

勝 正 明

此 。 即 烏 瑟

沙 暫 念

、 延

住 之

滅 地 獄 之 苦 、 不 受 七 反 畜 生 水 離 人

 

 

 

  ( 35 )

 

 

間 殘 報

 

『 佛

勝 陀

尼 經 』 に は

 

訳 ・ 地 婆 訶 羅 訳 ・ 仏 陀 波 利 訳 ・

浄 訳 な ど の 異 訳 が

ら れ る が 、 上 掲 の 文 中 の 引 用 文 は 、 そ れ ら 何 れ に も 直 接

当 た ら

、 取 意 の 引 用 と い う こ と に な ろ う 。

 

こ こ で は 肉 髻 の 相 に つ い て 述 べ る の み で 、 ま た 澄

も そ の 功 徳 を 付 加 的 に 述 べ る に 際 し て

ら に 『 佛 頂

勝 陀

』 を

照 し て い る 程 度 で あ

、 直

に 教 義 に 関 わ る 問 題 で は な い の で 、 さ し て 重 要 な

と は 言 え な い 。 た だ 「 佛 頂

勝 陀 羅 尼 經 』 の

訳 の

、 仏 陀 波 利 訳 は 五 台 山 の 信 仰 と 深 く 関 わ っ て お り 、 そ こ に 居 住 し て い た 澄 観 が 『

尊 勝 陀 羅 尼 經 』 に 一

触 れ る と い う の も 、 そ の 辺

情 に 関 わ っ て い る の で は な い か と

摘 し て お

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