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密教研究 Vol. 1941 No. 77 003松村 祐澄「佛陀瞿〓耶の佛身觀 P68-75」

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Academic year: 2021

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佛 陀 冨 雛 磯 一耶 の 佛 身 鶴 六 八

正 純 密 教 と 大 乗 佛 教 の 二 大 中 心 思 想 た る 室 観 唯 識 爾 思 想 と の 間 に 密 接 な る 關 係 が 存 す る こ と は 世 入 周 知 の 事 實 で あ る 。 室 観 思 想 は し ば ら く を き 唯 識 思 想 は 言 は 璽 密 教 の 揺 整 的 立 場 に 在 る と 云 ぴ 得 る の で あ る 。 吾 が 密 宗 に 於 け る 阿 字 観 、 月 輪 観 、 五 相 成 身 観 等 は 鍮 伽 三 密 観 と も 樽 さ れ る が 、 そ れ は 直 に 鍮 伽 唯 識 の 観 法 に 聯 關 さ れ る 。 亦 欲 鰯 愛 慢 の 心 所 思 想 は } 韓 し て 欲 燭 愛 慢 の 四 菩 薩 を 四 親 近 と す る 金 剛 薩 睡 五 秘 密 の 教 読 に 獲 展 し 、 更 に 彼 が 所 明 の 佛 身 論 は 吾 が 眞 言 門 の 四 種 法 身 誕 生 の 先 騒 と な つ て ゐ る の で あ る 。 か く の 如 く 爾 教 レ の 間 に は 極 め て 興 味 あ る 激 多 の 聯 關 が 見 出 さ (一 ) れ 、 そ の 一 づ 一 つ が 重 要 な る 研 究 課 題 と な つ て ゐ る 。 今 私 が 此 虚 に 取 り 上 げ た ﹁ 佛 陀 窪 唖 耶 (畳 密 ) の 佛 身 論 ﹂ の 問 題 も 唯 識 西 智 説 よ り 眞 言 五 智 読 へ の ,展 開 と 共 に 、 爾 者 の 間 に 於 け る 課 題 の 一 モ メ ン 卜 で あ り 、 而 し て 唯 識 教 學 所 明 の 佛 身 論 が 素 材 と な つ て 、 其 虚 に 薪 し き 眞 言 的 形 式 が 與 へ ら れ ん と す る 過 渡 期 に あ る も の で あ る 。 こ 瓦 に 佛 陀 窪 唖 耶 の 佛 身 論 の 重 要 な る 意 義 が 存 す る 。 從 つ て 佛 身 論 な る 限 り そ の 思 想 の 獲 生 地 盤 と 攣 遽 過 程 等 に 就 て は 原 始 佛 教 小 乗 諸 派 等 に ま で 遡 つ て 行 か ね ば な ら ぬ の で あ る が 、 今 は 唯 識 學 派 の 佛 身 論 ( 主 と し て 大 乗 荘 嚴 経 論 、 成 唯 識 論 ) と 佛 陀 灌 哩 耶 の 佛 身 論 と の 關 係 を 論 究 す る に 主 眼 を 置 く が 故 に 、 そ れ 等 の 考 察 は 暫 く を い て 他 日 を 期 す る こ と 玉 す る 。 撮 佛 陀 窪 畷 耶 の 撰 蓮 に か 鼠 る 書 は 現 存 西 藏 大 藏 経 中 十 八 種 を 墾 げ 得 る が 、 そ の 中 佛 身 論 に 關 す る も の と し て は 大 日

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( 二 ) (三) 経 略 繹

(Vairocababhisambodhi tantrapin lartha

) と 大 日 経 廣 繹 の (Vairocanabhisambodhi tantr ) の 二 本 が あ る 。 一 経 に 封 す る 二 種 の 疏 羅 で あ り 、 そ の 著 作 の 順 序 に 就 て 大 日 経 廣 繹 の 中 に 、 ﹁ 同 じ く そ の 神 攣 と 加 持 等 ( 四 ) を 繹 さ む 。 詳 し く は 、 略 繹 に 読 き た る 故 に ご 玉 に は 述 べ す ﹂ と あ る よ り 略 先 廣 後 の 次 第 で 著 述 さ れ た も の で あ ら う 。 そ の 大 日 経 略 繹 の 中 に 、 佛 陀 擢 唖 耶 は 毘 盧 遮 那 の 自 性 と し て 四 身 を 學 げ て 夫 々 読 明 を 加 へ て ゐ る 。 帥 ち ﹁ 世 尊 毘 盧 遮 那 の 自 性 と は 、 四 身 の 相 に し て 即 ち こ の 儀 軌 の 中 に 二 種 の 攣 花 身 を 分 別 し て 四 身 を 読 け り 。 所 謂 現 等 畳 身 と 法 身 と 報 身 と 化 身 な り 。 そ の 中 、 智 が 一 切 の 、妄 分 別 の 所 依 を 除 き 、 一 切 の 相 を 解 脱 し て 極 め て 明 亮 、 唯 自 知 の み に よ つ て 究 寛 す る が 故 に 生 死 の あ る 限 り 不 噺 の 刹 那 相 綾 を 相 綾 す る 聚 身 (tshogs -can ) 無 佳 庭 浬 繋 の 分 位 た る と こ ろ の も の が 法 身 な り 。 そ の 法 身 の 相 は こ の 儀 軌 の 中 に ﹁ 唯 想 を も 捨 離 す る が 故 に 自 性 は 読 か る べ き 無 し こ の 自 知 せ ら る る 智 を ば 如 來 と 名 く ﹂ と あ る な り 。 然 れ ば 如 來 め 相 の こ の 法 身 の 自 性 は 亦 理 謹 と 教 誼 等 に よ る も 亦 不 生 に し て 生 無 し と 分 別 せ ら れ 、 前 行 の 道 た る 、 事 に 執 著 す る を 全 く 捨 つ る こ と に よ つ て 入 る に 至 ら む 。 所 謂 ﹁ 慧 を 以 て ( 五 ) 尋 察 す る も の に よ つ て は 自 性 は 顯 萌 に せ ら れ す こ の 故 に そ れ ら の 自 性 は 無 に し て 生 無 し と 読 か る ﹂ 等 と 読 く は そ の 法 身 の 特 質 を 述 べ た も の で あ る 。 瓦次 に 現 等 畳 身 に 就 て は ﹁ こ の 法 身 の 力 に よ つ て 報 身 と 化 身 等 を 現 す る と 同 檬 に 、 心 性 清 浮 な る 諸 大 菩 薩 の 爲 に 最 初 に 無 比 善 妙 の 大 毘 盧 遮 那 が 恰 も 繹 迦 牟 尼 の 時 と 同 檬 に 常 に 顯 現 す る と こ ろ の も の が 法 身 の 現 等 畳 身 で あ る 。 菩 提 道 場 は 是 の 如 く し て 所 化 の 爲 に 常 に 顯 現 す る が 故 に 現 等 畳 身 と 名 く 。 叉 そ の 相 は こ の 儀 軌 の 中 に ﹁ 時 に 普 賢 菩 薩 等 は 世 尊 が 最 勝 第 一 の 菩 提 道 場 に 座 し 給 へ る を 見 る ﹂ 等 と 読 か れ た り ﹂ と 述 べ て ゐ る 。 更 に 受 用 身 ( 報 身 ) に 就 て は ﹁ 法 身 そ の も の を 得 た る そ の 時 に 、 法 性 と し て 得 る 身 語 心 無 甕 荘 嚴 に よ つ て 有 情 の 樂 欲 に し た が つ て 喜 ば し め 、 三 佛 陀 嬰 噛 耶 の 佛 身 親 六 九

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佛 陀 嬰 揖畷 耶 の 佛 身 襯 七 〇 趣 に 顯 現 し た る も の 等 の 中 よ り 菩 提 道 場 に て も 或 は 他 の 何 れ に て も よ し 、 二 定 せ ざ る 境 と 時 等 に 於 て 濤 浮 の 諸 菩 薩 、 ( 初 地 以 上 の 菩 薩 ) の 爲 に 無 比 微 妙 の 身 を 顯 現 す る 方 法 に よ り 、 経 と 聖 教 と の 自 性 の 甚 深 廣 大 の 法 を 努 め 、 大 菩 薩 等 の 所 縁 た る も の は 、 世 尊 毘 盧 遮 那 の 報 身 と 名 く 。 こ れ 亦 こ の 儀 軌 の 中 に 所 謂 ﹁ 業 壽 の 生 じ た る 有 情 等 を し て 最 初 の 心 を 獲 起 し て よ り 十 地 に 至 る 迄 を こ の 生 に 於 て 満 足 せ し め 又 業 壽 の 滅 し た る も の 等 を し て 有 の 芽 を 現 に 成 就 せ し め ん が 爲 に 、 執 金 剛 の 身 に 等 し き も の と 、 普 賢 菩 薩 と 蓮 華 手 菩 薩 の 身 に 等 し き も の と が 十 方 に 於 て 眞 言 道 の 語 た る 清 ( 六 ) 澤 の 語 を 以 て 読 法 す る を 見 る な り ﹂ と 読 く 。 蔦 れ 報 身 の 読 法 を 示 し た も の で あ る 。 最 後 に 化 身 と は ﹁ 天 、 非 人 の 爲 に 顯 現 す る 所 の 身 が 彼 等 天 、 非 入 等 の 宿 幅 の ま 玉 に 読 法 等 の 事 業 を 現 じ 愚 童 凡 夫 等 を し て 適 宜 に 世 間 出 世 間 の 道 に 引 入 す る も の は こゝ に 化 身 と 名 け ら るゝ と 知 る べ し 。 こ の 相 は 亦 ﹁ 世 尊 よ 、 如 何 が 諸 の 如 來 鷹 供 正 研寺 轡 淵は 一 切 智 々 を 得て 、 か の 一 切 智 々 を 諸 の 右 融 旧 の 爲 に 賭開 示 し 給 ふ や 、 印 ち 種 女 の 道 、 種 一 汝 の 、思 惟 、 種 一 々 の 方 便 等 に よ つ て ま し て 或 者 に は 聲 聞 乗 道 、 或 者 に は 縁 畳 乗 道 、 或 者 に は 大 乗 道 、 五 神 通 智 道 、 或 者 に は 天 に 生 ぜ し め 、 或 者 は 人 に 生 ぜ し め 、 乃 至 摩 喉 羅 伽 、 龍 、 乾 閣 婆 、 夜 叉 、 阿 修 羅 、 迦 縷 羅 、 緊 那 羅 に 生 ぜ し め ん が 爲 に 読 法 し 給 ふ 藪 に 佛 に よ つ て 化 度 せ ら る べ き 或 有 情 は 佛 身 を 見 、 或 者 は 聲 聞 身 を 、 或 者 は 縁 畳 身 、 或 者 は 菩 薩 身 を 、 或 者 は 大 自 在 天 身 を 、 或 者 は 梵 天 を 見 、 或 者 は 毘 沙 門 天 を 、 或 者 は 那 羅 延 天 を 見 、 乃 至 或 者 は 摩 喉 羅 伽 、 入 、 非 人 の 身 を 見 て ( 七 ) 而 も 各 女 の 言 詮 の 方 法 と 種 々 の 行 散 と を 見 る 。 然 る に 叉 か の 晶 切 智 女 は 所 謂 如 來 の 解 脱 味 と し て 一 なり ﹂ と 云 つ て 居 る 。 と れ 化 身 の 読 法 を 示 し た も め で あ る 。 以 上 は 佛 陀 擢 唖 耶 が 大 旧 経 略 繹 に 於 て 毘 盧 遮 那 の 僧 性 と し て 読 く 四 身 で あ る 。 而 し て 所 立 の 佛 身 が 四 身 で あ り 、 の 佛 身 論 と し て は 一 慮 四 身 説 と 見 徹 さ れ る が 、 嚴 密 な 意 味 の 四 身 読 に は 未 だ 獲 展 し て 居 ら す 、 從 つ て そ の 佛 身 論 の 中 心 を な す も の は 法 身 、 受 用 身 ( 報 身 ) 、 攣 化 身 の 三 身 で あ る 。 大 日 経 略

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( 八 ) 繹 の 中 に も こ の 意 を 述 べ て ﹁ 謂 く 世 尊 諸 正 等 畳 の 身 は 法 身 と 報 身 と 攣 化 身 な り ﹂ と 云 つ て 居 る 。 蓋 し 佛 教 そ の も の が 本 來 多 分 に 哲 學 的 要 素 を 含 ん で ゐ る が 、 し か し 固 よ り 宗 教 で あ る か ら 教 租 繹 尊 が そ の 信 仰 の 中 心 と な り 、 随 つ て 原 始 佛 教 時 代 繹 尊 の 人 格 帥 ち 佛 格 論 ( 後 世 の 佛 身 論 ) が 生 じ て ゐ た の で あ る 。 そ れ が 羅 尊 の 入 浬 葉 と 共 に 二 身 と な り 二 身 よ り 三 身 、 三 身 よ り 四 身 へ と そ の 間 可 な り 複 難 な 思 想 過 程 を 経 て 獲 達 し て 來 た の で あ る 。 特 に 大 乗 佛 教 は 、 一 面 に は こ の 問 題 の 爲 に 勃 興 し た も の と い ふ を 得 べ く 、 而 し て そ の 論 旨 が 哲 學 的 思 索 と 常 に 緊 密 な 關 係 を 有 し 、 二 者 相 倹 つ て 如 上 の 獲 達 を 途 ぐ る に 至 つ た の で あ る 。 そ の 中 三 身 読 は 龍 樹 以 後 に 起 り 世 親 に 至 り 盛 ん に 唱 道 さ れ た も の で あ つ て 、 そ れ が 從 來 行 は れ た 佛 身 に 關 す る 諸 読 を 綜 合 し 、 若 く は 整 理 し た 結 果 で あ る こ と は 疑 を 入 れ ぬ 。 し か ら ば 佛 院 雀 咄 耶 の 佛 身 思 想 は 何 虚 よ り 由 來 す る や 。 こ れ を 文 厭 の 上 に 求 む れ ば 彌 勒 の 偶 、 世 親 註 繹 と 構 さ れ る 大 乗 荘 嚴 経 論 、 並 び に 護 法 の 成 唯 識 論 に 読 く 所 の 佛 身 観 が 最 も 親 し き 關 係 に あ る こ と を 見 出 す で あ ら う 。 即 ち 大 乗 荘 嚴 維 論 に は 諸 佛 に 三 身 あ り と て 次 読 諸 佛 三 身 。 偶 日 性 身 及 食 身 化 身 合 三 身 鷹 知 第 一 身 飴 二 三 依 止 繹 日 。 一 切 諸 佛 有 三 種 身 。 一 者 自 性 身 。 由 韓 依 相 故 。 二 者 食 身 。 由 於 大 集 衆 中 作 法 食 故 。 三 者 化 身 由 作 所 作 化 衆 生 ( 九 ) 利 釜 故 。 と い ひ 、 成 論 第 十 に は 大 畳 世 尊 成 就 無 上 寂 鰍 法 。 故 名 大 牟 尼 。 此 牟 尼 尊 所 得 二 果 永 離 二 障 。 亦 名 法 身 。 ( 中 略 ) 如 是 法 身 有 三 相 別 。 一 自 性 身 。 謂 諸 如 來 眞 瀞 法 界 。 受 用 、 攣 化 李 等 所 依 離 相 寂 然 。 絶 諸 戯 論 。 具 無 邊 際 眞 澤 功 .徳 。 是 一 切 法 卒 等 實 性 。 印 此 佛 陀 星 .岨 耶 の 佛 身 観 七 一

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佛 陀 嬰 畷 耶 の 佛 身 翻 七 二 自 性 亦 名 法 身 。 大 功 徳 法 所 依 止 故 。 二 受 用 身 。 此 有 二 種 。 一 自 受 用 。 謂 諸 如 來 三 無 数 劫 。 修 集 無 量 幅 慧 資 糧 所 起 無 邊 眞 寳 功 徳 。 及 極 圓 浮 常 遍 色 身 。 相 綾 湛 然 。 盤 未 來 際 恒 自 受 用 廣 大 法 樂 。 二 他 受 用 。 謂 諸 如 來 由 卒 等 智 示 現 微 妙 浮 功 徳 身 。 居 純 浮 土 。 爲 佳 十 地 諸 菩 薩 衆 現 大 紳 通 。 韓 正 法 輪 。 決 衆 疑 網 。 令 彼 受 用 大 乗 法 樂 。 合 此 二 種 名 受 用 身 。 三 攣 化 身 。 謂 諸 如 來 由 成 事 智 攣 現 無 量 随 類 化 身 。 居 瀞 薇 土 。 爲 未 登 地 諸 菩 薩 衆 、 二 乗 、 異 生 。 稔 彼 機 宜 現 通 読 法 。 令 ( 十 ) 各 獲 得 諸 利 樂 事 。 と 去 つ て 居 る 。 先 の 大 乗 荘 嚴 維 論 に 墨 げ る 佛 身 は 自 性 身 (Svabhava-kaya)食身(Sambhoga-kaya ) 化 身 (nirmana-kaya)の三身 で あ り 、 そ の 中 自 性 身 は 法 身 で あ り 食 身 化 身 の 所 依 た る も の で あ る 。 食 身 は 具 に は 法 食 身 と 云 ひ 、 普 通 に は 受 用 身 と 構 せ ら れ る も の で あ る 。 後 の 成 唯 識 論 で は 受 用 身 を 開 い て 自 受 用 他 受 用 の 二 身 と し 、 四 身 を 建 立 す る が 、 爾 者 は 開 合 の 異 に す ぎ ぬ と 見 る べ き か 。 更 に 三 身 の 相 に 就 て 大 乗 荘 嚴 維 論 敬 佛 晶 第 二 十 四 に 成 就 第 一 義 出 離 一 切 地 於 他 得 尊 極 解 脱 諸 衆 生 無 霊 等 功 徳 現 在 皆 具 足 世 見 衆 亦 見 不 見 人 天 等 繹 。 日 ( 中 略 ) 世 見 者 。 謂 種 々 世 界 皆 見 。 此 是 化 身 。 衆 亦 見 者 。 謂 佛 大 弟 子 衆 見 。 此 是 受 用 身 。 不 見 者 。 謂 人 天 等一 (二) 切 時 不 見 。 此 是 自 性 身 。 と 述 べ て ゐ る 。 こ れ を 今 佛 陀 擢 哩 耶 所 立 の 佛 身 と 比 較 す れ ば 、 佛 陀 控 麗 耶 の 所 謂 自 性 の 示 さ る べ き な き 無 相 無 作 の 法

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身 は 今 の 自 性 身 に 、 彼 の 受 用 身 は 佛 大 弟 子 衆 の み の 所 縁 た る 今 の 受 用 身 に 、 彼 の 化 身 が 諸 世 間 に 於 て 見 ら れ る 今 の 化 身 に 契 當 す る こ と は 明 か で あ る 。 佛 身 と し て 認 識 し 得 る の は 現 等 畳 身 以 下 の 諸 身 で 、 佛 陀 擢 唖 耶 も そ の 曼 茶 羅 に 於 て 三 角 形 を 以 で 法 身 自 誰 の 襟 幟 と し 、 佛 像 と し て 圖 示 し て ゐ な い の で あ る 。 随 つ て 佛 陀 窪 唖 耶 の 読 く 法 身 は 眞 諦 の 室 性 に し て 所 謂 如 々 の 理 に 當 る も の と 云 ふ べ き か 。 こ の 如 々 の 理 に 契 諮 す る も の が 如 々 の 智 に し て こ れ が 自 受 用 智 身 で あ る っ 而 し て こ の 如 く 自 誰 の 理 智 寂 静 の 髄 は 常 寂 不 動 の 如 來 自 誼 の 禮 な る が 故 に 読 法 無 く こ の 法 身 よ り 現 ぜ し 報 身 乃 至 化 身 に し て 始 あ て 読 法 有 る こ と は 大 乗 通 佛 教 に 読 く 所 で あ る が 、 佛 陀 程 唖 耶 も か N る 立 場 を 踏 襲 し て 、 以て 大 日 経 佛 身 論 を 施 設 し た も の と 思 は れ る 。 只 彼 の 佛 身 論 に 於 て 注 意 す べ き は 現 等 畳 身 な る 佛 身 の 建 立 で あ る 。 現 等 畳 身 億 語 義 か ら 云 へ ば 菩 提 樹 下 で 正 畳 を 得 給 ふ た 佛 の 構 號 で あ る が 、 毘 盧 遮 那 の 自 性 と し て こ の 身 を 建 立 す る こ と は 佛 陀 崔 哩 耶 の 佛 身 論 の 特 質 で あ つ て 、 他 の 密 教 の 諸 賢 先 哲 に そ の 類 例 を 見 ざ る 所 で あ る 。 現 等 畳 身 に 就 て は 既 に 述 べ た 所 で あ る が 佛 陀 賂崔 唖 耶 は 大 口 旦 経 申廣 羅 に 論大 日 経 、の 教 主 を 論 }い た 所 に ﹁ こ 玉 に 亦 読 法 は 四 身 の 何 れ に よ つ て 読 か る 玉 や と 云 は 貸 、 法 身 と 菩 提 道 場 に 座 す る 身 は 不 動 性 に し て 言 読 よ り 超 越 し た れ ば 語 を 以 て 法 を 読 か す 、 帥 ち そ の 加 持 に よ つ て 受 用 身 ( 報 身 ) と 化 身 が 読 く な り 。 こ の 所 に 於 て も 毘 盧 遮 那 (一 二) の 受 用 身 が 身 語 意 卒 等 性 の 句 と 云 ふ 法 門 を 読 く ﹂ と 云 つ て 居 る 。 現 等 畳 身 は 法 身 と 同 檬 無 読 法 の 身 で あ る が 、 只 法 身 と 異 る 所 は 諸 大 菩 薩 の 爲 に 正 畳 の 身 を 現 す る の で あ る と 云 ふ の が 佛 陀 樫 唖 耶 の 見 解 で あ る 。 然 ら ば こ の 現 等 畳 身 の 淵 源 如 何 と 云 ふ に 恐 ら く は 金 剛 頂 経 の 縄 尊 の 因 位 た る 一 切 義 成 就 菩 薩 が 修 習 す る 五 相 成 身 の 碗 等 覧 身 に ヒ ン ト を 得 売 も の で あ ら う 。 こ れ は 佛 陀 擢 覗 耶 が 初 會 金 剛 頂 経 の (一 三 ) ( 一 四 ) 金 剛 界 大 曼 茶 羅 晶 の 略 繹 た る 恒 特 羅 義 入 に 五 相 成 穿 観 を 読 く は 勿 論 、 大 日 経 略 繹 に も 同 じ く 読 か れ て ゐ る こ と に よ つ 佛 陀 程 畷 耶 の 佛 身 襯 七 三

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佛 陀 麗 畷 耶 の 佛 身 襯 七 四 て も 了 解 さ れ る 。 更 に 彼 は 以 上 の 四 身 を 曼 茶 羅 の 尊 位 に 配 當 し て ゐ る 。 印 ち ﹁ こ 玉 に ︼ 切 如 來 の 法 身 の 加 持 と は 謂 く 、 三 角 印 を 建 立 す る こ と な り と 説 け り 。 世 尊 毘 盧 遮 那 の 菩 提 道 場 の 身 と は 謂 く 、 曼 茶 羅 の 中 央 に 定 印 を 具 す る も の を 安 置 す る な り 。 同 様 に 胎 藏 の 次 第 に 於 て 世 自 在 執 金 剛 等 三 族 に より て 撮 せ ら る 玉 尊 の 相 を 具 す る は 報 身 加 持 の 身 等 と 見 る べ し 。 同 檬 に 胎 藏 の 次 第 に 於 け る 第 二 重 に 於 て 攣 化 身 た る 繹 迦 牟 尼 、 化 身 た る 世 天 の 身 師 ち 自 在 天 夜 摩 天 水 天 風 天 火 天 梵 天 毘 紐 天 商 謁 羅 天 等 の 身 を 現 じ 、 彼 等 を 樂 ふ 有 情 を 敷 喜 せ ノ に ぼ し む る も の が 他 の も の と 一 座 に 坐 し 給 へ り 、 然 れ ば 大 悲 胎 藏 生 の 大 曼 茶 羅 の 第 二 重 と 第 二 重 の 諸 尊 を 建 立 す る を 以 て 毘 盧 遮 那 の 法 身 と 現 等 畳 身 と 報 身 と 化 身 等 を 撮 し た り と 見 る べ し。 第 ど 重 に は 波 羅 蜜 の 薩 錘 、 世 尊 丈 殊 師 利 と 除 一 切 蓋 障 と 地 藏 等 の 十 地 の 自 在 の 大 菩 薩 が 春 屡 と 俘 な る は 世 尊 毘 盧 遮 那 の 現 等 畳 身 を 見 む と 欲 す る も の に よ つ て 親 ( 一 五 ) 近 せ ら る N も の を 安 置 す る な り 。 と 述 べ て ゐ る が 、 こ れ は 支 那 に 傳 は れ る 善 無 畏 三 藏 ⋮の 読 と 甚 だ 相 違 す る も の で あ つ て 注 意 す べ き 黙 で あ る 。 尚 佛 陀 讐 咄 耶 は 大 旧 経 の 具 縁 、 韓 字 輪 、 秘 密 の 三 曼 茶 羅 に 於 け る 灌 頂 所 得 位 の 身 と し て こ の 四 身 を 配 し で 謂 く ﹁ 大 悲 胎 藏 曼 茶 羅 に を け る 灌 頂 に よ つ て は 菩 提 道 場 の 身 を 得 、 韓 字 輪 曼 茶 羅 に を け る 灌 頂 に よ つ て は 報 身 と 攣 化 身 、 (一六) 秘 密 曼 茶 羅 に 於 て は 法 身 を 得 る も の と 見 る べ し 。 と 。 是 の 如 く 大 日 経 の 三 曼 茶 羅 の 灌 頂 所 得 の 身 に 毘 盧 遮 那 の 自 性 と し て の 四 身 を 配 當 す る こ と も 佛 陀 窪 唖 耶 の 密 教 思 想 の 一 特 質 甚 し て 、 彼 め 佛 身 論 に を け る 四 身 建 立 よ り し て 當 然 かゝ る 配 當 を 提 示 し た も の と 見 る べ き で あ る 。 上 來 種 女 述 べ た る 所 に よ つ て 佛 陀 餐 唖 耶 の 佛 身 論 の 意 義 並 に そ の 思 想 的 根 基 を 知 る こ と が 出 來 よ う 。 要 す る に 佛 陀

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擢 哩 耶 の 佛 舞 論 は 八 世 組 に を け る 密 教 の 佛 身 論 を 代 表 す る も の で 、 一 先 づ 彼 に ょ つ て 夫 以 前 の 繹 尊 中 心 の 佛 身 論 か ら 毘 盧 遮 那 を 統 一 的 主 尊 と す る 密 教 佛 身 論 が 施 設 さ る 玉 に 至 つ た の で あ る 。 か く て こ の 喩 伽 唯 識 派 の 佛 身 論 を 粉 本 と す る 佛 陀 程 唖 耶 の 佛 身 論 に 、 更 に 密 教 的 思 群 が 加 は り こ 玉 に 薪 な る 密 宗 不 共 の 四 身 読 へ の 展 開 が 齎 さ れ る こ と に な る の で あ る 。 註 ( 一 ) 佛 陀 輩 唖 耶 (Baddha-guhya ) は 一 名 佛 陀 掬 多 (Buddha gupta) と も 云 ひ 、 西 藏 語 に て はSans-rgyas gs-ba と 云 ふ 。 ペ エ チ エ ク の レ ン カ ル ス 目 録 に は 大 日 輕 略 羅 其 の 他 の , 羅 の 作 者 と し て Buddha-gupta の 名 を 畢 げ 、 デ ル ゲ 版 東 北 目 録 に は こ の 大 日 纏 略 繹 の 作 者 を bd 信 亀 冨 ぬ 昏 冒 と し そ の 外 の 場 合 は 全 て Sais -rgyas gsan -ba の 課 名 を 用 ひ て ゐ る 。 gupta は 普 通 護 と 諜 さ れ る が 秘 密 の 義 も あ つ て 西 藏 語 に 繹 せ ば 何 れ も gsan -ba と 爲 す こ と が 出 來 る 。 し か し 佛 陀 盟 唖 耶 が 西 藏 王 チ ソ ン 、 デ ツ ァ ソ に 與 へ た 書 翰 の 中 にBuddha-guhya 我 云 々 と あ る か ら 、 こ れ 等 二 名 の 中 Bu ddha-guhya を 取 る 方 が 適 當 で あ ら う 。 佛 陀 笙 唖 耶 の 年 代 は テ ソ ソ デ ツ ア ソ 王 の 年 代 か ら 推 し て 略 七 世 紀 末 か ら 八 世 紀 中 葉 迄 の 人 と 思 は れ る 。 ( 二 ) 東 北 帝 大 西 藏 大 藏 纏 繍 目 録 No. 二 六 六 二 (三 ) 同 No. 二 六 六 三 (四 ) 同 No. 二 六 六 三 (2 63a2 ) (五 ) 同 No. 二 六 六 二 (I4a5 ) ( 六 ) 同 No. 二 六 六 二 (I4b5 ) (七 ) 同 N o . 二 六 六 二 (I5b2 ) (八 ) 同 N o . 二 六 六 二 (48b6 ) (九 ) 大 正 藏 三 三 、 六 〇 六 中 (十 ) 同 三 一 、 五 七 下-五 八 (十 一 ) 同 三 一 、 六 五 一 下 (十 二 ) 東 北 帝 大 西 藏 大 藏 纏 総 目 録 No. 二 六 六 三 (2 66a7 ) (十 三 ) 同 No. 二 五 〇 一 (I6a1 ) (十 四 ) 同 N o . 二 六 六 二 (I2b1 ) (十 五 ) 同 No. 二 六 六 二 (I6a6 ) (十 六 ) 同 No. 二 六 六 二 (48 a3 ) 佛 陀 星 唖 耶 の 佛 身 襯 七 五

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