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Academic year: 2021

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氏名

伊藤 真理

学位の種類

博士(数理情報学)

学位記番号 数博甲第 11 号

学位授与の日付 平成 28 年 3 月 20 日

論文題名

医療機関のスケジューリング問題に対する

オペレーションズ・リサーチを用いた解決方法の研究

審査委員

主査 (教授) 福嶋 雅夫 (教授) 高見 勲 (教授) 鈴木 敦夫

(2)

1.論文の内容の要旨

本論文では,医療機関におけるスケジューリング問題に対して,オペレーションズ・

リサーチを用いた解決方法とその有効性について論じる.近年,赤字に苦しむ医療機関 の増加や高齢化による患者の増加に伴い,医療機関は限られた施設や人的資源を有効に 活用して,より多くの患者を治療できるよう管理運営の合理化を課題としている.実際 に,医療情報システムの技術が進歩し,医療機関では,システムの導入による医療情報 のデジタル化が進んでいる.その一方で,施設利用や人的資源の運営スケジュールは,

手作業で作成している.その理由の一つとして,医療機関の運営者が,スケジュールの 作業に関する効率化を実現する有効な方法を見出せていないからである.このような医 療機関のスケジューリング問題について,国外を中心に多数の研究が行われているが,

その研究成果を実問題へ適用できている例は数少ない.本研究では,医療機関のスケジ ューリング問題の事例に対して,オペレーションズ・リサーチの最適化手法を適用して 解決することを考える.具体的には,問題を整数計画問題として定式化し,最適化ソフ トウェアのCPLEXを利用してExcel上にシステムを実装する.このシステムによって,医 療機関の運営者自身がスケジュールの自動作成を行えるようにする.ここでは,3つの スケジューリング問題に対して,問題を整数計画問題として定式化し,最適化ソフトウ ェアを利用してシステムを実装した.具体的には,人間ドックにおけるスケジューリン グ支援システム,手術室のスケジューリングシステム,研修医の当直シフトスケジュー リングシステムである.人間ドックにおけるスケジューリング支援システムは試作段階 である.手術室のスケジューリングシステムは愛知医科大学の手術室で試用されている.

研修医の当直シフトスケジューリングシステムは,愛知医科大学病院の卒後臨床研修セ ンターで試用されている.これらのシステムについて,実際に利用した際の病院の担当 者の意見の紹介についても示す.

2.論文審査の結果の要旨

2015年9月16日に中間審査を実施した.医療機関における3つのスケジューリング の問題,すなわち人間ドックのスケジューリング問題,手術室のスケジューリング問題,

研修医のローテーションのスケジューリング問題について,一部に未完成の部分を残し ながらも,整数計画法としての問題の定式化,最適化ソフトウェアを用いた解法の実現,

PC上に実装したシステムについて報告された.この報告に対し,定式化の工夫,システ ムの作成に関する工夫,およびその時点までに得られている成果について良好な評価を 受けた.未完成の部分を完成させることが要求されるとともに,実際に手術室のスケジ ューリングと研修医のローテーションのスケジューリングに本研究のシステムを試用し ている愛知医科大学病院の担当者からこれらのシステムによるスケジューリングの結果 がどのような評価を受けているかの報告への期待も示された.

2016年2月6日に最終審査を実施した.中間審査で報告された内容については,より 洗練された形で問題と成果が報告された.また,中間審査の時点で未完成であった研修 医のシフトのスケジューリング問題については,目的関数の重みをAHP(Analytic Hierarchy Process)によって決定するという提案がなされ,それによって得られた結果

(3)

の有効性が示された.手術室のスケジューリング問題に関しては,中間審査時に指摘さ れた愛知医科大学病院の手術室で実際にスケジューリングを担当している師長からのコ メントが紹介された.また,研修医のシフトのスケジューリングに対しては,担当者の コメントが紹介された.これによって,本研究の成果の現実的な応用可能性が明確に示 された.

いずれの問題に対しても,愛知医科大学病院などでの現実の規模のデータを使っての 実験結果が示され,提案された解法が現実の問題に適用されて,医療機関の業務を大き く改善することが可能であることが示されていた.

本論文が扱っている医療機関へのオペレーションズ・リサーチの応用の分野は,現実 への応用によって大きな効果が得られると期待できるにもかかわらず,意外にもあまり 研究対象とされていない.本論文で扱っているように,医療機関におけるスケジューリ ング問題を数理的な問題として定式化し,それらの解法を実現して,システムとして現 場に提供することは,わが国の医療の現状を考えると一層必要になる研究分野と考えら れる.本論文はその端緒となる論文の一つと言える.

最終審査における質疑・議論の中では,本論文に対する問題点の指摘はなく,主にこ の研究の適用分野の範囲,あるいは汎用性に関するものであり,当研究分野の発展可能 性を反映するものであった.

以上の検討・審査の結果,審査委員会として本論文は博士論文に十分に値するもので あると判断した.

平成28年2月20日

審査委員 主査 (教授) 福嶋 雅夫 (教授) 高見 勲 (教授) 鈴木 敦夫

参照

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