‑ 6 ‑
シャフト(棒)の制振処理の研究
遠 藤 紘
・布 施 毅傘
The s t u d y o f Damping Treatm e n t s f o r a s h a f t ( b a r )
Hiro s h i
ENDOand Takeshi FU SE
(1 9 9 7
年1 1
月2 8
日受理)T h i s r e p o r t wa s d e s c r i b e d c o n c e r n i n g t o dampin g t r e a t m e n t s o f a b a r f o r s h a f t u s e d t o r o t o r . A s h a f t i s o c c a s i o n a l l y d e f o r m e d b e n d i n g s o 出 a t r o t a t i o n a l v i b r a t i on i s o c c u r r e d . On t h e o t h e r hand , c o n c e r n i n g t o damping t r e a t m e n t o f p l a t e , s o many s t u d i e s have b e e n p e r f o r ‑ m e d , b u t t h e r e i s n o t a l m o s t r e p o r t e d t h e dampin g t r e a t m e n t o f a b a r . So we h a v e s t u d i e d t h e damping t r e a t m e n t method o f a b a r w i t h o u t d i s t u r b a n c e t o r o t a i o n a l m o t i o n o f s h a f t . T h i s method was p e r f o r m e d t o a b a r a d d a p t e d v i s c o e l a s t i c mat e r i a l and s m a l l s i z e mas s b a r o n e d g e o f a b a r . The r e s u l t s show t h a t h i g h damping c a p a c i t y i s o b t a i n e d by 白 i sdamping t r e a t m e n t .
K の
IWOriゐ
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,Bar
,Damp i n g
,L o s s Fa c t o r , V i s c o e l a s t i c M a t e r i a l
1
.は じめに
機械の回転軸は,回転休の荷重や材料の不均一性
や工作上の多少の誤差などが原因となり,偏心し振 動を生ずる
。特に高速回転の場合,軸のふれ回りが大きくなり,騒音を向くしたり機械の運転状態が危 険になることもある
。これを避けるために回転軸の動的バランスをとることが必要となるが完全な動的 バランスを得ることは困難である
。特に,回転軸について周期的に変化する外力が多<,回転軸のつり あいだけでは,その撮動を防ぐことはできない。
本来,回転軸は弾性体であり,回転軸に曲げを与
えないようにするには,それを極度に太くしなけれ ばならない
。しかしそれは重量増加などの問題も生 ず る
。そこで本研究では,回転体の振動を低減するため
に,回転軸自身に制極性能を付与し回転軸の掻動を 低減する技術の開発 を目的 として行った。
その結果,回転軸の端部に粘弾性材料を介して回
転軸と同径の付加マスを取り付けることにより,軸
の曲げ振動に対して大きな制振効果が付与できることを見い出した。
*秋田高専専攻科学生
2.
研
究方法シャフト
(丸棒)の曲げ振動の減衰性能を測定す るために用いた測定装置の模式図を F i g . 1 に示す。
このときの加振力 ( F ) と 加速度 ( A ) とを F FT ア ナライザーに入力し伝達関数 A / F を求め,その共 振挙動から制振性能
(損失係数) を算出した。
実験に用いたサンプルを F i g . 2 に示す。この場合 単一丸棒を基準サンプルとし,ダ
ンピング性能を付与する方法として,単一丸棒の端部に,長さの異な
F
i g .
1 Sc h e m a t i c d i a g r a m o f e x p e r i m e n t a
lm e t h o d
秋困問等研究紀袈第
33号
‑ 7ー (
様)の制滋処理の研究
シャフト
3.
実験結果および考察
皐 且 且
締め付けトルクの影響
各モードにおける損失係数と締め付けトルクの関 係を
Fig.4に示す。
締め付けトルクの逃いにより,減衰効果は著しく 変化する傾向が見られる。この原因は,締め付けト ルクが増すことによりシャフト自身のパネ定数が増 加し相対的に,減衰係数より大きくなることにより 減衰効果が低下したのだと考えられる。また締め付 けトルクが弱すぎる場合も同様に減衰係数が減少し てしまい減衰効果カ
f低下してのだと考えられる。
このことから ,大きな減衰効果を得るためには強 すぎず弱すぎずといったある程度のトルク(1.
0N m‑1 .
5Nm)をかけなければならない。
この際,締め付けトルクが弱くて強度が確保 でき ない場合は,ネジの締め付けトルクを増すのではな く ,シャフトの側面からピ ンでネジを補強したり , ネジ止め剤などを注入して強度を確保するのが望ま
しい。
N・0FX)官﹄︒一
‑ ua w
也 的﹂WO
モード次量生
‑cト‑ 1次
‑‑<>‑2d: ...。・・・・ 3次 ....0・・・・ 4次
一 … ・
5次/o
、 、
".λ1ゆ0+::按 脅昔
. 一
由吃鳴姶鴨叫骨"唱岳品"叫4 •勺..:.;.厩聖ご:二;二:;.-~可弘). :.‑
一
::ご , . . . … ‑ 一
......
..:民主… ¥l
、
I二二里町、
g・‑0‑・・.. 。今 . .
.....。 跡 調 。 司 、 〈 ト ー 。ー
一 ‑\._~
14
‑ーーーτ
ー ー ー ー
o 1 2 3Torque (Nm)
片側
3‑1
ど ゑ ‑
AV
る 1 1 1 ‑ 丸棒と同径の短い丸梓(付力日マス)をねじ で 取り付けたものとイ対日マスを粘弾性材料を介して取
りイ寸けたものなどを用いた。
粘弾性物質である樹脂は,詰よ度の上鼻につれて蝉 性率が減少し ,ガラ ス状態からゴム状 態に変化する
。この弾性率が変化する過渡特性が一般的に粘弾性領 域といわれ, このときに力学的なエネルギー吸収性 能が大きくなる
。‑
'ii一丸棒と最も振動減衰性能の高い粘弾性材料を 用いて付加マスを取り付けた場合の伝達関数の測定 例を
Fig.3に示した。図に見られるごとく共掻曲線 の形から端部に粘弾性材料と付力日マスを取り付ける ことによって大きな振動減衰性能を付与できること カ f わかる。
Model of samples
白
( ( ( 。
岬 唱 団 M
・
5.15.20.25.50(mm)Fig.2
主且且
主且0
Hr
‑‑ K
合
............・ー., ....
・
・・・・・..・・・・・・・......
‑ーー ・...
両側
{ N ' O F
VA
} h h
﹂O
MU
符比例凶O﹂
. 聞
恥帽苅L
・
‑ ‑ ‑ w ‑ ‑ .
︐.4
t
・}‑
>
t
̲,
1
2 3 4Torque
(Nm)Relationship between loss factor and torque
。
Fig.4
"equetu:y f I~H .r l (b)
自
‑ ‑ ‑ z .
︐
a︐J
F.
・
qllellεt,
("吋Examples of transfer function (a) non damping (b) high damping Fig.3
平 成
10年
2月
‑ 8 ‑
片側 紘 ・ 布施 毅
遠 藤
付加マスの質量による影響
(粘弾性材料を介さない場合)
3‑2付加マスの.さ
付加マスの長さ
‑ 0 ‑5.
一 。 ‑
15・
....。… 20圃
‑d‑ 25圃
ー 骨…
50.… + な し
‑ 0 ‑5圃
ー
→
‑15岨ー争・・20.
‑d‑ Z5.
・ ・ + ・ ・
50.…
令 ・ 忽 し
12.5 2.5 5 7.5 10
Frequency t (kHz)
N 0
x
食
( ;
il :
..J
0.1 O
両側
n v
AHV︐
. n V AN‑OFXVE﹄︒HU
伺﹄ 崎町
盟uJ
シャフトの長さに対する共掻周技数とモードとの
関係を
Fig.5,損 失係数と の関係を
Fig.6に 示す。
付 加 マ ス を 粘 弾 性 材 料 を 介 さ ず に 取 り 付 け る 場
合 , 片側
でも両側でも付加マスの質量を変化させて も損失係数に変化を与えることは出来ず,シャフト の撮動を低減させることは出来なか った。このこと は,シャフトの端面とイ初日マスが密指することによ り , その聞に運動や変形の差が生じないためだと思 われる 。
付加マスの長さ
12.5 10 7.5 2.5
Frequency t {k
f 也 l
‑ 0 ‑5圃
ー ‑
15.… 。
・・ 20圃一 ←‑
25.…骨一 50.
・・・.
・ . . な し
ぃ 一
片側
/ ι
,
。
AN・
0 F
×) h h
﹄g
ua E
︒ ﹂
7.5
§
Relation5hip between 1055 factor and fre
・
Fig.6
2.5
quency
。 。
Mode Number
付加マスの長さ
一〈トー 5
・
ー+ー‑IS圃
…φ 20圃
ー ー命 ‑
25.ー . . ・ ・
50.・
・0
・な し
10i・ 7.5i
・ ・
片 側れ4
o
×
'
"
。
5
例
。
...J
付加マスの.古
一 〈 ト ー
5.… …
js│
→ ‑15.d
・ …
・・・
・・
・3グ・"1 …争・・・ 20.','.61 I
. . . . . . . . . . . i J ! . : /
..~..I ー← h・... ・
・
・‑L.r、ノ・ 寸
Jヨ │ … ・ ..SO圃 2AF‑.. I ・←ー・ω なし
I 2 3
・
sModeNumber
。 。
両側 12.5
2.5 10 7.5
円N・
0 F X }
官
﹄
M u
︒m w u ‑
w
J的︒1 2 3 • 5
ModeNum ber
2.5。 。
Relation5hip between 1055 factor and mode
付加マスの質量による影響
(結弾性材料を介した場合)
Fig.53 ‑3
向倒
付加マスの長吉
ー 〈 ト ー
5・
ー+
ー ・
IS圃。...20.
ー 唱 ‑2S.
… . . .
SO・
ーか・ 怠し
ー . . ロ ・
~I/ S .‑6忌J
//iJ
rJ" "
F,.'マ
,
2 3 4 5ModeN
u mber
101・
e。
τ。
125
れ
,
o
×
'
"
旨 5
~ 2.5
...J
シャフトの長さに対する共掻周法数とモー ド の関 係を
Fig.7,損失係数の関係を
Fig.8に示す。
付加マスを粘弾性材料を介して取り付けると,片 側・ 両側
どちらにおいても大きな減衰効果が得られ た。ま た . 付 加 マ ス の 質 量 の 影 響 は 大 き し 付 加 マスの質量が大きい程高い減衰効果が得られた。 この
効 果 は,粘弾性材料を介すことによりシャフトの端面と付加マスに運動や変形の差が大きくな った こと
Relation5hip between 1055 factor and mode秋回高等研究紀要第
33号 Fig.7片 側
"
"
﹄O MU ε 盟百
﹂
ε a
z ‑
︽u︑
E a 1 z
H円
iK
I
E f
︐ ︐
v J
c
n
5 e nu
a 凶 可可
︐ ︑ 3 d
}ヤ ︐ r
'
.F
略︐4 t1︽u
. ︐
内u
南 側
事と
r : "
10 0F
X
3
﹄︒HU綱W﹄的柿︒J
0.1
o 2.5 5 7.5 10 12.5 Frequency f 1kHz]
シャフト(棒)の制緩処理の研究
‑ 9‑
付加マスの長さ
‑ 0 ‑5.
ー<>‑15.
一
.c >
‑.20‑
一 唱 ‑25圃
‑一畳 一 50圃
‑
恥
・・な し
付加マスの長さ ー唱ー‑5圃
ー+ー 15.
‑c>・・・ 2
0‑
一 古 一・25.
‑ ・ 岨 ・ ・
50.‑
・
・
←
・なし
F i g . 8 Relat
ion5hip between 10 5 5 factor and f
re・
quency
と,粘弾性材料が変形して振動を吸収したことが考 えられる。
さらに,片側 ・ 両側での減衰効果の差はほとんど ないた め , 片側 のみで十分であると思われる。しか し両側につけた場合小さなイ村口マ スであっても十 分な滅哀効果が得られたため,実用性を考えると少 しでも付加マスの質量を軽くしたいため.用途に応 じて片側 ・ 両側を使い分けるべきであると思われる。
4.
結 論
1.締め付けトルクによる影響は大きい。
2.
粘弾性材料を介きない場合
①減衰効果は縛られない。
② 制J 日マスの質量による影響はない。
平成
10年
2月3 . 粘弾性材料を介した場合
①大きな減衰効果が得られる。
② 付 加 マ ス の 質 量 が 大 き い ほ ど 減 衰 効 果 は 大 き
し 、 。
③片側 ・ 両側の差はほとんどないため片側のみで 十分である。
④両側に付けた場合,小さな付加マスであっても 十分な減衰効果が得られる。
5.
参考文献
1. 田 中 良 平 編 集 委 員 長 制掻材料..
(日本規格協会)' 1 . 1.
2撮動と騒管をどう防ぐか'
. 2.1.
2制振鋼板の構成と特徴'
2 .
斉藤秀雄機械力学"
(朝倉書庖)' 7 . 1 剛体ロータの不つりあい'
3.岡 康
機械力学入門..
(サイエンス社) 第5章 回転機械の動力学'
4 .
仁王彰夫伝達関数を用いた制振鋼板用ア樹脂の粘弾性
率の評価"
(卒業論文:東北大学大学院工学研究科粕 密
工学専攻)5 . 時 四 保 生 森 村 正 直
防振制御ハンドブック.. (フジ
・テクノサービ ス)
第3編.防振計画 第1
章.防接計画の基礎事 項'
6.
虻 川 法 仁 工 藤 明 人
シャフトに制掻効果を付与する技術の開発"
(平成7年度卒業論文:秋田工業高等専門学