図画工作科 納得がいくまで表現し、造形感覚を豊かにしていく
子どもは生まれながらにして表現への欲求をもっている。材料で遊んだり、描いたり、つくったり することで、自分の内にある思いを表そうとする。それが造形表現であり、その子の造形表現はその 子にしか成し得ない。なぜなら、その子はその子ならではの造形感覚をもとに思いを表現していくか らだ。造形感覚とは、それまでの生活体験や造形活動において培ってきた、その子の造形に対する見 方や感じ方、発想の仕方や表し方である。
子どもたちは、心を揺さぶられる教材に出会うと、目の前の材料や場の設定に造形感覚を刺激され、
どんなことができそうかと活動への期待に胸を躍らせる。そして、好きなものやこと、夢や憧れ、家 族や友達のことなどを思い浮かべながら想像を広げ、「こんなことをしてみたい」「こんなものをつく
りたい(描きたい)」という思いをいださ、表現へと突き動かされていく。
表現へと突き動かされる子どもたちは、自分の内に想像の世界を広げ、「この材料ならこんなこと ができそうだ」「こうするともっといい感じになる」と、その子なりの見方や感じ方、一発想の仕方や 表し方をもとに自分の思いを表現していく。子どもたちは、体全体でその材料の特性やおもしろさを 感じ取ったり、実際にやってみることで新たな発想や技術・技法を思いっいたりしながら、その時や りたいと感じたことを心ゆくまで楽しんでいく。偶然生まれた表現に魅力を感じ、発想を広げること もある。子どもたちは、表現することの心地よさを感じながら心を開け放ち、「もっと楽しみたい」
「こんなことをしたらおもしろそうだ」と思いを強め、自分の表現に没頭していく。
子どもたちは、常に自分の造形感覚と向き合い、自分の思いを表現している。どうしたら思い通り に表せるかと、自分の造形感覚を働かせながら表現していくことで、子どもたちの思い′は強まり、大 きさや形、色や質感、楽しみ方など表現にはその子ならではのこだわれりが表れてくる。自分ならでは の表現を求める子どもたちは、思い通りに表現できていると感じると、さらに想像の世界に浸って発 想を広げたり、今までとは違う技術・技法を取り入れたりしながら表現にこだわっていく。思い通り に表現できていないと感じ、立ち止まることもある。自分の表現にこだわったり立ち止まったりする 子どもたちは、思いが強まるが故に今の表現に満足できなくなる。子どもたちは、自分が表現したい
ことと目の前に表現されていることとの間を行き来し、「この表現でいいのだろうか」「自分が表現し たいことは何なのか」と自分の思いを見つめる。そして、自分の造形感覚と向き合い、発想を変えて 別の表し方を試したり、新しい技術・技法に挑戦したりしながら、納得がいくまで表現していく。
こうした子どもたちの造形活動は、友達とのかかわりの中で行われている。何でも言える友達の存 在に安心し、思いを語り合うことで発想を広げていく。普段はあまりかかわることがない友達の表現
に惹かれ、自分の表現に生かそうとすることもある。直接言葉を交わさずとも互いの造形感覚は影響 し合う。友達の表現に出会い、自分の表現を見っめ直す子どもたちは、「自分はこれがいいんだ」と 思いを強めたり、「あんな表現もいいな」と思いを広げたりしながら、自分の表現を求めていく。自 分の表現を求め、納得がいくまで表現していく過程において、その子の造形に対する見方や感じ方、
発想の仕方や表し方は広がりと厚みを増していく。
子どもたちは、必ずしも今表現されているものにこだわっているとは限らない。教師は、その子の 表現の変化を追うとともに、ふとしたっぶやきゃ何気ない仕草、表情の動きにも目を向け、表現に込 められたその子の思いまでとらえていく。教師自ら心を開け放ち、その子の面こ広がる世界を感じる ことが必要だ。どんな思いで、なぜ思い悩み、どうやって壁を乗り越えようとしているのか。そこま でとらえた上で、どんな表現に出会うことで造形感覚を揺さぶられるのかを構想し、関わっていく。
常に自分の造形感覚と向かい合い、納得がいくまで表現していくことで、その子の表現はよりその 子らしい表現になっていく。その過程において、その子の造形に対する見方や感じ方、発想の仕方や 表し方は広がりと厚みを増し、造形感覚は豊かになっていく。ここに図画工作科の学びがある。
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