• 検索結果がありません。

大腸におけるアクアポリン3 の機能解析とその発現 制御機構の解明

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "大腸におけるアクアポリン3 の機能解析とその発現 制御機構の解明"

Copied!
10
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

制御機構の解明

著者 五十嵐 信智

雑誌名 星薬科大学紀要

号 59

ページ 13‑21

発行年 2017‑12‑10

URL http://id.nii.ac.jp/1240/00000823/

(2)

1

近年、 高齢化に伴う腸管機能の低下などに伴い、 便秘 症の患者が増加傾向にある。 また、 麻薬性鎮痛薬である モルヒネを服用している患者ではほぼ100%に便秘が認 められるなど、 薬剤性便秘症も深刻な問題となっている。

現在、 このような便秘症患者に対しては、 第一選択薬と して浸透圧性下剤 (硫酸マグネシウム; MgSO4や酸化 マグネシウム) が処方され、 効果が認められない場合に は大腸刺激性下剤 (ビサコジルやセンノシドA) など、

作用機序が異なる瀉下剤が併用される。 しかしながら、

その治療効果は十分なものとはいえず、 この現状を打破 しようと、 製薬企業では様々な作用機序を呈した瀉下剤 が開発されるに至っている。 このように、 瀉下剤に関す る研究開発が活発に行われているものの、 生体内での便 の濃縮機構については不明な点が多く残っていた。

このような中、 近年、 体内での水輸送にアクアポリン (AQP) と呼ばれる水チャネルが重要な役割を担ってい ることが明らかとなってきた。 ヒトにおいては現在、

AQP0

から

AQP12

までの13種類の

AQP

が同定されて おり、 様々な臓器に発現・分布していることが見出され ている (Fig. 1)1)。 また、 最近では、

AQP

の発現量や 活性の変化が種々の疾患の発症に関与していることも明 らかとなってきており、 その機能の重要性がクローズアッ プされているとともに、

AQP

をターゲットとした疾患 治療薬の開発を目指した基礎研究も積極的に行われてい 2-6)

腸管には多数の

AQP

ファミリーの発現が認められて おり、 少なくとも

AQP1、 AQP2、 AQP3、 AQP4、 AQP7、

AQP8、 AQP9、 AQP10

8

種類の存在が知られてい る (Fig. 1)7-10)。 便の水分量を最終的にコントロールし ている大腸では、 主に

AQP1、 AQP2、 AQP3、 AQP4

および

AQP8

が発現している7, 10-12)。 特に、

AQP3

はヒ トの大腸粘膜上皮細胞に強く発現しており12)、 便の濃縮 に重要であると考えられている。 しかしながら、 これま で大腸

AQP3

の生理的役割やその発現制御機構の詳細 についてはほとんどわかっていなかった。 著者は、 上述 した点について明らかになれば、 便秘や下痢の新しい治 療法や予防法が見出されるのではないかと考え、 基礎研 究を行った。 本稿では、 便の水分量をドラスティックに 変化させる瀉下剤 (MgSO4およびビサコジル) をツー ルとして用いて見出した大腸

AQP3

の機能解析の成果 を紹介する。

2 MgSO

4

AQP3

13

2-1. MgSO

4

便秘症の第一選択に用いられる浸透圧性下剤は、 消化 管ではほとんど吸収されず、 腸管内の浸透圧を上昇させ るため、 水を血管側から管腔側へと移動させ、 瀉下作用 を示すと考えられている14)。 そこで、 ラットに

MgSO

4 を投与し、 大腸における浸透圧調節関連遺伝子 (so-

dium myo-inositol transporter; SMIT) の mRNA

3 !"#$%&'()!*#+

五十嵐 信 智

星薬科大学 薬動学教室

Elucidation of the function and the regulatory mechanism of aquaporin-3 in the colon

Nobutomo IKARASHI

Department of Clinical Pharmacokinetics, Hoshi University

Fig. 1 AQP

(3)

現量を指標15, 16) とし、

MgSO

4の瀉下作用と大腸内浸透 圧との関係について調べた。 その結果、 糞中水分量は

MgSO

4投与

2

時間目から有意に増加し、 投与

4

時間後 から

8

時間後にかけて、 重度の下痢が発生することが わかった (Fig. 2A)。 これに対して、 大腸内浸透圧は

2

時間後にはピークに達し、 この浸透圧の変動パターンと 下痢発生のパターンが異なることが明らかとなった (Fig. 2B)。

これらのことより、

MgSO4

による瀉下作用は、 従来 から考えられている腸管内浸透圧の上昇のみでは説明で きないことがわかった。

2-2. MgSO

4

AQP3

ラットの大腸粘膜上皮細胞には、 ヒトと同様に、

AQP3

が優位に発現していた (Fig. 3)。 そこで、

MgSO

4

投与後のラット大腸における

AQP3

の発現量を解析し、

瀉下作用との関係について調べた。 その結果、

AQP3

mRNA

発現量は、

MgSO

4投与

2

時間後に最も高値を示 し、 その後、 徐々に減少することがわかった (Fig. 4A)。

一方、 タンパク質発現量は

MgSO

4投与

2

時間目以降か ら経時的かつ著明に増加した (Fig. 4B)。 また、 この

AQP3

タンパク質の発現パターンは、 糞中水分量の経時 変化と符合していた (Fig. 2A and 4B)。

以上の結果から、

MgSO

4による瀉下作用は、 次に示 すように生じているものと考えられた。 生理的条件下で

は、 水は浸透圧が低い管腔側から血管側に

AQP3

を介 して輸送される。

MgSO

4投与時には、 浸透圧が逆転す るため、 水は血管側から管腔側に移動する。 この際、

MgSO

4投与

2

時間後の時点では、

AQP3

の発現量が十 分ではなかったため、 水の移動量はそれほど多くなかっ た。 それに対して、 投与

2

時間目以降では

AQP3

が著 明に増加したため、 大量の水が管腔側に移動し、 下痢が 発症したものと考えられた (Fig. 5)。 このように、

MgSO

4による瀉下作用は、 従来から考えられている腸 管内浸透圧の上昇のみによってもたらされるものではな く、 大腸粘膜上皮細胞の

AQP3

の発現増加を伴って、

極めて合理的に生じている可能性が示唆された。

3 MgSO

4

AQP3

3-1. AQP3 !"

一般に、

AQP

は高浸透圧刺激によって発現が増加す ることが知られている18, 19)。 一方、

MgSO

4は水溶液中

Mg

2+

SO

4

2-に解離し、 浸透圧を上昇させる。 そこ で、

MgSO

4による

AQP3

の発現増加が浸透圧の増加に よって引き起こされたものであるかどうかをヒト結腸癌 由来細胞株

HT-29

細胞を用いて調べた。

0.75 mM

NaCl

(282 mOsm) および

MgSO

4 (280 mOsm) 添加

Fig. 2 SMIT

MgSO

4

MgSO

4

! A "#$

SMIT mRNA %& ! B "#'( 13 )*+,

Fig. 3 AQP3 -

./ AQP3 0/1#'( 13 )*+,

Fig. 4 AQP3 MgSO

4

MgSO

4

AQP3 mRNA

! A "23456! B "%& #'( 13 )*+,

Fig. 5 MgSO

4

789: AQP3 ;<

(4)

時 の

AQP3

mRNA

発 現 量 は 、 い ず れ も

Control

(279 mOsm) との間に有意な差は認められなかった。

同様に、

7.5 mM

NaCl

添加時の

AQP3

の発現量も、

Control

と比較して有意な差は認められなかった。 これ に対して、

7.5 mM

MgSO

4添加時においては、 浸透 圧は

7.5 mM

NaCl

と同等であったにもかかわらず、

AQP3

の発現量は

Control

と比べて約

2

倍有意に高い 値を示した (Table 1)。

以上の結果から、

MgSO

4による

AQP3

の発現増加は、

浸透圧の上昇に起因したものではないことが明らかとなった。

3-2. AQP3

MgSO

4による

AQP3

発現増加作用が、

Mg

2+に起因す るものであるのか、 それとも

SO

4

2-に起因するものであ るのかを種々のマグネシウム塩および硫酸塩を用いて検 討した。

Mg

2+濃度の等しい

MgSO

4

MgCl

2をHT-29 細 胞 に 添 加 し た と こ ろ 、

AQP3

の 発 現 量 は い ず れ も

Control

に比べて有意に増加し、 この増加率は両者でほ ぼ等しかった (Fig. 6A)。 これに対して、

SO

4

2-の濃度

が等しい

MgSO

4

Na

2

SO

4および

K

2

SO

4添加実験では、

MgSO

4 添 加 時 の み に

AQP3

の 発 現 増 加 が 見 ら れ た (Fig. 6B)。

これらのことから、

MgSO

4による

AQP3

の発現増加 には、

SO

4

2-は関与せず、

Mg

2+が重要な役割を担ってい ることが示唆された。

3-3. MgSO

4

AQP3

Mg

2+は大腸粘膜上皮細胞の刷子縁膜に存在する

Mg

輸送トランスポーター

transient receptor potential melastatin

(TRPM)

6/TRPM7

複合体により、 細胞内 に取り込まれる20)。 細胞内に取り込まれたMgは、 アデ ニル酸シクラーゼを活性化する21-23)。 また、 アデニル酸 シクラーゼの活性化により産生される

cAMP

は、 プロ テ イ ン キ ナ ー ゼ

A

を 活 性 化 し 、 転 写 因 子

cAMP- response element-binding protein

(CREB) のリン酸 化を亢進する24, 25)。 一方、

AQP

CREB

のリン酸化に より転写および発現量が調節されている26, 27)。 そこで、

MgSO

4による

AQP3

発現増加メカニズムについて、 こ れ ら の シ グ ナ ル 経 路 を 調 べ た 。 そ の 結 果 、

MgSO

4

7.5 mM

添加10分後にはすでに、 細胞内

Mg

濃度が約

1.4倍有意に増加していることがわかった (Fig. 7A)。

また、

MgSO

4添加20分後におけるアデニル酸シクラー ゼ活性およびプロテインキナーゼA活性は、 それぞれ約

1.5倍 お よ び1.6倍 有 意 に 増 加 し 、 添 加 1

時 間 後 に は

CREB

のリン酸化も亢進していることが確認できた (Fig. 7B-7D)。

以上の結果から、

MgSO

4は細胞内

Mg

濃度を増加さ せることにより、 アデニル酸シクラーゼおよびプロテイ ンキナーゼAを活性化し、

CREB

のリン酸化の亢進を介 して、

AQP3

の発現量を増加させたものと考えられた。

4 !"#$%&'( AQP3 )*

28, 29+

4-1. AQP3 !

ビサコジルは大腸刺激性の瀉下剤に分類され、 単独あ るいは浸透圧性下剤との併用により、 便秘症の改善に広 く用いられている。 ビサコジルは、 大腸の

prostaglan- din E

2 (PGE2) の産生を促進し、

Na

+

, K

+

-ATPaseの活

性を阻害する。 その結果、 腸管内浸透圧が高まり、 腸管

Table 1 AQP3

ߩ⊒⃻ߦ෸߷ߔᶐㅘ࿶ߩᓇ㗀

Treatment AQP3/GAPDH

(% of control)

Osmotic pressure (mOsm) Control 100±12㩷 㩷 279±2 MgSO

4

0.75 mM 88±12㩷 㩷 280±1 7.5 mM 195±18

**

287±1 NaCl 0.75 mM 85±10㩷 㩷 282±1 7.5 mM 100±5㩷 㩷 295±2

Table 1 AQP3

HT-29 MgSO

4

NaCl

AQP3 mRNA 17

Fig. 6 AQP3

A HT-29 MgSO

4

MgCl

2

!"#$ AQP3 mRNA % &'#() B HT-29 MgSO

4

$ Na

2

SO

4

K

2

SO

4

!"#$ AQP3 mRNA % &'#()*+ 17 ,-./

Fig. 7 0 Mg 12$3456789:;<$=>?

@ABC9: A ;< CREB DAE MgSO

4

HT-29 MgSO

4

!"#$0 Mg 12F A G$34

56789:;<F B G$=>?@ABC9: A ;<F C G

HI#()J($ CREB DAEF P-CREB GK CREB

LAM7N% &'#$OPF P-CREB/CREB G

QR#(F D G)*+ 17 ,-./

(5)

側から血管側への水の吸収を減弱させるため、 瀉下作用 を発現すると考えられている30, 31)。 しかしながら、 大腸 における水の移動がどのように行われているのかは全く 不明であった。 そこで、 ビサコジルの瀉下作用における 大腸

AQP3

の役割を調べた。 ビサコジルをラットに経 口投与した結果、 ビサコジルは

MgSO

4投与時とは異な り、 大腸内浸透圧を変化させずに、 投与

4

時間後から 激しい下痢を引き起こすことが確認できた (Fig. 8A

and 8B)。 一方、 大腸の AQP3

のタンパク質発現量は 投与

2

時間後から著明に低下し、 この低下と下痢発生 の経時変化が相関していた (Fig. 8C)。

以上の結果から、 ビサコジルは大腸の

AQP3

を低下 させることにより、 管腔側から血管側への水の移動を抑 制し、 瀉下作用を示している可能性が示唆された (図9)。

4-2. AQP

上述のように、 ビサコジルによる瀉下作用は、

AQP3

の発現低下が起因していることが示唆されたが、 大腸

AQP

の発現量が低下すると水の移動が抑えられ、 下痢 が発症するかどうかについてはこれまで全くわかってい なかった。 そこで、 このことを確認する目的で、

AQP3

の機能が阻害され、 水の移動が抑制された際に、 糞中水 分量が上昇するのかどうかを調べた。

AQP3

の機能を阻 害することが知られている塩化水銀 (HgCl2)32) あるい は硫酸銅 (CuSO4)33) をラットの大腸内に投与した結 果、 投与

1

時間以内に下痢が発生することがわかった。

この際、

HgCl

2および

CuSO

4を投与しても、 大腸内浸 透圧および

AQP3

の発現量に影響を及ぼさないことが わかった (data not shown)。

以上の結果から、 大腸粘膜上皮細胞に局在する

AQP3

の機能を阻害すると、 下痢が発生することが明らかとなっ た。 また、 生理的条件下では、

AQP3

を介して、 水は管 腔側から血管側に輸送されており、 ビサコジルの瀉下作 用において

AQP3

の発現低下が重要であることも確認 できた (Fig. 9)。

5 AQP3 !"#

$%

28&

HT-29細胞を用いた実験から、 ビサコジルが直接、 大

腸粘膜上皮細胞に作用し、

AQP3

の発現量を低下させた 可能性は低いことがわかった (data not shown)。 そ こで次に、 ビサコジルによる間接的な作用について検討 を行った。

ビサコジルは大腸マクロファージを活性化することが 知られている34, 35)。 マクロファージが活性化すると、

tumour necrosis factor-

(TNF-

) などの炎症性サイ トカインの発現および分泌が亢進し、

cyclooxygenase-2

(COX-2) の発現増加を介してPGE2が分泌される36, 39)

一方、

TNF-

40. 42)および

PGE

243, 44) は、

AQP

の発現量

を低下させることが報告されている。 そこで、 この経路 によりビサコジルが

AQP3

の発現量を低下させた可能 性について調べた。

5-1. '()*+,-.

ビサコジルが直接マクロファージを活性化し、

TNF-

および

PGE

2を分泌させるかどうかをマウスマクロファー ジ 由 来 細 胞 株

Raw264.7

細 胞 を 用 い て 調 べ た 。

Raw264.7

細胞にビサコジルを添加した結果、

TNF-

の分泌量の増加、

COX-2

の発現量の増加および

PGE

2

の分泌量の増加が認められた (Fig. 10)。 一方、 ラット にビサコジルを投与し、 下痢が発生した際の大腸におい ても、

TNF-

および

COX-2

の現増加、 ならびに

PGE

2

の分泌増加が認められた (Fig. 11)。 さらに、 この

COX-2の発現増加はマクロファージにおいて特異的に

見られた (Fig. 12)。

以上のことから、 ビサコジルはマクロファージを活性

Fig. 8 SMIT AQP3

!"#$"%& A '(

)% SMIT mRNA & B ' AQP3

*+,-.& C '/0"%(12 28 3456

Fig. 9 789: AQP3 ;<

(6)

化させること、 ならびに

TNF-

および

PGE

2の産生お よび分泌を亢進させることがわかった。

5-2. AQP3 TNF- PGE

2

TNF- および PGE

2がパラクライン因子として大腸 粘膜上皮細胞に作用し、

AQP3

の発現を低下させている かどうかを調べた。 その結果、

HT-29

細胞に

TNF-

添加しても、 添加

2

時間後では

AQP3

の発現量に変化 は見られず、

6

時間後になってはじめて、 低下すること がわかった (Fig. 13A)。 これに対して、 下痢が発生し たビサコジル投与

2

時間後において、 ラット大腸の

TNF-

の増加と

AQP3

の低下がほぼ同時に見られた (Fig. 8 C and 11A)。 したがって、 マクロファージか

ら分泌された

TNF-

は、 オートクライン因子として、

マクロファージの

COX-2

の発現増加には関わっている ものの、 パラクライン因子として大腸粘膜上皮細胞に作 用し、

AQP3

の速やかな発現低下を引き起こした可能性 は低いと考えられた。 一方、

HT-29

細胞に

PGE

2を添 加すると、

AQP3

の発現量が著明に低下した。 また、 こ の発現低下は速やかに生じ、

PGE

2添加後30分以内には 起きることがわかった (Fig. 13B)。

以上のことから、 マクロファージから分泌された

PGE

2 は、 パラクライン因子として大腸粘膜上皮細胞に作用し、

AQP3

の発現量を低下させたと考えられる。

5-3. COX

次に、

COX

阻害剤インドメタシンを前処置し、

PGE

2

の分泌を抑制した際に、 ビサコジルによる瀉下作用およ び大腸

AQP3

の発現がどのように変化するかを調べた。

その結果、 インドメタシンを前処置することにより、 ビ サコジルの瀉下作用が抑制されるとともに、 大腸AQP3 の発現低下も抑制されることがわかった (Fig. 14)。

Fig. 10 Raw264.7 TNF-

COX-2 PGE

2

Raw264.7 TNF-

! A " COX-2 mRNA ! B " PGE

2

! C "#$ %&'( 28 )*+,

Fig. 11 -. TNF- COX-2

PGE

2

/0123 -. TNF- mRNA

! A " COX-2 mRNA ! B " PGE

2

! C "#$ %&'( 28 )*+,

Fig. 12 234/01-. COX-2

56

789:;<=>?8 COX-2 @8A&'( 28 )*+,

Fig.13 AQP3 TNF- PGE

2

HT-29 TNF- ! A " PGE

2

! B " AQP3 BCD:EFG %&'( 28 )*+,

Fig. 14 HIJK-.L PGE

2

M

N AQP3 OIPCQRBSC

PCQRBSCTUL23 %/01VW2

3 X Y5! A "-.L PGE

2

! B " AQP3

BCD:E! C "#$ %&'( 28 )*+,

(7)

以上のことより、 ビサコジル投与による大腸

AQP3

の急速かつ著明な発現低下には、

PGE

2が関与している ことが確認できた。 加えて、 非ステロイド性抗炎症薬 (non-steroidal antiinflammatory drugs;NSAIDs) とビサコジルを併用すると、 ビサコジルの瀉下作用が減 弱することがわかった。

6 MgSO

4 45

臨床において、 重度な便秘症患者には、 第一選択薬と して浸透圧性下剤 (MgSO4ほか) が処方され、 効果が 認められない場合には大腸刺激性下剤 (ビサコジルほか) など、 作用メカニズムが異なる瀉下剤が併用される46, 47) しかし、 瀉下剤の併用により、 瀉下作用が増強するか どうかについての明確なエビデンスはない。 そこで、

MgSO

4およびビサコジルを併用した場合、 瀉下作用が 増強するか否かを検討した。 その結果、

MgSO

4とビサ コジルを併用しても、 糞中水分量の変動パターンおよび 変化率には、 両薬剤の相加効果あるいは相乗効果は見ら れず、 ビサコジル単独投与時のそれらとほぼ同様である ことが明らかとなった (Fig. 15)。 一方、 併用投与した 際の大腸内浸透圧は

Control

群に比べて高く、

MgSO

4

単独投与時とほぼ同程度であることがわかった (Fig. 1

6A)。 また、 併用投与時の大腸 AQP3

の発現量は、

Con- trol

群に比べて有意に低く、 この低下率はビサコジル単 独投与時とほぼ同程度であることが明らかとなった (Fig. 16B)。

以上のことから、

MgSO

4とビサコジルを併用した際 の瀉下作用は、

MgSO

4単独投与時よりも減弱し、 ビサ コジル単独投与時の場合とほぼ同程度であることが明ら かとなった。 さらに、

MgSO

4とビサコジルを併用した 場合の大腸

AQP3

の発現パターンが、 ビサコジル単独 投与時とほぼ同様になることがその理由として考えられ た。

7

本研究の結果から、 浸透圧性下剤および大腸刺激性下 剤の瀉下作用において、 大腸の

AQP3

の発現量の変化 が重要な役割を担っていることが明らかとなった。 加え て、 大腸

AQP3

の機能を阻害すると、 下痢が発生する ことも明らかとなった。

AQP3

はヒトの大腸において最 も多く発現している

AQP

である。 今後、 大腸

AQP3

発現および機能と水の移動についてさらなる研究を展開 することにより、

AQP

をターゲットとした新たな瀉下 剤や止瀉剤の開発が可能になるものと考える。

さらに、 本研究により、 瀉下剤の併用が必ずしも瀉下 作用を増強しないことが明らかとなった。 薬物の服用数 の増加は、 薬物間相互作用の増加につながるため、 安易 な併用は避けるべきである。 今後、 瀉下剤に関しても、

その治療効果に対するエビデンスを明確にし、 適正使用 を図ることが必要であると考える。

8

本研究を遂行するにあたり、 平成28年度星薬科大学 大谷記念研究奨励金を賜りましたことに対し、 理事長の 大谷卓男先生ならびに学長の田中

治先生に深く感謝申 し上げます。 また、 本研究の遂行のために多大なるご指 導を賜りました星薬科大学薬動学教室の杉山 清教授 (現;食品動態学研究室・特任教授) に心より御礼申し 上げます。 最後に、 本研究を進めるにあたり、 多大なる ご協力をいただきました薬動学教室の教室員の皆様に深 謝いたします。

開示すべき利益相反はない。

Fig. 15 MgSO

4

MgSO

4

!"#

MgSO

4

$%&

'( A )*+,-./01 B 234 45 567

Fig. 16 MgSO

4

89:;!

SMIT :<= AQP3 >?

MgSO

4

!"# MgSO

4

$%89:;! SMIT mRNA >?

A :<= AQP3 @ABCD>? B EF2

34 45 567

(8)

1) King LS, Kozono D, Agre P. From structure to disease: the evolving tale of aquaporin biology. Nat. Rev. Mol. Cell Biol., 5, 687-698 (2004).

2) Hara-Chikuma M, Verkman AS. Aquaporin-3 functions as a glycerol transporter in mammalian skin. Biol. Cell., 97, 479-486 (2005).

3) Loonen AJ, Knoers NV, van Os CH, Deen PM. Aquaporin 2 mutations in nephrogenic diabetes insipidus. Semin.

Nephrol., 28, 252-265 (2008).

4) Ma T, Hara M, Sougrat R, Verbavatz JM, Verkman AS. Impaired stratum corneum hydration in mice lacking epider- mal water channel aquaporin-3. J. Biol. Chem., 277, 17147-17153 (2002).

5) Manley GT, Fujimura M, Ma T, Noshita N, Filiz F, Bollen AW, Chan P, Verkman AS. Aquaporin-4 deletion in mice reduces brain edema after acute water intoxication and ischemic stroke. Nat. Med., 6, 159-163 (2000).

6) Nejsum LN. The renal plumbing system: aquaporin water channels. Cell. Mol. Life Sci., 62, 1692-1706 (2005).

7) Gallardo P, Cid LP, Vio CP, Sepulveda FV. Aquaporin-2, a regulated water channel, is expressed in apical mem- branes of rat distal colon epithelium. Am. J. Physiol. Gastrointest. Liver Physiol., 281, G856-863 (2001).

8) Hatakeyama S, Yoshida Y, Tani T, Koyama Y, Nihei K, Ohshiro K, Kamiie JI, Yaoita E, Suda T, Hatakeyama K, Yamamoto T. Cloning of a new aquaporin (AQP10) abundantly expressed in duodenum and jejunum. Biochem.

Biophys. Res. Commun., 287, 814-819 (2001).

9) Laforenza U, Gastaldi G, Grazioli M, Cova E, Tritto S, Faelli A, Calamita G, Ventura U. Expression and immunolocalization of aquaporin-7 in rat gastrointestinal tract. Biol. Cell, 97, 605-613 (2005).

10) Matsuzaki T, Tajika Y, Ablimit A, Aoki T, Hagiwara H, Takata K. Aquaporins in the digestive system. Med. Elec- tron Microsc., 37, 71-80 (2004).

11) Koyama Y, Yamamoto T, Tani T, Nihei K, Kondo D, Funaki H, Yaoita E, Kawasaki K, Sato N, Hatakeyama K, Kihara I. Expression and localization of aquaporins in rat gastrointestinal tract. Am. J. Physiol., 276, C621-627 (1999).

12) Silberstein C, Kierbel A, Amodeo G, Zotta E, Bigi F, Berkowski D, Ibarra C. Functional characterization and local- ization of AQP3 in the human colon. Braz. J. Med. Biol. Res., 32, 1303-1313 (1999).

13) Ikarashi N, Ushiki T, Mochizuki T, Toda T, Kudo T, Baba K, Ishii M, Ito K, Ochiai W, Sugiyama K. Effects of mag- nesium sulphate administration on aquaporin 3 in rat gastrointestinal tract. Biol. Pharm. Bull., 34, 238-242 (2011).

14) Izzo AA, Gaginella TS, Capasso F. The osmotic and intrinsic mechanisms of the pharmacological laxative action of oral high doses of magnesium sulphate. Importance of the release of digestive polypeptides and nitric oxide. Magnes.

Res., 9, 133-138 (1996).

15) Minami Y, Inoue K, Shimada S, Morimura H, Miyai A, Yamauchi A, Matsunaga T, Tohyama M. Rapid and transient up-regulation of Na+/myo-inositol cotransporter transcription in the brain of acute hypernatremic rats. Brain Res.

Mol. Brain Res., 40, 64-70 (1996).

16) Warskulat U, Wettstein M, Haussinger D. Osmoregulated taurine transport in H4IIE hepatoma cells and perfused rat liver. Biochem. J., 321, 683-690 (1997).

17) Ikarashi N, Mochiduki T, Takasaki A, Ushiki T, Baba K, Ishii M, Kudo T, Ito K, Toda T, Ochiai W, Sugiyama K.

A mechanism by which the osmotic laxative magnesium sulphate increases the intestinal aquaporin 3 expression in HT-29 cells. Life Sci., 88, 194-200 (2011).

18) Matsuzaki T, Suzuki T, Takata K. Hypertonicity-induced expression of aquaporin 3 in MDCK cells. Am. J. Physiol.

Cell Physiol., 281, C55-63 (2001).

19) Sugiyama Y, Ota Y, Hara M, Inoue S. Osmotic stress up-regulates aquaporin-3 gene expression in cultured human keratinocytes. Biochim. Biophys. Acta., 1522, 82-88 (2001).

20) Quamme GA. Recent developments in intestinal magnesium absorption. Curr. Opin. Gastroenterol., 24, 230-235 (2008).

21) Altura BM. Basic biochemistry and physiology of magnesium: a brief review. Magnes. Trace Elem., 10, 167-171 (1991).

22) Mittag TW, Tormay A, Ortega M, Podos SM. Effects of inorganic ions on rabbit ciliary process adenylate cyclase. In- vest. Ophthalmol. Vis. Sci., 28, 2049-2056 (1987).

23) Vernon WB. The role of magnesium in nucleic-acid and protein metabolism. Magnesium, 7, 234-248 (1988).

24) Nguyen BT, Dessauer CW. Relaxin stimulates cAMP production in MCF-7 cells upon overexpression of type V adenylyl cyclase. Ann. N. Y. Acad. Sci., 1041, 296-299 (2005).

25) Nishihara H, Hwang M, Kizaka-Kondoh S, Eckmann L, Insel PA. Cyclic AMP promotes cAMP-responsive element- binding protein-dependent induction of cellular inhibitor of apoptosis protein-2 and suppresses apoptosis of colon can- cer cells through ERK1/2 and p38 MAPK. J. Biol. Chem., 279, 26176-26183 (2004).

26) Umenishi F, Narikiyo T, Vandewalle A, Schrier RW. cAMP regulates vasopressin-induced AQP2 expression via pro- tein kinase A-independent pathway. Biochim. Biophys. Acta. 1758, 1100-1105 (2006).

27) Yasui M, Zelenin SM, Celsi G, Aperia A. Adenylate cyclase-coupled vasopressin receptor activates AQP2 promoter via

a dual effect on CRE and AP1 elements. Am. J. Physiol., 272, F443-450 (1997).

(9)

28) Ikarashi N, Baba K, Ushiki T, Kon R, Mimura A, Toda T, Ishii M, Ochiai W, Sugiyama K. The laxative effect of bisacodyl is attributable to decreased aquaporin-3 expression in the colon induced by increased PGE2 secretion from macrophages. Am. J. Physiol. Gastrointest. Liver Physiol., 301, G887-895 (2011).

29) Ikarashi N, Kon R, Iizasa T, Suzuki N, Hiruma R, Suenaga K, Toda T, Ishii M, Hoshino M, Ochiai W, Sugiyama K. Inhibition of aquaporin-3 water channel in the colon induces diarrhea. Biol. Pharm. Bull., 35, 957-962 (2012).

30) Rachmilewitz D, Karmeli F, Okon E. Effects of bisacodyl on cAMP and prostaglandin E2 contents, (Na + K) ATPase, adenyl cyclase, and phosphodiesterase activities of rat intestine. Dig. Dis. Sci., 25, 602-608 (1980).

31) Schreiner J, Nell G, Loeschke K. Effect of diphenolic laxatives on Na+-K+-activated ATPase and cyclic nucleotide content of rat colon mucosa in vivo. Naunyn. Schmiedebergs Arch. Pharmacol., 313, 249-255 (1980).

32) Kuwahara M, Gu Y, Ishibashi K, Marumo F, Sasaki S. Mercury-sensitive residues and pore site in AQP3 water channel. Biochemistry, 36, 13973-13978 (1997).

33) Zelenina M, Tritto S, Bondar AA, Zelenin S, Aperia A. Copper inhibits the water and glycerol permeability of aquaporin-3. J. Biol. Chem., 279, 51939-51943 (2004).

34) Mengs U, Rudolph RL. Light and electron-microscopic changes in the colon of the guinea pig after treatment with anthranoid and non-anthranoid laxatives. Pharmacology, 47, 172-177 (1993).

35) Riemann JF, Schmidt H, Zimmermann W. The fine structure of colonic submucosal nerves in patients with chronic laxative abuse. Scand. J. Gastroenterol., 15, 761-768 (1980).

36) Hasko G, Szabo C, Nemeth ZH, Kvetan V, Pastores SM, Vizi ES. Adenosine receptor agonists differentially regulate IL-10, TNF-alpha, and nitric oxide production in RAW 264.7 macrophages and in endotoxemic mice. J. Immunol., 157, 4634-4640 (1996).

37) Hori M, Kita M, Torihashi S, Miyamoto S, Won KJ, Sato K, Ozaki H, Karaki H. Upregulation of iNOS by COX-2 in muscularis resident macrophage of rat intestine stimulated with LPS. Am. J. Physiol. Gastrointest. Liver Physiol., 280, G930-938 (2001).

38) Kim SS, Oh OJ, Min HY, Park EJ, Kim Y, Park HJ, Nam Han Y, Lee SK. Eugenol suppresses cyclooxygenase-2 ex- pression in lipopolysaccharide-stimulated mouse macrophage RAW264.7 cells. Life Sci., 73, 337-348 (2003).

39) Lee JY, Cho BJ, Park TW, Park BE, Kim SJ, Sim SS, Kim CJ. Dibenzylbutyrolactone lignans from forsythia koreana fruits attenuate lipopolysaccharide-induced inducible nitric oxide synthetase and cyclooxygenase-2 expres- sions through activation of nuclear factor-kappab and mitogen-activated protein kinase in RAW264.7 cells. Biol.

Pharm. Bull., 33, 1847-1853 (2010).

40) Horie I, Maeda M, Yokoyama S, Hisatsune A, Katsuki H, Miyata T, Isohama Y. Tumor necrosis factor-alpha de- creases aquaporin-3 expression in DJM-1 keratinocytes. Biochem. Biophys. Res. Commun., 387, 564-568 (2009).

41) Lehmann GL, Carreras FI, Soria LR, Gradilone SA, Marinelli RA. LPS induces the TNF-alpha-mediated downregulation of rat liver aquaporin-8: role in sepsis-associated cholestasis. Am. J. Physiol. Gastrointest. Liver Physiol., 294, G567-575 (2008).

42) Yao C, Purwanti N, Karabasil MR, Azlina A, Javkhlan P, Hasegawa T, Akamatsu T, Hosoi T, Ozawa K, Hosoi K.

Potential down-regulation of salivary gland AQP5 by LPS via cross-coupling of NF-kappaB and p-c-Jun/c-Fos. Am. J.

Pathol., 177, 724-734 (2010).

43) Nejsum LN, Zelenina M, Aperia A, Frokiaer J, Nielsen S. Bidirectional regulation of AQP2 trafficking and recycling:

involvement of AQP2-S256 phosphorylation. Am J Physiol Renal Physiol. 288, F930-938 (2005).

44) Zelenina M, Christensen BM, Palmer J, Nairn AC, Nielsen S, Aperia A. Prostaglandin E(2) interaction with AVP:

effects on AQP2 phosphorylation and distribution. Am. J. Physiol. Renal Physiol., 278, F388-394 (2000).

45) Ikarashi N, Mimura A, Kon R, Iizasa T, Omodaka M, Nagoya C, Ishii M, Toda T, Ochiai W, Sugiyama K. The con- comitant use of an osmotic laxative, magnesium sulphate, and a stimulant laxative, bisacodyl, does not enhance the laxative effect. Eur. J. Pharm. Sci., 45, 73-78 (2012).

46) Bosshard W, Dreher R, Schnegg JF, Bula CJ. The treatment of chronic constipation in elderly people: an update.

Drugs Aging., 21, 911-930 (2004).

47) Siegel JD, Di Palma JA. Medical treatment of constipation. Clin. Colon Rectal. Surg., 18, 76-80 (2005).

(10)

Elucidation of the function and the regulatory mechanism of aquaporin-3 in the colon

Nobutomo IKARASHI

Department of Clinical Pharmacokinetics, Hoshi University

Aquaporins (AQP) are membrane channels that transport water within the human body and are therefore important

for the regulation of water homeostasis. AQP3 is predominantly expressed in the colon. We investigated the role of AQP3

in the colon using laxative agents. It has become clear that the expression level of AQP3 in the colon plays an important

role in the laxative effects by osmotic laxatives, magnesium sulphate and stimulant laxatives, bisacodyl. In addition, ex-

periments using AQP inhibitors showed that diarrhea was induced when the AQP3 activity in the colon was inhibited,

without changing the osmotic pressure of the intestinal tract. Future studies of the enteric AQP3 expression level and

water transport may aid in the development of new laxative and antidiarrheal agents that target AQP3.

Fig. 1  AQP
Fig. 2 SMIT
Fig. 7 0 Mg 12$3456789:;&lt;$=&gt;?
Fig. 8 SMIT  AQP3
+2

参照

関連したドキュメント

うのも、それは現物を直接に示すことによってしか説明できないタイプの概念である上に、その現物というのが、

 中国では漢方の流布とは別に,古くから各地域でそれぞれ固有の生薬を開発し利用してきた.なかでも現在の四川

さらに、NSCs に対して ERGO を短時間曝露すると、12 時間で NT5 mRNA の発現が有意に 増加し、 24 時間で Math1 の発現が増加した。曝露後 24

仏像に対する知識は、これまでの学校教育では必

※証明書のご利用は、証明書取得時に Windows ログオンを行っていた Windows アカウントでのみ 可能となります。それ以外の

1.3で示した想定シナリオにおいて,格納容器ベントの実施は事象発生から 38 時間後 であるため,上記フェーズⅠ~フェーズⅣは以下の時間帯となる。 フェーズⅠ 事象発生後

運航当時、 GPSはなく、 青函連絡船には、 レーダーを利用した独自開発の位置測定装置 が装備されていた。 しかし、

の主として労働制的な分配の手段となった。それは資本における財産権を弱め,ほとん