1 .はじめに
1 - 1 .ESP 教育の普及
田地野(2004)らが指摘するように,1991年の大学 設置基準の大綱化以降,一部の大学の特に上級レベル の英語教育においては学部 ・ 学科の専門教育の視点を 取り入れた ESP(English for Specific Purposes:特定 目的の英語)の導入が進んできた1).ESP とは EGP(Eng- lish for General Purposes:一般目的の英語)に対する 概念であり,EGP が特定の分野や使用目的を絞らない で広く英語の技能一般を育成することを目的とするの に対し,ESP は特定分野での使用を前提とした英語技 能の育成を目的とし,「学問的背景や職業などの固有の ニーズを持つことにより区別され,同質性が認められ,
その専門領域において職業上の目的を達成するために 形成される集団である『ディスコース ・ コミュニ ティー』の内外において,明確かつ具体的な目的をもっ て英語を使用するために行われる言語研究,およびそ の言語教育2)」などと定義される.また,大学の授業科 目としては「科学技術英語」「経済英語」など,それぞ れの専門分野の名称を冠して教えられることが多い.
1 - 2 .EAP / EGAP / ESAP とは何か
ESPと類似の概念としてEAP(English for Academic Purposes:学術目的の英語)という用語も大学英語教 育において近年多用されるようになってきており,と きに ESP との混用 ・ 混同も見られる.本研究において は Jordan(19973)),田地野(前掲論文)らの定義に従 い,EAP を ESP の下位区分の一つと位置づけ,また EAP をさらに EGAP(English for General Academic
Purposes:一般学術目的の英語)と ESAP(English for Specific Academic Purposes:特定学術目的の英語)
の二つの下位区分に分けて捉えることとした.(表1参 照.)
表 1 .EGP / ESP / EOP / EAP の分類4)
English EGP
ESP
EOP/EVP/EPP
EAP
English for General Academic Purposes
(EGAP)
English for Specific Academic Purposes
(ESAP)
EGAP とは特定の分野に偏らず,文系 ・ 理系の幅広 い学術分野に共通して使用される英語を指し,ESAP とは「化学」「心理学」「法学」など,特定の学術分野 に特徴的に使用される英語を指す.EGAP と各分野の ESAP との関係は,図1のようなものとなる.
図 1 .EGAP と各分野の ESAP との関係5)
*
立正大学社会福祉学部社会福祉学科
キーワード:ソーシャルワーク,ESP/ESAP,語彙,英語教育
ソーシャルワーク ESAP 語彙表/
準 ESAP 語彙表の試作
中 島 和 郎*
1 - 3 .ESAP における語彙の重要性
ESAP を構成する要素としては様々なもの(文体/
言語使用域等)が考えられるが,Nation(2001)も指 摘するように,学習者がこれから学ぼうとする専門分 野の文献に大量に使用されている専門語彙に対処でき るよう準備することがとりわけ重要であると考えられ る6).また,外国語による読解活動において,その成否 に影響する要因は必ずしも語彙だけではないが,語彙 が他の要因よりも影響力が大きいとする研究は多い7).
2 .ソーシャルワーク ESAP 語彙表の 試作
ESAP 語彙表の作成はすでにさまざまな分野で試み られているが8),筆者の知る限りソーシャルワーク分野 の ESAP 語彙表作成の試みは現在までなされていな い.また筆者は現在,立正大学社会福祉学部において 英語教育を担当しており,ソーシャルワーク分野の ESAP 語彙表を作成することは本学部の英語教育(ひ いては専門教育)に資するところがあるものと考えら れる.本研究ではソーシャルワーク分野の学術論文か らコーパス(特定の目的で集められたテキストデータ の集積)を作成し,その分析によってソーシャルワー ク ESAP 語彙表,およびソーシャルワーク準 ESAP 語 彙表9)を作成することとした.
2 - 1 .コーパスの作成
ESAP 語彙表の作成にあたっては,当該分野の研究 論文,学術書,場合によっては大学での講義録などを テキストデータ化して集積することでコーパスを作成 し,テキストデータ分析用ソフトウェアを用いて分析 することで当該分野の重要語を抽出する手法が一般的 に行われている.本研究においては米国インディアナ 大学ソーシャルワーク学部が編集 ・ 発行し,ソーシャ ルワーク分野の幅広いテーマの最新の論文を掲載して いるオープンアクセス ・ ジャーナルである Advances in Social Work に2011年から2016年まで掲載された94論 文の本文部分(総語数約51万語)をもとにソーシャル ワーク学術論文コーパスを作成した10).
2 - 2 .ソーシャルワーク ESAP 語彙の抽出
ソーシャルワーク ESAP 語彙の抽出のための具体的 な手順としては,まずテキストデータ解析ツール Word- Smith Tools11) を使用してソーシャルワーク学術論文コー
パスを分析し,頻度(全コーパス中の語の出現回数)
および分布度(その語が出現するテキストの数;本研 究の場合は論文数)の情報付き語彙表(約16,000語)
を作成した.(語彙表を作成する際には動詞,形容詞の 屈折変化形,名詞の複数形などは見出し語形(lemma)
にまとめた.)次に,頻度30以上 ・ 分布度5以上で絞り 込みを行い,1,460語が残った.
さらに,日常生活レベルで頻繁に使用される語をリ スト化した EGP レベルの語彙表である New General Service List12) の2,800語,および多様な学術分野に共通 して使用される語をリスト化した EGAP レベルの語彙 表である New Academic Word List13) の960語と重複す るものを削除し,結果的に162語から成る「ソーシャル ワーク ESAP 語彙表」(添付資料1)が得られた.
2 - 3 .ソーシャルワーク ESAP 語彙表の考察 得られた「ソーシャルワーク ESAP 語彙表」を概観 し,考察を加えた結果,次のような種類の語彙が多く 含まれていることが明らかになった.
a )ソーシャルワーク領域のさまざまな分野で広く使 われる語彙:
ADVOCACY「擁護/支持」,CASEWORKER「ケー スワーカー」,EMPATHY「共感」,EMPOWER- MENT「エンパワーメント」,OPPRESSION「抑圧」,
OUTREACH「積極的支援活動」,STRENGTHS- BASED「強みに基づく」,WELL-BEING「福祉」
b )ソーシャルワーク教育/ソーシャルワーカー養成 に関する語彙:
ACCREDITED「認定された」,BSW「社会福祉学 士」(Bachelor of Social Work),EDUCATOR「教 育者」,ENROLLED「登録された/在籍している」,
EPAS「教育方針と認定基準」(Educational Policy and Accreditation Standards),MENTORING「(現 場での)養成制度」,MSW「社会福祉学修士」(Mas- ter of Social Work),PEDAGOGY「教授法」
c )養子縁組/児童養育に関する語彙:
ADOPTION「採用/養子縁組」,ADOPTIVE「養 子縁組の」,AFFILIATION「所属/養子縁組」,
FOSTER「養育する」
d)性的/民族的マイノリティーに関する語彙:
GAY「男性同性愛者(の)」,LESBIAN「女性同性 愛者(の)」,LGBT「性的少数者」(Lesbian, Gay, Bisexual, and Transgender),IMMIGRATION「移 民」,LATINO「ラテン系住民(の)」,NON-WHITE
「非白人の」
e)メンタルケアに関する語彙:
BURNOUT「燃え尽き症候群」,COUNSELING「カ ウンセリング」,COUNSELOR「カウンセラー」,
DEPRESSIVE「鬱病の(人)」,MINDFULNESS「マ インドフルネス」,PTSD「心的外傷後ストレス障 害」(Post-Traumatic Stress Disorder),TRAU- MATIC「心的外傷の」,SELF-EFFICACY「自己効 力感」
f)研究方法/調査方法に関する語彙:
EVIDENCE-BASED「根拠に基づく」,EXPLORA- TION「調査/探索」,EXPLORATORY「探索的 な」,FACE-TO-FACE「対面の」,FOLLOW-UP「追 跡調査」,OPEN-ENDED「自由回答形式の」,PRE- TEST「事前テスト」,POSTTEST「事後テスト」,
RESPONDENT「回答者」
3 .テキストカバー率の検証
完成した語彙表の妥当性を確認するために,テキス トカバー率の検証を行った.テキストカバー率とは読 み手が知っている語彙,もしくはある特定の語彙表の 語彙でテキスト中の単語の何パーセントをカバーでき るかを表した数値で,読解の成否に重大な影響を及ぼ すことが知られている14).
3 - 1 .語彙表作成に用いた元コーパスに対するテキ ストカバー率の計算
まず,語彙表を作成するために使用した「ソーシャ ルワーク学術論文コーパス」(以後,「元コーパス」と 呼ぶ)に対する New General Service List, New Aca- demic Word List, ソーシャルワーク ESAP 語彙表それ ぞれの単独カバー率,および累積カバー率を計算した 結果を表2に示す15).
表 2 .各語彙表の元コーパスに対する カバー率・累積カバー率
カバー率 累積カバー率
NGSL: 89.4% 89.4%
NAWL: 3.2% 92.6%
ESAP: 3.1% 95.7%
3 - 2 .「テキストカバー率検証用ミニコーパス」に対 するテキストカバー率の計算
さらに,語彙表の外部妥当性を検証する目的で,元 コーパス作成に用いたものとは別のソーシャルワーク 領域の学術雑誌である Research on Social Work Prac- tice の最新号(2018. Vol. 28(4))掲載の11論文からラ ンダムに3論文を選び,「テキストカバー率検証用ミニ コーパス」(総語数13,821語)を作成した16).
テキストカバー率検証用ミニコーパスに対する New General Service List, New Academic Word List, ソー シャルワーク ESAP 語彙表それぞれの単独カバー率,
および累積カバー率を計算した結果を表3に示す17).
表 3 .各語彙表のテキストカバー率検証用 ミニコーパスに対するカバー率・累積カバー率
カバー率 累積カバー率
NGSL: 88.3% 88.3%
NAWL: 3.6% 91.8%
ESAP: 2.5% 94.3%
3 - 3 .得られたテキストカバー率に対する考察 Nation(2001)は十分な読解を可能にする必要最低 限のカバー率として95%以上を推奨している18).今回の 計算結果では,「ソーシャルワーク ESAP 語彙表」単 独でのカバー率は「元コーパス」に対して3.1%,「検 証用ミニコーパス」に対して2.5%と,検証用ミニコー パスに対してやや低下が見られるものの,NGSL およ び NAWL と合わせた累積カバー率では「元コーパス」
に対して95.7%,「検証用ミニコーパス」に対して94.3%
となり,いずれも Nation が推奨する必要最低限のカ バー率95%にきわめて近い数値となっていることから,
「ソーシャルワーク ESAP 語彙表」の妥当性はある程 度確認できたものと考えらえる.
因みに高頻度語(日常的によく使われる語)ほどテ
キストカバー率が高く,低頻度語(難度の高い語)に なるほど急速にテキストカバー率が低くなるので語彙 頻度と累積カバー率との関係をグラフに表すと概ね図 2のような曲線を描くことが知られている19).
図 2 .語彙頻度と累積カバー率との関係(概念図20)) したがって,「ソーシャルワーク ESAP 語彙表」単 独でのテキストカバー率が「元コーパス」に対して 3.1%,「検証用ミニコーパス」に対して2.5%という数 値は概ね妥当なものと言えよう.
4 .ソーシャルワーク準 ESAP 語彙表の 作成
4 - 1 .「準 ESP 語彙」の定義・位置付け
学習者にとって,語彙の習得は段階を追って EGP レ ベル→ EGAP レベル→ ESAP レベルと進めることが望 ましい.また,上位の学習段階への移行を断続的なも のではなく,緩やかに連続したものとするよう配慮す ることは学習者の負担軽減につながる.したがって,
EGAPレベルの語彙表であるNew Academic Word List に含まれる語ではあるが,ソーシャルワーク領域で特 に高頻度で使用される傾向のある語のリストを作成し,
「ソーシャルワーク準 ESAP 語彙表」として提示する ことは教育上有用であると考えられる.「準 ESAP 語 彙」の位置付けを下の図3に示す.
図 3 .「準 ESAP 語彙」の位置付け21)
4 - 2 .ソーシャルワーク準 ESAP 語彙の抽出 「ソーシャルワーク学術論文コーパス」を分析し,頻 度30以上 ・ 分布度5以上で絞り込んだ1,460語の中で NAWL と重複する語106語を選び出し,「ソーシャル ワーク準 ESAP 語彙表」と名付けた.(添付資料2)
4 - 3 .ソーシャルワーク準 ESAP 語彙表の考察 得られた「ソーシャルワーク準 ESAP 語彙表」を概 観し,考察を加えた結果,次のような種類の語彙が多 く含まれていることが明らかになった.
a )クライアントが抱える様々な問題に関係すると思 われる語彙:
DEVELOPMENTAL「発達上の」,DIAGNOSIS「診 断」,DISABILITY「障害」,DISCRIMINATION「差 別」,FATIGUE「疲労」,INEQUALITY「不平等」,
SUICIDE「自殺」,TRAUMA「心的外傷」
b )クライアントに対する支援や働きかけに関係する と思われる語彙:
AFFIRM「支持する」,ASSERT「(権利などを)主 張する」,AUTONOMY「自治/自立」,FACILI- TATE「促進する」,MENTOR「助言者」,REIN- FORCE「強化する」
c )一般的な学術用語ではあるが,ソーシャルワーク のコンテクスト中でやや特殊な意味合いで用いられ る語彙:
一般的な意味 SWのコンテクスト中でのやや特殊な意味 CLIENT 「依頼者」 「クライアント」
INCLUSION 「包含/包摂」「(障害児と健常児の)
統合教育」
INTEGRATION 「統合」 「(差別の撤廃による)
融和」
PRACTITIONER「実践者」 「(現場の)ソーシャ ルワーカー」
PREVALENCE 「普及」 「有病率」
d)調査方法や統計に関する語彙:
COEFFICIENT「係数」,CORRELATE「相関する」,
CORRELATION「相関」,QUALITATIVE「質的 な」,QUANTITATIVE「量的な」,QUESTION- NAIRE「質問票」,REGRESSION「回帰」,STATIS-
TICAL「統計的な」,STATISTICALLY「統計的 に」,VARIANCE「相違/分散」
5 .まとめ
ソーシャルワーク領域の学術論文コーパスの分析に より作成した「ソーシャルワーク EASP 語彙表」には ソーシャルワーク領域内の広い分野で共通して用いら れる専門語彙,ソーシャルワーク領域内の個別分野で 特徴的に用いられる専門語彙,さらに研究方法/調査 方法に関する専門語彙が多く含まれることがわかった.
また,「ソーシャルワーク EASP 語彙表」は162語とい うかなり少ない語数ではあるが,EGP レベルの語彙表 である New General Service List および EGAP レベル の語彙表である New Academic Word List と合わせた 累積カバー率で,ソーシャルワーク領域の学術論文に 対して十分な読解を可能とする最低限のレベルである 95%程度のカバー率を達成できることがわかった.
また,EGAP レベルの語彙表である New General Service List に含まれるが,ソーシャルワーク領域で特 に高頻度で使用される傾向のある語を抽出した「ソー シャルワーク準 ESAP 語彙表」には,クライアントが 抱える様々な問題に関係すると思われる語彙,クライ アントに対する支援や働きかけに関係すると思われる 語彙,一般的な学術用語ではあるがソーシャルワーク のコンテクスト中でやや特殊な意味合いで用いられる 語彙,さらには調査方法や統計に関する語彙などが多 く含まれ,EGAP からソーシャルワーク領域に特化し た ESAP へと移行しようとする学習者にとって橋渡し として有用なものであると思われる.
6 .教育への応用可能性
今回作成した「ソーシャルワーク ESAP 語彙表/準 ESAP 語彙表」の教育への応用可能性としては,ソー シャルワーク領域の重要語彙を学ぶための e- ラーニン グ教材を作成し,授業での副教材あるいは自学自習用 教材として利用することが考えられる.
また,語彙表作成に用いたコーパスデータとコンコー ダンスソフト(特定の語を検索すると,その語が使用 されている前後の文脈をすべて一覧表示するプログラ ム)を組み合わせることで,ソーシャルワーク分野英 語学術論文執筆支援ツールとして活用することも可能 と思われる.
7 .今後の研究課題
今回はソーシャルワーク領域の幅広い分野の論文を 掲載する一つの学術雑誌からコーパスを作成して,ソー シャルワーク領域全般の学術語彙表を作成したが,ソー シャルワーク領域内の個別の分野(医療ソーシャルワー ク,児童ソーシャルワーク等)の専門学術雑誌をもと にコーパスデータを作成し,個別分野の ESAP 語彙表 を作成することも必要であろう.
また近年,複数の語から成り,独自の意味や役割を 持つ表現(「コロケーション」「定型句」などさまざま に呼ばれる)が個々の語と同様に言語使用において重 要な役割を果たしていることを指摘する研究が増えつ つある中22),ソーシャルワーク領域において高頻度で使 用される「コロケーション」等を抽出する研究も必要 になるものと思われる.
注および参考文献
1) 田地野彰(2004)「日本における大学英語教育の目的と目標 について―ESP 研究からの示唆―」『MM News』第7号,
pp.11−21.
2) 寺内 一(2000)「ESP を知る」,深山晶子(編)『ESP の理 論と実践:これで日本の英語教育が変わる』pp.9−32.東 京:三修社 , p.18
3) Jordan, R.R. (1997)English for Academic Purposes, Cam- bridge: Cambridge University Press.
4) 出典:田地野(前掲論文)p.16 また,表中の EOP/EVP/
EPP とは,English for Occupational / Vocational / Profes- sional Purposes の略で,「職業目的の英語」のことである.
(典型的な例としては航空管制の英語などが相当する.)
5) 出典:田地野(同論文)p.19 中心が各分野共通の EGAP,
周辺が各分野に特徴的な ESAP となる.
6) Nation, I.S.P.(2001)Learning Vocabulary in Another Lan- guage, Cambridge: Cambridge University Press, p.204 7) 読解活動における語彙力の重要性を主張する研究には以下
のようなものがある:
Chall, J. S.(1958)Readability: appraisal of research and application, Ohio: Ohio Bureau of Education Research Monographs.
Laufer, B. and Sim, D. D.(1985)Measuring and explaining the reading threshold needed for English for academic purposes texts. Foreign Language Annals, Vol. 18, p.p.405- 411
8) 文系・理系にわたる複数の分野の EASP 語彙の特定を目指 した研究の例:
田地野彰,寺内一,笹尾洋介,マスワナ紗矢子(2007)「総 合研究大学における英語学術語彙リスト開発の意義─ EAP カリキュラムデザインの観点から─」『京都大学高等教育研 究』第13号,pp.121−132
物理・化学・生物・数学の理系4分野の EASP 語彙と,各 分野共通準専門語彙の特定を目指した研究の例:
中島和郎(2011)「理学部 ESP 語彙表の試作─学術コーパ スによる分野別専門語彙・共通準専門語彙の特定─」『言 語・文化・社会』第9号 pp.47−66
9) ここに言う「ソーシャルワーク準 ESAP 語彙」とは,他分 野とも共通に使われる EGAP レベルの語彙ではあるが,
ソーシャルワーク分野でかなり多用される傾向のある語彙 を指す.
10) 実際に使用した号は次の通り:Vol. 12(2), 2012. vol. 13(3), 2013.
vol. 14(2), 2014. vol. 15(2), 2015. vol. 16(2), 2016. vol. 17(2)
なお,Advances in Social Work は2011年度以降,原則とし て毎年テーマを定めた特別号を1号(2012年度のみ2号),
特にテーマを定めない通常号を1号出しているが,今回は ソーシャルワーク領域のできるだけ広いテーマの論文を集 めるため,通常号掲載の論文のみを使用した.
また,コーパス作成にあたり,Advances in Social Work を ソースとして選んだ理由は主に次の3点である:1)ウェ ブ上で公開されているオープンアクセス・ジャーナルであ り,論文の入手・テキストデータ化が容易である.2)ソー シャルワーク領域の幅広いテーマについての論文がバラン スよく収録されている.3)査読があり,論文の質がある 程度保障されている.
11) Scott, M.(2007)Wordsmith Tools(version 5), Oxford:
Oxford University Press.
12) Browne, C., Culligan, B. and Phillips, J.(2013 a). New General Service List. Retrieved from http://www.
newgeneralservicelist.org/
13) Browne, C., Culligan, B. and Phillips, J.(2013 b). New Academic Word List. Retrieved from http://www.
newgeneralservicelist.org/nawl-new-academic-word-list/
14) Nation, op. cit., p.p.145-147
15) カバー率の計算には Microsoft Excel を使用した.また,
計算に際しては既知語とみなして差し支えのない固有名詞
(人名,地名等)は除外して計算した.
16) 実際に使用した論文は次の3編である:
Velderman, M.K., Pannebakker, F.D., van Vliet, W. and Reijneveld, S.A.(2018)Prevention of divorce-related prob- lems in Dutch 4- to 8-year-olds: Cultural adaptation and pilot study of the children of divorce intervention program.
Research on Social Work Practice, Vol. 28(4), p.p.415-437 Kim J.S., Brook J. and Akin, B.A.(2018)Solution-focused brief therapy with substance-using individuals: A random- ized controlled trial study. Research on Social Work Prac- tice, Vol. 28(4), p.p.452-462
Lee, C.D(2018)Social work with groups
’
practice ethics and standards: Student confidence and competence.Research on Social Work Practice, Vol. 28(4), p.p.475-481 17) 元コーパスの場合と同様,計算に際しては既知語とみなし
て差し支えのない固有名詞(人名,地名等)は除外して計 算した.
18) Nation, op. cit., p.146
19) Chujo, K. and Utiyama, M.(2005)Understanding the role of text length, sample size and vocabulary size in deter- mining text coverage. Reading in a Foreign Language, Vol. 17(1), p.p.1-22
20) Ibid., p.8の図を参考に作成.
21) 田地野(前掲論文)p.19の図を改変.
22) Martinez, R. and Schmitt, N.(2012)A phrasal expressions list. Applied Linguistics, Vol. 33(3), p.p.299–320
(2018年10月31日受理)
添付資料 1 .ソーシャルワーク ESAP 語彙表
ACADEMY 学会/協会 DYNAMICS 動態
ACCEPTANCE 受容 EDUCATOR 教育者
ACCOUNTABILITY 説明責任 EFFICACY 有効性
ACCREDITED 認定された ELICIT 引き出す
ADDITIONALLY 追加的に ELIGIBILITY 適格性
ADMINISTER 管理する/執行する EMBEDDED 埋め込まれた
ADMINISTRATIVE 管理上の EMPATHIC 共感的な
ADMINISTRATOR 管理者 EMPATHY 共感
ADOPTION 採用/養子縁組 EMPOWER 権限を与える
ADOPTIVE 養子縁組の EMPOWERMENT エンパワーメント
ADULTHOOD 成人期 ENGAGEMENT 関与
ADVOCACY 擁護/支持 ENROLLED 登録された/在籍している
AFFECTIVE 情動の EPAS 教育方針と認定基準(Educational
Policy and Accreditation Standards)
AFFILIATION 所属/養子縁組 EQUITY 公平性
ALUMNI 卒業生 ETHNICITY 民族性
ASSAULT 攻撃/暴力 EVIDENCE-BASED 根拠に基づく
BENEFICIAL 有益な EXPERIENTIAL 経験に基づく
BSW 社会福祉学士(Bachelor of Social Work) EXPLORATION 調査/探索
BUREAU (官庁の)局 EXPLORATORY 探索的な
BURNOUT 燃え尽き症候群 FACE-TO-FACE 対面の
CAREGIVER 介護者 FOLLOW-UP 追跡調査
CASEWORKER ケースワーカー FOSTER 養育する
CITATION 引用 GAY 男性同性愛者(の)
CITIZENSHIP 市民権 GRADUATION 卒業
CIVIC 市民の GRIEF 悲しみ
COHORT 仲間/群 GUIDANCE 指導
COLLABORATE 協働する HEALTHCARE 医療
COLLABORATION 協働 HETEROSEXUAL 異性愛者(の)
COLLABORATIVE 協働的な HIERARCHICAL 階層的な
COMMUNITY-BASED 地域密着型の HIV ヒト免疫不全ウイルス(Human Immu-
nodeficiency Virus)
COMPASSION 同情/哀れみ IMMIGRATION 移民
COMPETENCY 資格/能力 IMPERATIVE 不可欠の
CONCEPTUALIZATION 概念化 INCLUSIVE 包含的な/排他的でない
CONCEPTUALIZE 概念化する INFUSE (思想などを)吹き込む
CONSISTENCY 一貫性 INNOVATIVE 革新的な
CONSISTENTLY 一貫して INSTITUTE 学会/協会
CONTEXTUAL 文脈上の INSTRUCTOR 指導者
COUNSELING カウンセリング INTERDISCIPLINARY 学際的な
COUNSELOR カウンセラー INTERPERSONAL 個人間の
CSWE 社会福祉教育協議会(Council on Social
Work Education) INTERPROFESSIONAL 専門職種間の
CULTURALLY 文化的に ISOLATION 孤立
DECISION-MAKING 意思決定 LASTLY 最終的に
DEDICATED 献身的な LATINO ラテン系住民(の)
DEMOGRAPHIC 人口統計の LESBIAN 女性同性愛者(の)
DEPRESSIVE 鬱病の(人) LGBT 性的少数者(Lesbian, Gay, Bisexual, and Transgender)
DERIVED 派生した LIAISON 連絡/調整
DESCRIPTIVE 記述的な MACRO 巨視的な
DIALOGUE 対話 MANDATE 命令/義務付ける
DISCLOSE 開示する MARITAL 婚姻の
DISPARITY 格差 MENTORING (現場での)養成制度
DISTRESS 苦悩 MINDFULNESS マインドフルネス
添付資料 1 .ソーシャルワーク ESAP 語彙表(前頁からの続き)
MODELING モデル提示 TRANSFORMATIONAL 変革的な
MOTIVATIONAL 動機付けの TRANSFORMATIVE 変革力のある
MSW 社会福祉学修士(Master of Social
Work) TRAUMATIC 心的外傷の
NASW 全米ソーシャルワーカー協会(National
Association of Social Workers) TURNOVER 離職率
NONPROFIT 非営利の VALIDATE 認証する/実証する
NON-WHITE 非白人の VIGNETTE 挿話/場面
ONGOING 継続中の VIRTUAL 仮想的な
OPEN-ENDED 自由回答形式の VULNERABLE 脆弱な
OPPRESSION 抑圧 WELL-BEING 福祉
ORGANIZATIONAL 組織的な WORKFORCE 労働力
OUTREACH 積極的支援活動 WORKPLACE 職場
PEDAGOGY 教授法
PLACEMENT クラス分け POSTMODERN 脱近代主義の
POSTTEST 事後テスト
PREDICTOR 予測因子
PRETEST 事前テスト
PREVENTION 予防 PROBLEM-SOLVING 問題解決の PROTECTIVE 保護的な
PROVIDER 供給者
PTSD 心的外傷後ストレス障害(Post-Traum atic Stress Disorder)
REFERRAL 照会/委託
REFLECTIVE 内省的な RELEVANCE 関連性/妥当性 RESPONDENT 回答者 RETENTION (雇用)定着率
SAME-SEX 同性の
SCHOLARLY 学術的な
SELF-CARE 自己管理
SELF-EFFICACY 自己効力感
SERVICE-LEARNING サービス・ラーニング
SHAME 恥辱
SHORTAGE 不足
SOCIALIZATION 社会化
SOCIETAL 社会の
SOCIOECONOMIC 社会経済的な SPIRITUAL 精神的な/宗教的な SPIRITUALITY 精神的に/宗教的に STATISTICS 統計学
STIGMA (社会的な)烙印
STRENGTHS-BASED 強みに基づく
SUBSCALE 下位尺度
SUPERVISION 監督 SUPERVISOR 監督者 SUPERVISORY 監督の SUPPORTIVE 支援的な THERAPEUTIC 治療的な
THERAPIST 療法士
添付資料 2 .ソーシャルワーク準 ESAP 語彙表
ACTIVELY 能動的に INEQUALITY 不平等
ADAPTATION 適応 INFORMAL 非公式の
ADOLESCENT 思春期の INITIATE 開始する
AFFIRM 支持する INTEGRATION 統合
ARTICULATE 明瞭な INTERACT 交流する
ASPECT 様相 LIKELIHOOD 可能性
ASSERT (権利などを)主張する MANUAL 手引き
ASSIGNMENT 任務/課題 MEANINGFUL 意味のある
AUTHORITY 権力/権限 MEDIA メディア
AUTONOMY 自治/自立 MENTOR 助言者
AVAILABILITY 利用可能性 METHODOLOGY 方法論
BEHAVIORAL 行動の MICRO 極小の
CLARIFY 明確にする NORM 規範
CLIENT 依頼者/クライアント OBTAIN 獲得する
COEFFICIENT 係数 ORIENTATION 方向付け
COGNITIVE 認知的な PARADIGM 枠組み
COLLECTIVE 集団の PHYSICIAN 内科医
COMMONLY 一般に POSITIVELY 積極的に
COMPETENCE 能力 PRACTITIONER 実践者/(現場の)ソーシャルワーカー
COMPETENT 能力のある PRELIMINARY 予備的な
CONCEPTUAL 概念の PREVALENCE 普及/有病率
CONFERENCE 会議/協議体 PROPOSITION 提案
CONSENT 同意(する) PROTOCOL 手順
CORRELATE 相関する PSYCHIATRIC 精神医学の
CORRELATION 相関 PUBLISH 発表する/出版する
CRITICALLY 批判的に QUALITATIVE 質的な
CRITIQUE 批判 QUANTITATIVE 量的な
CURRICULUM カリキュラム QUESTIONNAIRE 質問票
DEVELOPMENTAL 発達上の REGRESSION 回帰
DIAGNOSIS 診断 REINFORCE 強化する
DISABILITY 障害 RELIABILITY 信頼性
DISCOURSE 談話 SCENARIO 筋書き
DISCRIMINATION 差別 SCHOLARSHIP 奨学金
DISTRIBUTION 分配/分布 SEMESTER 学期
DIVERSE 多様な SEMINAR セミナー
DOMAIN 領域 SEXUALITY セクシュアリティー
DOMINANT 優勢な SOCIALLY 社会的に
DYNAMIC 動的な STATISTICAL 統計的な
EFFECTIVENESS 有効性 STATISTICALLY 統計的に
EMPIRICAL 実証的な STRATEGIC 戦略的な
EQUALITY 平等 SUICIDE 自殺
ETHICAL 倫理的な SYSTEMATIC 系統的な
ETHICS 倫理学 TRANSFORMATION 変化/変容
EXPERTISE 専門知識 TRAUMA 心的外傷
EXPLICIT 明白な UNDERGRADUATE 学部生
EXPLICITLY 明白に UTILITY 有用性
FACILITATE 促進する UTILIZE 利用する
FACULTY 学部/教授陣 VALID 妥当な/有効な
FATIGUE 疲労 VALIDITY 妥当性
FEEDBACK フィードバック VARIANCE 相違/分散
FLEXIBILITY 柔軟性
FORUM 公開討論会
IDENTIFICATION 同一化
IMPACT 影響
INCLUSION 包含/統合教育
INDICATOR 指標