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板橋 美穂

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Academic year: 2021

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第 31 回麻布環境科学研究会講演要旨

1.はじめに

パラオキソナーゼ 1(paraoxonase1,  PON-1)は,

LDL(low  density  lipoprotein)の酸化変性を防ぐこと により抗動脈硬化作用を示す酵素である。また,

PON-1 はカルシウム依存性であり,血液中において HDL(high  density  lipoprotein)のアポリポ蛋白 A1 に 結合して存在する。PON-1 活性の低下は,アテロー ム性動脈硬化症に関連することが報告されている。

PON-1 には複数の多型が存在することが知られてお り,この酵素には活性に影響する Q192R のアミノ酸 変異を伴う遺伝子多型が存在する。この多型は心筋 梗塞や脳梗塞などの動脈硬化性の疾患と関係するこ とが報告されている。一方,動脈硬化の早期病変は 若年より発症するといわれている。

そこで,本研究では若年健常者について,全身の 動脈硬化進行を超音波検査より評価可能な頸動脈の 内膜中膜複合体壁厚(intima-media  thickness,  IMT)

とこの Q192R の遺伝子多型の関係,さらに血圧脈波 により血管年齢が推測できる上腕―足関節の脈波伝 播速度(brachial-ankle  Pulse  Wave  Velocity,  baPWV)

とこの遺伝子多型との関係を検討した。

2.対象と方法

麻布大学生命・環境科学部学生有志 50 名(男性 29 名,女性 21 名,平均年齢 20.9 ± 1.0 歳)を対象と した。

① 遺伝子型は末梢血白血球よりゲノム DNA を 抽出し,PCR-RFLP 法により判定した。事前 に書面にてインフォームド・コンセントを得

て,すべて匿名化を行った。尚,本研究は麻 布大学ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する 倫理審査委員会の承認を得て行った。

② 頸動脈の IMT の測定は,被検者を仰臥位,頭 頸部伸展位とし,中心周波数 7.5 MHz リニア 型探触子を有する超音波診断装置(東芝メデ ィカル社製 SSA-660A)を用い,内外頸動脈 分岐部より 1 〜 2 cm 中枢側の総頸動脈で探触 子から遠位に描出された壁で IMT を計測し,

平均 IMT を求め,両側の平均値を用いた。

③ 血圧脈波の baPWV の測定は,血圧脈波検査 装置(オムロンコーリン社製 BP-203RPE Ⅲ)

を用い,被検者を仰臥位とし安静状態を確保 してから測定を行い,両側の平均値を用いた。

④ 臨床検査では,14 項目(T-cho,  TG,  HDL, LDL, BS, HbA1C, AST, ALT, γ-GTP, ZTT, ALP, UA, Cr, 血算)の検査値を測定した。

⑤ PON-1 の Q192R のアミノ酸変異をおこす遺伝 子多型,頸動脈の IMT,血圧脈波の baPWV の関係について検討した。

3.結果及び考察

① 若年健常者 50 名において遺伝子解析の結果 は,QQ は 6 名(12 %),QR は 27 名(54 %), RR は 17 名(34 %)であった。これは日本人 での報告とほぼ同じ傾向である。

以下,RR と QR,RR と QQ の比較を行った。

② I M T は , R R ( 0 . 3 5 ± 0 . 1 0 m m ) が Q R

(0.29 ± 0.08 mm),QQ(0.29 ± 0.07 mm)に 95

板橋 美穂

1

,高田香世子

1

,本田 晃子

2

,山本  勇

1, 2

麻布大学 生命・環境科学部

1

総合検査学研究室,

2

血液学研究室

第 31 回麻布環境科学研究会 一般演題 6

(2)

麻布大学雑誌 第 23 巻 2011 年

比べて有意に高値だった(P < 0.05)。

③ baPWV は,RR(1099 ± 142 cm/s)と QR

(1054 ± 122 cm/s),QQ(1122 ± 134 cm/s)

間で有意差はなかった。

④ 動脈硬化との関連があると考えられる臨床検 査値では,遺伝子多型間で有意差はなかった。

IMT は全身の動脈硬化の程度を評価するうえで重 要な指標であり,早期動脈硬化の指標としても注目 されている。我々は中高年における 2 型糖尿病患者 の IMT において,RR が有意に高値あったと報告し て い る1 )。 し か し , 健 常 な 若 年 者 で の P O N - 1 の

Q192R 遺伝子多型による IMT についての検討は今ま でにない。本研究の検討では,健常な若年者でも RR の IMT が有意に高値であることが示唆された。

現在,さらに症例を増やして検討中である。

参考文献

1)Isamu Yamamoto, Teruko Honda, Kayoko Takada, et al.

Association  of  paraoxonase  1  gene  polymorphism  with intima-media thickness of the carotid arteries in diabetic patients.  第 43 回日本動脈硬化学会学術集会抄録集, p212, 2011.

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