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臨床実習への取り組み稲盛 修二保健医療学部 医療工学科 学科長

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臨床実習への取り組み

1.病院実習の位置づけ

 医療工学科は,専門医療職である臨床工学技士を養成する学科です。19 88年医 療技術の高度化・多様化等のニ−ズにより生まれた臨床工学技士は,未だ歴史が 浅くようやく誕生して約3 0年が経過しました。当初,臨床工学技士法で『生命維 持装置を操作・保守点検することを業とする』と定められ,人工心肺・人工呼吸 器・血液浄化(人工透析)等の生命維持装置を対象としていましたが,この3 0年 間の医療技術の更なる進歩により,生命維持装置への対応に留まらず,すべての 医療機器に関わることが求められるようになり,別名『命のエンジニア』と呼ば れています。

 このように短期間において業務体系に変化が生じたこと,また今後も日進月歩する医療技術等に対応 する必要性を考慮し,我々養成機関も数年ごとに病院実習を含めたカリキュラムの変更を行う必要があ る。特に3 年後期において6 週間の日程で実施される臨地実習においては,座学および学内実習では再現 できない環境での学習となるため,学生にとって最も貴重な体験であると言っても過言ではない。また それまで漠然としていた自身の将来像が明確になることで,学生の職業に対するモチベ−ションの向上 が顕著に見られることから,病院実習の果たす役割は大きいと言える。

 現在,大部分の臨床工学技士養成機関において病院実習は,別組織である個々の医療機関に依存して おり,標準的かつ統一的な指導を行う上で問題がある。そこで日本臨床工学技士会は以下の『臨床実習 指導ガイドライン』を提示しており,病院実習における実習効果の向上と標準化に努めている。

純真学園大学雑誌 第8号 平成

3 1

年3

Journal of Junshin Gakuen University, Faculty of Health Sciences Vol.8, M arch 2019

臨床実習への取り組み

稲盛 修二

保健医療学部 医療工学科 学科長

特集

P rep arations for the 6 - w eeks clinical training

Syuj i I NA M OR I

D ep artm ent of M ed ical Eng ineering , Faculty of Health Sciences, Junshin Gakuen University

【要旨】 4 年間の臨床工学技士養成課程において,病院実習は大変有意義かつ効果的な6 週間である。当科では,

日本臨床工学技士会『臨床実習指導ガイドライン』に基づいて,実習計画を設定し,事前の取り組みとして学 内実習の充実を図るとともに,実習直後にアンケ−トをとり実態把握に努めている。病院実習では,業務が生 命維持装置等の操作・管理であることから見学中心の実習になる場合が多いが,自身の将来像確立など学内で は十分得られない成果に期待している

キーワード: 日本臨床工学技士会『臨床実習指導ガイドライン』,学内実習,病院実習施設協議会

稲盛 修二

平成3 1年3 月29

純真学園大学 保健医療学部 医療工学科 学科長

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稲盛 修二

日本臨床工学技士会 『臨床実習指導ガイドライン』 (一部割愛)

1.臨床実習の教育目標

 臨床実習の教 育目標は,“ 臨床工学技士として基礎的な実践能力を身につけ,医療における臨床工学 の重要性を理解し,かつ,患者への対応について臨床現場で学習し,チーム医療の一 員としての責任 と役割を自覚する。特に患者を中心としたチーム医療における臨床工学の重要性を臨床現場で学び他の 職種との協調性を養い,また臨床工学技士の使命を自覚し,

医療の発展に寄与できる基本的な技術と知

識を身につけることが目標である。

2.臨床実習の基本的な目的

1.チーム医療と臨床工学技士の位置付けについて 2.患者コミュニケーション能力

3

.医療安全と臨床工学技士

4

.臨床工学領域での感染防止対策

5

.臨床工学技士(医療人)としての資質

3

.実習施設

 血液浄化装置実習,集中治療室実習(人工呼吸器実習含む)及び手術室実習(人工 心肺装置実習含 む),並びに医療機器管理業務実習等の臨床実習受入医療機関の基準 として

1)臨床実習施設には 1 人以上の臨床実習指導者がいること。

2)臨床実習施設は,当該領域の医学会が定める教育研修等関連施設であること。として以下の各

項を

満たすことが望ましい。

1.血液浄化装置実習施設は(社)日本透析医学会が定める専門医制度認定施設(4 3 1 施設)及び教

育関連施設(5 4 2 施設)

2.集中治療室実習(人工呼吸器実習含む)施設は,日本集中治療医学会が定める 集中治療専門医研

修施設(228 施設)

3

.手術室実習(人工心肺装置実習含む)施設は,3 学会構成心臓血管外科専門医認 定機構が定める 基幹および関連施設(4 6 5 施設)

4

.医療機器管理業務実習施設は,医療機器に係る評価・選定,保守管理,廃棄ま での一貫した中央 管理を行う施設であること。

5

.日本臨床工学技士会主催 実習指導者講習会受講施設

4

.実習指導者

実習指導者は,各指導内容に対する専門的な知識に優れ,医師又は臨床工学技士として 5

年以 上の実

務経験及び業績を有し,十分な指導能力を有する者であること。

1.各指導内容に対応する学会認定資格等を有することが望ましい。

2.日本臨床工学技士主催 実習指導者講習会を履修した者。

3

.習指導者1人当りの学生数は5 人以内とする。

 臨床実習では,養成施設と実習施設の連携を図り,実習計画,実習の進め方,実習 生等について情 報交換するものとする。

2.病院実習にむけて

① 実習先の決定

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3 3

臨床実習への取り組み

  現在,医療工学科では沖縄県を含めた九州全域および一部中国地方において,5 0施設以上の実習 病院を確保しており,その内容についても大学病院および地域の基幹病院や臨床病院等多種多彩で ある。学生は事前に病院実習担当の教員と面談を行い,実習中の様々な環境や実習病院の特色を踏 まえて候補を決定する。その後,担当教員は全学生の希望を念頭に,実習先の病院と受け入れ期間 および人数について調整を計り,少なくとも6 か月前には実習先が決定されるように心がけている。

② 学内実習

  学生にとって病院実習は,教育の集大成ともいえるイベントであり,貴重な体験であることは間 違いない。しかし病院実習は学生にとって非常に緊張感が高く,最大のストレスになる可能性もあ り,そのバランスの取り方により実習効果は微妙に

変化が生じる。そのため当学科では,病院実習前に 実施される学内実習において,可能な限り臨床現場 の環境を再現するように努めており,指導教員も臨 床経験者が担当している(Fig .1)。これにより現場 の雰囲気や治療の流れが把握でき,実習中常に緊張 した状態から解放され,積極的に実習を受けること が可能となることを期待している。

③ 実習前補講

  病院実習の効果を最大限引き出すために,疾患および治療に関する基礎的学力は不可欠である。

実際に行われている治療について予備知識が伴わなければ,その場の視覚的情報取得に限定され,

その後の考察に繋がらない恐れがある。そのため学科では,病院実習に望む約3 か月前から,実習 関連科目を集中させるカリキュラムを採用すると同時に,各分野の教員による補講を行っている

(Fig .2)。

実 の効果を き出すために および 療に する 的 は である 実際に れている 療について が な れば その の 的

取得に 定され その の に がらない れがある そのため では 実 に 約

3

か から 実 目を さ るカリキ ラムを採用すると に 分 の による を っている

Fig.2

の 本 技 による 実 イドライン に 実 に おいては 成 と実 の を図り 実 計画 実 の め方 実 に ついて 換する のとする と示されているように との

は 変 要となる これに対し本 では の一 として れる 実 を 変 要 しており の 方との し いの で アン

ト および実 を に の の 出や の り方に

ついて に を い 実 にお る 効果の向上を計っている

3

実 を えて

実 が すると は実 を担当 に 出します また実 からは 成 と が に られ これらを に成 が確定します さらに は実

直 実 に するアン トを 出します

Fig.3

これはあ まで の による のですが の 実 の り方について 実 で し

う際に 資料として 用されています

Fig.2

Fig.2 病院実習直前スケジュ−ル実 直 ス ジ ル

④ 病院実習施設協議会

  前述の日本臨床工学技士会による『臨床実習指導ガイドライン』にも−病院実習においては養成 施設と実習施設の連携を図り,実習計画,実習の進め方,実習 生等について情報交換するものと する−と示されているように,受け入側との信頼・協力関係は大変重要となる。これに対し本学科 では,大学行事の一環として行われる病院実習施設協議会を大変重要視しており,臨床の先生方と の話し合いの中で,学生アンケ−ト(後述)および実習報告者を基に,病院側の改善点の抽出や学 校教育の在り方について,活発に協議を行い,病院実習における学習効果の向上を計っている。

.実

実 は に対する 的な に れ 医師 は 技 と

して

5

上の実 び を し 分な を する であること

1.

に対応する 認定資 を することが ましい

2.

本 技 実 を した

3.

1

当りの 数は

5

とする

実 では 成 と実 の を図り 実 計画 実 の め方 実 について 換する のとする

2

実 に て

実 の 定

現 医療 では を めた 全 および一 方において

50

上の実 を確 しており その について および の や 種 である は に 実 担当の と を い 実 の な や実 の を まえて を 定する その 担 当 は全 の を に 実 の と れ および 数について

を計り な と

6

か には実 が 定されるように が ている

にとって 実 は の 成と いえるイ ントであり な体 で あることは いない しかし 実 は にとって に が の ストレスになる 性 あり そのバランス

の取り方により実 効果は に変化が じ る そのため当 では 実 に実 される 実 において な り 現

の を 現するように めており が担当している

Fig.1

これにより現 の や 療の れが でき 実 に した状 から解放され

的に実 を ることが となること

を している

Fig.1

Fig.1 体外循環学実習

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(4)

3 4

稲盛 修二

3.実習を終えて

 実習が終了すると学生は実習報告書を担当教員に提出します。また実習病院からは,成績書と総括が 大学に送られ,これらを基に成績が確定します。さらに学生は実習終了直後,実習に関するアンケ−ト を提出します(Fig .3 )。これはあくまで学生の主観によるものですが,今後の病院実習の在り方につい て,病院実習施設協議会等で話し合う際に参考資料として活用されています。

実 の効果を き出すために および 療に する 的 は である 実際に れている 療について が な れば その の 的

取得に 定され その の に がらない れがある そのため では 実 に 約

3

か から 実 目を さ るカリキ ラムを採用すると に 分 の による を っている

Fig.2

の 本 技 による 実 イドライン に 実 に おいては 成 と実 の を図り 実 計画 実 の め方 実 に ついて 換する のとする と示されているように との

は 変 要となる これに対し本 では の一 として れる 実 を 変 要 しており の 方との し いの で アン

ト および実 を に の の 出や の り方に

ついて に を い 実 にお る 効果の向上を計っている

3

実 を えて

実 が すると は実 を担当 に 出します また実 からは 成 と が に られ これらを に成 が確定します さらに は実

直 実 に するアン トを 出します

Fig.3

これはあ まで の による のですが の 実 の り方について 実 で し

う際に 資料として 用されています

Fig.2

実 直 ス ジ ル

Fig.3 病院実習アンケ−ト

に 分たちが体 した実 について に対してプレ ン ンを って らいます の や 技 の および あるいは に ったイ ント について した 質 応 を い 目線での 意 や 目 を 紹介することで の実 に対するモ ン向上に がることを してい ます

現状での

3

6

実 される 実 について 医療現 での 技 は の 作 管理が であることから を とした実 になら るを得 ないことは 分理解できるが に および複雑な医療機 を 全に理 解することは であり の に き している状 である これに 対し 機 においては より 実した を えるとと に 的 からの

Early exposure

の を実 す きである

5

まとめ

6

の実 を えると は 一 に の表 で って ります しかし実 を いて ると 一 り成 した があり や 療について 的確な え方 ができるようになっています また での実体 が らに 意 を えさ

に して 分は 技 になりたいと えるようになり に取り 度に 変化が現れてきます

このように

4

の の で 実 が果たす 割と影 は に き は れ である との を め 実 効果が き出 る りに めていかな ればならない

Fig.3

病院実習アンケ-ト

 最後に,自分たちが体験した実習について,下級生に対してプレゼンテ−ションを行ってもらいます。

病院の特徴や臨床工学技士の配置および業務内容,あるいは印象に残ったイベント等について説明した 後,質疑応答を行い学生目線での注意点や着目点等を紹介することで,下級生の実習に対するモチベ−

ション向上に繋がることを期待しています。

4.現状での問題点

 3 年後期に6 週間実施される病院実習について,医療現場での臨床工学技士業務は生命維持装置の操 作・管理が主であることから,見学を中心とした実習にならざるを得ないことは十分理解できるが,短 期間に生命維持装置および複雑な医療機器を完全に理解することは困難であり,就職後の卒後教育に大 きく依存している状況である。これに対し教育機関においては,より充実した設備を備えるとともに,

比較的低学年からの職業体験(Early ex p osure)等の導入を実施すべきである。

5.まとめ

 6 週間の実習を終えると学生諸君は,一様に安堵の表情で戻って参ります。しかし実習報告等を聞い てみると,一回り成長した感があり疾患や治療について,的確な捉え方ができるようになっています。

また病院での実体験が彼らに職業意識を芽生えさせ,以前にも増して自分は臨床工学技士になりたいと 思えるようになり,国家試験に取り組む態度にも変化が現れてきます。

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臨床実習への取り組み

 このように4 年間の教育課程の中で病院実習が果たす役割と影響力は非常に大きく,我々教員は今後 も受け入れ側である臨床病院との連携を深め,実習効果が最大限引き出せる環境づくりに努めていかな ければならない。

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参照

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