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界 面 活 性 剤 共 連 続 逆 キ ュ ー ビ ッ ク 相 の 構 造 に 対 す る ず り 流 動 場 の 効 果

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(1)

修 士 学 位 論 文

界 面 活 性 剤 共 連 続 逆 キ ュ ー ビ ッ ク 相 の 構 造 に 対 す る ず り 流 動 場 の 効 果

指 導 教 授 加 藤 直 教 授

平 成 2 6 1 1 0 提 出

首都大学東京大学院

理 工 学 研 究 科 分 子 物 質 化 学 専 攻 学修番号 12880334

氏 名 山 野 井

(2)

目次 第1章 序論

1.1 両親媒性分子集合体と共連続キュービック相 ... 1

1.2 ずり流動場 ... 1

1.2.1 ひずみと弾性率 ... 1

1.2.2 ずり速度と粘度 ... 2

1.2.3 粘弾性 ... 3

1.2.4 定常ずり流動場と振動ずり流動場... 3

1.2.4.1 定常ずり流動場 ... 3

1.2.4.2 振動ずり流動場 ... 3

1.3 共連続キュービック相に対する流動場効果の研究 ... 4

1.4 本研究の目的 ... 5

2章 実験 2.1 試料 ... 6

2.2 静止状態における小角X線散乱測定 ... 6

2.3 定常ずり応力測定 ... 7

2.4 貯蔵・損失弾性率の測定 ... 8

2.5 レオロジー/小角X線散乱同時測定(rheo-SAXS) ... 9

2.6 試料温度の測定 ... 10

3章 結果と考察 3.1 静止状態でのSAXS測定 ... 11

3.2 定常ずり測定 ... 12

3.2.1 ずり応力測定 ... 12

3.2.2 ずり応力/小角X線散乱同時測定... 12

3.3 振動ずり測定 ... 13

3.3.1 レオロジー測定 ... 13

3.3.1.1 Ia3d相に関するレオロジーの基礎測定 ... 13

3.3.1.2 非線形領域での貯蔵・損失弾性率の測定 ... 14

3.3.2 レオロジー/小角X線散乱同時測定 ... 15

3.3.2.1 ひずみ振幅の段階的上昇による効果 ... 15

(3)

3.3.2.2 MAOSの角振動数の違いによる効果 ... 17

3.3.2.3 LAOSの効果とMAOSのひずみ振幅の違いによる効果 ... 19

3.4 今後の課題 ... 21

3.4.1 定常ずり測定 ... 21

3.4.2 振動ずり測定 ... 21

4章 総括 ... 23

謝辞 ... 27

参考文献 ... 28

図の説明 ... 29

(4)

学位論文要旨(修士(理学))

山野井 睦

論文題名:界面活性剤共連続逆キュービック相の構造に対するずり流動場効果

脂質や界面活性剤などの両親媒性分子は,親水基と疎水基を併せ持つために,溶液中で 様々な形状の分子集合体を形成する。高濃度になるとこれらの集合体が配列し,リオトロ ピック相と呼ばれる高次集合体を形成する。リオトロピック相の特徴の1つに,比較的遅 いスケールで変動する微弱な外場により構造変化に大きな影響を受けることが挙げられる。

本研究で注目しているずり流動場もそのような外場の1つである。これまでに,リオトロ ピック相のずり流動場効果に関する研究は数多く報告されているが,その多くは二重膜が 1次元方向に積層した構造を持つラメラ相(Lα相)を対象とするものである。

一方,脂質系で多く見られるリオトロピック相の1つである共連続逆キュービック相(V2

相)は,ラメラ相と同様二分子膜からなるが,膜がネットワーク状に連結した構造を単位格 子とする秩序相で,膜タンパク質の結晶化マトリクスとして最近注目されている。これま でに,対称性の異なる3種類のV2相(Im3m相,Ia3d相,Pn3m相)が報告されているが,

ずり流動場効果に関する報告はほとんどなく,数年前にモノオレイン/1,4-butanediol/水系 において,スポンジ相(L3相)に大振幅振動ずりを印加しながら水を添加すると,配向した Pn3m 相が形成されることが報告されているだけである。V2相の1つ(Ia3d 相)と同じ対称 性を持ち,紐状ミセルがネットワーク状に繋がった共連続順キュービック相(V1相)に対して は,定常ずり流動後に静置することにより部分配向することや,定常ずり流動によりV1 からLα相に転移することが1例ずつ報告されている。ただしいずれもレオロジー測定はさ れておらず,ずり流動場効果の要因は不明である。一方,ブロック共重合体系でgyroid と呼ばれるIa3d相と同じ対称性を持つ相では,Ia3d相に隣接するラメラ(Lα)相やヘキサゴ ナル相を大振幅振動ずり(Large Amplitude Oscillation Shear:以下 LAOSと略)により 配向させ,その後温度変化させてgyroid相に転移させると配向試料が得られることが報告 されている。しかしgyroid相に直接ずり流動場を印加して配向させた例はない。

このように,V2相のみならず,共連続構造を持つキュービック相に直接ずり流動場を印 加した研究例は極めて少ない。これは,共連続キュービック相の弾性率が極めて高く,実 験自体が困難であること,3次元の対称性が高い構造を持つため,ずり流動場による構造 変化が期待し難いことが要因と考えられる。

そこで本研究では,非イオン界面活性剤C12H25(OC2H4)2OH(C12E2/水系で形成される 共連続逆キュービック相のIa3d相(30℃,60~63wt%)について,レオロジー測定およびレ オロジーと小角X線散乱の同時測定(rheo-SAXS)を行い,Ia3d相の構造に対するずり流動 場効果について調べることを目的とした。

本研究では大きく分けて,次の2種類の測定方法を用いた。

(5)

(1)定常ずり測定:一定方向にひずみを印加する測定

(2)振動ずり測定:振動的にひずみを印加する測定

(1)では,3 桁以上のずり速度範囲(0.01s-1~8s-1)において,ずり応力()がずり速度の 0.3乗に比例することを初めて見出した。また,rheo-SAXS測定においては,定常ずりをか けることにより,部分的に配向したSAXSパターンから粉末パターンへの変化が観測され,

ずり速度の上昇に伴う格子定数の変化や他相への構造転移は見られなかった。この結果に より,ずり速度8s-1 以下では,定常ずりは,グレイン(同じ方向を向いた単位格子の集合)

を微細化させること,ひずみはグレインとグレインの間に集中することが分かった。

(2)のrheo-SAXS測定においては,LAOSを印加するとradial配置およびtangential 配置(X 線の方向がそれぞれ速度勾配方向および流動方向になる配置)において SAXS 粉末パターンが得られ,その直後にひずみ振幅0が線形領域にある小振幅振動ずり(Small Amplitude Oscillation Shear:以下SAOSと略),または0LAOSSAOSの間となる 中振幅振動ずり(Medium Amplitude Oscillation Shear:以下 MAOSと略)を印加する と,tangential 配置において試料が特定方向に強く配向することが分かった。これらの結 果から,LAOSによりグレインが微細化し,その後のSAOSおよびMAOSでは,配向性の 増大つまりグレインの成長が起こっていることがわかった。また,グレインの微細化と成 長は何度も繰り返すことができた。

LAOSの直後に印加するMAOSのひずみ振幅・角振動数と試料の配向性の関係を調べる ために,(a) ひずみ振幅一定下における角振動数依存性と,(b) 角振動数一定下におけるひ ずみ振幅依存性を調べた。(a)の実験では,ひずみ振幅0= 0.035において異なる3種類の角 振動数(1, 6.28, 15 rad s-1)のMAOSを印加した結果,いずれも印加後約2000 s後までは同 じ方向に高配向した試料が得られ,回折ピーク強度の増大速度も類似していることがわか った。一方2000 s後以降では角振動数による違いがみられた。特に角振動数1 rad s-1では,

tangential配置における配向方向が変化し,他の振動数に比べてradial 配置における配向 が強くなった。(b)では,角振動数6.28rad s-1において異なる3種類のひずみ振幅0 = 0.004, 0.035, 0.4MAOSを印加した結果,0 = 0.035のときに最も高配向の試料が得られた。

さらに,LAOSを印加する前後に同じ条件(0 = 0.035,角振動数6.28rad s-1)のMAOS 印加した実験を行った結果,SAXS パターンおよびレオロジー測定の結果が LAOS印加前 後で大きく異なることがわかった。LAOS の後に加えた場合は,先に述べたように高配向 性を示し,貯蔵弾性率 G’と損失弾性率 G”が極小をとった後増大したが,最初から MAOS を印加した場合は,特定方向への配向は見られず,G’G”は極大をとった後減少した。す なわち試料の配向性とレオロジー的性質の間には一定の関係があることが示唆された。

今後,グレインサイズの変化を定量的に調べると共に,他の様々な条件でレオロジー/小 X 線散乱を行うことにより,試料の配向性とレオロジー的性質の間の関係を定量化し,

最適な配向条件やグレインの成長機構を明らかにすることができると考えられる。

(6)

1

1章 序論 1.1 両親媒性分子集合体と共連続キュービック相

脂質や界面活性剤などの両親媒性分子は,親水基と疎水基を併せ持つために,溶液中で 様々な形状の分子集合体を形成する。高濃度になるとこれらの集合体が自発的に会合し,

球状や紐状のミセルや二分子膜などの集合体を形成する。これらの集合体が単位となり,

さらに秩序構造を形成して,温度や濃度などの外的要因により様々な形態をとるリオトロ ピック相が形成される。リオトロピック相には,二分子膜が1次元方向に積層した構造を 持つラメラ相(Lα)や,棒状ミセルが六方晶に並んだヘキサゴナル相などがある。

リオトロピック相の1つである共連続逆キュービック相 (V2)は,ラメラ相と同様二分 子膜からなるが,膜がネットワーク状に連結した構造を単位格子とする秩序相で,膜タン パク質の結晶化マトリクスとして最近注目されている。これまでに,対称性の異なる3種 類のV2相(Im3m相,Ia3d相,Pn3m相)が報告されている。(図1.1(a)1)2))またこれら 3種類と同じ対称性を持ち,紐状ミセルがネットワーク状に繋がった相もあり,共連続順 キュービック相(V1) (図1.1(b)3))と呼ばれる。

1.2 ずり流動場

リオトロピック相のような両親媒性分子集合体の特徴の1つに,比較的遅いタイムスケ ールで変動する微弱な外場によって構造に大きな影響を受けることが挙げられる。集合体 の構造は空間スケールが数nm~数百nmに及ぶため,構造変動のタイムスケールは低分子 の分子運動のタイムスケールと比較するとはるかに遅い。したがって,遅いタイムスケー ルで変動する外場によって構造に大きな影響を受けるということが起こり得る。

本研究で注目しているずり流動場もそのような外場の1つである。この節では,ずり流 動場の基本概念について,簡単に説明する。

1.2.1 ひずみと弾性率

1.2のような直方体の固体試料を考える。この直方体の1つの面をx方向にΔxだけ動 かしたとき,ひずみ( γ )を次式のように定義する。

(7)

2

𝛾=∆𝑥𝑦 (1.1) ここでyはこの面に相対するもう1つの面との間の距離である。このとき,ひずみを元に戻 そうとする力が面に沿って働く。この力を面の面積で割った量をずり応力(σ)(単位:Pa と呼び,ずり応力とひずみの比

𝐺=𝜎𝛾 (1.2) をずり弾性率(単位:Pa)と呼ぶ。G がひずみに依存しない領域を線形領域,ひずみに依 存する領域を非線形領域と呼ぶ。線形領域では,一般にひずみは試料の平均構造に影響を 与えない。(1.2)式は

σ=𝐺γ (1.3) と書くこともある。一方非線形領域では,平均構造の変化が起こり得るため,この領域を 対象に様々な相において多くの研究が行われている。

1.2.2 ずり速度と粘度

1.3に示すように,流体を2枚の板で挟み,一方の板を速度vx方向に動かすと,板 に接している部分の流体は板と同じ速度で動くが,板から遠ざかるほどその速度は遅く,

流体の内部に速度勾配が生じる。このような速度勾配を生じさせる場をずり流動場という。

2枚の板の間の距離をyとすると,速度勾配は

𝛾̇=𝑑𝑣𝑑𝑦𝑥 (1.4) で定義され,ずり速度(単位:s-1)と呼ばれる。𝑣𝑥=𝑑𝑥/d𝑡であるから,(1.1)(1.4)式から ずり速度はひずみの時間微分に相当することがわかる。ずり応力σ(板が動く方向と反対方 向に働く単位面積当たりの力)とずり速度の比 𝜂 を粘度(単位:Pa s)と呼ぶ。

𝜂=𝜎𝛾̇ (1.5)

𝜎=𝜂𝛾̇ (1.6) 粘度がずり速度に依存せず一定の流体をニュートン流体(または純粘性体),粘度がずり速 度に依存する流体を非ニュートン流体と呼ぶ。

(8)

3 1.2.3粘弾性

1.2で示したような一定のひずみをかけた後のずり応力の時間変化を考える。ひずみを かけている間ずり応力が時間変化しない物質を理想弾性体と呼ぶ。一方,ニュートン流体 のずり応力は,(1.6)式に示すようにずり速度,つまりひずみの時間微分に比例するため,

ひずみをかけた瞬間は無限大のずり応力が働くが,その後は 0 となる。一般の物質は,こ の両方の性質を持っており,ひずみをかけた瞬間は理想弾性体のようにひずみに比例した ずり応力が働くが,時間と共にずり応力は減衰する。ずり応力の減衰速度の目安として,

応力緩和時間が用いられる。ずり応力の減衰は,ひずみによって変化を受けた試料内部の 構造が平衡状態に戻るためであるので,応力緩和時間は構造緩和時間とも呼ばれる。感覚 的に認知し得る応力緩和時間を持つ物質は粘弾性体と呼ばれるが,応力緩和時間の範囲に 決まった定義はないので,すべての物質は広い意味で粘弾性体と言える。固体の線形領域 は,応力緩和時間が無限大,ニュートン流体は応力緩和時間が0の極限に相当する。

ずり流動場には,一定方向にひずみが変化する定常ずり流動場と,ひずみが振動的に変化 する振動ずり流動場がある。

1.2.4 定常ずり流動場と振動ずり流動場

1.2.4.1 定常ずり流動場

応力緩和時間 τ の物質にずり速度𝛾̇のずり流動場を印加した場合,𝛾̇τ 1よりはるかに 小さいときは,ずり流動場による変形の速さよりも元に戻る速さの方が速いため,平均の 構造はずり流動場により影響を受けず,粘度はずり速度に依存しない。一方,𝛾̇τ 1より 大きいときは元に戻るまでの速さが変形に追いつかず,ずり流動場により平均構造が変化 する。この場合には,粘度η はずり速度に依存する。これが非ニュートン流体の場合に相当 する。

1.2.4.2 振動ずり流動場

1.4に示したように流体を2枚の板で挟み,一方の板を平行に振動的に動かしたときに 生じるひずみを次式のように表す。

(9)

4

𝛾(𝑡) =𝛾0sin𝜔𝑡 (1.7) ただし,ω は角振動数(単位:rad s-1)である。理想弾性体のずり応力はひずみに比例する ので𝜎(𝑡) =𝐺0𝛾0sin𝜔𝑡 ,純粘性体のずり応力はずり速度に比例するので𝜎(𝑡) =η(𝑑γ(𝑡)

𝑑𝑡 ) = ηω𝛾0cos𝜔𝑡と,それぞれ同位相およびπ/2だけ位相が進んだずり応力(σ)が生じる。粘弾性体 はこれら2つの性質をもつので,位相はδ ( 0 < δ < π / 2) だけ進む。ひずみを弾性成分と粘 性成分で表わせば,次式となる。

𝜎(𝑡) =𝜎0sin(𝜔𝑡+𝛿)

=𝜎0cos𝛿sin𝜔𝑡+𝜎0sin𝛿cos𝜔𝑡

=𝐺𝛾0sin𝜔𝑡+𝐺"𝛾0cos𝜔𝑡

0 0 0

0 sin ( )

) (

"

) ( ) cos

( γ

ω δ ω σ

γ ω δ

ω =σ =

G

G 1.8

G は貯蔵弾性率(弾性成分)G は損失弾性率(粘性成分)と呼ばれる。したがって,

各角振動数における応力振幅𝜎0と位相のずれδ(ω)を測定することにより,G ’ (ω) G ”(ω) を角振動数の関数として求めることができる。

1.3 共連続キュービック相に対する流動場効果の研究

リオトロピック相のずり流動場効果に関する研究は数多く報告されているが,その多く はラメラ相(Lα)を対象とするもので,特にラメラ相から「オニオン相」と呼ばれる多重膜 ベシクルのみで充填された相への転移に関する研究が多い4)。当研究室でも,非イオン界面 活性剤CnH2n+1(OC2H4)mOH(以下CnEmと略)と水が作るラメラ相について,小角X線散 /ずり応力同時測定(rheo-SAXS)と小角光散乱/ずり応力同時測定(rheo-SALS)により,一 定ずり速度下での温度上昇に伴うラメラ→オニオン転移(C16E7)5)6)およびラメラ→オニオ ン→ラメラ転移(C14E5)7)を初めて見出している。

これに対して,共連続逆キュービック相(V2)や共連続順キュービック相(V1)を対象と した研究は,極めて限られている。これは,これらの相の弾性率が極めて高く,実験自体 が困難であること,3次元の対称性が高い構造を持つため,ずり流動場による構造変化が 期待し難いためと考えられる。共連続順キュービック相(V1)(対称性:Ia3d)を形成す C16E7/水系では,定常ずり流動によりV1相から Lα相に転移することが報告されている

8)。同じくV1相を形成するC12E5/C14H30/水系においては,定常ずり流動後に静置すること により,試料が部分的に配向することが示されている 9)。共連続逆キュービック相(V2)

(10)

5

Pn3m相を形成するモノオレイン/1,4-butanediol/水系においては,初めにスポンジ相(L3

)を形成させ,そこに水を滴下しながら大振幅振動ずりを印加することにより,配向した Pn3m相が得られることが報告されている10) 。これは,1,4-butanediol/水混合溶媒中の水 の比率を増加させるとL3相からPn3m相に転移すること,L3相がV2相に比べて弾性率が 小さいことを利用したものである。以上の研究では,粘度や貯蔵・損失弾性率は測定され ていないので,レオロジー的性質との関係はわかってない。

一方,ブロック共重合体の中には,V1相やV2相の一種と同じ対称性(Ia3d)を持つgyroid 相と呼ばれる相がある。これらの系には水は含まれておらず,ブロック共重合体の2つの ブロックが,それぞれV2相の疎水基から成る連続相と親水基・水相から成る連続相に対応 した共連続構造を形成する。Schulz11) Vigild 12)は,gyroid相に隣接するラメラ相 やヘキサゴナル相をあらかじめ振動ずりにより配向させ,その後温度を変化させて gyroid 相に転移させることにより,配向した共連続逆キュービック相が形成されることを報告し ている。

1.4 本研究の目的

以上述べたように,これまでに V2相のずり流動場効果に関係する報告は1例しかなく,

直接ずり流動場を印加した報告はない。またV2相のみならず,共連続構造を持つキュービ ック相に直接ずり流動場を印加した研究例は極めて少ない。

そこで本研究では,V2相に直接ずり流動場を印加したときの効果を系統的に調べること を目的とした。系としては,これまで研究室で対象としてきた非イオン界面活性剤CnEm 水の系から,共連続逆キュービック相を形成するC12E2/水系を選んだ。脂質系のV2相はよ く知られているが,界面活性剤系でV2相の形成が報告されているのはC12E2/水系のみであ る。この系は,Pn3mIa3d の2種類の対称性が異なるV2相が形成されることが報告さ れている。本研究では,より濃度・温度範囲が広いIa3d相について,レオロジー測定およ びレオロジーと小角X 線散乱の同時測定(rheo-SAXS)を行い,Ia3d相の構造に対するずり 流動場効果を調べた。ずり流動場としては,定常ずり流動場と振動ずり流動場の両方を用 いた。

(11)

6

2章 実験

2.1 試料

実験に用いた試料は非イオン界面活性剤C12E2 (化学式 C12H25(OC2H4)2OH)の水溶液 である。C12E2は日光ケミカルズ社の製品(純度 98 %以上)をそのまま使用した。溶媒の水 (H2O)は,水道水を純水製造装置(Merck Millipore Direct-Q UV)で精製して用いた。

界面活性剤の酸化による分解を防ぐために,試料は約 30分間窒素を通した蒸留水を用いて 作成した。

実験は界面活性剤濃度6066 wt%で行っており,室温でラメラ相を形成しているため,

均一な試料を作成するために以下の方法で調整した。

界面活性剤と水を混ぜたのち容器(20 ml 三角フラスコ)に窒素を注入し,密封する。

振とう機で攪拌する(室温,15分間)

20 ºCの恒温槽に移し,一晩静置する。

②と③を1日に数回行い,これを47日間繰り返す。

微量の酸素の混入は避けられないことと,蒸発による濃度変化を考慮し,測定は試料を調 整した日から2週間以内に行った。

2.2 静止状態における小角X線散乱測定

静止状態における小角X線散乱測定は,RIGAKU社製Nanoviewerを用いて行った。検 出器には,Imaging PlatePILATUS 100KDectris社製)を用いた。波長は0.154 nm とした。カメラ長は標準試料のステアリン酸またはステアリン酸鉛の測定により決定した。

解析に用いた散乱ベクトルの値(q )の範囲は0.35 < q < 3.0 nm-1である。試料セルは厚さ 1 mmの銅板を用い,カプトンで塞いだ。試料温度はホットステージ(Metller社製 TS62 温度コントローラー (INSTEC社製 mk-1000)を用いて制御した。セルに試料を約0.2 g れ,20℃で約10 分静置し,その後目的温度である30℃へ昇温速度0.1/min で上昇させ た。温度ごとのSAXSパターンを測定する場合は,目的温度になってから15分後に測定し た。時間経過ごとのSAXSパターンを測定する場合は,一定温度で1分おきの測定を2

(12)

7 間行った。

静止状態の測定は,rheo-SAXS用の測定セルでも行った(セルの詳細は次の 2.3で説明 する)

2.3 定常ずり応力測定

定常ずり応力測定には,2種類のレオメータ(TA Instruments社のAR550およびAnton

Paar社製MR-301 )を目的に応じて使用した。

AR550は,後で説明するrheo-SAXSの測定に用いるレオメータで,SAXSの光学系への

設置に適した大きさと試料部周りの空間を有する。セルは当研究室で作成された二重円筒 型のSAXS用セル5)6)を用いた。セルの断面図を図2.1に示す。ギャップは1 mmで,内筒

(外径 27 mm,及び外筒(内径29 mm)の材質にはX線の透過率が比較的高いポリカー

ボネートが使用されている。内筒が回転することにより試料にずりをかける。外筒の周り は試料の温度コントロールのために熱伝導の良い銅で覆ってある。大学の実験室での測定 においても,rheo-SAXS測定と同じ試料環境にするために,大部分の測定はAR550と上記 SAXS用セルを用いて行った。

2.1で示すように外筒の上部に取り付けた溝に水をはり,内筒上部のカバーを下すこと によりセルの内部を飽和水蒸気圧で満たし,溶媒の蒸発防止を図った。溝にはる水は測定 中随時補給し,枯渇することが無いように注意した。必要な試料量は約7 gであるが,試料 が粘稠で内外筒の間に試料を均一に入れることが困難であるため,予め8 gを外筒内に入れ,

上から内筒を所定の位置(底面から5920 µm)まで下ろす間に溢れ出す試料をスパチュラ で除去した。その後,次に述べるpre-shearingを行う温度に設定した。

内筒を下すとき,必然的に試料には鉛直方向にずり流動が与えられる。そこで試料の初 期状態を統一させるために,測定に先だって一定ずり速度で一定時間定常ずり流動場を加 えるpre-shearingを行った。C12E2/水系は,測定を行った濃度(6066 wt%)において室温 でラメラ相を形成する。ラメラ相はV2相よりも粘度が低いため,pre-shearingに適してい

るので,pre-shearing ラメラ相に相当する温度(25)において行った。ずり速度が高い

と,ラメラ相はオニオン相に転移する可能性があるため,pre-shearingのずり速度は0.05 s-1 とし,30分間行った。

MR-301は,測定可能な最大トルクが200 Nm で,AR550の最大トルク(50 Nm)より大

きいため,高濃度(66 wt%)試料の測定および高ずり速度での測定にはこのレオメータを使

(13)

8

用した。試料セルには二重円筒型セルでその断面図を図2.2に示す。基本的にAR550と似 た構造であり,実験上の操作や注意点等は同じであるが,MR-301の場合は,試料内部が閉 鎖系になっており,rheo-SAXS測定を行うことができない。

2.4 貯蔵・損失弾性率の測定

貯蔵・損失弾性率の測定にはTA Instruments社のレオメータAR550を用いた。このレ オメータは応力制御であるため,実際の測定は一定振幅の振動ひずみを印加するのではな く,一定振幅の振動応力を印加した。

系に振動応力σ(t)=σ0sinωtを与えると,理想弾性体ではγ(t)=(σ0/G0)sinωt,純粘 性体ではγ(t) = (dσ(t)/dt)/η = (ωσ0 /η)cosωtと,それぞれ同位相およびπ/2 だけ位相の ずれたひずみ(γ)が生じる。粘弾性体は,理想弾性体・純粘性体両者の性質を併せ持つもの で,位相はδ ( 0 < δ < π / 2) だけ遅れる。ひずみを弾性成分と粘性成分で表わせば,次式と なる。

t  G

t G

t t

t t

t t

ω ω

σ ω ω

σ

ω ω δ γ ω ω δ γ

ω δ ω ω

δ ω γ

ω δ ω γ

γ

cos )]

(

"

/ [ sin )]

( ' / [

cos ) ( sin sin

) ( cos

)]

( sin cos ) ( cos [sin

)]

( sin[

) (

0 0

0 0

0 0

+

=

+

=

+

=

+

=

) ( ) sin

(

"

) ( ) cos

(

0 0 0

0 γ δ ω

ω σ ω

δ γ

ω = σ =

G

G (2.1)

ただしω は角振動数で,G は貯蔵弾性率(弾性成分)G は損失弾性率(粘性成分)と 呼ばれる。したがって,各角振動数における位相のずれδ(ω)を測定することにより,G ’(ω) G ”(ω) を角振動数の関数として求めることができる。

まず,いくつかの異なる角振動数(0.116.2815 rad s-1)において,角振動数一定で応 力振幅を変化させてG’ G” の測定を行い,線形領域と非線形領域の決定を行った。線形 領域はG’ G” が共にひずみに依存しない領域で,非線形領域はひずみに依存する領域で ある。

線形領域では,一般にずり流動場は平均構造に影響を与えないため,この領域におけるG’

G” の角振動数依存性は,平衡状態における粘弾性的性質を表す。そこで,応力振幅を線 形領域である20 Paに固定し,0.02100 rad s-1の角振動数範囲においてG’ G” の角振 動数依存性を測定した。

(14)

9

一方非線形領域では,平均構造の変化が起こり得るため,定常状態に達するまでに時間 がかかることがある。そこで,本研究では一定の角振動数・応力振幅においてG’ G” 時間依存性を測定した。

線形領域・非線形領域共に,振動ずり測定の前には,定常ずり測定の場合と同様,試料 の均一化のために 25℃(ラメラ相)においてずり速度 0.05 s-130 分間のpre-shearing を行い,その後,Ia3d相が形成される30℃に温度を上昇させた。ただし振動ずり測定の場 合は,温度を30℃に設定すると同時に線形領域(0.1 rad s-120 Pa)において小振幅振動ず り(Small Amplitude Oscillatory Shear :以下SAOSと略)を印加し,温度上昇に伴うG’

G” の時間依存性を観察した。このときのひずみ振幅はγ0 = 0.004と極めて小さいので,

この測定により試料がIa3d相に完全に転移していることを確認することができる。

非線形領域の場合には,振動ずりの印加により平均構造が変化する可能性があり,印加 前に平衡状態にあっても,印加後定常状態に達するまでに時間がかかることがある。そこ で,基本的には一定の角振動数・応力振幅でG’ G” の時間依存性を測定し,この測定を 種々の角振動数と応力振幅の組み合わせに対して行った。

2.5 レオロジー/小角X線散乱同時測定(rheo-SAXS)

Rheo-SAXSの測定は,高エネルギー加速器研究機構放射光科学研究施設(PF)BL-6Aおよ

SPing-8 BL-40A2で行い,X線領域の軌道放射光を光源に使用した。PFにおける測定

では,モノクロメーターで波長を0.15 nmとし,3つのスリットで試料位置に集光させた。

サンプル位置でのビーム径は0.50.8 mmとした。検出器には9インチimage intensifier および9インチ2次元CCDカメラ(1024 × 1024 pixels)を用い,カメラ長約 1.3 mで測定 した。正確なカメラ長は標準試料のステアリン酸の測定により決定した。解析に用いた散 乱ベクトルの値(q )の範囲は0.35 < q < 2.8 nm-1である。

レオメータは,前節で述べたTA Instruments社のAR550を使用した。測定は,セルの 中心を X 線が通過する配置(radial configuration)と,セルの端を X 線が通過する配置 (tangential configuration)の2通りで行った(図2.3(a)。ずり流動場の方向は,flow (流 動)方向と velocity gradient (速度勾配)方向により規定され,両方向に垂直な方向を

neutral (鉛直)方向と呼ぶ(図2.3(b)radial 配置ではビームが速度勾配方向に平行で

あるため,neutral 方向と flow 方向にそれぞれ垂直な結晶面の回折ピークが観測でき,

tangential 配 置 で は ビ ー ム が 流 動 方 向 に 平 行 で あ る た め ,neutral 方 向 と velocity

(15)

10

gradient 方向にそれぞれ垂直な結晶面の回折ピークが観測できる(図2.3(c)

2.6 試料温度の測定

Rheo-SAXS の測定に用いたレオメータは試料の温度制御にペルチェ素子を用いている。

当研究室で制作した SAXS 測定用の二重円筒セルの温度制御は外筒を覆っている銅ブロッ クの底部をレオメータのペルチェプレート全体に密着させ,銅ブロックを介してその熱を 試料に伝えることにより行っている。したがって,セルの底部から上部に向かって温度勾 配が生ずることは避けられない。そこで,本研究では熱電対を用いて X 線を透過させる位 置付近の銅ブロックの温度を測定し,試料の温度とした。銅ブロックは表面積が大きいた め周囲の影響を受けやすく,実験室の空調の風が直接当たると設定温度によらず 0.20.4 ºC 程度の変動が生じることがわかった。本研究では一定温度で実験を行っているが,熱電 対に表示される温度が一定になるように設定温度を測定中にも変更した。

(16)

11

3章 結果と考察

3.1静止状態でのSAXS測定

これまでに報告されているC12E2/水系の相図13)を図3.1に示す。この相図を参考に,Ia3d 相が形成される濃度・温度範囲を,静止状態のSAXS測定を用いて確認した。

まず,相境界に近い60 63 wt%において,ラメラ相を形成する20℃から出発して33.5 まで10/minで上昇させた後,0.5℃おきまたは1℃おきに温度を下降させ,相の確認を行 った。その結果を図3.2に示す。横軸は散乱ベクトルの絶対値q= (4π/λ)sinθλX線の波 長,2θ:散乱角)で表している。本研究で用いるC12E2/水系において観測されるIa3d相,

Pn3m相の消滅則は表3.1のように示される。図3.2に示した1次元SAXSパターンは,2 次元SAXSパターンの円環平均により求めた。SAXSパターンから回折ピーク位置qmax 読み取り,相の同定を行った。キュービック相の回折ピーク位置と格子定数の関係は,次 式で表される。

𝑞𝑚𝑎𝑥 = (2𝜋(ℎ2+𝑘2+𝑙2)12) 𝑎𝑐

(3.1)

ただし,h,k,lはミラー指数,acは格子定数である。図3.3(a)(b)Pn3m相とIa3d相の 単位格子を模式的に示す。60 wt%の場合,2025℃でラメラ相を形成し,26℃でラメラ相 Ia3d相の共存が確認された。2730℃ではIa3d相を形成し,30.5~33℃ではIa3d相と Pn3m相の共存であった。63 wt%の場合は,2327℃でラメラ相を形成し,28℃でラメラ 相とIa3d相の共存が確認された。2931.5℃ではIa3d相を形成し,3233.5℃ではIa3d 相とPn3m相の共存であった。以上の結果から,Ia3d相単層が形成される共通温度である 30℃を測定温度とした。

続いて30℃において606366 wt%で相の確認を行った。その結果を図3.4(a)-(c)に示 す。示した結果は,測定開始から120分後の結果である。回折ピーク位置qmax から帰属を 行うと,すべての濃度においてIa3d相に帰属された。回折ピーク位置とミラー指数の関係 から,図3.5を示すことでき,その傾きから求めた格子定数は表3.2のようになり,予想通 り濃度の増大と共に減少した。この結果から,実際に行うレオロジー測定およびrheo-SAXS 測定は主に63 wt%30℃の条件で行った。

(17)

12 3.2 定常ずり測定

3.2.1ずり応力測定

Anton Parr社のMCR301およびTA Instrument社のAR550を用いて 60 63 66 wt% 30℃において定常ずり測定を行った。ずり速度𝛾̇0.0120 s-1の範囲で段階的に上昇させ た。各濃度において,ずり速度を15分または30 分印加し,各ずり速度の最後のずり応力 の結果をずり速度に対して両対数プロットした結果を図3.6に示す。図から,プロットはほ ぼ直線になることがわかる。このことは,次式で表されるべき乗則が成り立つことを示し ている。

𝜎𝛾̇𝑥3.2

(3.2)式によるfittingから求めたべき指数 xを表3.3に示す。この結果から xは濃度によ

らず約0.3となることがわかった。ニュートン流体の場合はx 1,非ニュートン流体の場 合は x1となる。これまでにラメラ相ではx = 3/514), 2/315)というべき指数が理論的に予 測されており,実験でも確認されているが,Ia3d 相についてはこれまでべき乗則が成り立 つという報告すらなく,本研究により初めて見出された。

高ずり速度側においては,同じ条件で測定しているにもかかわらず,しばしばべき乗則 からのずれがみられた。これは定常ずり流動場による構造転移の可能性を示唆しているが,

残念ながら再現性のある結果が得られていない。

3.2.2 ずり応力/小角X線散乱同時測定

ずり応力/小角X線散乱同時測定は,SPring-8 BL-40A2において,63 wt%30℃で行っ た。ずり速度は0.050.5 s-1の範囲で段階的に上昇させた。その結果を図3.7に示す。まず,

上記の実験室での結果と同様にべき乗則が成りたち,同じべき指数(x ≅ 0.3)が得られた。

このとき同時に測定した2次元SAXSパターンを図3.8(a)-(d)に示す。ここでは,セルの側

面にX線を通すtangential配置での結果を示す。定常ずり流動を印加すると,radial配置

およびtangential配置においてほぼ粉末パターンとなった(図3.8(a)-(d)。この実験では,

ラメラ相からIa3d相へ転移させる際に,ずり速度0.05 s-1の定常ずり流動場を印加してい るため,印加前の SAXS 結果はないが,後で示す結果(3.3.2.13.3.2.23.3.2.3)と同じセ ルで測定しており,それらのずり流動場を印加前の SAXS パターンが方位角に対して不規

(18)

13

則なスポットを示していることを考慮すると,定常ずりを印加する前は,図3.9(a)のような 様々なサイズのグレインが存在していると考えられる。したがって,定常ずりの印加で粉 末パターンが得られたのは,グレインサイズがずり流動により微細化したことによると考 えられる(図3.9(b)。図3.10には,それぞれの2次元SAXSパターンを円環平均した1次 元パターンを示す。回折ピーク位置から相の帰属を行うと,格子定数が12.8 nmIa3d に帰属された。また,ずり速度の上昇による格子定数の変化は見られず,2次元パターン にも変化は見られなかったため,他相への転移は起こっていないと考えられる。

3.3振動ずり測定

3.3.1 レオロジー測定

3.3.1.1 Ia3d相に関するレオロジーの基礎測定

まず,いくつかの異なる角振動数(0.116.2815 rad s-1)において,角振動数一定で応 力振幅を変化させて G’ G” の測定を行い,線形領域と非線形領域の決定を行った。図

3.11(a-1~4)G’ G” の応力振幅依存性を示す。また同時に測定されたひずみ振幅に対す

G’ G” のプロットを図 3.11(b-1~4)に,応力振幅のひずみ振幅に対するプロットを図 3.12 に示す。図 3.11(a)-(b)から,いずれの角振動数においても応力振幅またはひずみ振幅 が大きくなるとG’ G” が逆転し,弾性支配から粘性支配になることがわかる。図3.11(a) の応力振幅依存性からは,角振動数が高いほどより低い応力振幅でG’ G” が交差するこ とが,また図 3.11(b)のひずみ振幅依存性からは,角振動数が高いほどより高いひずみ振幅 で交差することがわかる。図 3.11(b)からわかるように,応力振幅が100 Pa以下ではこれ ら4種類すべての角振動数で線形領域になるので,応力振幅を20 Paに固定し,G’ G” 角振動数依存性を測定した。その結果を図3.13に示す。この図から,角振動数0.03 rad s-1 付近でG’ G” が交差し,粘性支配から弾性支配になることがわかる。応力緩和のモデル の1つであるMaxwellモデルでは,交差角振動数の逆数は応力緩和時間に等しい。応力緩

和時間がMaxwellモデルのように単一ではなく分布を持つ場合,交差角振動数の逆数は最

も長い応力緩和時間に対応することから,最長緩和時間と呼ばれる。図3.13の交差角振動 数から求まる最長緩和時間は,約30秒となる。

図 2.3      X 線ビームの方向 (a) と radial 配置( b) および tangential 配置 (c) における 回折面の方向と対応する回折スポットの位置 図 3.1      C 12 E 2 / 水系の相図 13) 図 3.2     静止状態における SAXS 測定の結果。 60 wt% (a) 63 wt%(b)  表 3.1      Pn3m 相と Ia3d 相の消滅則 図 3.3      Pn3m 相 (a) と Ia3d 相 (b) の単位格子の模式図 図 3.4
図 1.1 (a)  これまでに報告されている共連続逆キュービック相の模式図
図 2.3 X線ビームの方向 (a) と radial 配置( b) および tangential 配置 (c) における回折面の方向と対応する回折スポットの位置
図 3.1 C 12 E 2 /水系の相図 13)Lαスポンジ相 ラメラ相 Pn3mIa3d30    40   50    60    70    80    90    wt% C12E2403020温度(℃)L3V2
+7

参照

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