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対称行列と固有ベクトル

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Academic year: 2021

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(1)

線形代数

II:

対称行列

1

対称行列と固有ベクトル

定義. A を実正方行列とする. tA=A のとき,A を対称行列と呼ぶ.

解説. 対称行列は行列の成分が対角成分に対して, 対称である行列である. 例えば以 下は対称行列である;

( 2 1 1 2

) ,

1 2 1 2 2 2

1 2 1

.

定理 1. 実対称行列の固有値はすべて実数である.

解説. 講義中の計算では固有値はいつも実数になるが,これは計算のしやすさのた めに意図的に数字を調整した結果である.例えば,(12 12) の固有値は1±2i となり 虚数を含む.

注意 (転置に関する注意事項). 内積は,x=

x1 x2

... xn

, y=

y1 y2

... yn

にたいして,

x,y=x1y1+x2y2+· · ·+xnyn= (

x1, x2, . . . , xn )

y1 y2 ... yn

=txy

と書ける. また, t(Ax) = txtA となる.

証明. A を実対称行列とし,λ と xA の固有値と対応する固有ベクトルとする.

いま,x¯xの各成分の複素共役をとったベクトルとする.このとき,txx¯ =x2 となる.ここで,実行列であることより A = ¯A,対称であることよりA¯ =tA,転¯ 置の性質よりtx¯tA¯=t(tAx) が成り立つことに注意する.すると

λtxx¯ =tx¯(λx) = txAx¯ =tx¯Ax¯ =tx¯tAx¯ =t(tAx)x=t(λx)x= ¯λtxx¯

を得る.これより ¯λ)txx¯ = 0 となるが,txx¯ ̸= 0 よりλ = ¯λ である.よって,

λ は実数である.

1

(2)

定理 2. A を対称行列, λ1, λ2A の異なる固有値とする . このとき λ1 の固 有ベクトルとλ2 の固有ベクトルは直交する.

.

A=

1 2 1 2 2 2

1 2 1

は対称行列であり, 固有値と固有ベクトルの組はそれぞれ

λ1 = 2,

2 1 0

,

1 0 1

, λ2 =4,

1

2 1

となる. このとき,λ1 = 2λ2 =4 の固有ベクトルは

⟨ 2 1 0

,

1

2 1

= 0,

⟨

1 0 1

,

1

2 1

= 0

となるので,直交している. 一方, λ2 = 22 つの固有ベクトルは

⟨ 2 1 0

,

1 0 1

=2

となるので直交していない.

定理 1 の証明. λ1 の固有ベクトルを x, λ2 の固有ベクトルを y とする. このとき, Ax=λ1x, Ay=λ2y なので,

λ1x,y=λtxy =t(λx)y=t(Ax)y =txtAy

(A は対称行列なので) = txAy=tx(Ay) =tx2y) = λ2txy =λ2x,y となる. よって,

1 λ2)x,y= 0 を得る. したがって λ1 ̸=λ2 より, x,y= 0 が成り立つ.

2

(3)

2

対称行列の直交対角化

証明は省略するが,次の定理が成り立つ. まず用語を用意する.

定義. tAA=E を満たす正方行列を直交行列という.

補足. (1). A が直交行列であれば, A1 =tA となる.

(2). ベクトルの次元と基底の数が等しい時,正規直交基底を列ベクトルとして並べ た行列は直交行列になる.例えば,

0

1 2

1 2

,

1 0 0

,

0

1

2

1 2

は正規直交基

底なので,A =

0 1 0

1

2 0 1 2

1

2 0 1 2

は直交行列である.実際,上の A に対して,

tAA=

0 1

2

1 2

1 0 0

0 1 2

1 2

0 1 0

1

2 0 1 2

1

2 0 1 2

=

1 0 0 0 1 0 0 0 1

である.

定理 3. すべての対称行列は直交行列で対角化できる.つまり,対称行列 A に 対して,tP AP が対角行列になるような直交行列 P が存在する.

例.

A=

2 2 1 2 1 2

1 2 2

A は対称行列である. まず,固有値と固有ベクトルを求めると,

λ= 3,x1 =

2 1 0

,x2 =

1 0 1

, λ=3,x3 =

1

2 1

となる. これを正規直交化する. ここで, 定理 1より, 異なる固有値の固有ベクトル は直交している(実際に確認してみよ). よって, λ= 3 の 固有ベクトル x1,x2 だけ 正規直交化し, λ = 3 の固有ベクトル x3 は正規化のみ行う (ノルムを 1 にする).

3

(4)

シュミットの正規直交化により, y1 = x1

x1 = 1

5

2 1 0

,

˜

y2 =x2− ⟨y1,x2y1 = 1 5

1 2 5

,

y2 = y˜2

y˜2 = 1

30

1 2 5

を得る. このとき,y1,y2λ= 3 の固有ベクトルである.

次にx3 のノルムを 1にすると, x3

x3 = 1

6

1

2 1

となり, 正規直交基底

{ 1

5 [2

10

] , 1

30 [1

25

] , 1

6 [ 1

2 1

]}

が得られる. ここで,すべて Aの固有ベクトルになっていることに注意すると, それ らを並べて,

A

2/

5 1/

30 1/ 6 1/

5 2/

30 2/ 6 0 5/

30 1/ 6

=

2/

5 1/

30 1/ 6 1/

5 2/

30 2/ 6 0 5/

30 1/ 6

3 0 0 0 3 0 0 0 3

が成り立つ. よって, P =

[2/51/30 1/6

1/ 5 2/

30 2/ 6 0 5/

30 1/ 6

]

とおくと,

P1AP =

3 0 0 0 3 0 0 0 3

と直交行列で対角化できる. なお,上記補足より,P1 =tP =

2/

5 1/

5 0

1/

30 2/

30 5/ 30 1/

6 2/

6 1/ 6

であるので,実際は,

tP AP =

3 0 0 0 3 0 0 0 3

が成り立つ.

4

参照

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