長崎大学教育学部自然科学研究報告第19号63‑72 (1968)
バルビツレート及びアルカロイドの
分離検出に関する知見補遺
竹友一成
(昭和42年11月30日受理)
Rapid Separation and Identification of Barbiturates and Alkaloids with Ion Exchange Paper
Kazushige TAKETOMO
From the authors'attempt to apply ion exchange paper chromatoとraphy to forensic chemistry, barbiturates and alkaloids were subjected to the exami‑
nation of the chromatographic detection. As the ion exchange paper, amberlite
SA‑2 and WA‑2 were used for barbiturates and alkaloids, respectively. 1M
Na2HP(L‑2M NムOH (pH 9.50) and 0.3M HC1‑KCl (pH 1.00) buffer solution seemed to be proper for development. The presence of barbiturates was evi‑
denced by the appearance of the violet spot against light stainish yellow back・
ground with the application of Lemaire reagent, and alkaloids were detectable with the iodine reagent. This method is sensitive, simple and rapid, but the tailing of barbiturate spots is more or less observed.
I.緒言
バルビツレート及びアルカロイドの様な一般的毒物の分離確認は,分析化学,裁判化学,或 いは臨床病理検査の立場等から,広く検討されている。例えば,バルビツレートに関する研 究としては, u.v.吸収スペクトル分析1) I.R.吸収スペクトル分析2),ペーパークロマ トグラフィ蝣3)薄層クロマトクラフィー;).s)ガスクロマトグラフィー6),7)等による該化 合物の分離或いは確認の他,最近では,質量分析8)も応用されるようになった。一方,アル カロイドに関しても上記バルビツレートと同様な分析原理に基づく分離或いは確認法が研究さ れている9)‑13)しかしながら,イオン交換紙を応用した分析例は非常に少なく,最近では,
★この報文をイオン交換ペーパークロマトグラフィーの裁判化学への応用(第2報)とする。本実験は 高松=業高等専門学校化学教室において行われたO
**長崎大学教育学部化学教室(長崎市文教町)
Chemical Laboratory, Faculty of Education, Nagasaki Univ. (Bunkyo, Nagasaki)
64 竹 友 成
Witkowskiがアルカロィド分析に陽イオン交換紙を用いた報文一4)をみる程度に過ぎず, し かもその報文内容の詳細については全く不明である。
著者は,イオン交換紙の優れた特長を裁判化学へ応用する一つの試みとして,前報竃5)でカ ゼ薬成分の分離確認にこれを用い,ク・マトグラフィー的検討を行った。今回は,その継続的 研究として,バルピツレート及びアルカロィドのクロマトグラフィーにイオン交換紙を用いる 基礎的実験を試みたので,その成績につき報告する。
2.実 験 方 法
2・1 試料:バルビツレートとして,バルピタール(第一製薬,局方),アモバルピタール
(日本新薬,局方), フェノバルビタール(藤永製薬,局方), メチルフェノバルビタール
(武田製薬),メタルピタール(大日本製薬),エチルヘキサビタールカルシウム(シオノギ 製薬,局方),セコバルビタールナトリウム(武田製薬),チアミラール(武田製薬),ペン トバルビタールナトリウム(田辺製薬,局方),チオペンタールナトリウム(田辺製薬,局 方)を用いた。これ等のうち,後の四試料は注射用粉末で,特にチオペンタールナトリウム は・その59に対し乾燥炭酸ナトリウム0.59が混和されている。而して,バルビタール,フ ェノバルビタール,メチルフェノバルビタール及びメタルビタールは,その95%エチルアルコ ール飽和溶液を,アモバルビタール及びチアミラールは,その0.59を95%エチルアルコール
5諺!に溶解せしめた溶液を, セコバルピタールナトリウム,ペントバルビタールナトリウム 及びチオペンタールナトリウムは,その0.59をエチレングリコール3π!に溶解せしめた溶液 を,また,エチルヘキサビタールカルシウムについてはそのエチレングリコール飽和溶液を,
それぞれクロマトグラフィー用試料とした。
一方,アルカロイドとしては,塩酸キニーネ(藤沢製薬),カフェイン(藤沢製薬),ブロ ム水素酸スコポラミン(岩城製薬),塩酸プロカイン(第一製薬),塩酸エフェドリン(大日 本製薬),塩酸・マパベリン(大日本製薬),酢酸テオフィリンナトリウム(厚生省東京衛生試 験所),及び硫酸アトロピン(メルク)を用いた。而して,これ等各試料の95%エチルアルコ ール飽和溶液をクロマトグラフィー用試料とした。但し,塩酸キニーネについては,その0.5
9を95%エチルアルコール5擢の割合に溶解せしめた溶液を供試した。
2.2 イオン交換紙:バルビツレートにはアンバーラィトSA−2を,アルカロィドにはア ンバーライトWA−2をそれぞれ未処理のまま使用した。
2。3 器具:緩衝液pH測定のためには東亜電波pHメーター(HM−5A)を,また試料
溶液のイオン交換紙への付着には柴田化学器械超微量ピペット(0.005彿!)を用いた。
2.4 発色剤:バルピツレートにはLemaire試薬3)を,また,アルカロィドにはFlorence 氏変法試薬一6)をそれぞれ用いた。
(1)Lemaire試薬
A液,蒸留水10砺!に濃硫酸20形及び酸化第二水銀59を溶解せしめて調製する。
B液,0.1%ジフェニルカルバゾン95%エチルアルコール溶液 (2)Florence氏変法試薬
I N硫酸50毎!にヨウ化カリウム1.659及びヨウ素2.549を加え充分に混和せしめて調製す
る。
2.5 イオン交換紙の準備:2。2で述べたイオン交換紙は,実験にさきだち,巾10筋(但し,
バルピツレート及びアルカロイドの分離検出に関する知見補遺 65 定量実験では2.50勉),長さ25伽に切り取り下端より4翻の部に薄く鉛筆で線をひいておいた.
2.6 開展液:バルピツレイトには 1MNa、HPO4−2MNaOH緩衝液(展開液A)及 び:NH40H飽和n一ブチルアルコール溶液(展開液B)を用い,アルカロイドにはHC1−KC1 緩衝液(展開液C)を用いた。
緩衝液のpH測定は室温下(展開液Aは夏季で室温約30。C,展開液Cは春季で室温約20。C)
に行った。
2.7 イオン交換紙への試料の付着:試料は,イオン交換紙の下端より4餓の部に超微量ピ ペットを用いて付け,直径0.5伽(但し定量実験では0.9脇)となるようにした。各試料により 発色の度合が異なるので,それぞれ適当量付着せしめた。
2.8 展開:展開は,ぺ一パークロマトグラフィーと同様,閉鎖式で上昇法により,下端約 0・50%を展開液に浸し室温下(バルビツレート約50。C・アルカロィド約20。C)で行った。展 開長さは約17翻としたが,.これに要する展開時間は,展開液Aで約1時間5G分,展開液Bで約
2時間50分,展開液Cで約1時間40分であった。
展開終了後のイオン交換紙は迅速に風乾せしめた。
2.9 発色:バルビツレートの発色は, Lemaire試薬A液に風乾後のイオン交換紙を浸漬 後,流水中(流速54/min)1分間水洗し,次いでB液を噴霧せしめることにより行った。B 液噴霧後,再び流水中10秒間水洗し,原則として室温下に2時間風乾した。而して,発色スポ
ットのR∫値を求めた。
アルヵロィドでは,Florence氏変法試薬にイオン交換紙を浸漬後,流水中(流速5ぎ/min)
5分間水洗した。これを吸収ロ紙上に置き,直ちにR∫値を求めた。
2.10検出限界及び定量:バルビツレートはその95%エチルアルコール溶液 (バルピター ル,アモバルビタール,フェノバルビタール),もしくはエチレングリコール溶液(エチルヘ キサピタールカルシウム,ペントバルビタールナトリウム)を,また,アルカロィドはその水 溶液をそれぞれ倍数希釈して実験に供した。
展開液として,バルピツレートには1M Na2HPO4−2M NaOH緩衝液(pH9.50)及び 0.5N NH40H飽和n一ブチルアルコール溶液を,アルカロイドには0.5M HCl−KCl緩衝液
(pH1.00)を用いた。
定量は印画紙(三菱印画紙一月光R−2)をスポットの大きさに切取り,その重量(昭)を測 定することにより行った。
3.実験成績及び考按
3.1 展開液とR∫値:バルビツレートの展開液AによるR/値を第1表に,また,展開液 BによるR∫値を第2表に示した。
展開液Aでは各バルピツレート間に比較的Rプ値差が認められ,pHの高くなるほど概して R∫値も大となった。展開液Bでは各バルビツレート問に大なるR∫値差を認め得ず,また,
NH・OH濃度の大なるほど,R∫値はむしろ僅かながら小さくなる傾向を示すようであった。
供試化合物はバルビツル系睡眠剤といわれる如く,その化学構造が極めて類似しており,従 って,それだけ分離困難と想定されるが,5位炭素原子の置換基が同一であっても,例えば,
チァミラールとセコバルピタールナトリウムの如く2位炭素原子に酸素原子が結合するかイオ ウ原子が結合するかの様な違いがあれば,それらのR∫値間には約0.2以上の差が認められた。
66 竹 友 一 成
第1表 バルピツレートのR∫値(1)
一〜、
バノレビツレート
展開液
一、 、、pH
\
バノレビターノレ
アモバルビタール フェノバルビタール メチルフェノバルビタール
メタノレビターノレ
エチルヘキサビタールカルシウム セコバルビタールナトリウム チアミラール
ペントバルビタール チオペンタールナトリウム
IMNa2HPO4−2MNaOH緩衝液
9.00
0.42
0.Ol(T)
0.16(T)
0.00 0。00
9.25 0.56
0,15(㌘)
0.52 0.07 0.09 0.47 0.55 0.05 0.51
0。15(T)
9.50
0.61 0.18(7)
0,55 0。22
0。49 0.52 0.09 0.56 0.16
9.75 0.66
0.29(㌘)
0.40 0.50
0.50 0.49
0。17(『)
0.44 0.22
10.00
0.ワ5
0.59(7)
0.40 0.51
0.20(■)
0.48 0.61
0.29(㌘)
0.45
0.25(『)
10.25
0.81 0.46 0.48 0.59
0.50 0.56
0.59(T)
0.47
0.28(T)
(T),テイリングスポット
第2表 バルビツレートのR∫値(2)
\ヤ〜一〜__._展開液
NH40H濃度(N)
ノマノレビ 1ソレ 一一ト 〜
バノレビタ・一ル
アモバルピタール フェノバノレビタール メチルフェノバルビタール
メタノレビターノレ
エチルヘキサビタールカルシウム セコバルビタールナトリウム チアミラール
ペントバルビタール チオペンタールナトリウム
NH40H飽和n一ブチルアルコール
0,5
0.60 0.91
0.50(『)
0.69
0.90 0.84 0。81
1.0
0.52 0.84 0.45
0.66
0.88 0.82 0.80
5.0
0.50 0.80 0.44
0.67 0,82 0.87
0。ワ5
0.75
5.0
0.44 0.75 0.59
0.4ワ(T)
0.68 0.65
0.ワ9
0.80
0.ワ6 0.ワ5
(T),テイリングスポット
而して,チオ化合物の方がR∫値小となる如くであった。1位窒素原子にメチル基が結合する かどうかによっても亦R∫値に差異が認められ,バルピタールとメタルビタール,或いはフェ ノバルピタールとメチルフェノバルピタールの如く,メチル基の結合するバルピツレートの方 がR∫値小となる如くであった。
化学構造の非常に異なる睡眠剤の分離検出は極めて容易で,佐藤17)はフェノバルピタール,
ブ・バリン・ハイミナールを薄層ク・マトグラフィーで比較的簡単に分離検串している9これ
バルビツレート及びアルカロイドの分離検出に関する知見補遺 6ワ に反し,バルピツレートの分離の困難なことは,Algeri et a1.3)のぺ一パークロマトグラフィ ーの報告データーからも推定される。即ち,バルビツレートはR∫値約0。5の群と0。7の群に大 別し得るにとどまるようである。斯る分離し難い点を考慮して,Walker et al.!8)はhot H2SO・処理を試みている。しかし,これも,Ahmed et a1.5)が本実験と殆んど時を同じく
して,ホルムアミドでぺ一パー等を処理する操作をぺ一パー及び薄層クロマトグラフィーにと り入れることにより,解消された如くみえる。
本実験でも,バルピツレートの分離は困難な傾向がみられたが,B廿chner et al.一9)もバル ピツレートの迅速同定法を報告している如く,臨床上迅速な分離同定は常に問題とされるとこ ろで,簡単迅速且つ微量に行い得るイオン交換紙を応用したクロマトグラフィーの利点を一考 すべきかと思料する。
バルビツレートにアンバーライトS A−2を適用せしめることは,イオン交換という点で多少疑問も ある。そこで,アンバーライトS B−2についても検討を試み,分離及びテイリングその他の点で比較 的良効な成績が得られるかの如き所見もあったが,アンバーライトS B−2販売申止との報に接し,そ の実験の継続を断念した。
写真1 アルカロイトのクロマトグラム
アルカロイド:硫酸アトロピン(A),カフェイン(B),塩酸プロカイン(C)
展開液:1MHCl−KCl緩衝液pHO.50(1),pHLOO(2),pHl.50(3)
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Q( 0.4
O. 0+̲
O. I ‑t¥̲̲ e +=̲̲1'
0.0 0.50 1.00 1.50 2.00 0.50 1.00 1.50 2.00 0.50 1.00 1.50 2.00 0.50 1.00 1.50 2.00
5.t*'!I l 7 F l' )/ 6.t ': l / / ; l) )/ 7. ft7( t]y h l] A 8. ,1 L =, I' D l 0.9
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0.7 ‑‑
0.6
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0.5
oc 0.4
0.3
e ¥1 db ¥ ' 1‑̲
0.2
1 OO 0.50 1.00 1.50 2.00 0.50 .
0.50 1.00 1.50 2.00 0.50 1.00 1.50 . I oa 1.50 2.00
pH
1 ] 7)1/ l T:1 4 ) Rf { eC; } HCl‑KCI f : a) : f PH a) !;
バルピツレート及びアルカロイドの分離検出に関する知見補遺 69 アルカロイドはN含有の強塩基性物質で陽イオンとなるので,陽イオン交換樹脂に吸着せし め,これをアルカリ性溶媒で遊離塩基として溶離せしめることが,アルカロイド分離の一般的 通念である2。)。しかし,陰イオン交換樹脂を用いた例も報告されている2f)。
本実験ではアンバーライトWA−2を用い,酸性溶媒で展開することにより,比較的良効な 成績を得ることができた。即ち, アルカロィドをHC1−KCl緩衝液を用いて展開した場合の R∫値に及ぼす展開液の濃度及びpHの影響を図示すれば第1図の如くである。また,具体的 実像としての硫酸アトロピン,カフェィン,及び塩酸プロカィンのクロマトグラムを写真1に 示した。
まず,濃度とR∫値との関係では,概して,展開液のモル濃度が大となるほどR∫値は小と なる傾向を示した。次いで,pHとR∫値との関係でも,展開液のpHが大となるほど,濃 度の場合と同様,R∫値は小となる傾向が認められた。而して,第1図より明らかな如く,分 離能は極めて良効である。化学構造の極めて類似するカフェィンとテオフィリンでも,R∫値 差約0.1を認め得た。
各アルカロィドのR∫値その他から,最も適当な展開液と考えられる0.5MHCl−KCl緩 衝液(pH1.00)を用いた場合の具体的なR∫値を示せば第3表の如くである。
第3表 アルカロイドのR∫値 アルカロイ ド
塩酸キニーネ カフェイン
ブロム水素酸スコポラミン 塩酸プロカイン
塩酸エフェドリン 塩酸パパベリン
酢酸テオフィリンナトリウム 硫酸アトロピン
R∫
0.52 0.11 0.47 0.68 0.75 0.02 0.18 0.26 展開液:0.5M HC1−KCl緩衝液(pHl.00)
3.2 発現スポット:水銀とジフェニルカルバゾンはバルピツレートに対する発色試薬とし て用いられている3)・22)。しかし,ぺ一パークロマトグラフィーでは,バルビツレートは淡紫 色のバックグランドに対し濃紫色スポットとして発現する3)。従って,スポットの識別は必ず
しも容易ではない如くである。本実験に於いても,発色剤処理の直後ではバックグランドは,
スポットと略同一色の淡青紫色を呈した。しかし,その色調は経時的に退色し,室温下約2時 間の経過によりイオン交換紙の淡汚黄色を再現した。即ち,供試バルピツレートは淡汚黄色の バックグランドに対し濃青紫色スポットとして発現した。スポットも経時的に退色するが,そ の速度はバックグランドのそれと比較し非常に遅く,クロマトグラフィーの実際にあたって問 題となるようなことはなかった。例えば,フェノバルピタール200γを展開して得られたスポ
ットは1年経過時に於いても,未だ明らかに確認することができた。
ヨウ素の蒸気はぺ一パー或いは薄層クロマトグラフィーで非特異的ではあるが便利な発色試
70 竹 友 一 成
薬として用いられて来た23)。本実験のアルカロィドに関しても,ヨウ素試薬を用いることに より,アルカロイドのイオン交換紙上での発色が可能であった。即ち,硫酸アトロピンのスポ ットが帯褐汚紫色であるのを除いて,他はいずれも汚黄褐色乃至汚褐色のスポットとして発現
した。
テイリングはクロマトグラフィーで好ましくない現象の一つである。最近,Manley24)は ムコ多糖類のイオン交換ぺ一パークロマトグラフィーを行なっているが,そこで,スポットの ティリングを認めている。本実験に於いても,バルピツレートのそれで全体的に稿テイリング 現象が観察されるようであった(第1及び第2表)。一方,アルカロイドの場合には殆んどテ
イリングを認め得なかった(写真1)。
3.3 検出限界及び定量;バルビツレートの検出限界を第4表に示した。この成績からすれ ば,クロマトグラフィー的には必ずしも鋭敏とは云い難いが,一般にバルビツレートの検出に は比較的多量を必要とする如くで,例えば,Algeri et al.3)のバルピツレートのぺ一パーク
ロマトグラフィーでも検出限界を50γと述べ,特にバルピタールでは200γにも及ぶことを示
している。
第4表 バルビツレートの検出限界量
バノレビツレ・一ト
バノレビターノレ
アモバルビタール フェノバノレビタ・一ル
エチルヘキサビタールカルシウム ペントバルビタールナトリウム
展 開 液
1MNa2HPO4−2MNaOH
緩衝液(pH9.50)
51.7
15.8
51.7
0。5N NH40H飽和
n一ブチルアルコール 62.5
7.8一り51.7
12.5
51.ワ
単位 γ
第5表 アルカロイドの検出限界量
讃10・5M一緩 (pH1・00)
塩酸プロカイン 塩酸パパベリン 硫酸アトロピン
7.8一 15.6
5.2
15.6 単位 γ
バルビツレートに比しアルカロイドはかなり鋭敏に検出され,特にR∫値の小さい塩酸パパ ベリンでは5.2γにても検出可能であった(第5表)。
定量に関しては,アルカロイドの検量線の作製を,アルカロイド重量m(γ)に対しスポッ ト重量w(昭)をプロットすることにより試みた。而して,塩酸プロカィン,塩酸パパベリン 及び硫酸アトロピンのそれぞれの検量線を第2〜第3図に示した。塩酸プロカィンでは試料
バルビッレート及びアルカロイドの分離検出に関する知見補遺 71
,、250・
ε
劇125綱 ・ 宴 編
63 31 16
0・ 10 20 30 40
スポツト重量(w)
第2躍・塩酸プロカインの検量線
へ ロユ
ξ曽O・96
・二〇.81 劇 倒0,66 糞篇O.52
0.36
0 10 20 30 40
スポット重量(w)
第3図 塩酸パパベリンの検量線
_2,40
Eoo2.10 じ1.800
嘱1.50 細ナ1.19 む篇
0 20 40 60 80 100 120
スポツト重量(W)
第4図硫酸アトロピンの検量線 14Q
31.5〜250.0γでwとmとの間に,塩酸パパベリンでは試料5.2〜166.7γでwとlo9〆而との 間に,また,硫酸アトロピンでは試料51・5〜250.0γでwと10g mとの間にそれぞれ直線関係 の存在することを認めた。
4.要 約
イオン交換紙の裁判化学的応用を意図し,バルピツレートのクロマトグラフィー的分離に S A−2を,またアルカロイドのそれにWA−2をそれぞれ適用せしめて,次の如き結果を得
た。
(1)バルピツレートの発色にはLemaire試薬が,アルカロイドのそれにはFlorence氏変 法試薬がそれぞれ有効であった。
(2)バルピツレートの展開液としては1M Na。HPO4−2M NaOH緩衝液(pH9.50)及 び0.5N NH・OH飽和n一ブチルアルコールが比較的良効な成績を与えた。しかし,前者の展 開液では,スポットの乱れの点で未だ難点が認められる如くであった。
アルカロイドの展開液としては0.5M HC1−KC1緩衝液(pH1.00)が最も良効な成績を示
72 竹 友 一 成 した。
(3)バルピツレートの定量に関しては殆んど再現性を認め得なかったが,
試料重量とスポット重量との間に直線関係を認め得た。
アルカロイドでは
本実験は上野博教授(山口大学医学部)のご懇厚なご指導によった。また,遠藤裕子嬢の協 力におうところ大であった。記して深謝の意を表します。
5.文 献
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2)矢原靖司,日法医誌,20,154(1966).
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9)柳原昭観,日法医誌,11,750(1957).
10)末吉一仁,日法医誌,13,199(1959).
11)K.Pfordte,ノ」Ch70〃z厩o鳳,21,495(1966).
12)R。K Sharma,G。S.Khajuria&C.K.Ata1,必Ch70解切o思,19,455(1965).
15)E。Brochmann−Hanssen&C。R.Fontan,ノ.Ch70吻α o邸,20,594(1965).
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