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期間雇用労働者と人員整理

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期間雇用労働者と人員整理

はじめに

アメリカのサブプライムローンに端を発しリーマン・ブラザーズの破綻ショックから拡がった世界的な景気悪化を

受け︑二〇〇八年後半からわが国でもとくに自動車・電気機械等の製造業を中心として各企業が急速に経営内容を悪

化させ︑これに伴い雇用情勢も急変の一途をたどっている︒とりわけ今次の雇用調整は﹁派遣切り﹂とか﹁雇い止め﹂

という形で派遣労働者や期間雇用労働者などの非正社員に集中的に行われており︑二〇〇八年一〇月から二〇〇九年

三月までに職を失う非正社員は全国で二一万四千八百人に上る見込みであることが厚生労働省から発表された ︵二〇

〇九年一月三〇日付︶︒もとより︑この人員削減は正社員にも広く及んでいくことが懸念され︑たとえばソニーは国

内外で一万六千人の人員削減のうち半数の八千人は正社員を対象とすることを公表し ︵二〇〇八年一二月九日︶︑パ

ナソニックは国内外で正社員も含めて一万五千人の削減を公表する ︵二〇〇九年二月四日付︶ 等︑事態はきわめて深

−35−

(2)

刻化しており︑戦後最悪・最大の経済危機であると指摘されている︒そこで︑本稿では︑このような深刻な雇用調整

が引き起こす問題のうち︑とくに期間雇用労働者をめぐる法的問題について考えてみたい︒

雇用調整が経営の悪化に伴いとくに大量に行われる場合︑人員整理と呼ぶことが適切であるが︑そのなかでも整理

解雇は労働者に与える打撃も大きいことから︑企業も人員整理手段としてその行使には慎重であった︒わが国におい

て︑人員整理手段として整理解雇が多用されたのは︑一九四九年前後のドッジライン下の時期︑一九七三年の第一次

ォィルショック後の不況期︑一九九〇年代初頭のバブル経済崩壊後の長期不況期の三期に集中する︒とりわけ︑第一

次オイルショック後の整理解雇をめぐる訴訟においていわゆる整理解雇法理が判例において登場し︑これに対して学

説の支持もあり︑整理解雇法理が確立した︒そこで期間雇用労働者に対する人員整理の法的問題として︑まず︑整理

解雇法理の適用について考えてみたい︒

−36−

1整理解雇法理と期間雇用労働者への適用

︵こ整理解雇概念と整理解雇法理

整理解雇概念については︑労基法等に﹁整理解雇﹂という文言がなく︑従来学説上は﹁個別解雇﹂︵普通解雇・懲

戒解雇︶概念に対するものとして用いられてきた︒そして整理解雇に関する標準的定義は︑使用者が経営不振等によ

り生じた従業員数の縮減の必要性に基づき︑一定数の余剰労働者を解雇するものであると理解されてき㌍

第一次オイルショック後︑判例は︑整理解雇がまったく許されないとする立場はとらないものの︑解雇権濫用法理

(3)

でこれを厳しく制限しようとする判断を示した︒整理解雇法理を定式化したといわれる大村野上事件︵長崎地大村支

判昭和五〇・二二二四労判二四二号一四頁︶は︑﹁当該整理解雇が権利濫用となるか否かは主として次の観点から

考察してこれを判断すべきものと解する︒即ち︑第一に当該解雇を行わなければ企業の維持存続が危殆に瀕する程度

にさし迫った必要性があることであり︑第二に従業員の配置転換や一時帰休制或は希望退職者の募集等労働者にとっ

て解雇よりもより苦痛の少ない方策によって余剰労働力を吸収する努力がなされたことであり︑第三に労働組合ない

し労働者︵代表︶に対し事態を説明して了解を求め︑人員整理の時期︑規模︑方法等について労働者側の納得が得ら

れるよう努力したことであり︑第四に整理基準およびそれに基づく人選の仕方が客観的・合理的なものであることで

ある︒﹂と述べ︑整理解雇の有効性について判断する法的基準を示した︵先行判例の︑三萩野病院事件・福岡地小倉

支判昭和五〇・三・三一労民集二六巻二号二三二頁は︑協議を除く三要件を示している︒︶︒

こうして︑判例は︑整理解雇が解雇権の濫用に当たるかどうかの指標として︑︵1︶人員整理の必要性︑︵2︶解雇

3

4

の有効性を厳格に判断する立場を確立した︒このような判例の判断枠組みについては︑各要件の類型化の検討が行わ

れながら引き続く判例においても採用され︑また学説の支持をも得ることとなった︒

このように︑整理解雇に対して︑﹁個別解雇﹂と比べて厳格な﹁要件﹂を定立して判断することが支持された理由

は︑わが国の終身雇用・年功処遇という雇用慣行の下では︑雇用の存続に関して労働者の期待が大きく転職も容易で

ない等︑解雇が労働者にもたらす不利益が特別大きく︑その制限の必要も大きく︑とりわけ整理解雇は︑もっぱら経

営上の事情によって行われるもので︑労働者に何ら貢がないものであることから︑濫用的解雇について規制すべきで

−37−

(4)

あるとの認識に基づくものである︒

整理解雇について打ち立てられた判例法理の四要件については︑それぞれ以下のような考え方が示された︒まず︑

︵1︶人員整理の必要性の要件について︑学説・判例は概ね一二つの立場に分かれた︒第一は︑人員整理をしなければ

企業の存続が危殆に瀕する程度にさし迫った必要性を要するという考え方であり︑その根拠として︑憲法の生存権や

労働権に基づく労働者の保護やわが国の雇用慣行などをあげる︒第二は︑客観的に高度な経営上の必要性があれば足

りるという考え方であり︑その根拠として︑企業経営の決定は基本的に使用者の自由であること︑倒産必至という事

態まで人員整理を認めないことは企業の再建の機を逸することにつながりかねないこと︑裁判所は企業破綻回避に責

任を間いえないことなどをあげる︒第三は︑企業の維持発展をはかるため︑使用者は経営合理化の手段として余剰

人員の整理を広範に行いうるという立場から人員整理の必要性を考える立場である︒つぎに︵2︶学説・判例とも︑

解雇に代わる手段として﹁解雇回避努力義務﹂を︑﹁最後の手段の原則﹂として四要件のひとつとして要求する︒具

体的には︑新規採用の停止︑時間外労働の削減︑配転・出向︑一時帰休︑希望退職者募集等の手段を整理解雇に先立

って活用し尽くしたかどうかが問われる︒とくに︑希望退職募集については︑労働者の自主的決定を尊重しうるとい

ぅ点で︑整理解雇の前投階にとられるべき不可欠な手段であると位置づけられた︒また︵3︶整理解雇に関する第三

の要件として︑使用者の窓意的な整理解雇がおこなわれないように︑整理解雇の人選においてその基準の設定及び適

用の合理性︑公平性が担保されるべきことを︑判例・学説ともに掲げる︒具体的整理解雇基準に関しては︑︵イ︶労

働者の能力・成績や貢献度という経営側の事情による基準︵ロ︶解雇による経済的打撃の少ない者という労働者側の

事情による基準の二つの側面から検討されるが︑判例は︑整理解雇対象者の選択基準の合理性に厳格な序列を設け

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ず︑再就職可能性や家族構成などの生活事情についても︑公正な基準でありうるととらえる︒そして︵4︶学説・

判例は︑整理解雇を実施するにあたり︑使用者は人員整理の必要性と内容︵時期・規模・方法等︶につき︑労働組

合ないし労働者に対して説明を行い︑十分な協議を経て納得を得るよう努力すべき義務があることを要求し︑整理

解雇が労働者の責に帰すべからざる理由によるものであることから︑使用者に要請される信義則上の義務であると

以上のような︑判例において定立をみた整理解雇法理は︑平成の長期不況のなかで出された百件を超える整理解雇

に関する判例においても基本的にその判断枠組みは維持されてきており︑その七割近くが整理解雇無効の判断を示し

た準一九九九年一〇月以降の東京地裁による整理解雇に関する一連の判僻が︑これまでの整理解雇法理の判断枠

組みを緩和する等して労働者側敗訴の判断を下したことから︑あらためて整理解雇法理について議論を呼ぶ契機とな

ったのであ璽 このように︑整理解雇法理について再検討されることになったのは︑上述のような東京地裁の一連

の判例が出された背景として︑実務上︑これまで最高裁において整理解雇法理が確認されていなかったことや︑下

級審においても﹁四要件﹂が必要不可欠であるという意味において整理解雇法理を必ずしも確認していなかったこと

等の認識があらためてつきつけられたことによる︒

さらに︑整理解雇法理の再検討は︑四要件について︑その一つでも欠けると当然に解雇権の濫用になるという意味

なのか︵﹁四要件説﹂︶︑そうではなく︑四つの観点から解雇権濫用の成否を総合判断するという意味での四要素にす

ナショナルウエストミンスター銀行︵第三次仮処分︶事件︵東京地決平成一二二・二一労判七八二号二三頁︶は︑

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(6)

﹁いわゆる整理解雇の四要件は︑整理解雇の範噂に属すると考えられる解雇について解雇権の濫用に当たるかどうか

を判断する際の考慮要素を類型化したものであって︑各々の要件が存在しなければ法律効果が発生しないという意味

での法律要件ではなく︑解雇権濫用の判断は︑本来事案ごとの個別具体的な事情を総合考慮して行うはかないもの﹂

と述べ︑この間題に関してあらためて一石を投じた︒これに対しては︑要素説では︑要件を相対化したり判断基準を

唆昧化し︑予見可能性を失わせてしまうことから︑四要件説はあながち不合理とはいえないとする主張があらためて

なされた︒また︑平成不況期の判例を分析すると︑いわゆる四要件が厳密な意味での要件と位置づけられていないと

もいえるが︑整理解雇基準としていちおう確立しており︑要件的な機能は果たしているとも指摘できる︒

これに関しては︑あらゆる場合に各要件の充足が必要でないという意味で考えれば﹁要素﹂と把握するのが正確で

はあるが︑いずれも整理解雇の効力を判断するに当たって判断されるべき定型的に重要な要素であって︑いずれかを

欠く場合には解雇は無効となるのが通常であると考えられ︑実質的な解釈上の差は殆どないといってもよいし︑また

四要素として解しても︑いずれかの要素のみから濫用判断をすることも妨げられるものではない︒問題は︑四点が

主たる考慮要素になるという枠組み自体は確立していると考えるとしても︑それぞれの観点につき判例の具体的判断

に相当の開きがあると感じられる点であり︑むしろ四要素のそれぞれに関する具体的判断のあり方がより重要な問題 であるとの認識が生まれ︑整理解雇の効力判断基準として四要件 ︵以下では︑かかる意味で ﹁要件﹂と呼ぶ︒︶ に関

してより具体的かつ精赦な分析が試みられることとなったのである︒

−40−

(7)

︵二︶期間雇用労働者と整理解雇

つぎに︑上述した整理解雇法理の期間雇用労働者への適用について考えてみたい︒

まず︑はじめに期間雇用労働者には︑日々雇用︑臨時工︑季節労働者︑期間工︑嘱託︑パートタイマー︑契約社員

などさまざまな種類の者がおり︑期間の定めのない雇用の正社員とは労働契約に期間が付されていることで明確に区

別されたものとして取り扱われてきた︒ここで︑派遣労働者も含めて非正社員の実態について少し見ておくと︑二〇

〇七年一〇月に厚生労働省が行った﹁就業形態の多様化に関する総合実態調査﹂によれば︑就業形態別労働者割合は︑

正社員が六二・二%︑非正社員が三七・八%となっており︑約四割が非正社員である︒非正社員の就業形警みると︑

パートタイム労働者が二二・五%ともっとも多く︑契約社員二・八%︑派遣労働者四・七%などである︒そして非正

社員を雇用する理由︵複数回答︶については︑﹁賃金の節約のため﹂とする事業所の割合が四〇・八%ともっとも多

く︑次いで﹁一日︑週の中の仕事の繁閑に対応するため﹂が三一・八%︑﹁即戦力・能力のある人材を確保するため﹂

が二五・九%︑﹁専門的業務に対応するため﹂が二四・三%︑等となっており︑また﹁景気変動に応じて雇用量を調

整するため﹂が二二二%等となっている︒これを見ると︑非正社員は︑全雇用労働者の約四割に遷しており︑なか

でも期間雇用労動者と総称される労働者の割合が多く︑企業がこれらの労働者を雇用している理由はコストが安くか

つ柔軟な雇用調整が可能であるからだということが理解できる︒

以上のように︑もともと雇用調整を念頭に置き採用されている期間雇用労働者に対して実施される整理解雇につい

て考える場合︑まずその雇用の性格を踏まえなければならない︒有期労働契約の契約期間については︑労基法は︑長

期の労働契約による人身拘束を防止するため︵民法六二六条は︑当事者が︑有期雇用契約につき五年﹇商工業見習者

−41−

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は一〇年﹈を経過した後であれば何時でも契約を解除することができるとする旨規定する一方︑民法六二八条は︑期

間の定めのある雇用契約については﹁やむを得ない事由があるとき﹂は﹁直ちに契約の解除をすることができる﹂と

するにとどまる︶︑一定の事業の完了に必要な期間を定めるものの外は︑一年を超える期間を定めてはならないとし

しかし︑わが国の産業構造の変化のなかで︑研究開発を機動的に推進し︑弾力的な企業活動を展開するため︑専門

的知識・技能を有する労働者を一定期間確保したいとする企業側の要請等により︑一九九九年四月施行の労基法改正

において︑特例として三年の延長を認め︑さらに︑二〇〇四年一月施行の労基法改正は︑有期労働契約の上限につい

て︑原則一年を三年に延長し︑特例の期間については五年とした ︵労基一四条︶︒特例は︑①専門的な知識︑技術ま

たは経験であって高度のものとして厚生労働大臣が定める基準に該当する労働者︵当該高度の専門的知識等を必要と

する業務に就く者に限る︒︶との間に締結される労働契約︑②満六〇歳以上の労働者との間に締結される労働契約で

ある︒①は︑厚生労働大臣が定める基準に該当しなければならず︑その内容は告示で六つの区分により限定的に列挙

されている ︵平一五・一〇・二二厚生労働省告示三五六号︶︒労基法一四条一項に規定する期間を超える期間を定め

た労働契約を締結した場合は︑処罰の対象となるほか︑当該労働契約の期間については︑同条一項一号および二号に

掲げるものについては五年︑その他については三年となる︒

このような有期労働契約について︑さらに労働契約法一七条一項は﹁使用者は︑期間の定めのある労働契約につい

て︑やむを得ない事由がある場合でなければ︑その契約期間が満了するまでの間において︑労働者を解雇することが

できない﹂としており︑期間雇用労働者の契約期間中の雇用保障が明確にされた︒こうして︑期間雇用労働者に対し

−42−

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ては︑雇用に﹁期間﹂が付されることによりその期間に限定されるとはいえ︑その期間は雇用の保障がなされなけれ

ばならないということになる︒

ここで期間雇用労働者に対する整理解雇について概念整理をすると︑使用者が経営不振等により生じた従業員数の

縮減の必要性に基づき︑人員整理手段として行う期間雇用労働者に対する期間途中の解雇であるといえよう︒そうす

ると︑民法六二八条がいう﹁やむを得ない理由﹂ の存在がまず問われなければならない︒そこで︑前述のように期間

の雇用保障の意義を理解すれば︑﹁やむを得ない事由﹂は︑解雇権濫用法理の ﹁客観的に合理的な理由があり︑社会

通念上相当であると認められる事由﹂より厳格であるべきで︑期間終了を待たず直ちに雇用を終了させなければなら

ない予想外かつやむを得ない特別な事由が必要である︒

なお︑就業規則に︑一定の場合に契約期間中で解雇できるという規定を置いた場合︑解除事由をより厳格にする当

事者間の合意は民法六二八条に反し無効であるが︑同条は当事者において解除事由を横やかにする合意自体は禁じて

いないと理解される︒しかし︑労働契約法一七条一項の解釈としては︑実際に行われた解雇が﹁やむを得ない事由﹂

に該当するかどうかを個別事案に照らし判断することになる︒したがって︑このような就業規則の条項が置かれてい

ても︑解雇については前述のような厳格な判断がなされなければならない︒

以上のような理解にたって︑期間雇用労働者の整理解雇について考えれば︑まず整理解雇法理に照らして判断する

ことが求められる︒まず︑第一に﹁人員整理の必要性﹂ については︑かりに生産調整などで余剰人員の発生があり経

営上雇用調整の必要性があったとしても︑それだけでは期間雇用労働者の整理解雇を認める理由とはならず︑他の雇

用調整手段を尽くしても経営の破綻的状況を解決できないような緊急の必要性が求められるべきである︒これは︑期

−43−

(10)

間雇用労働者の雇用について本来雇用調整的機能が期待されるとしても︑期間途中における解雇に関しては期間の雇

用保障機能からいって解雇が安易に認められるものでなく厳格に判断されなければならないことからくる要請でもあ

る︒第二に﹁解雇回避努力義務﹂からいっても︑他の雇用調整手段を尽くすことが必要であり︑とくに期間雇用労働

者に対しても希望退職募集措置が講じなければならない︒問題は︑期間雇用労働者の整理解雇を正社員に対する人員

整理に先だって行えるかどうかであるが︑まず︑正社員に対する希望退職募集に先だった期間雇用労働者の整理解雇

は認められるべきではない︒なぜなら︑正社員の期間の定めのない契約に基づく雇用継続の期待と期間雇用労働者の

期間雇用の間は雇用継続されるという期待との間で軽重は聞えないのではないかと考えるからである︒今日のように

非正社員の割合が四割にも達している状況を考えると︑正社員の雇用を守るために︑期間雇用労働者の整理解雇が認

められてもよいとはならないであろう︒かりに整理解雇という雇用調整手段の必要性が認められる場合でも︑正社員

と期間雇用労働者を通観してその実施について判断されるべきであろう︒すなわち︑整理解雇における雇用の喪失と

いう点においては︑正社員も期間雇用労働者も質的に同等なものとして取り扱わなければならないと考える︒

第三に︑﹁整理解雇対象者選定の合理性﹂については︑1述したとおり正社員の整理解雇に先立って期間雇用労働

者のみの整理解雇が認められるべきではないが︑正社員および期間雇用労働者ともに対象とした整理解雇は考えられ

る︒この場合には整理解雇対象者の選定にあたって期間雇用労働者がその対象者とされやすいことは想定できる︒そ

こで︑整理解雇対象者の選定に際して期間雇用労働者を先順位とすることは︑実質的に期間雇用労働者を正社員より

先に整理解雇の対象とすることを認めることになるので合理性を欠くものと考えるべきであろう︒これについては︑

人員整理の必要性に基づく整理解雇であるので︑整理解雇対象者が雇用調整手段として余剰労働力吸収にどれくらい

−44−

(11)

効果的か︑また経営の再建にあたって期待できる貢献度・能力などを人件費とともにあわせ考慮するといった観点か

ら立てられた︑共通した客観的選定基準を設けて判断すべきであろう︒

使

働組合ないし労働者に対して説明を行い︑十分な協議を経ることが求められる︒期間雇用者の整理解雇にあたっては︑

整理解雇手続において労働組合や労働者代表に説明・協議を行う場合に︑期間雇用労働者の参加が保障されなければ

ならない︒かりに︑期間雇用労働者の意見をまったく聴取しないで整理解雇手続が行われたとしたら︑十分な整理解

雇手続が尽くされていないものと判断されよう︒

以上のように四要件の具体的内容を理解したうえで︑期間雇用労働者の個別具体的事案を判断し︑それぞれの基準

に照らしてもそれぞれ要件を充足しているとされた場合には︑期間雇用労働者の整理解雇が肯定されるものといえる︒

−45−

2 期間雇用労働者の雇止めと人員整理

︶期間雇用労働者の雇止め法理

有期労働契約の雇用期間が満了すれば︑民法上の原則によれば︑契約の効力は当然に終了する︒しかし︑有期労働

契約が繰り返し更新された場合︑期間満了後も従来どおり契約が反復更新するという労働者の期待に反し︑使用者が

雇止めを当然に行いうるかが問題となる︒判例は︑有期労働契約が反復更新され期間の定めのない契約と実質的に異

ならない状態にある場合には︑労働契約の更新拒否には解雇の場合と同様客観的で合理的な理由が必要であるとし

(12)

︵東芝柳町工場事件・最一小判昭和四九・七・二二民集二八巻五号九二七頁︶︑また︑有期労働契約が期間の定めのな

い労働契約と実質的に同視できない場合でも︑雇用継続にある程度の期待が肯定できる場合には︑解雇権濫用法理を

類推適用すべきとする︵日立メディコ事件・長一小判昭和六一・一二・四労判四八六号六頁︶︒このように︑有期労

働契約が反復更新した場合の雇止めに関しては︑解雇権濫用法理を類推適用し︑合理的理由を必要とする判例法理が

そこで︑反復更新された有期労働契約が︑期間の定めのない労働契約と同視あるいは雇用継続の期待があると社会

通念上相当と認められるかどうかの判断に関しては︑①業務内容の恒常性・臨時性︑業務内容について通常の労働者

との同一性の有無等労働者の従事する業務の客観的内容︑②地位の基幹性・臨時性等労働者の契約上の地位の性格︑

③継続雇用を期待させる事業主の言動等当事者の主観的態様︑④更新の有無・回数︑更新の手続の厳格性の程度等更

新の手続・実態︑⑤同様の地位にある他の労働者の雇止めの有無等他の労働者の更新状況︑の五つの基準に照らして

︵2 4︶

判断される︒

有期労働契約の更新拒否事案を検討してその性格を類型化すれば︑おおむね︵a︶純粋有期契約タイプ︑︵b︶実

C

d

︵a︶純粋有期契約タイプは︑期間満了により当然に契約関係が終了するというもので︑かりに更新が重なってい

ても前述の五つの判断基準に照らして期間の定めのない労働契約とは同視して扱うことができないと判断する︒

︵b︶実質無期契約タイプは︑期間の定めのない労働契約と実質的に異ならない状態に至っていると判断されるも

ので︑前掲東芝柳町工場事件最高裁判決では︑前述の判断基準のうち①では︑業務内容・仕事の種類が本工とは差異

−46−

(13)

がないとされ︑②については臨時工であるものの︑③の事業主が継続雇用へ期待させる言動があったとされ︑④につ

いては契約更新が厳格に行われていなかったものとされ︑⑤については期間満了によって退職していた事例がなく︑

ほとんどが長期継続雇用されていた実態があると判断して︑臨時工の﹁期間の満了ごとに当然更新を重ねて︑あたか

も期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態で存在していたものといわなければならない﹂と判断している︒

︵C︶期待保護︵反復更新︶タイプは︑反復更新の実態から︑雇用継続への期待が認められるとされるもので︑前

掲日立メディコ事件最高裁判例は︑二カ月の契約を五回更新した臨時貞︵臨時工︶に対する業務上の都合による雇止

めに関して︑前述の判断基準のうち︑①について臨時貝の業務内容が︑前作業的な要素のもので︑単純な作業で︑比

較的簡易な作業であるとし︑②について雇用変動に伴う雇用量調整が目的で採用されたもので臨時貞という地位であ

り︑③については臨時員の採用にあたっては学科試験・技能試験などを行わず面接だけで採用を決定するなど簡易な

方法であり︑④について︑更新の手続は︑同一契約書の雇用期間欄に順次雇用期間を記入して押印していくというも

のであり︑⑤について他の臨時貝の更新についてはほぼ同期に採用された臨時貝九〇名のうち本件雇止め雇用継続が

なされたのは一四名だったと判断して︑﹁期間の定めのない労働契約が存在する場合と実質的に異ならない関係が生

じたということもできない﹂としたが︑臨時貝としての契約はある程度の継続が期待されていたものであり︑原告の

五回にわたる契約の更新があれば雇止めには解雇の法理が適用されると判断した︒

︵d︶期待保護︵継続特約︶タイプは︑格別の意思表示や特段の支障がないかぎり当然に更新されることを前提に

労働契約を締結したとされるもので︑契約期間一年の臨時運転手に対する最初の更新時に更新を拒絶した龍神タクシ

ー事件︵大阪高判平成三・=六労判五八一号三六頁︶の例が典型である︒この事案は︑制度発足以来︑自己都合

−47−

(14)

で退職するもの以外雇用が継続され︑正規運転手へ登用されていたという実態から︑裁判所が﹁従前の取扱いを変更

して契約の更新を拒絶することが相当と認められるような特段の事情がない限り︑被申請人において期間満了を理由

として本件雇用契約の更新を拒絶することは信義則に照らし許されないものと解するのが相当である﹂と判断したも

︵二︶期間雇用労働者に対する人員整理としての雇止め

以上のように期間雇用労働者の雇止めについては︑判例は厳格な判断基準を示してきているが︑人員整理として行

ゎれた場合にもこのような判断がなされるべきであろうか︒その出発点として︑まず期間雇用労働者の雇止めについ

て人員整理として行われることについてどのように理解すべきかについて考えてみる︒それは︑使用者が経営不振等

により生じた従業員数の縮減の必要性に基づき︑人員整理手段として期間雇用労働者の労働契約の更新をこれまで行

ってきたにもかかわらず拒否するものということになろう︒この場合には︑使用者が人員整理として労働契約の更新

拒否を行うことの表明が求められなければならない︒具体的にはたとえば︑毎年四月から一年間の期間で期間雇用労

働者を一定数採用・更新している場合で更新を集団的に拒否する例だけでなく︑これまで更新を認めてきた期間雇用

労働者の労働契約の更新について一定期日以降更新をしない方針をとる例などが考えられる︒

なお︑これまで更新を認めてきた企業において︑経営環境が悪化したとしても︑人員整理として行うという表明が

行われず個別的に期間雇用労働者の更新拒否が行われる場合は︑前述した五つの判断基準に照らして法的判断が下さ

れることになろう︒また前述の︵a︶純粋有期契約タイプの場合は︑もともと期間満了による労働契約の終了が予定

−48−

(15)

されているので︑人員整理としての更新拒否の例となることはない︒

b

C

d

プの場合であり︑更新拒否について厳格な判断基準により解雇権濫用法理の類推適用がなされることにつき︑人員整

理として行われるときにも同様な判断をしなければならないかどうかである︒判例は︑﹁雇止めの効力を判断すべき

基準は︑いわゆる終身雇用の期待の下に期間の定めのない労働契約を締結しているいわゆる本工を解雇する場合とお

のずから合理的な差異があるべきである﹂︵前掲日立メディコ事件最高裁判例︶との立場を示しており︑正社員の整

理解雇に先立って期間雇用労働者の雇止めは容認されるという立場を明らかにしているものが多い︒もとよりこのよ

うな立場を明らかにしつつも︑判例は前述のように五つの判断基準に照らして解雇権濫用法理の類推適用を考えてき

たのである︒以上のような判例の考え方は︑結局人員整理手段として期間雇用の更新拒否については原則的に認めら

れないと結論づけるものであった︒そこで問題は︑これまで更新を認めてきた期間雇用について︑経営悪化にもかか

わらず更新拒否は絶対に認められないのか︑認められるとするとどのような要件によって認めるのかということを整

理し直すところに焦点があるのではないだろうか︒

これについて考えてみると︑やはり前述した五つの判断基準を参考として検討すべきではないだろうか︒たとえば

反復更新を認めてきたが︑契約内容として経営悪化の場合には更新しないことがある旨明記してあり︑期間労働者も

合意しているような場合などでは︑人員整理として有期労働契約の更新拒否も認められることになろう︒しかし︑こ

のような場合においても五つの判断基準から整序された有期労働契約のタイプにより︑更新拒否が認められるか検討

されるべきである︒このように五つの判断基準で検討した場合︑︵b︶実質無期契約タイプでは認められないことに

−49−

(16)

なる︒なぜなら︵b︶実質無期契約タイプは実質的に期間の定めのない労働契約と同視されるので︑正社員の整理解

雇より先に雇止めが容易に認められるべきではなく︑先述した期間雇用労働者の整理解雇の判断基準に照らし同様の

判断がなされるべきである︒

これに対して︑︵C︶期待保護︵反復更新︶タイプや︵d︶期待保護︵継続特約︶タイプの場合には︑整理解雇に

先んじて雇止めが認められることがありうる︒すなわち︑これらの場合には雇用継続の期待が生じたとしていたとし

ても︑当該労働契約の締結時ないし前回更新時においては予想しがたかった経営の破綻的状況が生じ雇用調整手段を

取らざるを得ない必要性が存する場合には︑労働契約の更新拒否が認められることはありうると考えられる︒これは︑

整理解雇という雇用喪失と比較したとき︑いちおうは雇用期間の終了が認められていることについて法的に評価する

ということでもある︒このような場合には︑たしかに雇用継続の期待が認められていたものであっても︑期間の定め

のない労働契約とは同視できるものではないし︑雇用継続の期待については経営上の必要性により否定されざるをえ

ないのである︒しかし︑この場合の更新拒否を判断するときには︑通常の更新拒否の場合には解雇権濫用法理の類推

適用が認められるのであるから︑期間雇用労働者の整理解雇に準じた判断がなされるべきである︒

この点についてさらに考えるとまず︑︵C︶期待保護︵反復更新︶タイプや︵d︶期待保護︵継続特約︶タイプの

更新拒否にあたって︑①経営上の必要性については︑経営環境の悪化により余剰人員を縮減するため実施されるもの

であるが︑期間雇用労働者の労働契約の更新拒否に踏み切らざるを得ない程度のやむを得ない必要性が求められよう︒

②期間雇用労働者の整理解雇・労働契約更新拒否以外の雇用調整手段が尽くされていることが必要である︒とくに希

望退職募集は正社員も含めて実施される必要がある︒ただし︑昨年来の事態のように未曾有の経営環境の悪化が急速

−50−

(17)

に起こったような場合には︑期間雇用労働者の労働契約の更新拒否と希望退職の実施がほぼ同時に求められることも

ありうる︒③人員整理として行われるものとしては一律に更新拒否をすることを原則として考えるべきであって︑一

部についてはその更新を認めるということであれば希望退職募集という形で処理すべきものである︒④人員整理とし

て更新拒否を認めるとしても︑期間雇用労働者に対する説明・協議が求められる︒少なくとも労基法一四条に基づく

有期労働契約の更新拒否の予告義務から考えて︑三〇日前までに説明・協議が行われることが必要である︒このよう

な説明・協議においては︑労働契約の更新拒否が継続雇用の期待に反することになることから︑企業に対して一定の

金銭的補償もあわせて求められよう︒

以上のように︑人員整理手段として期間雇用労働者の労働契約の更新拒否を行うことについては︑その有期労働契

約の実態に合わせて考えるべきであり︑整理解雇と同様の基準に照らして判断されるものと︑整理解雇に準じた判断

をするものとに分けて考えられる︒しかし︑後者の場合においても安易に労働契約の更新拒否が認めれるべきではな

く︑人員整理の必要性という観点に照らして法的に厳格に吟味する必要がある︒

−51−

︵1︶ 非正社員に対する雇用調整のうち二〇〇八年末からとくに社会問題化したものは︑派遣労働者に対する﹁派遣切り﹂ で

あり︑派遣先がまったく責任をとらず﹁住居﹂すら追い出されるということで強い社会的非難が起こってきた︒連合の

緊急雇用実態調査によれば ︵二〇〇八年二月中旬〜下旬連合加盟の民間労働組合に対して実施︑﹁労政時報﹂三七四一

号一〇四頁︶︑今後三カ月間に実施される見込みの雇用調整としてあげられたのは︑派遣労働者の削減が一八・六%に対

して︑パートタイマー・契約労働者の雇い止めは八・五%である︒このような﹁派遣切り﹂ については︑労働者派遣事

(18)

業法の法的限界もあり︑また労働者派遣という雇用形態それ自体に対する再検討を行う必要があり︑あらためて規制強

化という観点から法改正の議論もなされているので︑本稿では︑とりあえず扱わないこととする︒

︵2︶下井隆史﹁整理解雇の法律問題﹂日本労働法学会誌五五号一三頁︒

︵3︶下井隆史﹃労働法第三版﹄︵有斐閣・二〇〇三年︶七二頁︒その後︑整理解雇法理の再検討のなかで︑整理解雇の概念に

っいての再整理の検討が行われた︒たとえば整理解雇判例を事案に即して整序したうえで︑四要件が適合的に機能する

整理解雇の基本型と︑﹁事業廃止型﹂︑﹁部門廃止型﹂︑﹁ポスト消滅型﹂の応用型に類型化して︑四要件の当てはめを考え

て判例の分析をすべきとする﹁整理解雇法理﹂の適用の純化を探るもの︵大石玄﹁類型別にみる整理解雇﹂労旬一五〇

二号一四頁︶や︑整理解雇について﹁経営上の理由に起因した解雇﹂として捉え直し︑①緊急避難型ないし危機回避型︑

②予防型︑③戦略型等の類型化をしする主張︵和田肇﹁整理解雇の見直しは必要か﹂季労一九六号一六頁︶は︑整理解

雇法理の射程を広くとらえ︑その適用のさらなる可能性を探るもの等である︵なお奥田香子﹁整理解雇の事案類型と判

断基準﹂日本労働法学会誌九八号四八頁以下は︑四タイプに類型化する︒野田進﹁変更解約告知と整理解雇法理﹂法政

研究六六巻二号四五八頁は︑整理解雇法理を︑経済的事由による解雇以外の雇用調整措置についても適用の可能性を認

めるべきとしたうえ︑整理解雇概念は︑個別解雇と対置される概念ではなく︑﹁人的事由﹂による解雇が対置されるべき

とする︶︒他方︑経営戦略の一環としての剰員の解雇については︑整理解雇法理ではなく︑経営上の理由による解雇概念

を新たに定立すべきとする主張もなされた︵野川忍﹁解雇の自由とその制限﹂﹃≡世紀の労働法第四巻・労働契約﹄

︵4︶この時点において︑整理解雇に関する判例を整理し︑各要件について検討したものとして︑法政大学・中央大学大学院

−52−

(19)

労働法合同ゼミナール﹁整理解雇をめぐる判例総覧﹂労旬九八一号︑最高裁事務総局編﹁整理解雇に関する裁判例﹂︵法

曹会二九八四年︶︑保原喜志夫﹁整理解雇をめぐる判例の法理︵一︶−︵七︶﹂判評二七五号︑二七七号︑二七八号︑

︵5︶盛誠吾﹁整理解雇の有効性要件︵一︶﹂労判三四一号二〇頁︒たとえば︑四要件の相対化の方向性を示したとされる東洋

酸素事件︵東京高判昭和五四・一〇・二九労民集三〇巻一号二〇頁︶でも︑﹁解雇が労働者の生活に深刻な影響を及ぼす

ものであることにかんがみれば︑企業経営上の必要性を理由とする使用者の解雇の自由も一定の制約を受けることを免

れないものというべき﹂とする︒

︵6︶前掲大村野上事件︑細川製作所事件・大阪地堺支判昭和五四・四・二五労判三三号四八頁︑拙稿﹁整理解雇の必要性 と整理基準による性差別︵一︶︑︵二︶﹂労判三〇八号二七頁︑三一〇号四頁︒

︵7︶住友重機玉島製造所事件・岡山地決昭和五四・七・三一労判三二六号四四頁︑前掲東洋酸素事件・東京高判・長一小判

昭和五五・四・三労経速一〇四五号一〇頁︒保原前掲︵四︶論文は﹁経常利益のマイナス﹂をあげる︒

︵8︶日本鋼管京浜製鉄所事件・横浜地川崎支判昭和五七・七・一九労民集三三巻四号六九五頁︑四日市カンツリー倶楽部事

件・津地四日市支判昭和六〇・五・二四労民集三六巻三号三三六頁︒

9

件︵長一小判昭五八・一〇・二七労判四二七号六三頁︶は︑希望退職者募集の措置を採らず行った整理解雇につき︑労

使間の信義則に反し︑解雇権の濫用として無効とした︒

1

0

西

−53−

(20)

︵H︶拙稿﹁業務縮小と整理解雇の有効性﹂法政研究六巻一号二〇五頁︒

︵望東洋印刷事件・東京地決平成=・一〇・四労旬一四八二号二四頁︑日本ヒルトン事件・東京地決平成二・二・二

四労旬一四八二号≡頁︑角川文化振興財団事件・東京地決平成=・=・二九労判七八〇号六七頁︑明治書院事

件・東京地決平成三二・三労判七七九号二七頁︑ナショナルウエストミンスター銀行︵第三次仮処分︶事件・東

京地決平成三・一・二妄判七八二号二三頁︑東京魚商業協同組合事件・東京地判平成三二・三一労旬一四八三

号三九頁︑鹿川書店事件・東京地決平成⁝・二・二九労判七八四号五〇頁︑労働大学事件・東京地決平成三・五・

二六労旬一四八三号六一頁︒

︵ほ︶日本労働弁護団の平成三年三月二日付﹁解雇権濫用法理と整理解雇を変質させる東京地裁労働部を糾す﹂労旬一四七

八号三〇頁︑平成三年四月一八日付﹁整理解雇に関する申入書﹂労旬一四八〇号二三頁︑鵜飼良昭﹁整理解雇法理の

現状と実務上の課題﹂季労一九六号六〇頁︒

︵14︶中町誠﹁整理解雇法理は実務上確立しているか﹂季労一九六号七三頁は︑前掲あさひ保育園事件最高裁判決につき︑要

件に直接言及するものでなく︑いわゆる事例判決にとどまるとする︒西谷敏﹁整理解雇判例の法政策的機能﹂ジユリス

ト一二三号三一頁も︑あさひ保育園事件最高裁判決は︑整理解雇四要件説を支持したものと解するのは困難であると

︵ほ︶これは︑一九八六年の裁判官会同で︑最高裁事務総局︵行政局︶見解として示していた要素説があらためて確認された

ものであった︵﹁整理解雇等に関する合同等協議結果﹂︑最高裁事務総局編﹃労働関係民事裁判例概観︵上巻︶﹄︵法曹

会・一九八六年︶六七三頁︶としても︑整理解雇規制の緩和として機能することとなったため議論を呼んだ︒

−54−

(21)

︵16︶和田前掲︵3︶論文二一頁︒

︵け︶津幡笑﹁いわゆる四要件論﹂労旬一五〇二号三〇頁︒

︵18︶山川隆一﹁解雇訴訟における主張立証責任﹂季労一九六号五二頁︑荒木尚志﹃雇用システムと労働条件変更法理﹄︵有斐

閣・二〇〇一年︶二〇四頁︒

︵19︶村中孝史﹁人事制度の多様化と解雇の必要性判断﹂季労一九六号二八頁︒

︵空そこで︑整理解雇の効力判断基準の﹁要件﹂の枠組みについて再検討する試みとして︑人員整理の必要性と解雇回避努

力義務の関係について︑解雇回避努力義務を尽くした最終手段としての整理解雇の必要性という要件として集約すべき

とする主張︵奥田前掲論文六〇頁︒なお︑西谷敏﹁雇用調整のための出向命令と整理解雇の必要性﹂労旬二三七号一

三頁は︑整理解雇の必要性の要件を加え五要件とする︒︶や︑四要件に加え︑新たな視点から﹁使用者による不利益緩和

措置﹂を五番目の要件として付加すべきとする主張︵川口美貴﹁経営上の理由による解雇規制法理の再構成﹂日本労働

法学会誌九九八号二九頁︑同﹁解雇法理の展開︵下︶/経営上の理由による解雇﹂季労二一七号一四五頁︶等がなされ

た︒なお︑道幸哲也﹁整理解雇過程論の試み﹂︵労旬一五〇二号五三頁︶は︑整理解雇を過程論的な視角でとらえるべき

ことを提言する︒

︵聖菅野和夫﹃労働法第八版﹄弘文堂︵二〇〇八年︶一八一頁︒なお︑安川電機八幡工場事件・福岡高決平成一四・九・一

八労判八四〇号五三頁参照︒

︵召ネスレコンフェクショナリー関西支店事件・大阪地判平成一七・三・三〇労判八九二号五頁︒

︵召三洋電機事件・大阪地判平成三・一〇・二二︵労判五九五号九頁︶は︑契約期間一年の定勤社員の全員に対する雇止め

−55−

(22)

に関して︑まず定勤社員の中で希望退職者を募り雇止めの対象を走勤社員の一部に留める措置を講ずべきとするが︑整

理解雇の場合にも該当しよう︒

︵聖﹁短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律の施行について﹂第3︑3︵平一九・一〇二基

発第一〇〇一〇一六号︶︒

調

︵空近畿コカ・コーラボトリング事件・大阪地判平成一七・一・一三︵労経速一九〇〇号九頁︶は︑最終の契約更新の際に

おける雇用期間の終了後は継続雇用がないこと︑契約書に不更新条項が入れられていたことから︑契約更新しないこと

の合意があったと判断した︒

︵27︶同旨のものとして︑旭硝子船橋工場事件・東京高判昭和五八・九・二〇労民集三四巻五・六号七九九頁︑安川電機八幡

工場事件・福岡地小倉支判平成一六・五・二労判八七九号七一頁︒

︵空有期労働契約の締結時および満了時に使用者が講ずべき措置についての基準を厚生労働大臣が定めることが規定され

︵労基一四条二項︶︑それに基づく告示は︑①契約締結時に︑ィ︑更新の有無︑ロ︑更新する場合がある旨を明示したと

きの更新の判断の基準︑ハ︑有期労働契約締結後にイ・ロを変更する場合にはその内容について︑明示しなければなら

ないこと︑②当該契約を三回以上更新し︑または一年を超えて継続勤務している者︵あらかじめ更新しない旨明示され

ているものを除く︶ について契約更新しない場合は︑期間満了日の三〇日前までに雇止めの予告をしなければならない

こと︑③前者の場合に︑請求があれば労働者にその理由の証明書を交付しなければならないこと︑④有期労働契約を一

回以上更新し︑かつ一年を超えて継続勤務している者について︑更新しようとする場合に︑当該契約の実態や当該労働

−56−

(23)

者の希望に応じて︑契約期間をできるだけ長くするよう努めなければならないことを規定する︵平二〇・一二一三厚生

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参照

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