文部省科学研究費研究報告書 ( 国際学術研究 一大学 間協力研究,課題番号
‑05045002)障害児の早期療育制度 と統合教育 に関す る日米の比較研究
一第
3年度 ( 平成
7年度)報告書‑
弘 前 大 学 教 育 学 部
1996 ( 平成 8) 年 3 月
研究組織 一 平成 7( 1 9 9 5) 年度 ‑
Member soft heJoi ntResear chGr oup
氏名 (Name)
加来 (面 揮)和 子 KAKUIMENZAWAKaluko
豊 嶋 秋 彦 TOYOSHIMA Akihiko
松 下 清 子 MATSUSHITA Kiyoko
ロビーケンドールーメルトン Robbie KENDALL‑MELTCIN
バーバラA.グレゴリー BarbaraA.GREGORY
シャロンL.ウエンツ SharonL.WENZ
所属(position)
弘前 大学教 育学部養護 学科教 室 DepartmentofSchoolHealthScience, FacultyofEducation,HirosakiUniversity
弘前 大学教 育学部心理学科教 室 DepartmentofPsychology,
FacultyofEducation,HirosakiUniversity
弘前 大学教 育学部保健体 育科教 室
DepartmentofHealthandPhysICalEducation, FacultyofEducation,HirosakiUniversity
テ ネ シー大学 マ ーチ ン校教 育学 部 SchoolofEducation,
TheUniversityofTennesseeatMartin
テ ネシー大学 マ ーチ ン校教 育学部 DepartmentofEducationalStudies,
TheUniversityofTennesseeatMartin
テ ネ シー大学 マ ーチ ン校教 育学 部
DepartmentofHumanEnvironmentalSciences,
TheUniversityofTennesseeatMartin
役割分担(divisionofwork)
研 究代表 者 。研 究 の総括 。 統合教 育 実施校 にお け る 保健 ・安 全担 当 (教 育保健 )
「健常」児 、教 師の障害児 イメージ と人 間観 に関す る 調査研 究担 当 (教 育心 理学)
体育 の統 合学 習指 導 の担 当 (保健 体 育科教 育)
米 国側研 究計 画 の総括 。 統合教 育 に関す る教 員 の意識担 当 (特殊教 育)
障害児 の進路選択 及 び トラ ンジ シ ョン担 当 (特殊教 育)
早期療育担 当 (特 殊教 育)
(平 成5,6年度 メ ンバ ー‑平 成7年度 内地留学 の ため) 安 藤 房 治 弘前 大学教 育学部心 身障害学科
ANDO Fusaji DepartmentofEducationfortheHandicapped,
FacultyofEducation,HirosakiUniversity
(平成5年度 メ ンバ ー‑平 成6年度 か ら ミズ ー リ大学へ転 出のため) ドナルドF.デモ‑リン テ ネ シー大学 マ ーチ ン校教 育学部
DonaldF.DeMoulin SchoolofEducation,
TheUniversityofTennesseeatMartin
障害児 の早期療育 と統合 教 育担 当 (障害児教 育)
統 合教 育 に関す る教 員 の 自己効力担 当 (特殊教 育)
1.第
3(1995)年度 の研 究 目的,計 画 及 び活動 の概 要2.アメ リカの特殊教 育 と統 合教 育
3.日本教 師の統 合教 育 に対 す る態度 の構 造 と 大学生 お よび米 国教 師 との比較
4.学校保健 とス クールナ ース ・養護教 諭 の 日米比較
‑統合教 育 との 関わ りの視 点 か ら‑
5.障害児童生徒 の静 的動 作 の発達
6.静 的動作 に関す る 自己評価 一 日本 とアメ リカの大学生 の比較 ‑
写 真
7.障害児教 育 一弘前 大学 (日本) とテ ネシー大学 マ ーチ ン校 (米 国) の共 同研 究 の最終 報告
ヽヾ‑ ベ ーン′
( 分量)
加来 (面揮)和 子 1安 藤房 治 5
豊 嶋秋彦 15
加 来 (面揮)和 子 25
松 下清 子 37
・‑‑‑・・・ 松 下清子 42 バーバラA.グレゴリ‑
シャロンL.ウェンツ
ロビー ケンドールーメルトン,ドナルド
F
.デモ‑リン5 4
バーバラA.グレゴリー,シャロン L.ウエンツ加 来 (面揮)和 子 ,松 下清 子 安藤房 治,豊嶋秋彦
8.統合教 育 に対 す る態 度 に及 ぼす 日米教 員 の 自己効力 の影響
につ いての分析 ドナルド
F.
デモ‑リン,ロビー ケンドール‑メルトン6 4
加来 (面揮)和子,安藤房治,松下清子,豊嶋秋彦9.比較観 察 に基 づ く日本 にお け る早期 療 育 につ いての勧告 (資料 一英訳)弘前市 にお け る障害 の早期発 見 と早期対 応
1 0.
特殊教 育 にお ける トラ ンジシ ョンサ ー ビスll.
3年 間の研 究 を終 えてシャロン L.ウエ ンツ 68 安 藤房 治,三浦喜代
バーバラ
A.
グレゴリー8 4
加 来 (面揮)和 子 87
1 . 第 3( 1 9 9 5 ) 年度の研究 目的,計画及び活動の概要
加来 ( 面淳)和子
は じめに
1993(
平成
5)年
12月に制定 された障害者基本法では,障害 を 「身体障害,精神薄弱及 び精神 障害」 と定め,特 に家庭 や見近 な地域 における自立 を支援す る方向が示 された。そ こに示 され た新 しい 自立観 の もとに,障害のある人々に対す る支援 のあ り方や政策が変化 しつつあ るよう である
。 「ADLか ら
QOLへ」 とい う時代 の思潮 にあ り,教育の分野で も,身辺 自立 な どの 日常生活の力 を高める
ADL重視 の教育か ら,仲 間 と助 け合 い,社会か ら権利 としての支援 を 得 なが ら,それぞれの生活の質 を高め る
QOLの理念 を生か した教育が 目指 されつつある
。そ れには多様 な教育観,多様 な形態や方法が求め られる
。最近の文部省 の 「 我が国の文教施策」
を見 る と,特 殊教 育 の振興方策 と して,従来 の心 身障害児 の適正就学指導 の充実 に加 えて,
1992(平成
4年度)か らは就学奨励 や就学前児童の相談活動 ・指導への補助 を行 った り,医療 ・ 福祉 関係機関 と連携 した早期か らの就学指導の在 り方 についての調査研究 を実施 している
。し か し, これには早急 に柔軟 で有機 的な教育 との連携 に関わる施策が求 め られ る
。また
1995(辛 成
7)年 には, それ までの病気療養児 の教育 の充実,通級 に よる指導 の充実等 に加 えて,学習 障害児等へ の指導,盲 ・聾 ・養護学校高等部における職業教 育の充実,が挙 げ られている
。障 害者の 自立 には学校卒業後の就職 も重要 な要素の 1つである
。近年,就労の状況 も多様化す る 傾 向にあるが, カ リキ ュラムの充実 と共 に,職場 開拓 や就労援助 のシステムの確立が今後の大
きな課題である
。日本の
1994年の特殊教育 を受 けている児童生徒 は,通級 による指導 を受 けている
1万4069 人 を加 えて
13万11
13人で,仝学齢児の
0.98%である
。仝学齢児童 の減少 にあい まって,全体 的に は特殊教育 を受 ける者 の数 も減少 している
。しか し
1993( 平成
5)年度か ら通級 による指導が始 ま り,通常 の学級指向 ( 通級 も含めて) は一層強 まるであろ う
。今後,統合教育が進 む とすべ ての教員が障害児教育 の基礎 的な教育力 をもつ ことが重要であるが,教員養成の履修科 目には, 現状ではほ とん ど設定 されていない。本年度 はこれ ら状況 を視野 に入れ,残 された研究課題 を
中心 にこれ までのメ ンバ ー全員で総合 的に報告す る
。研 究 目的
本年度の研究 目的は,次 の
4つである
。1 .早期療育 と トランジシ ョン制度 ( 進路選択 の保障制度) を中心 とした 日米の比較研究 ‑ア メ リカのテネシー大学マ ーチ ン校 ( UTM) か ら 2 名の教官が来 日し,障害児教育の実情視察 や資料収集 を行 う
。その後の研究協議の中で,障害児 ・者の生涯 にわたる教育や支援 のあ り方 についての提案 を まとめる
。2. 日常生活動作 に関す る簡易動作 テス トについての 日米比較 一弘前大学の教官が UTM を訪 間 し,大学生 を対象 として実験 を行 い,弘前大学の学生の結果 と比較 を行 う
。3.
統合教育 に関す る 日米の教員の意識,態度調査 の結果の検討 に基づ く提案 の作成 一平成
5年度 に 日米の大学,及 び附属学校 の教官 を対象 に行 った障害児教育 につ いての意識調査 の結 果 についての考察 を行い,統合教育推進のための今後の教員養成大学 のカ リキ ュラム構成へ
‑ 1‑
の指針 を得 る。
4.研究 のまとめ及び最終報告書の作成 一本年度 (平成7年度) は研 究の最終年度であ り, こ
れまでの調査研 究か ら得 た資料 を もとに考察 し,研 究 をまとめて報告 す る。
研 究計画
1. テ ネ シー大学マ ーチ ン校 (UTM)か ら, トラ ンジ シ ョンを専門とす るDr.BarbaraA. Gregoryと,早期 療 育セン ター長でもあ るSharonL.Wenzの2名 の教官 が弘前大学を訪 問 す る。平成7年5月の2人の来日に際 して,青森 県内の施設 の他に,東京都心身障害者福祉 セ ンター等 を視察し協議する。
2.加采 は統合教育実施校 における学校保健,安全にかかわ る体制を比較検討す ると共 に,共 同研 究 の最終的なまとめ方 につ いて UTM (私費)を訪問 して全体 の調整 を行 う。
3.豊嶋は青年及 び教 師の障害児イメージ と人間観 につ いての調査 をまとめ るため,調査サン プル を増 や しなが ら解析 し,補足 的 な調査も実施す る。
4.松下は統合教育 における体育指導の研 究 につ いて,安全を重視 し,その前提条件 と して 日 常生活動作 に着 目 して まとめる。児童,大学生 (いずれの地域 も軽度障害児 を含 む) を対象
として簡単な動作 テス トを行 い, 関節 の可動性 や体支持傾 向 につ いて,日米の比較 を行 うた め, UTMを訪問す る。
5.研究成果 の 口頭,論文 による発表 をメ ンバ ーそれぞれの所属学会において行 う予定である。
6.3年 間にわたる本研究 の メ ンバ ー全員で,研究報告書 を作成す る。
活動の概 要
1. UTM教官 の 日本 の早期療育 とトラ ンジ ット制度 を中心 と した視察 ‑Dr.B.Gregory&S.
Wenz
5月 5日(金) 成 田着,東京着
5月 6日(土) 東京発 一弘前着,共 同研究 メ ンバ ー との打 ち合わせ
5月 7日(日) 弘前市 内施設の訪 問
Mayll,Thu.'95T的Nippo東奥 日報
弘
大姉妹
校の米国テネシー大
マーチ ン
校で、障害児教 育
の研究に
携わるバーバラ ・
グレゴリ
ー教官とシャロン
・ウェ
ンツ教官が十日、
弘前市役
所を表敬訪問し、
佐藤圭 一
郎教育長らと懇
談した. 両
教官は 、
弘大とテネシー 大
が平成 五
年から三年計画 で
進めて い
る特殊教育に関 す
る日米 共
同研究の一類 で、六日か
ら弘前市を訪問 「ノ
市内の
養護
学校'ろう学校 '
障害者
施
設などを視察し
たっ
グレ
ゴリ
ー教官は「子供
たちが
楽し
そうに学んでい
たのが
印象
的」、ウェン ソ
教官は
「教
員一人当たり に
対する
子供
の数が米国より
少ない。
先
生たちが非常に
熱心」
など
と視察の感想
を語った
O
「 子 供 の 学 ぶ 姿 印 象 的 」 言
ネ義‑套 弘前市役所を訪問
伝:ェンツ藤 教 育 長 ㊧ ら と恐 書㊥、グレゴリー両】炎す る ウ扱官 MeetlngVViththeSuperlnlendentoftheHirosaklCItyBoardofEducat10∩(May10)‑T66DalFyNew
5
月
8日( 月) 和徳幼稚 園訪 問,教 育学部長 との会見, メ ンバ ー との打 ち合 わせ,歓迎 レセ プシ ョン
5 月 9 日( 火) 県立弘前聾学校,弘前大学教育学部 附属養護学校, ワークラン ド茜‑ の訪問
5月1
0日( 水) 弘前市教 育長,弘前大学 医学部 附属病 院理学療法部訪問,弘前大学学長 との
会見
5 月11 日( 木) 青森県 内施設 の訪 問,弘前発 一東京着 5 月1
2日( 金) 東京都心 身障害者福祉 セ ンター訪問
5月15 日( 月) 成 田発
2. UTM訪問 一 日常生活動作 に関す る 日米大学生 の比較調査 の実施 と資料収集 ‑松下清子教
官 (日本時間で表示,時差
14時 間一夏時 間)
8
月26 日( 土)
‑27日 (冒) 成 田発, ア トランタ着,発 ‑メ ンフ ィス着
‑ UTM着8
月28 日( 月) 研 究 メ ンバ ー と調査予定 の打 ち合 わせ
,UTM施設見学 ,学長
Dr
.M.ペ リー と 会見。
8 月29 日( 火) 体育科主任 Dr .ジ ョージ ホ ワイ トと調査 の打 ち合 わせ,授業で調査実施。
8 月30 日( 水) 社会学 A.ケ ラー博士 の授業で調査実施。大学 院の リモ ー ト教育 の授業見学。
8
月31 日( 木) ク レメ ン トセ ンター ( ヘ ル シース ター トプログラム),
UTMチ ャイル ド&
フ ァ ミリー リソースセ ンター, チ ャイル ドケ アセ ンター訪 問, メ ンフィス校 M. E.ス ミス博士 の講演 を聞 く
。9
月
1日( 金)
‑2日( 土)
UTM発 ‑メ ンフ ィス着 ‑ア トラ ンタ着,発9 月 3 日(冒) 成 田着
3. 3
年 間の活動 の集約 のための打 ち合 わせ と最終報告書 の作成 ‑常 に電話 や フ ァクシ ミリで, また1
0月以 降 は
E‑Mailも活用 して研 究計画 の打 ち合 わせ を行 うと共 に,加采が
UTMを訪 問 し,関係教官 と討議 した。 また, ポル トガルの リスボ ン市 で開かれた第1
3回国際高等教育 改革会議 で共 同研 究 に関 して発表 を行 う際 に, UTM側 の代表者であ る
Dr
.Kendal1‑Meltonと最終 的 な打 ち合 わせ を行 った ( 私 費渡航)。最終報告書作成 のための
UTMメ ンバ ーの原 稿 の入手方法 は, UTMか ら郵送 されて きた フロ ッピーデスクが ソフ トウエ アの関係で使用 で きない もの もあ ったため,
E‑Mailで原稿 を受信 し, フ ァックスで こち らの校正 の確 認 を 依頼 した。
4.
研 究成果 の発表 ‑ ( 学会発表, その他)
①
KAKU Kazuko.integratedEducationinJapanandtheUSA ‑ A StudyonEducationalCon‑ditionsThatEnsureChildren'sDevelopment,‡VthWorldConferenceoftheInternational UnionforHealthProgram andEducation,August24,1995
,
(Makuhari,Japan)②
RobbieKendal1‑Melton,
Kazuko Kaku,
etal ‥
CollaborativeResearch between theUSA andJapaninlmprovingtheEducationofStudentswithDisabilities:FindingsandRecom‑mendations,13th InternationalConferenceoftheInternationalCouncilforInnovation in HigherEducation
,Oc
tober31,1995,
(Lisbon,Portugal)③ 加来和子 :統合教育 に関す る 日米の比較研究 ‑こどもの健康 な発達 を保 障す る教育の条件 につ いての一考察,第42 回 日本学校保健学会,1995 年11 月26 日,( 千葉市)
④
Robbie Kendall.Comparison ofSpecialEducation Programs in Japan and in America,‑ 3 ‑
NorthwestTennesseeHeadStartAssociationMeeting,Jackson,Tennessee,December1995.
⑤
RobbieKendall.EducationofStudentswithDisabilities,JointResearchStudybetweenHiro‑sakiUniversity Oapan)andTheUniversityofTennesseeatMartin (UnitedStates),Final ResultsandComparisons
,
WikesUniversity,Scranton,Pennsylvania,March,1996.( 論 文 及 び 報 告)
① 加 来 和 子 , 豊 嶋 秋 彦 , 松 下 清 子 , 安 藤 房 治,
RobbieKendall‑Melton,BarbaraGregory,
SharonWenz,DonaldDeMoulin:障害児の早期療育 と統合教育 に関す る 日米の比較研究, 第
3(平 成
7) 年 度報告 書 ,1
996年
3月
②
RobbieKendal l ,
KAKU Kazuko,
Donald DeMoulin and others. Education ofStudents withDisabilities. JointResearchstudybetweenHirosakiUniversityリapan)andTheUni‑ veristyofTennesseeatMartin (UnitedStates):Policies,Programs,Culture,Customs,and Attitudes,ArticleofJointResearchSubmittedtoCouncilforExceptionalChildren,Reston VA,1995.謝 辞
(Acknowledgments)次 にご紹介す る多 くの方 々に様 々なご協力 を頂 きま した。衷心 よ りお礼 申 し上げ ます。
研究の発足時一教育学部技術教育教室の佐藤武司教授,保健体育科教育教室の麓信義教授, 養護学科教室の早川三野雄教授,英語科教育教室の
JamesN.Westerhoven先生。
翻訳及 び通訳 一英語科教育教室 の
JamesN.Westerhoven先生,及 び人文学部 の鎌 田ロー レ ル
,D先生。
全般的協カ ー教育学部長の水野裕教授,前教育学部国際交流委員長の野口伐名教授,事務長 の美濃又治次氏,弘前大学並 びに
UTMの学長,本部事務局学事調査係の皆様。
大学 間交流 ・研究の支援
‑ U TM国際交流部長の
Dr.JohnEisterhold,前弘前大学国際交流 委員会委員長の
VictorL
.Carpenter先生。
訪問,調査の受 け入れ一国立特殊教育研究所,東京都心身障害者福祉 セ ンター,弘前大学医 学部附属病院理学療法部の福 田道隆教授,弘前市の諸学校,青森県内の特殊教育諸学校 ・施設, 青森県教育セ ンター,弘前市及び青森県教育委員会,弘前大学附属養護学校 を初め とす る附属 学校固並 びに教育学部の先生方。
事務手続 一教育学部庶務係並 びに会計係 の皆様。
‑ 4 1
2 . アメ リカの特殊教育 と統合教育
安藤 房治
は じめに
本共 同研 究 に関す る報告書 ( 初 年度 お よび第
2年度) において,加 采 や安藤 が わが 国 とアメ リカ合衆 国 との障害児教 育 の相違 につ いて論及 した。我 が 国 とアメ リカ合衆 国 の障害児教 育 を 比較 して最 も顕著 な違 いの第一 は,障害児教 育 お よび関連 サ ー ビス を受 けてい る児童 ・生徒 数 の違 いで あ る
。表
1で も分 か る よ うに,特殊教 育 ( 米 国の特 殊教 育 は英才児 も対 象 と してい る) を受 けてい る学齢児 の学齢児全体 に対 す比率 は 日本 が お よそ
1%であ るの対 し,米 国 は
9%以上 で あ る
。第二 は,米 国で はわが 国 に比 して,障害児 が一般 の通常学校 の通常学級 や特殊学級 で特 殊教 育 を受 けてい る学齢 児 が多 い,す なわ
ち統合教 育が進 んで い る とい うこ と 表
1,教 育 措 置 別 の 学 齢 児 比 (% ) であ る
。わが 国の場合 ,障害児 と認定 され ず,何 ら特 別 な指導 や訓練 を受 けて い ない児童 ・生徒 が多 数通常学級 に 放置 されてい る と思 われ る
。 1993年 度 か ら通級学級 が制度化 され,通常 学級 に在籍 した まま特殊学級 に通級 で きる ようにな ったが, その対 象 は 言 語障害者,情 緒 障害者 ,弱視着 , 肢体不 自由者 ,病弱者及 び身体 虚弱 者 とされ,精神 遅滞児等 は除外 され て い る。 さ らに,米 国で特 殊教育 を
日 本 米
国 盲 聾 養 護 学 校 0.
370.4
特 殊 学 級
0.51 2.3
通 級 (リ ソ ー ス ル ー ム
0.106 4.0
通 常 学 級 で
の 特 殊 教 育 ‑
2.5合
計 0.
986 (L9.2Ⅰ )4.5)
( 山 口 薫
,19 95)受 け て い る 児 童 ・生 徒 の 約 半 数
(4.5%) を占め る
LD (LearningDisabilities:学習 障
害児) に関 して は, わが 国で は学校教 育 法上 の教 育対 象 と して明確 化 されてお らず, 当然 同法
に もとづ いた学級 は設 け られて い ない。
学習 障害児 は, 「 感覚器 官 の障害 や知 的,情緒 的問題
, さ らには環境 的,社 会 的問題 が ない に もかか わ らず ,基本 的 な学習能力 に障害 を持 ってお り
, その原 因 と して 中枢神経系 の機 能 障害 が想 定 され る子 ど も
」( 上 野 一彦 ,
1988)で あ る
。こ
れ らの児 童 ・生徒 はわが 国で の学齢児 の
2‑3%
はい る と言 われ ( 上 野一彦
,1988),
1学級 に
1
,
2名 はい る と思 われ る
。こ う した 学習 障害児 や軽度発達 遅滞児 や聴覚 ・視覚 障害児 な ど
多数 の障害児 ,す なわ ち特 別 な指 導 を必 要 と してい る膨 大 な数 の児童 ・生徒 が依然 と し
て通常学級 にい る もの と思 われ る 1) 。 以上 の ような, わが 国 と米 国 との相違 を念頭 に置 き
なが ら,米 国で のすべ ての障害児 の教 育 保 障 の実現 に向 けた近年 の歩 み, その中での統合教 育 の位 置づ けお よび統 合教 育
をめ ぐる最近 の論争 につ いて述
べ る
。1
第二 次 大戦 後 の .すべ ての障害 児 の教育保 障
1948年 か ら
1966年 にか けての特 殊教 育 プ ロ グ ラム在
あ り,同時期 の学齢児全体 の増加率70%に比較 して もその急速 な発展 は顕著であ った
(Mackie, R
,P.1969.p.4)。しか し,特 異児
(ExceptionalChildren)の 出現率 は1
0%とされ,英才児 2%を差 し引 いた障害児 が特殊教 育 を受 けてい る比率 は障害児全体 の35%に過 ぎなか った ( 同
.p.5)。
各州教 育法 において公教育か らの障害児排 除 を承認 している州 も見 られた
(Burgdor f ,R.
L
D.N.1980.p.63)。1950
年代後半, 「 訓練 されたマ ンパ ワーの不足,教育 におけるソビエ トの挑
戟 」 (U.S.°ept .
ofH.E.W.,1958.p.153)とい う危機感 を背景 に,連邦 に よる教育政策が展 開 された。連邦教 育局年報 は,それ までの 「 特異児 について」 としていた項 目を 「 特別 な教育ニーズへ の対応」
(MEETING SPECIALEDUCATION NEEDS)
とい う名称 に し, 「 利益 を得 ることがで きるすべ ての特異児 に対 して適切 な教育機会 を提供す る」特殊教 育推進策 を打 ち出 した
(U.S.°ept
.of H.E.W.,
1958.p.195)。 1965年 の 初 等 中 等 教 育 法 は, 経 済 的 不 利 益 を 受 け て い る
(disadvantaged)
子 どもたちへの教育保障 プロジェク トの展 開を推進 した。
一方,司法の場で障害児 の公教育か らの排除が問題 とされていった。1
967年, ウィス コンシ ン州法務長官 は 「 無償 の公教育へ の権利 は州法 によ り,障害児 を含 むすべての子 どもに保障 さ れ る」 と主張 した。彼 の意見 は 「 障害者 の教育権 に関す る法理論 における重要 な発展」 を示 し た
(Burgdor f
,R.L
.p.p69)。その後,教育 を受 ける機会 を奪 われていた障害児 とその親たちが 教育委員会 を訴 えた
pARCケース (1971)や
Millsケース (
1972)での判決 を通 して障害児へ の平 等 の教育機会,お よび適正手続 きに対す る権利 の保障が定着 して行 った。 この ような1970 年代 の教育権 の保障 を求める訴訟 と,その判決 は1
970年代 か ら今 日にいたるまで重度の子 どもも含 めたすべ ての子 どもに教育の機会 を均等 に保障す る とい う米国の教育制度の基礎 となる教育理 念 を形成 してい った。
2
.統合教育 とスペ シ ャル ・ニーズ
障害者へ の市民的権利保障のために制定 された リハ ビリテーシ ョン法5
04条
(1973年)に続 い て, 連 邦 議 会 は,
1975年 全 障 害 児 教 育 法
(EducationforAllHandicappedChildrenActof 1975)を制定 した。同法 は,各州 に交付金 を支給 し,すべ ての障害児 に無償 で適切 な公教育 を 保障す ることを主要 な 目標 とした。適切 な公教育 には,「 特有 のニーズに合 わせ て特別 に計画
され る」特殊教育 と,通学 のための交通手段 の提供 や理学療法,作業療法 な どの 「関連サ ービ ス」が含 まれる
。同法 は重度障害児 を優先 しつつ, この特殊教育 と関連サ ー ビス をすべ ての障 害児 に保障 しようとした。
同法 は 「 特殊学級,分離 した学校へ の措置」 は 「 当該児童 の障害の性質や程度が通常学級で の教育が補助 的手段 やサ ー ビス を活用 して も十分 に遂行で きないような場合 のみ に限 られる」
(see.612(5) (B)(20USC 1412))
と規定 し,「 適切 に,最大限,非障害児 と共 に教育 される」, す なわち統合教育 の促進 を目指 した。 これによ り,州 はすべ ての障害児 に教育 を保障す ること お よび統合教育 の積極 的推進 を命 じられた。 この ことに関連 して,同法施行規則 は 「 最 も制約 の少 ない環境
(theleastrestrictiveenvironment)」の概念 を導入 した。 同規則 は,病 院や収容 施設が最 も制約が多い環境で,通常の学級が最 も少 ない とし,障害者 のニーズに応 じるための 連続 した教育の場 を示 した。
全障害児教育法での統合教育や 「ニーズに応ず る」教育保障の規定 は,同法 に先行 した州 レ ベルでの教育法 や訴訟,判決が影響 している もの と思われる
。た とえば,ニ ュー ヨーク市家裁 判決で は 「 教 育法
section4402が州教育局 に,障害児 の身体 的お よび教育的ニーズに適合 させ るのに必要 なあ らゆる手段 を用 い る義務 を課 している」 と州の責務 を指摘 している
。また, ワ
‑ 6 ‑
イア ット訴訟
(1972)で提起 された治療権 や収容保護施設での非 人道 的処遇告発 も統合教育の議 論 に影響 を与 えた2)。3.特殊教 育保障 と統合教育の現段 階
全障害児教育法判定 当時特殊教育 をうけていた障害児 は360万 人余 であ ったが,その数 は増 え続 け(図.1), さらに 「1989‑
1990年度 に特殊教 育 を受 けた児 童 ・生 徒 は,4,817,503人 に達 した。これ は、IDEA(TheIndi‑ vidualswithDisabilitiesEduca‑ tionAct,前 身 は全 障害児教 育 法)が初 めて施行 された1976‑ 1977年 度 に比べ て23%増 で あ っ た。特殊教育 を担 当す る教 師 は 1976‑77年度 における179,000人 か ら1989‑90年 度 に お け る 304,626人へ と増加 したが, こ れ は,合衆 国の教 師の13%を示す」
76177771T878‑7979‑80B0‑8181‑628218383
表
2.通常学級とリソースルームでサービスを受けている障害児の比率
障 害
1985‑86 1986‑87 1987‑88 1988‑89 1989‑90
逮
常 学
級 全 障 害
27.6 28.3 31
.0 32.733.7
学 習 障 害
15.7 16.3 17.9 20.0 21.1
言語 障 害
69.8 71.7 76.177.0 78.2
精 神 遅 滞
3.5 3.6 6.6 6.9 7.8
情 緒 障 害 ll
.4 12.315.7 17.7 18.5
聴 覚 障 害
27.3 27.1 30.6 33.4 35.6
視 覚 障 害
43.838.9 45.0 47.2 47.4
聾 盲 重 複
15.2 7.6 17.0 25.8 15.0
重 複
障 害
3.8 6.1 9.8 10.5 9.3肢 体 不 自 由
37.8 29.8 35.7 35.9 35.5病 弱
38.2 38.5 43.6 42.9 40.1リ
全 障 害
46.3 45.3 42.6 41
.5 39.9学 習 障 害
63.3 62.1 60.0 58.7 56.9
言 語 障 害
26.5 24.1 20.0 19.2 18.0
ソ 精 神 遅 滞
30.0 30.1 26.9 25.1 22.3
I 情 緒 障 害
43.6 43.2 41.1 37.6 35.4
ス 聴 覚 障 害
30.2 31
.625.8 25.7 23.4 ル
視 覚 障 害
32.8 35.1 30.0 28.8 27.2 l
聾 盲 重 複
38.8 33.4 12.2 10.8 29,7 ム
重 複 障 害
27.8 27.3 20.4 20.9 22.4
肢 体
不 自 由
23.0 28.9 23,2 22.8 22.6病 弱
27.6 36.2 29.7 29.1 28.5 l (S
a w
y e r,良. ∫. & O thers. 1994よ
り 作
成 )
Sawyer
らは,1
977年以降一般公立校 に,1
985年以降通常学級 に
障害 を持 った生徒が どの程 度統合 されているかに関す る全国的なデータを分析 した。結果 は,
一般の公立校への教育措置 の全般的増加がほ とん どの
障害児 に見 られ,通常学級‑の統合的措置 もまた増加 した。 しか し なが ら統合のパ ター ンは障害 によって違いがあった。
一 般 の 公 立 学 校
(generaleducationpublicschools)で サー ビ ス を受 け る割
合 の 変 化
(1977‑78‑1989‑90)を見 ると統合が進 んでいるのは聴覚障害 (4 %),
視覚障害 (3 %),肢 体不 自由 (
17%)で,学習障害/言語障害,盲一撃,病弱 においてほ と
んど変化がない。一方, 統合教育が減退 したのは精神遅滞 ( 2 %),情緒障害 (4 %)お よび重
複障害 (6 %)であった ( 図.2)
。また,表 2で分かるように,通常学級で教育 を受 ける児
童 ・生徒 の割合で増大 した の は学 習 障害 ( 5%), 言語 障害 (8%),精神 遅 滞 (4%),情 緒 障
害 (7%),聴覚 障害
(8 %),視覚障害 (4 %),重複障害 (6 %),病弱 ( わずかな増加)であった。
大 きか った。
リソースルームで特殊教育サ ー ビスを受 けてい る児童 ・生徒 はほ とん どの障害 の場合で減少 傾 向 にあ り, これ は通常学級で教育 を受 ける数が増加 してい るの と傾 向が逆であ った。
全 障害児教育法以降,障害 に よって は部分 的に統合教育 を受 ける比率が減少 してい る ものの, 全般 的傾 向 としては,一般校 での障害児教育 の推進,す なわち統合教育が進 んでい る といえる
。4
.統合教育 をめ ぐる論争
1980
年代 か ら
90年代 の今 日に到 る まで,障害児 の教育 を保障す る場 をめ ぐって,す なわち統 合教育 をめ ぐって論争が続 いてい る
。最近 の論争 を整理 し,紹介す ることを通 してアメ リカで の統合教育の課題 を考 えて見 たい。
全障害児教育法以降, 同法の改革方 向であ った一般 の学校での障害児教育 の実施,障害児 の 受 け入 れ,つ ま り統合教育 を推進す るため に一般校 の教育改革 や一般 の教員 の障害児理解,意 識改革 を積極 的 に推進す るべ きであ る との主張が続 いてい る
。「 特殊教 育の専 門文献 で現在注
目を受 けてい る最 も強 く, そ して論争 的 な問題 は,通常学級主導主義
(REI:RegularEduca‑tionlnitiative)
であ る
。提起 されてい る特殊教 育 と通常教育 を同一の システムに合 同す る とい うこ とは強力 な唱導者 と批判者 の両方 に影響 を及 ぼ した
。」 (Davis,
W.1989)と言 われ る よう に, この
REIは現在大 きな注 目を集 めている
。 REIの中心 的な主張者 であ るス タイ ンバ ック夫 妻 が 「 特殊教育 リハ ビ リテーシ ョンサ ー ビス局副長官
,MadeleineWillの仕事 と著作 の両方が 特 殊教 育 分野 で の私 た ちの考 え を発 展 させ るの に役 だった
」 (Stainback,S.&
Stainback,
W.,
1987)と述べ てい るように, ウイル副長官の論文が この ような主張 に 「お墨付 き」 を与 えた。
REI
に対 して疑 問 を持 ってい るデ イビスの整理 によれば,
REIとは 「 一般教 育 システムが, 一定 の タイプの特別 なニ ーズ を持つ生徒 と同様,判定 された障害生徒 を含 む公立学校 内のすべ ての生徒 に明 白な,第一義 的責任 を持つ ことを唱道す る運動」であ り, この運動 によって 「 公 立学校 における現在 の二重 システムの解消,す なわ ち, もし注意深 く企画 され,実施 されれば すべ ての生徒 に, よ り効果 的で適切 な教育 を準備 す る統一 した教育 システムに よる再配置」 を 求 め る
(Davis,
W.1989)。す なわち, 障害児等 を教 育す るための特 殊教 育 と一般 の教 育制度 が システム上 「 二重」 にな ってお り, この二重性 を克服 しようとい うわけであ る
。 REI提唱者 たちが問題 に している特殊教育の制度上 の問題点 は 「 差別的であ り, プログラム的に も, コス
ト面で も非効率 的であ る
」 (Davis,
W.1989)とい う
。REI
提唱者 の 「 統一 した教 育 システムによる再配置」 をベ ースに した基本 的な考 え方 は,揺 唱者 の一人 ウ ォング
(Wang,1991)に関す る茂木 の整理 に よれば次 の通 りである ( 茂木,1
994.pp.80‑81)。
① すべ ての子 ど もが 「 特殊
」( スペ シ ャル) であ り,教 師 は各人のニ ーズ を知 り,意味 のあ る上首尾 の学習 を促進す るような学校環境 を用意す る責任があ る
。( か軽 度 また は中皮 の障害 を もつ さまざまなカテ ゴ リの子 ども,普通 よ り手厚 い教 育 と関連 サ ー ビスによる支 えを必要 とす る学習上 の ア ト・リスク児,す なわち補償教育対象児,移 民教育対象児 は, 「 特 殊」教 育 と関連サ ー ビス を伴 う通常教 育 の場 に,全 日にわた って う
ま く統 合 され うる し,統合 され るべ きであ る
。③特殊教育,補償教育,治療教育 を必要 とす る子 どもの もつ,それぞれに固有 なニーズに合 致 した と りくみ を行 えるように,各種 の専 門ス タ ッフ と資源 が配置 ・供給 されれば,一般 の教 師 も,特別 なニーズを もつ子 どもを含 むすべ ての子 どもの学習 に責任 を もつ能力 を身 につ けることがで きる
。‑ 9 ‑
④研 究 に もとづ いた革新 的な教授 プログラムに関 して も,教室での実践 に関 して も,すでに 教授 と学習 を もっ と効果 的で能率 的な もの にす るための広範 な知見が あ る
。もし教 師が こ れ らの プログラム と実践 ,あ るいはその どち らか を適切 に具体化 す る方法 を知 ることがで
きれば,すべ ての子 どもに よ りよ くサ ー ビスす るこ とがで きる
。REI
提 唱者 のすべ てが 同一見解 とい う訳で はないが,最 も急進的な主張 は,全障害児教育法 は分離教育 を否定 し,統合教 育 を原則 と したのであ るか ら,障害児教育 はすべ て一般 の学校 で 行 われ るべ きである との主張である
。次 の ような主張がその例であ る
。「p.L.94‑142
( 全障害児教育法) は,時 には分離 された特殊教 育 プログラムの確立 を要 求 してい る と考 え られ るけれ ども、これ は真相 ( 実情)で はない
。」「この教育 は最 も制約 の少 ない環境 の中での適切 なセ ッテ ィングにおいてな され なければな らない。我 々の議論 の 目標 は,分離 された特殊教 育 システムにおいては達成 されない とい うこ とをこの
10年 間の経験 は 示 してい る
。一般 の教育 システムが一定 の生徒 たち を追い出す時, あ るいは特殊教育が誤 っ て彼 らを引 き付 け、ほ とん どメ イ ンス トリーム に返 さない場 合, そ れ は達成 され ない。」
(Lipsky
&
Gartner,1987,p.71)リブスキー とガ‑ トナ ーは 「 隔離 された特殊教育 プログラムが生徒 たちに大 きな利益 を与 え る動 か しが たい証拠 はない。 これ とは逆 に, 反対 の方 向 に進 む証拠 が あ る
。」 (p.72)と し,
「 分離,隔離 された システム を完成 させ る努力 を続 ける よ りも,私 た ちはメイ ンス トリーム を 変 え,一般 の教育 を柔軟 に, 自由に,物分か りの良い もの に変 えなければな らない
。」 (Lipsky&
Gartner,1987,p.72)と述べ,特殊教 育 のための独 立 した学校 を否定 的 に評価 し,一般 の学 校が障害児 を受 け入れ る方向で改革 され ることを求 めてい る
。同様 の立場 に立 ってい るの はス タイ ンバ ック夫妻 であ る
。ス タイ ンバ ック夫妻 は 「 特殊教育 と通常教育 の資源 を結合す ること に よって,個人 と してすべ ての生徒 に取 り組 み,彼 らのニーズに合 わせ る とい う目標があ るな らば,生徒 たち,教 師たち,そ して プログラムに特殊 と通常 とい うラベ ル を貼 る理 由は何 もな い
。」 (Stainback&St
ainback,1987)と述べ てい る
。REI
の提唱者 は,障害児 と言 って も重度 の障害児 を含 むすべ ての障害児 の教育 に関心 を抱 い て論 じてい るわけではない。 た とえばウ ォングや レイノルズ らが 「 我 々の注 目は,特殊教育教 師の患者 の 4分の 3以上 を占め る " 軽度 の"あるい は " 判断力 のあ る"障害児 たちのプログラ ムに関連 あ る
。」 (Reynolds,
Wang,
Walberg,1987)と述べ てい る よ うに障害児 の 中で も多数 を 占め る軽度 の障害児 に対 す る教育的対応 に関心 を抱 いている
。ウ ォング らのプログラムは 「 経 済 的に恵 まれない子 どもたち,移民児童 の教育,英語の にが てな子 どもたちの教育) に関連 あ るが,響,盲,重度障害,す なわち認知発達 の点で遅滞が大 きい子 どもたちのためのプログラ ムには関連 はない
。」 (Reynolds,
Wang,
Walberg,1987,p.391)と述べ てい るが,彼 らが統 合教 育 の推進 を議論す る場合 ,その念頭 に置 かれてい るのは比較 的軽度 の障害児 であ るこ とに注意
を向 ける必要があ る
。REI
に対 して慎 重, も し くは反対 の立場 に立 ってい るの はデ イ ビス
(Davis,1989), フ ック ら
(Fuchs&Fuc
hs,1988)お よびハ ラハ ンら (Hallahan,Keller,andOthers,1988)である
。こ の中のデ イ ビスが整理 してい る
REIに対す る批判 的論点 を紹介す る
。その第一 は,REI は基本的 に誤 った仮説 に基づ いてお り,厳格 な研究 のベ ースを欠いている とい うこと, この ような研究 を抜 きに急速,広範 囲に広 げれば,結局援助 しようとしてい る障
‑ 10‑