32-1 1. はじめに 1-1. 研究の背景と目的 日本では戦後から現在まで家族構成や家庭生活が大 きく変化し、その受け皿として集合住宅の計画・建設 も発展してきた。近年では、多様な入居者層への対応 や、永住型の住まいとして住み続けることを可能とす る工夫が集合住宅に求められている文1)。 さて、集合住宅の1型式である「メゾネット型住宅」 は日本において 1950 年代から民間・公的集合住宅に 登場する。これは集合住宅の型式としては主流ではな いが、現在まで決して少なくない数の住戸が供給され てきた。しかし、今井正次らによる日照条件等の居住 環境や就寝場所の決定要因を探った研究文2)、杉山茂一 らによる築 35 年のクロスメゾネット形式の住棟にお いて居住環境の改善を行う上での課題と方策を提示し た研究文3)はあるものの、体系的な研究は未だなされて いない。本研究は初期から近年にかけた供給と平面計 画の展開を追い、さらに初期のメゾネット型住宅と位 置づけられるAマンションの居住史の分析を通してメ ゾネット型住宅の計画史的研究の礎をつくり、住み続 ける視点からこの型式を見直すことを目的とする。 メゾネット型住宅とは、1 つの住戸の内部が 2 層以 上にわたるもの文4)とされている。本研究では、複数住 戸が上下に積層した集合住宅において 1 つの住戸内部 が 2 層以上にわたるものと定義して、各戸が接地する テラスハウスは含めないこととする。また、メゾネッ ト型住戸内の各層について、DK あるいは LDK をもつ 階を主階、もたない階を副階と定義する。 1-2. 研究の方法 2 章では日本における初期メゾネット型住宅の知見 を文献調査からまとめ、現在の独立行政法人都市再生 機構が日本住宅公団時から供給した近畿圏のメゾネッ ト型住宅を住戸数や平面構成等の点から分析する。3 章で A マンションと居住者の属性を分析した上で、4 章では住まい方調査で得られた食事・だんらんと就寝、 接客行為の場から捉えた公・私空間の使い分けの実態 を明らかにする。5 章では住まい方の実例を通してメ ゾネット型住宅の今後着目されるべき視点を考察する。
メ ゾ ネ ッ ト 型 住 宅 の 計 画 史 的 研 究
ー初期メゾネット型住宅 A マンションにおける居住史を中心にー 三村 明子 1-3. 調査の概要 2 章の分析に用いた都市再生機構が供給した近畿圏 のメゾネット型住宅の資料は、ケーススタディとした Aマンションがあった近畿圏で多数の公的住宅を供給 した現独立行政法人都市再生機構西日本支社に、九州 支社を通じて依頼した。あくまで提供された資料の範 囲内での分析のため、全数を把握できていない。また、 全て賃貸住宅である。 Aマンションの調査は 2011 年から 2014 年にかけ て計6回、途中退居を含めた18例の居住者を対象に生 活環境に関するアンケート調査を、そのうち 17 例を 対象に面談による住まい方のヒアリング調査を行った。 A マンションは建物が現存していないため、住まい方 の記録は全て居住者zの記憶に基づいている。 2. 供給の実態と平面計画の展開 2-1.1950-60 年代の初期メゾネット型住宅 本研究はメゾネット型住宅の普及状況を捉えるため に主に公的供給された事例に着目した。公団による 1960 年代までの共同住宅の計画・設計全般をまとめ た文献文 4)と住まい方調査の報告書文 5)(1968 年 ) による と、共同住宅の型式の一つとしてメゾネット型住宅の 実現を模索していたこと、主副階による公・私空間の 分離を目標としていたことが明らかとなった。 2-2. 近畿圏における供給例 また、統計的な供給を捉えるために都市再生機構が 日本住宅公団時から供給した近畿圏のメゾネット型住 宅を対象に、メゾネット型住戸を 1 戸以上含む集合住 宅の棟数・戸数と管理開始年代、各棟の全戸数とそれ に対するメゾネット型住戸の割合、住棟におけるメゾ ネット型住戸の位置、住戸専有面積の傾向の 5 点から 分析した。 その結果、1990 年代以降から近年におけるメゾ ネット型住戸を含む住棟において、全戸数100戸未満 の住棟内における最上段か最下段の一部に、全戸数の 20%未満の割合でメゾネット型住戸が配されている傾 向にあること、専有面積は1959-69年の40-60㎡から 1970-79年には40-100㎡に、その後1999年まで135 ㎡を上限に拡大がみられることを示した。32-2 2-3. 住戸平面の特徴と展開 続いて住戸専有面積が狭い 40-60㎡の、管理開始年 1959-69 年の 2DK と 3DK、2000-09 年の 1DK の住戸 を比較すると、近年に比べ初期の計画は当時の社会的 要求から居室数を重視した計画である ( 図 1)。主副階 における室配置には多様化がみられ、近年では積層し た特徴を活かし、吹抜けを用いて空間的な豊かさをつ くる動向も一部で認められる ( 図 2)。この計画は面積 が狭く圧迫感が生じやすい住戸内に対する設計側の 1 つの解答と考えられる。メゾネット型住宅は今後も多 様な展開をみせると予想される。 3. 初期メゾネット型住宅 A マンションと居住者 3-1.A マンションの概要 研究の対象とする千里NTのAマンション(6階建て・ 53 戸)は、1967 年に公的分譲住宅として建設された 初期のメゾネット型建物である(表1)。建築後44年余 りを経て 2011 年に建替え決議後に全員合意し、同年 に居住者が退去、建替えの後 2013 年に引き渡しが行 われた。住戸の平面構成は奇数番号の住戸と偶数番号 の住戸が戸境壁を軸に対称に配された同一プランであ る(図3)。下階(主階)は南側に食事室(DK)とそれに隣 接する6畳和室(6s)、上階(副階)は南側に8畳和室(8s) と北側に 4 畳半洋室 (4n)、6 畳和室 (6n) が配されてい る(図4)。なお本研究では入居・転居等について、世 帯の当該住戸への引っ越しを“入居”、世帯の他所への 引っ越しを“転居”、家族成員(世帯の一部)の当該住戸 への引っ越しを“転入”、家族成員の他所への引っ越し を“転出”、建替えに伴う世帯の転居を“退去”と定義する。 3-2. 区分所有者・賃貸居住者の 44 年間の動向 A マンション建設・入居の約半年後に居住世帯の属 性を明らかにした研究文6)によると、調査時点では4人 家族が40.0%と最も多く、世帯主年齢は35 ~ 44歳が 約半数、6 割近くは就学期の子どもをもつ世帯であっ た。また、メゾネット型住宅を選択した理由について、 “公・私空間の分離”を選択した居住者が最も多く40% 近くを占めていた。初期メゾネット型住宅の設計思想 であるこの特徴を、これらの居住者は入居前から評価 していたことを示している。 次に 1967 年から 2011 年までの区分所有者と賃貸 居住者の動向を分析した。区分所有権の承継に対して 相続と売買の 2 つに分類し分析した結果、相続による 承継を含め1つの世帯が44年間所有していた住戸は全 53戸中20戸を占めた。また、全戸における44年間の 賃貸者数は0人が最も多く6割以上を占めた。したがっ て44年間における所有権の移動や賃貸者数が少なかっ たこれらの世帯においては、A マンションを永住型の 住まいとして捉えていたといえる。 3-3. 住まい方調査対象世帯における家族構成歴と環境評価 住まい方調査対象世帯17例の家族構成歴をみると、 退去・転居時には 60 ~ 80 代女性の単独世帯 (4 例 )、 60 ~ 80 代の夫婦 2 人世帯 (7 例 ) が目立つ (表2)。Aマ ンション全体でも44年間で世帯の縮小と高齢化があっ たと考えられる。また生活環境のアンケート調査から、 入居時のAマンション選択理由では居住環境の良さや 日常生活の便に関する評価が高く、また「部屋の広さ が適当」と11例が答え、「その他」の中にメゾネット型 を理由にした居住者が 3 例あった。退去・転居時の評 価はいずれの項目も「良くない」「悪い」を回答した例 は無く、居住者の周辺地区と A マンションに対する愛 着度が高いことが明らかとなった。 下階 上階 DK 6s 8s 4n 6n ୗ 㝵 P ୖ 㝵 ᐊ ␚ 㣗 ᐊ ᐊ ␚ ὒ ᐊ ᐊ ␚ ⣡ ᡞ ᗯ ୗ ᡤᅾᆅ ᘓ⠏ᖺḟ ౪⤥⪅ ᡞᩘ ᘓ≀ᵓ㐀 㜰ᗓ྿⏣ᕷ ) ྎ ᖺ 㜰ᗓఫᏯ౪⤥බ♫ ఫᡞ ᡞࠉࠉࠉᡞ 5& 㐀 㝵ᘓ ఫᡞ㠃✚ ᐊᵓᡂ ୗ㝵㸸 ੍ ୖ㝵㸸 ੍ ࠉィ㸸 ੍ ୗ㝵㸸ᐊ㣗ᐊ ୖ㝵㸸ὒᐊᐊ ⟶⌮⤌ྜ ົᡤ ྎᡤ ⚾㕲㊰⥺⤊╔㥐ࡽᚐṌ⣙ศ 表 1. Aマンション概要 図 3. Aマンション住戸平面図 図 4. 部屋の記号化 㻟 㻞 㼍 㻯㻔㻡㻜௦㻘㻡㻜௦㻕 㼒㻌㻔㻝㻥㻕 㻯㻔㻤㻜௦㻘㻤㻜௦㻕 㻝 㻥 㻢 㻣 㻝 㻥 㻥 㻥 ※うち 5 年間は不在 㻞 㻞 ͤ 㼎 㻯㻔㻠㻜௦㻘㻠㻜௦㻕 㻯㻔㻣㻜௦㻘㻣㻜௦㻕 㻝 㻥 㻢 㻣 㻞 㻜 㻜 㻠 㻝 㻥 㻢 㻣 㻟 㻞 㻜 㻝 㻝 㻝 㼏 㻯㻔㻠㻜௦㻘㻠㻜௦㻕 㼒㻌㻔㻝㻢㻕 㼒㻌㻔㻢㻜௦㻕 㻝 㻥 㻢 㻣 㻢 㻞 㻜 㻝 㻝 㻝 㼐 㻯㻔㻠㻜௦㻘㻟㻜௦㻕 㼒ϸ㻔㻝㻢㻕㻘㻌㼒Ϲ㻔㻝㻟㻕 㼒Ϻ㻌㻔㻤㻕㻘㻌㻲䇻㻔㻢㻜௦㻕 㻲㻌㻔㻤㻜௦㻕 㻝 㻥 㻢 㻣 㻞 㻞 㻜 㻝 㻝 㻝 㼑 㻯㻔㻟㻜௦㻘㻟㻜௦㻕 㻲㻌㻔㻣㻜௦㻕 㻝 㻥 㻣 㻠 㻞 㻞 㻜 㻝 㻝 㻝 㼒 㻯㻔㻞㻜௦㻘㻞㻜௦㻕 㻲㻌㻔㻢㻜௦㻕 㻝 㻥 㻣 㻥 㻞 㻝 㻥 㻥 㻞 㻠 㼓 㻯㻔㻟㻜௦㻘㻟㻜௦㻕 㻯㻔㻠㻜௦㻘㻠㻜௦㻕 㼙㻔㻝㻞㻕㻘㻌㼒㻌㻔㻤㻕 㻝 㻥 㻤 㻟 㻟 㻌 㻞㻜㻝㻝 㻞 㼔 㻯㻔㻠㻜௦㻘㻠㻜௦㻕 㼙㻔㻝㻥㻕 㻯㻔㻣㻜௦㻘㻣㻜௦㻕 㻝 㻥 㻤 㻠 㻟 㻞㻜㻝㻝 㻞 㼕 㻯㻔㻟㻜௦㻘㻟㻜௦㻕 㼒㻌㻔㻝㻕 㻯㻔㻢㻜௦㻘㻢㻜௦㻕 㻝 㻥 㻤 㻠 㻠 㻞 㻜 㻝 㻝 㻞 㼖 㻯㻔㻠㻜௦㻘㻠㻜௦㻕 㼒ϸ㻔㻝㻝㻕㻘㻌㼒Ϲ㻔㻢㻕 㻯㻔㻢㻜௦㻘㻢㻜௦㻕 㻝 㻥 㻤 㻥 㻠 㻞 㻜 㻝 㻝 㻞 㼗 㻯㻔㻠㻜௦㻘㻟㻜௦㻕 㼙ϸ㻔㻝㻢㻕㻘㻌㼙Ϲ㻔㻝㻟㻕 㻯㻔㻢㻜௦㻘㻢㻜௦㻕 㻝 㻥 㻥 㻟 㻟 㻞 㻜 㻝 㻝 㻞 㼘 㻯㻔㻡㻜௦㻘㻠㻜௦㻕 㼒㻌㻔㻝㻤㻕 㻯㻔㻣㻜௦㻘㻢㻜௦㻕 㻝 㻥 㻥 㻠 㻢 㻞 㻜 㻝 㻝 㻟 㼙 㻯㻔㻠㻜௦㻘㻠㻜௦㻕 㼒㻌㻔㻝㻢㻕㻘㻌㼙ϸ㻔㻝㻠㻕 㼙Ϲ㻔㻝㻝㻕㻘㻌㻲䇻㻔㻤㻜௦㻕 㻯㻔㻡㻜௦㻘㻡㻜௦㻕 㼙㻔㻞㻤㻕 㻠 㻌 㻠 㼚 㻯㻔㻞㻜௦㻘㻞㻜௦㻕 㼒㻌㻔㻝㻕㻘㻌㼙㻔㻜㻕 㻯㻔㻠㻜௦㻘㻠㻜௦㻕 㼒㻌㻔㻝㻠㻕㻘㻌㼙㻔㻝㻟㻕 㻝 㻥 㻥 㻤 㻞 㻜 㻝 㻝 㻞 㻞 㼛 㻯㻔㻟㻜௦㻘㻞㻜௦㻕 㻯㻔㻟㻜௦㻘㻞㻜௦㻕 㻞 㻜 㻜 㻜 㻞 㻜 㻜 㻞 㻞 㻞 㼜 㻯㻔㻟㻜௦㻘㻞㻜௦㻕 㻯㻔㻠㻜௦㻘㻠㻜௦㻕 㻞 㻜 㻜 㻜 㻞 㻜 㻜 㻞 㻠 㻠 㼝 㻯㻔㻠㻜௦㻘㻠㻜௦㻕 㼙㻔㻝㻠㻕㻘㻌㼒㻌㻔㻠㻕 㻯㻔㻠㻜௦㻘㻠㻜௦㻕 㼙㻔㻝㻥㻕㻘㻌㼒㻌㻔㻥㻕 㻞 㻜 㻜 㻢 㻞 㻜 㻝 㻝 㻌 事例番号 入居時 退去/ 転居時 年 家族人数 家族構成 年 家族人数 家族構成 居住年数 表 2. 住まい方調査対象 17 例の概要 0 2 4m 台所 食事室 物入 玄関 浴室 洗面 和室 和室 押入 押入 押入 DN 押 入 UP 和室 下階 上階 住戸専有面積 50.14㎡ 物 入 台所・食事室 DN UP 下階 上階 住戸専有面積 46.3㎡ 収納 洋室 洗 面 所 玄関 浴室 吹抜 バルコニー バルコニー 物 入 上部吹抜 図 1. 初期の 3DK 住戸 図 2. 近年の 1DK 住戸
32-3 4. 公・私空間の使い分け 4-1. 食事・だんらん、就寝の場の経年変化 4-1-1. 主階における公・私空間の併存 主副階による公・私空間の分離がなされなかった実 態を取り上げる。なお本章では家族状況の変化を捉え るため、森岡清美の家族周期論文7)を参考に家族の周期 段階を設定する(表 3)。2 人の娘が転出し夫婦 2 人暮 らしとなった j 世帯では、向老期に主副階間で夫婦の 就寝室が移動した ( 図 5)。これは上下階の昇降が必要 な住宅において典型的な現象であり、メゾネット型住 宅を永住型の住まいと捉えるにあたり懸念される点で ある。 また夫婦と子ども 3 人、祖母で入居した m 世帯をみ ると、主階6sが祖母と長男の就寝室として使われた実 態は、主副階による公・私空間の分離よりも就寝室確 保が優先されていたといえる ( 図 6)。したがって、主 階における公・私空間併存の要因は、高齢化による身 体機能の低下と就寝室確保の要求にあるといえる。 4-1-2. 主階における一室化の住要求 17 例のうち主階を自主的に改修し LDK 型とした例 は7例みられ、6例が入居時に改修、1例が入居後である。 改修の内容は、DK と 6s の間の襖を取り除き、6s の畳 をDKと共にフローリングへと貼り替えるものである。 また改修していない例の中にも、DK と 6s との間の襖 を開け放して半ば一室のように使用した例があった(図 7)。これらの例は主階の公的空間をより広い一室とし て確立する住要求の存在を示している。 4-2. 接客の場 4-2-1. 主・副階における日常接客 日常接客を宿泊と応対に分類すると、まず宿泊がみ られた 11 例の就寝室は 1 例を除き副階であった (表4)。 8s を選択した 6 例のうち、3 例は夫婦も宿泊客と共に 就寝し、2 例は夫婦の就寝の場を就寝空室へと移動さ せた。前者は、宿泊客が夫婦の兄弟や親戚、就学前の 子どもであるため、夫婦と宿泊客との関係性がこれに 起因すると考えられる。6n もしくは 4n を就寝室とし ていた 4 例は、3 例が教育期・排出期の子どもの部屋 で友人が共に宿泊する例であった。したがって宿泊客 の就寝室は主に副階の居室とされ、その選択は宿泊客 と家族成員との関係性によるといえる。 次に、日常の応対では副階8sが使われていた例はな く、副階 6n と 4n が使われていた 5 例中 4 例が子ども を主体とした接客をその個室等で行う例であった。し たがって日常的な応対は主に主階が使われ、子どもが 個室をもつ教育期等には子どもを主体とする接客が副 階で行われていたといえる。 4-2-2. 副階における行事接客 行事の接客は 5 世帯で 6 例みられ、いずれも副階 8s で行われており、6 例中 4 例が法事・祝事である。5 世帯のうち4世帯は日常的に8sを夫婦の就寝室にして おり、布団就寝であった。ほか1世帯では8sを就寝室 とせず、その板敷き部分を床の間と見立て、仏壇を置 き掛け軸を掛け、座敷として確立する意図がみられた。 これらの例から、居室の中では最も広く南面に位置し、 畳敷きで板敷き部分をもつ、座敷的要素を備えた居室 が副階に位置することが要因で、接客という公的行為 が副階でも行われていたと考えられる。 DK 1 6s 1 5 LDK 5 4n 2 2 8s 6 6 計 5 11 16 6n 3 2 宿泊 応対※1 主階 副階 日常 接客 行事※2 ※1 知人・友人への応対や食事、ピアノ教室、祖母や知人による子守りも含む ※2 法事や結納等の冠婚葬祭等 表 4. 接客行為と使われていた居室
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机 机 机 エレクトーン & ኵ፬ ) ♽ẕࠉI ፉ 主階 6s を祖母 (60 代 ) の就寝と家族 のだんらんの場として併用してい た。昼間は襖を開け放した状態で、 祖母が就寝する夜間は閉めた状態と していた。高齢と就寝室確保による 主階での就寝と家族の食事とだんら んの場を広く取る 2 つの住要求と、 DK と居室が襖を隔てて隣合う空間 構成とが合致したことによる住まい 方であるといえる。 図 7. 就寝とだんらんの場が併用された例 入居時は祖母 (80 代 ) が主階 6s、夫 婦 ( 共に 40 代 ) が副階 8s、長女 (16 歳 ) が 4n、長男 (14 歳 ) と次男 (11 歳 ) が 6n に同室で就寝し、食事とだん らんは DK で行われていた。その後 祖母が死去すると長男の寝室が主階 6s に移動し、子どもそれぞれが就寝 室をもった。P
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イス 机 冷蔵庫 食器棚 エアコン こたつ 仏壇 エアコン テレビ テレビ クローゼット 整理ダ 和ダ スタンド スタンド 靴箱 フローリング テーブル イス 図 6. 就寝室確保により主階に就寝室が置かれた例&
௦ ௦ ձ 机 ジュータン 棚 仏間 机 本棚 本棚 レコード キャビネット コンポ 小物入 物入 棚 冷蔵庫 棚 一面鏡 エアコン エアコン 棚 TV こたつ ジュータン&
௦ ௦ ղ & ኵ፬ ベッド 本棚 本棚 洋タンス 移動前は副階 8s に布団を敷き夫婦 の就寝室としていたが、急な階段の 昇降が負担となってきたことやトイ レが主階にあることを理由に、まず 夫 (60 代 ) が、続いて妻 (60 代 ) も 主階 6s のこたつで就寝することが 多くなった。主階 6s のこたつやテ レビ等の家具はそのままで布団が持 ち込まれ、結果 6s は食事・だんらん・ 就寝行為が併用される居室となっ た。 図 5. 高齢化により就寝室を副階から主階へ移動させた例 家族の周期段階 新婚期 夫婦だけでまだ子どもが生まれていない 養育期 第 1 子出生から小学校入学まで 教育期 第 1 子の小学校入学まで 排出期 第 1 子の高校卒業から子どもが全部結婚あるいは独立離家するまで 向老期 子どもが全部結婚あるいは独立離家してから夫が 65 歳に達するまで 孤老期 配偶者の死 ( または離別 ) から妻または夫の死亡まで ※2 森岡の定義では死亡のみ ※1 森岡の定義では夫 退隠期 夫が 65 歳に達してから配偶者※1が死亡 ( または離別※2) するまで 表 3. 家族の周期段階32-4 5. メゾネット型住宅の評価と居住観 5-1. 家族状況の変化に伴う住みこなし 入居から 20 数年後に LDK へと改修した f 世帯では、 主階6sは新婚期は趣味の場とされていたが、養育期で は育児や勉強の場とされ、子どもが成長し食事・だん らん以外の行為が副階の居室で行われるようになると 食事・だんらんの公的空間を LDK 化した ( 図 8)。この 例は家族状況の住要求に伴う主階6sの使われ方の変化 が特徴であり、その延長として公的空間を確立させる 改修を行ったことは、この主階を住みこなしたといえ る。この住みこなしは、DK と居室が隣接するよう配 された平面計画により可能となったものである。 5-2. メゾネット型住宅に対する評価 夫婦 2 人暮らしの o 世帯では住居にいる時間の大半 を、景色が良い南面の改修を施した主階 LDK・バルコ ニーと副階 8s で過ごしていた ( 図 9)。o 世帯はメゾネッ ト型住宅の利点として、「日常的な接客が主階で完結 し得ること」、「住居に南面が 2 つあること」を挙げ、 それを住まい方に反映していた。その他の居住者でも 「副階の 3 室の窓と扉を開けると風が副階全体に通っ た」との通風面や、「副階で子どもが遊んでも下の住 居に音が響かず良い」との音響面での評価が聞かれた。 5-3. 家族成員間の生活領域を意識した居住観 夫婦 2 人で入居した p 世帯は、入居前は主副階で夫 婦それぞれの生活領域を分離することをイメージして いたが、入居時から家族状況に合わせて居室の使い方 を選定し変化させ、最終的には食事・だんらん・夫婦 それぞれの就寝の4つの各行為に居室が選定された(図 10)。行為と居室との対応が優先されたため実態とし て表れなかったものの、住戸内が上下に分離したメゾ ネット型住宅の特徴を意識した居住観は興味深い。 6. おわりに まず、初期メゾネット型住宅における設計思想が主 副階による公・私空間の分離であったのに対し、それ とは異なる住まい方の実態があることを本研究は明ら かにした。家族のライフスタイルや家族状況の変化に よって公・私空間への要求は異なり変化するため、そ れに対応した平面計画が求められる。一方、日照や通 風、音響面への評価や、家族成員間の生活領域の分離 等の点からメゾネット型住宅の可能性が見えた。近年 に供給されるメゾネット型住宅は多様な平面構成をも つ傾向があるため、家族の居住観とそれとが合致すれ ば、豊かな住まい方の展開が期待できる。今後は家族 の居住観と平面構成との対応関係に視点をあてた研究 が求められる。 図 9. 事例 o の住まい方 PC ウサギ小屋 本棚 こたつ サイドテーブル ソファテーブル ダブルベッド スピーカー 植栽 植栽 テレビ エアコン サイドテーブル子機 ホットカーペット クロゼット ・夫婦の就寝室 ・映画、音楽鑑賞 ・アイロンかけ、洗濯物 たたみ等の家事 ・パソコン ・特に親しい友人 とくつろぐ(冬期) ・1,2日数時間/週(冬期) ・殆ど利用無し(夏期) ・ウサギが自由に 過ごす部屋 ・滞在30分/ 日 ・ウッドデッキのバルコニー ・読書をしたり景色を 眺めて過ごす ・食事、だんらん ・友人の応対 ・日中の殆どを過ごす 洗 冷 サイドテーブル 電話機 ソファ テレビ エアコン 植栽 キッチン テーブル テーブル ハンモック パラソル ① ②貸家 2000 02 11 夫 妻 入居転居 退去 (転勤) 20代 30代 兎 改修内容(入居時) ・DK+6s→LDK化(イペ材フローリング) ・バルコニーをウッドデッキ化(イペ材) ・副階4nフローリング貼替(ナラ材フローリング) ・副階8sを洋室化(ヒノキ材フローリング) o 世帯は 2000 年に夫妻とペットのウサギで入居した。わずか 2 年間の住まいであるが積極的 に改修した住空間と南面に見える景色に愛着を持っていた。家にいる時間が多い妻は、日 中の大半を主階の LDK とバルコニーで読書をしたり景色を眺めたりして過ごしていた。 3,4 階に位置する主階 LDK と副階 8s には景色が眺められるようにソファを置いていた。ヒ アリングに応えた妻は、夜中のトイレへの移動が億劫であったことを指摘しつつも、「景 色の見え方が上下階で変化して良かった」「知人等の応対の場は基本的に下階なので、下 階をいつも綺麗にしておけば良く(上下階分離は)その点は気が楽だった」と述べた。 < 居住歴 > < 住まい方 > 図 10. 事例 p の住まい方 2000 030506 1011 夫 妻 入居 退去 30代 40代 20代 30代 兎 夫 独立 事務所移転 母 母 同居 ① ② ③ ①入居∼ 4n : 書斎 6n : 夫婦の寝室 カウンター 本 棚 ウォークインクロゼット ドレッサー ベッド ベッド キッチン ダイニング テーブル ソ フ ァ テ ー ブ ル 整 理 ダ ン ス ウサギ小屋 カウンター 本 棚 ウォークインクロゼット ドレッサー 入居時LDK化 食事の場 冷 妻の母の寝室 (2003 04年) ③仕事場の移転∼ ②夫 独立∼ SOHO化 夫の仕事部屋夫婦の寝室 夫の寝室 妻の寝室 ベッド ベッド (夫婦共に建築関係の常用勤務者) だんらんの場 洗 ジュート ジュート p 世帯は 2000 年に夫婦 2 人で入居した。入居時主階は LDK 化等の改修を行い食事とだん らんの場として、副階 8s は客間としていたが、しばらく住むと LDK を狭いと感じソファ を 8s へと移動させ LDK を食事のみの場、8s をだんらんのみの場と変えた。体調不良のた め妻の母が同居するとソファを LDK へ移動させ副階 8s を寝室とし、その 1 年間は LDK を 食事・だんらんの場とした。入居時は夫婦共に建築関係の常用勤務者であったが夫が 2005 年に独立し、副階 4n を夫の仕事場とした。その後、住居内に仕事の場を持ち込みた くない妻の要望と、仕事の関係上同居した期間が短く同室に就寝することが互いに慣れな いこと、就寝時間が異なることを理由に、2010 年に仕事場を移転し夫婦の寝室であった 副階 6n から 4n へ夫のベッドを移動させ、6n を妻の寝室、4n を夫の寝室とした。ヒアリ ングに応じた夫は「入居前は下階に妻、上階に夫と、上下階で二人の生活領域を分けられ るイメージを持っていた」と述べた。 < 居住歴 > < 住まい方の変化 > 図 8. 事例 f の住まい方 ①入居∼ ③小学入学(長男)∼ ⑤大学進学(長男)∼ ②長男誕生∼ →ピアノ・ステレオ を副階へ移動 ④中学進学∼ →机を副階へ 移動 6s :夫婦の趣味の場 6s :子どもの勉強の場 LDK化 ① ② ③ ④ ⑤ 1974 78 80 98 99 2003 11 夫 長男 長女 妻 妻 入居 誕生 誕生 小学校入学長男 中学進学長男 大学進学長男転出 転出 (離別)転出 退去 20 19 20代 20代 50代 60代 ピアノ 食器棚 冷 TV 本棚 ス テ レ オ 食卓 食器棚 冷 机 机 本 棚 TV・PC 冷 食卓 イス イス 食 器 棚 キ ッ チ ン f 世帯は 1974 年に夫妻 2 人で入居した。入居時の主階では DK にダイニングテーブルを置き食事、 6s にピアノやステレオ、テレビを置き趣味の部屋として使われていたが、子どもが生まれるとピア ノ等の家具は副階に移動され 6s は日中の育児の場として使われた。長男が小学生になる と 6s は机が置かれ子どもの勉強部屋として、中学生となり副階に個室をもつまで使われた。 その後長男が大学生となった年に主階を LDK へとリフォームし、食事・だんらんの場を広 く一室化した。 < 居住歴 > < 住まい方の変化 > 【謝辞】 本研究を通し多大なご指導を頂きました九州女子大学 岡俊江教授、馬場昌子先生、調査に ご協力を頂きましたAマンション居住者の皆さま、関係機関の皆さま、また資料を提供して頂 いた独立行政法人都市再生機構西日本支社、株式会社レーモンド設計事務所、株式会社市浦ハ ウジング&プランニング各社に、厚くお礼を申し上げます。 【参考文献】 1. 財団法人住宅総合研究財団「現代住宅の変遷と展望」,2009 年 , 丸善株式会社 2. 笠島泰 今井正次「メゾネット住戸における居室の使い分けに関する研究 - 就寝行為を中心と して -」日本建築学会大会学術講演梗概集,pp.1007-1008,1982 年 3. 西野雄一郎 杉山茂一 中山征大 他「住戸改修の実態と可能性に関する研究-大規模分譲高層 N団地を対象として(その 2)-」日本建築学会近畿支部研究報告集,pp.85-88,2007 年 4. 共同住宅編集委員会「共同住宅」,1966 年 , 技報堂 5. 東京支所市街地住宅課「メゾネット住宅の住まい方調査」 調査研究期報 ,No.39,1973 年 6. 森昭子「千里メゾネット積立分譲住宅居住者の実態」日本建築学会近畿支部研究報告集, pp.141-144,1968 年 7. 森岡清美「家族周期論」,1973 年 , 培風館