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論 文 審 査 の 要 旨

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Academic year: 2021

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別紙1

論 文 審 査 の 要 旨

報告番号 3146 志賀 友里

論文審査担当者

主査 教授 真鍋厚史

副査 教授 中村雅典

副査 教授 美島健二

(論文審査の要旨)

学位申請論文「In vitro characteristics of enamel-like hexagonal hydroxyapatite single crystals: implications of fluoridization for acid resistance(エナメル様六方晶ハイド ロキシアパタイト単結晶のin vitro特性:耐酸性に対するフッ素処理の関係)」について、主 査1名、副査2名が個別に審査を行った。

本論文では、450、900、1500、9000ppmF のフッ化ナトリウム溶液に浸漬した合成ハイドロ キシアパタイト(以下 HAP)結晶を 3%クエン酸溶液に浸漬させ脱灰させ た後、走査型電子顕 微鏡(SEM)により表面形態の脱灰パターンを観察,さらに表面領域の F K 端エックス線吸収 端近傍構造(XANES)測定を行った。結果として、1500 9000 ppm フッ化ナトリウム溶液処 理によってHAP 結晶表面にフッ化カルシウムが生成し、結晶レベルで早期の脱灰の予防につな がることが示された。

本論文を審査するにあたり、初めに副査各委員より質問がなされた。以下要約抜粋を示す。

美島委員

質問 1 このモデルは臨床モデルとしてどのようなものを想定しているのか 。

回答 1 本研究では、フッ素処理とその後の脱灰パターンを想定して行った。臨床における 適切なフッ素の濃度を検証することが目的のひとつであった。

質問2 HAP結晶をフッ化物処理30日間行っているが、この時間はどのように決定されたか。

回答 2 臨床において、フッ化物歯面塗布の施術時間は 3~4分、フッ化物洗口法では30

~1 分間のブクブクうがい、その後 30 分間うがいを禁じている。本研究で HAP 結晶をこの 施術と同様の時間で浸漬した場合、高濃度 9000ppmF 処理であっても、フッ化物の効果を認 めなかった。浸漬時間を延長して、効果を認めたのが 30 日間であった。HAP 結晶は、ヒト エナメルアパタイトと比較して大変大きな結晶である。HAP結晶幅径は15~60µm、一方エナ メルアパタイト幅径は 26nmである。表面積比は 100万倍以上であるため、浸漬時間 30日間 は、口腔内の 2~3秒相当に過ぎない。臨床におけるフッ化物処理時間はこの 10~20倍、さ らにうがいを禁じている時間を考えると数千倍の作用時間が必要である。

(主査が記載)

(2)

中村委員

質問 Stoichiometric HAP あるいは non-stoichiometric HAP でも同様の結果を得ると考 えられるか。

回答 本研究で用いた HAPは六方晶であり、Caの欠損部位を生じている。そのため、Ca/P 比 は理論値よ りも小さ い (Ca/P=1.43±0.21SD)。Stoichiometric HAP の場合、Ca/P=1.67 で ある。溶解は Caの欠損部位から進行すると推察されるため、Stoichiometric HAPもしくは non-stoichiometric HAP の場合、溶解時間に有意差が生じると考える。さらに、フッ化カ ルシウムの生成に必要な Ca量も異なるため、フッ素処理効果にも有意差が生じると考える。

これら副査の質問に対する回答はいずれも適切であると考えられた。続いて、主査真鍋委員 より以下の質問を行った。

質問 1 脱灰溶液として 3%クエン酸溶液を用いているが、どのように決定されたか。

回答 1 本研究で、HAP 結晶はクエン酸溶液により概形は保ちつつ点状に穿孔された。予備 実験でリン酸を用いて HAP結晶の溶解をシュミレーションしたところ、溶解の形態変化はク エン酸と同様であった。ただし、溶解スピードはクエン酸より速かった。溶解は酸の種類に 関わらず、酸の強度で溶解度が変わると考えた。Arends らの報告でも、HAP の溶解はpH 依存する、と述べられていた。強酸では、溶解スピードが速すぎて、有意差が出にくいこと から、クエン酸を利用し、さらに単結晶が一定時間内で完全溶解するように、3%クエン酸溶 液に調製を行った。

質問 2 今後、どのような薬品の開発につながると考えているのか。

回答 2 口腔内で齲蝕予防効果を最大限引き出すために、フッ素濃度と作用時間が重要であ る。口腔には唾液があるため、フッ素濃度の低下と 消失につながる。そのため、歯面に停滞 しやすいフッ化物製剤、その使用方法の開発につなげたいと考える。

以上、主査真鍋委員は全委員からの質問に対する回答の妥当性を確認した 。

本学位申請論文は、研究目的を明瞭に記述し、研究遂行のための方法論についても十分にそ の方法を熟知した上で記載されたことが伺える。研究結果については、その所見は極めて明瞭 であり、本文も理解しやすい。考察においては、これまでのフッ素処理によるハイドロキシア パ タ イ ト の 構 造 や 臨 床 へ の 適 切 な 応 用 の 可 能 性 に つ い て も 適 切 に 論 文 を 引 用 し な が ら 論 じ て いる。

以上より、本審査委員会は本論文を 博士(歯学)学位論文として受理するに値するものと判定 した。

(主査が記載)

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