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1.研究室の概要

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Academic year: 2021

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第 85 巻 第 2 号 (2021) (57) 119

1.研究室の概要

 当研究室は,相平衡や相挙動といった「相」の状態と,「界 面」の挙動を上手に利用した,微粒子・エマルション・ゲル・

分子結晶等の機能性材料をデザインする研究に取り組んで います。特に,医薬品・化粧品に用いられる製剤化技術,

CO2分離・利用技術の開発を目指し,基礎研究から応用研 究まで幅広く進めており,実験と計算・情報技術を駆使し た研究を展開しています。研究室は,2011年4月に発足し,

現在は,下山裕介教授,織田耕彦助教,Hung Ying Chieh 特任助教,博士課程2名,修士課程11名,学部2名の計18 名が在籍しています。

2.研究内容

 医薬品・化粧品分野における製剤化,あるいはCO2分離・

利用技術に役立つ機能性材料を「デザイン」する上で,材料 を創る場となる相と界面を「知る」,「利用する」ことを念頭 に以下の研究を進めています。

2.1 高圧 CO2による医薬成分分子結晶の形成

 体内における医薬品成分の溶解性のコントロールや,過 剰な投与量の抑制に向けて,医薬品成分が形成する分子結 晶構造を変化させる手法が挙げられます。例えば,医薬品 成分と別の物質(共有体)が結晶構造を形成する共結晶は,

純粋な医薬品成分の結晶と比較して,体内における高い溶 解量と溶解速度が期待されます。また,高圧CO2は,一般 的な気体のCO2と異なり,固体溶質を溶解し,液相や固相 へ浸透する性質を有しています。このような高圧CO2を相 として利用し,医薬品成分の固相との界面における溶解現 象を理解することで,医薬品共結晶の形成技術の構築・デ ザインを目指しています。特に,高圧CO2による脂質成分 の融解や,高圧CO2中でのメカノケミカル効果を駆使した 共結晶形成に関する研究も進めています。さらに,高圧 CO2自身が結晶構造を変化させるCO2駆動型結晶転移と いった興味深い成果も得られており,新しい分子結晶相形 成技術の開発に取り組んでいます。

2.2 高圧 CO2によるフロー製剤化プロセス

 高圧CO2相と水相,もしくはエマルションが微小流路で 形成するスラグ流を利用し,薬剤キャリアとなる微粒子,

リポソームをフロープロセスで形成することにも着目して 東京工業大学物質理工学院応用化学系 相・界面工学研究室 下山裕介・織田耕彦・Hung Ying Chieh

研究室紹介

います。ここでは,高圧CO「相」と液相との「界面」による2

微小空間での混合や流動状態を把握した上で,微粒子・リ ポソームをデザインすることを目指しています。

2.3 相分離型ゲルによる CO2吸収剤の開発

 二酸化炭素(CO2の効率的かつ迅速な分離回収技術の構 築を目的として,相分離型ゲルの創製・デザインを目指し ています。相分離型ゲルは,CO2が吸収されることにより,

ゲル内で相分離が生じる機能性材料です。このような相分 離型ゲルに対するCO2の吸収・放散挙動を把握し,CO2の 分離・回収技術の構築に向けた相分離型ゲルの設計指針の 確立を目指しています。

2.4 分子情報による人工ニューロンの活用

 相の状態と界面の挙動を利用した機能性材料の創製・設 計において,実験的なデータ蓄積によるアプローチに加 え,情報・データ技術を活用したアプローチも積極的に展 開しています。特に,量子化学計算から得られる分子情報 を入力した人工ニューロンを活用し,相の状態,相挙動,

溶解挙動,結晶形成といった多岐にわたる研究への展開を 目指しています。

3.研究室の特徴

 当研究室では,「時間を有効に上手に使うこと」を目標と し,日々の研究活動に取り組んでいます。1日の研究活動 をする上で,特にコアタイムは設けておりませんが,それ ぞれの研究室メンバー自身が,その日の計画を立て,時間 を有効に上手に使うことができる1日を過ごすことを大切 にしています。このように,学生自身が自ら考えた計画に 基づき,研究に取り組み,興味深い研究成果を挙げたとき は,非常に頼もしく・嬉しく思います。また,今年のコロ ナ禍の中で実験ができない時間を利用し,理論モデルの構 築やプログラミングに取り組み,情報・データ技術を活用 した研究を促進することができています。今後も,実験と 情報技術を両輪とした研究を進め,日々の研究室メンバー との「時間」を大切にし,研究活動に取り組んでいきます。

公益社団法人 化学工学会 http://www.scej.org/

著作権法により無断での転載等は禁止されています   

参照

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