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「新しい畜産技術の研究成果」民間活力を活用した畜産技術開発事業成果発表会【講演資料/カラー版】

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(1)

「新しい畜産技術の研究成果」

民間活力を活用した畜産技術開発事業 成果発表会

(平成 23 年度)

日 時 ; 平成 24 年 2 月 3 日(金) 13:15~17:00 場 所 ; 全国家電会館 5 階講堂(東京都文京区湯島 3-6-1)

主 催 ; 社団法人 畜産技術協会

日 本 中 央 競 馬 会 特別振興資金助成事業

(2)

新しい畜産技術の研究成果

民間活力を活用した畜産技術開発事業成果発表会

次 第

1.開 会

13:15

2.会長挨拶

13:20

3.成果発表

(1)

幼牛期のエピジェネシス・刷り込みによる牛の体質改善に関する研究

13:25

東京大学大学院農学生命科学研究科 真鍋 昇

(2) bmr

遺伝子を利用した高消化性ソルガム・スーダングラスの開発と

14:05

利用方法の確立

雪印種苗株式会社 近藤 聡

(3)

家畜ふんのセメント製造用燃料化技術の開発

14:45 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 畜産草地研究所 阿部 佳之

休憩(10分)

15:25~15:35

(4)

麹発酵法による食品残渣飼料(エコフィード)の飼料価値評価

15:35

株式会社源麹研究所 林 國興

(5)

自然冷媒冷凍機を利用した酪農向け冷却加熱同時利用システムの実用化 16:15 三洋電機株式会社 冷熱技術開発センター 向山 洋

4.閉 会

17:00

(3)

目 次

1.幼牛期のエピジェネシス・刷り込みによる牛の体質改善に関する研究 ···

2. bmr 遺伝子を利用した高消化性ソルガム・スーダングラスの

開発と利用方法の確立 ··· 11

3.家畜ふんのセメント製造用燃料化技術の開発 ··· 21

4.麹発酵法による食品残渣飼料(エコフィード)の飼料価値評価 ··· 29

5.自然冷媒冷凍機を利用した酪農向け冷却加熱同時利用システムの

実用化 ··· 43

(4)

(社)畜産技術協会「民間活力を活用した畜産技術開発事業成果発表会 平成24年2月3日13:30~17:30・家電会館 5F講堂

研究分担者:

東京大学 農学生命科学研究科 附属牧場 俊佑 (助教)

小野山 一郎(技術職員・獣医師)

高橋 友継 (技術職員・農学博士)

遠藤 麻衣子(技術職員・獣医師)

冨松 (技術職員・農学博士)

飯塚 祐彦 (技術専門職員)

鈴木 一美 (技術専門職員)

池田 正則 (技術専門職員)

入江 (技術専門職員)

東京大学 農学生命科学研究科 博一 (教授)

小野憲一郎 (教授)

吉川 泰弘 (教授)

味の素(株)アミノ酸カンパニー 飼料部 新里 (開発グループ・課長)

幼牛期のエピジェネシス・刷り込みによる牛の体質 幼牛期のエピジェネシス・刷り込みによる牛の体質 改善に関する研究

改善に関する研究

東京大学大学院農学生命科学研究科・教授・眞鍋 東京大学大学院農学生命科学研究科・教授・眞鍋 昇 昇

目的

太平洋戦争後幼年期に動物性食品を充分に摂取した日本人の身長が高くなった ように、家畜でも幼年期の栄養環境が成体のサイズを支配することが期待されま す。東京大学では1992年からアミノ酸に注目した研究を行ってきました。その 成果として、1996年血統は良くないがアミノ酸を乳幼仔期から給与して育成・

調教したアミノスタローンが東京シティ競馬で6勝したことがあげられます(氏 より育ち)。

その後、シバヤギを反芻類のモデルとして 用いて基盤的研究を継続し、反芻類でも同様 の効果が期待できることを報告してきました。

このような、遺伝子に依存せず、環境要因 に遺伝子発現が影響を受ける現象を「エピジ ェネシス・刷り込み」と呼びます。家畜では、

遺伝子の改良は鋭意おこなわれてきましたが、

幼年期の栄養環境の改善に起因するエピジェ ネシス・刷り込みで体質改善して家畜を改良 するというパラダイムの転換に結びつく研究 は未発達です。

本事業は、離乳前の乳幼仔期の仔牛の代用

乳に科学的根拠に裏打ちされた適切なアミノ酸混合物(アミノ酸カクテル)を補 給することで、エピジェネシス・刷り込み効果を誘起し、効率的増体を実現し、

畜産業の振興に資することを目的としています。

(5)

代用乳過給(強化哺乳)の効果

■仔牛に代用乳を通常の3倍量過剰給与高タ ンパク低脂肪の代用乳で顕著)すると体重 が増加し、体高が高まった。代用乳過給で、

末梢血中インスリン様成長因子1の濃度と 肝臓の同mRNAの発現が高まった。(九州大、

弘前大、家畜改良センターなどの複数機関)

アミノ酸の効果

■セロトニン前駆体で抗ストレス効果のある

トリプトファンを5~35日齢の仔牛に経口投与すると、末梢血中の成長ホルモ ン濃度が上昇した。しかしインスリン様成長因子1と甲状腺ホルモンは変化な し。(畜産草地研)

内分泌(摂食ホルモン・成長ホルモン)

■反芻類でも単胃動物と同様に絶食すると胃が分泌する空腹ホルモンのグレリン の末梢血中濃度が上昇し、逆に消化管が分泌する満腹ホルモンのPYY3-36濃 度が低下した。またこれらの濃度は、飼料組成を変化させても変化した。(東 北大・広島大・帯広畜産大などの複数の研究機関)

■ウシの成長ホルモンには遺伝子多型(A・B・C型)があり、脂肪の蓄積(霜 降)の多い黒毛和種ではB型が高頻度であった。(宮崎大ら)

体成長の亢進:体重・体高・胸囲・管囲

消化器系と免疫機能などの改善効果:ルーメン微生物叢解析・抗微生物機能の解 析(新生児下痢発症率)

吸収と排泄:末梢血と尿中のアミノ酸組成の解析

アミノ酸カクテルの最適化:個々のアミノ酸の効果の評価、最適配合率の見極お よび毒性作用(生化学検査と肝腎の病理学)を指標とした最大用量の見極

アミノ酸カクテル製剤の最適化と商品化:アミノ酸の吸収効率・体内動態などを

指標とした「代用乳サプリメント」用と「離乳飼料へのふりかけ」用のアミノ酸 カクテル顆粒製剤およびアミノ酸カクテル強化代用乳の開発

給与停止後のフォローアップ

飼料効率・粗飼料利用率の改善効果の評価

内分泌機能の改善:末梢血中成長ホルモン・インスリン様成長因子1・グレリ

ン・コレシストキニン・PYY3-36・レプチン・アディポネクチンなどの測定

代謝機能の改善:肝・骨格筋・脂肪組織などにおける糖と脂質代謝制御に関わる

因子のmRNAの発現レベルの解析

エピジェネシス・刷り込み機構の解明:体の大きさの刷り込みに関わる組織特異

的メチル化可変領域の探索(主に成長因子と受容体の転写制御領域上流)とこの

1年目:ウシでの効果の確認 1年目:ウシでの効果の確認 1年目:ウシでの効果の確認

1~3年目:作用機序の解明 1~3年目:作用機序の解明

1~3年目:作用機序の解明

2~3年目:効果の確認と商品化開発 2~3年目:効果の確認と商品化開発

2~3年目:効果の確認と商品化開発

(6)

方法

アミノ酸カクテルは、10種類のアミノ酸(アスパ ラギン酸:リジン塩酸塩:バリン:メチオニン:

ロイシン:スレオニン:イソロイシン:トリプト ファン:アルギニン:グルタミン酸=2:2:

1:1:1:1:1:1:1:1・重量比)の混 合物である。

これを(0.5g/kg体重/日)を代用乳(7.5g/kg 体 重/日・50ml/kg体重/日:概ね300 gの代用乳 を1.8 リットルの温湯に溶解して仔牛1頭あたり 2リットル給与する通常のカーフトップ給与法に 準じている)に加え、14日間給与した。

アミノ酸混合物と0.5%カルボキシメチルセルロー ス水溶液をボールミル内で均一なコロイド様の懸 濁溶液になるまでよく攪拌し、分注した後、- 20℃下に冷凍保存し、これを使用時毎に温湯に つけて解凍して代用乳と混合して給与した。

初乳 初乳

(5日間)

(5日間)

アミノ酸 アミノ酸

(14 ( 14 日間) 日間)

体尺・摂餌量測定など 体尺・摂餌量測定など

(6月間以上)

(6月間以上)

1)全ての供試牛は、F1牛(黒毛和種♂×ホルスタイン種♀)である。

2)表中に「継続中(40)」とあるものは、フォローアップ試験のために肥育素牛として飼 育を継続している。なお、雄牛については20ヵ月齢の時に精系を挫滅させる無血去勢法 にて去勢して供試している。なお、農林水産技術情報センター(高品質牛肉生産技術の確 立・平成12年度・玉城政信ら)によれば、無血去勢法、ゴムリングによって陰嚢上部を 縛って壊死させる壊死去勢法、切開して精巣を取り出す観血去勢法の間で肥育成績に有意 な差違がないと考えられている。

(7)

アミノ酸カクテルのホルモンレベ ルへの影響の有無の確認 アミノ酸カクテルを14日間(5 から19日齢)反復経口投与し、

各日の最終投与3時間後のデータ

(8)

アミノ酸カクテルのホルモンレベルへの 影響の有無の確認

アミノ酸カクテルを14日間(5から1 9日齢)反復経口投与し、各日の最終投 与 3 時 間 後 の 血 中 ア ミ ノ 酸 濃 度

(mmol/dl)の推移(個体別のデータ)

アミノ酸カクテルのホルモンレベルへ の影響の有無の確認

アミノ酸カクテルを14日間(5から 19日齢)反復経口投与し、各日の最 終投 与3 時間後の血中 ア ミノ 酸濃度

( mmol/dl) の 推 移 ( 個 体 別の デ ー タ)

(9)

アミノ酸カクテルのホルモンレベルへの影響の有無の確認 アミノ酸カクテルを14日間反復経口投与(+:アミノ酸 カクテル投与群、-:対照群)した際(各日の最終投与3 時間後)の末梢血血液学と生化学検査成績の推移

アミノ酸カクテル給与が仔牛の体重の増加と増加率、

体高、胸囲、管囲におよぼす影響

(10)

アミノ酸カクテルを14日間反復経口投与し、投与直前およ び最終投与3時間後に採血した末梢血中の成長ホルモン、イ ンスリン様成長因子-Iおよびグレリン濃度

アミノ酸カクテル(A)あるいは溶媒(V)を14 日(2週)間、4週間あるいは8週間反復経口投与 した後(12および28週間については解析中)、

最終投与3時間後に採取した脳下垂体の成長ホルモ ン(GH)、肝のインスリン様成長因子-I(IG F)および第4胃のグレリン(Gre)のmRNA 発現(各mRNA/GAPDH mRNA ratio)

(11)

女王蜂は栄養が決定(Science,2008)

朝顔の花びらの斑紋

一卵性双生児間の変化

エピジェネティクス

父親と母親から受け継いだ1組の 遺伝子のうちの片方だけが選択的に 発現する現象が「遺伝子刷込」と名 付けられました。母親から受け継い だ遺伝子は正常であっても父親から 受け継いだ異常遺伝子だけが発現す

るために発症するPrader-Willi症候群が「遺伝子刷込」の例です。

この現象は、遺伝子DNAの特定領域がメチル化(DNAメチ ルトランスフェラーゼの作用でグアニン(G)が後ろにあるシ トシン(C)にメチル基(Me)が付加されること)によって転 写が調節されているために生じます。

遺伝子DNAメチル化は、受精卵が細胞分裂を繰り返して増殖し ながら肝、心、脳などの臓器を構成する様々な細胞に分化する 過程で個々の細胞が特有の遺伝子発現パターンを獲得し、これ が細胞分裂を経ても安定に維持されます。

このような、DNAメチル化やヒストンアセチル化などのメカニ ズムで、遺伝子DNAの配列の変化を伴わずにDNAに加えら れた後天的な修飾によって特定遺伝子のみが選択的に活性化あ るいは不活性化される現象をエピジェネティクス(ジェネティ クス:遺伝の、エピ:追加)と呼びます。

A B

C D

アミノ酸カクテルの給与によって、イン スリン様成長因子-Iの転写制御領域の遺 伝子のメチル化(B:開始前、C:14 日(2週)間投与、D:16週間投与、

但し8、12、および28週間投与群に ついては解析中)およびそれへの関連が 推測されるヒストンアセチル化が誘起さ れていると推察される(A)。

(12)

初乳 初乳

(5日間)

(5日間)

アミノ酸 アミノ酸

(14 ( 14日間) 日間)

体尺・摂餌量測定など 体尺・摂餌量測定など

(6月間以上)

(6月間以上)

製品化を目指した改善

(1)構成アミノ酸を10種類から8種類:

・10種のアミノ酸10種のアミノ酸

成長ホルモン分泌亢進:アスパラギン酸、アルギニン、

グルタミン酸

骨格筋成長:分岐アミノ酸(バリン、ロイシン、イソロイシン)

制限アミノ酸:リジン塩酸塩、メチオニン、スレオニン、

トリプトファン

・8種類のアミノ酸(

・8種類のアミノ酸(アミノ酸カクテル8アミノ酸カクテル8) 成長ホルモン分泌亢進:アスパラギン酸、

グルタミン酸(下痢軽減作用)

骨格筋成長:分岐アミノ酸(バリン、ロイシン、イソロイシン)

制限アミノ酸:リジン塩酸塩、メチオニン、スレオニン

(2)用量を半減:

・0.25 g/kg BW/day(アミノ酸カクテル8)

アミノ酸カクテル8給与が仔牛の体重および体高 におよぼす影響

(13)

事業成果 事業成果

(1)仔牛に2週間経口給与したアミノ酸カクテ ル(10種類・ 0.50 g/kg BW/day)は 84週齢の時点でも増体効果を示した(体重、

体高、胸囲、菅囲が大きくなった)。

(2)アミノ酸を8種類にし、容量を半分にして も36週齢の時点で同様の効果が確認できた。

肉用牛においては仔牛を肥育農家へ出荷す る若牛中期(8月齢:約40週齢)の時点の 体重が増えていること生産効率上重要である。

(3)飼料利用効率が改善された(制限給餌によ って飼料利用効率を評価)。

(4)乳児期下痢の軽減作用を認めた。

(5)末梢血中の成長因子(成長ホルモン、インスリン様成長因子-I、末梢性成長ホルモン分泌亢進因子 のグレリン)濃度が上昇した。

(6)インスリン様成長因子-I転写制御領域遺伝子の転写が亢進

今後の改善点 今後の改善点

(1)製剤の最適化:代用乳への添加剤・アミノ酸カクテル添加代用乳

(2)アミノ酸組成をミニマムにする

(3)用量をミニマムにする

(4)成長因子の分泌亢進に関わるエピジェネシス機構を解明する。

期待される成果

(1)体の発育・成長の亢進と基礎生理機能の改善

・内分泌機能の改善 ・心臓血管系機能の改善

・免疫系機能の改善 ・消化器系機能の改善

・新生児死亡率の低減(乳児期下痢の軽減)

(2)飼料利用率の改善

(3)総生産経費の低減

・生産効率の改善 ・発育成長の改善

・新生児死亡率の低減 ・飼料効率の改善

(4)乳幼児期エピジェネシス・刷り込み現象の分子機構の解明

→反芻類のみならず豚や鶏などの他の家畜家禽の生産効率の一層の改善に応用展開が可能

まとめ

本研究開発事業は、畜産物の自給率の向上のために、従来からの家畜優良遺伝形質の育種学的改良とは 視点を変えて、環境要因が遺伝子発現を調節するエピジェネシス現象の利用に着目した離乳前仔牛へ のアミノ酸カクテル給与による体質改善を通じた家畜生産性の向上を実用化使用とするもので、パラ ダイム転換をともなう画期的なものです。

「代用乳に添加するアミノ酸カクテル」と「アミノ酸カクテルを含んだ代用乳」については商品化の目 処をたてることができ、当初目標を概ね達成することができました。増体効果が成長因子遺伝子に対 する刷り込みに起因することを示唆する基盤研究成果をあげることができ、学術的にも高く評価でき ます。

最後に、日本中央競馬会特別振興資金助成事業の一環として社団法人畜産技術協会から「民間活力によ る畜産生産技術研究開発推進事業」として助成を受けて研究開発を実施できたことを心からの感謝し ます。

(14)

平成

24

2

3

民間活力を活用した畜産技術開発事業 成果発表会

「 bmr 遺伝子を利用した高消化性ソルガム・

スーダングラスの開発と利用方法の確立」

雪印種苗株式会社

(共同研究機関)

・(独)農業・食品産業技術総合研究機構

・九州沖縄農業研究センター

・ 国立大学法人 琉球大学

・鹿児島県農業開発総合センター 畜産試験場

ソルガム類の改良の必要性

トウモロコシと比較したソルガム類の利点として、

① 再生利用ができ、乾物生産性が高い

② 乾燥や湿害など不良な環境に対する耐性が強い

③ 深刻な問題となっている獣害にも比較的強い などがあり、わが国の暖地においては、トウモロコ シに次ぐ重要な夏作の飼料用作物として位置づけ られ、栽培面積も大きい。

しかし、トウモロコシに比べ、消化率や栄養価が低 く、嗜好性や産乳性が劣るため、エサとしての評価 が低い。

ソルガムの利用性を高めるには消化性(栄養価)と

嗜好性を改善することが必要

(15)

bmr 遺伝子を利用したソルガム類の品種改良

bmr

遺伝子を持つソルガムは、消化性や嗜 好性に優れている

bmrとは英語の褐色の中肋

=brown

mid ribの頭文字をとったもの。

この遺伝子が働いているソルガムは、葉の 中央部分を通る筋や茎が褐色を呈し、消化性 の悪いリグニンの含量が低く、消化率が高く 嗜好性にも優れている。

この

bmr

遺伝子を利用し、ソルガムの飼料と しての価値を高めるとともに、耐病性や耐倒 伏性にも強く、収量性の高い品種を選抜・普 及。

ソルガムの利用が広がり、飼料自給率の向 上につながる。

当事業における試験課題と分担

Ⅰ.bmrソルガムの導入開発と栽培利用方法の確立(雪印種苗)

1.bmrスーダン型ソルガムの導入開発 2.

bmr

スーダングラスの育種素材の育成

3.近赤外分析による乾物消失率や各種繊維成分の迅速な分析

Ⅱ.bmrスーダン型ソルガムの育成と栽培利用方法の確立(九沖農研)

1.bmrスーダン型ソルガムの消化性・嗜好性・栄養価の確認 2.bmrスーダン型ソルガムの育種開発

Ⅲ.bmrスーダン型ソルガムとスーダングラスの泌乳効果の確認と放牧試験

(琉球大学)

1.沖縄県での冬季栽培における最適品種の選定 2.ロールベールサイレージ調製による泌乳効果の確認 3.石垣島での放牧試験

Ⅳ. bmr スーダン型ソルガムの泌乳効果の確認(鹿児島畜試)

(16)

1.耐病性・耐倒伏性・収量性に優れる bmr スーダン型ソルガム優良品種の開発

1)近赤外分析計( NIR )による迅速な消化性の検定方法の確立

ソルガム類品種の試料100点を牛を使った消化試験(ナイロンバッグ法)で 消化率を測定し、精度の高い検量線を作成した他、消化性に関わる繊維成 分についても実施

2)優良品種の選抜試験

海外で育成されたbmr品種を広く収集し、圃場試験により耐病性、耐倒伏性、

収量性等を検定するとともに、上記近赤外で分析を行い、消化性や栄養価の 高い品種を選抜

スーダン型ソルガム新品種「 SSR 8 bmr 」(試験系統名)を選抜 3)実証試験

現地試作試験・給与(泌乳)試験・放牧試験等を行い、栽培特性や産乳性、嗜 好性等を確認

スーダン型ソルガム「 SSR 8 bmr 」の特性 1

(1)生育特性

• 早生系で初期の生育が早い

• 出穂期の草丈は3m前後で高く、やや細茎で多葉

(17)

スーダン型ソルガム「 SSR 8 bmr 」の特性 2

(2)耐病性

暖地で多発する紫斑点病に強い

1.0 3.0 5.0 7.0 9.0

従来型品種A BMRスイート

SSR8bmr

従来型品種A BMRスイート

SSR8bmr

従来型品種A BMRスイート

SSR8bmr

図.紫斑点病抵抗性の品種間差 雪印種苗宮崎研究農場の激発時の評価

(極強:9~極弱:1)

紫斑点病の品種間差 左:SSR8bmr、 右:他品種

• SSR8bmrは、従来型のスーダン型ソルガムやスーダングラスに比べ、難消化性の

繊維成分:リグニン、

ADF

Ob

の割合が少なく、乾物消化率が高い

スーダン型ソルガム「 SSR 8 bmr 」の特性 3

(3)消化性・繊維成分

消化の悪いリグニンや消化性の低い繊維成分が少ない

乾物消失率が高い=消化性が良い

品種・系統名 ADF NDF 乾物

消化率 リグニン OCW Oa Ob OCC Ob/OC W

推定 TDN SSR8bmr bmr スーダン型ソルガム 40.2 69.0 55.5 4.16 59.7 14.7 45.0 39.6 0.75 69.5 市販種A bmr41.5 69.3 53.9 4.73 64.2 13.7 50.5 36.2 0.79 69.9 市販種B ノーマル43.4 71.5 51.3 5.73 60.8 11.4 49.3 36.5 0.81 54.6 市販種C ノーマル スーダングラス 43.4 71.3 50.8 5.88 63.3 11.2 52.1 38.0 0.82 57.2 市販種D ノーマル42.8 68.4 53.7 5.44 61.2 15.3 45.9 36.7 0.75 57.0 表.成分分析値

区分

(乾物中%)

*平成23年雪印種苗宮崎研究農場 5月播き1番草出穂期の分析値

(18)

市販種A :ソルゴー型ソルガム(中生)、市販種B : ソルゴー型ソルガム(早生)、市販種C : スーダン型ソルガム(bmr 5月播き1番草は、平成2123年の3ヵ年平均、その他は平成2122年の2ヵ年平均

スーダン型ソルガム「 SSR 8 bmr 」の特性

(4)収量性

 乾物収量は、ソルゴー型ソルガム品種に比べるとやや低いが、スーダン型 ソルガムの中では比較的高い。(乾物消失率が従来型品種より4~5%、既存の

bmr品種と比べてもやや高めで、可消化乾物収量で比較するとより多収になる)

1705 1710

1324 1410

1052 1009 1056 968

1378 1515

1405 1349 1519

1212 1388

0 200 400 600 800 1000 1200 1400 1600 1800

A B C SSRbmr A B C SSRbmr A B C SSRbmr B C SSRbmr

宮崎5月播1番草 宮崎5月播2番草 宮崎7月播 千葉5月播1番草

乾物収量成績(kg/10a)

スーダン型ソルガム「 SSR 8 bmr 」の特性 4

(5)牛の食込みが良く、産乳性も良好

従来型の非bmr品種より乾物摂取量や乳量が高く、トウモロコシ と比べても同等かそれ以上

<試験A>

試験区 乳量 乾物摂取量 乾物消化率 NDF消化率

kg kg % %

トウモロコシ区 28.2 22.3 64.2 42.8

従来型ソルガム区 29.5 20.0 59.6 42.9

SSR8bmr 30.1 21.9 63.3 47.3

表.トウモロコシとソルガムサイレージの泌乳試験結果

注)全飼料中のサイレージの乾物給与割合は40%。TDNが等しくなるよう他の飼料で調整し給与

(鹿児島畜試H21)

給与サイレージの分析値

種類 水分 pH CP NDF ADF OCC OCW Oa Ob 推定TDN トウモロコシ 71.4 4.0 10.1 52.0 30.9 42.9 52.1 14.3 37.8 65.6 従来型ソルガム 75.9 3.8 8.3 65.2 36.5 25.9 66.0 9.4 56.6 45.9 SSR8bmr 80.1 4.6 12.2 69.2 42.2 20.0 70.4 10.4 60.0 61.1

(乾物中%)

(19)

トウモロコシとソルガムサイレージの泌乳試験結果(2)

<試験B>

試験区

泌乳初期群 群全体 泌乳初期群 群全体

トウモロコシ区 21.5 22.5 35.2 28.9

SSR8bmr 23.9 22.5 35.8 28.1

  泌乳初期群は、分娩~100日まで。

注)全飼料中のサイレージの乾物給与割合は30%。NDF、CPが等しくなるよう他の飼料で調整し給与

乾物摂取量(kg) 乳量(kg)

(鹿児島畜試H23)

給与サイレージの分析値

種類 水分 pH CP NDF ADF OCC OCW Oa Ob 推定TDN トウモロコシ 72.0 4.0 8.8 60.0 31.7 32.6 60.7 15.8 44.9 61.5 SSR8bmr 75.0 4.0 6.6 65.0 43.4 23.0 68.9 8.9 60.0 62.6

(乾物中%)

• 1.5m以上に伸び出穂しても喜んで良く食

べ嗜好性は非常に良い

採食量が多く、増体も非常に良いが、穂 から下の茎を食い残すので利用率の向 上が課題

スーダン型ソルガム「 SSR 8 bmr 」の特性 5

(6)放牧利用の可能性

嗜好性が良く、夏期の放牧用に利用できる可能性も高い

(20)

「SSR8 bmr 」の普及と今後の展開

• 平成 24 年度に拡大試作(農家)、平成 25 年度より販売見込み

耐病性他、消化性・栄養価・嗜好性が改善されたソルガムの新品種 として、またトウモロコシの獣害対策用代替作物や放牧利用など幅広く 利用されることを期待

<今後の bmr 品種の開発>

・ SSR8bmr はスーダン型ソルガムのため収穫時の水分含量が高く、

高品質のサイレージ調製にやや難あり

・ より TDN 収量が高く、耐病性に優れ、サイレージ適性の高い、

国産 bmr ソルゴー型ソルガム品種の開発を進行中 (

平成

22

年度~)

(国産飼料プロジェクト課題:信州大学、九州沖縄農研センターとの共同開発)

2.耐病性・再生力・収量性に優れる スーダングラスの開発

• 暖地の夏期の自給飼料として需要の多いスーダングラスの 耐病性、収量性、消化性等に優れる品種を選抜する。

1)近赤外分析計(NIR)による迅速な消化性の検定

(bmrスーダン型ソルガムと同じ)

2)海外で育成された品種を広く収集し、圃場試験により耐病性、

耐倒伏性、収量性等を検定するとともに、上記近赤外で分析を行 い、消化性や栄養価の高い品種を選抜

スーダングラス「リッチスーダン」(系統名:S-301)を選抜

(bmr品種ではないが、当事業の飼料分析や給与試験結果より、従来品種よ り消化性、嗜好性が良いことが判明)

(21)

スーダングラス「リッチスーダン」の特性 1

(1)生育特性

出穂は市販の標準品種「ヘイ スーダン」よりやや遅い早生系 品種で、多葉で茎は細めである

耐倒伏性が強い

耐病性に優れる「リッチスーダン」

スーダングラス「リッチスーダン」の特性 2

(2)耐病性

従来品種より、暖地で多発する紫斑点病に強く、条斑細菌病 にも極強

右:「リッチスーダン」

左:「リッチスーダン」

(22)

スーダングラス「リッチスーダン」の特性 3

(3)消化率と繊維

難消化性繊維成分が 少なく、消化率が高い

bmr 遺伝子を有しない が、従来品種や市販 の bmr 品種より消化 性に優れている

図 1   ス ー ダ ン グ ラ ス の 消 化 率 と A DF

( H 2 1 年 弊 社 宮 崎 研 究 農 場 )

40 45 50 55 60 65

止葉1番草(5月播) 出穂1番草(5月播)

止葉2番草(5月播) 出穂2番草(5月播)

出穂1番草(7月播)

消 化 率 (% )

35 37 39 41 43 45 47 49

A D F ( % )

リッチスーダン 市販種A(bmr)

市販種B リッチスーダン

消 化 率 : 棒 グ ラ フ A D F : 折 れ 線 グ ラ フ

(ADF:難消化性繊維)

表.スーダングラスの放牧試験結果(H20沖縄県石垣島)

スーダングラス「リッチスーダン」の特性 4

(4)嗜好性

従来の品種より嗜好性 が良い

(5)放牧利用

採食性も良好

リッチスーダン 他品種A

リッチスーダン 他品種B

リッチスーダン 他品種C

図. 乾草の採食割合の比較(2飼料の採食量の合計に占める割合)

(雪印種苗(株)千葉研究農場 平成21年)

87.4 92.9 87.0

0 20 40 60 80 100

品 種 名 乾 物

収 量 乾 物 率 乾 物 採 食 量 比

kg/10a

ヘ イ ス ー ダ ン 526 17.4 100 リッチ ス ー ダ ン 591 18.4 125 黒 毛 種 13頭 で 1牧 区 (8a)を 1日 間 放 牧 。

(23)

スーダングラス「リッチスーダン」の特性 5

(6)収量性

収量性も良好で、特 に1番草は他品種 より多収

消化率が高いため、

可消化乾物収量で は更に差が広がる

図. 1番草適期収穫時の乾物収量および可消化収量

(雪印種苗(株)宮崎研究農場 平成21・22年平均)

887 811 879

590

478 449 465

995

0 200 400 600 800 1000 1200

リッチスーダン 他品種A 他品種B 他品種C

kg/10a 乾物収量

可消化収量

「リッチスーダン」の普及と今後の展開

• 平成23年より販売を開始

⇒ 耐病性他、消化性・栄養価・嗜好性が改善された スーダングラスの新品種としてロールベールサイレー ジ利用を主に普及

<今後のスーダングラス品種の開発>

・ 本事業の中の育種課題を継承し、耐病性で選抜した 従来型品種に bmr 遺伝子を交配で導入した高消化性 耐病性品種の選抜・育成を進める

「リッチスーダン」より更に消化性や嗜好性を改善した

国産新品種の育成へ

(24)

家畜ふんのセメント製造用燃料化技術の開発

独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構 畜産草地研究所 家畜飼養技術研究領域

阿部佳之

1.はじめに

政府の新たなバイオマス・ニッポン総合戦略によると、日本国内でのバイオマスの年間発生状 況は、家畜ふん尿が 8,900 万 t(43%)であり、下水汚泥の 7,500 万 t(35%)を超える最大の発生 量と推計されている。家畜ふん尿は、そのままでは水分が高く汚物感が残るため、日本では堆肥 化してから肥料として利用されるのが一般的である。しかし、畜産が集中する地域では、堆肥が 供給過剰となるケースが見られ、肥料用途のほかにも新たな利用方法が検討されている。

他方、日本における年間のセメント生産量は、5,600 万 t/年とこちらも膨大であり、その製造 工程では、製品の 1/10 に相当する約 560 万 t の石炭が燃料として利用されている。従来、石炭の 代替として廃プラスチックや木屑が燃料利用されてきたが、最近はこれらの需給バランスが崩れ て代替燃料の品薄状態が続いている。また、石炭を燃焼する際の地球温暖化ガスの低減化対策も セメント業界に向けられた強い要望であり、新たな燃料源の確保と燃料の多様化が急がれている。

そこで、本事業では、畜産とセメント業界との農工連携の中で、家畜ふん堆肥をセメント製造 時の燃料として利用するための技術開発を目的とした。燃料用堆肥が具備すべき点は、含水率や 発熱量など燃料としての適性や、セメント製造設備やセメント品質に悪影響をきたす塩素濃度を 低く抑えることである。また、燃料用堆肥の運搬コストや燃料価値など、事業化に向けてその経 済性についての評価も必要である。

2.燃料化に向けた家畜ふん堆肥の特徴

表1に畜種別の堆肥成分の調査結果を示す。豚ふん堆肥や鶏ふん堆肥は含水率や総発熱量が目 標値にほぼ合致したが、塩素濃度が高いために塩素を除去する必要があり、除去した塩素を浄化 処理施設で処理できる養豚場は、燃料用堆肥の生産に有利であった。牛ふん堆肥は塩素濃度とと もに含水率が高く、塩素除去の他、堆肥の仕上げ乾燥が必要であった。

(25)

表1 畜種別の堆肥の性状調査結果 調査

件数

含水率

%

塩素

%DM

総発熱量 MJ/kgDM

灰分

%DM 豚ふん堆肥1) 11 31.5

(9.9~56.1)

0.62

(0.20~0.92)

15.7

(10.5~17.9)

25.3

(16.7~46.9)

鶏ふん堆肥2) 7 36.0

(9.9~56.1)

0.59

(0.42~0.82)

15.8

(8.9~18.3)

16.7

(12.4~36.1)

牛ふん堆肥 8 48.9

(18.1~69.4)

0.86

(0.65~1.01)

15.5

(9.9~17.1)

22.7

(13.1~61.9)

目標仕様3) 25~30% 0.1~0.3 15 -

1)茨城県「畜産バイオマス燃料化検討会」との合同調査の結果。事前調査の養豚農家 40 戸のうち、含水率や塩素濃度が 比較的低い堆肥を生産していた 11 農家が調査対象。

2)八戸セメント株式会社との合同調査の結果。生ふんや乾燥鶏ふんに近い状態のものを含む。

3)目標仕様が幅を持つのは、工場によって許容値が異なるため。

3.農場での燃料用堆肥の生産

1)固液分離機による塩素の除去と乾物の回収

豚ふん尿スラリー(所定量の凝集剤を添加したもの)を供して、畜産業で一般に用いられるス クリュープレス式固液分離機の塩素除去性能と乾物の回収性能を調査した。調査開始時のスラリ ーに含まれていた塩素に対し、分離液とともに取り除かれた塩素の割合を塩素除去率(%)、スラ リーに含まれていた乾物に対し、分離後の固分として回収できた乾物の割合を乾物回収率(%)と すると、スクリューの回転数が低く、処理速度が小さいほど、両者について高い性能を示した。

ただし、スクリュー回転数が大きくなると、塩素除去率や乾物回収率が低くなることに加え、分 離後の固分の塩素濃度や含水率が高くなり、固液分離機の処理性能が低下した(図1)。

2)副資材の混合による塩素濃度の希釈

豚ふん尿スラリーにモミガラを混ぜた堆肥原料に対し、塩素の希釈効果を期待して同容量の剪 定枝を混合して堆肥化した結果、当初 75%であった含水率は 5 週目には 20%を下回り、調査期間中 は含水率が直線的に低下した。一方で、この間の総発熱量の減少は少なく、含水率の低下は発酵 による水分蒸発の他、通風による乾燥の寄与も大きかったと思われる。

塩素濃度については、0.40%DM であった豚ふん尿スラリーは、モミガラと剪定枝の混合によっ て 0.23%DM にまで希釈された。堆肥化後の塩素濃度は 0.24%DM であり、堆肥化前後で大きな違い は見られなかった。

(26)

3)密閉縦型堆肥化装置による堆肥化処理

豚ふん尿スラリーの固液分離固分などを密閉縦型堆肥化装置で堆肥化した際の性状を図2に示 す。副資材を用いなかったため、堆肥原料は 69~88%と高い含水率であったが、約 1 週間の堆肥 化処理を経た堆肥の含水率は 30%弱にまで低下した。

余剰汚泥を除き、堆肥原料の塩素濃度は 0.13~0.17%DM と低く抑えられたため、仕上がった堆 肥の塩素濃度も 0.19~0.21%DM と低かった。この間、総発熱量は 17~19MJ/kgDM とほぼ一定であ り、燃料用堆肥の仕様条件をほぼ達成できた。

4)堆肥の通風乾燥

密閉縦型堆肥化装置によって生産された含水率 30%前後の堆肥について、既存の通気型堆肥舎 での通風乾燥(仕上げ乾燥)の可否について検討した。外気温度は、夏季と冬季とでそれぞれ 25

~30℃、14~16℃であったが、前者の含水率は約 4 日間で 29%から 23%に、後者は約 7 日間で 33%

から 25%にまで低下した。この仕上げ乾燥に要する送風機の消費電力量は堆肥 1t 当たり夏季で 18kWh/t、冬季で 30kWh/t となった。含水率が低い燃料用堆肥の生産にあたっては、一般的な堆肥 化処理コストに加えて、必要に応じて仕上げ乾燥のコスト、つまり夏季で 300 円/t、冬季で 500 円/t 程度の追加費用を考慮する必要があった。

75 80 85 90

1 2 3 4 5 6 7

%

スクリュー回転数、rpm 乾物回収率 塩素除去率

図1 固液分離処理の効果(塩素除去と乾物回収(左)、および固分の性状(右)

0 5 10 15 20 25 30

60 70 80 90

1 2 3 4 5 6 7

塩素濃度、

× 0 .0 1 % D M

総発熱量、

M J/ kg D M

含水率、

%

スクリュー回転数、rpm 含水率 塩素濃度 総発熱量

(27)

4.セメント工場での燃料用堆肥の利用

1)セメントの製造工程

セメント製造工程の概要を図3に示す。石灰石などのセメント原料は、まず所定の化学組成に 調合されてから、縦型ミルなどで粉砕される。その後、余熱装置を経て焼成炉に投入され、最高 1,450℃という高温下で化学反応を起こし、クリンカーに焼成される。

焼成炉はキルン方式(回転窯)であり、燃料の投入方法は2つのタイプに大別される。一つ目 は、キルンの出口側(バーナー付近)に空気搬送されて、焼成炉内に突出するノズルから燃料を 吹き込む方法である(図3中①の経路)。二つ目は、余熱装置の下部にある仮焼炉にいったん投入 され、他の原料とともにキルンの入り口から投入される方法である。

珪石 粘土

鉄原料 石灰石

粉砕 混合

石炭

セメント焼成炉(~1450℃)

クリンカークーラー バーナー 原料

廃プラ、廃白土、

木屑、乾燥汚泥、

廃肉骨粉、再生油、

廃タイヤ 燃料系廃棄物

廃プラ、木屑、

フロン、再生油、

廃肉骨粉 燃料系廃棄物

クリンカー 原燃料堆肥

原燃料堆肥

石膏 混合材

粉砕・分級

セメント製品

原料工程 焼成工程 仕上げ工程

石炭

仮焼炉

図3 セメント製造工程の概略図

図2 密閉縦型堆肥化装置で生産された燃料用堆肥の性状

(28)

2)燃料としての堆肥の評価

図3中①の燃料用堆肥の投入経路で行った燃焼試験の結果を表2に示す。合計で 11 回、189t を焼成炉に投入した結果、悪臭の発生や発塵など、堆肥の取り扱い性について大きな問題は生じ なかった。一部に含水率の目標値を超過する堆肥も見られたが、空気搬送経路の詰まりは確認さ れず、スムースな供給が可能であった。

燃料用堆肥の投入量は 11 回の平均で 2.6t/h であったのに対し、石炭の削減量は 0.9t/h であっ た。このことから、正味の堆肥の燃料価値は石炭のおよそ 1/3 程度であった。また、燃料用堆肥 の投入時には、クリンカー中の塩素濃度が最大で 18ppm 高くなることもあったが、JIS 規格の上 限値である 350ppm に比較すれば、燃料用堆肥の投入に伴う上昇は許容の範囲にあった。

3)燃料用堆肥の経済性

燃料用堆肥は、農場にある既存設備を使用して生産されたものであり、燃料用堆肥のために多 くの生産費を上積みする必要はないと考えられる。ただし、冬季の乾燥の進まない時期には堆肥 の含水率が高くなることがあり、その場合は仕上げ乾燥コストを考慮する必要がある。

セメント工場で使用する燃料のカロリー単価は、石炭価格と工場までの輸送費などによって変 動するが、例えば燃焼試験を行った工場では、燃料のカロリー単価を 0.9 円/Mcal(0.22 円/MJ)

としている。また、燃料用堆肥の発熱量を 16MJ/kgDM、含水率 24%、潜熱損失や燃焼特性などを考 慮した焼成工程での効率を 80%と仮定して試算すると、燃料用堆肥の燃料価値は 2,000 円/t 程度 と考えられる。

表2 供試した燃料用堆肥と燃焼試験の結果

密閉縦型堆肥化装置で生産された副資材を混合していない豚ふ ん堆肥、1 ロットあたり 9.1~56.5t

含水率 % 24 (20.0~29.0)

塩素濃度 %DM 0.24 (0.18~0.27)

総発熱量 MJ/kgDM 16 (15.1~16.5)

t(延べ) 189 供試した

燃料用堆肥

堆肥投入量

t/h 2.6 (2.0~3.4)

石炭削減量 t/h 0.9 (0.6~1.2)

石炭の削減効果

石炭代替率 - 0.36 (0.27~0.46)

塩素濃度上昇値 ppm 8 (0~18)

クリンカー品質

リン酸濃度上昇値 % 0.05 (0.01~0.08)

(29)

5.今後に向けた課題

1)燃料用堆肥の供給システム化

今回の燃焼試験では、1 ロットあたり 10t 単位の燃料用堆肥を扱った。これは、10t に満たない 燃料用堆肥では、工場設備規模に比較して燃料としての効果が微小となり、堆肥を利用するメリ ットが見出せないためである。これだけの燃料用堆肥を毎日安定的に供給するためには、堆肥セ ンターなど堆肥を生産流通する上でのバッファー機能が必要であり、県や市町村、あるいは農協 などを司令塔にした地域システム化が不可欠である。また、工場と畜産農家、あるいは堆肥セン ターの立地条件に応じたシステムの最適化も残された課題である。

2)家畜の飼養管理からの塩素対策

家畜ふん尿中の塩素濃度の低減化方法は、固液分離機による塩素除去、あるいは副資材の混合 による塩素の希釈が有効であった。さらに視点を変えて、ふん尿が発生した段階で既に塩素濃度 が十分に低いことは理想的であり、家畜の栄養管理の段階から塩素フローに注意を払うことも家 畜ふんのバイオマス利用の裾野を広げるためには重要である。

表3に日本飼養標準の中で示されている畜種毎の塩素の要求量を、表4に日本標準飼料成分表に ある主な飼料中の塩素濃度を示す。元来、飼料の中には要求量以上の塩素濃度となるものも多く、

塩素の多くが餌として畜産系内に持ち込まれている可能性が示唆される。畜産経営の上流側で塩 素フローを制御できれば、家畜ふん堆肥の燃料利用に向けた抜本的な問題解決が図られるが、戸 別の家畜飼養の段階からさらなる腰を据えた検討が必要である。

表3 畜種別に見た塩素の要求量

畜種 区分 備考

乳牛 * 0.15%DM(育成期)、0.28%DM(泌乳期) 日本飼養標準・乳牛(2006 年版) 豚 ** 0.11~0.25%(子豚)、0.08%(肥育豚)

0.12~0.16%(繁殖) 日本飼養標準・豚(2005 年版) 採卵鶏 ** 0.15%(育成期)、0.12%(採卵期、種鶏) 日本飼養標準・家禽(2004 年版) 肉鶏 ** 0.20%(前期)、0.15%(後期) 日本飼養標準・家禽(2004 年版)

* 乾物あたりの食塩(NaCl)要求量から試算

** 風乾飼料現物(含水率 13%)の単位重量当たりの量

(30)

表4 主な飼料中の塩素濃度(日本標準飼料成分表(2009 年版)より)

飼料分類 平均値、%DM

(最少~最大) 備考

生草 0.94

(0.03~1.85)

牧草類や青刈飼料作物、作物副産茎葉類 など

サイレージ 0.91

(0.22~1.78)

牧草類や青刈飼料作物、作物副産茎葉類 など

乾草 0.62

(0.15~1.24)

牧草類や青刈飼料作物、作物副産茎葉類 や輸入乾草など

穀類、マメ類、イモ類等 0.25

(0.03~0.92) 大麦や大豆、パン屑など ヌカ類および製造粕類 0.21

(0.01~0.75)

ビール粕やビートパルプなど

(醤油粕は除く)

植物性油粕類および植物 性タンパク質類

0.17

(0.02~0.91) 大豆粕やアマニ粕、ヤシ粕など

動物性飼料 1.60

(0.02~5.78) 魚粉やミール、脱脂粉乳など

3)オフセットクレジット制度などの利用

2011 年 6 月に環境省から公示されたオフセットクレジット(J-Ver)制度の方法論 NoE025 は、

セメント製造工程でのバイオマス利用を推進し、二酸化炭素の発生抑制を目的とした方法論であ る。畜産が集中する地域など堆肥の過剰地域にあって堆肥を肥料利用できない、あるいは採算が 合わず流通できないケースの切り札であり、セメント工場としても国内で安定的にバイオマスが 確保できる大きな可能性を秘めている。

既述のように、仕上げ乾燥費や燃料用堆肥の距離を要する運搬の場合など、燃料用途のために コストが超過する場合には、このような制度を利用して経済的に無理のない地域システムを構築 する必要があり、さらなる助成制度の拡充が望まれる。

6.おわりに

本事業によって、セメント製造時の燃料として、家畜ふん堆肥を利用する際の条件が技術的な 視点から整理できたと考えられる。今後は、燃料用堆肥の流通や他のバイオマスとの併用も考慮 したより実践的な試みや、その経済性を評価する段階に入るものと思われる。家畜ふん堆肥の燃 料利用は、セメント業界以外にも、製紙業界や鉄鋼業界、あるいはバイオマスボイラー分野など への波及効果も見込まれ、本事業の成果がバイオマスの利活用促進の一助となれば幸いである。

最後に、本事業を推進するに当たり、八戸セメント株式会社や茨城県「畜産バイオマス燃料化 検討会」から全面的な協力を得ることができた。また、多くの牧場の皆様には、施設の運転やサ

(31)

麹発酵法による

食品残渣飼料の価値評価

源麹研究所

麹は澱粉、セルロース、タンパク質等を分解する。

アワモリ麹はクエン酸をつくり培地のpHを低下させる。

アワモリ麹は肉畜の成長を促進する。

アワモリ麹は肉質を改善する。

麹発酵食品残渣飼料(麹リキッド)は

良質のエコフィード

(32)

本日の話題

1.アワモリ麹の機能性(ブロイラーの例)

2.鹿児島黒豚に対するアワモリ麹給与試験 3.三元交雑豚に対する麹発酵食品残渣給与 4.鹿児島黒豚に対する麹発酵食品残渣給与 5.麹発酵食品残渣の品質と調製技術

1.アワモリ麹の機能性(ブロイラー)

(33)

ブロイラー雛の成長に及ぼす 麹給与の影響

*

* *

*

*

(34)

Myofibrillar protein

Peptide Amino acid Ubiquitinated

-protein

Ubiquitin ligase

(Atrogin-1)

Ubiquitin

Proteasome

Skeletal muscle protein degradation

Myofibrillar fragmentation

Calpain

(µ-Calpain)

3-MeHis

ブロイラー筋肉のタンパク質分解関連 遺伝子発現に及ぼす麹給与の影響

μ-カルパイン プロテアソーム ユビキチン

* *

* * * *

(35)

2.鹿児島黒豚に対する

アワモリ麹(SUPER TOMOKO)給与試験

(36)
(37)

*

3.三元交雑豚に対する

麹発酵食品残渣(リキッドフィード)給与

(38)

(39)

4.鹿児島黒豚に対する

麹発酵食品残渣(リキッドフィード、LF)給与

(40)

リキッド切り替え

(41)
(42)

5.麹発酵食品残渣の品質と調製技術

(43)

リキッドの品質

水分

粗蛋白質

総エネルギー

kcal/g

リキッドA 78 2.0 0.99 リキッドB 87 1.9 0.81 リキッド

C

81 1.6 1.22

(44)

リキッドの品質

H

酸度 ml

揮発 酸度 ml

揮発酸

/総酸

アンモ ニア

Mg/dl

大腸菌

cfu/g

麹菌

cfu/g

乳酸菌

cfu/g

リキッド

A

3.96 10.6 1.8 17 40 10 1×10

5

1×10

8

リキッド

B

4.42 5.5 1.4 25 38 3

×

10

3

1.2

×106

1

×

10

8

リキッド

C

4.30 4.5 1.1 25 25 2×10

3

3×10

5

1×10

8

結論

麹発酵により

機能性を有する優れたリキッド飼料

の調製が可能である。

(45)

民間活力による畜産生産技術研究開発推進事業

「自然冷媒冷凍機を利用した酪農向け 冷却加熱同時利用システムの実用化」

三洋電機株式会社

独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構 畜産草地研究所

SANYO Electric Co., Ltd.

2

発表内容

• 背景と目的

• 課題とねらい

• 既存のシステムと開発システム

• 機器の仕様とシステム構成

• 試験結果

• まとめ

(46)

SANYO Electric Co., Ltd.

【背景と目的】

3

◆酪農生産者の経営環境

ふん尿処理施設の設置義務化など周辺環境に配慮が必要 新規投資や日常作業量の負担増

→環境配慮型設備の普及は、なかなか進みにくい

燃料費や飼料費が高騰など、経営環境が厳しくなっている

環境配慮と同時に生産性の向上による利益確保が両立できる機器が 求められる

◆新規開発のターゲット

バルククーラと給湯器の代わりに

「自然冷媒(二酸化炭素)冷凍機を利用した冷却加熱同時利用システム」

を導入

◆開発の効果

省エネ(省ランニングコスト)による酪農経営収支の改善 温室効果ガスの排出削減に貢献すること

SANYO Electric Co., Ltd.

4

給湯用のエネルギー消費量を削減 冷媒を自然冷媒系(CO2)に転換 経営上メリット :省ランニングコスト

環境対応 :温室効果ガス放出の削減に貢献

〈ねらい〉

【酪農場における冷却と加熱 _

課題と開発のねらい

自然冷媒(二酸化炭素)を利用

GWP(温暖化係数)は HCFC22 :1810 HFC404A :3920 CO

2 :1

〈課題〉

① 生乳の温熱は、冷凍機で 吸熱され大気に排気される

② 温水は給湯器で沸かす

③ 冷凍機の冷媒は フルオロカーボン

生乳の温熱をヒートポンプで回収し、

給湯水として利用

(47)

SANYO Electric Co., Ltd.

5

【酪農場における冷却と加熱 _

現在普及している一般的なシステム

① 生乳の温熱は、冷凍機で 吸熱され大気に排気される

② 温水は給湯器で沸かす

③ 冷凍機の冷媒はフルオロ カーボン

給湯器

冷凍機

直膨用 牛乳タンク バルククーラ 冷凍機

(HFC)

生乳

30℃以上 の温熱

温熱を 大気中に

排気

洗浄用の 高温水

洗浄水

電力 燃料

SANYO Electric Co., Ltd.

6

圧縮機

暖房、給湯

冷房、冷蔵/冷凍 高温、高圧

低温、低圧

凝縮器

蒸発器 膨張弁

【蒸気圧縮サイクルの冷却/加熱の同時利用】

圧縮機

温水取出し

低温、低圧

凝縮器

蒸発器 膨張弁

2 3

水道水

あたたかい 生乳 冷たい生乳

(48)

SANYO Electric Co., Ltd.

7

【酪農場における冷却と加熱システムの検討】

CO 2 直膨冷却パネル方式

生乳 冷温

ヒートポンプ

CO2

圧縮機 給湯用熱交換器

市水 出湯

CO2直膨冷却パネル方式 貯湯 タンク

〈方式〉

冷媒を直接にミルクタンク冷却パネルに導 いてミルクを冷却する

〈メリット〉

従来の方式 (冷凍機、ミルクタンク)

と同様な機器構成でシンプル

比較的高い生乳の温度レベルから温熱の 汲み上げが可能であり運転効率が良い

〈必須要件〉

短時間で冷却する必要があり、比較的 大容量の圧縮機が必要となる

SANYO Electric Co., Ltd.

8

【酪農場における冷却と加熱システムの検討】

冷熱を蓄熱(氷)する方式

生乳 冷温

ヒートポンプ

CO2

圧縮機 給湯用熱交換器

市水 出湯

プレクーラー 貯湯 タンク

〈方式〉

冷媒を蓄熱槽に導いて氷を生成 冷水で生乳をプレクーリング

〈メリット〉

比較的小型圧縮機で多量の生乳冷却が可能 タンク内の生乳温度の上昇が抑えられる 既存のバルククーラに増設してもよい

氷蓄熱槽

ミルクタンク

参照

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