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与格の拡大用法と二重主題構文 : 統語構造と談話構 造

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Academic year: 2022

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(1)九州大学学術情報リポジトリ Kyushu University Institutional Repository. 与格の拡大用法と二重主題構文 : 統語構造と談話構 造 井口, 容子 日本学術振興会特別研究員. https://doi.org/10.15017/9916 出版情報:Stella. 8, pp.47-59, 1990-09-29. Société de Langue et Littérature Françaises de l’Université du Kyushu バージョン: 権利関係:.

(2) 与 格 の 拡 大 用 法 と二 重 主 題 構 文 一. 統語構 造 と談 話構造. 井 0.は. 口. 容. 子. じめ に. (1). Jean lui a cassé sa vaisselle.. (2). Jean lui a coupé les cheveux.. (1)はLEcLERE(1976,1978)が. 「拡 大 与 格 」と 呼 ぶ 構 文,(2)は. い わ ゆ る 「体 の. 部 分 の 所 有 者 を 表 わ す 与 格 」 を 含 む 構 文 で あ る 。 我 々 は この 二 つ の 構 文 に お い て み ら れ る 与 格 を 「拡 大 用 法 の 与 格 補 語 」 と 呼 ぶ こ と に す る が,こ donnerやvolerと. 共 起 す る 「語 彙 的 与 格 」 と は 異 な り,動. す る項 で は な い,と. い う特 徴 を も っ て い る。. 本 稿 に お い て は ま ず,拡. れ ら は,. 詞 が 論 理 的 に選 択. 大 用 法 の 与 格 補 語 に お い て み られ る 「接 語 代 名 詞 の. 制 約 」 に注 目 す る こ と に よ り,こ. の 構 文 の も つ 興 味 深 い 特 性 を 明 らか に し て い. く。 次 に こ の 構 文 と,Sylviealesyeuxbleusに 構 文,及. 代 表 され るフ ラ ンス語 の 二 重 主 題. び 「象 は 鼻 が 長 い 」 に 代 表 され る 日 本 語 の 二 重 主 題 構 文 の 間 に お い て. み と め ら れ る 類 似 性 を 指 摘 す る 。 こ れ らの 分 析 を 通 して,統. 語構造的要因 と. 談 話 構 造 的 要 因 が,「 文 法 」に お い て ど の よ う に 作 用 し合 っ て い る の か,考. えて. み た い。. 1.拡 大 用 法 の 与 格 補 語 を 含 む 構 文 1.1.接 語 代 名 詞/d+NP (1)一(2)に み られ るタ イプの与 格 補 語 は,「 δ+NP(名 接 語 代 名 詞(ditique)の. 詞 句)」 と い う連 鎖 よ り,. 形 を と った 方 が 文 法 性 が 高 い こ とが 多 い,と い う こと. が しば しば指 摘 され る。本 稿 にお いて は これ を 「接 語 代 名 詞 の制 約 」 と呼ぶ こ とに す るが,こ の 制 約 は拡 大 与 格 にお いて 特 に 顕著 にみ られ る。. (3). a. b.. Jean lui a cassé sa vaisselle. On lui a tué sa femme. [47]. ( = (1) ).

(3) 48. (4). a. b.. * Jean a cassé sa vaisselle à Marie. *On a tué sa femme à Paul.. 与 格 の 接 語 代 名 詞luiを. 含 む(3a‑b)は. い ず れ も問 題 な い が,対 応 す る(4a‑b). はす べ て 非 文 と され る。. (5). a. b.. (5b)の. Paul lui a cassé ces trois verres. ?Paul a cassé ces trois verres à Marie. 1) 評 価 は 《*》で は な く 《?》で あ る が,い. ず れ に せ よd+NPの. 方 が許 容. 度 が 低 くな って い る。 体 の 部 分 の 所 有 者 を 表 わ す 与 格 の 場 合 に は 問 題 は も う 少 し複 雑 で あ る 。. ( 6). a. b.. Jean lui a coupé les cheveux. Jean lui a cassé le bras.. (=. (2) ). (7). a. b.. Jean a coupé les cheveux à ce garçon. Jean a cassé le bras à Paul.. (6)一(7)が 示すよ うに,体 の 部 分 を 表 わ す 名 詞 句 が 直 接 目的 語 で ある場 合 には, 接 語 代 名 詞,δ+NPと. もに許 容 され る。 しか しなが ら,体 の 部 分 の 名 詞句 が. 前 置 詞 句 に支 配 され て い る場 合 にはa+NPの. 許 容 度 はか な り低 い。. ( 8). a. Les insectes lui couraient sur les jambes. b. La crème lui a coulé sur la tête.. ( 9). a. ?Les insectes couraient sur les jambes à Paul. b. ?La crème a coulé sur la tête à Paul. 2). 体 の 部 分 の名 詞 句 が 主 語 の 位 置 を 占め て い る場 合 に も,同 様 の 傾 向 が み とめ られ る。. (10). a. La barbe lui pousse vite. b. ?La barbe pousse vite à Paul.. KAYNE(1977)に. よ れ ば,体 の 部 分 を 表 わす 名 詞 句 が,直 接 目的 語 の 位 置 を 占. め る場 合 に お いて さ え,次 の(11)一(12)が. 示 す よ うに,接 語 代 名 詞 の 方 が 好 ま. れ る例 もあ る 。. (11). a. Paul lui a embrassé le front. b. La poussière lui a noirci les jambes.. (12). a. ?Paul a embrassé le front à Marie-Claire. b. ?La poussière a noirci les jambes à ce garçon.. この よ うに,制 約 と して の強 さは少 し緩 くな って い ると は いえ,体 の 部 分 の 所 有 者 を表 わ す 与格 に おい て も,「 接 語 代 名 詞 の制 約 」 は み とめ られ る。.

(4) 49. 1.2.旧. 情 報/新 情 報. 接 語 代 名詞/a+NPと. い う対 立 は,談. 話 機 能 とい う観 点 か らみ る と,非 常. に 興 味深 い示唆 を含 む もので あ る とい え る。 プ ラ ーグ学 派 的 な 「 情報 の新 ・旧」 とい う考 え 方 に も とづ けば,接 語代 名詞 は 次 の二 点 にお い て 旧情 報 を担 うの に 適 した 言 語 形 式 で あ る,と い う こ とが で き る。 第 一 に 「代 名 詞 」 と い う指 示 的 な性 格 を持 つ もの で あ る以 上,先 行文 脈 にす で にあ らわ れ た 旧情 報 を担 う もの で あ る と考 え るの は,ご く当然 の こ とで あ る。 第 二 に文 の 線 的 な 語 順 を考 え て み て も,動 詞 よ り も前 に 置 か れ る接 語代 名 詞 は,比 較 的 旧 情 報 を 担 いや す い 位 置 にあ る と いえ る。 これ に 対 して 文 末 に 置 か れ る こ との 多 い 「d+NP」. の 連 鎖 は,多. くの 場 合新 情報 を 担 って い ると い う. こ とが で き る 。 前節 に お いて 指 摘 した 「接 語代 名 詞 の制 約 」 は,当 該 の 構 文 は,与 格 補 語 が 旧 情 報 を 担 って い る場 合 には 許 容 され や す い が,新 情報 を 担 って い る場 合 に は 文 法 性 が 著 し く低 下 す る,と い う こ とを示 して い る。 ど う して この よ うな制 約 が 存 在 す るの で あ ろ うか 。. 1.3.統. 語 構造 的 問 題 余 分 の 名 詞句. 拡 大 用 法 の 与 格 補 語 の 談 話 的 特 性 を 示 して い る こ の 制 約 は,当 統 語 構 造 上 の 特 異 性 と 深 い か か わ り を も つ も の で あ る,と CHoMsKY(1986)に 仮 説 と して,文. よ れ ば,「 投 射 原 理(projectionprinciple)」 の 統 語 的 な 構 造 は.専. ら 主 要 部(head)の. に よ っ て 決 定 さ れ る 。 こ れ に よ る と,主. 該構 文 の もつ. 我 々 は考 え る。 か ら導 か れ る. 語 彙 的 ・論 理 的 な 構 造. 要 部 が 論 理 的 に 選択 す る項 で は な い名. 詞 句 が 文 中 に 存 在 す る こ と は 許 さ れ な い 。 と こ ろ が 本 稿 に お い て 問 題 に して い る拡 大 用 法 の 与 格 補 語 は,主. 要 部 で あ る動 詞 の 論 理 的 な項 を な し て は い な い。. (1)を. 論 理 的 に 要 求 す る 名 詞 句 は 」勿 ηとsavaisselleの. 例 に と る と,ca∬erが. で あ り,与. 格 補 語 で あ るluiは,い. み. っ て み れ ば 「余 分 の 名 詞 句 」 と い う こ と に. な る。 前 述 のC白OMSKYに. よ っ て 示 さ れ た 仮 説 は,文. 非 常 に 重 要 な 原 則 で あ る,と 構 文 は,一. の 基 本 的 な 構 造 を 決 定 す る,. 我 々 は 考 え る。 従 って 拡 大 用 法 の与 格補 語 を含 む. 般 的 な 原 則 か ら 逸 脱 す る,非. 常 に 特 殊 な構 文,有. 標 の 構 文 で あ る,. と い う こ と が で き るq)。 この よ う な 有 標 の 構 文 が 用 い られ る 背 景 に は,与 rtopique(話. 題)」 と して,同. 格 補 語 が 指 示 す る 人 物 を,. 一 文 中 に ぜ ひ 導 入 した い,と. い う話 者 の 強 い 意.

(5) 50. 図 が感 じられ る6与 格 補 語 がd+NPと. い う形 で 表 わ され て い る場 合 に は,新. 情報 を に な う もの と して解 釈 され やす く,従 って 「話 題 」 で あ る とみ なす こ と はで き ない 。 そ の た め,不. 2.フ. 自然 な文 に な って しま うの で あ る。. ラ ン ス語 の二 重 主 題 構 文. (13) Sylvie a les yeux bleus. (14) Sylvie a des yeux bleus. (13)一(14)は,形. の 上 で は冠 詞 のlesがdesに. 構 文 と して は 全 く異 な る も の で あ る,と (14)に お いて は,avoirは. お き か え られ た だ け で あ る が,. い う こ と が しば しば 指 摘 さ れ る 。. ρo∬4d。」7の 意 味 を 持 ち,bleusはdesyeuxの. 詞 で あ る。 これ に対 して,(13)に お い て は,avoirは 一 種 の 繋 辞(copule)と して 機 能 して い る 。(13)は い も の で あ る,と. (15). 付加 形 容. 本 来 の ρo∬4d。」7の意 を 失 い, 意 味 的 に は,む. し ろ(15)に. 近. い う こ と が で き る。. Les yeux de Sylvie sont bleus.. 古 川(1986),FuRuKAwA(1987)は,(13)の び,「 象 は 鼻 が 長 い 」に 代 表 され る,日 あ る,と 主 張 す る 。 従 って(13)を. 型 の 構 文 を 「二 重 主 題 構 文 」 と 呼 本語の. 「ハ ・ガ 構 文 」 に 対 応 す る も の で. 日本 語 に 訳 せ ば 「シ ル ヴ ィ ー は 目 が 青 い 」 と い. う こ と に な る。 以 下 はFURUKAWA(1987)か. ら の 引 用 で あ る。. Plus précisément, on peut dire que dans la phrase Sylvie a les yeux bleus, par exemple, le locuteur prend Sylvie en tant que cadre thématique de la phrase, et ensuite, précise ce dont il parle comme étant ses yeux, et enfin, prédique de ses yeux qu'ils sont bleus. (p. 290). 2.1.拡. 大 用 法 の与 格 補 語 の 構 文 と二 重 主 題 構 文 の 類 似 性. Sンlviealesyeuxbleusの. 型 の 構 文 は,い. くつ か の 非 常 に興 味 深 い 点 に お い て,. 拡 大 用 法 の 与 格 補 語 の 構 文 と 類 似 して い る 。 例 文(13)の. 意 味 構 造 を考 え た場 合,論. い う こ と が で き る。bleusは はbleusの. あ ると. と る。 主 語 で あ るSンlvie. 論 理 的 な 項 を な して は お らず,「 余 分 の 名 詞 句 」 で あ る,と. が で き る。 こ の 点 に お い て,拡 で あ る,と. 理 的 な 述 語(pr6dicat)はbleusで. 唯 一 の 項 と し てlesyeuxを. いうこと. 大 用 法 の 与 格 補 語 と同 じス テ イ タ ス にあ る もの. い え る4)。. 第 二 に 「二 重 主 題 構 文 」 と い う 名 称 か ら も 明 ら か な よ う に,「 余 分 の 名 詞 句 」 は 「主 題 」 あ る い は 「話 題 」 と い う資 格 で 文 に 挿 入 さ れ て い る 。 こ の 点 に お い.

(6) 51. て も,拡 大 用 法 の 与 格 補 語 と共 通 して い る。 以 上 の 考 察 か ら,こ の二 つ の 構 文 は,述 語 によ って 論 理 的 に選 択 され た項 で は な い名 詞 句 を,「話 題 」と して 文 中 に組 み込 ん で い る,非 常 に特 殊 な構 文 で あ る,と い う こ とが で き る。 この 両 構 文 に共 通 して み とめ られ る特 殊性 は,次 節 に お いて詳 述 す る第 三 の 共 通 点,「 所 有 の 制約 」を も説 明 す る もの で あ る 。 2.2.「. 所有」の制約. FURuKAWA(1987)は. Sylvie. a les yeux. bleus. 型 の構 文 に お い て,次 の よ う. な制 約 の 存 在 を 指摘 して い る。 す な わ ち,直 接 目的語 の 限定 辞 と して定 冠 詞 が 用 い られ るの は,主 語 の 体 の 部 分 を表 わ す 名詞 の 場 合 の み で あ り,一 般 の名 詞 の 場 合 には 所 有 形 容 詞 の 使 用 が 義務 的 とな るの で あ る。 (16). a. Sylvie a les yeux bleus. (= (13)) b. *Sylvie a les enfants intelligents. c. Elle a son mari malade.. き わ め て 興 味 深 い こ と に,こ. れ と ほ ぼ 平 行 の 現 象 が,拡. 大 用 法 の与 格 補 語 の. 構 文 に お い て も み と め られ る 。 (17). (17b)は. a.. On lui a cassé. b.. ?On lui a cassé. c.. On lui a cassé. le bras. la vaisselle. sa vaisselle.. 非 文 で こ そ な い が,所. 有 形 容 詞 を 用 い た(17c)に. が ず つ と 低 く な る こ と が,LECLERE(1978)に (16),(17)の. 事 実 は 次 の こ と を 示 唆 す る 。す な わ ち,こ の 二 つ の 構 文 に お い て. は,「 余 分 の 名 詞 句 」 が,文 う こ と が,ほ 我 々 は,こ. 比べ て容 認 可 能 性. よ っ て 指 摘 さ れ て い る(p.68)。. 中 に 存 在 す る 他 の 名 詞 句 の 「所 有 者 」 で あ る と い. と ん ど 「制 約 」 と い つ て も い い ほ ど に 求 め ら れ て い る の で あ る 。 の 現 象 も ま た,前. 節 に お い て 指 摘 した,両. 構 文 に共 通 の特 性 に 由. 来 す るもの で あ る と考 え る。述 語 に よ って 論 理 的 に 選択 され た 項 で は な い名 詞 句 を 含 む,と. い う 有 標 の 構 造 を も つ こ れ らの 構 文 が 用 い られ る の は,「. 余分 の. 名 詞 句 」 が 「話 題 」 と して 機 能 して い る 場 合 に 限 ら れ る 。 従 っ て 「余 分 の 名 詞 句 」 と,文. の 他 の 部 分 と の 間 の 話 題 的 な つ な が り が 明 白 で あ る場 合 の 方 が,容. 認 可 能 性 が 高 くな る の は 当 然 の こ と と い え る。. 「所 有 」 の 関 係 は,こ. の よ うな. 話 題 的 な つ な が り を 想 起 させ る 概 念 の 代 表 的 な も の な の で あ る。 た と え ば ハ イ ン ズ ・岩 崎(1987)は,デ 合,そ. ィ ス コ ー ス の 中 で あ る人 物 が ト ピ ッ ク と み な され る場. の 人 物 に ま つ わ る も ろ も ろ の 物,付. られ る こ と が あ る,と. 帯 物 もま た ト ピック と して と りあ げ. い う こ と を 指 摘 し,こ. れ を 「サ ブ ト ピ ッ ク 」 と呼 ん で い.

(7) 52. る(P.77)。 ま た,「 体 の 部 分 を 表 わ す 名 詞 」を 含 む 構 文 に 関 して い え ば,そ 補 語 の 関 係 は,所. の 名 詞 と与 格. 有 の 関 係 で あ る と 同 時 に,「部 分 と全 体 」の 関 係 で あ る と も い. え る 。 福 地(1985)は,他. の 語 の 表 わ す 物 か ら別 の 概 念 を 連 想 さ せ る 意 味 関 係 の. 代 表 的 な も の と し て,こ. の. 「所 有 の 制 約 」 は,こ 能 し て い る,と. 「部 分 と 全 体 」 の 関 係 を あ げ て い る(p.28)。. の 二 つ の 構 文 に お いて 「余 分 の 名 詞 句 」が 話 題 と して 機. い う特 性 に 由 来 す る,二. る。 次 の(18),(19)は,「. 次 的 な制 約 で あ る と い う こ と が で き. 余 分 の 名 詞 句 」 と 文 の 他 の 部 分 と の か か わ りが 明 ら か. な 場 合 に は,「所 有 」 の 関 係 が 存 在 し な く て も許 容 さ れ る こ と を 示 し て い る ・. (18). Elle lui a tué Marie-Claire.. (19). J'ai Jenny qui m'attend. ati d'Harcourt.5). KAYNE (1977) は,とluiの Marie-Claire. 間 に 密 接 な か か わ り が あ る場 合 に の み,. (18)は 許 容 さ れ る と い う(p.165)。 (19)は 直 接 目的 語 の 後 に 関 係 節 を 従 え た 構 文 で,二 れ る もの で あ る。 こ の 構 文 に お い て も,多. 重 主 題 構 文 の 一 種 とみ な さ. くの 場 合,主. 語 と直 接 目的 語 との 間. に 「所 有 」 の 関 係 が み とめ られ る 。. (20). a. J'ai le coeur qui bat très fort. b. Elle a son bébé qui pleure toutes les nuits.. しか し な が ら,(19)に す る際,話. おいては 「 所 有 」 の 関 係 は み と め られ な い 。 この 文 を 発 話. 者 は,と Jenny. m'attend. au d'Harcourt. い う 「出 来 事(6v6nement)」. に か か わ り の あ る もの と し て,J'を. 同 一 文 中 に む り や り 割 り込 ま せ て い る の で. あ る。 そ し て 」'は この 文 に お い て. 「話 題 」 と して 機 能 して い る 。 関 係 節 中 の ㎝'. の 存 在 は,ノ'と. 出 来 事 と の か か わ り を 明 示 的 に表 わ す 要 素 と し て 働 い て い る と. もい え る 。. 3.日 3.1.「. 本 語 の二 重 主 題 構 文 余 分の名詞句」を含む構造. (21)象 は鼻 が 長 い。 この 文 に代 表 され る 日本 語 の 「ハ ・ガ 構 文 」 は,こ れ を 表 題 と した 三 上章 の 代 表 的著 作 を は じめ,内 外 の 言 語 学者 の 注 目を 集 め て きた もの で あ るO 我 々 は この 構 文 の 特 殊 性 は,前 節 ま で で 論 じて きた フ ラ ンス 語 の 二 つ の 構 文 と同 様,述 語 に よ って 論 理 的 に選 択 され た 項 で は な い 「余 分 の 名詞 句 」を,「 話 題 」 と して 文 中 に組 み込 ん で い る点 にあ る,と 考 える。(21)の 文の述 語 は形 容 詞 で あ る 「長 い」 で あ り,こ れ が 論 理 的 に選択 す る唯 一 の 項 は 「鼻 が 」 で あ る。.

(8) 53. 従 っ て 「象 は 」 は 「余 分 の 名 詞 句 」 と い う こ と に な る 。 た だ,こ. こ で 指 摘 して お か ね ば な ら な い の で あ る が,こ. 分 の 名 詞 句 」 と い う 性 格 付 け は,拡. の 場 合 に お け る 「余. 大 用 法 の 与 格 補 語 の 場 合 と は 異 な り,本. 1.3.節 に お い て 指 摘 し たCHoMsKY(1986)に. 稿. よ る仮説 か ら直接 に引 き出 され る. もので は な い。 CHOMSKY(1982)は. 「拡 大 投 射 原 理(extendedprojectionprinciple)」. 原 理 を 提 示 し て い るが,こ. れ は従 来 の. という. 「投 射 原 理 」 と,「 節(clause)は. 主 語を. 持 た ね ば な ら な い 」 と い う原 理 の 二 っ の 部 分 か ら成 る もの で あ る 。 主 語 名 詞 句 の 存 在 は,こ. の二 番 目 の原 理 に よ っ て保 証 され て い る。. 投 射 原 理 が 述 語 の 論 理 的 な 項 構 造 に 関 連 を も つ もの で あ るの に 対 して,二. 番. 目 の 原 理 は 純 粋 に 文 の も つ 「形 」 の レ ベ ル の み を 問 題 と す る も の で あ る 。 従 っ て 直接 目的語 や与 格 補 語等 が 述 語 の論 理 的 な項 に必 ず 対 応 す る もので あ る の に 対 して,主. 語 位 置 に は 非 人 称 の 〃 の よ う な 意 味 的 に 空 の 名 詞 句 が く る こ と もで. き る。. さて(21)の 構 文 に お け る 「象 は 」を 「 主 語 」 とい って よ い ものか ど うか,と. い. う点 につ い て は,非 常 に大 きな 問題 を残 す と ころ で あ る。 しか しなが ら「象 は」 が 占め て い る統 語上 の位 置,と い う観 点 か ら考 え ると,こ れ は述 語 の最 大 投 射 (maximal. projection). の外 に あ る もの で あ る とい え る。 従 っ て少 な くと も述 語. によ って 下 位 範疇 化 され た 内 部 項6)が (internai. argument). 占 め るべ き位 置 で は. ない 。 そ の 意 味 に お い て,拡 大 投 射 原 理 の 二番 目の方 の原 理 が 対 象 とす べ き もの で あ り,直 接 目的 語 や 与格 補 語等 の補 語 名詞 句 よ りは,主 語 に近 い ス テイ タ スの もの で あ る と いえ る。(21)に おける 「象は」 の 統語 構造 上 の位 置 が この よ うな もの で あ る な らば,こ の 名 詞 句位 置(NPposition)の. 存 在 は,述. 語 の項 構. 造 に関 係 な く,保 証 され て い る こ と に な る。 従 って この 点 に 関 して い え ば,「象 は」 を 「余 分 の 名 詞 句 」 とみ なす こ とは で き ない 。 しか しなが ら,こ の 構 文 には も う ひ とつ 問 題 が あ る。「象 は 」は 述 語 の 論 理的 な項 で は な いの だ か ら,こ れ か ら。」 役 割 を 受 け と る こ とは で きな い 。 そ れ な ら ば この 名 詞 句 の 解 釈 は どの よ う に して 与 え られ るの で あ ろ うか 。 比 較 の た め に 次 の 文 を 検 討 してみ よ う。 (22) Il me semble que Jean est malade. (22)の 主 語 はsemblerの 項 をなす もので はないが,そ のpositionと. して の 存 在 は. 拡 大 投 射 原 理 の 二 番 目の 原 理 に よ って 保 証 され て い る。ここまで は(21)と 同 じな ので あ るが,違. うの は主 語 位 置 を 占め て い る名 詞 句 の性質であ る。(22)の 主語 は. 非 人 称 の 刀で あ り,意 味 的 に空 の要 素 で あ る。 これに対 して(21)の 主 語 は 「象 」.

(9) 54. と い う,指. 示 物 (référent). が 与 え られ な い と,そ. を も っ た 名 詞 句 で あ る。 こ の よ う な 名 詞 句 に。」 役割. の 文 は。」基 準 に よ り排 除 さ れ て し ま う 。 と こ ろ が(21)に. お い て は そ れ が 与 え られ な い の で あ る 。 従 っ て(21)に 詞 句 は,positionと. お け る 「象 は 」 と い う名. し て の 存 在 は 保 証 さ れ て い る が,(22)と. で 問 題 が あ る,と. は違 っ て解 釈 の 点. い う こと に な る 。. こ の よ う な 観 点 か ら す れ ば,こ. の 名 詞 句 もや は り 「余 分 の 名 詞 句 」 と み な す. こ と が で き る 。7). 3、2.「 ノ」 の 代 行 日本 語 にお け る(21)の よ うな 構 文 は,本 約 」 に 関 し て も,他 (23)a.象. サ ンガ入 院 中 デ ス。. ノ学 校 ハ,屋. 三 上(1960)に. 上 ニ望 遠 鏡 ガ据 エ テ ア ル。. よ る と,(23)の. (24)a.象. 「所 有 の 制. ガ長 イ。. ハ,奥. c.ア. に お い て 指 摘 した. の 二 構 文 と の 興 味 深 い 類 似 性 を 呈 して い る。. ハ,鼻. b.B氏. 稿2.2.節. 文 を 無 題 化 す る と(24)が. 得 られ る。. ノ鼻 ガ 長 ク ア ルkoto. b.B氏. ノ奥 サ ン ガ 入 院 中 デ ア ルkoto. c.ア. ノ学 校 ノ屋 上 二 望 遠 鏡 ガ 据 エ テ ア ルkoto. つ ま り(23)に お け る 「ハ」 は 「ノ」 を 代 行 し て い る,と 目 し た い の は,日 表 わ さ れ る,と. 本 語 に お い て は 所 有 の 関 係 は,こ. い うの で あ る。 こ こ で 注. の格助詞の. い う こ と で あ る。 と こ ろ で 北 原(1975)は,「. 等 と は 違 っ て 連 体 助 詞 で あ り,連. 体の. る,と. 疑 問 を 投 げ か け て い る。. い う の は 納 得 で き な い,と. 「ノ」 に よ っ て. ノ」 は 「ガ ・二 ・ヲ」. 「ノ」 が 連 用 の 「ハ 」 に よ つ て 代 行 さ れ. これ は 次 の よ う な 構 造 上 の 問 題 を 指 摘 し た もの で あ る,と. い え る。 「象 ノ鼻 」. の 構 造 は 細 部 を 略 す る と(25)の よ う に表 わ され るべ き で あ り,「 象 ノ」は 「象 ノ鼻 」 と い うNPに. 支 配 さ れ たNPで. (25)[NP[NP象 こ れ に対 して,た (26)a.コ b.コ. あ る,と. い う こ とが で き る。. ノ]鼻] とえ ば. ノ本 ハ,父. ガ買 ッテ ク レマ シタ。. ノ本 ヲ 父 ガ 買 ッ テ ク レ タkoto. の よ う な場 合 に お い て は,(26b)の. 「コ ノ本 ヲ」 は〉Pに 直 接 支 配 さ れ たNPで. あ る。 こ の よ う に 「ノ の 代 行 」 に は,他. の 助 詞 を 代 行 す る場 合 に は み られ な い,. 構 造 上 の 問 題 が 存 在 す る。 こ の 問 題 は,フ. ラ ン ス 語 の 「体 の 部 分 の 所 有 者 を 表 わ す 与 格 」 に 関 して 行 な.

(10) 55. わ れ た,次 (27). の よ うな議 論 を思 い お こさせ る。. a.. On a cassé. le bras à ce garçon.. b.. On a cassé. le bras. (27a)の. de ce garçon.. 【PPδ一NP】 は8),【vP〉‑NP‑【ppd‑‑NP}]と. 支 配 され た 構 成 素 で あ るが,(27b)の と表 わ さ れ る よ う な,NPに す(28)は,(27b)で. 表 わ され る よ うな〉Pに 直 接. 【PPde‑NP】 は,[vP〉{NPArt‑N‑【PPde‑NP】. 支 配 さ れ たPPで. は な く,(27a)の. 】】. あ る 。KAYNE(1977)は,次. よ う な 構 造 か ら派 生 す る も の だ,と. に示 して い. る(p.142)。 (28)Onluiacass61ebras. 日 仏 両 語 に お け る こ れ ら の 議 論 は,い 補 語 名 詞 句 に 支 配 さ れ た,構. ず れ も 文 の 直 接 的 な 構 成 要 素 が,他. の. 造 上 一 段 低 い 位 置 に あ る名 詞 句 か ら派 生 さ れ る と. 考 え る の は お か しい の で は な い か,と. い う点 を 指 摘 し た も の で あ る と い え る。. そ して こ の 指 摘 は 当 を 得 た も の で あ る よ う に 思 わ れ る。 (23a)と(24a),あ. る い は(28)と(27b)に. 一 方 が 他 方 か ら派 生 さ れ る と い う よ う な. み ら れ る よ う な 対 応 関 係 は,. ,「 形 」と し て の 構 造 と構 造 を 結 び つ け. る 関 係 と み な す べ き で は な い 。 そ れ ぞ れ の 構 文 そ の も の は 独 立 し た もの な の で あ る 。 た だ(23a)や(28)の. よ う な構 文 に お け る 「余 分 の 名 詞 句 」 は,「. 話 題」. と し て 機 能 す る こ と が 要 求 さ れ て い る。 助 詞 の 「の 」 や 前 置 詞 の 《de》で 表 わ さ れ る関 係 は,話 め,こ. 題 的 な つ な が り を 想 起 さ せ る代 表 的 な も の な の で あ る。 この た. れ らの 文 は し ば しば(24a),(27b)の. よ う な 文 と,意. 味 的 に対 応 す る こ. と に な るので あ る。. 3.3.主. 語 卓 越 言 語/話 題 卓 越 言語. LI&THOMPSON(1976)は,主. 語 卓 越言 語 (subject-prominent. Sp)と 話 題 卓 越 言 語 (topic-prominent. language,. 以 下Tp)を. 非 常 に魅 力 的 な類 型 論 的 仮 説 を 提 案 して い る9)。Tpに. language, 以下 区 別 す る と い う,. お い て は,文 の基 本 的 な. 統 語 構 造 は 「主 語 一述 語 」 の 関 係 で は な く,「 話 題 一評 言 (topic-comment). 」. あ関 係 を反 映 す る もの で あ る,と い う主 張 は,諸 言 語 に お け るさ ま ざ ま な文 の 構 造 の詳 細 な分 析 に よ る実 証 的 裏 付 けを 待 た ね ば な るま い が,か な りの妥 当性 を もつ もの で あ るよ うに思 わ れ る。 た だ,類 型 論 の も つ分類 的側 面 に着 目 しす ぎ る と,こ の二 つ の タ イ プの 言 語 を,全. く異 質 な もの と して,切 りは な して考 え て しま う危 険性 が あ る。 日本 語. に お け る 「ハ ・ガ構 文 」 の存 在 は,こ の 言 語 の もつTp的 な性 格 を 反 映 した も の と して10),フ ラ ンス語 や 英 語 の よ う な,純 粋 なSp型 言 語 と は 関 係 の な い現.

(11) 56. 象 とみ な して しま いが ちで あ る。 しか しなが ら,本 稿 に お いて 指 摘 した よ うに,こ の構 文 を め ぐ る問 題 は,統 語 構 造,あ. るい は談 話 構 造 を 支 配 す る,一 般 的,普 遍 的 な原 理 ・原 則 に よ っ て. 説 明で き る部 分 をか な り有 して い る。 フ ラ ンス語 に お い て も,よ く似 た現 象 が み とあ られ る とい う事 実 は,そ れ を裏 付 け る もので あ る とい うこ と が で き る。 「ハ ・ガ構 文 」 の分 析 は,普 遍 的 な面 と,個 別 的 な面 を み きわ め なが ら進 め られ て い くべ き もの で あ るよ うに思 われ る。 4.結. 語. 本 稿 にお いて は,拡 大 用 法 の与 格 補 語 を含 む構 文,フ. ラ ンス語 の 二 重 主 題 構. 文,日 本 語 の 二 重主 題 構 文 の三 つ が,次 の三 点 に お い て類 似 して い る ことを 指 摘 した 。i)述. 語 に よ って論 理 的 に選 択 さ れ た 項 で は な い 「余 分 の 名 詞 句 」. を 文 中 に含 む,と い う有 標 の構 造 を もつ もの で あ る。 五)「余 分 の 名 詞 句 」 は 「話 題 」 と い う談 話 機 能 を有 して い る。ili)多 くの場 合,「 余 分 の名 詞 句 」と文 中 の 他 の 名詞 句 との 間 に 「 所 有 」 の 関係 が み とめ られ る。 これ らの分 析 を 通 して我 々 が提 起 した問 題 は,文 法 的 に主 要 な 要 素 と し て, (つ ま り,状 況 補 語 で は な く,主 語,目 的 語等 の 主要 な文法 機 能 を に な う もの と して),文. 中 に存 在 す る こ とが可 能 な名詞 句 は どの よ う な もの なの か,そ の. 資 格 設 定 を め ぐる もの で あ る,と い う こ とが で き る。1.3節 CHOMSKY(1986)に. に お い て 指摘 した. な もの を なす,と. よ る仮 説 は,こ の よ う な条 件 の う ち,最 も基 本 的 か つ重 要 い う こ とが で き る 。. 本 稿 にお いて 分 析 した 三 つ の 構 文 は,i)に. 示 した よ うな統 語 的 有標 性 を も. つ もの で あ る。 この よ うな有 標 の構 造 が 容 認 され るた め には,さ ま ざ ま な条 件 を満 た さね ば な らな い。 その た めii),iti)の よ う な制約 が 課せ られ る こ とに な るの で あ る。. 註 *)本. 研 究 は平 成 元 年 度 文 部 省 科 学 研 究 費 補 助 金(奨 励 研 究(A)),(課. 題番 号01790113). の 交付 を受 けて 遂 行 した もので あ る。 1)(5b)はLECLERE(1976)に 2)(8)はKAYNE(1977)に. よ る例 文 。 よ る例 文 。(9)は. これ らの 例 文 に お け るluiを δPaulに 置. き換 え て イ ン フ ォ ーマ ン トに 尋 ね た結 果 で あ る。 3)こ. の よ うな有 標 の 構 文 が,ど の よ う に して 「 文 法 」 に お いて 認 可(license)さ れ るの か,と い う問 題 に 関 して は,井 口(1989)を. 参 照 され た い 。.

(12) 57. 4)伝. 統 的 に(13)は,次. (i). Je trouve. の(i》と同 じ統 語 構 造 を 持 つ もの と され て き た 。. ce livre. intéressant.. つ ま り(13)に おける'を avoir 用 い られ る動 詞,と. ,(i)の trouver. と 同様,直 接 目的 語 の 属 詞 を と る構 文 に. み な して い るの で あ る。 こ の分 析 に 従 え ば,は Sylvie. の項 で こ そ な いが,avoirの. bleus. 項 で あ る と い う こ とに な り,「 余 分 の 名 詞句 」とい う こ. と はで き な い。 しか しなが ら,先 に指摘 した ように,(13)のavoirは 味 を 失 い,単 な る繋 辞(copule)と. 本 来 も って い る posséder. の意. して しか 機 能 して いな い 。 つ ま り この 文 の'avoir. は意 味 的 に 非 常 に希 薄 なの で あ る。 この 点 に お い て,固 有 の意 味 内容 を有 し,主 語 に対 して も 「動 作 主(agent)」. の 役割 を与 え て い る trouver. とは大 き く異 な る。. この 点 を考 慮 に入 れ て(13)の 意味的な構造 を考 え た 場 合,avoirを. 独 立 した 述 語 と み. な す べ きか ど うか,疑 問 で あ る。 こ の よ うな観 点 からすれ ば,(13)のS「Ylvieは,少. な. く と も論 理 的 に は 「余 分 の 名 詞句 」 と い って よ い の で は な い か,と 思 われ る 。 「 余 分 の 名 詞句 」 の概 念 につ い て は,本 稿3.1.節 に お い て,も 5)(19)は. SANDFELD(1936). う一 度 考察 す る。. の例文bこ の 文 に 関 して は,朝 倉(1984)が 次 の よ う な興 味. 深 い分 析 を 行 って い る。 この 文 の意 は 「ジェ ニ ー は[ど. う した か と言 えば],私. を. 待 って い る」 で は な い 。 そ れ な らば, (i) Jenny. m'attend.. とな るは ず で あ る。(19)に おいては,「 待 っ て い る」 と い う動 作 を 行 う主 体 も,そ の 動作 そ の もの も,共 に新 情 報 な ので あ る(p.181)。 た しか に こ の構 文 は,Jennyと. い う語 を主 語 の 位 置か らはず す こ と に よ り,動. 作. の 主 体 もま た新 情 報 を な す,と い う こ と を明 示 で き る とい う機 能 的 な 効 果 を も って い る。 そ の点 に お い て,朝 倉(op.dt.)が. 指 摘 す る よ うに ,. (li) Il y a quelque chose qui bouge dans l'herbe. (cf. Quelque chose bouge dans l'herbe.) の よ うな mi y a ... qui J 型 の構 文 と類 似 して い る と いえ る。 ただ,(19)と(ii)は,統 quelque. 非 人 称 の11で. 語 的 なステイタスに 関 して は 異 な っ て い る 。{ji)にお い て は. が あ けわ た した 主 語 の 位 置 を 占め て い るの は,意 味 的 に 空 で あ る. chose. あ る。. 対 して(19)にお いては,指. この構 文 にお いて は 「 余 分 の 名 詞 句 」 は 存 在 しない。 これ に 示 物 (référent). を もつ 語 で あ る ノ'が,「 余 分 の 名 詞 句」. と して挿 入 さ れて い るの で あ る。 6)は,語 WILLIAMS. 彙 項 目が 論 理 的 に 選 択 す る項 の う ち,主 語 にあ た る 「外 部 項 」 と,補 部 に あ た る 「内部 項 」 を 区 別 して い る。. 7)日. (1981). 本 語 の統 語 構 造 に関 して は,Ⅵ. ⊃の 存 在 を 認 め ず ,従 って 「 主 語」 と 「目的語 」 等 の 間 の 非 対 称 性 を 認 め な い,と す る見 解 もあ る。 この 見解 を 支 持 し,日 本 語 に お い て は主 語 も また,動 詞 に よ って そ の存 在 を保 証 さ れ て い ると考 え る な らば ,(21) の 「象 は 」 の よ うな 名 詞句 の,「 余 分 の 名詞 句 」と して の位 置付 け は ,も っ と直 接 的 な もの とな る 。. 8) •rERGNAUD. (1974). 4 (27 a)o)à. ce garçon. の よ うな与 格 補 語 は,「 前 置 詞 句」 と い.

(13) 58. うよ り,む し ろ 「名 詞句 」 とみ な す べ き で あ る,と して い る (pp.246‑48) 。 井 口 (1989;P.68)に お い て示 した よ うに,こ の 見解 は 非常 に興 味 深 い もの で あ る とい う こ と が で き る。 た だ,こ こ の 議論 に限 って いえ ば,重 要 な の は'が〉P αcegarfon の 直接 の 構成 素 を な す と い う点 で あ り,そ の範 疇 が何 か と い うこ と は問 題 で は な い た め,にKAYNE (1977) 9)は,厳 LI & THOMPSON. 従 ってPPと. 表 記 して お く。. 密 に は,諸 言 語 を次 の四 つ の タ イ プに分類 しη ・ る。. (1976). 口}主語 卓 越 言 語,価 話 題 卓 越 言 語,価)主 語 卓 越,話 題 卓 越 の 両 方 の 特 性 を 有 す る も の,位)主 語卓 越,話 題 卓 越 の いず れ で も な い も の。 10)に LI & THOMPSON. よ る と,日. (1976). 本 語 は,上 記 註9)の. 画 の タ イ プの 言 語 と. して分 類 さ れ る 。. 参 考 朝 倉 季 雄(1984):『. 文. 献. フ ラ ン ス 文 法 メ モ 』 。 白 水 社.. CHOMSKY,N. (1982): Some Concepts and Consequences of the Theory of Government and Binding, The MIT Press, Cambridge, Mass. (1986): Knowledge of Language, Praeger Publishers, New York. 福 地 肇(1985):『. 談 話 の構 造 』,新 英 文 法 選 書10,大. 古 川 直 世(1986):「. 文 法 の対 照 一. 語 学 講 座2,明. 治 書 院.. FURUKAWA, N. thème»,. 修 館 書 店.. フ ラ ンス語 と 日本 語 」,『外 国 語 と 日本 語 』,応 用 言. (1987):. «Sylvie. Lingvisticae. a les yeux. Investigationes,. ジ ョ ン ・ハ イ ンズ,岩 崎 勝 一(1987):「 らの考 察 」,『 言 語 』16‑3,大 井 口容 子(1989):「. bleus:. Construction. à double. XI: 2.. 日本 語 にお け る名 詞 句 省 略 一. デ ィ ス コ ース か. 修 館書 店.. 拡 大 与 格 と体 の部 分 の 所 有 者 を 表 わ す 与 格 」,『フ ラ ンス 語 学研 究 』,. 第23号.. KAYNE, R.-S. (1977): Syntaxe du français, Seuil, Paris. 北原 保 雄(1975):「. 日本 語 の 主 語 一 三 上 文 法 の 再 評 価 の た め に 」,『 言 語 』4‑3,. 大 修 館 書 店. LECLÈRE,. Ch.. LIER. (1976):. & M.. «Datifs. GROSS. Syntaxiques. (éds),. Méthodes. Classe. de •rerbes. et Datif en. Éthique»,. Grammaire. in J.-C.. Française,. CHE•rA-. Klincksieck,. Paris. (1978): Li,. C. N. of. «Sur. une. & THOMPSON, Language»,. S. A. in. C.N.. (1976): Li(éd.),. Datifs»,. Langue. «Subject Subject. and and. Française,. Topic:. Topic,. A New. Academic. No.. 39.. Typology Press,. New. York.. 三上. 章(1960):『. 象 は鼻 が長 い 』,く ろ しお 出版 ・. SANDFELD, Kr. (1936):. Syntaxe. du français. contemporain,. II, Les Proposi-.

(14) 59. tions. subordonnées,. ERGNAUD, WILLIAMS, tic. J.-R. E. Review. Droz, (1974):. (1981): 1.. Paris.. French •r «Argument. Relative Structure. Clauses, and. MIT. Ph.D.. Morphology»,. dissertation. The. Linguis-.

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