• 検索結果がありません。

昆虫で初めて幼若ホルモンを 持たない変異体を同定

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "昆虫で初めて幼若ホルモンを 持たない変異体を同定"

Copied!
1
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

生物系

Biological

2. 最近の研究成果トピックス

16

昆虫で初めて幼若ホルモンを 持たない変異体を同定

独立行政法人 農業生物資源研究所 主任研究員

大門高明

 昆虫の体は硬い外骨格に被われているため、幼虫は脱 皮を繰り返して体のサイズを大きくします。そして十分に大 きくなった幼虫は、蛹へと変態し、成虫になるための準備に 入ります。しかし、幼虫が幼虫へと脱皮するか、それとも蛹 へと変態するのか、その決定機構には多くの謎が残されて います。

 カイコの幼虫は4回の幼虫脱皮を行い、5齢幼虫となった 後に蛹に変態します。ところが、カイコの自然突然変異体「2 眠蚕(にみんさん)」は、幼虫脱皮を2回または3回しか行わ ず、3齢または4齢幼虫の段階で蛹へと早熟変態してしまい ます。その結果、2眠蚕は普通のカイコに比べて極端に小さ な蛹・成虫になります(図1)。そこで、昆虫の脱皮と変態の 分子機構の理解を深めるために、2眠蚕が早熟変態を起こ す理由を突き止めることにしました。

 近年解読されたカイコの全ゲノム情報を用いて2眠蚕の 原因を調べたところ、2眠蚕ではチトクロムP450遺伝子の1 つである 遺伝子が壊れていることが分かりました。

生化学的な解析から、 は昆虫の重要なホルモン である幼若ホルモンの生合成に関わるエポキシダーゼであり、

2眠蚕の体液からは幼若ホルモンが全く検出されないことが 分 かりました 。次 に 遺 伝 子 組 換えカイコを作 出して 遺伝子を2眠蚕に導入したところ、組換え個体は

正常なカイコと同様に、4回の幼虫脱皮を行ない、大きな5 齢幼虫へと成長した後に蛹へと変態しました。この組換え個 体の血液からは、幼若ホルモンが正常に検出されました。

 幼若ホルモンには蛹への変態を抑制し、幼虫脱皮を繰り 返させる作用があります。今回の成果により、2眠蚕は幼若 ホルモンを作ることができないために、3齢または4齢という小 さな体のまま蛹へと早熟変態してしまうことが明らかになりま した(図2)。

 カイコの2眠蚕のように幼若ホルモンを持たない昆虫の変 異体が同定されたのは世界で初めてのことです。幼若ホル モンは変態を抑制する重要な働きを持ちますが、幼若ホル モンの作用機構の遺伝子基盤はほとんど分かっていませ ん。また、2眠蚕の早熟変態は常に3齢幼虫期以降で起きま す。このことは、カイコの1齢・2齢幼虫は幼若ホルモンの存 否に関わらず常に幼虫脱皮を起こすようにプログラムされ ていることを示唆しており、従来の幼若ホルモンの考え方で は説明できません。今後、2眠蚕は幼若ホルモンの作用機 構や役割を解明する上で有用な研究材料となることが期 待されます。

平成20-22年度 若手研究(A)「カイコの眠性変異体の 分子遺伝学的解析」

図1 2眠蚕(右)は正常なカイコ(左)と比べて小さな繭と成虫と なる。

図2 2眠蚕変異体は幼若ホルモンを作ることができないために、

3齢幼虫から蛹へ早熟変態してしまう。

研究の背景

研究の成果

今後の展望

関連する科研費

参照

関連したドキュメント

睡眠を十分とらないと身体にこたえる 社会的な人とのつき合いは大切にしている

 1)幼若犬;自家新鮮骨を移植し,4日目に見られる

Maurer )は,ゴルダンと私が以前 に証明した不変式論の有限性定理を,普通の不変式論

Maurer )は,ゴルダンと私が以前 に証明した不変式論の有限性定理を,普通の不変式論

・逆解析は,GA(遺伝的アルゴリズム)を用い,パラメータは,個体数 20,世 代数 100,交叉確率 0.75,突然変異率は

(アセタミプリド液剤) さくら 50倍 発生初期 5回以内 食入孔に注入 幼虫.

(アセタミプリド液剤) さくら 50倍 発生初期 5回以内 食入孔に注入 幼虫.

 学部生の頃、教育実習で当時東京で唯一手話を幼児期から用いていたろう学校に配