解析学
2004/06/09,
西岡 國雄他の学問と数学とは
,
対象が抽象的
,
論理のみで構成する.
という大きな違いがある. それ故, 数学は広い応用範囲を持つが,一方で厳密な論理を欠くと 結論を誤る
.
しかもその誤りを発見しにくい.
解析学が根底としているものは
,
実数 である.
実数論の厳密は議論なしでは,
自己矛盾 のない解析学を構築できない.
1
実数I.
正数Z
は既知とする.
有理数Q
とはm
n , m.n ∈ Z, n 6= 0
の全体をいう. Q
は次の性質を備えている1:
a, b ∈ Q ⇒ a + b, a − b, a × b ∈ Q, b 6= 0
ならa/b ∈ Q, (1.1)
a, b ∈ Q ⇒ a < b , a = b , a > b
のどれかが成立, (1.2)
a, b ∈ Q, a < b ⇒ a < c < b
となるc ∈ Q
が存在する. (1.3)
ただし
,
有理数列{a
n} ⊂ Q
が(1.4)
任意のε > 0
にたいし,
あるN
があり, m, n ≥ N ⇒ |a
m− a
n| ≤ ε
であっても2
, lim
n→∞a
n がQ
のなかで見つかるとは限らない.
そこで, (1.4)
をみたす全て の有理数列の極限lim
n→∞a
n をQ
に付け加えたものを 実数R
とする.
II.
こうやって得られた実数R
は,
有理数Q
を拡大したものだが,
次の性質を持っている; Q
をR
に置き換えた(1.1) – (1.3)
が成立,(1.5)
実数列
{a
n} ⊂ R
が(1.4)
を満たせば,
必ずlim
na
n∈ R.
(1.6)
この最後の性質
(1.6)
は 実数の完備性 と呼ばれる.
注意
1.1.
では,
実数R
をさらに拡大して, (1.5)
と(1.6)
の性質を備えた物が得られるだろう か?⇒
実は,得られないことが証明されている. つまり 実数R
は極限操作を行う解析学で は丁度よい物と言える. ♦
1 (1.1)を可換体. (1.2)を線形順序性, (1.3)を稠密性と呼ぶ.
2 (1.4)をみたす数列を基本列と呼ぶ.
2
数列I.
数列{a
n} ⊂ R
の収束と極限を厳密に定義してみよう:
定義
2.1.
数列{a
n}
が極限a
に収束するとは,
任意のε > 0
にたいし,
あるN
がありn ≥ N ⇒ |a
n− a| ≤ ε
が成立することである
. ♦
命題
2.2.
数列{a
n}, {b
n}
が収束していれば, (i)
ある数L
があり,
任意のn
にたいし|a
n| ≤ L.
(ii)
数列{a
n+ b
n}, {a
n− b
n}, {a
nb
n}
は収束する.
(iii) b
n6= 0
かつlim
nb
n6= 0
なら,
数列{a
n/b
n}
は収束する. ♦ II.
数列{a
n}
にたいし,
S
n≡ X
nk=1
a
k= a
1+ a
2+ · · · + a
nを級数という
.
数列{S
n}
が収束するとき,
級数P
nk
a
k は収束する という.
ここで,
収束 する級数を分類してみよう:
(i) T
n≡ P
nk=1
|a
n|
とおく.
数列{T
n}
が収束するとき,
級数P
nk
a
k は 絶対収束する という.
(ii)
数列{S
n}
は収束するが{T
n}
は収束しないとき,
数列{S
n}
は条件収束する という.
注意2.3.
絶対収束する級数は,
項の順序をどのように入れ替えても同じ極限に収束する.
一 方,条件収束する級数は,項の順序を適当に入れ替えると,どんな極限にも収束するように出来 る. ♦
3
関数実数のある部分集合
D ⊂ R
に属する数x
にたいし,
ある数f (x)
がただ一つ対応するとき,
その対応を関数と呼ぶ.
I. D
内部の点x
0にたいし, lim
x→x0,x∈Df (x) = a
であるとき,
関数f
はx
0 で極限a
を もつ という3.
極限という言葉は
,
既に 数列{a
n}
に対して使ったが,
実は関数に対する物と同じである:
命題3.1.
関数f
がx
0で極限a
をもつ.
⇔ {x
n}
をD
に含まれる数列とする.
すべてのn
でx
n6= x
0 かつlim
nx
n= x
0∈ D
なら, lim
nf (x
n) = a. ♦
3 ここでf(x0)の値とaにはなんの関係も無いことを注意せよ.
これにより
,
関数の極限は数列の極限に帰着することが判った.
II.
関数f
がx
0 で極限値a
をもち,
しかもf (x
0) = a
のとき, f
はx = x
0 で連続 と いい, D
の全ての点x
で連続な関数をD
で連続な関数 という.
注意
3.2.
極限値と連続の定義をε-δ
論法を使って厳密に述べてみよう.
(i)
関数f
はx
0で極限a
をもつ とは,
任意のε > 0
にたいし,
あるδ > 0
があり,
|x − x
0| ≤ δ ⇒ |f (x) − a| ≤ ε
となる事である.
(ii)
関数f
はx = x
0 で連続”
とは,
任意のε > 0
にたいし,
あるδ > 0
があり,
|x − x
0| ≤ δ ⇒ |f (x) − f (x
0)| ≤ ε
となる事である. ♦
連続関数はいろいろ都合の良い性質を備えている
:
定理
3.3 (
中間値の定理).
閉区間[a, b]
で定義された連続関数f
がf (a) < f(b)
を満たして いる.
このときa < c < b
である任意のc
にたいし, f (x) = c
となるx ∈ (a, b)
が存在する.
♦
4
微分I.
微分は, Newton
が質点の運動を研究するために考案した とされている.
f
をD
で定義された関数とする. D
の内部の点x
0 にたいし,
(4.1) lim
h→0
f (x
0+ h) − f (x
0) h
が存在するとき
, f
はx
0 で微分可能 と言い, (4.1) = f
0(x
0) = df
dx (x
0)
と記述する. f
0(x
0)
をx
o∈ D
の関数と見たとき, f
の導関数 と呼ぶ.
注意
4.1.
微分可能な関数と連続関数とのギャップは大きく,
至る所で微分が出来ないが連続 な関数が存在する. ♦
定理
4.2. f
を 区間[a, b]
で連続, (a, b)
で微分可能な関数とする.
(i) (Rolle
の定理) f (a) = 0 = f (b)
なら, f
0(c) = 0
となる点c ∈ (a, b)
がある. (ii) (
平均値の定理)
次を満たす点z ∈ (a, b)
がある:
f (b) − f (a)
b − a = f
0(z). ♦
平均値の定理を使うと数学では許されない
0/0
の計算が出来ることがある.
関数f, g
を 定 理4.2
の条件をみたすものとする. f (a) = 0 = g(a), g
0(a) 6= 0
とすると,
b→a
lim f (b) g(b) = lim
b→a
f
0(b)
g
0(b) .
II.
関数f
の導関数f
0(x)
にたいし,
その微分と導関数f
00(x)
を考えることができる. f
00(x)
を2階微分/2階導関数と呼ぶ.さらに3
階微分f
000,
さらにはn
階微分f
(n)も考えること が出来る.
この高階微分の重要な応用として, Taylor
展開がある.
定理
4.3 (Taylor
展開).
関数f
は 区間(a, b)
でn + 1
階まで微分可能をする.
点c, x ∈ (a, b)
にたいし,
次が成立:
ある点y
がありf (x) = f (c) + f
0(c)
1! (x − c) + f
00(c)
2! (x − c)
2+ · · · + f
(n)(c)
n! (x − c)
n+ R
n+1,
ここで, |y − c| < |x − c|
でありR
n+1≡ f
(n+1)(y)
(n + 1)! (x − c)
n+1. ♦ (4.2)
5
いろいろな関数I. f, g
をD
で定義された関数とする.
a. g
のとる値がD
に属しているとき,
新しい関数f ¡ g(x) ¢
が得られる
.
これをf
とg
との合 成関数と呼ぶ.
合成関数の微分は,
つぎの通り:
³ f ¡
g(x) ¢´
0= f ¡ g(x) ¢
g
0(x).
b.
あるE ⊂ R
1 があり, x ∈ E
にたいしては常にf (y) = x
となる
y ∈ D
が唯一つ存在するとき,
このy
をf
−1(x)
と書き, f
−1(x), x ∈ E
を
f
の逆関数と呼ぶ.
逆関数の微分は,
つぎの通り:
³ f
−1(x)
´
0= 1
f
0¡ f (x) ¢.
II.
代表的な初等関数を列挙する:
a.
代数関数: a(a 6= 0)
を実定数としてf(x) ≡ x
a, x ∈ R
1. f
0(x) =
( ax
a−1a 6= 1
1 a = 1.
b.
指数関数: f (x) ≡ exp{x}, x ∈ R
1.
ここで, exp{x} ≡ lim
n→∞
(1 + x n )
n. f
0(x) = exp{x} = f (x),
(0
を中心としたTaylor
展開)exp{x} = 1 + x + x
22! + · · · + x
nn! + · · · . (5.1)
c.
対数関数:
指数関数exp{x}
の逆関数. x > 0
にたいして定義され, f (x) = log x
と記述 する.
³ log x
´
0= 1 x ,
(1
を中心としたTaylor
展開) log(1 + x) = x − x
22 + · · · + (−1)
nx
nn + · · · .
(5.2)
d.
三角関数: sin x, cos x.
³ sin x ´
0= cos x, ³ cos x ´
0= − sin x, (0
を中心としたTaylor
展開) sin x = x − x
33! + x
55! · · · + (−1)
n−1x
2n−1(2n − 1)! + · · · . (5.3)
(0
を中心としたTaylor
展開) cos x = 1 − x
22! + x
44! + · · · + (−1)
n−1x
2n(2n)! + · · · . (5.4)
III. Taylor
展開(5.1), (5.2)
を使うと,
複素数にたいして,
指数関数,
対数関数が定義出来る: a, b
を実数, i
を虚数単位とする.
exp{a + ib} = exp{a} ³
cos b + i sin b ´ , log ¡
a + ib ¢
= log ¡p
a
2+ b
2¢ + iθ
ここで
θ
は次の実数:
もしa 6= 0
ならtan θ = b
a ;
もしa = 0
ならθ = π 2 .
同様に
(5.4), (5.3)
を使って,
三角関数を複素数にたいして定義できる:
(5.5) cos ib = exp{b} + exp{−b}
2 .
ここで
(5.5)
の右辺は, hyperbolic cosine
関数と呼ばれ, cosh b
と表記される.
(5.6) sin ib = i exp{b} − exp{−b}
2 .
ここで
(5.6)
の右辺をi
で割った関数は, hyperbolic sine
関数と呼ばれ, sinh b
と表記され る.
6 2
変数関数I. R
2 の2
点P = (x
0, y
0), Q = (x, y)
の距離ρ(P, Q)
をρ(P, Q) ≡ p
(x
0− x)
2+ (y
0− y)
2 で定義する.
点P = (x
0, y
0) ∈ D
にたいし,
部分集合(6.1) B
ε(P) ≡ {Q ∈ R
2: ρ(P, Q) < ε} ⊂ R
2 をP
を中心とした半径ε
の球 と呼ぶ.注意
6.1.
一般にR
n の点P = (x
0, y
0, · · · , z
0)
と点Q = (x
1, y
1, · · · , z
1)
の距離としては, ρ(P, Q) ≡ p
(x
0− x)
2+ (y
0− y)
2+ · · · + (z
0− z
1)
2, ρ
1(P, Q) ≡ max{|x
0− x
1|, |y
0− y
1||, · · · , |z
0− z
1|}, ρ
2(P, Q) ≡ |x
0− x
1| + 1
2 |y
0− y
1|| + · · · + 1
2
n|z
0− z
1|
等があるが
,
どれも同値である.
ただし, ρ
1 とρ
2 は無限次元空間に拡張できる. ♦
D ⊂ R
2を領域として,
f : (x, y) ∈ D → R
1という関係を
, D
で定義された実数値関数f
という.
このf
がP = (x
0, y
0) ∈ D
で連続 とは,
(x,y)→(x
lim
0,y0)f (x, y) = f (x
0, y
0)
が成立することである
.
ここで, Q = (x, y) → (x
0, y
0) = P
は, ρ(P, Q) → 0
を意味するが,
点Q
が 点P
に近づく方法は無数にあることを注意する.
定理
6.2.
有界な閉集合D
上の連続関数は,
そこで最大値をとる. ♦ II. f
を領域D
で定義された連続関数とする.
(6.2) lim
x→x0
f (x, y
0) − f (x
0, y
0) x − x
0が存在するとき
, f
は 点(x
0, y
0)
でx
偏微分可能 といい, (6.2) = ∂f
∂x (x
0, y
0)
と表す4
.
さらに,
この(∂f /∂x)(x
0, y
0)
をf
のx
偏導関数 と呼ぶ.
同様に,
x→x
lim
0f (x, y
0) − f (x
0, y
0) x − x
0≡ ∂f
∂y (x
0, y
0)
が存在するとき,
f
は 点(x
0, y
0)
でy
偏微分可能 といい5,
この極限値(∂f /∂y)(x
0, y
0)
をf
のy
偏導関数 と呼ぶ大雑把に言えば
,
偏微分しようとする変数以外は定数と考えて微分することが偏微分である.
そのため1変数の場合の微分公式が,
そのまま偏微分にも適用できる.
例
6.3. (i) 2
変数関数z = f (x, y)
と2
変数関数x = g(u, v), y = h(u, v)
の合成関数f(g(u, v), h(u, v))
の偏微分について,
次の式が成立する.
∂f
∂u = f
x(x, y) g
u(u, v) + f
y(x, y) h
u(u, v)
∂f
∂v = f
x(x, y) g
v(u, v) + f
y(x, y) h
v(u, v).
(6.3)
(ii) 2 × 2
行列(6.4) ∂(x, y)
∂(u, v) ≡
à g
u(u, v) h
u(u, v) g
v(u, v) h
v(u, v)
!
を使うと6
, (6.3)
は行列の記法を使ってÃ f
u(u, v) f
v(u, v)
!
= ∂(x, y)
∂(u, v)
à f
x(x, y) f
y(x, y)
!
ただし
x = g(u, v), y = h(u, v)
と表せる.
4 fx(x0, y0)と表すこともある.
5 fy(x0, y0)という記号を使うこともある.
6 (6.4)の行列式をヤコビ行列式(ヤコビアン)と言い,多変数関数の積分で重要な役割を果たしている.
(iii) (6.4)
の逆行列∂(u, v)
∂(x, y) ≡ ³ ∂(x, y)
∂(u, v)
´
−1を使うと,次式が得られる:
à f
x(x, y) f
y(x, y)
!
= ∂(u, v)
∂(x, y)
à f
u(x, y) f
v(x, y)
!
ただし
x = g(u, v), y = h(u, v). ♦
III. 1
変数の場合と同様,
偏微分でも 偏導関数の偏微分 を考えることが出来る.
(6.5) lim
x→x0
f
x(x, y
0) − f
x(x
0, y
0) x − x
0= ∂
2f
∂x
2(x
0, y
0) = f
xx(x
0, y
0).
これ以外にも
y→y
lim
0f
x(x
0, y) − f
x(x
0, y
0)
y − y
0= ∂
2f
∂y ∂x (x
0, y
0) = f
xy(x
0, y
0), (6.6)
x→x
lim
0f
y(x, y
0) − f
y(x
0, y
0) x − x
0= ∂
2f
∂x ∂y (x
0, y
0) = f
yx(x
0, y
0), (6.7)
y→y
lim
0f
y(x
0, y) − f
y(x
0, y
0) y − y
0= ∂
2f
∂y
2(x
0, y
0) = f
yy(x
0, y
0) (6.8)
などの
2
階偏微分 および2
階偏導関数 がある.
ここで
(6.6)
と(6.7)
は偏微分の順序が異なるが,
適当な条件の下では同じになる.
命題
6.4.
関数f
の偏導関数f
xy(x, y), (6.6)
とf
yx(x, y), (6.7)
が 領域D
で共に存在し,
連 続である.
このとき,
両者は一致する. ♦
この議論を何度も繰り返すと 自然数
m, n
にたいし∂
mf
∂x
m(x, y), ∂
nf
∂y
n(x, y), ∂
m+nf
∂x
m∂y
n(x, y)
という 高階偏微分と高階偏導関数 を考えることができる
.
さらに 命題6.4
と類似した結 果が成立する.
7
偏微分の応用I. Taylor
展開:
1変数の場合と同様, 2
変数関数にもTaylor
の定理がある.
定理
7.1 (Taylor
展開).
関数f (x, y)
はある領域D
で定義され,
そこでn + 1
階までの偏導 関数が存在している.
点P = (a, b) ∈ D
と 数h, k
は(6.1)
にたいしB
ε(P ) ⊂ D, ε ≡ p h
2+ k
2を満たしている
.
このとき,
ある0 < θ < 1
にたいし,
次の等式が成立する: f (a + h, b + k) = f (a, b) +
X
n m=11 m!
³ h ∂
∂x + k ∂
∂y
´
mf (a, b) + R
n+1, R
n+1≡ 1
(n + 1)!
³ h ∂
∂x + k ∂
∂y
´
n+1f (a + θh, b + θk).
ただし
³ h ∂
∂x + k ∂
∂y
´
mf (a, b) = X
m`=0
à m
`
!
h
m−`k
`∂
mf
∂x
m−`∂y
`(a, b)
である. ♦
II.
極値:
領域D ⊂ R
2 で定義された関数f (x, y)
が 点P = (a, b)
で極大値をとるとは,
あるε > 0
がありf (a, b) ≥ f (x, y), (x, y) ∈ B
ε(P ).
一方
,
点P = (a, b)
で極小値をとるとは,
あるε > 0
がありf (a, b) ≤ f (x, y), (x, y) ∈ (x, y) ∈ B
ε(P ).
注意
7.2.
イメージとしては立体地図を考えればよい.
関数f
の値は標高だから,
極大値をと る 点P
は山頂になる. ♦
関数
f
は連続な2
階偏導関数を持つとし, 2 × 2
行列式7を(7.1) H (x, y) ≡
¯ ¯
¯ ¯
¯
f
xx(x, y) f
xy(x, y) f
xy(x, y) f
yy(x, y)
¯ ¯
¯ ¯
¯
で定義する.
定理
7.3.
関数f (x, y)
はある領域D
で定義され,
そこで2
階までの連続な偏導関数が存在している
.
(i)
関数f
が 点P = (a, b) ∈ D
で極値をとるなら,
(7.2) f
x(a, b) = 0 f
y(a, b) = 0.
(ii)
逆に,
関数f
はある 点P = (a, b)
で(7.2)
を満たしている. (a) H (a, b) > 0 , f
xx(a, b) > 0
8なら, f
は 点P
で極小値をもつ. (b) H (a, b) > 0 , f
xx(a, b) < 0
なら, f
は 点P
で極大値をもつ. (c) H (a, b) < 0
なら,
点P
はf
の極値ではない.
(d) H (a, b) = 0
なら,
これだけでは極値かどうか判定できない. ♦
例
7.4. f (x, y) = xy(1 − x
2− y
2)
の極値を求める. Step 1.
まずf
x(x, y) = y(1 − y
2− 3x
2), f
y(x, y) = x(1 − x
2− 3y
2)
だから, f
x(x, y) = 0, f
y(x, y) = 0
を同時に満たす点(0, 0), (±1, 0), (0, ±1), ( 1 2 , ± 1
2 ), (− 1 2 , ± 1
2 )
という9
個の点が極値の候補である.
7 ヘッセの行列式と呼ばれる.
8 (a)と(b)で,fxx(a, b)をfyy(a, b)で代用してもよい.
Step 2. f
xx(x, y) = −6xy = f
yy(x, y), f
xy(x, y) = 1 − 3x
2− 3y
2 だから, H (x, y) = 36x
2y
2− (1 − 3x
2− 3y
2)
2である
.
これより 4個の点(1/2. ± 1/2), (±1/2.1/2)
だけでH > 0
となり, f
xx(( 1
2 . 1
2 )) = f
xx((− 1 2 . − 1
2 )) = − 3
2 , f
xx(( 1 2 . − 1
2 )) = f
xx((− 1 2 . 1
2 )) = 3 2
と計算できる